(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
示差走査熱量計法による測定において2つの融解熱量領域を有し、低温側融解熱量Qlと、高温側融解熱量Qhから算出した、高温側融解熱量Qhの比率[Qh/(Ql+Qh)]×100(%)が10%以上50%以下である、請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子100重量%中に、群青、シアニン系顔料、アゾ系顔料、およびキナクリドン系顔料よりなる群から選択される少なくとも2種を含む顔料を0.01重量%以上1.5重量%以下含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の内圧を高めることなく、該内圧が大気圧の状態で、かつ、気体で圧縮することなく金型に充填した後、加熱して、型内発泡成形する、請求項16に記載の型内発泡成形体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の基材樹脂に用いられるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンと、プロピレン以外のコモノマーを含んだポリプロピレン系ランダム共重合体である。コモノマーとしては、例えば、1−ブテン、エチレン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、などが挙げられる。これらのコモノマーは、単独で使用されてもよいし、2種以上併用されてもよい。これらのうちでも、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る際の発泡性や、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とした際の表面性が優れる点からは、コモノマーとして、1−ブテンおよび/またはエチレンであることが好ましく、1−ブテンおよびエチレンの両方を含んだポリプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。
【0021】
本発明のポリプロピレン系樹脂における前記コモノマー含有量の総和としては、ポリプロピレン系樹脂100重量%中、1重量%以上10重量%以下が好ましい。ポリプロピレン系樹脂におけるコモノマー含有量の総和が1重量%未満のポリプロピレン系樹脂は、融点が160℃を超える樹脂となる傾向が強く、得られる発泡粒子を型内発泡成形しても、成形圧(水蒸気加熱圧)が0.40MPa(ゲージ圧)を超えてしまい、成形が困難な場合がある。また、仮に得られる発泡粒子に対して成形圧0.40MPa(ゲージ圧)以下で型内発泡成形を実施しても、成形サイクルが長くなる傾向がある。コモノマー含有量が10重量%を超えると、型内発泡成形時の水蒸気加熱圧は低下するものの、ポリプロピレン系樹脂自体の融点が低くなり、剛性も弱くなり、成形サイクルが長くなったり、圧縮強度等の実用剛性を満足しなくなる傾向がある。実用剛性が満足のいくものでない場合、成形体倍率を下げる必要が生じ、この場合、成形体の軽量化が図りにくくなる。このようなことから、コモノマー含有量は2重量%以上8重量%以下がより好ましく、3重量%以上6重量%以下が更に好ましい。
【0022】
本発明で用いるポリプロピレン系ランダム共重合体のZ平均分子量Mzと数平均分子量Mnの比Mz/Mnは、20以上300以下であり、好ましくは20以上140以下、より好ましくは23以上60以下である。Mz/Mnが20未満では、型内発泡成形する際の成形サイクルが長くなり、通い箱などの型内発泡成形体の表面性も低下する傾向がある。また、Mz/Mnが300を超えても、成形サイクルは長くなり、通い箱などの型内発泡成形体の表面性も低下する傾向がある。
【0023】
Mz/Mnで規定される値と、本発明の解決課題との関係は、現時点では必ずしも定かではない。しかし、本発明者は、成形サイクルを短くするためにはポリプロピレン系ランダム共重合体の高分子量成分が大きく寄与すると考えられ、この高分子量成分を反映するMzを用い、一方、表面性には低分子量成分が大きく寄与すると考えられ、この低分子量成分を敏感に反映するMnを規定することで、本願発明の課題解決に寄与していると推定している。
【0024】
なお、本発明においては、ポリプロピレン系ランダム共重合体のMzおよびMn(ポリスチレン換算)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下の測定条件にて得られたMzおよびMnを採用した。
(測定条件)
試料の前処理:試料30mgをo−ジクロロベンゼン20mLに145℃で完全に溶解した後、その溶液を孔径が1.0μmの焼結フィルターで濾過したものを分析試料とした。
測定装置 :ゲル浸透クロマトグラフ Alliance GPC 2000型(Waters社製)
解析装置 :データ処理ソフトEmpowerプロフェッショナル(Waters社製)
カラム :TSKgel GMH6−HT 2本、TSKgel GMH6−HTL 2本(それぞれ、内径7.5mm×長さ300mm、東ソー株式会社製)
移動相 :o−ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
カラム温度:140℃
検出器 :示差屈折率計
流速 :1.0mL/min
試料濃度 :0.15%(W/V)−o−ジクロロベンゼン
注入量 :500μL
サンプリング時間間隔:1秒
カラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製)
分子量換算:ポリプロピレン(PP)換算/汎用較正法
【0025】
本発明で用いられるポリプロピレン系ランダム共重合体のメルトフローレート(以降、「MFR」と略す場合がある。)は、5g/10分以上20g/10分以下が好ましく、7g/10分以上15g/10分以下がより好ましく、8g/10分以上12g/10分以下が更に好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体のMFRが5g/10分未満の場合、型内発泡成形体(通い箱など)の表面性が低下する傾向があり、20g/10分を超えると、成形サイクルが長くなる傾向にある。なお、本発明におけるMFRの測定は、JIS−K7210記載のMFR測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で測定した際の値である。
【0026】
本発明で用いられるポリプロピレン系ランダム共重合体の曲げ弾性率は、600MPa以上1600MPa以下が好ましく、1300MPa以上1600MPa以下がより好ましく、1300MPa以上1500MPa以下が更に好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体の曲げ弾性率が600MPa未満では、型内発泡成形して得られる型内発泡成形体の剛性が小さく、耐久性を満足した上での軽量化が困難となる傾向があり、1600MPaを超えると、成形圧が高くなる傾向がある。特に、通い箱の場合には、1300MPa以上1600MPa以下が好ましく、1300MPa以上1500MPa以下がより好ましい。なお、本発明における曲げ弾性率は、ASTM D790に従って測定した値である。
【0027】
