特許第6286294号(P6286294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286294
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】熱交換装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/26 20060101AFI20180215BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20180215BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20180215BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20180215BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   F28F9/26
   F28D1/053 A
   F28F9/00 331
   F25B39/02 C
   B60H1/32 613C
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-131550(P2014-131550)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2016-8807(P2016-8807A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】東山 直久
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−249252(JP,A)
【文献】 特開2001−147095(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0264039(US,A1)
【文献】 特開2006−003045(JP,A)
【文献】 特開2009−121728(JP,A)
【文献】 特開2009−180383(JP,A)
【文献】 特開2013−024517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/26
B60H 1/32
F25B 39/02
F28D 1/053
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて対向するように通風方向と平行に配置された1対の板状部材と、両板状部材間に、板状部材の側方から見た形状に沿うように並んで配置されるとともに両板状部材に固定された複数の熱交換器とを備え、各熱交換器が、長手方向を同方向に向けた状態で間隔をおいて配置された複数の熱交換管を有するとともに、熱交換管内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、
各熱交換器が、外部から各熱交換器内に冷媒を流入させる少なくとも1つの流入口と、各熱交換器内から外部に冷媒を流出させる少なくとも1つの流出口とを有し、少なくともいずれか一方の板状部材に、各熱交換器の前記流入口を外部に通じさせる貫通状の第1連通部および前記流出口を外部に通じさせる貫通状の第2連通部が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちのいずれか一方の熱交換器の前記流出口を外部に通じさせる第2連通部と、同他方の熱交換器の前記流入口を外部に通じさせる第1連通部とが、板状部材の外面に固定された連通部材を介して通じさせられている熱交換装置。
【請求項2】
板状部材が長方形状であり、複数の熱交換器が、両板状部材間に、板状部材の長手方向に並んで配置されている請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
板状部材が、通風方向と直角をなす第1部分と、第1部分の両端に連なるとともに通風方向上流側に傾斜した2つの第2部分とよりなり、両板状部材の第1部分間および両第2部分間に、それぞれ1つの熱交換器が配置されている請求項1記載の熱交換装置。
【請求項4】
各熱交換器が、連続して並ぶとともに冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管からなる少なくとも1つの熱交換パスと、1つの熱交換パスを構成する熱交換管の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を当該熱交換パスにおける熱交換管の並び方向に向けて設けられ、かつ当該パスの全熱交換管が通じさせられたヘッダ部とを備えており、外部から流入した冷媒が、全熱交換器の全ヘッダ部および全熱交換パスの熱交換管を流れて外部に流出するようになされている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項5】
一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、1つの熱交換パスと当該熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた1対のヘッダ部とを備えており、全熱交換器の熱交換パスにおける冷媒の流れ方向が同一であり、各ヘッダ部の長手方向両端部が両板状部材に固定され、各熱交換器の熱交換パスの冷媒流れ方向上流側のヘッダ部における長手方向のいずれかの端部に流入口が形成されるとともに、同冷媒流れ方向下流側のヘッダ部における前記流入口とは反対側の端部に流出口が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちの一方の熱交換器の流出口と、同他方の熱交換器の流入口とがヘッダ部の長手方向の同一端部に形成されている請求項4記載の熱交換装置。
【請求項6】
一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備えており、両板状部材を結ぶ方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、全熱交換器における両板状部材を結ぶ方向および通風方向に関して同一位置にある熱交換パスの冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、他方の第2板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち通風方向に関して前記第1熱交換パスと同一位置ある第3熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パスと第4熱交換パス、および第2熱交換パスと第3熱交換パスの冷媒流れ方向がそれぞれ同一であり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成され、
各熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、さらに第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられており、
流入口を通って各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部内に流入した冷媒が、第1熱交換パス、第3熱交換パス、第4熱交換パス、および第2熱交換パスの順に流れて第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部から流出口を通って流出するようになされている請求項4記載の熱交換装置。
【請求項7】
一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備えており、両板状部材を結ぶ方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、全熱交換器における両板状部材を結ぶ方向および通風方向に関して同一位置にある熱交換パスの冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が同方向であり、他方の第2板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち通風方向に関して前記第1熱交換パスと同一位置ある第3熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が同方向であり、さらに第1および第2熱交換パスと第3および第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成され、
各熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、さらに第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、
流入口を通って各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部内に流入した冷媒が、第1熱交換パス、第3および第4熱交換パス、ならびに第2熱交換パスの順に流れて第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部から流出口を通って流出するようになされている請求項4記載の熱交換装置。
【請求項8】
一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れ、さらに一端の熱交換器に戻って当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備えており、両板状部材を結ぶ方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、全熱交換器における両板状部材を結ぶ方向および通風方向に関して同一位置にある熱交換パスの冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、他方の第2板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち通風方向に関して前記第1熱交換パスと同一位置ある第3熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パスと第4熱交換パス、および第2熱交換パスと第3熱交換パスの冷媒流れ方向がそれぞれ同一であり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成され、各熱交換器の第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流出口が形成されるとともに、第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流入口が形成され、
前記他端の熱交換器を除いた他の各熱交換器における第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成され、前記他端の熱交換器を除いた他の各熱交換器における第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流出口が形成され、
前記他端の熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とがそれぞれ通じさせられ、
