特許第6286298号(P6286298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286298
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】カメラ組立構造
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20060101AFI20180215BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20180215BHJP
   G03B 17/14 20060101ALI20180215BHJP
   G03B 11/00 20060101ALI20180215BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G03B17/02
   G02B7/02 D
   G02B7/02 Z
   G03B17/14
   G03B11/00
   H04N5/225 430
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-133712(P2014-133712)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-12043(P2016-12043A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220620
【氏名又は名称】東芝テリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】井口 克紀
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−055515(JP,A)
【文献】 特開2007−226238(JP,A)
【文献】 特開2006−039319(JP,A)
【文献】 特開2005−309051(JP,A)
【文献】 国際公開第1981/000077(WO,A1)
【文献】 特開2005−070568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
G02B 7/02
G03B 11/00
G03B 17/14
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像窓を有するレンズマウントからエリアイメージセンサの撮像面に至る光軸を中心にカメラ筐体内の空間部を筒状に囲った環状の遮光防塵ゴムと、前記撮像面に対向して前記空間部に設けられた光学フィルタとを具備したカメラ組立構造であって、
前記遮光防塵ゴムは、周方向の一部を残して該周方向に延びる線状の切り込み部を前記光軸方向に間隔を存して有し、該切り込み部相互の間で前記光学フィルタを挟持していることを特徴とするカメラ組立構造。
【請求項2】
レンズマウントを有したベースプレートと、
前記ベースプレートに前記レンズマウントと所定の間隔を存して設けられ、センサ取付部を有したセンサブラケットと、
前記センサ取付部に前記レンズマウントと対向して取り付けられたエリアイメージセンサと、
前記エリアイメージセンサの入射側に配置された板状の光学フィルタと、
前記センサブラケットと前記エリアイメージセンサとの間に挟まれた環状の遮光防塵ゴムとを具備し、
前記遮光防塵ゴムは、該ゴムの周方向の一部を残して該周方向に延びる線状の切り込み部を有し、前記切り込み部によって前記ゴムが前記レンズマウントの光軸方向に沿い3区画部位に区分されており、前記3区画部位のうち前記切り込み部によって挟まれた中央の区画部位に、該部位の内側から前記光学フィルタの周部を密接させて、前記光学フィルタを前記中央の区画部位に保持していることを特徴とするカメラ組立構造。
【請求項3】
前記光学フィルタは四角形であり、前記遮光防塵ゴムは前記光学フィルタに倣った四角い環状であることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ組立構造。
【請求項4】
前記光学フィルタは円形であり、前記遮光防塵ゴムは前記光学フィルタに倣った丸い環状であることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ組立構造。
【請求項5】
前記切り込み部は上記周方向に直線状に切り込まれたスリットからなり、前記残された一部が前記光軸を中心とした点対称位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカメラ組立構造。
【請求項6】
前記遮光防塵ゴムは、対向する2辺の中央部を残し、直線状のスリットで前記切り込み部を形成していることを特徴とする請求項3に記載のカメラ組立構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工業用カメラシステム、防犯用監視カメラシステム等に適用して好適なカメラ組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用カメラシステム、防犯用監視カメラシステム等に適用される撮像カメラは、カメラ本体(カメラ筐体)に、撮像レンズを装着するレンズ取付部を有し、カメラ本体内に、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の固体撮像素子でなるエリアイメージセンサを有している。
【0003】
