特許第6286313号(P6286313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286313
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   G07D9/00 456D
   G07D9/00 456A
   G07D9/00 426A
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-154426(P2014-154426)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-31686(P2016-31686A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】片山 善博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸司
(72)【発明者】
【氏名】東條 克司
(72)【発明者】
【氏名】石田 孝次
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−246787(JP,A)
【文献】 特開2010−282535(JP,A)
【文献】 特開2000−163631(JP,A)
【文献】 特開2011−018207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の保管及び繰り出し処理を行う貨幣処理部と、
自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定する動作判定部と、
前記動作判定部により、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していないと判定された場合、前記貨幣処理部に対して実行される精査の種別を判定する精査種別判定部と、
前記精査種別判定部により判定された種別の精査の実行を指示する精査指示部と、
を備え
前記精査種別判定部は、前記精査の種別として、前記貨幣処理部の計数動作を伴わない第1の精査と、前記貨幣処理部の計数動作を伴う第2の精査とのいずれかを判定することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記動作判定部により、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していると判定された場合、前記精査種別判定部は、前記第2の精査の実行を指示することを特徴とする、請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記自動取引装置に対して予め決められた運用に沿った所定の条件を管理する運用管理テーブルを記憶する記憶部を備え
前記動作判定部は、前記運用管理テーブルに設定された所定の条件と実際の運用とが一致しているかを判定して、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定することを特徴とする、請求項1または2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記貨幣処理部は、用途に合わせた複数の区分を有し、
前記記憶部は、前記貨幣処理部の前記区分のいずれを前記動作判定部による判定の対象とするかを設定する動作判定対象テーブルを備えることを特徴とする、請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記動作判定部は、前記動作判定対象テーブルに設定された、前記判定の対象となる前記貨幣処理部の前記区分について、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定することを特徴とする、請求項4に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記貨幣処理部は、紙幣の保管及び繰り出し処理を行う紙幣処理部と、硬貨の保管及び繰り出し処理を行う硬貨処理部と、を備え、
前記動作判定部により、前記紙幣処理部又は前記硬貨処理部の一方のみ、保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していないと判定された場合、前記精査種別判定部は、前記精査の種別として、該事象が発生している前記紙幣処理部又は前記硬貨処理部のみ計数動作を伴う第3の精査を判定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記検知部は、自動取引装置の電源入時または電源断時の扉の開閉を検知し、
前記動作判定部は、前記扉の開閉状態に基づき、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項8】
通帳又はカードを含む重要媒体を取り扱う重要媒体処理部と、
前記重要媒体処理部への操作を検知する第1の検知部と、を備え、
前記動作判定部は、第1の検知部により検知された、前記重要媒体処理部への操作状態に基づき、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の自動取引装置。
【請求項9】
自動取引装置の電源入時又は電源断時の扉の開閉を検知する第2の検知部を備え、
前記動作判定部は、前記第2の検知部により検知された電源入時又は電源断時の扉の開閉の状態に基づき、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項10】
前記精査の種別を選択させる情報を表示画面に表示する表示部を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因を表示することを特徴とする、請求項10に記載の自動取引装置。
【請求項12】
貨幣の保管及び繰り出し処理を行う貨幣処理部と、
自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定する動作判定部と、
前記動作判定部により、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していないと判定された場合、前記貨幣処理部に対して実行される精査の種別を表示画面に表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因を表示することを特徴とする自動取引装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine)等の自動取引装置では、自動取引装置に接続されたホストコンピュータに現在高を管理されている。例えば、特許文献1には、精査端末は、紙幣カセットに収納されている紙幣の金種毎の枚数を計数し、計数した結果を含む精査結果を通知するように、取引処理装置に対して指示するとともに、取引処理装置の現在高を通知するように、ホストコンピュータに対して指示し、取引処理装置からの精査結果とホストコンピュータからの現在高とに基づいて精査判定を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−018207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された取引処理装置の場合、精査の実施を一定期間毎に実行することにより、自動取引装置に記録された保有在高の精度が担保される。しかし、処理の不実施の期間内に、自動取引装置内の貨幣の流用等の不正が発生しうる。
【0005】
