特許第6286356号(P6286356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルファー エルエルシーの特許一覧

特許6286356空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク
<>
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000002
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000003
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000004
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000005
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000006
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000007
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000008
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000009
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000010
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000011
  • 特許6286356-空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286356
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】空気処理マスクシステム、その関連方法、および空気処理マスク
(51)【国際特許分類】
   A62B 23/02 20060101AFI20180215BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   A62B23/02
   A62B18/02
【請求項の数】38
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-539030(P2014-539030)
(86)(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公表番号】特表2015-501190(P2015-501190A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】US2012062047
(87)【国際公開番号】WO2013063350
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】13/317,770
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514106982
【氏名又は名称】エルファー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,ロウェル エル.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】カレ,ジョーダン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ハイド,ロデリック エー.
(72)【発明者】
【氏名】バンゲラ,マハラクシュミ ギタ
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−236814(JP,A)
【文献】 特開2005−124873(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3170475(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0094514(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/006206(WO,A1)
【文献】 特表2002−539441(JP,A)
【文献】 特開2008−048978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 23/02
A62B 18/02
A62B 18/04
A62B 18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔への固定用部材を備えるマスク本体と、流入空気を処理するよう構成され、かつ、上記マスク本体に支持される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置と、を備えた装着型
の空気処理マスクと、
外気中の少なくとも1つの汚染物質の存在を検出するよう構成され、上記検出に応じて1つ以上の信号を出力するようにさらに構成される少なくとも1つの汚染物質センサーと、
上記少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される上記1つ以上の信号の受信に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を制御するように構成され、かつ、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置および上記少なくとも1つの汚染物質センサーと動作可能に連結される制御電気回路と、を備え、
上記制御電気回路は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置のフィルターリング強度を制御するように構成されることを特徴とする空気処理マスクシステム。
【請求項2】
上記装着型の空気処理マスクは、上記少なくとも1つの汚染物質センサーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項3】
上記装着型の空気処理マスクは、上記少なくとも1つの汚染物質センサーから離れていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項4】
上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、ユーザーに着用されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項5】
上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は、上記流入空気のフィルターリングを行うように構成された少なくとも1つの空気浄化フィルターを備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項6】
上記少なくとも1つの空気浄化フィルターは、少なくとも1つの受動型の空気浄化フィルターを備えていることを特徴とする請求項に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項7】
上記少なくとも1つの受動型の空気浄化フィルターは、繊維フィルター、活性炭およびゼオライト系フィルターの少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項8】
上記少なくとも1つの空気浄化フィルターは、上記流入空気をフィルターリングするように構成される少なくとも1つの能動型の空気浄化フィルターを備えていることを特徴とする請求項に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項9】
上記少なくとも1つの能動型の空気浄化フィルターは、静電フィルター、光学フィルターおよび化学活性系フィルターの少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項10】
上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、上記外気中の浮遊微小粒子を検出するように構成される少なくとも1つの粒子センサーを備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項11】
上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、上記外気中の1つ以上の化学汚染物質を検出するように構成される少なくとも1つの化学センサーを備えていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項12】
上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、上記1つ以上の信号を上記制御電気回路に無線伝達するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項13】
上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、上記1つ以上の信号を上記制御電気回路に伝達するように、上記制御電気回路と電気的または光学的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項14】
上記装着型の空気処理マスクは、上記制御電気回路と動作可能に連結される少なくとも1つのバルブを備え、
上記制御電気回路は、ユーザーに対する処理済みの空気の供給を制御するように上記少なくとも1つのバルブの動作を制御するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項15】
上記制御電気回路と連結されるデータ送信器をさらに備え、
上記データ送信器は、上記少なくとも1つ以上の信号に符号化させた汚染物質データに少なくとも関する情報を送信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項16】
上記データ送信器は、上記情報を無線送信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項17】
上記データ送信器は、電気的インターフェースを介して、上記情報を送信するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項18】
上記1つ以上の汚染物質センサーから出力される上記1つ以上の信号に符号化させた汚染物質データを格納するように構成されるメモリーモジュールをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項19】
上記装着型の空気処理マスクは、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置による処理が行われた空気を貯留するように構成される補助空気室を備えることを特徴とする請求項1に記載の空気処理マスクシステム。
【請求項20】
ユーザーが呼吸する外気の処理を行う方法であって、
少なくとも1つの汚染物質センサーを使用して、上記ユーザーが呼吸する外気中の少なくとも1つの汚染物質を検出する工程と、
上記少なくとも1つの汚染物質の検出に応じて、装着型の空気処理マスクの少なくとも