本発明で用いられるポリプロピレン系ランダム共重合体の溶融強度(溶融張力)は、2.5cN以下が好ましく、1.5cN以下がより好ましく、1.1cN以下が更に好ましい。ポリプロピレン系ランダム共重合体の溶融強度(溶融張力)が2.5cNを超えると、発泡倍率を高めることが困難となり、型内発泡成形して得られる通い箱の軽量化が困難となる傾向がある。特に、後述する本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法の一つである、耐圧容器中でポリプロピレン系樹脂粒子を水系分散媒に分散させ、発泡剤を含浸させた後、低圧域に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法においては、ポリプロピレン系ランダム共重合体の溶融強度が1.5cNを超えると、発泡倍率が高くなり難く、また、型内発泡成形して得られる通い箱の表面性が低下する傾向があり、また、成形加熱圧幅も小さくなる傾向があり、このような点からも、溶融強度は2.5cN以下、更には1.5cN以下が好ましい。なお、溶融強度の下限としては0cNを超えれば良い。溶融強度が1.5cN以下のポリプロピレン系ランダム共重合体としては、線状(直鎖状)のポリプロピレン系ランダム共重合体が好ましい態様である。
【0028】
本発明における溶融強度は、メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピラリレオメータ[株式会社東洋精機製作所製、キャピログラフ]を用い、樹脂温度230℃、ピストン降下速度10mm/分の条件で、直径1mm、長さ10mmの孔を有する流入角45度のダイス(オリフィス)から押出したストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分
2で引き取り速度を増加させ、破断した際のロードセル付きプーリーの引き取り荷重を、溶融強度とした。
なお、本発明で好ましく用いられる、分岐構造のない線状のポリプロピレン系ランダム共重合体の場合、キャピラリレオメータを用いた溶融強度測定において、引き取り速度を測定装置の限界まで増加させてもストランドが破断しない場合がある。このような場合は、引き取り速度限界時の引き取り荷重を溶融強度とした。
また、溶融強度はチャート上で振幅を持っているが、本発明では振幅の中央値を溶融強度とした。
【0029】
本発明で用いるポリプロピレン系ランダム共重合体の融点としては、高い剛性を確保しつつ、低い成形圧を達成する観点からは、130℃以上158℃以下が好ましく、144℃以上154℃以下がより好ましく、147℃以上153℃以下が更に好ましい。
【0030】
以上、本発明で用いられるポリプロピレン系ランダム共重合体について説明したが、このようなポリプロピレン系ランダム共重合体については、ポリプロピレン系樹脂メーカーに問い合わせたり、カタログを参照することで選定可能であり、また、ポリプロピレン系樹脂メーカーに依頼することにより、公知の技術により生産や試作することが可能である。
【0031】
特に、Mz/Mnについては前述の特許文献5〜7、9等を参考にすることができる。また、溶融強度についての数値はあまり公開されていないが、本発明の溶融強度の範囲のポリプロピレン系ランダム共重合体は特殊なものではなく、架橋処理されていない一般的な線状(直鎖状)のポリプロピレン系ランダム共重合体であれば本発明の溶融強度の範囲に入るものであり、ポリプロピレン系樹脂メーカーに問い合わせれば容易に入手可能である。
【0032】
本発明で用いられる基材樹脂としてのポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂と混合使用可能な他の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等を、ポリプロピレン系樹脂の特性が失われない範囲で混合使用しても良い。
【0033】
本発明で用いられる基材樹脂としてのポリプロピレン系樹脂には、ポリプロピレン系樹脂の特性を損なわない程度に、発泡倍率向上を促す親水性化合物、発泡時に気泡核の形成を促す発泡核剤、相溶化剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。
【0034】
前記発泡倍率向上を促す親水性化合物としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物等の吸水性有機物、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、硫酸カリウムアルミニウム無水物、硫酸アルミニウムアンモニウム無水物等の水溶性無機物、セチルアルコール、ステアリルアルコールといった炭素数12以上18以下の脂肪族アルコール類などが挙げられる。
【0035】
前記親水性化合物の添加量は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子100重量%中、0.01重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上2重量%以下がより好ましい。親水性化合物の添加量が0.01重量%未満では、発泡倍率向上効果が現れにくい傾向があり、5重量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂中に親水性化合物が均一に分散しにくくなる傾向がある。
【0036】
前記発泡時に気泡核の形成を促す発泡核剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ゼオライト等の無機物質、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。
【0037】
前記発泡核剤の添加量は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子100重量%中、0.01重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上2重量%以下がより好ましい。発泡核剤の添加量が0.01重量%未満では気泡径が不均一になる傾向があり、5重量%を超えると、気泡径が微細になり過ぎ、型内発泡成形性が低下する傾向がある。
【0038】
前記着色剤としては、群青、シアニン系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレンレッド系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0039】
なお、本発明において、群青、シアニン系顔料、アゾ系顔料、およびキナクリドン系顔料よりなる群から選択される少なくとも2種を含む顔料を添加することは、型内発泡成形する際の成形加熱圧幅(加熱水蒸気圧幅)が広くなるという効果を奏し、好ましい態様である。これらの顔料は前述のとおり少なくとも2種を選択する必要がある。
【0040】
本発明において、少なくとも2種を含む顔料の合計添加量は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子100重量%中、0.01重量%以上1.5重量%以下であることが好ましい。少なくとも2種を含む顔料の合計添加量が0.01重量%未満では、成形加熱圧幅が広くなる効果が現れにくい傾向があり、1.5重量%を超えて添加しても成形加熱圧幅が広くなる効果は向上しにくい傾向がある。
【0041】
本発明においては、親水性化合物、発泡核剤、着色剤などの添加剤は、直接ポリプロピレン系樹脂に添加しても良いし、予め熱可塑性樹脂に該添加剤を高濃度で含有させたマスターバッチ樹脂を作製しておき、該マスターバッチ樹脂をポリプロピレン系樹脂に添加しても良い。
【0042】
該マスターバッチ樹脂に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましく、本発明の基材樹脂となるポリプロピレン系樹脂と同じポリプロピレン系樹脂であることが最も好ましい。
【0043】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造するに際しては、まず、ポリプロピレン系樹脂粒子を製造する。