そこで、自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合は、貨幣を計数せずに、自動取引装置が保持している貨幣の保有在高と、該ホストコンピュータより受信した現在高とを比較する処理を実行することにより、自動取引装置に関する係員の現金管理業務を低減させつつ、現金管理業務のセキュリティを高めることが考えられる。しかし、貨幣を計数しない状態が長期間継続すると、自動取引装置が保持している貨幣の保有在高の正当性が担保されにくくなる。そのため、自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合であっても、貨幣を計数するような構成が求められている。
【0006】
本発明は上記の点を考慮してなされたもので、自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合であっても、貨幣を計数し、取得された貨幣の保有在高と、自動取引装置に接続されたホストコンピュータから受信した現在高とを比較する処理を実行することが可能な自動取引装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明における自動取引装置は、貨幣の保管及び繰り出し処理を行う貨幣処理部と、自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定する動作判定部と、前記動作判定部により、前記自動取引装置が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していないと判定された場合、前記貨幣処理部に対して実行される精査の種別を判定する精査種別判定部と、前記精査種別判定部により判定された種別の精査の実行を指示する精査指示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合であっても、例えば、係員の要求に応じて、貨幣を計数し、取得された貨幣の保有在高と、自動取引装置に接続されたホストコンピュータから受信した現在高とを比較する処理を実行することが可能であるため、係員の利便性を確保しつつ、現金管理業務のセキュリティを高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、自動取引装置の外観を示す概略図である。
図2】同実施形態に係る、自動取引装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る、扉操作検知部の構成図である。
図4】同実施形態に係る、自動取引装置における精査の概要を示すフローチャートである。
図5】同実施形態に係る、定期運用登録テーブルの一例を示す図表である。
図6】同実施形態に係る、カレンダー登録テーブルの一例を示す図表である。
図7】同実施形態に係る、カレンダー画面の一例を示す概念図である。
図8】同実施形態に係る、貨幣処理部テーブルの一例を示す図表である。
図9】同実施形態に係る、操作検知テーブルの一例を示す図表である。
図10】同実施形態に係る、セキュリティレベルテーブルの一例を示す図表である。
図11】同実施形態に係る、自動取引装置の動作判定処理を示すフローチャートである。
図12】同実施形態に係る、状態管理テーブルの内容を示す図表である。
図13】同実施形態に係る、金種別枚数判定処理を示すフローチャートである。
図14】同実施形態に係る、障害判定処理を示すフローチャートである。
図15】同実施形態に係る、自動取引装置の係員・表示操作部に表示される画面の一例である。
図16】同実施形態に係る、自動取引装置の係員・表示操作部に表示される画面の一例である。
図17】同実施形態に係る、自動取引装置の係員・表示操作部に表示される画面の一例である。
図18】同実施形態に係る、自動取引装置の係員・表示操作部に表示される画面の一例である。
図19】同実施形態に係る、自動取引装置の係員・表示操作部に表示される画面の一例である。
図20】本発明の第2の実施形態に係る、自動取引装置の係員・表示操作部に表示される画面の一例である。
図21】本発明の第3の実施形態に係る、定期運用登録テーブルの一例を示す図表である。
図22】同実施形態に係る、カレンダー画面の一例を示す概念図である。
図23】同実施形態に係る、カレンダー登録テーブルの一例を示す図表である。
図24】同実施形態に係る、状態管理テーブルの内容を示す図表である。
図25】同実施形態に係る、重要媒体管理テーブルの一例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1の実施の形態
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1−1)自動取引装置の構成
まず、図1を参照して、自動取引装置の外観構成について説明する。図1に示すように、自動取引装置1は、1つの筐体7に、表示・操作部2、紙幣処理部3、硬貨処理部4、カード・明細票処理部5及び通帳処理部6を備えて構成される。これらの構成のうち紙幣処理部3、硬貨処理部4は、貨幣の保管及び繰り出し処理を行う貨幣処理部として機能し、カード・明細票処理部5、通帳処理部6は、重要媒体を取り扱う重要媒体処理部として機能する。
【0011】
表示・操作部2は、自動取引装置1の上面に設けられ、利用者に対する案内画面を表示し、利用者の入力操作を受け付ける。なお、表示・操作部2は、利用者の生体情報(指紋、指静脈、掌紋等)を読み取る生体情報読取部等を有していてもよい。
【0012】
紙幣処理部3は、入出金紙幣を収納し、紙幣を収納するためのシャッタが設けられている。紙幣処理部3は、このシャッタの開閉により、紙幣処理部3に対する紙幣の投入や取り出しを制限する。
【0013】
また、紙幣処理部3は、各金種別に紙幣を収納する各金種カセット、損券や判別不明な不確定紙幣を収納するリジェクトカセット、繰り出した紙幣の取り忘れが発生した際、該当取忘れ紙幣を収納する取忘れ回収カセット及び各金種カセットへ紙幣を収納する為に、初めに紙幣を手詰めする装填カセットなど用途に合わせた複数の区分を有しており、各区分に対する操作は操作検知機構にて検知される。また、紙幣処理部3は、各区分に対する操作の有無や、障害の有無、不確定紙幣の有無等の状態が記憶される記憶部(図示せず)を有する。
【0014】
硬貨処理部4は、入出金硬貨を収納し、紙幣処理部3と同様に硬貨を収納するためのシャッタが設けられている。硬貨処理部4は、このシャッタの開閉により、硬貨処理部4に対する硬貨の投入や取り出しを制限する。
【0015】
硬貨処理部4は、各金種別に硬貨を収納する各金種カセット、破損硬貨や判別不明な不確定硬貨を収納するリジェクトカセット、繰り出した硬貨の取り忘れが発生した際、該当取忘れ硬貨を収納する取忘れ回収カセット、及び、各金種カセットへ硬貨を収納する為に、初めに硬貨を手詰めする装填カセットなど用途に合わせた複数の区分を有しており、各区分に対する操作は操作検知機構にて検知される。また、硬貨処理部4は、各区分に対する操作の有無や、障害の有無、不確定硬貨の有無等の状態が記憶される記憶部(図示せず)を有する。
【0016】
カード・明細票処理部5は、挿入されたカードを取り込み、このカードに記録されているカード情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)の読み取りや、カード情報の書き換え等を行う。カード・明細票処理部5は、磁気カードを処理する構成であっても、ICカードを処理する構成であっても、両方のカード(磁気カード及びICカード)を処理する構成であってもよい。また、カード・明細票処理部5は、取引内容を明細票に印字する印字部を有し、印字部により印字された明細票を放出する。
【0017】
