(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る蓄電装置は、
外部端子を有する蓄電素子と、
接続部を有し、該接続部にて外部端子に接続されるバスバーとを備え、
外部端子は、蓄電素子内に挿入される軸部を有し、
該バスバーの接続部は、外部端子と対向する一部分に薄肉部を有し、
薄肉部は、バスバーの周縁より内側で、且つ、該バスバーにおける該薄肉部の一部が軸部の一部と重なる箇
所に配置され、
該薄肉部と前記外部端子とが溶接されている。
【0014】
かかる構成によれば、薄肉部がバスバーの接続部に設けられており、その薄肉部と外部端子とが溶接されている。これにより、バスバーを厚み方向全体に溶かしてバスバーと外部端子とを溶接する構成と比較して、溶接するための熱量が小さくなる。したがって、外部端子の熱損傷を軽減することができる
。
【0015】
ここで、本発明に係る蓄電装置の一態様として、
薄肉部は、接続部の一部をコイニング加工することによって形成されている、
ようにしてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、薄肉部は、コイニング加工によって高い精度で形成される。そのため、薄肉部を外部端子に対して平坦にすることができる。そして、バスバーの薄肉部と外部端子とを溶接するための熱量を、薄肉部において均等にすることができる。
【0017】
また、本発明に係る蓄電装置の他態様として、
薄肉部の所定箇所と、外部端子のうち、軸部から当該軸部の軸心と交差する方向に離れた箇所とが溶接されている、
ようにしてもよい。
【0018】
かかる構成によれば
、外部端子は、軸部の軸心と交差する方向において、軸部から離れた箇所で薄肉部の所定箇所と溶接されている。これにより、軸部の熱損傷を防止できるため、内部構造である電極体の熱損傷を防止できる。
【0021】
本発明に係る蓄電素子の外部端子とバスバーとの溶接方法は、
外部端子を有する蓄電素子の当該外部端子とバスバーとを溶接する方法であって、
外部端子との対向面と反対側を凹ませることによってバスバーに形成された薄肉部にレーザ光を照射して、該薄肉部と外部端子とを溶接すること、を備え、
外部端子は、蓄電素子内に挿入される軸部を有し、
薄肉部は、バスバーの周縁より内側で、且つ、該バスバーにおける該薄肉部の一部が軸部の一部と重なる箇
所に配置されている。
【0022】
かかる方法において、薄肉部は、バスバーの接続部に設けられている。そして、薄肉部にレーザ光を照射することで、薄肉部と外部端子とが溶接される。これにより、レーザ光をバスバーの上部から照射することで、バスバーを厚み方向全体に溶かしてバスバーと外部端子とを溶接する方法と比較して、溶接するための熱量が小さくなる。したがって、外部端子への熱損傷を軽減することができる
。
【0023】
以上の如く、本発明によれば、蓄電素子の外部端子への熱損傷を軽減することができるという優れた効果を奏する。
【0024】
以下、本発明に係る蓄電装置の一実施形態である電池モジュールについて、図面を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る電池モジュールは、
図1及び
図2に示す如く、複数の電池セル(蓄電素子)1,…と、該複数の電池セル1,…を収容するハウジング10とを備えている。
【0025】
電池セル1は、
図3に示す如く、ケース2を備えている。ケース2は、開口部を有するケース本体2aと、該ケース本体2aの開口部を塞いで密閉する蓋板2bとを有する。電極体(図示せず)は、ケース2内に収容されている。
【0026】
電池セル1は、外観直方体状の角形電池や、外観円柱状の丸形電池を採用し得る。本実施形態に係る電池セル1は、角形電池である。そのため、ケース本体2aは、幅方向に偏平な有底角筒状である。また、蓋板2bは、該ケース本体2aの開口部に対応した長方形状の板材である。
【0027】
外部ガスケット3が、ケース2の外面、より詳しくは、蓋板2bの外面に配置されている。そして、外部端子4が、外部ガスケット3の外面に配置されている。本実施形態においては、外部ガスケット3が凹部を有しており、外部端子4が該凹部内に配置されている。
【0028】
外部端子4は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料で形成されている。ここで、貫通開口(図示しない)が蓋板2bに形成されている。また、貫通開口(
図6参照)は、外部ガスケット3にも形成されている。外部ガスケット3は、その貫通開口が蓋板2bの貫通開口と一致するようにして蓋板2bの外面に配置されている。外部端子4は、それら貫通開口を貫通する軸部4a(
図6参照)を有している。二つの貫通開口を介して外部ガスケット3及び蓋板2bを貫通した外部端子4の軸部4aは、集電体(図示しない)に接続されている。この集電体は、電極体に接続されている。これにより、外部端子4は、電極体に電気的に接続されている。
【0029】