【0044】
ポリプロピレン系樹脂粒子を製造する方法としては、押出機を用いる方法があげられる。具体的には、例えば、ポリプロピレン系樹脂に、必要に応じて親水性化合物や発泡核剤、顔料その他の添加剤を予めブレンドした後、ブレンド物を押出機に投入して溶融混練し、ダイスより押出し、冷却した後、カッターにて細断することにより、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状とすることができる。
【0045】
ポリプロピレン系樹脂粒子の一粒の重量としては、0.2mg/粒以上10mg/粒以下が好ましく、0.5mg/粒以上5mg/粒以下がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂粒子の一粒の重量が0.2mg/粒未満の場合、ハンドリング性が低下する傾向があり、10mg/粒を超えると、型内発泡成形において金型充填性が低下する傾向がある。
【0046】
以上のようにして得られるポリプロピレン系樹脂粒子を用いて、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。
【0047】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する好ましい態様としては、例えば、耐圧容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子を二酸化炭素などの発泡剤と共に水系分散媒に分散させ、ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化温度以上の温度まで加熱、加圧した後、一定時間保持した後、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に放出する発泡工程を経て得るという、水分散系でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法があげられる。
【0048】
具体的には、
(1)耐圧容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子および水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて、耐圧容器内を真空引きした後、1MPa(ゲージ圧)以上2MPa以下(ゲージ圧)の発泡剤を導入し、ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱する。加熱することによって、耐圧容器内の圧力が約2MPa(ゲージ圧)以上5MPa以下(ゲージ圧)まで上がる。必要に応じて、発泡温度付近にて、更に発泡剤を追加して所望の発泡圧力に調整、更に温度調整を行った後、一定時間保持し、次いで、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に放出することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。
【0049】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する、別の好ましい態様としては、
(2)耐圧容器にポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、必要に応じて耐圧容器内を真空引きした後、ポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上の温度まで加熱しながら、発泡剤を導入してもよい。
【0050】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する、更に好ましい態様としては、
(3)耐圧容器にポリプロピレン系樹脂粒子、水系分散媒、必要に応じて分散剤等を仕込んだ後、発泡温度付近まで加熱し、更に発泡剤を導入し、発泡温度とし、一定時間保持し、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
【0051】
なお、低圧域に放出する前に、二酸化炭素、窒素、空気あるいは発泡剤として用いた物質を圧入することにより、耐圧容器内の内圧を高め、発泡時の圧力開放速度を調節し、更には、低圧域への放出中にも二酸化炭素、窒素、空気あるいは発泡剤として用いた物質を耐圧容器内に導入して圧力を制御することにより、発泡倍率の調整を行うこともできる。
【0052】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、10℃/分の昇温速度で昇温した示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線において、
図1に示されるように、少なくとも2つの融解熱量領域を有することが好ましい。すなわち、低温側融解熱量(Ql)と高温側融解熱量(Qh)の少なくとも2つの融解熱量領域を有することが好ましい。
【0053】
少なくとも2つの融解熱量領域を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、前述の水分散系でのポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法において、発泡時の耐圧容器内温度を適切な値に適宜調整することにより容易に得られる。
【0054】
すなわち、発泡時の耐圧容器内温度としては、通常、基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂の融点をTm(℃)、融解終了温度をTf(℃)とする場合、Tm−10(℃)以上が好ましく、Tm−10(℃)以上Tf(℃)未満がより好ましく、Tm−8(℃)以上Tf(℃)未満が更に好ましく、Tm−5(℃)以上Tf−2(℃)以下の温度が特に好ましい。
【0055】
ここで、前記ポリプロピレン系樹脂の融点Tmとは、
図2に示すように、示差走査熱量計DSCを用いて、ポリプロピレン系樹脂1mg以上10mg以下を、40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後220℃から40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における、2回目の昇温時の融解ピーク温度である。また、融解終了温度Tfとは、
図2に示すように、2回目の昇温時の融解ピークの高温側のすそが、高温側でベースラインの位置に戻る時の温度である。
【0056】
なお、本発明においては、全融解熱量(Q)、低温側融解熱量(Ql)および高温側融解熱量(Qh)を、次のように定義する。
低温側融解熱量(Ql)および高温側融解熱量(Qh)の和である全融解熱量(Q=Ql+Qh)とは、得られるDSC曲線において(
図1参照。)、低温側で融解が開始する温度100℃での吸熱量(点A)から、高温側で融解が終了する温度での吸熱量(点B)を結ぶ線分ABを引き、線分ABとDSC曲線で囲まれた部分である。
DSC曲線の低温側融解熱量および高温側融解熱量の2つの融解熱量領域の間の最も吸熱量が小さくなる点を点Cとし、点Cから線分ABに向かってY軸に平行な線を上げて交わる点をDとした時、線分ADと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が、低温側融解熱量(Ql)であり、線分BDと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が高温側融解熱量(Qh)である。
なお、融解熱量領域が3つ以上ある場合は、上記同様、融解熱量領域の間の最も吸熱量が小さくなる点から線分ABに向かってY軸に平行な線を上げて、各線分とDSC曲線で囲まれた部分を各領域の融解熱量とする。