また、カード・明細票処理部5は、自動取引装置1の動作履歴をジャーナル用ロール紙に印字するジャーナル部、振込取引において振込先情報を記録した振込み券をデータ書込み、印字、発券する振込み券発行部、及び、繰り出したカードの取り忘れが発生した際、該当取忘れカードを収納する取忘れ回収カセットを有している。各区分に対する操作は操作検知機構にて検知される。各区分に対する操作検知は、一般的なセンサを各部に備えることにより実現される。また、カード・明細票処理部5は、各区分に対する操作の有無や、障害の有無等の状態が記憶される記憶部(図示せず)を有する。
【0018】
通帳処理部6は、本体正面に設けた通帳挿入口に挿入された通帳を取り込み、この通帳に対して取引履歴を印字する印字部を有している。また、通帳処理部6は、取り込んだ通帳のページを捲るページ捲り機構や、通帳に印刷されているページ番号を示すバーコードを読み取るバーコードリーダ、通帳に貼付されている磁気ストライプに記録されている通帳情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)を読み取る磁気ヘッド等も有している。
【0019】
また、通帳に印字スペースがなくなった場合に新規通帳を印字、書込み、発行する通帳発行機構を有しており、本通用発行機構へ新通帳を手詰めする装填カセットも有している。各区分に対する操作は操作検知機構にて検知される。また、通帳処理部6は、各区分に対する操作の有無や、障害の有無等の状態が記憶される記憶部(図示せず)を有する。
【0020】
次に、図2を参照して、自動取引装置1の機能構成について説明する。図2に示すように、自動取引装置1は、通信制御部21、係員・表示操作部22、主記憶部23、制御部24及び扉操作検知部25を有する。
【0021】
通信制御部21は、保守運用を行うセンタ側に設置されているホストコンピュータ40との間におけるデータ通信を制御する。なお、ホストコンピュータ40では、開設されている口座毎に、口座開設者の氏名、住所、連絡先電話番号、取引履歴、暗証番号、口座残高等を含む口座管理情報を登録したデータベースを備えている。また、ホストコンピュータ40は、自動取引装置1から通知された取引内容に基づいて、取引が行われた口座にかかる口座管理情報を更新する処理や、自動取引装置1からの取引可否の認証要求に対して、取引可否を認証し、その認証結果を返信する処理等を行う。
【0022】
係員・表示操作部22は、自動取引装置1の後扉、又は前扉の内側に設けられ、係員又は保守員に状態を表示したり入力操作を受け付けたりする。
【0023】
主記憶部23には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であり、自動取引装置1の全操作記録、貨幣や消耗品の加減、障害の詳細情報が記憶される。また、主記憶部23には、定期運用登録テーブル2310a、カレンダー登録テーブル2320a、貨幣処理部テーブル2330、操作検知機構と連動する操作検知テーブル2340、及びセキュリティレベルテーブル2350が記憶される。そして、制御部24は、これらのテーブルの少なくともいずれかを組み合わせて、セキュリティレベルテーブル2350を設定して、自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象の有無を判断して、この判断に基づいて精査の種別を判断する。また、主記憶部23には、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象の有無を示す、状態管理テーブル2360aが記憶される。なお、主記憶部23に記憶される、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象の有無を示すデータは、テーブル形式に限られる物では無い。例えば、制御部24は、フローチャート(図示せず)により、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象の有無を判断し、主記憶部23に自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因の有無のみを記憶する構成としても良い。また、制御部24は、係員表示・操作部22に自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因と、処理内容を表示画面に表示させる。各テーブルの詳細及び判断方法については後で詳細に説明する。
【0024】
なお、カレンダー登録テーブル2320aと、貨幣処理部テーブル2330との一部は、本実施の形態における運用管理テーブルの一例である。また、貨幣処理部テーブル2330の一部と、操作検知テーブル2340は、本実施の形態における動作判定対象テーブルの一例である。
【0025】
制御部24は、自動取引装置1の動作を制御する。例えば、係員・表示操作部22から精査の指示を受け付けると、主記憶部23に記憶されている各テーブルを参照して、現在の自動取引装置1の状態、及び状態に応じた精査の種別を係員・表示操作部22へ表示するように指示する。また、係員・表示操作部22に表示された精査の種別の内、選択された精査について、各機構に必要な処理を実行させる。なお、制御部24は、本実施の形態における動作判定部、精査種別判定部及び精査指示部として機能する。
【0026】
また、制御部24は、通信制御部21を介してホストコンピュータ30に対して、現在高の通知指示を行う。その後、制御部24は、当該自動取引装置1内の保有在高と、通信制御部21をホストコンピュータ30から受信した現在高とを突合せることにより、当該自動取引装置1に収納されている紙幣の金種毎の枚数が正しいかを判定する。精査終了後、在高情報は主記憶部23に記憶される。また、主記憶部23に記憶された在高情報をジャーナル、明細票へ印字を行う構成としても良く、例えば、自動取引装置1が後述する「不確定」状態である場合のみ在高情報を印字するか、又は後述する「確定」状態か「不確定」状態であるかを問わず、在高情報を印字するかを選択可能な構成としても良い。
【0027】
扉操作検知部25は、自動取引装置1の前扉又は後扉の少なくともいずれか一方に備えられる。扉操作検知部25は、自動取引装置1の電源状態が入切どちらの状況であっても、係員又は保守員の操作の有無を検知し、検知結果を主記憶部23に提供する。
【0028】
図3を参照して、扉操作検知部25の機構について説明する。図3(a)に示すように、扉操作検知部25の操作検知機構は、扉が閉じている場合、上下二つのソレノイド256、257によって、光の変化を検知する光センサ254、255に反応しない位置に格納されている。ソレノイドは、上部ソレノイド257及び下部ソレノイド256の二つのソレノイドを有している。また、光センサも上部光センサ254及び下部光センサ255の二つのセンサを有している。2つのソレノイド又はセンサのうち、どちらかが故障した場合には、どちらか片方だけでも動作して、扉操作検知部25の機能を実現する。
【0029】
また、自動取引装置1の運用中(電源OFF時含む)に扉が開いた場合、例えば、係員又は保守員が扉を開ける場合、図3(b)に示すように、キーシリンダー250が半時計回りに90度回転する。そして、下部金具251がキーシリンダー250に押され、遮光部材253方向へ移動する。遮光部材253は、下部金具251に押され、下部ソレノイド256方向へ移動する。これにより、遮光部材253が下部光センサ255に反応する位置で留められる。
【0030】
また、下部金具251が遮光部材258を上部に押し上げる。これにより、遮光部材258が上部光センサ254に反応する位置で留められる。また、遮光部材258は上部金具252を上部ソレノイド257方向へ移動させる。
【0031】
また、自動取引装置1の電源OFF中に扉操作検知機構が作動した場合、電源ONと同時に上部及び下部の光センサの状態を検知する。上部及び下部の光センサの状態を検知した後、検知した内容を主記憶部23に記憶する。その後、上部ソレノイド257および下部ソレノイド256を作動させ、図3(a)に示す通常状態に戻す。