この種、カメラシステムにおいては、カメラとレンズの組合せについて、レンズ取付部となるレンズマウントとエリアイメージセンサの撮像面との間の距離(フランジバック)が規格で決められており、例えばカメラがCSマウント規格の場合、上記距離、すなわちフランジバック(F.B.)は、F.B.=12.500mmであり、Cマウントレンズの場合、F.B.=17.526mmである。
【0004】
この種、カメラシステムに適用される撮像カメラは、高精度の撮像出力が要求されるとともに、使用形態も、屋内、屋外の、多岐にわたることから、塵埃が多く飛散する設置環境を考慮した機密性の高い防塵構造が要求される。この防塵構造は、撮像窓を有するレンズマウントからエリアイメージセンサの撮像面に至るカメラ筐体内の空間部を筒状の部品で囲った構造が一般的であり、上記筒状の部品により、上記空間部に筒状に覆われた光路を形成して、該光路内への不要光の入射並びに塵埃の侵入を防止している。上記筒状の部品は、通常、黒色のゴム製品により形成され、遮光防塵ゴムと称されている。この遮光防塵ゴムで囲われた光路内には、画質向上用のローパスフィルタやIRカットフィルタなどのコーティングガラス材が配置されることから、上記した光学フィルタを保持するための複雑な段付き構造の保持機構を併せ持つ。
【0005】
従来では、上記カメラの製品化に至るまで繰り返される試作段階において、製品試作の都度、上記遮光防塵ゴムのゴム型を起こし、ゴム型を更新していた。この遮光防塵ゴム構造には、形状の異なる複数のゴム部材を嵌め込み組み合わせた組み合わせ構造と、複雑な段付形状で型抜きした一体型構造とが存在した。このうち、組み合わせ構造は、精度の高い嵌込み寸法が要求され、一体型構造では複雑なゴム型が必要されることから、いずれの場合も試作段階において時間的損失並びに経済的負担が大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−356731号公報
【特許文献2】特開2002−300441号公報
【特許文献3】特許第3473752号公報
【特許文献4】特許第4399493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、塵埃が多く飛散する設置環境を考慮した機密性の高い防塵構造が要求されるカメラ組立構造において、試作段階における時間的損失並びに経済的負担が大きいという問題があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、塵埃が多く飛散する設置環境を考慮した機密性の高い防塵構造が要求されるカメラ組立構造において、製品の試作段階に関わる作業の能率化、並びに経済的負担の軽減を図ることができるカメラ組立構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、撮像窓を有するレンズマウントからエリアイメージセンサの撮像面に至る光軸を中心にカメラ筐体内の空間部を筒状に囲った環状の遮光防塵ゴムと、前記撮像面に対向して前記空間部に設けられた光学フィルタとを具備したカメラ組立構造であって、前記遮光防塵ゴムは、周方向の一部を残して該周方向に延びる線状の切り込み部を前記光軸方向に間隔を存して有し、該切り込み部相互の間で前記光学フィルタを挟持していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、レンズマウントを有したベースプレートと、前記ベースプレートに前記レンズマウントと所定の間隔を存して設けられ、センサ取付部を有したセンサブラケットと、前記センサ取付部に前記レンズマウントと対向して取り付けられたエリアイメージセンサと、前記エリアイメージセンサの入射側に配置された板状の光学フィルタと、前記センサブラケットと前記エリアイメージセンサとの間に挟まれた環状の遮光防塵ゴムとを具備し、前記遮光防塵ゴムは、該ゴムの周方向の一部を残して該周方向に延びる線状の切り込み部を有し、前記切り込み部によって前記ゴムが前記レンズマウントの光軸方向に沿い3区画部位に区分されており、前記3区画部位のうち前記切り込み部によって挟まれた中央の区画部位に、該部位の内側から前記光学フィルタの周部を密接させて、前記光学フィルタを前記中央の区画部位に保持しているカメラ組立構造を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明よれば、塵埃が多く飛散する設置環境を考慮した機密性の高い防塵構造が要求されるカメラ組立構造において、製品の試作段階に関わる作業の能率化、並びに経済的負担の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るカメラ組立構造を示す側面図。
図2】上記実施形態における遮光防塵ゴムを用いた遮光防塵部材の構成を示す斜視図。
図3】上記実施形態における遮光防塵ゴムを用いた遮光防塵部材の構成を示す平面図。
図4】他の実施形態における遮光防塵ゴムを用いた遮光防塵部材の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
本発明の実施形態に係るカメラ組立構造は、図1に示すように、カメラ筐体12の前フレームとなる、撮像窓10aおよびレンズマウント11を有したベースプレート10と、上記ベースプレート10に上記レンズマウント11と所定の間隔を存して設けられ、前記撮像窓10aに連通する開口並びにセンサ取付部13sを有したセンサブラケット13と、上記センサ取付部13sに取り付けられ、上記レンズマウント11に対向してエリアイメージセンサ15を実装したセンサ基板14と、上記撮像面15fの入射側に配置された板状の光学フィルタ22と、上記センサブラケット13と上記エリアイメージセンサ22との間に挟まれた環状の遮光防塵ゴム21とを具備して構成される。この遮光防塵ゴム21と上記光学フィルタ22とにより、1ピースの遮光防塵部材20を構成している。