【0057】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子において、2つの融解熱量領域を有する場合の高温側融解熱量(Qh)の比率[=[Qh/(Ql+Qh)]×100(%)](以下、「高温熱量比」という場合がある)の値としては、10%以上50%以下が好ましく、15%以上40%以下がより好ましく、15%以上30%以下が更に好ましい。高温熱量比が10%未満の場合、型内発泡成形で得られる成形体の圧縮強度が低く実用強度が低下する傾向がある。また、高温熱量比が50%を超える場合は、型内発泡成形体(通い箱)の圧縮強度が高くなるが、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡力が低すぎ、型内発泡成形体全体が融着不良となる、あるいは、融着させるために高い成形圧が必要となる傾向がある。
【0058】
高温熱量比は、例えば、前記耐圧容器内温度での保持時間(所望の耐圧容器内温度に達した後から発泡するまでの保持時間)、発泡温度(発泡時の温度であり、前記耐圧容器内温度と同じである場合や異なる場合がある)、発泡圧力(発泡時の圧力)等により適宜調整することができる。一般的には、保持時間を長くする、発泡温度を低くする、発泡圧力を低くすることにより、高温熱量比あるいは高温側融解熱量が大きくなる傾向がある。以上のことから、保持時間、発泡温度、発泡圧力を系統的に適宜変化させた実験を何回か試行することにより、所望の高温側融解熱量の比率となる条件を容易に見出すことができる。なお、発泡圧力の調節は、発泡剤の量により調節することできる。
【0059】
本発明において、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる耐圧容器には、特に制限はなく、発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよいが、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
【0060】
前記水系分散媒としては、水のみを用いることが好ましいが、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等を水に添加した分散媒も使用できる。なお、本発明において親水性化合物を含有させる場合、水系分散媒中の水も発泡剤として作用し、発泡倍率向上に寄与する。
【0061】
前記発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の飽和炭化水素類;ジメチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機ガスが挙げられる。これらの中でも、特に環境負荷が小さく、燃焼危険性も無いことから、二酸化炭素、水を用いることが望ましい。
【0062】
本発明においては、水系分散媒中、ポリエチレン系樹脂粒子同士の合着を防止するために、分散剤、分散助剤を使用することが好ましい。
【0063】
前記分散剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤があげられる。これら分散剤は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0064】
前記分散助剤としては、例えば、カルボン酸塩型;アルキルスルホン酸塩、n−パラフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩等のリン酸エステル型等の陰イオン界面活性剤をあげることができる。これら分散助剤は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0065】
これらの中でも、分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリンよりなる群から選ばれる少なくとも一種、および分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダを併用することが好ましい。
【0066】
本発明においては、水系分散媒は、ポリプロピレン系樹脂粒子の水系分散媒中での分散性を良好なものにする為に、通常、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して、100重量部以上500重量部以下使用するのが好ましい。
【0067】
本発明における分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂粒子の種類と使用量によって異なるが、通常、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対して、分散剤0.2重量部以上3重量部以下であることが好ましく、分散助剤0.001重量部以上0.1重量部以下であることが好ましい。
【0068】
上述したような、水分散系でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法の他に、水系分散媒を用いず、例えば、耐圧容器中でポリプロピレン系樹脂粒子に直接発泡剤を接触させ、発泡剤を含浸して発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子を得た後、この発泡性ポリプロピレン系樹脂粒子に水蒸気を接触させるなどして発泡させ、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることもできる。
【0069】
以上のように、ポリプロピレン系樹脂粒子からポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得る工程を「一段発泡工程」と称す場合があり、このようにして得たポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「一段発泡粒子」と称す場合がある。
【0070】
一段発泡粒子は、製造する際の発泡剤の種類にもよるが、発泡倍率が10倍に達しない場合がある。このような場合には、一段発泡粒子に、無機ガス(例えば、空気、窒素、二酸化炭素、等)を含浸して内圧を付与した後、特定の圧力の水蒸気と接触させることにより、一段発泡粒子よりも発泡倍率が向上したポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることができる。このように、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を更に発泡させてより発泡倍率の高いポリプロピレン系樹脂発泡粒子とする工程を、「二段発泡工程」と称す場合がある。そして、このような二段発泡工程を経て得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「二段発泡粒子」と称す場合がある。
【0071】
本発明において、二段発泡工程における水蒸気の圧力は、二段発泡粒子の発泡倍率を考慮した上で、0.04MPa(ゲージ圧)以上0.25MPa(ゲージ圧)以下に調整することが好ましく、0.05MPa(ゲージ圧)以上0.15MPa(ゲージ圧)以下に調整することがより好ましい。二段発泡工程における水蒸気の圧力が0.04MPa(ゲージ圧)未満では、発泡倍率が向上しにくい傾向があり、0.25MPa(ゲージ圧)を超えると、得られる二段発泡粒子同士が合着してブロッキングしてしまい、その後の型内発泡成形に供することができなくなる傾向がある。
【0072】
