特許第6286365号(P6286365)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62863651−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、その調製方法及び適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286365
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、その調製方法及び適用
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/08 20060101AFI20180215BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/4433 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/453 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/4535 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20180215BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180215BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   C07D493/08 BCSP
   A61K31/352
   A61K31/381
   A61K31/422
   A61K31/4433
   A61K31/453
   A61K31/4535
   A61K31/4545
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】16
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2014-552509(P2014-552509)
(86)(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公表番号】特表2015-504076(P2015-504076A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】CN2013070803
(87)【国際公開番号】WO2013107429
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2012/000124
(32)【優先日】2012年1月21日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513052572
【氏名又は名称】ハンジョウ ベンシェン ファーマシューティカル シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU BENSHENG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】シュー ロンツェン
(72)【発明者】
【氏名】ロン フランク
(72)【発明者】
【氏名】シェ フーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ライ ホンシ
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102295649(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101139350(CN,A)
【文献】 Wo, X. et al,Zhongcaoyao,2009年,vol.40, no.3,p.348-352
【文献】 Xu, J. et al,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2008年,vol.18, no.16,p.4741-4744
【文献】 Fujita, E. et al,Chem. Pharm. Bull.,1981年,vol.29, no.11,p.3208-3213
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【化1】
[式中、Wは、オキソ又は−O(CO)R’であり;
Lは、直接結合、−(CH=CH)−、ピペリジノカルボニル、ピペリジノスルホニル、シクロヘキシルアミノカルボニル及びシクロヘキシルアミノスルホニルからなる群から選択され;
nは、1又は2であり;
R’は、C−Cアルキルであり;
Rは、フェニル、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、ヘテロシクリル、又はフェニルC−Cアルキルであり;
前記フェニル、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル及びヘテロシクリルは、クロロ、ブロモ、ニトロ、シアノ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチルからなる群から選択される置換基でそれぞれ置換されていてよい]
【請求項2】
Wが、オキソ又はアセチルオキシである、請求項1に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
ヘテロアリールが、酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子を含有する5員又は6員の芳香環基である、請求項1又は2に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
ヘテロアリールが、フリル、チエニル、ピロリル又はピリジルである、請求項3に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
Rが、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、又はフェニルC−Cアルキルである、請求項1又は2に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
Rが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ベンジル又はフェネチルである、請求項5に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
以下の化合物:BS−OR−001、BS−OR−003、BS−OR−004、BS−OR−005、BS−OR−007、BS−OR−008、BS−OR−010、BS−OR−011、BS−OR−012、BS−OR−015、BS−OR−017、BS−OR−019、BS−OR−020、BS−OR−032、BS−OR−034、BS−OR−037、BS−OR−083、BS−OR−090、BS−OR−091、BS−OR−093及びBS−OR−094からなる群から選択される、請求項1に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
以下の化合物:
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
1)Wがオキソであり、Lが直接結合若しくは−(CH=CH)−である式(I)の化合物、すなわち、Rが請求項1に定義したRであり、nが請求項1に定義した通りである式(I−1)の化合物については、
【化4】
まず、オリドニンの1位のヒドロキシルを選択的に酸化させて、1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を生成し、次に、前記中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物若しくは有機塩化アシルによってアシル化して、式(I−1)の1−オキソ−14−アシル化オリドニン誘導体を生成することを含み;
2)Wがオキソであり、Lがピペリジノカルボニル若しくはピペリジノスルホニルである式(I)の化合物、すなわち、Rが−C(O)R若しくは−C(O)S(O)Rであり、ここで、Rが請求項1に定義した通りである式(I−2)の化合物については、
【化5】
前記1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を、アルカリ及び縮合剤の存在下でN−Boc−ピペリジル−4−カルボン酸と反応させて、1−オキソ−14−(N−Boc−4−ピペリジルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L1−Boc)を生成し、それを酸で処理してBoc保護基を除去し、こうしてアミン(アンモニウム塩)中間体(OR−L1)を生成し、前記アミン(アンモニウム塩)中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物、有機塩化アシル若しくは塩化スルホニルと反応させて、式(I−2)の1−オキソ−14−(ピペリジルアシルオキシ)オリドニン誘導体を生成することを含み;
3)Wがオキソであり、Lがシクロヘキシルアミノカルボニル若しくはシクロヘキシルアミノスルホニルである式(I)の化合物、すなわち、Rが−C(O)R若しくは−C(O)S(O)Rであり、ここで、Rが請求項1に定義した通りである式(I−3)の化合物については、
【化6】
前記1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を、アルカリ及び縮合剤の存在下で1−(N−Boc)アミノ−4−シクロヘキシルカルボン酸と反応させて、1−オキソ−14−(1−(N−Boc−アミノ)−4−シクロヘキシルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L2−Boc)を生成し、それを酸で処理してBoc保護基を除去し、こうしてアミン(アンモニウム塩)中間体(OR−L2)を生成し、前記アミン(アンモニウム塩)中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物、有機塩化アシル若しくは塩化スルホニルと反応させて、式(I−3)の1−オキソ−14−(1−(アミノ)シクロヘキシル−4−アシルオキシ)オリドニン誘導体を生成することを含み;
4)Wが−O(CO)R’であり、Lが直接結合若しくは−(CH=CH)−である式(I)の化合物、すなわち、Rが請求項1に定義したRであり、Rが請求項1に定義したR’であり、nが請求項1に定義した通りである式(I−4)の化合物については、
【化7】
まず、7位、14位のヒドロキシル基をアセタールで保護してOR−2を生成し、次に1位のヒドロキシルをアシル化して中間体OR−3を生成し、OR−3を脱保護のために酸で処理して中間体OR−4を生成し、OR−4をアシル化して、式(I−4)の1,14−ジアシル化オリドニン誘導体を生成することを含み;
5)Wが−O(CO)R’であり、Lがピペリジノカルボニル若しくはピペリジノスルホニルであり、R’が請求項1に定義した通りである式(I)の化合物については、
前記OR−ケトンを、先の4)のOR−4によって置き換えること以外は、先の2)に従って方法を実施することを含み;又は
6)Wが−O(CO)R’であり、Lがシクロヘキシルアミノカルボニル若しくはシクロヘキシルアミノスルホニルであり、R’が請求項1に定義した通りである式(I)の化合物については、
前記OR−ケトンを、先の4)のOR−4によって置き換えること以外は、先の3)に従って方法を実施することを含む、
請求項1に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩を含み、さらには薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい、医薬組成物。
【請求項11】
抗腫瘍医薬品の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項12】
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩を含む、腫瘍に罹患している対象の治療剤。
【請求項14】
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項13に記載の治療剤。
【請求項15】
抗腫瘍剤として使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
腫瘍が、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、黒色腫及び前立腺癌からなる群から選択される、請求項15に記載の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生薬及び医薬化学の分野に属し、新規なオリドニン誘導体、特に1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、これらの化合物の調製方法、このような化合物を含有する組成物、及び抗悪性腫瘍医薬品の調製におけるそれらの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
オリドニンは、ラブドシア・ルベセンス(Rabdosia rubescens)(ラブテア(Labtea)、ラブドシア(Rabdosia))植物から分離され、ヘルバ・ラブドシアエ(Herba Rabdosiae)の主成分である、シェルエン(shellene)ジテルペノイドタイプの天然有機化合物である。オリドニンは、加熱浄化(heat-cleaning)効果及び解毒効果、血液循環を促進し、うっ血を除去する効果、並びに抗菌、抗炎症及び抗腫瘍効果を有する(ZHAO Yongxing et al. Preparation and in vitro anticancer effect of oridonin nanoparticles [J]. China Journal of Hospital Pharmacy, 2008, 28 (11): 864-867;LIU Chenjiang et al., Antitumor effect of oridonin [J]. China Pharmaceutical Journal, 1998, 33:577)。
【0003】
多くの科学者が、臨床適用できる新規な医薬品の発見を期待して、オリドニン及びその類似体に対して分離、精製、構造同定及び修飾、インビボ及びインビトロでの生物活性の調査を含めた広範な研究を行ってきた(LIU Ke et al., Oridonin derivative and preparation thereof [P]、中国公開特許第101723951号、2010;LU Jinjian et al., Natural anticancer products separated from Chinese herbal medicine [J]. China Journal of Chinese Materia Medica, 2011, 6:27-27;ZHAO Ming et al. One single HPLC-PDA/(-)ESI-MS analysis to simultaneously determine 30 components of the aqueous extract of Rabdosia rubescens [J]. Journal of Chromatography B: Analytical Technologies in the Biomedical and Life Sciences, 2011, 879 (26): 2783-2793;ZHAO Peng et al. UPLC method for determination of oridonin content in Rabdosia plant [J]. Chinese Traditional Patent Medicine, 2011, 3 (3): 540-542;SUN Handong et al., Rabdosia plant diterpenoid compounds, Science Press, 2001;XU Jinyi et al., Oridonin derivative and preparation method thereof [P]、中国公開特許第101139350号、2008;XU Jinyi et al., Ent-6,7-open-cycle kaurene type rubescenesine A derivative with anti-tumor activity and preparation method and use thereof [P]、中国公開特許第102002051号、2011;XU Jinyi et al., Oridonin with antitumor resistance activity, fluorine-containing derivative of 6,7-open ring oridonin, preparation method and application thereof [P]、中国公開特許第102295649号、2011)。
【0004】
【化1】
【0005】
いくつかの調査では、オリドニンは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、子宮癌、乳癌、リンパ腫、骨肉腫、胃癌、食道癌、肝臓癌、胆嚢癌、鼻咽頭癌腫、肺癌、黒色腫、皮膚癌等を含めた広範な抗腫瘍スペクトルを有する細胞毒性効果を有することが見出されている(LIU Jiayin et al., Progress in research of oridonin and antitumor activity [J]. China Journal of New Drugs and Clinical Remedies, 2010, 29 (2): 81-84)。
【0006】