【0032】
図2に戻り、自動取引装置1は、ホストコンピュータ30とネットワークを介して接続されている。なお、ホストコンピュータ30に接続される自動取引装置1の台数は1台に限らない。また、自動取引装置1及びホストコンピュータ30から取引システムを構成してもよいし、ホストコンピュータ30も含めて取引システムを構成してもよい。
【0033】
なお、前述した構成の内、カード・明細票処理部5の各区分への操作検知を行うセンサ、通帳処理部6の各区分に対する操作検知を行うセンサ、及び扉操作検知部25は、本実施の形態においては必須ではなく、任意の構成である。また、カード・明細票処理部5の各区分への操作検知を行うセンサ、通帳処理部6の各区分に対する操作検知を行うセンサを備えていない構成である場合、カード・明細票処理部5の記憶部又は通帳処理部6の記憶部には、各区分に対する操作を記憶しなくても良い。
【0034】
(1−2)自動取引装置1における処理の概要
次に、図4を参照して、自動取引装置1における処理の概要について説明する。まず、精査が開始される前に、制御部24は、事前登録処理を実行する。事前登録処理では、自動取引装置1の動作判定処理を実施するために参照される各種テーブルが設定される。精査を開始する際に、制御部24は、動作判定処理を実行する(S101)。動作判定処理は、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定する処理であり、自動取引装置1の起動時、又は紙幣の枚数が変動する処理(例えば、紙幣カセットへ紙幣を補充するための補充処理、ユーザによる出金処理、及びユーザによる入金処理)が実行された後に実行される。すなわち、動作判定処理では、自動取引装置1が「確定」状態か、又は「不確定」状態かのいずれかの状態であるかが判定される
ここで、「確定」状態とは、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合を示し、「不確定」状態とは、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生した場合を示す。「確定」状態及び「不確定」状態は、紙幣処理部3、硬貨処理部4のそれぞれに対して判断され、いずれも「確定」状態である場合に、自動取引装置1の状態が「確定」状態と判定される。
【0035】
(1−2−1)自動取引装置1の現在の状態が「確定」状態である場合
動作判定処理(S101)において、制御部24は、後述する主記憶部23に記憶されたテーブルを参照し、自動取引装置1の現在の状態が「確定」状態と判定された場合(S102)、「確定」状態であることを主記憶部23に記憶し、係員・表示操作部22に「確定」状態であることを表示する。係員・表示操作部22に表示される表示画面には、後述する第1の精査と第2の精査とのいずれかを実行させるボタンが表示されるが、詳細な画面構成については後述する。
【0036】
前述した表示画面において、第1の精査を実行させるボタンが選択された場合(S103)、制御部24は、第1の精査を実行する(S104)。ここで、第1の精査とは、貨幣を計数せずに、主記憶部23に記憶された、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が含まれているテーブル(図示せず)から、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高を読み出し、ホストコンピュータ30から取得した現在高の情報とを突き合わせ、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高を更新する処理のことをいう。自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高は、主記憶部23に記憶される。
【0037】
一方、前述した表示画面において、第2の精査を実行させるボタンが選択された場合(S103)、制御部24は、第2の精査を実行する(S105)。ここで、第2の精査とは、貨幣を計数し、計数された貨幣の保有在高と、ホストコンピュータ30から取得した現在高の情報とを突き合わせ、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高を更新する処理のことをいう。この場合においても、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高は、主記憶部23に記憶される。なお、第1の精査と第2の精査とのいずれにおいても、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高をジャーナル、明細票に印字したりしても良い。
【0038】
第2の精査において、計数された貨幣の保有在高と、ホストコンピュータ30から取得した現在高の情報とを突き合わせ、それぞれ異なる値である場合、次回の動作判定処理において「不確定」状態と判定されることになる。
【0039】
(1−2−2)自動取引装置1の現在の状態が「不確定」状態である場合
動作判定処理(S101)において、制御部24は、後述する主記憶部23に記憶されたテーブルを参照し、自動取引装置1の現在の状態が「不確定」状態と判定された場合(S102)、「確定」状態であることを主記憶部23に記憶し、係員・表示操作部22に「不確定」状態であることを表示する。この場合、精査を実行するためには、必ず貨幣の計数が必要となるため、係員・表示操作部22に表示される表示画面には、第1の精査を実行させるボタンは表示されず、第2の精査を実行させるボタンが表示される。第2の精査を実行させるボタンが選択された後、制御部24は、第2の精査を実行する(S105)。
【0040】
(1−3)事前登録処理
続いて、自動取引装置1の事前登録処理について説明する。事前登録処理では、動作判定処理(S101)を実施するために参照される各種テーブルが設定される。事前登録処理は、管理者の入力に応じて、制御部24により実行される。ここで、管理者とは、係員や業務委託先などである。自動取引装置1は現金を取り扱う装置であるため、係員や警備員に対して自動取引装置1を取扱う為の規則が定められていることが多い。また、警備員は業務委託の雇用形態を取っている場合も多い。その場合には、原則として、警備員により予め決められた日時や曜日に決められた操作が行われる。したがって、定期運用登録テーブル2310aには、上記した規則や運用に合わせて、管理者の入力により、各種処理の定期運用予定が設定される。
【0041】
制御部24は、自動取引装置1のカレンダーの設定、貨幣処理部テーブル2330の設定、操作検知テーブル2340の設定、セキュリティレベルテーブル2350の設定を行う。これらの設定の順序は任意で良く、一つのテーブルにおいて設定されたデータを、他のテーブルにおいて引き継ぐ構成とすることが望ましい。これらの設定された各種テーブルを基に、後述する自動取引装置1の動作判定処理(S101)が実行される。
【0042】
(1−3−1)カレンダーの設定
図5〜7を参照して、カレンダーの設定について詳細に説明する。最初に、自動取引装置1の管理者の入力に応じて定期運用登録テーブル2310aが設定される。
【0043】
図5に示すように、定期運用登録テーブル2310aには、運用種類として消耗媒体や貨幣の補充を行う補充予定2311、エンドユーザーの取忘れ媒体や貨幣の回収行う回収予定2312が設定される。
【0044】
定期運用登録テーブル2310aの各設定項目は、図5に示す定期運用登録テーブル2310aを設定する表示画面により設定されてもよい。管理者は、定期運用登録テーブル2310aのそれぞれの予定に対し、定期運用の対象とするか、個別の日付での管理とするかを定期対象2313から選択する。図5に示すように、定期運用の対象とする場合は「○」で表し、定期運用の対象としない場合は、「空欄」にするか、又は「×」のような表記にしても良い。なお、定期運用の対象としない場合については後で詳細に説明する。