1つの制御可能な空気処理装置と、外気中の少なくとも1つの汚染物質の存在を検出するよう構成され、上記検出に応じて1つ以上の信号を出力するようにさらに構成される少なくとも1つの汚染物質センサーと、上記少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される上記1つ以上の信号の受信に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を制御するように構成され、かつ、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置および上記少なくとも1つの汚染物質センサーと動作可能に連結され、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置のフィルターリング強度を制御するように構成される制御電気回路とを使用して、上記ユーザーが呼吸する流入空気の処理を行う工程と、を含む方法。
【請求項21】
検出した上記少なくとも1つの汚染物質に関する情報を上記装着型の空気処理マスクの制御電気回路へ送信する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項22】
上記少なくとも1つの汚染物質の検出に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を配備する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項23】
検出した上記少なくとも1つの汚染物質に関する情報を符号化させた1つ以上のデータ信号を送信する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項24】
上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作に関する情報を符号化させた1つ以上のデータ信号を送信する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項25】
検出した上記少なくとも1つの汚染物質に関するデータを格納する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項26】
処理済みの空気を上記装着型の空気処理マスクの補助室内に貯留する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項27】
ユーザーが装着する装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置と、外気中の少なくとも1つの汚染物質の存在を検出するよう構成され、上記検出に応じて1つ以上の信号を出力するようにさらに構成される少なくとも1つの汚染物質センサーと、上記少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される上記1つ以上の信号の受信に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を制御するように構成さ
れ、かつ、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置および上記少なくとも1つの汚染物質センサーと動作可能に連結され、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置のフィルターリング強度を制御するように構成される制御電気回路との操作方法であって、
上記ユーザーが呼吸する外気中において、少なくとも1つの汚染物質センサーを使用して、少なくとも1つの汚染物質を検出する工程と、
上記少なくとも1つの汚染物質の検出に応じて、上記装着型の空気処理マスクの上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を変更する工程と、を含む方法。
【請求項28】
上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を使用して、流入空気の処理を行う工程をさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
顔への固定用部材を備えるマスク本体と、
流入空気の処理を制御可能に行うように構成され、かつ、上記マスク本体に支持される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置と、
外気中の少なくとも1つの汚染物質の存在を検出するように構成され、上記検出に応じて1つ以上の信号を出力するようにさらに構成される少なくとも1つの汚染物質センサーと、
上記少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される上記1つ以上の信号を受信することに応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を制御するように構成され、かつ、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置および上記少なくとも1つの汚染物質センサーと動作可能に連結され、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置のフィルターリング強度を制御するように構成される制御電気回路と、を備える装着型の空気処理マスク。
【請求項30】
上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は、上記流入空気のフィルターリングを行うように構成される少なくとも1つの空気浄化フィルターを備えることを特徴とする請求項29に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項31】
上記少なくとも1つの空気浄化フィルターは、少なくとも1つの受動型の空気浄化フィルターを備えていることを特徴とする請求項3に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項32】
上記少なくとも1つの受動型の空気浄化フィルターは、繊維フィルター、活性炭およびゼオライト系フィルターの少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項3に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項33】
上記少なくとも1つの空気浄化フィルターは、上記流入空気のフィルターリングを行うように構成される少なくとも1つの能動型の空気浄化フィルターを備えることを特徴とする請求項29に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項34】
上記少なくとも1つの能動型の空気浄化フィルターは、静電フィルター、光学フィルターおよび化学活性系フィルターの少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項33に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項35】
上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を配備するという上記制御電気回路の決定に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を配備するように構成される少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えることを特徴とする請求項29に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項36】
上記制御電気回路と動作可能に連結される少なくとも1つのバルブをさらに備え、
上記制御電気回路は、ユーザーへの処理済み空気の供給を制御する上記少なくとも1つのバルブの操作を制御するように構成されることを特徴とする請求項29に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項37】
上記少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される上記1つ以上の信号に符号化させた汚染物質データを格納するように構成されるメモリーモジュールをさらに備えることを特徴とする請求項29に記載の装着型の空気処理マスク。
【請求項38】
上記マスク本体は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置による処理が行われた空気を貯留するように構成される補助空気室を備えることを特徴とする請求項29に記載の装着型の空気処理マスク。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本願に開示の実施形態は、汚染物質データを符号化する少なくとも1つの汚染物質センサーから送信される1つ以上の信号に応じて制御される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置(例えば、能動型または受動型の空気浄化フィルター)を備える空気処理マスクシステム、これに関する操作方法、および空気処理マスクを対象とする。一実施形態においては、空気処理マスクシステムは、顔への固定用部材を含む装着型の空気処理マスクと、マスク本体に支持される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置とを備える。上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は、流入空気の処理を行うよう構成される。外気中の少なくとも1つの大気汚染物質の存在を検出し、この検出に応じて1つ以上の信号を出力するよう構成される少なくとも1つの汚染物質センサーが設けられる。制御電気回路は、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置および少なくとも1つの汚染物質センサーと動作可能に連結される。上記制御電気回路は、少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される1つ以上の信号の受信に応じて、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を制御するように構成される。
【0002】
他の一実施形態においては、装着型の空気処理マスクは、顔への固定用部材を備えるマスク本体と、上記マスク本体に支持される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置とを備える。上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は、流入空気の処理を制御可能に構成される。上記装着型の空気処理マスクは、外気中の少なくとも1つの汚染物質の存在を検出するよう構成され、さらには上記検出に応じて1つ以上の信号を出力するように構成された少なくとも1つの汚染物質センサーを備える。制御電気回路は、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置および少なくとも1つの汚染物質センサーと動作可能に連結される。上記制御電気回路は、少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される1つ以上の信号の受信に応じて、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を制御するように構成される。
【0003】
