特許第6286299号(P6286299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286299
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】めくれ防止アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/74 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   A61F13/74
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-133755(P2014-133755)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10561(P2016-10561A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】平野 めぐみ
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−158599(JP,U)
【文献】 実開昭60−158829(JP,U)
【文献】 実開昭50−039000(JP,U)
【文献】 実開昭52−145996(JP,U)
【文献】 米国特許第04928323(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品のめくれ防止アタッチメントであって、
底部と、
前記底部の上方空間を覆う覆い体と、を備え、
前記底部は、基材部と、下着固定用の粘着剤層と、前記粘着剤層を覆う剥離シートとを上方から順に有し、
前記覆い体は、前記吸収性物品の長手方向端部を挿入する開口部を前記底部の一辺に有し、
前記覆い体と前記底部とが前記底部の前記一辺と反対側の他辺の少なくとも一部位で固着されることを特徴とするめくれ防止アタッチメント。
【請求項2】
前記底部は、円弧状または矩形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のめくれ防止アタッチメント。
【請求項3】
前記覆い体及び前記基材部が布により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のめくれ防止アタッチメント。
【請求項4】
前記布は、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、及びスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド複合不織布の群から選ばれた少なくとも1種の不織布であることを特徴とする請求項3に記載のめくれ防止アタッチメント。
【請求項5】
前記不織布は、非透水性であることを特徴とする請求項4に記載のめくれ防止アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めくれ防止アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軽失禁ライナー、パッドおよび生理用ナプキンなどを下着に装着するとき、それらのバックシートの外側にズレ止め粘着剤を設け、それによって下着に固定することが行われている。しかし、ショーツに軽失禁ライナーやパッドなどを装着した場合、動きが激しい場合や長時間の使用、就寝時などにおいて、これら製品の前後端がめくれたり、よれたりすることがある。そして、めくれやよれが生じると、肌に当たって不快感を感じさせるだけでなく、痛みやかゆみを起こす原因ともなる。
【0003】
このような状況を改善するため、めくれを防止するために、以下の先行技術がある。防漏材の外面周縁部に粘着材を設ける(特許文献1)。これは、めくれにくくなるが、他方で剥がしにくいという問題がある。ズレ止め粘着層が剥離材の全域に亘って形成される(特許文献2)。これは、後端部は凹部形状のため、後端部はめくれやすい。前端補強シートと後端補強シートによりフラップのめくれを防止する(特許文献3)ものであるが、補強シートにより凹凸が生じると装着感やフィット性を損ねる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−334348
【特許文献2】特開2012−010883
【特許文献3】特開2012−157512
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、尿パッド、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキンなどを装着しても、その前後端のめくれを防止する機能を有しためくれ防止アタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)吸収性物品のめくれ防止アタッチメントであって、底部と、前記底部の上方空間を覆う覆い体と、を備え、前記底部は、基材部と、下着固定用の粘着剤層と、前記粘着剤層を覆う剥離シートとを上方から順に有し、前記覆い体は、前記吸収性物品の長手方向端部を挿入する開口部を前記底部の一辺に有し、前記覆い体と前記底部とが前記底部の前記一辺と反対側の他辺の少なくとも一部位で固着されるめくれ防止アタッチメントを提供する。
【0007】
(2)前記底部は、円弧状または矩形状に形成される(1)に記載のめくれ防止アタッチメントを提供する。
(3)前記覆い体及び前記基材部が布により形成される(1)又は(2)に記載のめくれ防止アタッチメントを提供する。