【0045】
定期対象2313の対象としたものについては、曜日登録2314の設定を行う。曜日登録2314は、月曜日〜日曜日の7つから選択する。続いて、間隔登録2315の設定を行う。間隔登録2315は、毎週、隔週、各曜日の第一週目から第四週目までを選択可能としている。また、間隔登録2315には、毎月決まった日付、例えば毎月5日、20日などと設定することもできる。
【0046】
続いて、制御部24は、カレンダー登録を実行する。カレンダー登録では、図6に示すカレンダー登録テーブル2320aの設定と、図7に示すカレンダー画面2200の表示とが実行される。
【0047】
カレンダー登録テーブル2320aには、先に設定した定期運用登録テーブル2310aの情報が取り込まれており、紙幣処理部3や硬貨処理部4の各区分について、操作予定の有無を「○」で示している。管理者は、「予定有」2321、「予定無」2322を変更したい場合は「○」と「空欄」とのいずれかを選択することにより、カレンダー登録テーブル2320a上で予定を変更することができる。
【0048】
例えば、図6に示すカレンダー登録テーブル2320aの「過不足発生時」欄2323で「○」を選択した場合、自動取引装置1で対象の媒体が「通常」状態、「満杯(フル)」状態、「満杯に近い(ニアフル)」状態、「空(エンド)」状態又は「空に近い(ニアエンド)」状態のうち、「通常」状態以外の場合に、「予定有」した場合と同様にカレンダーに設定される。
【0049】
図7に示すカレンダー画面2200の詳細について説明する。カレンダー画面2200は、係員・表示操作部22に表示され、既存の画面に追加することも可能である。定期運用登録テーブル2310aにおいて、定期運用の対象としたものは、カレンダー画面2200の下部の定期情報欄2202に表示され、カレンダー2201の該当する日にも表示される。定期運用とせず管理者が個別の日程を登録する場合は、カレンダー画面2200の対象日を選択して登録する。
【0050】
例えば、図7に示すカレンダー画面2200の「(水)16日」2203を選択して押下すると、図6に示すカレンダー登録テーブル2320aが表示される。
【0051】
(1−3−2)貨幣処理部テーブル2330の設定
図8を参照して、貨幣処理部テーブル2330の設定について詳細に説明する。図8に示すように、貨幣処理部テーブル2330では、自動取引装置1に入出金する貨幣の管理を行う。ここでは、貨幣処理部テーブル2330には、カレンダー登録テーブル2320aの設定項目の内容が引き継がれるものとする。
【0052】
「予定」欄2331は、「ニアフル検知」「精査不一致」「カレンダー」等の選択項目を有しており、カレンダー登録テーブル2320aの「予定有」2321、「予定無」2322、「過不足発生時」2323の設定が反映される。
【0053】
ここで、「ニアフル検知」とは、紙幣処理部3の各区分や硬貨処理部4の各区分の収納容量が、満杯に近い(ニアフル)状態であり、ニアフル状態であることは、紙幣処理部3の各区分や硬貨処理部4の各区分の収納量を検出するセンサ(図示せず)の出力状況に応じて判断される。この場合、収納された紙幣や硬貨を抜き取るために、管理者により、紙幣処理部3の各区分や硬貨処理部4の各区分が操作され得る状態である。
【0054】
また、「精査不一致」とは、貨幣の計数動作を伴う第2の精査をした結果、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が含まれているテーブル(図示せず)から読みだされた、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高をと、計数した貨幣の有高とが一致しない状態である。このような場合、理者により、紙幣処理部3のリジェクトカセット又は硬貨処理部4のリジェクトカセットが操作され得る状態である。具体的には、損券や判別不明な不確定紙幣が紙幣処理部3のリジェクトカセットに収納されたり、破損硬貨や判別不明な不確定硬貨が硬貨処理部4のリジェクトカセットに収納されたり、紙幣処理部3(又は硬貨処理部4)の装填カセットから紙幣(又は硬貨)を装填する際に、損券や判別不明な不確定紙幣(又は破損硬貨や判別不明な不確定硬貨)が発生した場合がある。
【0055】
また、「カレンダー」とは、カレンダー登録テーブル2320aの「予定有」2321とした日時であり、この場合、「次回日時」欄2332には、次に紙幣処理部3や硬貨処理部4の各区分について、操作される予定の日時が記録される。「確定条件」欄2333には、紙幣処理部3の各区分や硬貨処理部4の各区分への操作を、動作判定処理(S101)の条件に入れるか、入れないかが設定される。動作判定処理の条件に入れる場合は「条件内」を選択し、入れない場合は「条件外」を選択する。
【0056】
(1−3−3)操作検知テーブル2340の設定
図9を参照して、操作検知テーブル2340の設定について説明する。図9に示すように、操作検知テーブル2340では、貨幣処理部テーブル2330の設定において、動作判定処理の「条件内」とした対象項目に対し、「電源入時」2341の操作を動作判定処理の「条件内」とするのか「条件外」とするのか、また、「電源切時」2342の操作を動作判定処理の「条件内」とするのか「条件外」とするのかが選択される。
【0057】
例えば、操作検知テーブル2340において、紙幣処理部3の装填カセットについて、電源入時は動作判定処理の「条件外」と設定し、電源断時は「条件内」と設定したとする。この場合、電源入時に紙幣処理部3の装填カセットに対する操作があったとしても、自動取引装置1の確定状態の判定には影響しないことを示す。一方、電源断時に紙幣処理部3の装填カセットに対する操作があった場合には、自動取引装置1の確定状態の判定に影響することを示す。例えば、電源断時に紙幣処理部3の装填カセットに対する操作があった場合には、自動取引装置1は「不確定」状態であると判定する。
【0058】
(1−3−4)セキュリティレベルテーブル2350の設定
図10を参照して、セキュリティレベルテーブル2350の設定について説明する。セキュリティレベルテーブル2350は、前述した事前登録処理で設定した各種テーブルを参照して、自動取引装置1を「不確定」状態と判定するための判定基準を示すテーブルである。
【0059】
例えば、操作検知情報欄2351には、貨幣処理部テーブル2330と操作検知テーブル2340とのいずれかを参照して、どのような操作があった場合に自動取引装置1を「不確定」とするかの判断基準を設定する情報が格納されている。
【0060】
また、カレンダー情報欄2352には、カレンダー登録テーブル2320aを参照して、どのような動作があった場合に自動取引装置1を「不確定」状態とするかの判断基準を設定する情報が格納されている。
【0061】
また、媒体情報欄2353には、カレンダー登録テーブル2320aと貨幣処理部テーブル2330とのいずれかを参照して、どのような動作があった場合に自動取引装置1を「不確定」状態とするかの判断基準を選択する情報が格納されている。
【0062】
操作検知情報2351、カレンダー情報2352及び媒体情報2353の一致条件は、図10に示すように、予め決められた複数のパターンを用意しておいてもよいし、管理者毎に設定してもよい。
【0063】
以下、図10に示すセキュリティレベルのパターン2を選択している場合を例示して説明する。パターン2は、自動取引装置1の電源断時に、紙幣処理部3又は硬貨処理部4の操作があった場合に、自動取引装置1が「不確定」状態であると判断するセキュリティレベルを設定している。かかる例に限定されず、例えば、図10に示すセキュリティレベルのパターン1のように、紙幣処理部3又は硬貨処理部4の操作があった場合に、常に、自動取引装置1が「不確定」状態であると判断するセキュリティレベルを設定することも可能である。