他の一実施形態においては、ユーザーが呼吸する外気の処理方法について開示する。上記方法は、少なくとも1つの汚染物質センサーを使用して、ユーザーが呼吸する外気中の少なくとも1つの汚染物質を検出する工程を含む。上記方法は、少なくとも1つの汚染物質の検出に応じて、装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を使用した流入空気の処理を行う工程をさらに含む。
【0004】
他の一実施形態においては、ユーザーによって装着される装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を操作する方法を開示する。上記方法は、少なくとも1つの汚染物質センサーを使用して、ユーザーが呼吸する外気中の少なくとも1つの汚染物質を検出する工程を含む。上記方法は、少なくとも1つの汚染物質を検出することに応じて、装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を変更する工程をさらに含む。
【0005】
上述の概要は一例に過ぎず、決して本発明を限定するものではない。図面および以下の詳細な説明を参照することにより、上述の本発明の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴についても明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】装着型の空気処理マスクを備える空気処理マスクシステムの実施形態を示す概略平面図である。
図2A図1に示す空気処理マスクシステムの実施形態を図1中の線分2−2に沿って示す概略部分断面図で、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は能動型の空気浄化フィルターとして構成される。
図2B図1に示す空気処理マスクシステムの実施形態を図1中の線分2−2に沿って示す概略部分断面図で、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は互いに連結する複数の能動型の空気浄化フィルターを含む。
図3図1に示す空気処理マスクシステムの実施形態を図1中の線分2−2に沿って示す概略部分断面図で、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は能動型の空気浄化装置として構成される。
図4図1に示す空気処理マスクシステムの実施形態を図1中の線分2−2に沿って示す概略部分断面図で、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は受動型の空気浄化フィルターとして構成される。
図5図1に示す空気処理マスクシステムの実施形態を図1中の線分2−2に沿って示す概略部分断面図で、装着型の空気処理マスクは処理済みの流入空気を貯留するための補助空気室を備える。
図6図1に示す空気処理マスクシステムの実施形態を図1中の線分2−2に沿って示す概略部分断面図で、装着型の空気処理マスクは、少なくとも1つのアクチュエータによって配備可能な少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を含み、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は非配備位置に示されている。
図7図6に示す空気処理マスクシステムを示す概略部分断面図で、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は配備位置に示されている。
図8】汚染物質情報または他のマスク動作情報を第三者または他の装置に送信するように構成された空気処理マスクシステムの実施形態を示す概略平面図である。
図9】空気処理マスクシステムにより外気を処理し、その結果として処理済みの流入空気を得る方法の実施形態を示すフローダイヤグラムである。
図10】装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の操作方法の実施形態を示すフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで開示する実施形態は、汚染物質データを符号化させる少なくとも1つの汚染物質センサーから出力される1つ以上の信号に応じて制御される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置(例えば、能動型または受動型の空気浄化フィルター)を有する空気処理マスクシステム、これに関連する操作方法、および空気処理マスクを対象とする。上記開示された空気処理マスクシステムは、ユーザーが外気中の有害化学物質または粒子状汚染物質を吸い込むことを防止するものであり、携帯可能で容易に使用できるものであってもよい。また、選択する1つ以上の大気汚染物質に汚染されている外気の処理(例えば、フィルターリング(濾過)または少なくとも部分的な中和)を行うように、特に構成されるか、またはこのように構成可能であってもよい。
【0008】
以下の詳細な説明では添付の図面を参照し、添付の図面は本願の一部を構成するものである。上記図面において、文脈により別の内容が意図されていない限り、通常の場合では、類似記号は類似要素を特定するものである。詳細な説明に記載された例示的な実施の形態、図面、および特許請求の範囲は、本発明の範囲を限定する意図のものではない。本明細書に示す発明特定事項の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、他の変更を加えてもよい。
【0009】
図1は、空気処理マスクシステム100の実施形態を示す概略平面図である。空気処理マスクシステム100は、ユーザーによって装着されるように構成されたマスク本体104を有する装着型の空気処理マスク102を備える。そして、一般的には、マスク本体104はユーザーの顔に適合するように構成される。上記空気処理マスクシステム100は、上記マスク本体104に支持される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106をさらに備える。上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106は、外気を処理済みの流入空気へと変換させる処理(例えば、フィルターリングまたは少なくとも部分的な中和)を行うよう配置および構成されている。上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106に関しては、異なる種類の多様な空気処理装置(例えば、受動型および能動型の空気浄化フィルター)を使用してもよい。これら異なる種類の多様な空気処理装置については、より詳細には、以下で説明する。一実施形態においては、制御可能な空気処理装置106は、外気をユーザーが呼吸する処理済みの流入空気へと変えるように、外気のフィルターリング、少なくとも部分的な中和、または少なくとも部分的な殺菌の少なくとも1つを行うよう構成される。使用において、ユーザーは、ユーザーおよび上記装着型の空気処理マスク102の周囲の外気から取り入れられ、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を介して処理済みの流入空気を呼吸することが可能になる。
【0010】
上記マスク本体104は任意の好適な構成を示してもよい。例えば、上記マスク本体104は、上記少なくとも1つの空気処理装置106を支持するように十分な剛性を有しつつも、ユーザーの顔に付け心地良く適合するように、十分な柔軟性を有する任意の好適な織物または樹脂、またはこれらの組み合わせを材料として作製されてもよい。上述の実施形態においては、上記装着型の空気処理マスク102を持ち運んだり、上記マスク本体104をユーザーの頭部に固定するために、上記マスク本体104に取り付けられたストラップ108が図示されている。しかし、図1に示すストラップ108以外に他の種類の顔への固定用部材を使用してもよい。
【0011】
上記空気処理マスクシステム100は、外気に暴露される少なくとも1つの汚染物質センサー110をさらに備える。上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は、外気中の少なくとも1つの大気汚染物質を検出し、これに応じて汚染物質データを符号化させた1つ以上の信号112を出力するように構成される。例えば、検出する少なくとも1つの大気汚染物質は、1種類以上の浮遊微小粒子(例えば、塵、花粉、またはエアロゾル)または1種類以上の化学汚染物質の少なくとも1つを含んでいてもよい。上記1種類以上の化学汚染物質は、例えば、オゾン(O)、窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物(SO)、一酸化炭素(CO)、または1種類以上の病原体の1つ以上を含んでいてもよい。
【0012】
上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は、多数の異なる汚染物質センサーから選択されてもよい。例えば、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は、外気中のCO(例えば、CO)、NO、SO(例えば、SO)、または外気中の他の種類のガスの濃度を測定するように構成される1つ以上の固体素子ガスセンサー型の汚染物質センサーを含んでいてもよい。このような固体素子ガスセンサー型の汚染物質センサーは、セラミック電気化学ガスセンサー、半導体ガスセンサー(例えば、化学抵抗ガスセンサー)、カーボンナノチューブ系ガスセンサー、または他の好適なセンサーであってもよい。上記少なくとも1つの汚染物質センサー110に使用し得る他の好適な汚染物質センサーは、光学技術(分光学(例えば、発光、燐光、蛍光、ラマンなど)、偏光解析法、干渉分光法(例えば、白色光干渉法、光導波路構造内のモード干渉分光法)、格子結合器または共振鏡などの光導波路構造内の導波モードの分光学、表面プラスモン共鳴(surface plasmon resonance)、または他の好適な技術のような光学技術を使用して、外気中の特定のガスまたは粒子状物質を検出するセンサーを含む。なお、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110に関しては、具体的な適用環境の要求または必要性に応じて、上述の種類の汚染物質センサーの少なくとも何れか1つ、2つ、または任意の組み合わせを使用してもよい。
【0013】
上記空気処理マスクシステム100は、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110および上記制御可能な空気処理装置106の両方と動作可能に連結される制御電気回路114をさらに備える。例えば、上記制御電気回路114は、電気的接続、光学的結合、または無線接続の少なくとも1つを介して上記少なくとも1つの汚染物質センサー110および上記制御可能な空気処理装置106の両方と動作可能に連結されてもよい。上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から出力され、受信された1つ以上の信号112に少なくとも部分的に基づいて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106の動作を制御するように構成される。図示しないが、電池または他の電源が、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110と、上記制御電気回路114と、能動型の空気処理装置である場合には上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106とに対して電力を供給してもよい。
【0014】