流入口を通って一端の熱交換器に流入した冷媒が、全熱交換器の第1熱交換パスを順次通過して他端の熱交換器において第3熱交換パスに入り、全熱交換器の第3熱交換パスを順次通過して前記一端の熱交換器において第4熱交換パスに入り、全熱交換器の第4熱交換パスを順次通過して前記他端の熱交換器において第2熱交換パスに入り、全熱交換器の第2熱交換パスを順次通過した後に前記一端の熱交換器から流出口を通って流出するようになされている請求項4記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記他端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記他端側に隣接する熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられ、前記他端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記他端側に隣接する熱交換器の第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、前記一端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記一端側に隣接する熱交換器の第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられ、前記一端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記一端側に隣接する熱交換器の第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられている請求項8記載の熱交換装置。
【請求項10】
一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、通風方向に並んだ2つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた2対のヘッダ部とを備えており、全熱交換器における2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側のヘッダ部における長手方向のいずれかの端部に流入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側のヘッダ部における前記流入口とは反対側の端部に流出口が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちの一方の熱交換器の流出口と、同他方の熱交換器の流入口とがヘッダ部の長手方向の同一端部に形成され、各熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられており、
流入口を通って各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部内に流入した冷媒が、第1熱交換パスおよび第2熱交換パスの順に流れて第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部から流出口を通って流出するようになされている請求項4記載の熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータとして使用される熱交換装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、各図面の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
従来、カーエアコンに用いられるエバポレータとして、周縁部どうしが互いに接合された2枚の縦長金属板からなり、かつ両金属板間に、通風方向に間隔をおいて設けられた上下方向に伸びる2つの熱交換管および各熱交換管の上下両端に連なって設けられたヘッダ形成部とを備えている複数の扁平中空体が、積層状に配置されて隣接する扁平中空体のヘッダ形成部どうしが接合されることにより形成されており、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備え、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向および上下方向と直角をなす方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、片側に設けられた2つの熱交換パスのうち風下側の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と風上側の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、他側に設けられた2つの熱交換パスのうち風下側の第3熱交換パスの冷媒流れ方向と風上側の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パスと第4熱交換パス、および第2熱交換パスと第3熱交換パスの冷媒流れ方向がそれぞれ同一であり、第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部における第4熱交換パスとは反対側の端部に冷媒入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部における第3熱交換パスとは反対側の端部に冷媒出口が形成されている積層型エバポレータが広く知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、特許文献1記載のエバポレータにおいて、熱交換性能の向上は、熱交換管の長さを長くすることにより対応されていた。この場合、エバポレータが設置されるスペース、およびエバポレータに要求される熱交換性能に応じて多種類の金属板を用意する必要があり、用意すべき部品の種類が増大するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−24517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、用意すべき部品の種類の増大を抑制しうる熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)互いに間隔をおいて対向するように通風方向と平行に配置された1対の板状部材と、両板状部材間に、板状部材の側方から見た形状に沿うように並んで配置されるとともに両板状部材に固定された複数の熱交換器とを備え、各熱交換器が、長手方向を同方向に向けた状態で間隔をおいて配置された複数の熱交換管を有するとともに、熱交換管内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、
各熱交換器が、外部から各熱交換器内に冷媒を流入させる少なくとも1つの流入口と、各熱交換器内から外部に冷媒を流出させる少なくとも1つの流出口とを有し、少なくともいずれか一方の板状部材に、各熱交換器の前記流入口を外部に通じさせる貫通状の第1連通部および前記流出口を外部に通じさせる貫通状の第2連通部が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちのいずれか一方の熱交換器の前記流出口を外部に通じさせる第2連通部と、同他方の熱交換器の前記流入口を外部に通じさせる第1連通部とが、板状部材の外面に固定された連通部材を介して通じさせられている熱交換装置。
【0009】
2)板状部材が長方形状であり、複数の熱交換器が、両板状部材間に、板状部材の長手方向に並んで配置されている上記1)記載の熱交換装置。
【0010】
3)板状部材が、通風方向と直角をなす第1部分と、第1部分の両端に連なるとともに通風方向上流側に傾斜した2つの第2部分とよりなり、両板状部材の第1部分間および両第2部分間に、それぞれ1つの熱交換器が配置されている上記1)記載の熱交換装置。
【0011】
4)各熱交換器が、連続して並ぶとともに冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管からなる少なくとも1つの熱交換パスと、1つの熱交換パスを構成する熱交換管の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を当該熱交換パスにおける熱交換管の並び方向に向けて設けられ、かつ当該パスの全熱交換管が通じさせられたヘッダ部とを備えており、外部から流入した冷媒が、全熱交換器の全ヘッダ部および全熱交換パスの熱交換管を流れて外部に流出するようになされている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の熱交換装置。
【0012】
5)一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、1つの熱交換パスと当該熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた1対のヘッダ部とを備えており、全熱交換器の熱交換パスにおける冷媒の流れ方向が同一であり、各ヘッダ部の長手方向両端部が両板状部材に固定され、各熱交換器の熱交換パスの冷媒流れ方向上流側のヘッダ部における長手方向のいずれかの端部に流入口が形成されるとともに、同冷媒流れ方向下流側のヘッダ部における前記流入口とは反対側の端部に流出口が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちの一方の熱交換器の流出口と、同他方の熱交換器の流入口とがヘッダ部の長手方向の同一端部に形成されている上記4)記載の熱交換装置。
【0013】
6)一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備えており、両板状部材を結ぶ方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、全熱交換器における両板状部材を結ぶ方向および通風方向に関して同一位置にある熱交換パスの冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、他方の第2板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち通風方向に関して前記第1熱交換パスと同一位置ある第3熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パスと第4熱交換パス、および第2熱交換パスと第3熱交換パスの冷媒流れ方向がそれぞれ同一であり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成され、
各熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、さらに第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられており、
流入口を通って各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部内に流入した冷媒が、第1熱交換パス、第3熱交換パス、第4熱交換パス、および第2熱交換パスの順に流れて第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部から流出口を通って流出するようになされている上記4)記載の熱交換装置。
【0014】
7)一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備えており、両板状部材を結ぶ方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、全熱交換器における両板状部材を結ぶ方向および通風方向に関して同一位置にある熱交換パスの冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が同方向であり、他方の第2板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち通風方向に関して前記第1熱交換パスと同一位置ある第3熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が同方向であり、さらに第1および第2熱交換パスと第3および第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成され、
各熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、さらに第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、