【0064】
(1−4)動作判定処理(S101)の詳細
続いて、図11を参照して、動作判定処理(S101)の詳細について説明する。前述の通り、動作判定処理は、起動時、又は紙幣の枚数が変動する処理(例えば、紙幣カセットへ紙幣を補充するための補充処理、ユーザによる出金処理、及びユーザによる入金処理)が実行された後に実行され、自動取引装置1が「確定」状態か、又は「不確定」状態かのいずれかの状態であるかが判定される処理である。自動取引装置1の動作判定処理は、予め決められた時間に定期的に実施されてもよい。
【0065】
図11に示すように、最初に、制御部24は、セキュリティ判定処理を実行する(S201)。ステップS201におけるセキュリティ判定処理については後で詳細に説明する。そして、ステップS201におけるセキュリティ判定処理の結果を基に、セキュリティ問題の有無を判定する(S202)。
【0066】
ステップS202において、セキュリティに問題があると判定された場合には、制御部24は、自動取引装置1の状態を「不確定」状態とする(S208)。一方、ステップS202において、セキュリティに問題がないと判定された場合には、制御部24は、金種別枚数判定処理を行う(S203)。ステップS203における金種別枚数判定処理については、後で詳細に説明する。
【0067】
ステップS203における金種別枚数判定処理の結果、制御部24は、リジェクトカセットが確定したか、不確定かを判定し(S204)、リジェクトカセットが不確定の場合には、自動取引装置1の状態を「不確定」状態とする(S208)。一方、ステップS204において、リジェクトカセットが確定した場合には、障害判定処理を行う(S205)。ステップS205における障害判定処理により、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が変わる可能性があるかが判定されるが、障害判定処理の詳細ついては後で説明する。
【0068】
ステップS205において、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が変わる可能性があると判定された場合には、制御部24は、自動取引装置1の状態を「不確定」状態とする(S208)。一方、ステップS205において、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が変わる可能性がないと判定された場合には、制御部24は、自動取引装置1の状態を「確定」状態とする(S207)。
【0069】
そして、制御部24は、上記判定処理の結果を基に、自動取引装置1の状態情報を係員・表示操作部22に表示させる(S209)。
【0070】
なお、前述したセキュリティ判定処理、金種別枚数判定処理、障害判定処理は、図12に示す処理順に限定されない。ただし、金種別枚数判定処理及び障害判定処理を実施する前にセキュリティ判定処理を実施して、セキュリティ判定処理に問題がある場合には、動作判定処理の処理時間を短縮することが可能となる。
【0071】
(1−4−1)セキュリティ判定処理
ステップS202におけるセキュリティ判定処理について説明する。制御部24は、定期運用登録テーブル2310aの情報と、カレンダー登録情報2320aの情報と、貨幣処理部テーブル2330の情報と、操作検知テーブル2340の情報と、セキュリティテーブル2350の情報とを取得する。また、制御部24は、前述した各種テーブルの情報を取得した後、状態管理テーブル2360aの情報を取得する。
図12を参照して、状態管理テーブル2360aの設定について説明する。状態管理テーブル2360aは、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象の有無を示すデーブルである。状態管理テーブル2360aは、自動取引装置1の起動時、又は紙幣の枚数が変動する処理(例えば、紙幣カセットへ紙幣を補充するための補充処理、ユーザによる出金処理、及びユーザによる入金処理)が実行された後に更新される。具体的には、セキュリティレベルテーブル2350に管理者が設定したセキュリティレベル2361と、自動取引装置1で発生した事象とを、操作検知状況2362、カレンダーとの一致状況2363及び媒体状況2364に基づいて比較し、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象の有無について更新される。
【0072】
紙幣処理部3、硬貨処理部4について、操作検知テーブル2340において、電源入時、電源切時ともに、動作判定処理の「条件内」に設定した場合、各区分に対する操作状況が記録される。各操作の詳細情報については、電源入時であれば、主記憶部23に保存してあり、各区分に対する操作情報を呼び出して、操作検知状況2362として記録される。
【0073】
カレンダー一致状況2363には、操作検知状況2362と、設定されたカレンダー登録テーブル2320aとが比較され、「一致」又は「不一致」であることが記録される。
【0074】
例えば、硬貨処理部4の各金種カセット2365について、カレンダー登録テーブル2320aを参照した結果、操作の予定は無いが、状況管理テーブル2360aの操作検知状況2362では、各金種カセットにおいて電源切時の操作2366が「有」となっている。したがって、カレンダー一致状況2367は「不一致」となる。
【0075】
また、媒体状況2364には、貨幣処理部テーブル2330の「予定」欄2331で設定した予定と、実際の自動取引装置1の媒体状況及び操作検知状況とが比較され、「一致」又は「不一致」であることが記録される。
【0076】
(1−4−2)金種別枚数判定処理
図13を参照して、ステップS203における金種別枚数判定処理について説明する。図13に示すように、制御部24は、紙幣処理部3及び硬貨処理部4それぞれのリジェクトカセットに貨幣が収納されているかを判定する(S301)。
【0077】
ステップS301において、リジェクトカセットに貨幣が無いと判定された場合には、制御部24は、リジェクトカセットが「確定」状態であることを記録する(S304)。一方、ステップS301において、貨幣が収納されていると判定された場合には、制御部24は、「金種」並びに「枚数」が確定しているかを判定し(S302)、確定している場合には、リジェクトカセットが「確定」状態であることを記録する(S304)。
【0078】
一方、ステップS302において、「金種」「枚数」のいずれかが確定していない場合には、制御部24は、リジェクトカセットが「不確定」状態であることを記録する(S303)。
【0079】
(1−4−3)障害判定処理
図14を参照して、ステップS205における障害判定処理について説明する。図14に示すように、制御部24は、自動取引装置1が保持している貨幣の在高と、ホストコンピュータ30が保持している現在高とを照合する(在高突合)(S401)。
【0080】
ステップS401における在高突合の結果、在高が一致するかを判定し(S402)、一致しないと判定された場合には、制御部24は、在高状態が「不確定」状態であることを記録する(S407)。
【0081】
一方、ステップS402における判定の結果、在高が一致すると判定された場合には、制御部24は、前回の精査終了後から現在までの期間に、自動取引装置1において障害が発生したかを判定する(S403)。
【0082】
ステップS403において、障害が発生していないと判定された場合には、制御部24は、在高状態が「確定」状態であることを記録する(S406)。一方、ステップS403において、障害が発生していたと判定された場合には、制御部24は、障害の詳細情報を取得する(S404)。