例示の実施形態においては、ユーザー入力を行うためのユーザーインターフェース116(例えば、コンピュータのタッチスクリーン、キーパッド、または他のコンピュータ装置など)が設けられている。上記ユーザーインターフェース116は、上記制御電気回路114と動作可能に連結されてもよい。上記ユーザーインターフェース116は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を制御する特定の操作特性をユーザーが選択することを可能にする。しかし、本明細書に開示された何れの実施形態においても、上記ユーザーインターフェース116を省略してもよい。例えば、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を選択された方法で制御するソフトウェア、ファームウェア、プログラム可能論理装置、または他の技術を介することで、上記制御電気回路114をユーザー入力に依らずに事前にプログラミングしてもよい。
【0015】
動作においては、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は、外気中の少なくとも1つの大気汚染物質の存在または不在を検出し、1つ以上の信号112を上記制御電気回路114に出力する。上記1つ以上の信号112に符号化された情報に基づいて、上記制御電気回路114は上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106の動作を制御する。一実施形態においては、上記制御電気回路114は、少なくとも1つの大気汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベルを上回ることを示す1つ以上の信号112に応じて、上記少なくとも1つの空気処理装置106を選択的に作動させる。一実施形態においては、上記制御電気回路114は、少なくとも1つの大気汚染物質が、ある種類の化学汚染物質またはある種類の浮遊微小粒子などのようなある種類の浮遊汚染物質を含んでいることを示す1つ以上の信号112に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を選択的に作動させる。一実施形態においては、上記汚染物質濃度の閾値レベルは、ユーザーの制限または制約事項に応じて決定される(例えば、ユーザーの具体的な要求または健康状態に基づいてカスタマイズすることが可能である)。例えば、一実施形態においては、本明細書に開示の少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106または空気処理マスクシステム100については、対象とする汚染物質、作動閾値の高低などをユーザー毎に調整できるよう構成される。
【0016】
上述のように、上記ユーザーインターフェース116は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を制御する特定の動作特性をユーザーが選択することを可能にする。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、上記汚染物質濃度の閾値レベルをユーザーが選択できるように構成されてもよい。上記汚染物質濃度の閾値レベルを超えると、上記制御電気回路114が上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を作動させる。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、ある種類の浮遊汚染物質の何れにより上記制御電気回路114が上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106を作動させるかをユーザーが選択できるように構成されてもよい。
【0017】
一実施形態においては、上記制御電気回路114および上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は上記マスク本体104と物理的に統合されてもよい。例えば、上記制御電気回路114および上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は、上記マスク本体104の内部または外部に実装されてもよい。一実施形態においては、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110はユーザーに装着可能であってもよく(例えば、ポーチ内に収められてもよく)、上記マスク本体104と物理的に統合され得る上記制御電気回路114と通信接続されてもよい。一実施形態においては、上記制御電気回路114は上記マスク本体104と物理的に統合されてもよく、その一方で、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は上記空気処理マスクシステム100から離間しており、上記制御電気回路114と無線通信接続される。例えば、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110は、室内、建物、道端、または他の好適な場所に配置されてもよいが、何れの場合においても、携帯電話などの他の装置を介して、直接的または間接的に上記制御電気回路114と無線通信接続される。一実施形態においては、上記制御電気回路114および上記少なくとも1つの汚染物質センサー110の両方が上記空気処理マスクシステム100から離間しており、上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106の動作を制御するために上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106と無線通信接続される。
【0018】
図2Aは、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106が能動型の空気浄化フィルター200として構成される空気処理マスクシステム100の実施形態を示す概略部分断面図である。能動型の空気浄化フィルター200は、静電フィルターまたは化学活性フィルターの少なくとも一方として構成されていてもよい。マスク本体104は、ユーザーが流入空気を呼吸しようとした場合に、装着型の空気処理マスク102の周囲の外気がベント202を介して上記能動型の空気浄化フィルター200に流れ込むように、上記能動型の空気浄化フィルター200と流体連結している複数のベント202を有してもよい。
【0019】
動作においては、上記装着型の空気処理マスク102の周囲の外気をユーザーが呼吸しようとするので、外気が上記ベント202を介して上記能動型の空気浄化フィルター200へと流れ込む。これにより、ユーザーが呼吸するフィルターリング済みの流入空気となる。上記少なくとも1つの汚染物質センサー110による汚染物質の検出に応じて、上記制御電気回路114が上記能動型の空気浄化フィルター200を作動させる場合、上記能動型の空気浄化フィルター200に流れ込む外気は、上記能動型の空気浄化フィルター200によってフィルターリングされ、フィルターリング済みの流入空気が、呼吸のためにユーザーに届けられる。上記制御電気回路114により上記能動型の空気浄化フィルター200が作動されない場合、ユーザーは、単純に、上記ベント202および上記能動型の空気浄化フィルター200を介して、フィルターリングされてない外気を呼吸することになる。
【0020】
上記制御電気回路114は、図1を参照して先に説明したように、上記能動型の空気浄化フィルター200を制御してもよい。例えば、上記制御電気回路114は、少なくとも1つの大気汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベルを超えていることを示す1つ以上の信号112に応じて、上記能動型の空気浄化フィルター200を選択的に作動させてもよい。または、上記制御電気回路114は、外気が、ある種類の化学汚染物質またはある種類の浮遊微小粒子などのように、ある種類の浮遊汚染物質を含むことを示す1つ以上の信号112に応じて、上記能動型の空気浄化フィルター200を選択的に作動させてもよい。
【0021】
一実施形態においては、上記制御電気回路114は、上記1つ以上の信号112に応じて上記能動型の空気浄化フィルター200を選択的に作動させるように構成されていることに加え、上記能動型の空気浄化フィルター200の特定のフィルターリング動作特性を制御してもよい。例えば、上記制御電気回路114は、上記能動型の空気浄化フィルター200のフィルターリング強度を変更するように構成されてもよく、上記能動型の空気浄化フィルター200を介してユーザーに届けられる気流速度を変更するように構成されてもよく、または、大気汚染物質のレベルが選択レベル(例えば、選択汚染物質濃度)となるまで、ユーザーが呼吸する空気を上記能動型の空気浄化フィルター200によりフィルターリングするよう構成されてもよい。
【0022】
上述のように、上記ユーザーインターフェース116は、上記能動型の空気浄化フィルター200の作動の基準となる特定の動作特徴をユーザーが選択することを可能にする。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、上記能動型の空気浄化フィルター200のフィルターリング強度、上記能動型の空気浄化フィルター200を介する気流速度、または、ユーザーによって呼吸される空気をフィルターリングする上記能動型の空気浄化フィルター200を作動させる汚染物質の選択レベルを、ユーザーが選択できるように構成されてもよい。
【0023】
図2Bに示す概略部分断面図を参照すると、一実施形態においては、連続配列される複数の能動型の空気浄化フィルター200−200が設けられている。上記複数の空気浄化フィルター200−200の各々は、上記制御電気回路114と動作可能に連結され、上記制御電気回路114により互いに独立して制御可能とされてもよい。上記複数の空気浄化フィルター200−200の各々は、異なる大気汚染物質を選択的にフィルターリングするように構成されてもよい。例えば、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の1つは、ある粒子をフィルターするように構成されてもよい一方で、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の他の1つは、ある化学物質(例えば、O、NO、またはSO)をフィルターするように構成されてもよい。上記制御電気回路114は、1つ以上の信号112に少なくとも部分的に基づいて、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の特定の1つ以上を選択的に作動させるように構成されてもよい。一実施形態においては、上記制御電気回路114は、上記能動型の空気浄化フィルター200−200のうち選択される1つ以上の空気浄化フィルターのフィルターリング対象となる外気中の1つ以上の特定の汚染物質の存在を示す1つ以上の信号112に応じて、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の1つ以上を選択的に作動させるように構成されることに加えて、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の特定のフィルターリング動作特徴を制御してもよい。例えば、上記制御電気回路114は、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の1つ以上のフィルターリング強度を変化させるか、積層されている上記能動型の空気浄化フィルター200−200を介してユーザーに送られる流入空気量を変化させるか、または、積層されている上記能動型の空気浄化フィルター200−200により流入空気のフィルターリングを行うことで、ユーザーが呼吸する流入空気中の大気汚染物レベルを選択レベル(例えば、汚染物質の選択濃度)まで低下させるように構成されていてもよい。一実施形態においては、フィルターリング経路の長さについては、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の1つ以上を選択的に作動させることにより制御してもよい。例えば、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の一部のみが動作している場合のフィルターリング経路の長さは短くなるが、これと比較して、上記能動型の空気浄化フィルター200−200の全てが動作している場合のフィルターリング経路の長さは比較的長くなる。