オリドニンは、ミトコンドリアのアポトーシス経路を制御することによって腫瘍細胞のアポトーシスを誘発し、主に以下の変換経路p53、Ras/Raf/ERK、PI3K/Akt及びNF−k13を制御することによって、細胞周期及び悪性腫瘍の増殖を妨害する効果がある(LI Chunyang et al., Oridonin: a diterpene having cancer treatment activity in blocking cell cycle, inducing cell apoptosis and autophagy [J]. International Journal of Biochemistry and Cell Biology, 2011, 43 (5): 701-704;LI Xiaojie et al., Oridonin regulates mitochondrial apoptosis by controlling signal conversion pathway [J]. Cancer Research and Clinic, 2010, 22 (4): 286-288)。
【0007】
オリドニンは、水溶性が乏しく、生体利用能が低いため、その臨床適用は制限されている。より良好な活性を有する化合物を見出すために、オリドニンの構造修飾に関するいくつかの研究が行われている。日本の藤田氏のグループは、オリドニンの14位のヒドロキシルを構造的に修飾し、長鎖脂肪酸を用いて14位をアシル化した誘導体のみが、オリドニン自体よりも著しく高い生物活性を有することを発見した(Fujita, Eiichi. Biologic and physiological activity.II Antitumor activity of acylated oridonin [J], Chemic & Pharmaceutical Bulletin, 1981, 29(11):3208-3213)。
【0008】
この分野では、抗腫瘍活性を有する、特に抗腫瘍活性が改善された新規な化合物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国公開特許第101723951号
【特許文献2】中国公開特許第101139350号
【特許文献3】中国公開特許第102002051号
【特許文献4】中国公開特許第102295649号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ZHAO Yongxing et al. Preparation and in vitro anticancer effect of oridonin nanoparticles [J]. China Journal of Hospital Pharmacy, 2008, 28 (11): 864-867
【非特許文献2】LIU Chenjiang et al., Antitumor effect of oridonin [J]. China Pharmaceutical Journal, 1998, 33:577
【非特許文献3】LU Jinjian et al., Natural anticancer products separated from Chinese herbal medicine [J]. China Journal of Chinese Materia Medica, 2011, 6:27-27
【非特許文献4】ZHAO Ming et al. One single HPLC-PDA/(-)ESI-MS analysis to simultaneously determine 30 components of the aqueous extract of Rabdosia rubescens [J]. Journal of Chromatography B: Analytical Technologies in the Biomedical and Life Sciences, 2011, 879 (26): 2783-2793
【非特許文献5】ZHAO Peng et al. UPLC method for determination of oridonin content in Rabdosia plant [J]. Chinese Traditional Patent Medicine, 2011, 3 (3): 540-542
【非特許文献6】SUN Handong et al., Rabdosia plant diterpenoid compounds, Science Press, 2001
【非特許文献7】LIU Jiayin et al., Progress in research of oridonin and antitumor activity [J]. China Journal of New Drugs and Clinical Remedies, 2010, 29 (2): 81-84
【非特許文献8】LI Chunyang et al., Oridonin: a diterpene having cancer treatment activity in blocking cell cycle, inducing cell apoptosis and autophagy [J]. International Journal of Biochemistry and Cell Biology, 2011, 43 (5): 701-704
【非特許文献9】LI Xiaojie et al., Oridonin regulates mitochondrial apoptosis by controlling signal conversion pathway [J]. Cancer Research and Clinic, 2010, 22 (4): 286-288
【非特許文献10】Fujita, Eiichi. Biologic and physiological activity.II Antitumor activity of acylated oridonin [J], Chemic & Pharmaceutical Bulletin, 1981, 29(11):3208-3213
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一目的は、新規な式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩を提供することである。
【0012】
【化2】
【0013】
式中、Wは、オキソ又は−O(CO)R’であり;
Lは、直接結合、−(CH=CH)−、ピペリジノカルボニル、ピペリジノスルホニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、及びシクロヘキシルアミノスルホニルからなる群から選択され;
nは、1又は2であり;
R’は、C−Cアルキルであり;
Rは、アリール、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、アミノC−Cアルキル、(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル、ヒドロキシルC−Cアルキル、アリールC−Cアルキル、又はヘテロアリールC−Cアルキルであり;
前記アリール、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキル、ヒドロキシルC−Cアルキル及びC−Cハロアルキルからなる群から選択される置換基でそれぞれ置換されていてよく;
前記C−Cシクロアルケニルは、カルボキシルで置換されていてもよく;
ただしWが−O(CO)CHである場合、L−Rはメチルではない。
【0014】
本発明の第2の目的は、本発明の式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体を調製する方法を提供することである。
【0015】
本発明の第3の目的は、本発明の化合物を含む医薬組成物を提供することである。前記医薬組成物は、本発明の少なくとも1種の化合物を含み、さらには薬学的に許容される賦形剤を含んでいてよい。
【0016】
本発明の第4の目的は、医薬品、特に抗腫瘍医薬品の製造において、本発明の化合物又は前記化合物を含む医薬組成物を使用することを提供することである。それに応じて、本発明は、本発明の有効量の少なくとも1種の化合物を、腫瘍の治療を必要としている対象に投与することを含む、腫瘍に罹患している対象を治療する方法を提供する。前記腫瘍は、特に、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、黒色腫、ヒト子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、前立腺癌等から選択される。
【0017】
本発明はまた、腫瘍の治療に使用するための本発明の化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0019】
【化3】
【0020】
式中、Wは、オキソ又は−O(CO)R’であり;
Lは、直接結合、−(CH=CH)−、ピペリジノカルボニル、ピペリジノスルホニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、及びシクロヘキシルアミノスルホニルからなる群から選択され;
nは、1又は2であり;
R’は、C−Cアルキルであり;
Rは、アリール、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、ヘテロシクリル、C−Cアルキル、アミノC−Cアルキル、(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル、ジ(C−Cアルキル)アミノC−Cアルキル、ヒドロキシルC−Cアルキル、アリールC−Cアルキル、又はヘテロアリールC−Cアルキルであり、
前記アリール、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキル、ヒドロキシルC−Cアルキル及びC−Cハロアルキルからなる群から選択される置換基でそれぞれ置換されていてよく;
前記C−Cシクロアルケニルは、カルボキシルで置換されていてもよく;
ただし、Wが−O(CO)CHである場合、L−Rはメチルではない。
【0021】
本発明の化合物は、抗腫瘍活性を有する。本願で試験した本発明のすべての化合物が、非修飾オリドニンよりも優れた抗腫瘍活性を示す。
【0022】
Wがオキソであり、Lが直接結合又は−(CH=CH)−である場合、式(I)の化合物は、Rが式(I)でRと定義されているものであり、nが式(I)で定義されている通りである式(I−1)の化合物である。
【0023】
Wがオキソであり、Lがピペリジノカルボニル又はピペリジノスルホニルである場合、式(I)の化合物は、Rが−C(O)R又は−C(O)S(O)Rであり、Rが式(I)で定義されている通りである式(I−2)の化合物である。
【0024】
Wがオキソであり、Lがシクロヘキシルアミノカルボニル又はシクロヘキシルアミノスルホニルである場合、式(I)の化合物は、Rが−C(O)R又は−C(O)S(O)Rであり、Rが式(I)で定義されている通りである式(I−3)の化合物である。
【0025】
Wが−O(CO)R’であり、Lが直接結合又は−(CH=CH)−である場合、式(I)の化合物は、Rが式(I)でRと定義されているものであり、Rが式(I)でR’と定義されているものであり、nが式(I)で定義されている通りである式(I−4)の化合物である。
【0026】
【化4】


【0027】
Wが、好ましくはオキソ又はホルミルオキシである、式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【0028】
アリールが、好ましくはフェニルである、式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【0029】
ヘテロアリールが、好ましくは酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子を含有する5員又は6員の芳香環基であり、より好ましくは、ヘテロアリールが、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジル、オキサゾリル等である、式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。
【0030】
アリール、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル及びヘテロシクリルが、好ましくは、ハロゲン、アミノ、ニトロ、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキルチオ及びC−Cアルキルからなる群から選択される置換基でそれぞれ置換されていてよい、式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。より好ましくは、置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ニトロ、シアノ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルである。
【0031】
Rが、好ましくは、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−Cアルキル、アミノC−Cアルキル、アリールC−Cアルキル、又はヘテロアリールC−Cアルキルである、式(I)の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩。より好ましくは、Rは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミノブチル、アリールメチル又はアリールエチルである。
【0032】
本発明のいくつかの1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体を、以下に示す。これらの例は、本発明をさらに例示することのみを意図するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0033】
【化5】

































































































【0034】
先に列挙した化合物のいくつかのデータを、以下の表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明の別の実施形態では、以下の式(I)の化合物が特に好ましい。
【0037】
【化6】
【0038】
本発明は、本発明の式(I)の化合物の塩、溶媒和物、水和物、付加物、錯体、多形及びプロドラッグに関する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「OR」は、オリドニンを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキルを指す。アルキルは、1〜6個、1〜5個、1〜4個又は1〜3個の炭素原子を含むことができる。アルキルの例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0041】
用語「アルケニル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルケニルを指す。アルケニルは、2〜6個、2〜5個、2〜4個又は2〜3個の炭素原子を含むことができる。アルケニルの例として、ビニル、アリル、ブテニル及びイソブテニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
用語「アルキニル」は、指定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状アルキニルを指す。アルキニルは、2〜6個、2〜5個、2〜4個又は2〜3個の炭素原子を含むことができる。アルキニルの例として、アセテニル及びプロピニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
用語「C−Cシクロアルキル又はシクロアルケニル」は、飽和環又は不飽和環のいずれかを有する3〜7員の単環式炭化水素ラジカルを指す。C−Cシクロアルキル又はシクロアルケニルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル及びシクロヘキセニルであってよい。
【0044】
用語「アリール」は、6〜14個(6〜12個、6〜20個など)の炭素原子を含有する、縮合又は非縮合の単環式アリール又は多環式アリールを指す。多環式アリールの場合、少なくとも1つの環は芳香族である。アリールは、ヘテロシクリルと縮合していてもよい。アリールの例として、フェニル、ビフェニル、ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル等が挙げられる。
【0045】
用語「ヘテロアリール」は、環中に環原子(複数可)として1〜4個のヘテロ原子(例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子)を有する芳香族環基を指す。ヘテロ原子は、窒素、酸素又は硫黄を指す。ヘテロアリールは、5〜7個の環原子を有する単環式ヘテロアリール、又は7〜11個の環原子を有する二環式ヘテロアリールであってよい。前記二環式ヘテロアリールは、少なくとも1つの芳香族複素環を含むべきであるが、他の環は、芳香族又は非芳香族であってよく、ヘテロ原子を含んでいてもよく、又は含んでいなくてもよい。ヘテロアリールの例として、例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チオフェニル、イソオキサゾリル、インドリル等が挙げられる。
【0046】
用語「ヘテロシクリル」は、環員として1〜4個のヘテロ原子(例えば、1、2、3又は4個のヘテロ原子)を含有する非芳香族環式基を指す。ヘテロ原子は、窒素、酸素又は硫黄を指す。ヘテロシクリルは、4〜8個の環原子を有する単環式ヘテロシクリル(4〜7員環、5〜7員環及び5〜6員環など)、又は7〜11個の環原子を有する二環式ヘテロシクリルであってよい。ヘテロシクリルは、芳香族又は非芳香族のいずれかであってよい。ヘテロシクリルの例として、アザシクロブチル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、ピペラジニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル等が挙げられる。