流入口を通って各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部内に流入した冷媒が、第1熱交換パス、第3および第4熱交換パス、ならびに第2熱交換パスの順に流れて第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部から流出口を通って流出するようになされている上記4)記載の熱交換装置。
【0015】
8)一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れ、さらに一端の熱交換器に戻って当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、4つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた4対のヘッダ部とを備えており、両板状部材を結ぶ方向に2つの熱交換パスが並ぶとともに、通風方向に2つの熱交換パスが並ぶように配置され、全熱交換器における両板状部材を結ぶ方向および通風方向に関して同一位置にある熱交換パスの冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、他方の第2板状部材側に設けられた2つの熱交換パスのうち通風方向に関して前記第1熱交換パスと同一位置ある第3熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パスと第4熱交換パス、および第2熱交換パスと第3熱交換パスの冷媒流れ方向がそれぞれ同一であり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成され、各熱交換器の第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流出口が形成されるとともに、第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流入口が形成され、
前記他端の熱交換器を除いた他の各熱交換器における第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流出口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第1板状部材側端部に流入口が形成され、前記他端の熱交換器を除いた他の各熱交換器における第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流入口が形成されるとともに、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部の前記第2板状部材側端部に流出口が形成され、
前記他端の熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられるとともに、第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とがそれぞれ通じさせられ、
流入口を通って一端の熱交換器に流入した冷媒が、全熱交換器の第1熱交換パスを順次通過して他端の熱交換器において第3熱交換パスに入り、全熱交換器の第3熱交換パスを順次通過して前記一端の熱交換器において第4熱交換パスに入り、全熱交換器の第4熱交換パスを順次通過して前記他端の熱交換器において第2熱交換パスに入り、全熱交換器の第2熱交換パスを順次通過した後に前記一端の熱交換器から流出口を通って流出するようになされている上記4)記載の熱交換装置。
【0016】
9)前記他端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記他端側に隣接する熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられ、前記他端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記他端側に隣接する熱交換器の第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられ、前記一端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第3熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記一端側に隣接する熱交換器の第3熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられ、前記一端の熱交換器を除いた他の熱交換器の第4熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部と、当該熱交換器に対して前記一端側に隣接する熱交換器の第4熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部とが通じさせられている上記8)記載の熱交換装置。
【0017】
10)一端の熱交換器に流入した冷媒が他端の熱交換器に向かって流れて当該熱交換器から流出するようになっており、
各熱交換器が、通風方向に並んだ2つの熱交換パスと各熱交換パスの冷媒流れ方向上流側および同下流側に設けられた2対のヘッダ部とを備えており、全熱交換器における2つの熱交換パスのうち一方の第1熱交換パスの冷媒流れ方向と同他方の第2熱交換パスの冷媒流れ方向が逆向きであり、
各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側のヘッダ部における長手方向のいずれかの端部に流入口が形成されるとともに、第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側のヘッダ部における前記流入口とは反対側の端部に流出口が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちの一方の熱交換器の流出口と、同他方の熱交換器の流入口とがヘッダ部の長手方向の同一端部に形成され、各熱交換器において、第1熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部と、第2熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部とが通じさせられており、
流入口を通って各熱交換器の第1熱交換パスの冷媒流れ方向上流側ヘッダ部内に流入した冷媒が、第1熱交換パスおよび第2熱交換パスの順に流れて第2熱交換パスの冷媒流れ方向下流側ヘッダ部から流出口を通って流出するようになされている上記4)記載の熱交換装置。
【発明の効果】
【0018】
上記1)〜10)の熱交換装置によれば、互いに間隔をおいて対向するように通風方向と平行に配置された1対の板状部材と、両板状部材間に、板状部材の側方から見た形状に沿うように並んで配置されるとともに両板状部材に固定された複数の熱交換器とを備えているので、使用する熱交換器の数を変更することによって、設置スペース、および要求される熱交換性能に対応することができる。しかも、少なくとも2つの熱交換器の大きさや構成を同一のものにすることによって、用意すべき部品の種類や当該部品を製造する設備の種類の増大を抑制することができる。
【0019】
また、各熱交換器が、外部から各熱交換器内に冷媒を流入させる少なくとも1つの流入口と、各熱交換器内から外部に冷媒を流出させる少なくとも1つの流出口とを有し、少なくともいずれか一方の板状部材に、各熱交換器の前記流入口を外部に通じさせる貫通状の第1連通部および前記流出口を外部に通じさせる貫通状の第2連通部が形成され、隣り合う2つの熱交換器のうちのいずれか一方の熱交換器の前記流出口を外部に通じさせる第2連通部と、同他方の熱交換器の前記流入口を外部に通じさせる第1連通部とが、板状部材の外面に固定された連通部材を介して通じさせられているので、たとえば各熱交換器を構成する部品をろう付して全熱交換器を製造するのと同時に、熱交換器と板状部材、および板状部材と連通部材とをろう付することによって熱交換装置を製造することができる。したがって、熱交換装置を比較的簡単に製造することが可能になる。しかも、複数の熱交換器をパイプにより連通状に接続する場合に比べて、熱交換器とパイプとの接合工程が不要になって製造工程が容易になるとともに、パイプを配置するスペースが不要になって設置スペースが小さくなる。また、板状部材の形状および熱交換器の並び方を変更するだけで、熱交換装置の形状を設置すべきスペースに合わせて適宜変更することが可能になる。
【0020】
さらに、熱交換装置全体での冷媒の流れ回路を比較的自由に設計することが可能になる。
【0021】
上記4)の熱交換装置によれば、外部から流入した冷媒が、全熱交換器の全ヘッダ部および全熱交換パスの熱交換管を流れて外部に流出する際に、各熱交換器のヘッダ部においてミキシングされるので、熱交換管内に効率よく流すことが可能になる。
【0022】
上記5)の熱交換装置によれば、全熱交換器の両ヘッダ部の両端部に開口を形成するとともに、不要な開口を板状部材で塞ぐようにすれば、全熱交換器の構成を同一にすることが可能になる。したがって、用意すべき部品の種類や当該部品を製造する設備の種類の増大を効果的に抑制することができる。
【0023】
上記6)および7)の熱交換装置によれば、全熱交換器の構成が同一になるので、用意すべき部品の種類や当該部品を製造する設備の種類の増大を効果的に抑制することができる。
【0024】
上記10)の熱交換装置によれば、冷媒は、各熱交換器において風の流れに対して風下側から風上側に向かって流れるので、全熱交換器を通過することにより熱交換効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施形態1の熱交換装置の全体構成を示す一部を省略した風下側から見た垂直断面図である。
図2図1の熱交換装置の一部切り欠き右側面図である。
図3図1の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す斜視図である。
図4】この発明の実施形態2の熱交換装置を示す一部切り欠き右側面図である。
図5】この発明の実施形態3の熱交換装置の全体構成を示す一部を省略した風下側から見た垂直断面図である。
図6図5の熱交換装置の一部切り欠き右側面図である。
図7】この発明の実施形態4の熱交換装置を示す一部切り欠き右側面図である。
図8図7の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す斜視図である。
図9】この発明の実施形態5の熱交換装置を示す一部切り欠き右側面図である。
図10図9の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す斜視図である。
図11】この発明の実施形態6の熱交換装置を示す一部切り欠き右側面図である。
図12図11の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す斜視図である。
図13】この発明の実施形態7の熱交換装置を示す一部切り欠き右側面図である。
図14図13の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0028】
また、以下の説明において、図2図4図6図14に矢印Xで示す通風方向下流側を前、これと反対側を後といい、風下側から風上側を見た際の左右(図1および図5の左右)を左右というものとする。
実施形態1
この実施形態は、図1図3に示すものである。
【0029】
図1および図2は実施形態1の熱交換装置の全体構成を具体的に示し、図3図1の熱交換装置の全体構成を一部省略して概略的に示す。
【0030】
図1図3において、カーエアコン用エバポレータとして用いられる熱交換装置(1)は、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で左右方向に間隔をおいて対向するように通風方向と平行に配置された1対の長方形状アルミニウム製板状部材(2)と、両板状部材(2)間に、板状部材(2)の左右両側方から見た形状に沿うように、板状部材(2)の長手方向に並んで配置されるとともに両板状部材(2)に固定された複数のアルミニウム製熱交換器(3)と、両板状部材(2)の外面にそれぞれろう付されかつ隣り合う熱交換器(3)どうしを通じさせる板状のアルミニウム製連通部材(4)とを備えている。