【0024】
図3は、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106が能動型の制御可能な空気処理装置300として構成されている空気処理マスクシステム100の実施形態を示す概略部分断面図である。能動型の制御可能な空気処理装置300は、光学フィルター(レーザー、発光ダイオード(LED)、またはランプの少なくとも1つなど)として構成されてもよい。マスク本体104は複数のベント302を備えていてもよい。上記複数のベント302は内部空気室304と流体連結している。さらに、上記内部空気室304は複数のベント部306と流体連結している。これにより、ユーザーが流入空気を呼吸しようとする場合、装着型の空気処理マスク102の周囲の外気が上記複数のベント部302、上記内部空気室304、および上記複数のベント部304を介して流れ込むようになっている。
【0025】
上記能動型の制御可能な空気処理装置300は、導波路310(例えば、光ファイバー)を介して、選択波長または選択波長領域の光を出力する光源308(1つ以上のレーザー、1つ以上のLED、またはランプなど)を備えてもよい。上記光源308から出力される光は、上記内部空気室304内のユーザーが呼吸する流入空気を照射するように、上記導波路310を介して上記内部空気室304へと届けられる。例えば、赤外線波長光または紫外線波長光は、多くの一般的な浮遊病原体を部分的に中和または破壊するのに好適である。一実施形態においては、上記導波路310は省略されてもよく、上記光源308は、上記内部空気室304に対して直接的に光を出力してもよい。上記能動型の制御可能な空気処理装置300は、胞子、細菌、またはウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)などの流入空気中に存在する浮遊病原体を少なくとも部分的または完全に中和(例えば、殺菌)するのに適し得る。図示しないが、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106が能動型の制御可能な空気処理装置である場合、電池または他の電源によって上記少なくとも1つの汚染物質センサー110、上記制御電気回路114、または上記光源に対して電力を供給してもよい。
【0026】
動作においては、ユーザーが上記装着型の空気処理マスク102の周囲の外気を呼吸しようとすることにより、外気は流入空気として上記ベント302を介して上記内部空気室304内へと流れ込む。一実施形態においては、上記流入空気は、上記制御可能な空気処理装置300によって処理され、ユーザーに呼吸される外気である。上記制御電気回路114は、上記光源に光を出力するよう指示する。上記制御電気回路114の指示を受けて上記光源から出力された光は、上記導波路310を介して上記内部空気室304へと届けられ、上記内部室304を流れる外気中の浮遊病原体を照射し、これを部分的または略完全に中和する。この結果、ユーザーが呼吸する少なくとも部分的に中和された流入空気が得られる。上記少なくとも部分的に中和された流入空気は、ユーザーが呼吸できるように上記複数のベント306を通過する。
【0027】
上記制御電気回路114は、図1を参照して先に説明したように、上記能動型の制御可能な空気処理装置300を制御してもよい。例えば、上記制御電気回路114は、外気中に存在する病原体が汚染物質濃度の閾値レベルを超えて存在することを示す1つ以上の信号112に応じて、光を出力するように上記能動型の制御可能な空気処理装置300を選択的に作動させてもよい。または、上記制御電気回路114は、ある種の病原体などのようにある浮遊汚染物質が外気に含まれていることを示す1つ以上の信号112に応じて、能動型の空気浄化フィルター200を選択的に作動させてもよい。
【0028】
上述のように、上記ユーザーインターフェース116は、上記能動型の制御可能な空気処理装置300の作動の基準となる特定の動作特性をユーザーが選択することを可能にする。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、上記光源308から出力される光の強度と、所定値以上で上記外気に上記光源308を照射する汚染物質濃度の閾値レベルと、または上記能動型の制御可能な空気処理装置300が、ユーザーによって呼吸される外気をフィルターする際の到達目標となる汚染物質の選択レベルとを、ユーザーが選択できるように構成されてもよい。
【0029】
図4は、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106が受動型の空気浄化フィルター400として構成される空気処理マスクシステム100の実施形態を示す概略部分断面図である。例えば、受動型の空気浄化フィルター400は、繊維フィルター(例えば、HEPAフィルター)、活性炭、またはゼオライト系フィルターの少なくとも1つを含んでもよい。装着型の空気処理マスク102はポート402を備える。ユーザーの呼吸に応じて、外気は流入空気として上記ポート402を通過して、少なくとも1つのバルブ404へと流れてもよい。例えば、上記少なくとも1つのバルブ404は電子的に作動されるバルブであってもよい。上記少なくとも1つのバルブ404は、選択的に、流入空気が上記受動型の空気浄化フィルターに流れるようにしてもよい。流入空気は上記受動型の空気浄化フィルター400を通過することにより、上記受動型の空気浄化フィルター400によりフィルターリングされるため、処理済みの流入空気406がユーザーに届けられる。また、上記少なくとも1つのバルブ404は、選択的に、上記ポート402を通過する外気が上記ポート408に流れるようにしてもよい。フィルターリングが行われない条件では、外気410が上記ポート408を介してユーザーへ届けられる。図示しないが、電池により、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110、上記制御電気回路114、および上記少なくとも1つのバルブ404に対して電力を供給してもよい。
【0030】
動作においては、最初に、少なくとも1つのバルブ404は、ユーザーが上記受動型の空気浄化フィルター400または上記ポート408を介して流れ込む外気を呼吸するような構成であってもよい。外気は、上記受動型の空気浄化フィルター400または上記ポート部408を介して流れることにより、ユーザーの呼吸用の流入空気となる。ユーザーが上記装着型の空気処理マスク102の周囲の外気を呼吸しようとすることにより、外気は上記ポート402を介して上記少なくとも1つのバルブ404へと流れ込む。上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から出力される1つ以上の信号112に応じて、上記少なくとも1つのバルブ402に選択的に指示を与え、フィルターリング作業を行うために流入空気が上記受動型の空気浄化フィルター400に流れることを可能にする。例えば、上記制御電気回路114は、汚染物質(例えば、化学物質または粒子状汚染物質)が汚染物質濃度の閾値レベルを超えて外気中に存在することを示す1つ以上の信号112に応じて、上記少なくとも1つのバルブ404を選択的に制御し、外部から取り入れられた流入空気が上記受動型の空気浄化フィルター400に流れることを可能にしてもよい。または、上記制御電気回路114は、ある種類の病原体などのように、ある種類の浮遊汚染物質が外気に含まれることを示す1つ以上の信号112に応じて、上記少なくとも1つのバルブ404を選択的に開き、外部から取り入れられた流入空気が上記受動型の空気浄化フィルター400に流れることを可能にしてもよい。上記1つ以上の汚染物質センサー110から出力される1つ以上の信号112が、実質的に如何なる浮遊病原体(例えば、選択種類の浮遊汚染物質)も外気に含まれていないこと、または外気に含まれる浮遊汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベル未満であることを示す場合、上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つのバルブ404を選択的に制御し、流入空気がフィルターリングを受けずに呼吸されるように、流入空気が上記ポート408を介してユーザーまで流れることを可能にしてもよい。または、これと代替的に、上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つのバルブ404を作動させず、規定されるように流入空気が上記受動型の空気浄化フィルター400を通過することを可能にしてもよい。
【0031】
上記ユーザーインターフェース116は、上記少なくとも1つのバルブ404の動作の基準となる特定の動作特性をユーザーが選択することを可能にする。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、所定値以上で流入空気を上記受動型の空気浄化フィルター400に向けて流すように、上記制御電気回路114が上記少なくとも1つのバルブ404を制御する汚染物質濃度の閾値レベルをユーザーが選択できるように構成されてもよい。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、何れの種類の浮遊病原体に起因して、上記制御電気回路114が流入空気を上記受動型の空気浄化フィルター400に向けて流すように、上記少なくとも1つのバルブ404を制御するかをユーザーが選択できるように構成されてもよい。
【0032】
一実施形態においては、上記制御電気回路114は、どの程度の流入空気が上記受動型の空気浄化フィルター400に流れ、上記受動型の空気浄化フィルター400によりフィルターリングされるかを制御してもよい。例えば、一実施形態においては、流入空気の一部の側流(例えば、体積で60%)が上記受動型の空気浄化フィルター400を介して流れる一方で、残りの外気(例えば、体積で40%)は上記ポート408を通過する。一実施形態においては、上記少なくとも1つのバルブ404は、流入空気が通過するフィルターの種類を制御してもよい。例えば、上記受動型の空気浄化フィルター400は、複数の受動型または能動型の空気浄化フィルターを備えていてもよく、上記制御電気回路114は、流入空気が複数のフィルターのうち選択された1つに流れるように上記少なくとも1つのバルブ404を制御してもよい。
【0033】
図5は、装着型の空気処理マスク102のマスク本体104が処理済みの流入空気を内部に貯留する補助空気室500を備える空気処理マスクシステム100の実施形態を示す概略部分断面図である。図5に示す例示的な一実施形態においては、少なくとも1つの制御可能な空気処理装置106は受動型の空気浄化フィルター502として構成されるが、これに代えてまたはこれに加えて、本明細書に開示の能動型の空気処理装置の何れか1つ以上を使用してもよい。例えば、受動型の空気浄化フィルター502は、繊維フィルター、活性炭、またはゼオライト系フィルターの少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