【0015】
上記光学フィルタ22は、図2(a)に示すように、四角い板状であり、例えば画質向上用のローパスフィルタとIRカットフィルタを重ねたコーティングガラス材である。上記遮光防塵ゴム21は上記光学フィルタ22の形状に倣った四角い環状であり、例えば、上記レンズマウント11がCSマウントである場合、概ね、一辺10mm、幅4mm、厚さ1mm程度の寸法で高い反発弾性をもつ筒状の高弾性ゴムにより構成される。
【0016】
上記遮光防塵ゴム21は、図2(a)に示すように、上記遮光防塵ゴム21の周方向の一部(cu)を残して該周方向に延びる線状の切り込み部S1,S2を有し、上記切り込み部S1,S2によって上記ゴム21が上記レンズマウント11の光軸(o1)方向に沿い3区画部位Ae,Ac,Aeに区分されている。
【0017】
上記周方向の一部(cu)は上記区画部位Ae,Ac,Aeを繋ぐ区画連繋部を形成しており、図2(a)に示すように、上記遮光防塵ゴム21の対向する左右2辺の中央部にそれぞれ上記区画連繋部(cu)を形成している。上記切り込み部S1,S2は、それぞれ、上記2カ所の区画連繋部(cu)を挟んで周方向に直線状に切り込まれた、周方向に連なる2条のスリットで形成されている。
【0018】
上記切り込み部S1,S2によって区画された上記3区画部位Ae,Ac,Aeのうち、上記切り込み部S1,S2によって挟まれた中央の区画部位Acに、図2(a),(b)および図3(a),(b)に示すように、上記区画該部位Acの内側から上記光学フィルタ22の周部を密接させて、上記光学フィルタ22を上記中央の区画部位Acに挟持している。
【0019】
この際、上記光学フィルタ22は、各辺の角部が、上記切り込み部S1,S2を形成するスリットの中央部分に位置した状態で、中央の区画部位Acに挟持される。
【0020】
この中央の区画部位Acにおけるスリットの中央部分はゴム弾性が最も大きく作用する部分であり、この部分に光学フィルタ22の角部が嵌り込む挟持構造であることから、光学フィルタ22を遮光防塵ゴム21の内側から容易に中央の区画部位Acに嵌め込むことができる。
【0021】
さらに保持対象となる光学フィルタ22の形状に変化が生じても上記したゴム弾性が有効に作用することから、サイズに変更が生じた光学フィルタ22を遮光防塵ゴム21の内側から容易に中央の区画部位Acに嵌め込むことができる。
【0022】
これにより、製品試作の段階において保持対象となる光学フィルタ22にサイズ変更が生じても、新たにゴム型を起こすことなく、単一の遮光防塵ゴム21を用いて製品試作を能率よく実施することができる、製品試作において汎用性の高い、柔軟性、馴致性に富む遮光防塵部材を提供することができる。
【0023】
上記した実施形態は、矩形の光学フィルタ22を保持対象とした遮光防塵ゴム21を例に示したが、保持対象となる光学フィルタの形状を違えた他の実施形態に係る遮光防塵部材の構成を図4に示している。
【0024】
この図4に示す構成例は、保持対象となる光学フィルタが円形であり、この形状に倣って遮光防塵ゴムを丸い環状に形成している。
【0025】
図4に示す遮光防塵部材30は、円筒型の遮光防塵ゴム31と、円板状の光学フィルタ32により構成される。
【0026】
上記遮光防塵ゴム31は、図4に示すように、上記遮光防塵ゴム31の周方向の一部(cu)を残して該周方向に延びる線状の切り込み部S1,S2を有し、上記切り込み部S1,S2によって上記ゴム31が光軸(o1)方向に沿い3区画部位Ae,Ac,Aeに区分されている。
【0027】
上記周方向の一部(cu)は上記区画部位Ae,Ac,Aeを繋ぐ区画連繋部を形成しており、図4に示すように、光軸(o1)を中心とした点対称位置にそれぞれ上記区画連繋部(cu)を形成している。上記切り込み部S1,S2は、それぞれ、上記2カ所の区画連繋部(cu)を挟んで周方向に直線状に切り込まれた、周方向に連なる2条のスリットで形成されている。
【0028】
上記切り込み部S1,S2によって区画された上記3区画部位Ae,Ac,Aeのうち、上記切り込み部S1,S2によって挟まれた中央の区画部位Acに、図4に矢印で示すように、上記区画該部位Acの内側から上記光学フィルタ32の周部を密接させて、上記光学フィルタ32を上記遮光防塵ゴム31の中央の区画部位Acに挟持している。
【0029】
このような1ピースの遮光防塵部材30においても、製品試作の段階において保持対象となる光学フィルタ32にサイズ変更が生じても、新たにゴム型を起こすことなく、単一の遮光防塵ゴム31を用いて製品試作を能率よく実施することができる、製品試作において汎用性の高い、柔軟性、馴致性に富む遮光防塵部材を提供することができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変更若しくは変形して実現することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
10…ベースプレート、10a…撮像窓、11…レンズマウント、12…カメラ筐体、13…センサブラケット、14…センサ基板、15…エリアイメージセンサ、15f…撮像面、20,30…遮光防塵部材、21,31…遮光防塵ゴム、22,32…光学フィルタ、S1,S2…切り込み部、Ae,Ac,Ae…区画部位。
図1
図2
図3
図4