【0047】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0048】
用語「アルキルアミノ」は、1つ又は2つの、先に定義のアルキルで置換されているアミノ基を指す。
【0049】
用語「アルコキシ」には、アルキルが先の通り定義されているアルキル−O−基が含まれる。
【0050】
用語「アルキルチオ」には、アルキルが先の通り定義されているアルキル−S−基が含まれる。
【0051】
用語「式(I)の化合物の薬学的に許容される付加物及び錯体」は、本発明の化合物が、非化学結合又は非共有結合性の分子間力を介して小分子又は生物学的巨大分子とさらに組み合わさることによって形成された生成物を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「式(I)の化合物の薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容されるアニオンを担持する有機酸によって形成された有機酸塩として例示され得る。これらの有機酸塩として、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、及びα−グリセロリン酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。限定されるものではないが、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩及び炭酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩(hydriodate)等を含めた適切な無機塩を形成することもできる。
【0053】
薬学的に許容される塩は、例えば、十分な量のアルカリ化合物を、薬学的に許容されるアニオンを提供する適切な酸と反応させることによって、当技術分野で周知の標準の手順を使用して得ることができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「多形」は、本発明の化合物又はその錯体の固体結晶形を意味する。本発明の1種の化合物の様々な多形は、異なる物理的、化学的及び/又は分光学的特性を示すことができる。異なる物理的特性として、安定性(例えば、熱又は光安定性)、圧縮率及び密度(生成物の製剤化及び製造にとって重要である)、並びに溶解速度(生成物の生体利用能及び吸収性に影響を及ぼすことができる)が挙げられるが、それらに限定されない。安定性の差異によって、化学反応性(例えば、1種の多形から構成される剤形が、別の多形から構成される剤形よりも急速に変色するような特異的酸化)、又は機械特性(例えば、保存時に、動力学的に有利な多形の錠剤の粉砕部分が、熱力学的により安定な多形に変換される)、又はその両方(例えば、1種の多形から構成される錠剤は、高湿度でより崩壊しやすい)に変化が生じ得る。様々な多形の異なる物理的特性が、それらの処理に影響を及ぼし得る。例えば、1種の多形は、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があり、又は例えば多形の異なる粒子形状若しくは粒径分布に起因して、別の多形よりも濾別しにくく、若しくは洗浄では精製しにくい場合がある。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「水和物」は、非共有結合性の分子間力によって結合した化学量論又は非化学量論的な量の水をさらに含むような、本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0056】
別段指定されない限り、本明細書で使用される用語「プロドラッグ」は、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で、加水分解、酸化又は他の反応を介して本発明の化合物を提供できる、本発明の化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、生物学的条件下でこのような反応を受けて初めて活性になることができ、又は未反応形態のプロドラッグで活性を有することもできる。典型的に、プロドラッグは、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery (1995) 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff, 5th edition), Prodrugs and Targeted Delivery by J. Rautio (2011) 31-60 (Wiley-VCH, Methods and Principles in Medicinal Chemistry, Vol. 47)及びFundamentals of Medicinal Chemistry (2003) by G. Thomas, 195-200 (Wiley)に記載の方法などの、公知の方法を使用して調製することができる。
【0057】
「抗腫瘍活性」は、本明細書で使用される場合、腫瘍細胞又は組織を直接的に阻害又は死滅させることを指す。本願の実施例では、本発明の化合物の抗腫瘍活性を部分的に決定付ける。
【0058】
本明細書で使用される用語「治療」、「治療を受けている」、「治療する」等は、一般に、所望の薬理学的効果及び/又は生理的効果を得ることを指す。この効果は、疾患若しくはその症状を完全に若しくは部分的に防止するということに関して予防的であってよく、並びに/又は疾患及び/若しくは疾患によって引き起こされる有害作用の部分的な若しくは完全な安定化若しくは治癒に関して治療的であってもよい。「治療」は、本明細書で使用される場合、(a)疾患若しくは症状に罹患しやすいが、まだその疾患若しくは症状を有していると診断されていない対象において、その疾患若しくは症状が生じるのを防止すること、(b)疾患の症状を阻害すること、すなわちその発症を停止させること、又は(c)疾患の症状を緩和すること、すなわち、疾患若しくは症状の退行を引き起こすことを含む、対象の疾患のいかなる治療も網羅する。
【0059】
本発明はまた本発明の化合物を調製する方法を提供する。
1)Wがオキソであり、Lが直接結合若しくは−(CH=CH)−である式(I)の化合物、すなわち、Rが式(I)でRと定義されているものであり、nが式(I)で定義された通りである式(I−1)の化合物については、
【0060】
【化7】
【0061】
まず、オリドニンの1位のヒドロキシルを選択的に酸化させて、1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を生成し、次に、その中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物若しくは有機塩化アシルによってアシル化して、式(I−1)の1−オキソ−14−アシル化オリドニン誘導体を生成することを含み;
2)Wがオキソであり、Lがピペリジノカルボニル若しくはピペリジノスルホニルである式(I)の化合物、すなわち、Rが−C(O)R若しくは−C(O)S(O)Rであり、Rが式(I)で定義した通りである式(I−2)の化合物については、
【0062】
【化8】
【0063】
1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を、アルカリ及び縮合剤(condensating agent)の存在下でN−Boc−ピペリジル−4−カルボン酸と反応させて、1−オキソ−14−(N−Boc−4−ピペリジルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L1−Boc)を生成し、それを酸で処理してBoc保護基を除去し、アミン(アンモニウム塩)中間体(OR−L1)を生成し、そのアミン(アンモニウム塩)中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物、有機塩化アシル若しくは塩化スルホニルと反応させて、式(I−2)の1−オキソ−14−(ピペリジルアシルオキシ)オリドニン誘導体を生成することを含み;
3)Wがオキソであり、Lがシクロヘキシルアミノカルボニル若しくはシクロヘキシルアミノスルホニルである式(I)の化合物、すなわち、Rが−C(O)R若しくは−C(O)S(O)Rであり、Rが式(I)で定義した通りである式(I−3)の化合物については、
【0064】
【化9】
【0065】
1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を、アルカリ及びカップリング剤の存在下で1−(N−Boc)アミノ−4−シクロヘキシルカルボン酸と反応させて、1−オキソ−14−(1−(N−Boc−アミノ)−4−シクロヘキシルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L2−Boc)を生成し、それを酸で処理してBoc保護基を除去し、こうしてアミン(アンモニウム塩)中間体(OR−L2)を生成し、そのアミン(アンモニウム塩)中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物、有機塩化アシル若しくは塩化スルホニルと反応させて、式(I−3)の1−オキソ−14−(1−(アミノ)シクロヘキシル−4−アシルオキシ)オリドニン誘導体を生成することを含み;
4)Wが−O(CO)R’であり、Lが直接結合若しくは−(CH=CH)−である式(I)の化合物、すなわち、Rが式(I)でRと定義されているものであり、Rが式(I)でR’と定義されているものであり、nが式(I)で定義した通りである式(I−4)の化合物については、
【0066】
【化10】
【0067】
まず、7位、14位のヒドロキシル基をアセタールで保護してOR−2を生成し、次に1位のヒドロキシルをアシル化して中間体OR−3を生成し、OR−3を脱保護のために酸で処理して中間体OR−4を生成し、OR−4をアシル化して式(I−4)の1,14−ジアシル化オリドニン誘導体を生成することを含み;
5)Wが−O(CO)R’であり、Lがピペリジノカルボニル若しくはピペリジノスルホニルであり、R’が式(I)で定義した通りである式(I)の化合物については、
OR−ケトンを、先の4)のOR−4によって置き換えること以外は、先の2)に従って方法を実施することを含み;又は
6)Wが−O(CO)R’であり、Lがシクロヘキシルアミノカルボニル若しくはシクロヘキシルアミノスルホニルであり、R’が式(I)で定義した通りである式(I)の化合物については、
OR−ケトンを、先の4)のOR−4によって置き換えること以外は、先の3)に従って方法を実施することを含む。
【0068】
例えば、本発明の式(I)の化合物は、以下の方法に従って調製することができる。
【0069】
【化11】
【0070】
本発明の1−オキソ−14−アシル化オリドニン誘導体(I−1)は、先に示した通り、2段階反応で調製することができる。生薬から抽出したオリドニンを、1位のヒドロキシル基を選択的に酸化させると、1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)が生成される。酸化は、過マンガン酸カリウム又はジョーンズ酸化剤を用いて実施することができる。温度は室温であってよい。1位のヒドロキシルを酸化している間、特に、他のヒドロキシルを特別に保護する必要はない。反応は、典型的に溶媒中で実施される。使用される溶媒として、有機極性溶媒、例えばアセトン、ジクロロメタン(DCM、dichloromethane)、テトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、dimethylformamide)、ジメチルスルホキシド(DMSO、dimethyl sulfoxide)等を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0071】
1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を、その14位のヒドロキシルにおいて、有機酸、有機ハロゲン化アシル又は有機酸無水物と反応させると、1−オキソ−14−アシル化オリドニン誘導体(I−1)が生成される。この反応は、典型的にアルカリ及び縮合剤の存在下で実施される。ここでアルカリは、有機アルカリ又は無機アルカリ、例えば4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン及び炭酸カリウムであってよい。
【0072】
アシル化に使用される縮合剤は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、2−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、o−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロボラート(HBTU)、o−(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、o−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロボラート(TBTU)であってよい。
【0073】
アシル化に使用されるアシル化試薬は、対応する有機酸、有機ハロゲン化アシル又は有機酸無水物であってよい。スルホニル化に使用されるスルホニル化試薬は、対応する有機ハロゲン化スルホニルであってよい。
【0074】
アシル化は、典型的に溶媒中で行われる。溶媒の選択は、出発材料の極性及び可溶性に応じて決まる。使用される溶媒として、有機極性溶媒、例えばジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0075】
アシル化の温度は、基質の反応性に応じて決まる。反応は、典型的に低温又は室温で行われる。
【0076】
【化12】
【0077】
1−オキソ−オリドニン中間体(OR−ケトン)を、アルカリ及び縮合剤の存在下でN−Boc−ピペリジル−4−カルボン酸と反応させると、1−オキソ−14−(N−Boc−4−ピペリジルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L1−Boc)が生成される。先のアシル化条件(反応温度及び期間、縮合剤及びアルカリ)も、この反応に適用される。
【0078】
1−オキソ−14−(N−Boc−4−ピペリジルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L1−Boc)を、酸で処理してBoc保護基を除去すると、アミン(アンモニウム塩)中間体(OR−L1)が生成される。使用される酸は、有機酸又は無機酸、例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸であってよい。反応生成物は、典型的に、対応するアンモニウム塩であり、反応収率は、典型的に定量的である。
【0079】
1−オキソ−14−(4−ピペリジルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L1)アミン(アンモニウム塩)を、アルカリの存在下で、対応するハロ炭化水素(halohydrocarbon)、有機酸、有機酸無水物、有機塩化アシル又は有機塩化スルホニルと反応させると、式(I−2)の1−オキソ−14−(ピペリジルアシルオキシ)オリドニン誘導体が生成され、ここでRは、先の式(I−2)と同じく定義される。
【0080】
(OR−L1)アミン(アンモニウム塩)中間体のアシル化は、典型的に、縮合剤の存在下で行われる。ここで縮合剤は、有機縮合剤、例えば2−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、o−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロボラート(HBTU)、o−(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、及びo−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロボラート(TBTU)であってよいが、それらに限定されない。
【0081】
(OR−L1)アミン(アンモニウム塩)中間体のアシル化は、アンモニウム塩中で酸を中和して遊離アミンを生成するために、アルカリの存在下で行わなければならず、このアミン中間体は、有機酸、無水物又は塩化アシルで縮合アシル化されなければならない。ここでアルカリは、有機アルカリ、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、diisopropylethylamine)、トリエチルアミン(TEA、triethylamine)、ピリジン、及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、dimethylaminopyridine)であってよいが、それらに限定されない。
【0082】
アミンのアシル化は、溶媒の存在下又は非存在下のいずれかで行うことができる。使用される溶媒として、有機極性溶媒、例えばジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0083】
【化13】
【0084】
1−オキソオリドニン中間体(OR−ケトン)を、アルカリ及びカップリング剤の存在下で、1−(N−Boc)アミノ−4−シクロヘキシルカルボン酸と反応させると、1−オキソ−14−(1−(N−Boc−アミノ)−4−シクロヘキシルアシルオキシ)オリドニン中間体(OR−L2−Boc)が生成される。この中間体を、酸で処理してBoc保護基を除去すると、アミン(アンモニウム塩)中間体(OR−L2)が生成される。このアミン(アンモニウム塩)中間体を、アルカリの存在下で、対応する有機酸、有機酸無水物、有機塩化アシル又は塩化スルホニルと反応させると、式(I−3)の1−オキソ−14−(1−(アミノ)シクロヘキシル−4−アシルオキシ)オリドニン誘導体が生成され、ここでRは、先の式(I−3)と同じく定義される。
【0085】
式(I−3)の1−オキソ−14−(1−(アミノ)シクロヘキシル−4−アシルオキシ)オリドニン誘導体及び対応するその中間体の調製は、反応温度、溶媒、試薬、操作等に関して式(I−2)の1−オキソ−14−(ピペリジルアシルオキシ)オリドニン誘導体の調製に本質的に類似している。
【0086】
【化14】
【0087】