受動型の空気浄化フィルター502は、外気が上記補助空気室500へ向かう流入空気として一方向バルブ506を通り抜けるように、一方向バルブ506と流体連結している。上記一方向バルブ506は、ユーザーによって呼吸され、かつ、上記受動型の空気浄化フィルター502によってフィルターリングされた流入空気が、貯留用の上記補助空気室500内へ流れ込むことを可能にするようにのみ構成されている。上記補助空気室500と流体連結している流量制御バルブ508(例えば、電子制御バルブ)が設けられる。上記流量制御バルブ508は上記制御電気回路114によって制御される。図示しないが、電池により、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110、上記制御電気回路114、および上記流量制御バルブ508に電力を供給してもよい。
【0035】
動作においては、上記制御電気回路114は、上記流量制御バルブ508に対して、上記受動型の空気浄化フィルター502がフィルターリングした流入空気のみが呼吸のためにユーザーに届けられるように定期的に開閉するよう指示を与える。このように繰り返し行われる上記流量制御バルブ508の開閉のタイミングは、ユーザーが息を吐き出した場合、上記流量制御バルブ508により呼気が流体管510を介して流れるよう選択される。上記流体管510は上記流量制御バルブ508と流体連結し、上記マスク本体102内を通り抜けている。呼気を上記流体管510を介して流すことで、上記補助空気室500の内部が呼気により満たされないようにしている。上記補助空気室500は、一般的には、処理済みの流入空気用にのみ用いられる。一実施形態においては、流入空気は、上記受動型の空気浄化フィルター502に処理された外気を含む。
【0036】
上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から出力される1つ以上の信号112に応じて、上記流量制御バルブ508に対して、ユーザーの呼吸と概ね一致している制御方法で開閉するように選択的に指示を与えてもよい。例えば、上記制御電気回路114は、外気中に汚染物質(例えば、化学物質または粒子状汚染物質)が汚染物質濃度の閾値レベルを超えて存在していることを示す1つ以上の信号112に応じて、上記補助空気室500に貯留されている実質的にフィルターリング済みの流入空気のみが上記流量制御バルブ508を流れてユーザーの呼吸に供されるように、上記流量制御バルブ508を選択的に開閉させてもよい。流入空気に浮遊汚染物質(例えば、選択される浮遊汚染物質)が実質的に含まれていないこと、または浮遊汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベル未満であることを上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から出力される1つ以上の信号112が示す場合、上記制御電気回路114は、未フィルターリングの流入空気をユーザーが上記流体管510を介して呼吸するような位置に上記流量制御バルブ508を維持してもよい。
【0037】
ユーザーインターフェース116は、上記流量制御バルブ508の動作の基準となる特定の動作特性をユーザーが選択することを可能にする。例えば、一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、所定値未満では未フィルターリングの外気をユーザーが上記流体管5100を介して呼吸できるように、上記制御電気回路114が上記流量制御バルブ508を制御するための閾値となる汚染物質濃度の閾値レベルをユーザーが選択できるよう構成されてもよい。
【0038】
図6は、装着型の空気処理マスク102が、少なくとも1つのアクチュエータ602により配備可能な本願開示の受動型の空気浄化フィルターの何れかとして構成される少なくとも1つの制御可能な空気処理装置600を含んでいる空気処理マスクシステム100の実施形態の概略部分断面図である。上記少なくとも1つのアクチュエータ602は、圧電アクチュエータ、磁気駆動アクチュエータと、静電駆動アクチュエータと、形状記憶合金アクチュエータとの少なくとも1つ、または他の好適なアクチュエータで構成されてもよい。図示しないが、電池により、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110、上記制御電気回路114、および上記少なくとも1つのアクチュエータ602に対して電力を供給してもよい。
【0039】
図6は、非配備位置の少なくとも1つの制御可能な空気処理装置600を示す。非配備位置では、上記受動型の空気浄化フィルター600は、マスク本体102を介して延伸する呼吸ポート640を遮ることが実質的にないように、上記マスク本体102の内部に格納されている。上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から上記制御電気回路114に出力される1つ以上の信号112が、外気中に浮遊汚染物質(例えば、選択される浮遊汚染物質)が実質的に含まれていないこと、または浮遊汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベル未満であることを示す場合、上記制御電気回路114は、上記少なくとも1つのアクチュエータ602に対して、上記受動型の空気浄化フィルター600の配備を命じるような指示を与えない。
【0040】
図7に示すように、上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から上記制御電気回路114に対して出力される1つ以上の信号112が、外気中に一定の浮遊汚染物質が含まれていること、または外気中の浮遊汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベルを超えていることを示す場合、上記制御電気回路114は、上記受動型の空気浄化フィルター600が配備して呼吸ポート604を遮るように上記受動型の空気浄化フィルター600を物理的に移動させることを命じる指示を上記少なくとも1つのアクチュエータ602に対して与える。上記受動型の空気浄化フィルター600が配備される場合、ユーザーが呼吸することになる外気は、ユーザーが呼吸する前に流入空気として上記受動型の空気浄化フィルター600によりフィルターリングされる。上記少なくとも1つの汚染物質センサー110から上記制御電気回路114に対して出力される1つ以上の信号112が、外気中に浮遊汚染物質(例えば、選択される浮遊汚染物質)が実質的に含まれていないこと、または浮遊汚染物質が汚染物質濃度の閾値レベル未満であることを示す場合、上記制御電気回路114は、上記受動型の空気浄化フィルター600を図6に示す非配備位置に物理的に移動させ、引っ込ませることを命じる指示を上記少なくとも1つのアクチュエータ602に対して与えてもよい。
【0041】
一実施形態においては、上記受動型の空気浄化フィルター600は、特定の汚染物質をフィルターリングするように準備されてもよい。他の一実施形態においては、上記受動型の空気浄化フィルター600は、各々が異なる汚染物質を選択的にフィルターリングするよう構成される複数の異なる受動型の空気浄化フィルターを含む。例えば、受動型の空気浄化フィルターの1つは特定の浮遊微小粒子をフィルターリングするように構成されてもよく、その一方で、他の受動型の空気浄化フィルターは特定の化学物質をフィルターリングするように構成されてもよい。異なるフィルターの選択性は、孔のサイズ、表面構成、線維組成、または受動型の空気浄化フィルターの選択される他の物理的または化学的特性に基づくものでもよい。
【0042】
ユーザーインターフェース116は、上記少なくとも1つのアクチュエータ602の動作の基準となる特定の動作特性をユーザーが選択することを可能にする。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、所定値以上で、上記受動型の空気浄化フィルター600を配備するように命じる指令を上記制御電気回路114が上記少なくとも1つのアクチュエータ602に対して与えるように、その閾値となる汚染物質濃度の閾値レベルをユーザーが選択できるように構成されてもよい。一実施形態においては、上記ユーザーインターフェース116および上記制御電気回路114は、上記受動型の空気浄化フィルター600を配備するように命じる指令を上記制御電気回路114が上記少なくとも1つのアクチュエータ602に対して与えるための起因となる特定種類の浮遊汚染物質をユーザーが選択できるように構成されてもよい。
【0043】
図8は、汚染物質情報を第三者または他の装置へ送信するように構成される空気処理マスクシステム800の実施形態の図である。上記空気処理マスクシステム800は、制御電気回路804と、外気中の汚染物質レベルの検出に応じて、汚染物質データを符号化させた1つ以上の信号808を上記制御電気回路804に対して出力する少なくとも1つの汚染物質センサー806と連携する少なくとも1つの装着型の空気処理マスク802を備える。ユーザー入力を入力するためのユーザーインターフェース807(例えば、例えば、コンピュータのタッチスクリーン、キーパッド、または他のコンピュータ装置など)が設けられる。上記ユーザーインターフェース807は、上記制御電気回路804と動作可能に連結されていてもよい。上記ユーザーインターフェース807は、上記少なくとも1つの装着型の空気処理マスク802の少なくとも1つの制御可能な空気処理装置に対して行う制御の基準となる特定の操作特性をユーザーが選択することを可能にする。上記少なくとも1つの装着型の空気処理マスク802、上記制御電気回路804、上記少なくとも1つの汚染物質センサー806、および上記ユーザーインターフェース807は、これまでに説明を行ってきた空気処理マスクシステムの実施形態(図1〜7に図示および説明を行ってきた空気処理マスクシステムの実施形態)の何れかとして構成されてもよい。
【0044】
一実施形態においては、メモリー810が設けられる。上記メモリー810は、上記制御電気回路804または上記少なくとも1つの汚染物質センサー806と動作可能に連結されるメモリー電気回路(例えば、メモリーモジュール内に組み込まれるメモリー電気回路)を備える。例えば、上記メモリー810は、上記1つ以上の信号808に符号化される汚染物質データ、または上記少なくとも1つの装着型の空気処理マスク800に関する動作(上記装着型の空気処理マスク800の制御可能な空気処理装置が行うフィルターリングまたは処理動作など)特性を記憶してもよい。
【0045】
一実施形態においては、上記制御電気回路804と動作可能に連結されるデータ送信器812が設けられる。上記データ送信器812は、上記制御電気回路804から送信される1つ以上の信号808に符号化された汚染物質データに関する情報、または上記少なくとも1つの装着型の空気処理マスク802(上記少なくとも1つの装着型の空気処理マスク802の少なくとも1つの制御可能な空気処理装置が行うフィルターリングまたは処理動作など)に関する情報を受信し、上記1つ以上の信号808をこうした情報を符号化させた1つ以上の送信データ信号814として送信するように上記制御電気回路804と動作可能に連結される。例えば、上記データ送信器812は、高周波データ送信器、光学データ送信器(例えば、赤外光または可視光を発光)、1つ以上の送信データ信号814を他の装置内の対応構成の電気的インターフェース(例えば、USBプラグ)に対して送信することを可能にするように構成される物理電気的インターフェース(例えば、USBプラグ)、または他の好適なデータ送信器で構成されてもよい。