正極用の外部ガスケット3及び外部端子4と、負極用の外部ガスケット3及び外部端子4とが電池セル1に設けられている。正極用の外部ガスケット3及び外部端子4は、蓋板2bの長手方向における一端部に配置されている。負極用の外部ガスケット3及び外部端子4は、蓋板2bの長手方向における他端部に配置されている。外部ガスケット3及び外部端子4は、平面視長方形状である。外部ガスケット3及び外部端子4は、蓋板2bの幅方向の寸法が小さく、これと直交する方向の寸法が大きい長方形状である。
【0030】
外部端子4の上部は、平坦面4bである。外部端子4が平面視長方形状であるので、平坦面4bも長方形状である。外部端子4の平坦面4bは、蓋板2bの外面から離れている。外部端子4の平坦面4bは、外部ガスケット3から突出している。正極用の外部端子4の平坦面4bと、負極用の外部端子4の平坦面4bとは、蓋板2bの外面に対して同じ高さレベルにある。
【0031】
図1及び
図2に戻り、複数の電池セル1,…は、蓋板2bの短手方向に並ぶように並列配置されている。本実施形態においては、10個の電池セル1,…が並列配置されている。また、隣り合う電池セル1,1は、極性が反対となるように配置されている。これにより、隣り合う外部端子4,4を接続することで全ての電池セル1が直列接続され、一つの電池が構成される。
【0032】
蓋板2bの短手方向に並ぶ電池セル1,1の外部端子4,4同士は、バスバー5によって接続されている。より詳しくは、隣り合う電池セル1,1のうちの一方の電池セル1の正極用の外部端子4と、前記隣り合う電池セル1,1のうちの他方の電池セル1の負極用の外部端子4とは、近接している。そして、これらの外部端子4,4同士がバスバー5によって接続されている。
【0033】
なお、外部接続用のバスバー5Aは、直列接続された電池セル1のうちの一端の外部端子4と前記直列接続された電池セル1のうちの他端の外部端子4とに、それぞれ接続されている。かかるバスバー5Aは、別の電池モジュール、別の機器、負荷、又は電源に接続される外部接続用のバスバーである。
【0034】
バスバー5は、
図4及び
図5に示す如く、本体部6と、該本体部6の両端に設けられる一対の接続部7,7とを有している。接続部7は、外部端子4の平坦面4bに載置され、外部端子4に接続される部分である。本体部6は、一対の接続部7,7を連結している。本実施形態において、バスバー5は、平坦面5a、及び平坦面5aと平行で且つ平坦面5aの反対側において外部端子4と対向する対向面5bを有する平面視長方形状の平板状に形成されている。このバスバー5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料の板材によって形成されている。
【0035】
接続部7には、外部端子4との対向面5bと反対側(平坦面5a)が凹むことによって薄肉部8が形成されている。本実施形態の薄肉部8は、平面視矩形状(正方形状)に形成されている。また、この薄肉部8は、対向面5bと交差する方向に略均一に凹んでいる。薄肉部8の内側面部8aは、バスバー5の対向面5bと直交するように配置されている。薄肉部8の底面部8bは、バスバー5の対向面5bと平行である。薄肉部8は、接続部7の一部をコイニング加工することによって形成されている。なお、薄肉部8は、平面視矩形状に限られない。例えば、薄肉部8は、円形状(真円形状、楕円形状)や多角形状でもよい。また、後述するが、外部端子4とバスバー5とを電気的及び機械的に接続するために、薄肉部8の底面部8bが外部端子4と溶接される。
【0036】
ここで、電池セル1に対するバスバー5の接続方法(電池モジュールの製造方法)について説明する。
【0037】
まず、複数の電池セル1,…は、ベルトコンベア等の搬送装置(図示しない)上で電池モジュールの完成時と同じ並列状態に配置される。並列状態に配置された複数の電池セル1,…は、該搬送装置によって溶接装置20の作動領域(以下、溶接エリアという)に搬送される。なお、本実施形態の溶接装置は、レーザ溶接装置である。複数の電池セル1,…が溶接エリアに到達すると、溶接装置20に隣接して配置されるバスバー自動供給装置(図示しない)は、バスバー5を保持可能に構成された保持体でバスバー5を受け取る。そして、バスバー自動供給装置は、
図6に示す如く、受け取ったバスバー5を隣り合う電池セル1,1の外部端子4,4に跨るように配置する。
【0038】
そして、保持体がバスバー5を外部端子4に押し付けた状態で、レーザ光Lを出射する溶接ヘッド21がバスバー5の薄肉部8の上方に移動する。このとき、溶接ヘッド21は、レーザ光Lの光軸が薄肉部8の底面部8bと直交するようにして、底面部8bに向けてレーザ光Lを出射している。具体的には、レーザ光Lは、底面部8b上に焦点が位置するように照射されている。また、本実施形態において、
図7に示す如く、レーザ光Lを照射する範囲(部位)Wは、薄肉部8の内側面部8aから所定距離内側に離間した位置の閉じた経路の全周である。具体的には、レーザ光Lを照射する範囲Wは、矩形状の経路の全周である。より具体的には、レーザ光Lを照射する範囲Wは、薄肉部8の外縁(内側面部8aによって構成される薄肉部8の外形線)と相似形である。なお、レーザ光Lを照射する範囲Wは、
図8に示す如く、矩形状に形成された経路の一辺と略平行な複数の直線状の辺であってもよい。
【0039】