1,14−ジアシル化オリドニン誘導体(I−4)は、先に示した通り、4段階反応で調製することができる。まず、7位、14位のヒドロキシル基を、常法によってアセタールで保護すると、OR−2が生成される。保護試薬は、対応するケトン又はアルデヒドであってよく、保護反応は、触媒量の酸の存在下で行われる必要がある。
【0088】
中間体OR−2の1位のヒドロキシルを、常法によってアシル化すると、中間体OR−3を生成することができる。アシル化試薬は、有機酸、有機酸無水物、又は有機塩化アシルであってよい。アシル化は、溶媒及びアルカリの存在下で行われる必要がある。
【0089】
中間体OR−3を、脱保護するために酸で処理すると、中間体OR−4が生成される。脱保護試薬は、有機酸、例えば80%酢酸であってよい。反応温度は、基質の反応性に応じて決まる。
【0090】
中間体OR−4をアシル化すると、1,14−ジアシル化オリドニン誘導体(I−4)が生成される。OR−4のアシル化は、反応温度、溶媒、試薬、操作等に関して、式(I−1)の1−オキソ−14−アシル化オリドニン誘導体の調製に本質的に類似しており、ここでR及びRは、先の式(I−4)と同じく定義される。
【0091】
通常の化学変換過程を使用して、本発明を実施することができる。当業者は、これらの化学変換に適した化学薬品、溶媒、保護基及び反応条件を決定することができる。関連する情報は、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999);L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);並びにL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)及びその改訂版に記載されている。
【0092】
保護基は、活性部分(例えば、ヒドロキシル又はアミノ基)に結合すると、その後の反応においてその部分が干渉されるのを防止するが、反応後に常法によって除去できる基を指す。ヒドロキシルの保護基の例として、アルキル、ベンジル、アリル、トリチル(トリフェニルメチルとしても知られている)、アシル(例えば、ベンゾイル、アセチル又はHOOC−X’’−CO−。ここで、X’’は、アルキリデン、アルケニレン、シクロアルキレン又はアリーレンである)、シリル(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル及びt−ブチルジメチルシリル)、アルコキシルカルボニル、アミノカルボニル(例えば、ジメチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノカルボニル及びフェニルアミノカルボニル)、アルコキシメチル、ベンジルオキシメチル、並びにアルキルメルカプトメチルが挙げられるが、それらに限定されない。アミノの保護基の例として、アルコキシカルボニル、アルカノイル、アリールオキシカルボニル、アリール置換アルキル等が挙げられるが、それらに限定されない。ヒドロキシル及びアミノの保護基は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd. Ed., John Wiley and Sons (1991)に論じられている。あらゆるヒドロキシル及びアミノ保護基は、反応後に常法によって除去することができる。
【0093】
本発明はまた、本発明の式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0094】
本発明は、先に定義した本発明の式(I)の少なくとも1種の化合物を含み、さらには薬学的に許容される賦形剤を含んでいてよい医薬組成物を提供する。
【0095】
所与の量の活性成分を有する様々な医薬組成物を調製する方法は、公知であり、又は本開示に照らして当業者には明らかとなる。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Martin, E.W., ed., Mack Publishing Company, 19th ed. (1995)に記載されている通り、このような医薬組成物の調製方法は、他の適切な調剤用の賦形剤、担体、希釈剤等を組み込むことを含む。
【0096】
本発明の医薬調製物は、混合、溶解又は凍結乾燥過程を含む公知の方法によって生成される。
【0097】
本発明の化合物は、医薬組成物に製剤化することができ、選択された投与方式に適した経路で、例えば、経口、胃腸管注入、静脈内注射、又は筋肉内及び皮下注射により、対象に投与することができる。
【0098】
したがって、本発明の化合物は、不活性希釈剤又は食用担体などの薬学的に許容される担体と組み合わせて全身投与することができ、例えば経口投与することができる。本発明の化合物は、硬ゼラチン若しくは軟ゼラチンカプセルに封入することができ、又は錠剤に圧縮することができる。治療のための経口投与では、活性化合物は、1又は2以上の賦形剤と組み合わせることができ、摂取可能な錠剤、口腔内頬側錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウェーハ剤等の形態で摂取され得る。このような組成物又は調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。当然のことながら、組成物及び調製物における活性化合物の割合は、変わることができ、所与の単位剤形の約1重量%〜約99重量%であってよい。治療上有用な組成物では、活性化合物は、有効な投与量レベルが達成されるような量で存在する。
【0099】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、結合剤、例えばトラガカントガム、アラビアガム、トウモロコシデンプン若しくはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二水素カルシウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸等;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;及び甘味剤、例えばスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテーム;又は香味剤、例えばペパーミント、ウィンターグリーン油若しくはサクランボフレーバーを含むこともできる。単位剤形がカプセル剤である場合、単位剤形は、先の材料に加えて、植物油又はポリエチレングリコールなどの液体媒体を含むことができる。他の様々な材料が、被覆膜として存在することができ、又は別の方法では固体単位剤形の物理的形状を改変することができる。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、セラック又は糖等で被覆することができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤、例えばスクロース又はフルクトース、保存剤、例えばメチルパラベン又はプロピルパラベン、色素及び香味剤(サクランボ又はオレンジのフレーバーなど)を含有することができる。当然のことながら、単位剤形を調製するのに使用されるいかなる材料も、薬学的に許容され、用いられる量で実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放調製物又はデバイスに組み込むことができる。
【0100】
活性化合物は、注入又は注射によって静脈内又は腹腔内投与することもできる。活性化合物又はその塩の水溶液は、場合によっては非毒性の界面活性剤と混合して調製することができる。さらに、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン若しくはその混合物に、又は油に分散させたものを調製することもできる。通常の保存条件及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有する。
【0101】
注射又は注入に適した医薬剤形として、活性成分を含む滅菌水溶液剤、分散液剤又は無菌散剤(場合によってはリポソームに被包される)を挙げることができ、これらは、滅菌された注入可能な又は不溶解性の溶液又は分散液の即時調製に適合される。あらゆる場合において、最終的な剤形は、製造条件及び保存条件下で無菌性の安定な液体でなくてはならない。液体担体又は媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性のグリセリルエステル、及びその適切な混合物を含む、溶媒又は液体分散媒であってよい。適切な流動性は、例えばリポソームを形成することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、又は界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、好ましくは、糖、緩衝剤又は塩化ナトリウムなどの等張剤が含まれる。吸収を遅延させるための薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物を使用することによって、注射可能な組成物の吸収を持続させることができる。
【0102】
注射可能な無菌溶液は、必要量の活性化合物を、適切な溶媒中で、先に列挙した様々な追加の所望の成分と組み合わせ、その後濾過し、滅菌することによって調製される。注射可能な無菌溶液を調製するために使用される無菌散剤については、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、この技術によって、既に濾過した無菌溶液中に存在していた活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0103】
有用な固体担体として、例えばタルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等の、微粉砕した固体が挙げられる。有用な液体担体として、本発明の化合物を、場合によっては非毒性の界面活性剤を利用して有効な含量で溶解又は分散させることができる、水、エタノール若しくはエチレングリコール、又は水−エタノール/エチレングリコール混合物が挙げられる。アジュバント(香料など)及び追加の抗菌剤を添加して、所与の適用に合わせてその特性を最適化することができる。
【0104】
増粘剤(合成高分子、脂肪酸、脂肪酸塩及び脂肪酸エステル、脂肪アルコール、変性セルロース、又は変性無機材料など)を、液体担体と併用して、使用者の皮膚に直接塗布するために広げることができるペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、ソープ剤等を形成することもできる。
【0105】
治療に必要な化合物、又はその活性な塩若しくは誘導体の量は、選択される特定の塩だけでなく、投与経路、治療を受ける状態の性質、並びに対象の年齢及び状態に応じても変わり、最終的には担当医又は臨床医の裁量によって決まることになる。
【0106】
先の製剤は、ヒト又は他の哺乳動物に投与するのに適した、単位投与量を含有する物理的に別個の単位である単位剤形で存在することができる。単位剤形は、1つのカプセル剤若しくは錠剤、又は複数のカプセル剤若しくは錠剤であってよい。単位剤形における活性成分の量は、所期の特定治療に応じて、約0.1mg〜約1,000mg又はそれを超える範囲で変わり、又は調節することができる。
【0107】
本発明はまた、医薬品、特に抗腫瘍医薬品の製造における、本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。したがって、本発明は、本発明の治療有効量の少なくとも1種の化合物を、腫瘍の治療を必要としている対象に投与することを含む、腫瘍に罹患している対象を治療する方法を提供する。本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体、又は薬学的に許容されるその塩は、例えば、白血病、多発性骨髄腫、リンパ腫、肝臓癌、胃癌、乳癌、胆管細胞癌腫、膵臓癌、肺癌、結腸直腸癌、骨肉腫、黒色腫、子宮頸癌、神経膠腫、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫、食道癌、中耳腫瘍、前立腺癌等の治療のために使用することができる。
【0108】
本発明を、以下の実施例によってより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、単に例示するためのものであり、本発明の範囲をいかなる方式でも制限しないことを理解されたい。
【0109】
以下の実施例で使用される未加工の化学薬品は、市販されており、又は当技術分野で公知の合成方法によって得ることができる。
【実施例1】
【0110】
化合物BS−OR−003の合成
【0111】
【化15】
【0112】
三酸化クロム(240mg、2.4mmol)を、水2mLに溶解させた。濃硫酸0.22mLを0℃で添加し、その後水3mLを添加した。混合物を撹拌して、後に使用するためのジョーンズ試薬を形成した。
【0113】
オリドニン(730mg、2mmol)にアセトン20mLを添加して、懸濁液を形成した。ジョーンズ試薬(2.4mmolの三酸化クロム)を、氷浴条件下でゆっくり滴加した。3時間撹拌した後、反応溶液を室温に戻した。反応をイソプロパノールでクエンチし、アセトン溶媒を除去した。粗製生成物をジクロロメタンで3回抽出した(30mL×3)。有機相を、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した後、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)によって分離して、1−オキソオリドニン(520mg、収率71%)を白色粉末として得た。一方、オリドニン100mgを、回収率14%で回収した。
MS(m/z):363[M+H]、385[M+Na]
【0114】
【化16】
【0115】
1−オキソオリドニン(36.5mg、0.1mmol)及び2−クロロベンゾイルクロリド(87mg、0.5mmol)を、乾燥ジクロロメタン(2mL)に溶解させ、その後トリエチルアミン(50.5mg、0.5mmol)を0℃で滴加した。反応物を室温まで温め、1時間撹拌した。反応が完了したら、混合物をジクロロメタン30mLで希釈し、氷冷5%炭酸ナトリウム水溶液で2回洗浄し、次に水及び飽和食塩水で洗浄した。有機相を乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(酢酸エチル:石油エーテル=1:2)によって分離して、最後にBS−OR−003(41.8mg、収率88%)を無色結晶として得た。
MS(m/z):501[M+H]、523[M+Na]
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.77〜7.79(m,1H,H−ベンゼン)、7.39〜7.41(m,2H,H−ベンゼン)、7.26〜7.29(m,1H,H−ベンゼン)、6.28(s,1H,H−17)、6.14(s,1H,H−14)、5.65(s,1H,H−17)、5.39(d,1H,J=15.5Hz,OH−6)、4.36(d,1H,J=14.3Hz)、4.06(d,1H,J=12.3Hz)、4.0(s,1H)、3.75〜3.82(m,1H)、3.31(d,1H,J=12.4Hz)、2.30〜2.61(m,5H)、1.78〜1.99(m,3H)、1.55〜1.73(m,2H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.01(s,3H,CH−19)。
【0116】
化合物BS−OR−001は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):467[M+H]、489[M+Na]
【0117】
化合物BS−OR−004は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをp−メチルベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):481[M+H]、503[M+Na]
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.80(d,2H,J=11.0Hz,H−ベンゼン)、7.20(d,2H,J=11.3Hz,H−ベンゼン)、6.28(s,1H,H−17)、6.06(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.43(d,1H,J=15.4Hz,OH−6)、4.34(d,1H,J=14.3Hz)、4.16(s,1H)、4.05(d,1H,J=14.3Hz)、3.77〜3.84(m,1H)、3.28(d,1H,J=12.4Hz)、2.36(s,3H,H−CH)、2.27〜2.46(m,5H)、1.77〜1.99(m,3H)、1.55〜1.76(m,2H)、1.21(s,3H,CH−18)、1.01(s,3H,CH−19)。
【0118】
化合物BS−OR−005は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをp−メトキシベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):497[M+H]、519[M+Na]
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.84〜7.88(m,2H,H−ベンゼン)、6.86〜6.89(m,2H,H−ベンゼン)、6.28(s,1H,H−17)、6.03(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.44(d,1H,J=15.4Hz,OH−6)、4.34(d,1H,J=14.2Hz)、4.19(s,1H)、4.03〜4.07(m,1H)、3.83(s,3H,H−CH)、3.77〜3.84(m,1H)、3.26〜3.29(m,1H)、2.26〜2.65(m,5H)、1.89〜2.09(m,3H)、1.56〜1.79(m,2H)、1.21(s,3H,CH−18)、1.01(s,3H,CH−19)。
【0119】
化合物BS−OR−006は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを3−ニトロベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):512[M+H]、534[M+Na]