【0046】
上記データ送信器812は、上記1つ以上の送信データ信号814を他の装置(他者820のパーソナルコンピュータ816または携帯装置818(例えば携帯電話)の少なくとも1つなど)、または、上記装着型の空気処理マスク802または本願開示の空気処理マスクシステムの何れかと同一または類似の構成の他の装着型の空気処理マスク822へ送信してもよい。一実施形態においては、上記他の装置は、対象となる医者や公衆防疫官やそれ以外の者に関連付けられていてもよい。一実施形態においては、上記1つ以上の送信データ信号814の送信は、上記1つ以上の送信データ信号814の多重送信が経時的に間隔を空けて行われるように、時間間隔が空けられていてもよい。これにより、例えば、汚染物質レベルを経時的に追跡することができる。他の一実施形態においては、上記1つ以上の送信データ信号814の送信は複数領域で行われてもよい。例えば、上記制御電気回路802内に埋め込まれるか、または上記制御電気回路802と関連付けられている位置センサーが、ユーザーが選択した距離以上に移動して異なる場所に移動したことを検出した場合、上記1つ以上の送信データ信号814の送信が行われてもよい。
【0047】
動作データおよび汚染物質データの報告を第三者または他の装置に対して行うための上記データ送信器812の使用に代えて、またはこれに加えて、視覚表示器815を設けてもよい。上記視覚表示器815は、上記制御電気回路804と動作可能に連結されている。例えば、上記視覚表示器815は、1つ以上のLEDなどの発光素子であってもよい。上記視覚表示器815は、上記装着型の空気処理マスク802に取り付けられてもよく、またはこれに組み込まれてもよい。動作においては、上記制御電気回路804は、外気中に浮遊汚染物質が汚染物質濃度閾値レベルを超えて存在していることを示す1つ以上の信号808に応じて、外気中に特定種類の浮遊汚染物質が存在していることを示す1つ以上の信号808に応じて、または他の好適な汚染物質情報に応じて、上記視覚表示器815に光を出力するよう指示する。一実施形態においては、上記第三者は、例えば、医者、ユーザー、保険提供者、厚生施設、または、他の医療施設または医療提供者を含む。
【0048】
一実施形態においては、上記視覚表示器815に代えて、またはこれに加えて、警報器を使用してもよい。例えば、上記警報器は、外気中に浮遊汚染物質が汚染物質濃度閾値レベルを超えて存在していることを示す1つ以上の信号808に応じて、外気中に特定種類の浮遊汚染物質が存在していることを示す1つ以上の信号808に応じて、または他の好適な汚染物質情報に応じてヒトの可聴音を発する声警報器を含んでいてもよい。上記音声警報器または上記視覚表示器815は、上記装着型の空気処理マスク802を装着して、これを利用するようにユーザーに対して警告を与える。
【0049】
図9は、空気処理マスクシステム(本願開示の空気処理マスクシステムの何れかなど)を用いて外気を処理する方法900の実施形態を示すフロー図である。上記方法900は、少なくとも1つの汚染物質センサーを使用して、ユーザーが呼吸する外気中の少なくとも1つの大気汚染物質を検出する工程902を含む。例えば、上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、浮遊微小粒子または化学汚染物質を検出するための少なくとも1つの汚染物質センサー110で、先に説明を行ってきた汚染物質センサーの何れかを含んでもよい。さらに、上記少なくとも1つの汚染物質センサーは、上記装着型の空気処理マスクから離間して配置されてもよく、または上記装着型の空気処理マスクに物理的に組み込まれてもよい。上記方法900は、少なくとも1つの大気汚染物質の検出に応じて、装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を使用して流入空気を処理し、その結果として処理済みの流入空気を得る工程904をさらに含む。例えば、上記装着型の空気処理マスクは、図1〜7に示す装着型の空気処理マスクの何れかで構成されてもよい。上記工程904は、上記少なくとも1つの汚染物質センサーに検出され、上記装着型の空気処理マスクの制御電気回路へ送信される汚染物質に応じて実行されてもよい。
【0050】
一実施形態においては、上記工程900では、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を使用した流入空気のフィルターリングまたは少なくとも部分的な中和(例えば、殺菌)を含んでいてもよい。例えば、上記工程900では、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を使用した流入空気の受動型または能動型のフィルターリングを含んでいてもよい。
【0051】
一実施形態においては、上記方法900は、上記工程902での少なくとも1つの大気汚染物質の検出に応じて、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を配備することを含んでいてもよい。例えば、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置は、図6および7に図示して説明を行った少なくとも1つのアクチュエータを介して配備または非配備されてもよい。
【0052】
一実施形態においては、上記方法900は、検出を行った上記少なくとも1つの大気汚染物質に関する情報を符号化させた1つ以上のデータ信号または上記装着型の空気処理マスクの動作特性を送信する工程をさらに備えていてもよい。例えば、上記1つ以上のデータ信号は、第三者または他の装置(他の空気処理マスクシステムなど)に対して送信されてもよい。
【0053】
図10は、装着型の空気処理マスク(本願開示の空気処理マスクまたは空気処理マスクシステムの何れか)の少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を作動させる方法1000の実施形態を示すフロー図である。上記方法1000は、少なくとも1つの汚染物質センサーを使用して、ユーザーが呼吸する外気中の少なくとも1つの汚染物質を検出する工程1002を含む。上記方法1000は、検出した上記少なくとも1つの大気汚染物質に応じて、上記装着型の空気処理マスクの少なくとも1つの制御可能な空気処理装置の動作を変更する工程1004をさらに含む。
【0054】
一実施形態においては、上記工程1004は、外気を処理し、その結果としてユーザーが呼吸する、処理済みの流入空気を得るために、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を配備または非配備することを含む。一実施形態においては、上記工程1004は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置が流入空気を処理することを防止することを含んでいる。
【0055】
一実施形態においては、上記方法1000は、上記少なくとも1つの制御可能な空気処理装置を使用して流入空気の処理を行うことをさらに含む。例えば、流入空気の処理は、外気を少なくとも部分的に中和(例えば、殺菌)することで、これをユーザーが呼吸する、少なくとも部分的に中和した流入空気に変えることを含んでもよい。または、外気をフィルターリングすることにより、これをユーザーが呼吸するフィルターリング済みの流入空気とすることを含んでもよい。
【0056】
一実施形態においては、本願開示の装置、システム、または方法は、脳卒中などの発作の予防に適用可能である。
【0057】
本明細書を読んだ者であれば、最新の技術は進歩を遂げ、ハードウェアでのシステム態様の実現とソフトウェアでのシステム態様の実現との間には僅かな差異のみが残るだけであることを認識されるであろう。ハードウェアおよびソフトウェアの何れを使用するかは、一般的には(特定の文脈においてはハードウェアおよびソフトウェアの選択が重要になり得るため、常時ではないが)コストと効率との間のトレードオフを表す設計上の選択である。本明細書を読んだ者であれば、本明細書に記載の工程および/またはシステムおよび/または他の技術の成立を可能にする多様な媒体(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)があることを理解されるであろう。また、好ましい媒体は、工程および/またはシステムおよび/または他の技術が配備される文脈に応じて異なることも理解されるであろう。例えば、実装者は、速度および正確性が最も重要であるとの決定を下した場合、主にハードウェアおよび/またはファームウェアの媒体を選択するであろう。またはこれと代替的に、柔軟性が最も重要となる場合、実装者は、主にソフトウェアの実装を選択するであろう。またはこれと代替的に、実装者は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組み合わせを選択してもよい。したがって、本明細書に記載の工程および/または装置および/または他の技術を成立させ得る媒体が幾つか存在する。これら媒体は、配備される状況および実装者の具体的な関心事項(例えば、速度、柔軟性、または予測可能性)に応じて選択されるものであり、選択される媒体が他の媒体と比べて本質的に優位性を有しているわけではない。また、媒体を配備する状況および実装者の具体的な関心事項も変化し得る。本明細書を読んだ者であれば、実施の最適な態様においては、典型的には、最適なハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアが採用されることを理解するであろう。
【0058】
上述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート、および/または実施例を使用して装置および/または工程の多様な実施形態の説明を行った。こうしたブロック図、フローチャート、および/または実施例が1つ以上の機能および/または動作を含んでいる場合、当業者であれば、上記ブロック図、フローチャート、または実施例内の各機能および/または動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質的にこれらの任意の組み合わせにより、個別的または全体的に実施可能であることが理解できるであろう。一実施形態においては、本明細書に記載の発明特定事項の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、デジタル信号処理装置(DSPs)、または他の集積フォーマットを介して実装されてもよい。しかし、当業者であれば、本明細書に記載の一部の態様は全体的または部分的に、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラム)、1つ以上のプロセッサ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で実行される1つ以上のプログラム)、ファームウェア、または実質的にこれらの任意の組み合わせとして、集積回路内で同等に実施可能であることが理解できるであろう。また、開示内容に照らしてみれば、回路構成の設計および/またはソフトウェアまたはファームウェア用のコードの作成は十分に当業者の技術範囲内であることも理解できるであろう。さらに、本明細書を読んだ者であれば、本明細書に記載の発明特定事項の機序は、多様な形態のプログラム製品として流通可能であることを理解できるであろう。また、本明細書に記載の発明特定事項の例示の実施形態は、実際に流通を行うために使用される信号を含む媒体の具体的な種類に関わらずに適用されることも理解できるであろう。信号を含む媒体の例は、記録可能型の媒体(フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリーなど)および伝送型の媒体(デジタルおよび/またはアナログ通信媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)など)を含むが、これらに限定されない。