【0031】
各熱交換器(3)は、長手方向を上下方向(同方向)に向けた状態で間隔をおいて配置された複数の熱交換管(5)を有するとともに、熱交換管(5)内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管(5)どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、各熱交換器(3)が、連続して並ぶとともに冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管(5)からなる1つの熱交換パス(6)と、熱交換パス(6)を構成する熱交換管(5)の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を熱交換パス(6)における熱交換管(5)の並び方向(左右方向)に向けて設けられ、かつ熱交換パス(6)の全熱交換管(5)が通じさせられたヘッダ部(7)(8)とを備えており、各熱交換器(3)の熱交換パス(6)における冷媒の流れ方向は同一、ここでは下方から上方となっている。
【0032】
各熱交換器(3)の熱交換パス(6)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(7)における長手方向のいずれかの端部に、外部から各熱交換器(3)内に冷媒を流入させる流入口(9)が形成されるとともに、同冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(8)における流入口(9)が形成された側とは反対側の端部に流出口(11)が形成され、隣り合う2つの熱交換器(3)のうちの一方の熱交換器(3)の流出口(11)と、同他方の熱交換器(3)の流入口(9)とがヘッダ部(7)(8)の長手方向の同一端部に位置している。したがって、各熱交換器(3)は、外部から各熱交換器(3)内に冷媒を流入させる1つの流入口(9)と、各熱交換器(3)内から外部に冷媒を流出させる1つの流出口(11)とを有している。具体的にいえば、下ヘッダ部(7)の右端部に流入口(9)が形成されるとともに上ヘッダ部(8)の左端部に流出口(11)が形成された熱交換器(3)と、下ヘッダ部(7)の左端部に流入口(9)が形成されるとともに上ヘッダ部(8)の右端部に流出口(11)が形成された熱交換器(3)とが、前者の熱交換器(3)が下端に位置するように交互に配置されている。
【0033】
各熱交換器(3)は、幅方向を通風方向に向けて左右方向に積層状に並べられるとともに相互に接合された縦長方形の複数の扁平中空体(12)を備えている。扁平中空体(12)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ左右両側方から見た外形が同一である2枚のプレート(13)どうしをろう付することにより形成されたものである。扁平中空体(12)を構成する2枚のプレート(13)間には、上下方向にのびる通風方向に並んだ2つの膨出状熱交換管(5)と、通風方向にのびかつ両熱交換管(5)の両端部が通じる膨出状ヘッダ形成部(14)とが設けられている。扁平中空体(12)の両熱交換管(5)の左右方向の高さは相互に等しくなっており、さらに扁平中空体(12)の両ヘッダ形成部(14)の左右方向の高さは相互に等しくなっているとともに、熱交換管(5)の左右方向の高さよりも高くなっている。そして、隣接する扁平中空体(12)のヘッダ形成部(14)どうしが連通状にろう付されることにより熱交換器(3)が形成され、隣り合う熱交換管(5)どうしの間に通風間隙が形成されるとともに、通風間隙にアルミニウム製コルゲート状アウターフィン(15)が配置されて両側の扁平中空体(12)のプレート(13)にろう付されている。なお、図示は省略したが、扁平中空体(12)の前後の熱交換管(5)内に跨るように、アルミニウム製コルゲート状インナーフィンが配置されて、両プレート(13)にろう付されている。また、各熱交換器(3)の左右両端の扁平中空体(12)における左右方向外側のプレート(13)が板状部材(2)にろう付されており、これにより各熱交換器(3)が両板状部材(2)に固定されている。
【0034】
少なくともいずれか一方の板状部材(2)、ここでは両板状部材(2)に、各熱交換器(3)の流入口(9)を外部に通じさせる貫通状の第1連通部(16)および流出口(11)を外部に通じさせる貫通状の第2連通部(17)が形成されており、隣り合う2つの熱交換器(3)のうちのいずれか一方の熱交換器(3)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)と、同他方の熱交換器(3)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)とが、連通部材(4)を介して通じさせられている。具体的にいえば、左側連通部材(4)に、下ヘッダ部(7)の左端部に流入口(9)が形成されるとともに上ヘッダ部(8)の右端部に流出口(11)が形成された熱交換器(3)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、下ヘッダ部(7)の右端部に流入口(9)が形成されるとともに上ヘッダ部(8)の左端部に流出口(11)が形成された熱交換器(3)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられており、右側連通部材(4)に、下ヘッダ部(7)の右端部に流入口(9)が形成されるとともに上ヘッダ部(8)の左端部に流出口(11)が形成された熱交換器(3)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、下ヘッダ部(7)の左端部に流入口(9)が形成されるとともに上ヘッダ部(8)の右端部に流出口(11)が形成された熱交換器(3)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられている。また、右側連通部材(4)に、下端の熱交換器(3)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)に通じる冷媒入口(19)が設けられ左側連通部材(4)に、上端の熱交換器(3)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)に通じる冷媒出口(21)が設けられている。
【0035】
なお、すべての熱交換器(3)を構成する左右両端の扁平中空体(12)のプレート(13)におけるヘッダ形成部(14)となる部分の膨出頂壁に貫通穴を形成しておき、これらの貫通穴のうち必要な部分の貫通穴を板状部材(2)で塞ぐことによって流入口(9)および流出口(11)を形成してもよいし、あるいはすべての熱交換器(3)を構成する左右両端の扁平中空体(12)の外側プレート(13)における必要なプレート(13)のヘッダ形成部(14)となる部分の膨出頂壁のみに貫通穴を形成することによって流入口(9)および流出口(11)を形成してもよい。
【0036】
熱交換装置(1)は、各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。
【0037】
熱交換装置(1)からなるエバポレータは、車両、たとえば自動車の車室内に配置されたケース内に収納され、圧縮機およびコンデンサとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンに用いられる。
【0038】
上述した熱交換装置(1)において、右側連通部材(4)の冷媒入口(19)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、流入口(9)を通って下端の熱交換器(3)の下ヘッダ部(7)内に流入した冷媒は、熱交換パス(6)の熱交換管(5)内を上方に流れて上ヘッダ部(8)内に入り、流出口(11)、左側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の外方膨出部(18)、左側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て下から2番目の熱交換器(3)の下ヘッダ部(7)内に流入する。下から2番目の熱交換器(3)の下ヘッダ部(7)内に流入した冷媒は、熱交換パス(6)の熱交換管(5)内を上方に流れて上ヘッダ部(8)内に入る。このような動作を繰り返すことによって、冷媒は上端の熱交換器(3)の上ヘッダ部(8)に入り、流出口(11)、左側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の冷媒出口(21)を通って外部に流出する。
実施形態2
この実施形態は図4に示すものである。
【0039】
図4は実施形態2の熱交換装置の全体構成を示す右側面図である。
【0040】
図4に示す熱交換装置(25)において、アルミニウム製板状部材(26)は、通風方向と直角をなす垂直状の第1部分(27)と、第1部分(27)の両端に連なるとともに上下方向外側に向かって通風方向上流側に傾斜した2つの第2部分(28)とよりなる。また、両板状部材(2)の第1部分(27)間および両第2部分(28)間に、それぞれ1つの熱交換器(3)が配置されている。また、連通部材(29)の外形も板状部材(2)の外形と同様な形状である。
【0041】
各熱交換器(3)の構成およびその他の構成は、実施形態1の熱交換装置(1)と同様である。
実施形態3
この実施形態は図5および図6に示すものである。
【0042】
図5および図6は実施形態3の熱交換装置の全体構成を具体的に示すものである。
【0043】
図5および図6に示す熱交換装置(30)において、両板状部材(2)間に、板状部材(2)の左右両側方から見た形状に沿うように、板状部材(2)の長手方向に並んで配置されるとともに両板状部材(2)に固定された複数の熱交換器(31)は、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向いた状態で左右方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製扁平状熱交換管(32)と、熱交換管(32)とは別個に形成され、かつ長手方向を左右方向に向けた状態で熱交換管(32)の長手方向の両側に配置されたアルミニウム製タンク(33)とを備えている。ここでは、通風方向に間隔をおいて配置された2つの熱交換管(32)からなる組が左右方向に間隔をおいて配置されており、左右方向に隣り合う組どうしの間にアルミニウム製コルゲート状アウターフィン(15)が配置されて各組の2つの熱交換管(32)に跨るようにろう付されている。各タンク(33)に、1つのヘッダ部(7)(8)が設けられており、熱交換管(32)の両端部が両ヘッダ部(7)(8)に通じるように両タンク(33)にろう付により接続されている。そして、全熱交換管(32)により1つの熱交換パス(6)が構成され、下側タンク(33)に、1つの熱交換パス(6)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向上流側のヘッダ部(7)が設けられ、上側タンク(33)に、熱交換パス(6)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向下流側のヘッダ部(8)が設けられている。
【0044】
各熱交換器(3)の流入口(9)および流出口(11)は、実施形態1の熱交換装置(1)の場合と同じ位置に形成されており、板状部材(2)および連通部材(4)の構成は、実施形態1の熱交換装置と同様である。
実施形態4
この実施形態は図7および図8に示すものである。
【0045】
図7は実施形態4の熱交換装置の全体構成を具体的に示し、図8は実施形態4の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す。
【0046】