【0120】
化合物BS−OR−007は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを2−チオフェンギ酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):473[M+H]、495[M+Na]
【0121】
化合物BS−OR−008は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを3−メチルベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):481[M+H]、503[M+Na]
【0122】
化合物BS−OR−009は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをフェニルプロピオニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):495[M+H]、517[M+Na]
【0123】
化合物BS−OR−010は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをp−クロロベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):501[M+H]、523[M+Na]、539[M+K];HPLC:保持時間5.507分(99.85%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.87(d,2H,J=8.7Hz,H−ベンゼン)、7.38(d,2H,J=8.7Hz,H−ベンゼン)、6.30(s,1H,H−17)、6.12(s,1H,H−14)、5.64(s,1H,H−17)、5.44(d,1H,J=12Hz,OH−6)、4.37(d,1H,J=10.5Hz)、4.06(d,1H,J=10.5Hz)、3.80(m,1H)、3.25(d,1H,J=9.6Hz)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0124】
化合物BS−OR−019は、BS−OR−003の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをフェニルアクリロイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):493[M+H]、515[M+Na]、531[M+K];HPLC:保持時間5.372分(100.00%)。
【0125】
化合物BS−OR−020は、BS−OR−003の調製方法に従って先と同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをo−ブロモベンゾイルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):545[M+H]、567[M+Na]、583[M+K];HPLC:保持時間6.471分(98.05%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.76(m,1H,H−ベンゼン)、7.63(m,1H,H−ベンゼン)、7.34(m,2H,H−ベンゼン)、6.28(s,1H,H−17)、6.14(s,1H,H−14)、5.65(s,1H,H−17)、5.41(d,1H,J=8.7Hz,OH−6)、4.37(d,1H,J=10.5Hz)、4.08(dd,1H,J=10.5Hz,1.5Hz)、3.97(s,1H)、3.77(m,1H)、3.33(d,1H,J=9.9Hz)、1.20(s,3H,CH−18)、1.01(s,3H,CH−19)。
【実施例2】
【0126】
化合物BS−OR−013の合成
【0127】
【化17】
【0128】
式中、DCCは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミンであり、DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンである。
【0129】
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミン(31mg、0.15mmol)を、ジクロロメタン2mLに溶解させ、それに1−オキソオリドニン(36.5mg、0.1mmol)を0℃で添加した。混合物を0.5時間撹拌した後、2−クロロニコチン酸(23.6mg、0.15mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(10mg、触媒量)を添加した。混合物を、室温で一晩かけて撹拌し、溶媒をロータリーエバポレーターで処理して除去した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって分離して、最後にBS−OR−013(35.5mg、収率70%)を無色結晶として得た。
MS(m/z):502[M+H]、524[M+Na]、540[M+K];HPLC:保持時間3.804分(95.14%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.48(d,1H,J=4.8Hz,H−ピリジル)、8.17(m,1H,H−ピリジル)、7.30〜7.36(m,1H,H−ピリジル)、6.29(s,1H,H−17)、6.22(s,1H,H−14)、5.67(s,1H,H−17)、5.38(d,1H,J=16.0Hz,OH−6)、4.36(d,1H,J=4.2Hz)、4.03〜4.07(m,2H)、3.85(s,1H)、3.71〜3.78(m,1H)、2.05〜2.70(m,5H)、1.70〜1.95(m,3H)、1.57〜1.67(m,2H)、1.19(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0130】
化合物BS−OR−015は、BS−OR−013の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを3,4−ジメトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):527[M+H]、549[M+Na]、565[M+K];HPLC:保持時間4.750分(96.42%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.45〜7.52(m,3H,H−ベンゼン)、6.28(s,1H,H−17)、6.03(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.46(d,1H,J=15.4Hz,OH−6)、4.36(m,1H)、4.15(s,1H)、4.03〜4.07(m,1H)、3.91(s,3H,H−CH)、3.88(s,3H,H−CH)、3.30(m,1H)、1.91〜2.04(m,3H)、1.71〜1.89(m,2H)、1.21(s,3H,CH−18)、1.01(s,3H,CH−19)。
【0131】
化合物BS−OR−011は、BS−OR−013の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを3−ピコリン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):468[M+H]、490[M+Na]、506[M+K];HPLC:保持時間3.079分(99.92%)。
【0132】
化合物BS−OR−012は、BS−OR−013の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを4−ピコリン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):468[M+H]、490[M+Na]、506[M+K];HPLC:保持時間3.160分(99.99%)。
【0133】
化合物BS−OR−014は、BS−OR−013の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンを5−メチル−4−イソオキサゾールギ酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):494[M+Na]、510[M+K];HPLC:保持時間3.765分(98.81%)。
【0134】
化合物BS−OR−017は、BS−OR−013の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソオリドニンをシクロプロパンカルボン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):431[M+H]、453[M+Na]、469[M+K];HPLC:保持時間3.535分(98.26%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ6.26(s,1H,H−17)、5.80(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.42(d,1H,J=11.4Hz,OH−6)、4.30(d,1H,J=10.5Hz)、4.05(d,1H,J=10.5Hz)、3.84(dd,J=11.4Hz,8.7Hz,1H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【実施例3】
【0135】
化合物BS−OR−043の合成
【0136】
【化18】
【0137】
1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(247mg、1.2mmol)を、乾燥ジクロロメタン10mLに溶解させ、それにN−Boc−ピペリジン−4−カルボン酸(251mg、1.1mmol)を0℃で添加した。混合物を30分間撹拌した後、1−オキソオリドニン(362mg、1mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(10mg、触媒量)を添加し、混合物を室温で一晩かけて撹拌した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラムによって分離して、1−オキソ−14−(4−メチル)ベンゾイルオキシオリドニン(435mg、収率79%)を得た。
【0138】
【化19】
【0139】
1−オキソ−14−(N−Boc−4−アシルオキシピペリジン)オリドニン(114mg、0.2mmol)を、ジクロロメタン5mLに溶解させ、それにトリフルオロ酢酸(0.2mL)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、溶媒をロータリーエバポレーターで処理して除去して、粗製生成物(114.2mg)を得、それをその後の反応で精製なしに直接使用した。
【0140】
【化20】
【0141】
1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタート(114.2mg、0.2mmol)及びピリジン(0.1mL)を、ジクロロメタン5mLに溶解させ、それにテトラヒドロフタル酸無水物(45.6mg、0.3mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で4時間撹拌し、出発材料を薄層クロマトグラフィーによって検出すると消失していた。希釈するためにジクロロメタン(30mL)を添加した。混合物を5%塩酸溶液で洗浄し、その後水及び飽和食塩水で洗浄した。有機相を乾燥させ、濃縮した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラムによって分離して、BS−OR−043(56.0mg、収率45.03%)を白色固体として得た。
MS(m/z):626[M+H]、648[M+Na]、664[M+K];HPLC:保持時間4.199分(99.31%)。
【実施例4】
【0142】
化合物BS−OR−037の合成
【0143】
【化21】
【0144】
1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタート(114.2mg、0.2mmol)、トリエチルアミン(0.3mL)及び4−ジメチルアミノピリジン(10mg、触媒量)を、ジクロロメタン5mLに溶解させ、それに3−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(66.3mg、0.3mmol)を0℃で添加した。室温で3時間撹拌した後、混合物をジクロロメタン(30mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。有機相を乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラムによって分離して、最後にBS−OR−037(26.2mg、収率83%)を白色固体として得た。
MS(m/z):681[M+Na];HPLC:保持時間3.885分(100.00%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.586(m,1H,H−ベンゼン)、8.46(d,1H,J=8.1Hz,H−ベンゼン)、8.07(d,1H,J=7.5Hz,H−ベンゼン)、7.76(t,1H,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、5.92(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.36(d,1H,J=11.9Hz,OH−6)、4.27(d,1H,J=10.0Hz)、3.90〜3.95(m,2H)、3.71(dd,1H,H−6)、3.59〜3.70(m,2H)、3.00(d,1H,J=8.8Hz,H−13)、1.60〜1.80(m,3H)、1.25〜1.40(m,2H)、1.17(s,3H,CH−18)、0.98(s,3H,CH−19)。
【0145】
化合物BS−OR−041は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートを3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):704[M+Na]、720[M+K];HPLC:保持時間3.173分(99.30%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.98(s,1H,H−ベンゼン)、7.93(d,1H,J=7.8Hz,H−ベンゼン)、7.87(d,1H,J=7.5Hz,H−ベンゼン)、7.69(t,1H,H−ベンゼン)、6.23(s,1H,H−17)、5.92(s,1H,H−14)、5.60(s,1H,H−17)、5.33(d,1H,J=12.0Hz,OH−6)、4.26(d,1H,J=10.6Hz)、3.90(d,J=10.2Hz 1H)、3.89(s,1H)、3.71(dd,1H,H−6)、3.58〜3.70(m,2H)、3.00(d,1H,J=9.0Hz,H−13)、1.17(s,3H,CH−18)、0.98(s,3H,CH−19)。
【0146】
化合物BS−OR−042は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートを4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):704[M+Na]、720[M+K];HPLC:保持時間3.944分(96.09%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.78〜7.87(m,4H,H−ベンゼン)、6.23(s,1H,H−17)、5.92(s,1H,H−14)、5.60(s,1H,H−17)、5.33(d,1H,J=11.9Hz,OH−6)、4.28(d,1H,J=10.5Hz)、4.00(d,1H,J=10.5Hz)、3.89(s,1H)3.70(dd,1H,H−6)、3.58〜3.70(m,2H)、3.00(d,1H,J=9.0Hz,H−13)、1.60〜1.80(m,3H)、1.22〜1.35(m,2H)、1.17(s,3H,CH−18)、0.98(s,3H,CH−19)。
【0147】
化合物BS−OR−025は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−メチルベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):628[M+H]、650[M+Na];HPLC:保持時間6.005分(92.55%)。
【0148】
化合物BS−OR−026は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートを2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):678[M+Na];HPLC:保持時間12.816分(99.65%)。
【0149】
化合物BS−OR−027は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−クロロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):670[M+Na];HPLC:保持時間10.437分(98.79%)。
【0150】
化合物BS−OR−032は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):636[M+Na];HPLC:保持時間4.285分(99.10%)。
【0151】
化合物BS−OR−034は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをo−ニトロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):681[M+Na];HPLC:保持時間6.485分(98.08%)。
【0152】