一段発泡粒子に含浸する空気の内圧は、二段発泡粒子の発泡倍率および二段発泡工程の水蒸気圧力を考慮して適宜変化させることが望ましいが、0.2MPa以上(絶対圧)0.6MPa以下(絶対圧)であることが好ましい。一段発泡粒子に含浸する空気の内圧が0.2MPa(絶対圧)未満では、発泡倍率を向上させるために高い圧力の水蒸気が必要となり、二段発泡粒子がブロッキングする傾向にある。一段発泡粒子に含浸する空気の内圧が0.6MPa(絶対圧)を超えると、二段発泡粒子が連泡化する傾向があり、このような場合、型内発泡成形体の圧縮強度等の剛性が低下する傾向がある。
【0073】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、従来から知られている型内発泡成形法により、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とすることができる。
型内発泡成形法としては、例えば、
a)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素、二酸化炭素等で加圧処理してポリプロピレン系樹脂発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定のポリプロピレン系樹脂発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、
b)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、
c)特に前処理することなくポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。
【0074】
特に、c)の場合、従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体では、表面性や寸法性の低下が顕著であったが、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いた場合、このような点が改善された型内発泡成形体となることから、好ましい態様と言える。
【0075】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法としては、例えば、
図3に示すような中仕切り4を有する通い箱1Aを型内発泡成形する場合においては、
図4に示すような固定型11Aと移動型11Bからなる金型10を用い、以下のような工程を経る方法が例示できる。
(i)
図4に示すような固定型11Aと移動型11Bからなる金型10に充填機16を通してポリプロピレン系樹脂発泡粒子Bを充填する工程(以降、「充填工程」と称す。)。
(ii)蒸気弁12Aとドレン弁13Aを開け、蒸気弁12Bとドレン弁13Bを開けて、蒸気弁12A、12Bから水蒸気を流すことにより、固定型11Aと移動型11Bの金型チャンバ14A、14B内に存在する空気を追い出すと共に、金型10全体を加熱する工程(以降、「予備加熱工程」と称す。)。
(iii)蒸気弁12Aとドレン弁13Bを開け、蒸気弁12Bとドレン弁13Aは閉じておき、蒸気弁12Aから水蒸気を流すことにより、金型10内に充填されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子Bの間に存在する空気を追い出すと共に加熱する工程(以降、「一方加熱工程」と称す。)。
(iv)次いで、蒸気弁12Bとドレン弁13Aを開け、蒸気弁12Aとドレン弁13Bは閉じておき、蒸気弁12Bから水蒸気を流すことにより、金型10内に充填されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子Bの間に存在する空気を更に追い出すと共に、加熱する工程(以降、「逆一方加熱工程」と称す。)。
(v)蒸気弁12Aと12Bを開け、ドレン弁13Aと13Bを閉じて、蒸気弁12Aと12Bから水蒸気を流すことにより、金型10内に充填されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子Bの表面が軟化する迄、充分温度を上昇させて、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子B同士を最終的に融着せしめ、一定形状のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体とする工程(以降、「両面加熱工程」と称す。)。
(vi)冷却水供給ノズル15A、15B(
図4では、冷却水供給ノズルは全部示さず、一部を省略した。)から水を噴霧し、金型10の固定型11Aおよび移動型11Bを冷却した後、金型10を開き、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を取り出す工程(以降、「冷却・取り出し工程」と称す。)。
【0076】
そして、本願発明によれば、従来のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形する場合に比べて、成形サイクル(充填工程〜冷却・取り出し工程までに要する時間)が短くなるという効果を奏する。
【0077】
本発明において型内発泡成形してなる型内発泡成形体に特に制限はなく、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材をはじめ、断熱材、緩衝包装材、通い箱など様々な用途に応じて型内発泡成形して用いることができるが、通い箱としてより好適に用いることができる。
【0078】
本発明における通い箱とは、物品収納が可能な構造を有し、物品の運送のために複数回使用可能な型内発泡成形体である。なお、通い箱の蓋については、あってもなくても良い。
【0079】
本発明において、特に曲げ弾性率が1300MPa以上1600MPa以下のポリプロピレン系ランダム共重合体を用いて通い箱とした場合は、剛性が高いことから、重量の重い物品を収納して複数回輸送に用いられた場合であっても、物品から受けるダメージ、輸送中に他の物体と衝突して受けるダメージ等が小さいという効果を奏し、その結果、従来よりも、繰り返し使用できる回数が増えるという効果も奏する。更には、例えば、従来の通い箱と同じ剛性で設計する場合、発泡倍率の高いポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形すれば良く、その結果、通い箱自体の軽量化が可能となり、更に、軽量化できた分だけ、輸送する物品の重量を増やすことも可能となる。
【0080】
本発明の通い箱には、例えば、
図5および
図6に示すような、作業者が指を差し込んで掴むことが可能な把手5を側壁2等に設けることができる。この場合、作業者は指を差し込んで把手5を掴むことにより、重量の重い物品が収納されている場合であっても持ち運びしやすくなる。このような把手5は、1個の通い箱において複数設けることができる。
【0081】
図6に示す把手5におけるa、b、c、およびdの寸法に特に制限はなく、通い箱1Bの大きさにより適宜調整されるものであるが、把手5を設けた側壁2Bの厚みt
2Bに相当するaの寸法は、10mm以上50mm以下が好ましい。aが10mm未満では輸送する物品の重量によっては通い箱1Bが破損しやすい傾向があり、50mmを超えると通い箱1Bの重量が重くなり作業性が悪くなる傾向がある。
bの寸法は、10mm以上100mm以下が好ましい。bが10mm未満では輸送する物品の重量によっては通い箱が破損しやすい傾向があり、100mmを超えると通い箱の重量が重くなり作業性が悪くなる傾向がある。
cの寸法は、bの寸法より大きければよいが、好ましくは15mm以上150mm以下である。cが15mm未満では把手5と側壁1Bとの間に作業者が指を十分差し込むことができず、作業性が悪くなる傾向があり、150mmを超えても作業性が良くなることもない。
cとbの差である(c−b)は、10mm以上が好ましく、(c−b)が10mm未満では把手5と側壁1Bとの間に作業者が指を十分差し込むことがでず作業性が悪くなる傾向がある。また、本願発明によれば、(c−b)が10mm以上の場合であっても後述する把手5周辺の表面性低下の改善が顕著であり、好ましい態様である。