図7および図8に示す熱交換装置(40)において、両板状部材(2)間に、板状部材(2)の左右両側方から見た形状に沿うように、板状部材(2)の長手方向に並んで配置されるとともに両板状部材(2)に固定された複数の熱交換器(41)は、長手方向を上下方向(同方向)に向けた状態で間隔をおいて配置された複数の熱交換管(42)を有するとともに、熱交換管(42)内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管(42)どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、各熱交換器(41)が、連続して並ぶとともに冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管(42)からなる4つの熱交換パス(43)(44)(45)(46)と、1つの熱交換パス(43)(44)(45)(46)を構成する熱交換管(42)の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を熱交換パス(43)(44)(45)(46)における熱交換管(42)の並び方向(左右方向)に向けて設けられ、かつ熱交換パス(43)(44)(45)(46)の全熱交換管(42)が通じさせられた4対のヘッダ部(47)(48)(49)(50)(51)(52)(53)(54)とを備えており、通風方向に2つの熱交換パス(43)(44)および(45)(46)が並ぶとともに、左右方向(両板状部材(2)を結ぶ方向)に2つの熱交換パス(43)(45)および(44)(46)が並ぶように配置されている。
【0047】
全熱交換器(41)における通風方向および左右方向(両板状部材(2)を結ぶ方向)に関して同一位置にある熱交換パス(43)(44)(45)(46)の冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材(2)、ここでは右側板状部材(2)側の2つの熱交換パス(43)(44)のうち通風方向下流側の第1熱交換パス(43)の冷媒流れ方向と通風方向上流側の第2熱交換パス(44)の冷媒流れ方向が逆向きであり、他方の第2板状部材(2)、ここでは左側板状部材(2)側の2つの熱交換パス(45)(46)のうち通風方向に関して第1熱交換パス(43)と同一位置ある第3熱交換パス(45)の冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パス(46)の冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パス(43)と第4熱交換パス(46)、および第2熱交換パス(44)と第3熱交換パス(45)の冷媒流れ方向がそれぞれ同一となっている。ここでは、第1熱交換パス(43)および第4熱交換パス(46)において冷媒が上方から下方に流れ、第2熱交換パス(44)および第3熱交換パス(45)において冷媒が下方から上方に流れる。
【0048】
各熱交換器(41)の第1熱交換パス(43)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(47)の右端部(右側の第1板状部材(2)側端部)に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(44)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(49)の右端部に流出口(11)が形成され、隣り合う2つの熱交換器(41)のうちの一方の熱交換器(41)の流出口(11)と、同他方の熱交換器(41)の流入口(9)とがヘッダ部の長手方向の同一端部に位置している。したがって、各熱交換器(41)は、外部から各熱交換器(41)内に冷媒を流入させる1つの流入口(9)と、各熱交換器(41)内から外部に冷媒を流出させる1つの流出口(11)とを有している。また、第1熱交換パス(43)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(48)と、第3熱交換パス(45)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(53)とが連通口(56)を介して通じさせられ、第2熱交換パス(44)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(51)と、第4熱交換パス(46)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(55)とが連通口(57)を介して通じさせられ、第3熱交換パス(45)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(52)と、第4熱交換パス(46)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(54)とが連通口(58)を介して通じさせられている。したがって、一端、ここでは下端の熱交換器(41)に流入した冷媒が、各熱交換器(41)内を第1熱交換パス(43)、第3熱交換パス(45)、第4熱交換パス(46)、および第2熱交換パス(44)の順に流れて上端の熱交換器(41)から流出するようになされている。
【0049】
各熱交換器(41)は、実施形態1の熱交換装置(1)と同様に、互いにろう付された2枚のプレート(13)からなり、かつ幅方向を通風方向に向けて左右方向に積層状に並べられるとともに相互に接合された縦長方形の複数の扁平中空体(59)を備えている。実施形態4の扁平中空体(59)の実施形態1の扁平中空体(12)との相違点は、上下方向にのびる通風方向に並んだ2つの膨出状熱交換管(42)の上下両端部が通じる4つの膨出状ヘッダ形成部(61)が設けられていることである。そして、隣接する扁平中空体(59)のヘッダ形成部(61)どうしが連通状にろう付されることにより熱交換器(41)が形成され、隣り合う熱交換管(42)どうしの間に通風間隙が形成されるとともに、通風間隙にアルミニウム製コルゲート状アウターフィン(15)が配置されて両側の扁平中空体(59)のプレートにろう付されている。また、各熱交換器(41)の左右両端の扁平中空体(59)における左右方向外側のプレート(13)が板状部材(2)にろう付されており、これにより各熱交換器(41)が両板状部材(2)に固定されている。
【0050】
少なくともいずれか一方の板状部材(2)、ここでは右側の第1板状部材(2)に、各熱交換器(41)の流入口(9)を外部に通じさせる貫通状の第1連通部(16)および流出口(11)を外部に通じさせる貫通状の第2連通部(17)が形成されており、隣り合う2つの熱交換器(41)のうちのいずれか一方の熱交換器(41)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)と、同他方の熱交換器(41)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)とが、連通部材(4)を介して通じさせられている。具体的にいえば、右側連通部材(4)に、熱交換器(41)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、熱交換器(41)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられている。また、右側連通部材(4)に、下端の熱交換器(41)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)に通じる冷媒入口(19)と、上端の熱交換器(41)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)に通じる冷媒出口(21)とが設けられている。
【0051】
なお、すべての熱交換器(41)を構成する左右両端の扁平中空体(59)のプレート(13)におけるヘッダ形成部(61)となる部分の膨出頂壁に貫通穴を形成しておき、これらの貫通穴のうち必要な部分の貫通穴を板状部材(2)で塞ぐことによって流入口(9)および流出口(11)を形成してもよいし、あるいはすべての熱交換器(41)を構成する左右両端の扁平中空体(59)の外側プレート(13)における必要なプレート(13)のヘッダ形成部(61)となる部分の膨出頂壁のみに貫通穴を形成することによって流入口(9)および流出口(11)を形成してもよい。
【0052】
その他の構成は実施形態1の熱交換装置(1)と同様である。
【0053】
熱交換装置(40)は、各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。
【0054】
熱交換装置(40)からなるエバポレータは、車両、たとえば自動車の車室内に配置されたケース内に収納され、圧縮機およびコンデンサとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンに用いられる。
【0055】
上述した熱交換装置(40)において、右側連通部材(4)の冷媒入口(19)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を通って下端の熱交換器(41)の第1熱交換パス(43)の上側に位置する上ヘッダ部(47)内に流入した冷媒は、第1熱交換パス(43)の熱交換管(42)内を下方に流れて下ヘッダ部(48)内に入り、その後第3熱交換パス(45)の下側の下ヘッダ部(53)、第3熱交換パス(45)の熱交換管(42)、第3熱交換パス(45)の上側の上ヘッダ部(52)、第4熱交換パス(46)の上側の上ヘッダ部(54)、第4熱交換パス(46)の熱交換管(42)、第4熱交換パス(46)の下側の下ヘッダ部(55)、第2熱交換パス(44)の下側の下ヘッダ部(51)、および第2熱交換パス(44)の熱交換管(42)を経て第2熱交換パス(44)の上側の上ヘッダ部(49)内に入り、流出口(11)、右側板状部材(2)の第2連通部(17)、右側連通部材(4)の外方膨出部(18)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て下から2番目の熱交換器(41)の第1熱交換パス(43)の上ヘッダ部(47)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は上端の熱交換器(41)の第2熱交換パス(44)の上ヘッダ部(47)に入り、流出口(11)、右側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の冷媒出口(21)を通って外部に流出する。
実施形態5
この実施形態は図9および図10に示すものである。
【0056】
図9は実施形態5の熱交換装置の全体構成を具体的に示し、図10は実施形態5の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す。
【0057】
図9および図10に示す熱交換装置(70)において、両板状部材(2)間に、板状部材(2)の左右両側方から見た形状に沿うように、板状部材(2)の長手方向に並んで配置されるとともに両板状部材(2)に固定された複数の熱交換器(71)は、長手方向を上下方向(同方向)に向けた状態で間隔をおいて配置された複数の熱交換管(72)を有するとともに、熱交換管(72)内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管(72)どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、各熱交換器(71)が、連続して並ぶとともに冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管(72)からなる4つの熱交換パス(73)(74)(75)(76)と、1つの熱交換パス(73)(74)(75)(76)を構成する熱交換管(72)の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を熱交換パス(73)(74)(75)(76)における熱交換管(72)の並び方向(左右方向)に向けて設けられ、かつ熱交換パス(73)(74)(75)(76)の全熱交換管(72)が通じさせられた4対のヘッダ部(77)(78)(79)(81)(82)(83)(84)(85)とを備えており、通風方向に2つの熱交換パス(73)(74)および(75)(76)が並ぶとともに、左右方向(両板状部材(2)を結ぶ方向)に2つの熱交換パス(73)(75)および(74)(76)が並ぶように配置されている。