化合物BS−OR−035は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−ニトロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):681[M+Na];HPLC:保持時間7.550分(100.00%)。
【0153】
化合物BS−OR−038は、BS−OR−037の調製方法に従って先と同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをエチルスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):588[M+Na]、604[M+K];HPLC:保持時間3.849分(99.05%)。
【0154】
化合物BS−OR−039は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをn−ブチルスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):616[M+Na]、632[M+K];HPLC:保持時間6.844分(100.00%)。
【0155】
化合物BS−OR−040は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをメチルスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):574[M+Na]、590[M+K];HPLC:保持時間3.618分(100.00%)。
【0156】
化合物BS−OR−044は、BS−OR−037の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−フルオロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):654[M+Na];HPLC:保持時間5.203分(91.89%)。
【実施例5】
【0157】
化合物BS−OR−050の合成
【0158】
【化22】
【0159】
4−メチル安息香酸(41mg、0.3mmol)を、ジクロロメタン2mLに溶解させ、それに1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(65mg、0.25mmol)を0℃で添加した。混合物を1時間撹拌した後、1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタート(114.2mg、0.2mmol)を添加した後、ジクロロメタン(3mL)に溶解させたトリエチルアミン(0.3mL)を添加した。混合物を室温で8時間撹拌した後、得られた粗製生成物を、シリカゲルカラムによって分離して、BS−OR−050(34.1mg、収率74%)を白色固体として得た。
MS(m/z):592[M+H]、614[M+Na]、630[M+K];HPLC:保持時間4.901分(98.49%)。
【0160】
化合物BS−OR−047は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−フルオロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):596[M+H];HPLC:保持時間8.615分(92.83%)。
【0161】
化合物BS−OR−048は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをピバル酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):558[M+H]、580[M+Na];HPLC:保持時間3.453分(96.79%)。
【0162】
化合物BS−OR−049は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−メトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):608[M+H]、620[M+Na];HPLC:保持時間4.044分(97.96%)。
【0163】
化合物BS−OR−051は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをシクロプロパンカルボン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):542[M+H]、564[M+Na];HPLC:保持時間3.809分(100.00%)。
【0164】
化合物BS−OR−052は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートを2−クロロイソニコチン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):635[M+Na]、651[M+K];HPLC:保持時間4.281分(90.77%)。
【0165】
化合物BS−OR−053は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをフロ酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):568[M+H]、590[M+Na];HPLC:保持時間4.065分(98.6386%)。
【0166】
化合物BS−OR−054は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートを2−チオフェンギ酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):623[M+H]、645[M+Na];HPLC:保持時間4.361分(97.90%)。
【0167】
化合物BS−OR−055は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをp−ニトロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):584[M+H]、606[M+Na];HPLC:保持時間4.610分(98.78%)。
【0168】
化合物BS−OR−056は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートを安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):578[M+H]、600[M+Na]、616[M+K];HPLC:保持時間4.986分(98.68%)。
【0169】
化合物BS−OR−057は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをフェニルプロピオン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):606[M+H]、628[M+Na]、644[M+K];HPLC:保持時間8.003分(98.08%)。
【0170】
化合物BS−OR−058は、BS−OR−050の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタートをD−バリンと反応させることによって調製した。
MS(m/z):556[M+H]、578[M+Na]、594[M+K];HPLC:保持時間6.586分(98.80%)。
【実施例6】
【0171】
化合物BS−OR−059の合成
【0172】
【化23】
【0173】
1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタート(116.8mg、0.2mmol)、トリエチルアミン(0.3mL)及び4−ジメチルアミノピリジン(10mg、触媒量)を、ジクロロメタン5mLに溶解させ、それにベンゼンスルホニルクロリド(53mg、0.3mmol)を氷浴条件で添加した。室温で3時間撹拌した後、混合物をジクロロメタン(30mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、その後飽和食塩水で洗浄した。混合物を乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラムによって分離して、BS−OR−059(21.0mg、収率53%)を白色固体として得た。
MS(m/z):650[M+Na];HPLC:保持時間4.869分(95.26%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.85〜7.87(m,2H,H−ベンゼン)、7.50〜7.57(m,3H,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、5.87(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.38(d,1H,J=15.8Hz,OH−6)、4.68〜4.72(m,1H)、4.29(d,1H,J=13.8Hz)、4.15(s,1H)、4.02(d,1H,J=13.9Hz)、3.74〜3.81(m,1H)、3.07(d,1H,J=11.8Hz,H−13)、2.18〜2.54(m,5H)、1.74〜1.96(m,3H)、1.26〜1.35(m,2H)、1.17(s,3H,CH−18)、0.99(s,3H,CH−19)。
【0174】
化合物BS−OR−063は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをm−ニトロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):695[M+Na]、711[M+K].;HPLC:保持時間5.356分(100.00%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.71〜8.72(m,1H,H−基)、8.41〜8.44(m,1H,H−ベンゼン)、8.20〜8.23(m,1H,H−ベンゼン)、7.71〜7.76(m,1H,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.93(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.39〜5.41(m,1H,OH−6)、4.27〜4.31(m,2H)、4.03(d,1H,J=13.9Hz)、3.80(t,1H,J=13.7Hz)、3.32〜3.41(m,1H)、3.07(d,1H,J=4.2Hz,H−13)、2.18〜2.54(m,5H)、1.68〜1.96(m,3H)、1.26〜1.35(m,2H)、1.19(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0175】
化合物BS−OR−064は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):718[M+Na]、734[M+K];HPLC:保持時間6.755分(100.00%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.05〜8.14(m,2H,H−ベンゼン)、7.82〜7.84(m,1H,H−ベンゼン)、7.64〜7.69(m,1H,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、5.93(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.39〜5.41(m,1H,OH−6)、4.29(d,2H,J=14.4Hz)、4.03(d,1H,J=12.9Hz)、3.79〜3.82(m,1H)、3.28〜3.37(m,1H)、3.06(d,1H,J=11.9Hz,H−13)、2.19〜2.52(m,5H)、1.78〜1.96(m,3H)、1.20〜1.29(m,2H)、1.19(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0176】
化合物BS−OR−029は、BS−OR−059の調製方法に従って先と同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをp−メチルベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):664[M+Na];HPLC:保持時間6.893分(100.00%)。
【0177】
化合物BS−OR−061は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをo−ニトロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):695[M+Na]、711[M+K];HPLC:保持時間4.315分(100.00%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.15(m,1H,H−ベンゼン)、7.90(m,1H,H−ベンゼン)、7.75(m,2H,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、5.86(s,1H,H−14)、5.63(s,1H,H−17)、5.37(d,1H,OH−6)、4.31(d,1H,J=10.2Hz)、4.04(m,1H)、3.79(dd,J=12Hz,6Hz,1H)、3.51(m,1H)、3.11(d,1H,J=9.9Hz,H−13)、1.95(d,J=9.3Hz,1H)、1.27〜1.34(m,2H)、1.19(s,3H,CH−18)、0.99(s,3H,CH−19)。
【0178】
化合物BS−OR−062は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをブチルスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):630[M+Na];HPLC:保持時間4.994分(97.54%)。
【0179】
化合物BS−OR−065は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):718[M+Na]、734[M+K];HPLC:保持時間6.942分(98.94%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.01(d,1H,J=8.4Hz,H−ベンゼン)、7.79(d,1H,J=8.7Hz,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、5.89(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.39(d,1H,J=11.7Hz,OH−6)、4.87(d,1H,J=6.6Hz)、4.31(d,1H,J=10.5Hz)、4.12(s,1H)、4.04(d,J=10.2Hz,1H)、3.77(dd,J=11.7Hz,8.7Hz,1H)、3.36(m,1H)、3.07(d,1H,J=9.0Hz,H−13)、1.96(d,J=9.3Hz,1H)、1.19(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0180】
化合物BS−OR−066は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを4−フルオロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):668[M+Na]、684[M+K];HPLC:保持時間4.681分(93.63%)。
【0181】
化合物BS−OR−067は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを4−tert−ブチルベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):706[M+Na];HPLC:保持時間8.732分(97.67%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.78(d,1H,J=8.1Hz,H−ベンゼン)、7.61(d,1H,J=8.4Hz,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、5.86(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.37(d,1H,OH−6)、4.55(d,1H)、4.31(d,1H,J=10.8Hz)、4.04(d,J=10.8Hz,1H)、3.77(m,1H)、3.30(m,1H)、3.09(d,1H,J=9.3Hz,H−13)、1.96(d,J=7.8Hz,1H)、1.19(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0182】
化合物BS−OR−070は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをベンジルスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):664[M+Na]、680[M+K];HPLC:保持時間5.296分(90.88%)。
【0183】
化合物BS−OR−086は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをp−クロロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):684[M+Na];HPLC:保持時間8.923分(93.73%)。
【0184】
化合物BS−OR−087は、BS−OR−059の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをp−ニトロベンゼンスルホニルクロリドと反応させることによって調製した。
MS(m/z):673[M+H]、695[M+Na]、711[M+K];HPLC:保持時間4.121分(90.67%)。
【実施例7】
【0185】
化合物BS−OR−072の合成
【0186】
【化24】
【0187】