(4)前記布は、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、及びスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド複合不織布の群から選ばれた少なくとも1種の不織布である(3)に記載のめくれ防止アタッチメントを提供する。
(5)前記不織布は、非透水性である(4)に記載のめくれ防止アタッチメントを提供する。
【発明の効果】
【0008】
このように構成される下着は、尿パッド、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキンなどを装着しても、その前後端のめくれを防止する機能を有しためくれ防止アタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る下着を示す斜視図である。
図2図1の下着の肌当接面側を示す展開図である。
図3】吸収性物品の拡大図であって、(a)は平面図、(b)は模式断面図を示す。
図4】本実施形態に係るめくれ防止アタッチメントを説明する図、(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)底面図、(d)右側面図、(e)はA−A断面図である。
図5】本実施形態に係るめくれ防止アタッチメントを、吸収性物品を嵌め込んで下着のクロッチ部に貼り付けた状態を示した図である。
図6】クロッチ部の前部及び後部の両側にめくれ防止アタッチメントを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0011】
まず、下着10の全体構成を図1及び図2によって説明する。下着10は、吸収性物品100が装着できれば特に限定されるものではなく、男性用又は女性用の一般的なショーツや、女性用の生理用ショーツ、高齢者の失禁用パンツ、幼児のおむつなど、何でもよい。ここでは、代表して、女性用の一般的なショーツを用いて説明する。下着10は、図1に示すように、前身ごろ部11と、後身ごろ部12と、前見ごろ部11と後身ごろ部12をつなぐクロッチ部13から構成されている。クロッチ部13とは、補強目的で生地が二重に縫製された、股下にあたる部分である。図2は、前身ごろ部11と後身ごろ部12とを切り離して、下着10を展開した場合を示しており、詳しくは後述するように、めくれ防止アタッチメント20によって、吸収性物品100の前方端がすっぽり覆いかぶされており、このめくれ防止アタッチメント20が後述の粘着剤層を介してクロッチ部13に装着できるものである。
【0012】
次に、図3を用いて、めくれ防止アタッチメント20に挿入される吸収性物品100について、説明する。吸収性物品100は、身体から排出される体液を吸収することを目的として、クロッチ部13に装着されるものである。吸収性物品100としては、例えば、尿パッド、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキンなどの略矩形状の吸収性物品100を挙げることができる。以下では、略矩形状の吸収性物品100を例として用いて説明する。
【0013】
ここで、吸収性物品100の長手方向は、吸収性物品100が着用されたときに着用者の前後にわたる方向となり、吸収性物品100の短手方向は、長手方向に対して横又は直交する方向となる。また、肌当接面は、吸収性物品100の2つの表面のうち、着用者の肌に向けられる表面をいい、非肌当接面は、肌当接面の裏面をいい、着衣が着用される場合には、着衣側に向けられる表面をいう。吸収性物品100の厚み方向は、吸収性物品100の肌当接面または非肌当接面の法線方向となる。また、吸収性物品100の平面視は、吸収性物品100を肌当接面側から見ることをいう。
【0014】
図3(a)は、吸収性物品100を平面視した平面図であり、図3(b)は、図3(a)のX−X断面を模式的に示した断面図である。図3(a)に示すように、吸収性物品100は、平面視において、吸収部101と側縁部102とに大別される。図3(b)を用いて少し詳しく断面視すると、吸収部101は、肌と接触する側から順に、液透過性のトップシート103、液拡散性シート104、上キャリアシート105、吸収コア層106、下キャリアシート107及び液不透過性のバックシート108から構成されている。そして、側縁部102としては、吸収性物品100を装着したときに体液の横漏れを防止するため、吸収部101の側面及び肌当接面の側縁を覆う立体ギャザーシート111が配置されており、立体ギャザーシート111の肌当接面の側縁には肌側に立体的に立ち上がるための弾性部材112が設けられている。
【0015】
ここで、バックシート108の非肌当接面の長手方向に沿った中央部には、下着10とのズレを防止するため、ズレ止め粘着剤109及び剥離紙110が設けられている。
【0016】
なお、図3(a)には、吸収性物品100の平面視において、吸収部101には圧搾溝113が設けられた例を示している。図3(b)には図示していないが、圧搾溝113は、トップシート103の表面からトップシート103、液拡散性シート104及び吸収コア層106の少なくともいずれかに至るまで形成されている。これにより、吸収コア層106での体液の吸収、拡散がより円滑に行われる。
【0017】
図4は、本実施形態に係るめくれ防止アタッチメントを説明する図、(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)底面図、(d)右側面図、(e)はA−A断面図である。図4に示すように、吸収物品のめくれ防止アタッチメント20は、吸収性物品100本体の前後端をすっぽり覆いかぶせることができ、下着10に装着することができるものである。めくれ防止アタッチメント20は、底部21と、底部21の上方空間を覆う覆い体22とを有する。
【0018】
底部21は、吸収性物品の前後端を覆いかぶせることができればどのような形状であってもよく、例えば円弧状または矩形状に形成されている。この底部21は、上方から、基材部211と、下着固定用の粘着剤層212と、粘着剤層を覆う剥離シート213とを有する。