【0058】
全熱交換器(71)における通風方向および左右方向(両板状部材(2)を結ぶ方向)に関して同一位置にある熱交換パス(73)(74)(75)(76)の冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材(2)、ここでは右側板状部材(2)側の2つの熱交換パス(73)(74)のうち通風方向下流側の第1熱交換パス(73)の冷媒流れ方向と通風方向上流側の第2熱交換パス(74)の冷媒流れ方向が同一であり、他方の第2板状部材(2)、ここでは左側板状部材(2)側の2つの熱交換パス(75)(76)のうち通風方向に関して第1熱交換パス(73)と同一位置ある第3熱交換パス(75)の冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パス(76)の冷媒流れ方向が同一であり、さらに第1および第2熱交換パス(73)(74)と第3および第4熱交換パス(75)(76)の冷媒流れ方向が逆向きとなっている。ここでは、第1および第2熱交換パス(73)(74)において冷媒が下方から上方に流れ、第3および第4熱交換パス(75)(76)において冷媒が上方から下方に流れる。
【0059】
各熱交換器(71)の第1熱交換パス(73)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(78)の右端部(右側の第1板状部材(2)側端部)に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(74)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(79)の右端部に流出口(11)が形成され、隣り合う2つの熱交換器(71)のうちの一方の熱交換器(71)の流出口(11)と、同他方の熱交換器(71)の流入口(9)とがヘッダ部の長手方向の同一端部に位置している。したがって、各熱交換器(71)は、外部から各熱交換器(71)内に冷媒を流入させる1つの流入口(9)と、各熱交換器(71)内から外部に冷媒を流出させる1つの流出口(11)とを有している。また、第1熱交換パス(73)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(77)と第3熱交換パス(75)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(82)とが連通口(86)を介して通じさせられ、第2熱交換パス(74)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(81)と第4熱交換パス(76)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(85)とが連通口(87)を介して通じさせられ、第3熱交換パス(75)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(82)と第4熱交換パス(76)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(84)とが連通口(88)を介して通じさせられ、第3熱交換パス(75)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(83)と第4熱交換パス(76)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(85)とが連通口(89)を介して通じさせられている。したがって、一端、ここでは下端の熱交換器(71)に流入した冷媒が、各熱交換器(71)内を第1熱交換パス(73)、第3および第4熱交換パス(76)、ならびに第2熱交換パス(74)の順に流れて上端の熱交換器(71)から流出するようになされている。
【0060】
各熱交換器(71)は実施形態4の熱交換装置(40)の熱交換器(41)と同様な扁平中空体(59)によって構成されており、各熱交換器(71)の左右両端の扁平中空体(59)における左右方向外側のプレート(13)が板状部材(2)にろう付されており、これにより熱交換器(71)が板状部材(2)に固定されている。各熱交換器(71)の流入口(9)および流出口(11)も実施形態4の熱交換装置(40)の熱交換器(41)と同様な方法で形成されている。
【0061】
少なくともいずれか一方の板状部材(2)、ここでは右側の第1板状部材(2)に、各熱交換器(71)の流入口(9)を外部に通じさせる貫通状の第1連通部(16)および流出口(11)を外部に通じさせる貫通状の第2連通部(17)が形成されており、隣り合う2つの熱交換器(71)のうちのいずれか一方の熱交換器(71)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)と、同他方の熱交換器(71)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)とが、連通部材(4)を介して通じさせられている。具体的にいえば、右側連通部材(4)に、熱交換器(71)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、熱交換器(71)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられている。また、右側連通部材(4)に、下端の熱交換器(71)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)に通じる冷媒入口(19)と、上端の熱交換器(71)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)に通じる冷媒出口(21)とが設けられている。
【0062】
その他の構成は実施形態1の熱交換装置(1)と同様である。
【0063】
熱交換装置(70)は、各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。
【0064】
熱交換装置(70)からなるエバポレータは、車両、たとえば自動車の車室内に配置されたケース内に収納され、圧縮機およびコンデンサとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンに用いられる。
【0065】
上述した熱交換装置(70)において、右側連通部材(4)の冷媒入口(19)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、流入口(9)を通って下端の熱交換器(71)の第1熱交換パス(73)の下側に位置する下ヘッダ部(78)内に流入した冷媒は、第1熱交換パス(73)の熱交換管(72)内を上方に流れて上ヘッダ部(77)内に入り、その後第3および第4熱交換パス(75)(76)の上ヘッダ部(82)(84)、第3および第4熱交換パス(75)(76)の熱交換管(72)、第3および第4熱交換パス(75)(76)の下ヘッダ部(83)(85)、第2熱交換パス(74)の下ヘッダ部(81)、および第2熱交換パス(74)の熱交換管(72)を経て第2熱交換パス(74)の上側の上ヘッダ部(79)内に入り、流出口(11)、右側板状部材(2)の第2連通部(17)、右側連通部材(4)の外方膨出部(18)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て下から2番目の熱交換器(71)の第1熱交換パス(73)の下ヘッダ部(78)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は上端の熱交換器(71)の第2熱交換パス(74)の上ヘッダ部(79)に入り、流出口(11)、左側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の冷媒出口(21)を通って外部に流出する。
実施形態6
この実施形態は図11および図12に示すものである。
【0066】
図11は実施形態6の熱交換装置の全体構成を具体的に示し、図12は実施形態6の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す。
【0067】
図11および図12に示す熱交換装置(90)において、両板状部材(2)間に、板状部材(2)の左右両側方から見た形状に沿うように、板状部材(2)の長手方向に並んで配置されるとともに両板状部材(2)に固定された複数の熱交換器(91)は、長手方向を上下方向(同方向)に向けた状態で間隔をおいて配置された複数の熱交換管(92)を有するとともに、熱交換管(92)内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管(92)どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、各熱交換器(91)が、連続して並ぶとともに冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管(92)からなる4つの熱交換パス(93)(94)(95)(96)と、1つの熱交換パス(93)(94)(95)(96)を構成する熱交換管(92)の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を熱交換パス(93)(94)(95)(96)における熱交換管(92)の並び方向(左右方向)に向けて設けられ、かつ熱交換パス(93)(94)(95)(96)の全熱交換管(92)が通じさせられた4対のヘッダ部(97)(98)(99)(101)(102)(103)(104)(105)とを備えており、通風方向に2つの熱交換パス(93)(94)および(95)(96)が並ぶとともに、左右方向(両板状部材(2)を結ぶ方向)に2つの熱交換パス(93)(95)および(94)(96)が並ぶように配置されている。
【0068】
全熱交換器(91)における通風方向および左右方向(両板状部材(2)を結ぶ方向)に関して同一位置にある熱交換パス(93)(94)(95)(96)の冷媒の流れ方向が同一であり、一方の第1板状部材(2)、ここでは右側板状部材(2)側の2つの熱交換パス(93)(94)のうち通風方向下流側の第1熱交換パス(93)の冷媒流れ方向と通風方向上流側の第2熱交換パス(94)の冷媒流れ方向が逆向きであり、他方の第2板状部材(2)、ここでは左側板状部材(2)側の2つの熱交換パス(95)(96)のうち通風方向に関して第1熱交換パス(93)と同一位置ある第3熱交換パス(95)の冷媒流れ方向と同他方の第4熱交換パス(96)の冷媒流れ方向が逆向きであり、さらに第1熱交換パス(93)と第4熱交換パス(96)、および第2熱交換パス(94)と第3熱交換パス(95)の冷媒流れ方向がそれぞれ同一となっている。ここでは、第1熱交換パス(93)および第4熱交換パス(96)において冷媒が上方から下方に流れ、第2熱交換パス(94)および第3熱交換パス(95)において冷媒が下方から上方に流れる。
【0069】
各熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(97)の右端部(右側の第1板状部材(2)側端部)に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(94)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(99)の右端部に流出口(11)が形成され、第3熱交換パス(95)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(102)の左端部(第2板状部材(2)側端部)に流出口(11)が形成されるとともに、第4熱交換パス(96)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(104)の左端部に流入口(9)が形成されている。また、下端の熱交換器(91)を除いた他の熱交換器(91)において、第1熱交換パス(93)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(98)の右端部に流出口(11)が形成されるとともに、第2熱交換パス(94)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(101)の右端部に流入口(9)が形成され、第3熱交換パス(95)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(103)の左端部に流入口(9)が形成されるとともに、第4熱交換パス(96)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(105)の左端部に流出口(11)が形成されている。そして、隣り合う2つの熱交換器(91)のうちの一方の熱交換器(91)の流出口(11)と、同他方の熱交換器(91)の流入口(9)とがヘッダ部の長手方向の同一端部に位置している。また、下端の熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(98)と第3熱交換パス(95)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(103)とが連通口(106)を介して通じさせられ、第4熱交換パス(96)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(105)と第2熱交換パス(94)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(101)とが連通口(107)を介して通じさせられている。したがって、一端、ここでは上端の熱交換器(91)に流入した冷媒が、全熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)を順次通過して他端(下端)の熱交換器(91)において第1熱交換パス(93)から第3熱交換パス(95)に入り、全熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)を順次通過して前記一端の熱交換器(91)において第3熱交換パス(95)から第4熱交換パス(96)に入り、全熱交換器(91)の第4熱交換パス(96)を順次通過して前記他端の熱交換器(91)において第4熱交換パス(96)から第2熱交換パス(94)に入り、全熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)を順次通過した後に前記一端の熱交換器(91)から流出するようになされている。
【0070】
図示は省略したが、各熱交換器(91)は、実施形態4の熱交換装置(40)の熱交換器(41)と同様な扁平中空体(59)によって構成されており、各熱交換器(91)の左右両端の扁平中空体(59)における左右方向外側のプレート(13)が板状部材(2)にろう付されており、これにより熱交換器(91)が板状部材(2)に固定されている。各熱交換器(91)の流入口(9)および流出口(11)も実施形態4の熱交換装置(40)の熱交換器(41)と同様な方法で形成されている。
【0071】
少なくともいずれか一方の板状部材(2)、ここでは右側の第1板状部材(2)および左側の第2板状部材(2)に、それぞれ各熱交換器(91)の流入口(9)を外部に通じさせる貫通状の第1連通部(16)および流出口(11)を外部に通じさせる貫通状の第2連通部(17)が形成されており、隣り合う2つの熱交換器(91)のうちのいずれか一方の熱交換器(91)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)と、同他方の熱交換器(91)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)とが、連通部材(4)を介して通じさせられている。具体的にいえば、右側連通部材(4)に、熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の上側のヘッダ部の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の下側のヘッダ部の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられるとともに、第2熱交換パス(94)の下側のヘッダ部の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)の上側のヘッダ部の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられている。また、右側連通部材(4)に、上端の熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の上側のヘッダ部の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)に通じる冷媒入口(19)と、上端の熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)の上側のヘッダ部の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)に通じる冷媒出口(21)とが設けられている。左側連通部材(4)に、熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)の下側のヘッダ部の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)の上側のヘッダ部の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられるとともに、第4熱交換パス(96)の上側のヘッダ部の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、熱交換器(91)の第4熱交換パス(96)の下側のヘッダ部の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられている。
【0072】
その他の構成は実施形態4の熱交換装置(40)と同様である。
【0073】
熱交換装置(90)は、各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。
【0074】
熱交換装置(90)からなるエバポレータは、車両、たとえば自動車の車室内に配置されたケース内に収納され、圧縮機およびコンデンサとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンに用いられる。
【0075】
上述した熱交換装置(90)において、右側連通部材(4)の冷媒入口(19)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、流入口(9)を通って上端の熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の上側に位置する上ヘッダ部(97)内に流入した冷媒は、第1熱交換パス(93)の熱交換管(92)内を下方に流れて下ヘッダ部(98)内に入り、流出口(11)、右側板状部材(2)の第2連通部(17)、右側連通部材(4)の外方膨出部(18)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て上から2番目の熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の上ヘッダ部(97)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は下端の熱交換器(91)の第1熱交換パス(93)の下ヘッダ部(98)に入り、ついで下端の熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)の下ヘッダ部(103)内に入る。
【0076】
下端の熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)の下ヘッダ部(103)内に入った冷媒は、第3熱交換パス(95)の熱交換管(92)内を上方に流れて上ヘッダ部(102)内に入り、流出口(11)、左側連通部材(4)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の外方膨出部(18)、左側連通部材(4)の第1連通部(16)および流入口(9)を経て下から2番目の熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)の下ヘッダ部(103)内に流入し、第3熱交換パス(95)の熱交換管(92)内を上方に流れて上ヘッダ部(102)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は上端の熱交換器(91)の第3熱交換パス(95)の上ヘッダ部(102)に入り、ついで上端の熱交換器(91)の第4熱交換パス(96)の上ヘッダ部(104)内に入る。
【0077】
上端の熱交換器(91)の第4熱交換パス(96)の上ヘッダ部(104)内に入った冷媒は、第4熱交換パス(96)の熱交換管(92)内を下方に流れて下ヘッダ部(105)内に入り、流出口(11)、左側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の外方膨出部(18)、左側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て上から2番目の熱交換器(91)の第4熱交換パス(96)の上ヘッダ部(104)内に流入し、第4熱交換パス(96)の熱交換管(92)内を下方に流れて下ヘッダ部(105)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は下端の熱交換器(91)の第4熱交換パス(96)の下ヘッダ部(105)に入り、ついで下端の熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)の下ヘッダ部(101)内に入る。
【0078】
下端の熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)の下ヘッダ部(101)内に入った冷媒は、第2熱交換パス(94)の熱交換管(92)内を上方に流れて上ヘッダ部(99)内に入り、流出口(11)、右側連通部材(4)の第2連通部(17)、右側連通部材(4)の外方膨出部(18)、右側連通部材(4)の第1連通部(16)および流入口(9)を経て下から2番目の熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)の下ヘッダ部(9)内に流入し、第2熱交換パス(94)の熱交換管(92)内を上方に流れて上ヘッダ部(99)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は上端の熱交換器(91)の第2熱交換パス(94)の上ヘッダ部(99)に入り、流出口(11)、右側板状部材(2)の第2連通部(17)、右側連通部材(4)の冷媒出口(21)を通って外部に流出する。
【0079】
上記実施形態4〜6においては、熱交換装置(40)(70)(90)の熱交換器(41)(71)(91)は所謂積層型熱交換器であって、左右方向に並んで配置された複数の扁平中空体をろう付することにより形成されているが、これに限定されるものではなく、実施形態3の熱交換装置(30)と同様に、熱交換管および熱交換管とは別個に形成されたタンクからなるものであってもよい。
実施形態7
この実施形態は図13および図14に示すものである。
【0080】
図13は実施形態7の熱交換装置の全体構成を具体的に示し、図14は実施形態7の熱交換装置の全体構成を一部を省略して概略的に示す。
【0081】