dの寸法は、5mm以上50mm以下が好ましい。dが5mm未満では輸送する物品の重量によっては通い箱1Bが破損しやすい傾向があり、50mmを超えると通い箱1Bの重量が重くなり作業性が悪くなる傾向がある。
【0082】
ところで、このような把手5を型内発泡成形で得られる通い箱に設ける場合、把手5周辺の表面Zに、あばたのような凹み等が発生し表面性が低下しやすいという問題があった。この問題の原因は定かではないところがあるが、次のように推定している。
【0083】
型内発泡成形により通い箱に把手構造部分を得ようとする場合、例えば、
図7に示すような金型構造をとることができる。
ここで、型内発泡成形に使われる金型(固定型11Aおよび移動型11B)には、チャンバ14A、14B側(
図4参照)から、充填されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子B側に水蒸気を通す為の、コアベントと呼ばれる水蒸気の通り孔(図示せず)が複数設けられている。
【0084】
図7において、11aが固定型11Aにおける把手形成部分であるが、Xの部分(
図7に両矢印で示した部分)は金型の厚みが厚くなりがちであり、その結果、コアベントが設けてあっても、予備加熱工程、一方加熱工程、逆一方加熱工程、両面加熱工程において水蒸気が通り難く、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子がお互いに融着するために十分な水蒸気が供給されず、融着不足となって把手5の周辺の表面性が低下すると推測される。
【0085】
また、把手形成部分11aには、チャンバ14A、14Bのいずれにも接していない部分Yが存在し、この部分Yはやはり水蒸気が通り難い、あるいは通らないため融着不足になりやすく、把手5周辺の表面性が低下すると推測される。
【0086】
更に、通い箱1Bにおいて、金型厚みの厚い部分Xおよびチャンバ14A、14Bのいずれにも接していない部分Yは、冷却工程においては、冷却水供給ノズル15A、15Bから冷却水を噴霧したとしても、冷却されにくい部分と言え、仮にポリプロピレン系樹脂発泡粒子Bが十分融着していた場合において、冷却工程を行っても効率的な冷却が行えず、その結果、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が収縮してしまい、把手周辺(
図5〜7中、符号Zで示す部分)の表面性が低下する場合もあると推測される。
このような把手周辺の表面性の低下は、
図6における(c−b)値が大きく、作業者が指をより深く差し込むことができる形状において顕著となる。
【0087】
把手周辺の表面性が低下する理由については、以上のように推定しているが、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いると、把手周辺の表面性についても改善される。特に、曲げ弾性率が1300MPa以上1600MPa以下のポリプロピレン系ランダム共重合体を用いた場合は、把手周辺の表面性の改善が顕著であり、好ましい態様である。
なお、通い箱製造に用いる固定型11Aの把手形成部分11aは、固定型の他の部分と一体化されていても良いし、把手形成部分11aが固定型の他の部分と脱着可能な構造であっても構わない。また、把手形成部分11aは、移動型11Bで構成しても構わない。
【0088】
また、本発明における把手5とは、型内発泡成形において設けられるものであり、例えば、把手5のない通い箱を型内発泡成形した後、側壁2の一部を打ち抜いて穴をあける等の二次加工により設けた把手は、本発明における把手からは除外する。
【0089】
本発明の通い箱により輸送される物品には、特に制限はなく、自動車部品、精密機械部品、ガラス基板等の工業製品、弁当、惣菜、缶詰、酒類、ジュース類等の飲食料品、野菜、果物等の農産物、魚、甲殻類等の水産物、その他種々の流通品を輸送することができる。
【0090】
本発明の通い箱には、輸送する物品に応じて、通い箱内部に仕切り、リブ、溝、凹凸などを設けても良い。更に、本発明の通い箱には、通い箱を段積みしやすいように、側面や底面に切欠き部を設けたり、把手部分の強度を高める等の為に、部分的に側壁2や底壁3の厚みを変えるなど、公知技術を適宜採用することができる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例および比較例をあげて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0092】
実施例および比較例において、使用した物質は、以下のとおりであるが、特に精製等は行っていない。
●ポリプロピレン系樹脂:表1、表2に示すポリプロピレン系ランダム共重合体[ポリプロピレン系樹脂メーカー試作品]
●ポリエチレングリコール:ライオン株式会社製、平均分子量300
●タルク:林化成株式会社製、タルカンパウダーPK−S
●群青:第一化成工業株式会社製、群青
●シアニン系顔料:和光純薬工業株式会社製、試薬フタロシアニン銅(フタロシアニンブルー)
【0093】
なお、実施例および比較例における評価は、次の方法により行なった。
【0094】
(ポリプロピレン系樹脂の共重合組成の定量)
ポリプロピレン系樹脂(約1g)に、キシレン50gを加えて120℃で加熱溶解し、恒温遠心分離[株式会社コクサン製、H175]を用いて、12000rpm×30分の条件にて、不溶分と可溶分に分別した。得られた可溶分を冷却後、遠心分離(12000rpm×30分)により、不溶分を得た。
得られた不溶分50mgに、オルトジクロロベンゼン−d
4を0.4g加え、100℃で加熱溶融させて、
13C−MNR[VARIAN製、INOVA AS600]を用いて、98℃にて
13C−MNRを行い、1−ブテン、エチレンの共重合組成の定量を行った。
【0095】
(ポリプロピレン系樹脂のMz/Mn、MFR、溶融強度)
既述の方法により測定した。
【0096】
(ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率)
ポリプロピレン系樹脂を80℃にて6時間乾燥させた後、35t射出成形機を用い、シリンダー温度200℃、金型温度30℃にて厚み6.4mmバー(幅12mm、長さ127mm)を作製した。得られたバーを、温度23℃、相対湿度50%で48時間コンディショニングした後、ASTM D790に従い曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
【0097】
(ポリプロピレン系樹脂の融点Tm測定)
示差走査熱量計DSC[セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200型]を用いて、ポリプロピレン系樹脂5〜6mgを、10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温して樹脂粒子を融解し、その後10℃/minの降温速度で220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、更に10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温した際に得られるDSC曲線(
図2参照)から、2回目の昇温時の融解ピーク温度として求められる値を、融点Tmとした。
【0098】
(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率)
得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子3g以上10g以下程度を取り、60℃で6時間乾燥した後、23℃、湿度50%の室内で状態調節し、重量w(g)を測定後、水没法にて体積v(cm