【0083】
そして、制御部24は、ステップS404で取得した情報から発生した障害の種別を判別し、通帳処理部6などの貨幣処理部以外の障害と、ホストコンピュータ30との電文の送受信中の障害や貨幣処理部のジャム障害など、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる障害かを判定する(S405)。
【0084】
ステップS405において、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる障害でないと判定された場合には、制御部24は、在高状態が「確定」状態であることを記録する(S406)。一方、ステップS405において、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる障害である場合には、制御部24は、在高状態が「不確定」状態であることを記録する(S407)。
【0085】
(1−5)自動取引装置1の表示画面例
次に、図15図19を参照して、本実施の形態における自動取引装置1の状態情報を表示する表示画面について説明する。
【0086】
図15は、動作判定処理(S101)において、主記憶部23に記憶されたテーブルを参照し、自動取引装置1の現在の状態が「確定」状態と判定された場合における、係員・表示操作部22に表示される画面2210である。画面2210には、上部に自動取引装置1へ指示を与えるボタン2211を表示し、下部に「確定」状態、「不確定」状態を示す機器状態情報2212を表示している。機器状態情報2212として、「確定」状態であることを示す情報2212aを表示する。
【0087】
図16は、図15に示す画面2210において、「精査」のボタンが選択された後に表示される画面2220である。画面2220には、上部に機器状態情報2221を表示し、下部に「第1の精査」ボタン2222aと、「第2の精査」ボタン2222bとを表示する。また、「第1の精査」及び「第2の精査」の所要時間を予測して、表示しても良い。所要時間の予測は、少なくとも現金の保有数から予測され、ジャーナル、明細票に印字する場合は、印字のための時間を含めて算出する。このとき、現在時刻にて精査を開始した場合の終了予想時刻を表示しても良い。
【0088】
ここで、「第1の精査」ボタン2222aが選択された場合(S103)、制御部24は、第1の精査(貨幣計数なし)を実行し(S104)、「第2の精査」ボタン2222bが選択された場合(S103)、制御部24は、第2の精査(貨幣計数あり)を実行する(S105)。
【0089】
図17は、動作判定処理(S101)において、主記憶部23に記憶されたテーブルを参照し、自動取引装置1の現在の状態が「不確定」状態と判定された場合における、係員・表示操作部22に表示される画面2230である。画面2230には、上部に自動取引装置1へ指示を与えるボタン2231を表示し、下部に「確定」状態、「不確定」状態を示す機器状態情報2232を表示する。機器状態情報2232として、「不確定」状態であることを示す情報2232aを表示する。なお、紙幣処理部3、硬貨処理部4のそれぞれについて「確定」状態、「不確定」状態を示す情報2232bや、セキュリティ判定処理において判断されたセキュリティリスクの有無2232cを表示しても良い。
【0090】
本実施の形態では、自動取引装置1の状態が「未確定」状態の場合に、「セキュリティリスク有」と表示しているが、図15に示す画面2210(すなわち、自動取引装置1の状態が「確定」状態の場合)に、「セキュリティリスク無」と表示してもよい。
【0091】
また、セキュリティ判定処理において判断されたセキュリティリスクの有無2232cを表示する構成の場合、セキュリティリスク2232cの内訳(すなわち、自動取引装置1内の貨幣の保有在高が不確定となる要因を示す画面)を表示させるための「うちわけ」ボタンを表示する。セキュリティリスク2232cの内訳としては、例えば、図18に示す画面2240のように、イベント2241、詳細情報2242を表示する。イベント2241とは、自動取引装置1の状態が「不確定」状態となった要因となる可能性がある状況であり、例えば電源切時、紙幣処理部3又は硬貨処理部4に対する操作時等がある、また、詳細情報2242とは、操作が検知されたユニットの名称や、当該ユニットへの操作予定などである。図18に示す画面2240の場合、電源切時において硬貨処理部4の500円玉カセットに対する操作があったこと、カレンダー登録テーブル2320aに記憶された情報より、硬貨処理部4の500円玉カセットに対する操作予定が無いこと、及び貨幣処理部テーブル2330に記憶された情報より、硬貨処理部4の500円玉カセットにニアフル検知等の警告がされていない(すなわち、硬貨処理部4の500円玉カセットを操作する状況ではない)ことを表示する。これにより、管理者に対してセキュリティリスク2232cの詳細な内容を把握させる情報を提供することが可能となる。
【0092】
図19は、図17に示す画面2230において、「精査」のボタンが選択された後に表示される画面2250である。画面2250には、上部に機器状態情報2251を表示し、下部に「第2の精査」ボタン2252bを表示する。また、「第2の精査」の所要時間を予測して、表示しても良い。
【0093】
ここで、「第2の精査」ボタン2252bが選択された場合、制御部24は、第2の精査(貨幣計数あり)を実行する(S105)。
【0094】
(1−6)第1の実施の形態による効果
本実施の形態によれば、自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合であっても、貨幣を計数し、取得された貨幣の保有在高と、自動取引装置に接続されたホストコンピュータから受信した現在高とを比較する処理を実行することが可能であるため、係員の利便性を確保しつつ、現金管理業務のセキュリティを高めることが可能となる。
【0095】
例えば、自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生していない場合であっても、貨幣を計数する第2の精査を実行することにより、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高の正当性を担保することが可能となる。
【0096】
また、自動取引装置内の貨幣の保有在高を抜き打ちで確認することが必要な場合など、係員の要求があった場合に、貨幣を計数する第2の精査を実行することが可能なため、係員の利便性が向上する。
【0097】
また、第1の精査と第2の精査との内、実行している精査の種別を表示することにより、現在実行されている精査の内容が明確となる効果を奏する。
【0098】
(2)第2の実施の形態
第1の実施の形態では、紙幣処理部3又は硬貨処理部4のいずれかが「不確定」状態である場合に、自動取引装置1を「不確定」状態とし、紙幣処理部3及び硬貨処理部4のいずれも計数を実行する。しかし、紙幣処理部3又は硬貨処理部4の一方が「確定」状態で、他方が「不確定」状態である場合は、「確定」状態である紙幣処理部3又は硬貨処理部4については、計数を実行しない処理を選択可能としても良い。
【0099】
(2−1)第3の精査
紙幣処理部3又は硬貨処理部4の一方が「確定」状態で、他方が「不確定」状態である場合、第3の精査として、「確定」状態である紙幣処理部3又は硬貨処理部4については、貨幣を計数せずに、主記憶部23に記憶された、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が含まれているテーブル(図示せず)から、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高を読み出すと共に、「不確定」状態である紙幣処理部3又は硬貨処理部4については、貨幣を計数し、読み出し及び計数された貨幣の保有在高と、ホストコンピュータ30から取得した現在高の情報とを突き合わせる処理のことをいう。この場合においても、貨幣の保有在高は、主記憶部23に記憶される。