図13および図14に示す熱交換装置(110)において、両板状部材(2)間に、板状部材(2)の左右両側方から見た形状に沿うように、板状部材(2)の長手方向に並んで配置されるとともに両板状部材(2)に固定された複数の熱交換器(111)は、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で左右方向に間隔をおいて配置された複数の扁平状熱交換管(32)を有するとともに、熱交換管(32)内を流れる冷媒と、隣り合う熱交換管(32)どうしの間を流れる風とが熱交換するものであり、各熱交換器(111)が、冷媒が同方向に流れる複数の熱交換管(32)からなる2つの熱交換パス(112)(113)と、1つの熱交換パス(112)(113)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向上流側および同下流側に、それぞれ長手方向を熱交換パス(112)(113)における熱交換管(32)の並び方向(左右方向)に向けて設けられ、かつ熱交換パス(112)(113)の全熱交換管(32)が通じさせられた2対のヘッダ部(114)(115)(116)(117)とを備えており、通風方向に2つの熱交換パス(112)(113)が並ぶように配置されている。
【0082】
全熱交換器(111)の2つの熱交換パス(112)(113)のうち通風方向下流側の第1熱交換パス(112)の冷媒流れ方向と通風方向上流側の第2熱交換パス(113)の冷媒流れ方向が逆向きである。ここでは、第1熱交換パス(112)において冷媒が下方から上方に流れ、第2熱交換パス(113)において冷媒が上方から下方に流れる。
【0083】
各熱交換器(111)の第1熱交換パス(112)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(115)における長手方向のいずれかの端部に、外部から各熱交換器(111)内に冷媒を流入させる流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(117)における流入口(9)が形成された側とは反対側の端部に流出口(11)が形成され、隣り合う2つの熱交換器(111)のうちの一方の熱交換器(111)の流出口(11)と、同他方の熱交換器(111)の流入口(9)とがヘッダ部(115)(117)の長手方向の同一端部に位置している。したがって、各熱交換器(111)は、外部から各熱交換器(111)内に冷媒を流入させる1つの流入口(9)と、各熱交換器(111)内から外部に冷媒を流出させる1つの流出口(11)とを有している。具体的にいえば、第1熱交換パス(112)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(115)の右端部に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(117)の左端部に流出口(11)が形成された熱交換器(111)と、第1熱交換パス(112)の冷媒流れ方向上流側の下ヘッダ部(115)の左端部部に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の冷媒流れ方向下流側の下ヘッダ部(117)の右端部に流出口(11)が形成された熱交換器(111)とが、とが、前者の熱交換器(3)が下端に位置するように交互に配置されている。
【0084】
また、各熱交換器(111)の第1熱交換パス(112)の冷媒流れ方向下流側の上ヘッダ部(114)と第2熱交換パス(113)の冷媒流れ方向上流側の上ヘッダ部(116)とが連通口(118)を介して通じさせられている。
【0085】
各熱交換器(111)は、実施形態3の熱交換装置(30)の熱交換器(31)における各タンク(33)内に、通風方向に並ぶように2つのヘッダ部(114)(116)および(115)(117)が設けられたものであり、両熱交換パス(112)(113)の流れ方向上流側端部が両ヘッダ部(115)(116)に通じるとともに、同じく流れ方向下流側端部が両ヘッダ部(114)(117)に通じるように上下両タンク(33)にろう付により接続されている。そして、下側タンク(33)に、第1熱交換パス(112)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向上流側のヘッダ部(115)と、第2熱交換パス(113)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向下流側のヘッダ部(117)が設けられ、上側タンク(33)に、第1熱交換パス(112)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向下流側のヘッダ部(114)と第2熱交換パス(113)を構成する熱交換管(32)の冷媒流れ方向上流側のヘッダ部(116)が設けられている。
【0086】
少なくともいずれか一方の板状部材(2)、ここでは両板状部材(2)に、各熱交換器(111)の流入口(9)を外部に通じさせる貫通状の第1連通部(16)および流出口(11)を外部に通じさせる貫通状の第2連通部(17)が形成されており、隣り合う2つの熱交換器(111)のうちのいずれか一方の熱交換器(111)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)と、同他方の熱交換器(111)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)とが、連通部材(4)を介して通じさせられている。具体的にいえば、左側連通部材(4)に、第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)の左端部に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)の右端部に流出口(11)が形成された熱交換器(111)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)の右端部に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)の左端部に流出口(11)が形成された熱交換器(111)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられており、右側連通部材(4)に、第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)の右端部に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)の左端部に流出口(11)が形成された熱交換器(111)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)と、第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)の左端部に流入口(9)が形成されるとともに、第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)の右端部に流出口(11)が形成された熱交換器(111)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)とを通じさせる外方膨出部(18)が設けられている。また、右側連通部材(4)に、下端の熱交換器(111)の流入口(9)を外部に通じさせる第1連通部(16)に通じる冷媒入口(19)が設けられ左側連通部材(4)に、上端の熱交換器(111)の流出口(11)を外部に通じさせる第2連通部(17)に通じる冷媒出口(21)が設けられている。
【0087】
その他の構成は実施形態3の熱交換装置(30)と同様である。
【0088】
熱交換装置(110)は、各構成部材を組み合わせて仮止めし、すべての構成部材を一括してろう付することにより製造される。
【0089】
熱交換装置(110)からなるエバポレータは、車両、たとえば自動車の車室内に配置されたケース内に収納され、圧縮機およびコンデンサとともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンに用いられる。
【0090】
上述した熱交換装置(110)において、右側連通部材(4)の冷媒入口(19)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、流入口(9)を通って下端の熱交換器(111)の第1熱交換パス(112)の下側に位置する下ヘッダ部(115)内に流入した冷媒は、第1熱交換パス(112)の熱交換管(32)内を上方に流れて上ヘッダ部(114)内に入り、その後第2熱交換パス(113)の上ヘッダ部(116)、第2熱交換パス(113)の熱交換管(32)、第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)内に入り、流出口(11)、左側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の外方膨出部(18)、左側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て下から2番目の熱交換器(111)の第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)内に流入する。下から2番目の熱交換器(111)の第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)内に流入した冷媒は、第1熱交換パス(112)の熱交換管(32)内を上方に流れて上ヘッダ部(114)内に入り、その後第2熱交換パス(113)の上ヘッダ部(116)、第2熱交換パス(113)の熱交換管(32)、第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)内に入り、流出口(11)、右側板状部材(2)の第2連通部(17)、右側連通部材(4)の外方膨出部(18)、右側板状部材(2)の第1連通部(16)、および流入口(9)を経て下から3番目の熱交換器(111)の第1熱交換パス(112)の下ヘッダ部(115)内に流入する。このような動作を繰り返すことにより冷媒は上端の熱交換器(111)の第2熱交換パス(113)の下ヘッダ部(117)に入り、流出口(11)、左側板状部材(2)の第2連通部(17)、左側連通部材(4)の冷媒出口(21)を通って外部に流出する。
【0091】
上記実施形態7の熱交換装置(110)に用いられる熱交換器は、実施形態1、2および4〜6の熱交換装置の場合と同様に、所謂積層型熱交換器であって、左右方向に並んで配置された複数の扁平中空体をろう付することにより形成されていてもよい。
【0092】
上記実施形態4〜7において、実施形態2の熱交換装置と同様に、板状部材(2)は、通風方向と直角をなす垂直状の第1部分と、第1部分の両端に連なるとともに上下方向外側に向かって通風方向上流側に傾斜した2つの第2部分とよりなる。また、も両板状部材(2)の第1部分間および両第2部分間に、それぞれ1つの熱交換器(41)(71)(111)が配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
この発明による熱交換装置は、カーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータとして好適に用いられる。
【符号の説明】
【0094】
(1)(25)(30)(40)(70)(90)(110):熱交換装置
(2)(26):板状部材
(3)(31)(41)(71)(91)(111):熱交換器
(4)(29):連通部材
(5)(32)(42)(72)(92):熱交換管
(6)(33)(43)(44)(45)(46)(73)(74)(75)(76)(93)(94)(95)(96)(112)(113):熱交換パス
(7)(8)(47)(48)(49)(50)(51)(52)(53)(54)(77)(78)(79)(81)(82)(83)(84)(85)(97)(98)(99)(101)(102)(103)(104)(105)(114)(115)(116)(117):ヘッダ部
(11):流入口
(11):流出口
(16):第1連通部
(17):第2連通部
(18):外方膨出部
(27):第1部分
(28):第2部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14