このように、溶接ヘッド21がレーザ光Lを出射しつつ移動することで、バスバー5の接続部7と、外部端子4の平坦面4bとが溶接される。そして、溶接装置20がバスバー5の接続部7と外部端子4とを溶接することで、バスバー5は、電池セル1の外部端子4に対して電気的及び機械的に接続される。その後、バスバー5を介して電気的に接続された複数の電池セル1,…がハウジング10に収容されることで、大容量の電池(電池モジュール)が完成する。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る電池モジュールでは、外部端子4と、バスバー5の接続部7において平坦面5a(詳しくは、外部端子4との対向面5bと反対側の平坦面5a)を凹ませることによって形成された薄肉部8と、が溶接されている。これにより、バスバー5を厚み方向全体に溶かしてバスバー5と外部端子4とを溶接する構成と比較して、溶接するための熱量が小さくなる。したがって、外部端子4への熱損傷を軽減することができる。これにより、内部構造である電極体への熱損傷を軽減することができる。また、外部端子4が熱変形することも防止できるため、外部端子4の変形によって内部の密封性が低下することも防止できる。
【0041】
また、本実施形態に係る電池モジュールによれば、薄肉部8は、コイニング加工によって高い精度で形成される。そのため、薄肉部8の底面部8bを外部端子7に対して平坦にすることができる。そして、バスバー5の薄肉部8と外部端子7とを溶接するための熱量を、薄肉部8の底面部8bにおいて均等にすることができる。
【0042】
なお、本発明に係る蓄電装置及び溶接方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0043】
上記実施形態の薄肉部8では、外部端子4の軸部4aの軸心方向において当該軸部4aと重なる箇所が、外部端子4と溶接される。しかしながら、他の実施形態を示す
図9やさらに他の実施形態を示す
図10に示す如く、薄肉部8は、外部端子4のうち、軸部4aから当該軸部4aの軸心と交差する方向に離れた箇所と、溶接されてもよい。このとき、
図9及び
図10に示す如く、薄肉部8は、外部端子4のうち、軸部4aから当該軸部4aの軸心と交差する方向に離れた箇所と前記軸心方向に重なる位置に配置されてもよい。かかる構成によれば、軸部4aの熱損傷をより確実に防止できるため、内部構造である電極体の熱損傷をより確実に防止できる。
【0044】
図9に示す薄肉部8,8は、バスバー5の短手方向において、軸部4aを挟むように配置されている。
図10に示す薄肉部8は、バスバー5の長手方向において、中央部寄りに配置されることで、軸部4aから離れている。そして、
図10に示す負極用の外部端子4は、軸部4aと、軸部4aに嵌合される板状体4cとが別部材で構成されている。具体的には、軸部4aは、例えば銅で形成されており、板状体4cは、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料で形成されている。
【0045】
また、上記実施形態の複数の電池セル1,…は、蓋板2bの短手方向に並ぶようにして並列配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、
図11及び
図12に示す如く、複数の電池セル1,…は、蓋板2bの長手方向に並ぶようにして並列配置されてもよい。そして、蓋板2bの長手方向における一端部に配置されている正極用の外部端子4と、蓋板2bの長手方向における他端部に配置されている負極用の外部端子4とは、これら正極用の外部端子4と負極用の外部端子4とに跨って配置されるバスバー5の薄肉部8とそれぞれ溶接されることで、電気的に接続されている。
【0046】
また、上記実施形態においては、溶接装置20の溶接ヘッド21が移動して(首を振って)いたが、これに限定されるものではない。例えば、ミラーが、溶接ヘッド21から出射したレーザ光Lの光軸を変更してもよく、また、ワーク(蓄電素子)側が、固定されている溶接ヘッド21に対して移動してもよい。
【0047】
上記実施形態においては、レーザ光Lを照射する範囲(部位)Wは、薄肉部8の内側面部8aと接する境界から所定距離内側に離間した底面部8b上の箇所である。しかしながら、他の実施形態を示す
図13に示す如く、レーザ光Lを照射する範囲Wは、薄肉部8の内側面部8aと接する底面部8bの縁としてもよい。この場合、薄肉部8の内側面部8aは、バスバー5の外部端子4との対向面5bから該対向面と反対側の平坦面5aに向かうにつれて、薄肉部8の中心から離間する方向に傾斜していることが好ましい。
【0048】
また、上記実施形態においては、外部端子4及びバスバー5がアルミニウム系金属材料で構成されたが、これに限定されるものではない。例えば、外部端子4及びバスバー5は、銅、SUS、スチール等の金属材料であってもよい。すなわち、外部端子4及びバスバー5は、導電性を有し、互いに溶接可能な金属材料であればよい。
【0049】
上記実施形態においては、レーザ溶接によってバスバー5を電池セル1の外部端子4に溶接したが、これに限定されない。例えば、一般的なアーク溶接、ガス溶接等で溶接してもよい。
【0050】
本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタにも適用可能である。そして、電池の種類や大きさ(容量)は任意である。