【0059】
一般的な意味では、本明細書に記載の多様な実施形態は、広範囲の電気要素(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質的にこれらの任意の組み合わせなど)および機械力または運動を付与する広範囲の要素(剛体、スプリングまたはねじれ体、水力学、および電磁作動装置、または実質的にこれらの任意の組み合わせなど)を有する多種の電気機械系により個別的または全体的に実装可能である。したがって、本明細書に使用するように、「電気機械系」は、トランスデューサ(例えば、アクチュエータ、モータ、圧電性結晶など)と動作可能に連結される電気回路、少なくとも1つの個別電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムにより設定される汎用演算装置(例えば、本明細書に記載の工程およい/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムにより設定される汎用コンピュータ、または本明細書に記載の工程および/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムにより設定されるマイクロプロセッサ)を構成する電気回路、メモリー装置(例えば、ランダムアクセスメモリーの形態)を構成する電気回路、通信装置(例えば、モデム、通信スイッチ、または光学電気機器)を構成する電気回路、およびこれらの非電気的な類似物(光学類似物または他の類似物)を含むが、これらに限定されない。当業者であれば、電気機械系の例は、多様な家庭用電子系並びに他のシステム(電動輸送システム、工場の製造工程自動化システム、セキュリティーシステム、および通信/演算システム)を含むが、これらに限定されないことを理解するであろう。当業者であれば、本明細書中において使用する電気機械は、別段の定めが無い限り、電気駆動および磁気駆動の両方を有するシステムに必ずしも限定されないことを理解するであろう。
【0060】
一般的な意味では、本明細書中に記載の多様な態様は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにより個別的または全体的に実装可能な態様であり、多様な種類の「電気回路」から構成されていると見なすことができる。したがって、本明細書中において使用するように、「電気回路」は、少なくとも1つの個別電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムにより設定される汎用演算装置を構成する電気回路(例えば、本明細書に記載の工程および/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムにより設定される汎用コンピュータ、または本明細書に記載の工程および/または装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムにより設定されるマイクロプロセッサ)、メモリー装置を構成する電気回路(例えば、ランダムアクセスメモリーの形態)、および/または通信装置(例えば、モデム、通信スイッチ、または光学電気機器)を構成する電気回路を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の発明特定事項は、アナログまたはデジタル様式またはこれらの一部の組み合わせにより実装されてもよい。
【0061】
本願記載の要素(例えば、工程)、装置、および目的と、これらに付随の説明は、概念上の明瞭性のために一例として使用されている。したがって、本明細書中で使用するように、記載の具体例およびその付随の説明は、より一般的な部類を代表するように意図したものである。一般的に、本明細書中における具体例の使用は、個々の具体例が属する部類を代表するように意図したものである。そして、本明細書中に具体的な要素(例えば、工程)、装置、および目的を含めないからといって、これらを除外するような制限が所望されることを示唆するものではない。
【0062】
本明細書中における実質的に複数または単数形の用語の使用に関しては、本明細書を読んだ者であれば、文脈および/または適用場面に応じて適切に複数形から単数形または単数形から複数形に読み替えることができるであろう。明瞭化のため、本明細書中において単数形/複数形の多様な置き換えを明示することはしない。
【0063】
本願記載の発明特定事項は、異なる要素に含まれるか、またはこれと接続される他の異なる要素を説明することがある。このように記述される構造は一例に過ぎず、実際には、同一の機能性を実現する他の多くの構造を導入することができることを理解できるであろう。概念的な意味では、同一の機能性を実現する要素の任意の構成は、所望の機能性を実現するように効果的に「関連付けられている」。したがって、特定の機能性を実現するよう組み合わされている本願の任意の2つの要素に関しては、構造または中間要素に関わらず、所望の機能性を実現するように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、このように関連付けられている任意の2つの要素に関しては、所望の機能性を実現するように互いに「動作可能に接続されている」または「動作可能に連結されている」と見なすこともできる。そして、このように関連付け可能である任意の2つの要素に関しては、所望の機能性を実現するように互いに「動作可能に連結可能である」と見なすこともできる。「動作可能に連結可能」の具体例は、物理的に結合可能および/または物理的に相互作用する要素、無線により相互作用可能および/または無線により相互作用する要素、および/または、論理的に相互作用するおよび/または論理的に相互作用可能な要素を含むが、これらに限定されない。
【0064】
一部の例では、本明細書中において1つ以上の要素が「するように構成される」と記載されることがある。本明細書を読んだ者であれば、語句「するように構成される」は、一般的に、別段の要求が無い限り、動作状態の要素および/または非動作状態の要素および/または待機状態の要素などを含むことができることを認識するであろう。
【0065】
一部の例では、本明細書中において1つ以上の要素が「するように構成される」と記載されることがある。本明細書を読んだ者であれば、語句「するように構成される」は、一般的に、別段の要求が無い限り、動作状態の要素および/または非動作状態の要素および/または待機状態の要素などを含むことができることを認識するであろう。
【0066】
本明細書に開示の発明特定事項を特定の態様について図示し、説明を行ってきた。本明細書の開示に基づき、本明細書に記載の発明特定事項およびそのより広範な態様から逸脱することなく変更および変形を行い得ることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲には、このような変更および変形の全てが、本明細書に記載の発明特定事項の真の趣旨および範囲内にあるものとして含まれることになる。さらに、本発明は添付の特許請求の範囲により定義されるものであることが理解できるであろう。一般的には、本明細書に使用する用語および特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)に使用する用語は、通常は「非制限」用語(例えば、用語「備えている」は、「を備えているが、これに限定されない」の意味に解釈されるべきであり;用語「有する」は、「少なくとも〜を有する」の意味に解釈されるべきであり;用語「含む」は、「を含むが、これに限定されない」の意味に解釈されるべきである、など)として意図されている。さらに当業者であれば、導入されている請求項中の記載において特定の数が意図されている場合、そのような意図は特許請求の範囲中において明確に示されることを理解するであろう。また、そのような記載が無い場合、特定の数が意図されるものでないことも理解できるであろう。例えば、理解を促すために、添付の特許請求の範囲では、請求項中の記載を開始する導入語句「少なくとも1つ」および「1つ以上」の使用を含んでいる場合がある。不定冠詞「a」または「an」による請求項中の記載の開始は、同一請求項中に導入語句「1つ以上」または「少なくとも1つ」と不定冠詞「a」または「an」など(例えば、不定冠詞「a」および/または「an」は、典型的には「少なくとも1つ」または「1つ以上」の意味に解釈されるべき語句である)とが含まれる場合であっても、このように開始される請求項中の記載を含む特定の請求項をこのような記載のみを含む発明に限定することを示唆するものとして解釈されるべきではない。このことは、請求項中の記載を開始するよう使用される定冠詞の使用についても同様である。導入される請求項中の記載において個数が明瞭に特定されている場合であっても、このことは、典型的には、少なくとも明瞭に特定されている個数が含まれることを意味していると解釈されるべきである(例えば、他の修飾語句を伴うことなく「2つ」とのみ記載している場合では、典型的には「少なくとも2つ」または「2つ以上」を意味している)。さらに、「少なくともA、B、およびCなど」に類似する従来の表現が使用される例では、こうした構文は、一般的には従来通りの意味に意図される(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AおよびBを有するシステム、AおよびCを有するシステム、BおよびCを有するシステム、および/または、A、B、およびCを有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似する従来の表現が使用される例では、こうした構文は、一般的には従来通りの意味に意図される(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを有するシステム、Bのみを有するシステム、Cのみを有するシステム、AおよびBを有するシステム、AおよびCを有するシステム、BおよびCを有するシステム、および/または、A、B、およびCを有するシステムなどを含むが、これらに限定されない)。2つ以上の択一的な語句を表す実質的に何れの離接語および/または離接語句も、明細書、特許請求の範囲、または図面の何れで使用されているかに関わらず、これら2つ以上の択一的な語句の1つ、何れか、または両方を含む可能性が意図されていることを理解されたい。例えば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」、または、「A」および「B」の可能性を有しているものと理解される。
【0067】
添付の特許請求の範囲に関しては、記載の操作は、一般的には如何なる順番で実施されてもよい。特に別の指定が無い限り、このような代替的な順番の例は、記載の順番に対して重複、交互、割り込み、並べ換え、付加、予備、補足、同時、逆、または他の変更を行ったものを含む。また文脈に関しては、特に別の指定が無い限り、用語「応じて」、「関した」、または他の過去分子形の修飾語句のような用語であっても、一般的にはこうした変更例を除くように意図されたものではない。
【0068】
本明細書に多様な態様および実施形態を説明してきたが、これらは一例に過ぎず、本発明の範囲を限定するように意図されたものではない。本発明の範囲および精神については、次の特許請求の範囲に示す。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10