3)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、更に、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρrとの比から、発泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
なお、以下に示す実施例および比較例においては、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρrは、いずれも0.90g/cm
3である。
【0099】
(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の高温側融解熱量の比率の算出)
示差走査熱量計DSC[セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200型]を用いて、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子5〜6mgを、10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する際に得られるDSC曲線(
図1参照)において、全融解熱量(Q)、低温側融解熱量(Ql)および高温側融解熱量(Qh)を以下のように定義し、高温側融解熱量(Qh)の比率[=[Qh/(Ql+Qh)]×100(%)]を算出した。
低温側融解熱量(Ql)および高温側融解熱量(Qh)の和である全融解熱量(Q=Ql+Qh)とは、得られるDSC曲線において、低温側融解熱が開始する温度100℃での吸熱量(点A)から、高温側融解が終了する温度での吸熱量(点B)を結ぶ線分ABを引き、線分ABとDSC曲線で囲まれた部分である。
DSC曲線の低温側融解熱量および高温側融解熱量の2つの融解熱量領域の間の最も吸熱量が小さくなる点を点Cとし、点Cから線分ABに向かってY軸に平行な線を上げて交わる点をDとした時、線分ADと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が、低温側融解熱量(Ql)であり、線分BDと線分CDとDSC曲線で囲まれた部分が高温側融解熱量(Qh)である。
【0100】
(最低成形加熱蒸気圧力、成形加熱圧幅、成形サイクルの評価)
図5に示したような、相対する一対の側壁2Bに把手5を有する通い箱1Bを成形可能な固定型と移動型からなる金型を搭載したポリプロピレン発泡成形機[東洋機械金属株式会社製、P−150N]を用い、次のように評価した。
【0101】
<通い箱成形体の金型>
通い箱成形体は、
図5に示したような把手を有する形状であって、外寸が縦300mm×横350mm×高さ180mmであり、底壁3の厚みt
3は均一で35mm、外寸が横350mm×高さ180mmの2つの側壁2Aの厚みt
2Aは均一で30mm、および外寸が縦300mm×高さ180mmの2つの側壁2Bの厚みt
2Bは把手部分を除いて35mmである。把手5部分の断面形状は
図6に示したような形状であり、a=35mm、b=35mm、c=80mm、d=15mmである。
【0102】
<通い箱成形体の作製>
耐圧容器内にて加圧空気を含浸させ、内圧を予め0.2MPa(絶対圧)になるように調整したポリプロピレン系樹脂発泡粒子、あるいは、内圧付与を行わずに内圧が大気圧のままであるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を通い箱金型に充填し、まず0.1MPa(ゲージ圧)の水蒸気で金型内の空気を追い出し、その後、所定の成形圧力の加熱蒸気を用いて10秒間加熱成形(両面加熱)させることにより、通い箱成形体を得た。この際、両面加熱の成形圧力を0.20MPa(ゲージ圧)から0.01MPaごと増加させて、通い箱成形体を作製した。
なお、発泡粒子の充填〜成形〜冷却・取り出しの各工程は、以下のとおりであった。
(1)金型が開いた状態から、(2)金型開閉方向の金型隙間が8mmになるまで金型を閉じた後、(3)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型系外へ流出させることなく充填した。次いで、(4)金型隙間が0mmとなるように金型を閉じることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を圧縮して、(5)予備加熱工程、一方加熱工程、逆一方加熱工程、両面加熱工程を行い、(6)水冷し、(7)金型内部の成形体の発泡圧が0.05MPa(ゲージ圧)に達した時点で成形体を取り出した。
ここで、(1)〜(7)までの一連の成形工程は自動運転され、工程(6)を除くその他の工程の所要時間は一定とした。なお、予備加熱工程は10秒、一方加熱工程は2秒、逆一方加熱工程は2秒、両面加熱工程は10秒とした。
また、金型内部の成形体の発泡圧は、金型内部表面の成形体と接触する部分に面圧計を取り付けておき、成形体がこの面圧計に及ぼす圧力を検知した。
【0103】
<成形性の評価>
得られた発泡成形体の把手を設けていない側壁2A部分を手で裂き、破断面を目視観察して、発泡粒子界面ではなく、発泡粒子内部が破断している割合を求めて、発泡粒子内部破断の割合が60%以上となり、かつ、把手を設けていない側壁2A部分の表面外観を目視観察し、しわや粒間(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の粒間)がほとんどなく、表面凹凸も目立たず美麗となる、最も小さい成形圧力と、最も大きい成形圧力を決定した。このうち、最も小さい成形圧力を「最低成形加熱蒸気圧力(MPa)」とし、最も大きい成形圧力と最も小さい成形圧力の圧力幅を、「成形加熱圧幅(MPa)」とした。
また、各成形時には、工程(1)〜(7)の所要時間を計測しており、最低成形加熱蒸気圧力時での所要時間を、「成形サイクル(秒)」とした。
【0104】
<通い箱成形体の評価>
(圧縮強度)
最低成形加熱蒸気圧力の成形条件において得られた通い箱成形体の底面(厚み35mm)のほぼ中央から、縦50mm×横50mm×厚み25mmのテストピースを切り出した。詳細には、底面の厚み35mmの両方の表層を5mmずつ切り落とし、厚み25mmのテストピースとした。
該テストピースを、NDZ−Z0504に準拠し、引張圧縮試験機[ミネベア株式会社製、TGシリーズ]を用いて、10mm/分の速度で圧縮した際の50%圧縮時の圧縮応力を測定した。
なお、50%圧縮時の圧縮応力は、通い箱成形体の剛性の尺度である。
【0105】
(成形体密度)
圧縮強度測定用テストピースの重量W(g)を測定し、テストピースの縦、横、厚み寸法をノギスで測定して体積V(cm
3)を算出し、成形体密度をW/Vにて求めた。
但し、単位がg/Lとなるように換算した。
【0106】
(把手周辺の表面性)
最低成形加熱蒸気圧力の成形条件において得られた通い箱成形体の、
図5、6に示した把手周辺の表面Zについて、以下の基準にて、表面性を評価した。
○:粒間(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子間の粒間)がほとんどなく、表面凹凸も目立たず、美麗である。
△:粒間あるいは表面凹凸がやや目立つ。
×:粒間が目立ち外観が明らかに不良である。
【0107】
(実施例1)
[ポリプロピレン系樹脂粒子の作製]