4−メチル安息香酸(41mg、0.3mmol)をジクロロメタン2mLに溶解させ、それに1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(65mg、0.25mmol)を氷浴条件で添加した。1時間撹拌した後、1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタート(116.8mg、0.2mmol)を添加した後、ジクロロメタン(3mL)に溶解させたトリエチルアミン(0.3mL)を添加した。室温で8時間撹拌した後、得られた粗製生成物を、シリカゲルカラムによって分離して、BS−OR−072(40.0mg、収率66%)を白色固体として得た。
MS(m/z):606[M+H]、628[M+Na]、644[M+K];HPLC:保持時間6.475分(93.18%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.61〜7.64(m,2H,H−ベンゼン)、7.26〜7.27(m,2H,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、6.00〜6.02(m,1H)、5.84〜5.89(m,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.35〜5.39(m,1H,OH−6)、4.27〜4.28(m,1H)、4.02〜4.13(m,2H)、3.78〜3.79(m,1H)、3.07〜3.11(m,1H,H−13)、2.35(s,3H,CH−ベンゼン)、2.21〜2.47(m,5H)、1.40〜1.72(m,1H)、1.26〜1.32(m,3H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.07〜1.11(m,2H)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0188】
化合物BS−OR−079は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをp−クロロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):648[M+Na]、664[M+K];HPLC:保持時間7.276分(93.66%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.66〜7.69(m,2H,H−ベンゼン)、7.38〜7.42(m,2H,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、6.00〜6.02(m,1H)、5.87(d,1H,J=19.6Hz,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.39(d,1H,J=16.0Hz,OH−6)、4.30(d,1H,J=14.0Hz)、4.02〜4.10(m,2H)、3.73〜3.80(m,1H)、3.04〜3.11(m,1H,H−13)、2.21〜2.47(m,5H)、1.40〜1.72(m,10H)、1.26〜1.32(m,3H)、1.19(s,3H,CH−18)、1.07〜1.11(m,2H)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0189】
化合物BS−OR−080は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをピバル酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):572[M+H]、594[M+Na]、610[M+K];HPLC:保持時間5.584分(94.02%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ6.26(s,1H,H−17)、5.86(d,1H,J=25.4Hz,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.32〜5.38(m,1H,OH−6)、4.26〜4.31(m,1H)、4.02〜4.06(m,2H)、3.64〜3.85(m,2H)、3.08〜3.12(m,1H)、2.22〜2.44(m,5H)、1.62〜1.72(m,10H)、1.29〜1.32(m,3H)、1.17(s,12H,H−CH)、1.07〜1.14(m,2H)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0190】
化合物BS−OR−083は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを2−ピコリン酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):593[M+H]、615[M+Na]、631[M+K];HPLC:保持時間5.072分(98.23%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.58〜8.60(m,1H,H−ピリジル)、8.16〜8.19(m,1H,H−ピリジル)、7.83〜7.87(m,1H,H−ピリジル)、7.41〜7.44(m,1H,H−ピリジル)、6.26(s,1H,H−17)、5.87(d,1H,J=12.44Hz,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.37〜5.43(m,1H,OH−6)、4.23〜4.33(m,2H)、4.07〜4.11(m,1H)、4.02〜4.07(m,1H)、3.76〜3.82(m,1H)、3.14(d,1H,J=13.0Hz,H−13)、2.35〜2.47(m,5H)、1.62〜1.72(m,10H)、1.29〜1.32(m,3H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.07〜1.14(m,2H)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0191】
化合物BS−OR−071は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをp−メトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):622[M+H]、644[M+Na]、660[M+K];HPLC:保持時間5.520分(90.14%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.71(d,1H,J=9.0Hz,H−ベンゼン)、6.94(d,1H,J=8.7Hz,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.90(d,1H,J=12.44Hz,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.39(d,1H,J=11.1Hz,OH−6)、4.32(d,J=10.5Hz,1H)、4.05(d,J=9.6Hz,1H)、3.85(s,3H)、3.13(d,1H,H−13)、1.29〜1.32(m,2H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0192】
化合物BS−OR−073は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを3−メチル安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):606[M+H]、628[M+Na]、644[M+K];HPLC:保持時間6.575分(94.92%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.55(m,2H,H−ベンゼン)、7.30(m,2H,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.90(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.40(d,1H,J=11.7Hz,OH−6)、4.32(d,J=10.5Hz,1H)、4.05(d,J=10.2Hz,1H)、3.46(m,1H)、3.13(d,1H,H−13)、2.47(s,3H)、1.29〜1.32(m,2H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0193】
化合物BS−OR−074は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを3−ニトロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):637[M+H]、659[M+Na];HPLC:保持時間5.965分(100.00%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.58(s,1H,H−ベンゼン)、8.37(d,1H,J=7.2Hz,H−ベンゼン)、8.12(d,1H,H−ベンゼン)、7.68(t,1H,J=7.8Hz,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.92(s,1H,H−14)、5.63(s,1H,H−17)、5.42(d,1H,J=11.1Hz,OH−6)、4.33(d,J=10.5Hz,1H)、4.05(d,J=10.2Hz,1H)、3.09(d,1H,H−13)、1.25(m,2H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0194】
化合物BS−OR−075は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを2−チオフェンギ酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):598[M+H]、620[M+Na]、636[M+K];HPLC:保持時間4.937分(95.67%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.47(d,2H,J=7.8Hz,H−チオフェン)、7.09(t,1H,H−チオフェン)、6.26(s,1H,H−17)、5.90(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.40(d,1H,J=11.7Hz,OH−6)、4.30(d,J=10.2Hz,1H)、4.06(d,J=10.5Hz,1H)、3.12(d,1H,J=9.6Hz,H−13)、1.26(m,2H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0195】
化合物BS−OR−076は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):592[M+H]、614[M+Na]、630[M+K];HPLC:保持時間4.923分(97.14%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.74(d,2H,J=6.6Hz,H−ベンゼン)、7.46(m,3H,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.90(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.40(d,1H,J=11.4Hz,OH−6)、4.29(d,1H)、4.06(d,J=10.2Hz,1H)、3.09(d,1H,H−13)、1.26(m,2H)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0196】
化合物BS−OR−077は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをp−フルオロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):610[M+H]、632[M+Na]、648[M+K];HPLC:保持時間5.824分(97.27%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.77(d,2H,J=8.1Hz,H−ベンゼン)、7.11(d,2H,J=8.1Hz,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.90(s,1H,H−14)、5.62(s,1H,H−17)、5.36(d,1H,OH−6)、4.29(d,1H)、4.06(d,J=10.8Hz,1H)、3.08(d,1H,H−13)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0197】
化合物BS−OR−078は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートをo−クロロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):626[M+H]、648[M+Na];HPLC:保持時間5.344分(95.34%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.66(m,1H,H−ベンゼン)、7.41(m,3H,H−ベンゼン)、6.25(s,1H,H−17)、5.88(s,1H,H−14)、5.61(s,1H,H−17)、5.40(d,1H,OH−6)、4.31(d,J=10.2Hz,1H)、4.05(d,J=10.8Hz,1H)、3.08(d,1H,H−13)、1.20(s,3H,CH−18)、1.00(s,3H,CH−19)。
【0198】
化合物BS−OR−088は、BS−OR−072の調製方法に従って同じ試薬を使用して、化合物1−オキソ−14−(4−アシルオキシシクロヘキシルアミン)オリドニントリフルオロアセタートを2−フロ酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):582[M+H]、604[M+Na];HPLC:保持時間6.675分(95.92%)。
【実施例8】
【0199】
化合物BS−OR−090の合成
【0200】
【化25】
【0201】
式中、TsOHは、ベンゼンスルホン酸である。
【0202】
オリドニン(3g、8.23mmol)をアセトン90mLに溶解させ、それにベンゼンスルホン酸(90mg、0.52mmol)を触媒量で添加した。混合物を25℃で一晩かけて撹拌した。TLC(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)によって反応の完了が検出された後、飽和重炭酸ナトリウムを添加して、反応をクエンチした。混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を組み合わせ、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)によって分離して、化合物OR−2(1.05g、収率31.5%)を白色固体として得た。
MS(m/z):427[M+Na]
H NMR(300MHz,CDCl):δ6.15(s,1H,H−17)、5.78(d,1H,J=15.76Hz,H−14)、5.55(s,1H,H−17)、4.80(s,1H,OH−6)、4.25(d,1H,J=13.12Hz)、4.03〜4.07(m,1H)、3.86〜3.93(m,1H)、3.45〜3.50(m,1H)、3.07(d,1H,J=12.6Hz,H−13)、2.50〜2.55(m,1H)、1.88〜2.00(m,1H)、1.25〜1.77(m,9H)、1.33(s,6H)、1.17(s,3H,CH−18)、1.15(s,3H,CH−19)。
【0203】
【化26】
【0204】
式中、AcOは、無水酢酸である。
【0205】
化合物OR−2(1.05g、2.6mmol)を無水ピリジン70mLに溶解させ、それに無水酢酸(3.5g、3.9mmol)をゆっくり滴加した。混合物を室温で一晩かけて撹拌し、溶媒をロータリーエバポレーターで処理して除去した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、化合物3(1.1g、収率95%)を白色固体として得た。
MS(m/z):447[M+H]、469[M+Na]
H NMR(300MHz,CDCl):δ6.18(s,1H,H−17)、.81(d,1H,J=15.8Hz,H−14)、5.57(s,1H,H−17)、4.77(s,1H,OH−6)、4.59〜4.65(m,1H)、4.15〜4.25(m,2H)、3.90〜3.97(m,1H)、3.07(d,1H,J=12.3Hz,H−13)、2.45〜2.53(m,1H)、1.99(s,3H)、1.25〜1.83(m,9H)、1.33(s,6H)、1.17(s,3H,CH−18)、1.15(s,3H,CH−19)。
【0206】
【化27】
【0207】
式中、1−OAc−ORは、1−アセチルオリドニンである。
【0208】
化合物3(1.1g、2.46mmol)を、80%酢酸溶液33mLに溶解させ、反応を40℃で12時間進行させた。反応が完了した後、反応溶液を濃縮した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(ジクロロメタン:メタノール=20:1)によって分離して、1−アセチルオリドニン(780mg、収率78%)を白色固体として得た。
MS(m/z):429[M+Na]
H NMR(300MHz,CDCl):δ6.46(m,1H)、6.20(s,1H,H−17)、5.58(s,1H,H−17)、4.87(s,1H,OH−6)、4.58〜4.62(m,1H)、4.18〜4.26(m,2H)、3.75〜3.82(m,2H)、3.50(s,1H)、3.08(d,1H,J=12.7Hz,H−13)、2.32〜2.45(m,1H)、2.00(s,3H)、1.25〜1.83(m,9H)、1.33(s,6H)、1.16(s,3H,CH−18)、1.15(s,3H,CH−19)。
【0209】
【化28】
【0210】