【0100】
この場合、自動取引装置1全体としては「不確定」状態であるため、動作判定処理(S101)の結果、係員・表示操作部22には、図17に示す画面2230が表示される。この場合、機器状態情報2232として、少なくとも「不確定」状態であることを示す情報2232aと、紙幣処理部3、硬貨処理部4のそれぞれについて「確定」状態、「不確定」状態を示す情報2232bとを表示する。
【0101】
(2−2)自動取引装置1の表示画面例
次に、図20を参照して、本実施の形態における自動取引装置1の状態情報を表示する表示画面について説明する
図20は、本実施の形態の場合に、図17に示す画面2230において、「精査」のボタンが選択された後に表示される画面2260である。画面2260には、上部に機器状態情報2261を表示し、下部に「第2の精査」ボタン2262aと、「第3の精査」ボタン2262bとを表示する。また、「第2の精査」及び「第3の精査」の所要時間を予測して、表示しても良い。
【0102】
ここで、「第2の精査」ボタン2262aが選択された場合、制御部24は、第2の精査(紙幣処理部3及び硬貨処理部4のいずれも計数あり)を実行し、「第3の精査」ボタン2262bが選択された場合、制御部24は、第3の精査(「不確定」状態である紙幣処理部3又は硬貨処理部4についてのみ計数あり)を実行する。
【0103】
(2−3)第2の実施の形態による効果
本実施の形態によれば、「確定」状態である紙幣処理部3又は硬貨処理部4については、計数を実行しないことも選択可能であるため、精査の時間を短縮し、係員の利便性を確保することが可能となる。
【0104】
(3)第3の実施の形態
第1の実施の形態では、カード・明細票処理部5の各区分に対する操作検知を行うセンサ、通帳処理部6の各区分に対する操作検知を行うセンサ、及び扉操作検知部25を必須ではなく、任意の構成としているが、本実施の形態においては、必須の構成とする。これにより、紙幣処理部3、硬貨処理部4の他に、カード・明細票処理部5、通帳処理部6に保有する重要管理媒体や、扉に対する操作の有無も、自動取引装置1が保持している貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かを判定する際に用いられることになる。
【0105】
なお、カード・明細票処理部5の各区分に対する操作検知、通帳処理部6の各区分に対する操作検知、扉への操作検知機能については、いずれか一つを備えていれば良いが、以下では全ての機能を備えた例について説明する。なお、カード・明細票処理部5の各区分に対する操作検知、通帳処理部6の各区分に対する操作検知を行うセンサは、本実施の形態における第1の検知部として機能し、扉操作検知部25は、本実施の形態における第2の検知部として機能する。
【0106】
主記憶部23は、定期運用登録テーブル2310b、カレンダー登録テーブル2320b、貨幣処理部テーブル2330、操作検知機構と連動する操作検知テーブル2340、セキュリティレベルテーブル2350、状態管理テーブル2360bを記憶する。
【0107】
(3−1)第3の実施の形態における各テーブルの構成と、自動取引装置1の表示画面例
図21は、本実施の形態における、定期運用登録テーブル2310bを示す図である。図21に示すように、定期運用登録テーブル2310bには、図5に示す定期運用登録テーブル2310aの情報に加え、カード・明細票処理部5、通帳処理部6に保有する重要管理媒体の補充予定や回収予定に関する情報や、貨幣や媒体の精査を行う精査予定2316、自動取引装置1のデータ収集を行う収集予定2317が設定される。
【0108】
図22は、本実施の形態における、カレンダー登録テーブル2320bを示す図である。図22に示すように、定期運用登録テーブル2320bには、図6に示す定期運用登録テーブル2320aの情報に加え、前述した重要管理媒体の補充予定や回収予定に関する情報や、前述した精査予定2324、収集予定2325が設定される。
【0109】
図23は、本実施の形態における、カレンダー画面2260を示す図である。図23に示すように、カレンダー画面2260には、カレンダー2261、重要管理媒体に関する情報を含む定期運用情報2262が表示される。
【0110】
図24は、本実施の形態における、状態管理テーブル2360bを示す図である。図24に示すように、状態管理テーブル2360bには、図12に示す状態管理テーブル2360aに加え、自動取引装置1の扉や、カード・明細票処理部5や通帳処理部6といった重要媒体処理部に対する操作検知状況、カレンダー一致状況、媒体状況一致情報が記録される。また、ジャーナルの媒体情報一致状況や、ログの収集状況も記録される。
【0111】
ジャーナルの媒体情報一致状況2368は、後述する重要媒体管理テーブル2400上、ニアエンド発生時に補充を予定しており、実際、自動取引装置1はニアエンドを検知後、解消した状況を示す「一致(ニアエンド検知⇒解消)」を記録している。この場合、正規の補充がなされたと見なされ「一致」となる。
【0112】
しかし、通帳処理部6の装填カセットの媒体情報一致状況2369は、電源入時の操作検知状況が「有」で操作を検知していながら、当該カセットのニアエンドが解消していないため、「不一致(ニアエンド検知有り)」となる。
【0113】
また、制御部24は、重要媒体管理テーブル2370を設定し、主記憶部23に記憶する。図25に示すように、重要媒体管理テーブル2370では、貨幣以外の媒体であるカード、通帳、明細票、インクリボン及び各種データなどの重要媒体の管理を行う。重要媒体管理テーブル2370には、カレンダー設定時における各設定項目の内容が引き継がれる。
【0114】
したがって、重要媒体管理テーブル2370の「予定」欄2371には、カレンダー登録テーブル2320bの「予定有」、「予定無」及び「過不足発生時」の設定が反映される。また、「次回日時」欄2372には、各項目の次回の予定日時が反映される。
【0115】
「確定条件」欄2373には、対象の媒体に対する操作を、後述する動作判定処理の条件に入れるか、入れないかが設定される。動作判定処理の条件に入れる場合は「条件内」を選択し、入れない場合は「条件外」を選択する。
【0116】
(3−2)第3の実施の形態による効果
本実施の形態によれば、紙幣処理部3、硬貨処理部4に加え、カード・明細票処理部5、通帳処理部6等の重要媒体処理部や、扉に対する操作を、自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かの動作判定処理の対象としているため、より現金管理業務のセキュリティを高めることが可能となる。
【0117】
なお、前述の通り、カード・明細票処理部5の各区分に対する操作検知、通帳処理部6の各区分に対する操作検知、扉への操作検知機能については、いずれか一つを備えていれば良いため、カード・明細票処理部5、通帳処理部6又は扉の少なくとも一つを自動取引装置内の貨幣の保有在高が不確定となる要因となりうる事象が発生しているか否かの動作判定処理の対象とすれば、前述した効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0118】
1:自動取引装置、2:操作部、3:紙幣処理部、4:硬貨処理部、5:明細票処理部、6:通信処理部、7:筐体、21:通信制御部、22:係員・表示操作部、23:記憶部、24:制御部、25:扉操作検知部、30:ホストコンピュータ
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