【0019】
覆い体22は、吸収性物品の長手方向端部を挿入する開口部221を底部21の一辺に有する。覆い体22と底部21とが底部21の一辺と反対側の他辺の少なくとも一部位で固着される。
覆い体22及び基材部211は、例えば布により形成される。この布は、クロッチ部13やショーツ10本体と同一の素材であってもよいし、異なってもよい。また、覆い体22及び基材部211は、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、及びスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド複合不織布の群から選ばれた少なくとも1種の不織布から形成されてもよい。また、めくれ防止アタッチメント20の素材が不織布の場合、非透水性であることが好ましい。
【0020】
図4(b)に示すように、めくれ防止アタッチメント20は、吸収性物品100を挿入する側から側面視したとき、吸収性物品100の前端部100aを覆う覆い体22が所定の膨らみをもって形成されていてもよい。この膨らみの程度は、吸収性物品100をめくれ防止アタッチメント20に挿入及び/又は抜去する容易さと、吸収性物品100を装着したときの装着者の違和感などを考慮して、適切に設定すればよい。図4では、膨らみの形状を円弧状にしているが、矩形状にしてもよいし、さらには、膨らみの側面を蛇腹(山折りと谷折りの組合わせ)のように形成してもよい。
【0021】
図5は、図2の部分拡大図であって、本実施形態に係るめくれ防止アタッチメント20を、吸収性物品100を嵌め込んで下着10のクロッチ部13に貼り付けた状態を示した図である。図4及び図5に示すように、クロッチ部13の前部13aの肌当接面側に、吸収性物品100の長手方向の前端部100aが嵌め込まれためくれ防止アタッチメントを貼り付けている。ここでは、平面視において、めくれ防止アタッチメント20が円弧状の前方(吸収性物品100からみて奥側)の端辺20aを有している場合を図示しているが、形状はこれに限定される必要はなく、例えば吸収性物品100の形状に合わせて、矩形状としてもよい。また、同様に、めくれ防止アタッチメント20が直線状の後方(吸収性物品100からみて手前側)の端辺20bを有している場合を図示しているが、形状はこれに限定される必要はなく、例えば前方の端辺20aと同一又は異なる曲率の円弧状としても差し支えない。要は、吸収性物品100の前端部100aのめくれ防止に役立つ範囲であれば、端辺20bの形状は任意である。
【0022】
このように、吸収性物品100の前端部100aがすっぽり入るめくれ防止アタッチメント20に吸収性物品100の前端部100aを嵌め込んで下着10に装着することにより、吸収性物品100そのものにめくれを防止する機能を新たに付加しなくてもよくなる。なお、ここまで、クロッチ部13の前部13aにめくれ防止アタッチメント20を装着した形態について説明したが、前部13aに代えて、クロッチ部13の後部13bにめくれ防止アタッチメント20を装着するようにしてももちろんよく、その場合は、吸収性物品100の後端部100bがめくれ防止アタッチメント20に挿入される。要するに、本実施形態は、クロッチ部13の前部13a及び後部13bのいずれか一方にめくれ防止アタッチメント20を装着するものである。
【0023】
本実施形態では、クロッチ部13の前部13a及び後部13bのいずれか一方にめくれ防止アタッチメント20を装着しているため、装着者の好み、体型や肌の状況及び/又は生活スタイルなどに応じて、めくれが顕著な側のみにめくれ防止アタッチメント20を装着すればよい。もちろん、めくれ防止アタッチメント20の装着位置は、クロッチ部13の範囲内に限られるものではない。要求される吸収性物品100のサイズや、装着者の体型などを考慮し、クロッチ部13の長手方向の範囲を超えて前身ごろ部11又は後身ごろ部12に装着してもよい。
【0024】
図6は、クロッチ部の前部13a及び後部13bの両側にめくれ防止アタッチメント20を装着した状態を示す図である。図6に示すように、めくれ防止アタッチメント20をクロッチ部13の前部13a及び後部13bの双方に一対として装着したものである。図6の例では、吸収性物品100の前端部100aと後端部100bの両端部にめくれ防止アタッチメント20をそれぞれ嵌め込んで、めくれ防止アタッチメント20をそれぞれクロッチ部13の前部13a及び後部13bに装着することができ、前後ともにめくれが顕著な装着者にとっては同時にめくれを防止することができる。
【0025】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0026】
10……下着(ショーツ)
11……前身ごろ部
12……後身ごろ部
13……クロッチ部
13a……前部(クロッチ部の)
13b……後部(クロッチ部の)
20……めくれ防止アタッチメント
20a……前方の端辺(めくれ防止アタッチメントの)
20b……後方の端辺(めくれ防止アタッチメントの)
21……底部
211……基材部
212……粘着剤層
213……剥離シート
22……覆い体
100……吸収性物品
100a……前端部(吸収性物品の)
100b……後端部(吸収性物品の)
101……吸収部
102……側縁部
103……トップシート
104……液拡散性シート
105……上キャリアシート
106……吸収コア層
107……下キャリアシート
108……バックシート
109……ズレ止め粘着剤
110……剥離紙
111……立体ギャザーシート
112……弾性部材
113……圧搾溝
221……開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6