表1記載の種類と量のコモノマーを含み、表1記載のMz/Mn、MFR、曲げ弾性率、溶融強度、融点を有するポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン系ランダム共重合体)100重量部に対して、親水性化合物としてポリエチレングリコール0.5重量部、発泡核剤としてのタルク0.2重量部を添加して混合した。得られた混合物を、二軸押出機[株式会社オーエヌ機械製、TEK45]を用いて、樹脂温度220℃にて溶融混練し、押出されたストランドを水冷後、切断して、ポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を製造した。
[一段発泡粒子の作製]
内容量10Lの耐圧容器中に、得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水300重量部、分散剤としてのパウダー状塩基性第3リン酸カルシウム1.5重量部および分散助剤としてのn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.06重量部、ならびに発泡剤として炭酸ガス7.5重量部を仕込み、攪拌しながら、表1に示す発泡温度まで昇温し、10分間保持した後、炭酸ガスを追加圧入して、表1に示す発泡圧力に調整し、30分間保持した。
その後、炭酸ガスを圧入しながら容器内温、圧力を一定に保持しつつ、耐圧容器下部のバルブを開いて、水系分散媒を開孔径3.6mmφのオリフィス板を通して、大気圧下に放出することによってポリプロピレン系樹脂発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。
得られた一段発泡粒子に関して、発泡倍率、高温側融解熱量の比率(高温熱量比)の算出を行った。
[型内発泡成形体の作製]
前述の「通い箱成形体の作製」に従い、通い箱成形体を作製し、「成形性の評価」に従い最低成形加熱蒸気圧力、成形加熱圧幅、成形サイクルを評価した。
更に、最低成形加熱蒸気圧力で得られた通い箱成形体を、75℃で16時間乾燥した後、23℃で24時間養生し、「通い箱成形体の評価」に従って、成形体密度、圧縮強度の測定、および把手周辺の表面性評価を行った。
【0108】
(実施例2〜9)
表1記載のポリプロピレン系ランダム共重合体を用い、添加剤、発泡条件、型内発泡条件等を表1記載のようにした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、通い箱成形体を作製し、評価した。
【0109】
(実施例10)
表1記載のポリプロピレン系ランダム共重合体を用い、添加剤、発泡条件等を表1記載の通りとし、実施例1と同様の操作により、一段発泡を行い、一段発泡粒子を得た。
次いで、一段発泡粒子を80℃にて6時間乾燥させた後、耐圧容器内にて、加圧空気を含浸させて、内圧を0.35MPa(絶対圧)にした後、0.08MPa(ゲージ圧)の水蒸気と接触させることにより、二段発泡させた。
得られた二段発泡粒子は、表1記載の型内発泡条件にて、実施例1と同様の操作により型内発泡成形を行い、評価した。
【0110】
(実施例11〜12)
表1記載の1−ブテンを含まないポリプロピレン系ランダム共重合体を用い、添加剤、発泡条件、型内発泡条件等を表1記載のようにした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、通い箱成形体を作製し、評価した。
【0111】
(実施例13)
表1記載のポリプロピレン系ランダム共重合体を用い、添加剤、発泡条件、型内発泡条件等を表1記載のようにした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
次いで、[型内発泡成形体の作製]において、一段発泡粒子に内圧を付与せず、内圧が大気圧のまま金型に充填し、型内発泡成形した以外は、実施例1と同様の操作により、成形を行い、評価した。
【0112】
(実施例14)
実施例2で用いたポリプロピレン系ランダム共重合体100重量部と、ラジカル開始剤であるt−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日油株式会社製、パーブチルI)0.02重量部をリボンブレンダーで撹拌混合した後、計量フィーダーを用いて二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX44)に供給し、液体添加ポンプを用いて押出機途中からイソプレンを、原料ポリプロピレン100重量部に対して1.0重量部となるよう供給し、溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られた改質ポリプロピレン系樹脂のMz/Mnは35、MFRは8g/10分、曲げ弾性率は1400MPa、溶融強度は1.6cN、融点は147℃であった。
この改質ポリプロピレン系樹脂を用いて、表1記載の添加剤を添加して混合した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、通い箱成形体を作製し、評価した。
【0113】
以上の実施例1〜14の評価結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
(比較例1〜4)
表2記載のポリプロピレン系ランダム共重合体を用い、添加剤、発泡条件、型内発泡条件等を表2記載のようにした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、通い箱成形体を作製し、評価した。
【0116】
(比較例5)
実施例2で用いたポリプロピレン系ランダム共重合体100重量部と、ラジカル開始剤であるt−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日油株式会社製、パーブチルI)0.10重量部をリボンブレンダーで撹拌混合した後、計量フィーダーを用いて二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、TEX44)に供給し、液体添加ポンプを用いて押出機途中からイソプレンを、原料ポリプロピレン100重量部に対して1.0重量部となるよう供給し、溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られた改質ポリプロピレン系樹脂のMz/Mnは30、MFRは7g/10分、曲げ弾性率は1400MPa、溶融強度は、2.6cN、融点は147℃であった。
この改質ポリプロピレン系樹脂を用い、表2記載の添加剤、発泡条件、型内発泡条件とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、通い箱成形体を作製し、評価した。
【0117】
(比較例6)
比較例4で用いたポリプロピレン系ランダム共重合体100重量部と、ラジカル開始剤であるt−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日油株式会社製、パーブチルI)を0.02重量部とした以外は、比較例5と同様にして改質ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られた改質ポリプロピレン系樹脂のMz/Mnは17、MFRは6g/10分、曲げ弾性率は1100MPa、溶融強度は1.6cN、融点は144℃であった。
この改質ポリプロピレン系樹脂を用い、表2記載の添加剤、発泡条件、型内発泡条件とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリプロピレン系樹脂粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、通い箱成形体を作製し、評価した。
【0118】
(比較例7)
[型内発泡成形体の作製]において、一段発泡粒子に内圧を付与せず、内圧が大気圧のまま金型に充填し、型内発泡成形した以外は、比較例4と同様の操作により、成形を行い、評価した。
【0119】
以上の比較例1〜7の評価結果を表2に示す。
【0120】
【表2】