p−メチル安息香酸(30.6mg、0.225mmol)を、乾燥ジクロロメタン(5mL)に溶解させ、それに塩化オキサリル(38mg、0.30mmol)を添加した。室温で1.5時間撹拌した後、混合物をロータリーエバポレーターで処理して、p−メチルベンゾイルクロリドを得た。1−アセチルオリドニン(61.0mg、0.15mmol)及びトリエチルアミン(45.5mg、0.45mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に溶解させ、それに、既に得られたp−メチルベンゾイルクロリドを添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、ジクロロメタン(30mL)及び飽和重炭酸ナトリウム(30mL)を添加した。有機相を、5%塩酸及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、BS−OR−090(29mg、収率70%)を白色固体として得た。
MS(m/z):525[M+H]。547[M+Na];HPLC:保持時間7.170分(97.37%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.78〜7.81(m,2H,H−ベンゼン)、7.22〜7.26(m,2H,H−ベンゼン)、6.14〜6.19(m,2H)、6.04(s,1H)、5.50(s,1H,H−17)、4.63〜4.67(s,1H,OH−6)、4.33(d,1H,J=12Hz,H−13)、4.20〜4.22(m,2H)、3.78〜3.83(m,1H)、3.31(d,1H,J=12Hz,H−13)、2.50〜2.70(m,1H)、2.35(s,3H,H−ベンゼン メチル)、2.02(s,3H)、1.26〜1.80(m,9H)、1.15(s,3H,CH−18)、1.13(s,3H,CH−19)。
【0211】
化合物BS−OR−091は、BS−OR−090の調製方法に従って同じ試薬を使用して、1−アセチルオリドニンをp−メトキシ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):541[M+H]、563[M+Na];HPLC:保持時間4.079分(93.44%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.85〜7.88(m,2H,H−ベンゼン)、6.87〜6.90(m,2H,H−ベンゼン)、6.16〜6.19(m,2H)、6.03(s,1H)、5.50(s,1H,H−17)、4.63〜4.69(s,1H,OH−6)、4.32(d,1H,J=12Hz,H−13)、4.20〜4.22(m,2H)、3.84(s,3H,H−メチル)、3.78〜3.83(m,1H)、3.(d,1H,J=12Hz,−13)、2.50〜2.70(m,1H)、2.35(s,3H,H−ベンゼン メチル)、2.02(s,3H)、1.25〜1.80(m,9H)、1.15(s,3H,CH−18)、1.13(s,3H,CH−19)。
【0212】
化合物BS−OR−092は、BS−OR−090の調製方法に従って同じ試薬を使用して、1−アセチルオリドニンを3−ニトロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):556[M+H]、578[M+Na];HPLC:保持時間3.973分(94.52%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ8.82〜8.83(m,1H,H−ベンゼン)、8.37〜8.42(m,1H,H−ベンゼン)、8.25〜8.28(m,1H,H−ベンゼン)、7.57〜7.62(m,1H,H−ベンゼン)、6.24(s,1H,H−17)、6.17(s,1H)、6.07(d,1H,J=16Hz)、5.58(s,1H,H−17)、4.63〜4.69(m,1H,OH−6)、4.37(d,1H,J=16Hz,H−13)、4.22(d,1H,J=16Hz)、3.70〜3.76(m,1H)、3.62(s,1H)、3.27(d,1H,J=12Hz,H−13)、2.50〜2.70(m,1H)、2.02(s,3H)、1.25〜1.80(m,9H)、1.14(s,3H,CH−18)、1.12(s,3H,CH−19)。
【0213】
化合物BS−OR−093は、BS−OR−090の調製方法に従って同じ試薬を使用して、1−アセチルオリドニンをp−クロロ安息香酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):567[M+Na];HPLC:保持時間6.305分(93.27%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.85〜7.88(m,2H,H−ベンゼン)、7.36〜7.39(m,2H,H−ベンゼン)、6.21(s,1H,H−17)、6.15(s,1H)、6.09(d,1H,J=12Hz)、5.53(s,1H,H−17)、4.63〜4.68(m,1H,OH−6)、4.33(d,1H,J=12Hz,H−13)、4.20(d,1H,J=16Hz)、3.87(s,1H)、3.74〜3.80(m,1H)、3.27(d,1H,J=16Hz,H−13)、2.50〜2.70(m,1H)、2.02(s,3H)、1.26〜1.80(m,9H)、1.14(s,3H,CH−18)、1.13(s,3H,CH−19)。
【0214】
化合物BS−OR−094は、BS−OR−090の調製方法に従って同じ試薬を使用して、1−アセチルオリドニンをケイ皮酸と反応させることによって調製した。
MS(m/z):559[M+Na];HPLC:保持時間4.785分(99.80%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.66(d,1H,J=20Hz,オレフィン酸水素)、7.37〜7.51(m,5H,H−ベンゼン)、6.35(d,1H,J=20Hz,オレフィン酸水素)、6.15〜6.19(m,2H)、5.93(s,1H)、5.52(s,1H,H−17)、4.63〜4.67(m,1H,OH−6)、4.19〜4.33(m,3H)、3.79〜3.85(m,1H)、3.27(d,1H,J=12Hz,H−13)、2.50〜2.70(m,1H)、2.02(s,3H)、1.26〜1.80(m,9H)、1.14(s,3H,CH−18)、1.13(s,3H,CH−19)。
【実施例9】
【0215】
化合物BS−OR−095の合成
【0216】
【化29】
【0217】
1−オキソ−14−(4−アシルオキシピペリジン)オリドニントリフルオロアセタート(0.1mmol)に、o−クロロベンゾイルクロリド(26.3mg、0.15mmol)及びトリエチルアミン(30.3mg、0.3mmol)を添加した。反応溶液を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(30mL)及び飽和重炭酸ナトリウム(30mL)を反応溶液に添加し、次にそれを異なる層に分離して、有機相を得た。有機相を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=2:1〜1:1)によって分離して、化合物BS−OR−095(30mg、収率49%)を白色固体として得た。
MS(m/z):612.3[M+H]、634.3[M+Na];HPLC:保持時間5.132分(93.37%)。
1H NMR(300MHz,CDCl)δ7.38〜7.19(m,4H)、6.26〜6.24(m,1H)、5.93(s,1H,H−14)、5.6〜5.61(d,1H)、5.36〜5.32(d,1H,J=12.0Hz,OH−6)、4.59〜4.47(m,1H)、4.31〜4.28(d,1H,J=10.5Hz,H−20)、4.03〜4.00(d,1H,J=10.5Hz,H−20)、3.93〜3.91(m,1H)、3.78〜3.70(m,1H)、3.44〜3.33(m,1H)、3.09〜2.87(m,3H)、1.18(s,3H)、0.98(s,3H)。
【実施例10】
【0218】
化合物BS−OR−099の合成
【0219】
【化30】
【0220】
乾燥ジクロロメタン(10mL)に、N−Boc−4−ピペリジンカルボン酸(183.3mg、0.74mmol)を添加し、その後塩化オキサリル(140mg、1.1mmol)を添加した。反応溶液を室温で1.5時間撹拌し、その後溶媒を除去した。次にジクロロメタン(5mL)中の1−アセチルオリドニン(200mg、0.49mmol)及びトリエチルアミン(222mg、2.2mmol)を添加し、反応溶液を室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、ジクロロメタン(30mL)及び飽和重炭酸ナトリウム(30mL)を反応溶液に添加し、次にそれを異なる層に分離して、有機相を得た。有機相を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、化合物1−アセチル−14−(N−Boc−4−ピペリジンアシルオキシ)オリドニン(230mg、収率76%)を白色固体として得た。
【0221】
【化31】
【0222】
ジクロロメタン(3mL)に、1−アセチル−14−(N−Boc−4−ピペリジンアシルオキシ)オリドニン(92mg、0.15mmol)を添加し、その後トリフルオロ酢酸(0.3mL)を滴加した。反応溶液を室温で1時間撹拌し、反応が完了した後、溶媒をロータリーエバポレーターで処理して除去した。得られた粗製生成物を、その後の反応で精製なしに直接使用した。
【0223】
【化32】
【0224】
ジクロロメタン(5mL)に、最終ステップで得られた粗製生成物(0.15mmol)を添加し、その後トリエチルアミン(222mg、2.2mmol)及び2−クロロベンゾイルクロリド(40mg、0.225mmol)を添加した。反応溶液を室温で2時間撹拌し、反応が完了した後、それにジクロロメタン(30mL)及び飽和重炭酸ナトリウム(30mL)を添加した。反応溶液を異なる層に分離して、有機相を得、それを飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで処理した。得られた粗製生成物を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、化合物BS−OR−099(28mg、収率28.5%)を白色固体として得た。
MS(m/z):656.3[M+H]、678.3[M+Na];HPLC:保持時間6.253分(90.49%)。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.38〜7.23(m,1H)、6.16〜6.11(m,2H)、5.86(s,1H,H−14)、5.53〜5.49(d,1H,J=10.2Hz)、4.64〜4.56(m,2H)、4.30〜4.26(d,1H,J=11.1Hz,H−20)、4.20〜4.16(m,1H)、4.03〜4.07〜3.99(m,1H)、3.80〜3.73(m,1H)、3.45〜3.33(m,1H)、2.60〜2.45(m,2H)、1.99(s,3H)、1.12(m,6H)。
【実施例11】
【0225】
本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体の抗白血病活性に関する評価
(1)実験材料
白血病細胞株:白血病細胞株:K562/adr(薬物耐性、慢性骨髄性白血病、CML、chronic myeloid leukemia)、NB4(急性前骨髄球性白血病、AML、acute promyelocytic leukemia)、Kasumi−1(急性骨髄性白血病M2タイプ、AML−M2、acute myeloid leukemia M2 type)、Jurkat(急性リンパ性白血病、ALL、acute lymphoblastic leukemia)は、すべて中国、浙江大学の癌研究所から寄贈されたものであり、H9(急性リンパ性白血病、ALL)は、China Center for Type Culture Collectionから購入した。
試薬:中国陝西省のXi'an Hao-Xuan Biology社から購入したオリドニン(OR)の標準試料、及び本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体。
主な装置:インキュベーター(モデル:Thermo Scientific 3111)及びマイクロプレートリーダー(モデル:Bio-Rad iMark)。
【0226】
(2)実験方法
良好に増殖する6000個の白血病細胞を得、96ウェル細胞培養プレートのウェルに播種した。培地は、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640細胞培地であった。翌日、異なる濃度の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体を添加し、均一に混合した。プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO)に入れ、72時間インキュベートした。次に、生細胞濃度を、MTT法によって求めた。この実験では、対照群(いかなる化合物でも処理していない)の細胞生存率を、100%と設定し、処理後の細胞生存率(%)及び72時間目における白血病細胞増殖に対する化合物の半数阻害濃度(IC50値、72時間、μg/mL)を算出した。
【0227】
(3)実験結果
実験結果を表1に示す。
表1は、本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体が、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、急性骨髄性白血病細胞、及び急性リンパ性白血病細胞の細胞死を有効に誘発することができ、これらの白血病細胞の増殖を阻害し得ることを示している。本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体は、オリドニン自体と比較すると、これらの細胞株に対して著しく高い活性を示す。化合物BS−OR−090及びBS−OR−093は、抗K562/adr、抗Kasumi−1及び抗Jurkat細胞株活性が特に顕著であり、すべて3〜4倍高く、抗NB4及び抗H9細胞株活性は、15倍及び22倍も高かった。さらに、誘導体BS−OR−004及びBS−OR−005の抗Kasumi−1細胞株活性は、3倍を超えて高く、BS−OR−005及びBS−OR−010両方の抗Jurkat細胞株活性は、ほぼ4倍高かった。
【0228】
【表2】
【実施例12】
【0229】
本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体の抗ヒト多発性骨髄腫細胞活性に関する評価
(1)実験材料
多発性骨髄腫細胞株:中国上海のFuxiang Bio-tech社から購入したRPMI8226(多発性骨髄腫)。
試薬:実施例11と同じ。
主な装置:Thermo Scientific 3111インキュベーター及びBio-Rad iMarkマイクロプレートリーダー。
【0230】
(2)実験方法
良好に増殖する6000個の細胞を得、96ウェル細胞培養プレートのウェルに播種した。培地は、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640細胞培地であった。翌日、異なる濃度の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体を添加し、均一に混合した。プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO)に入れ、72時間インキュベートした。次に、生細胞濃度を、MTT法によって求めた。この実験では、対照群(いかなる化合物でも処理していない)の細胞生存率を、100%と設定し、処理後の細胞生存率(%)及び72時間目における細胞増殖に対する化合物の半数阻害濃度(IC50値、72時間、μg/mL)を算出した。
【0231】
(3)実験結果
実験結果を表2に示す。
表2は、本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体が、ヒト骨髄腫細胞の死滅を誘発することができ、これらの腫瘍細胞の増殖を阻害し得ることを示している。本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体BS−OR−005、BS−OR−010、BS−OR−090及びBS−OR−093の抗RPMI8226細胞活性は、オリドニン自体と比較すると、9倍を超えて高かった。
【実施例13】
【0232】
本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体の抗ヒト固形腫瘍効果に関する評価
(1)実験材料
ヒト固形腫瘍細胞株:
Hep−2(喉頭癌腫)、A549(ヒト肺癌)、CaEs−17(食道癌細胞)、PC−3(前立腺癌)、CNE(鼻咽頭癌腫細胞)及びSK−OV−3(卵巣癌細胞)は、すべてChina Center for Type Culture Collectionから購入した。RKO(ヒト結腸腺癌細胞)、MGC−803(ヒト胃癌細胞)、MG−63(骨肉腫)及びU87−MG(悪性神経膠腫細胞)は、すべて中国上海のFuxiang Bio-tech社から購入した。PANC−1(膵臓癌)、Becap−37(ヒト乳癌細胞)、Hela(ヒト子宮頸癌細胞)及びHep G2(ヒト肝臓癌細胞)は、すべて中国、浙江大学の癌研究所から寄贈された。
試薬:実施例11と同じ。
主な装置:Thermo Scientific 3111インキュベーター及びBio-Rad iMarkマイクロプレートリーダー。
【0233】
(2)実験方法
良好に増殖する6000個のヒト固形腫瘍細胞を得、96ウェル細胞培養プレートのウェルに播種した。培地は、10%ウシ胎児血清を含有するDMEM高グルコース細胞培地であった。プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO)に入れ、24時間インキュベートした。異なる濃度の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体を添加し、均一に混合した後、プレートを、37℃の二酸化炭素細胞インキュベーター(5%CO)に入れ、72時間インキュベートした。次に、生細胞濃度を、MTT法によって求めた。この実験では、対照群(いかなる化合物でも処理していない)の細胞生存率を、100%と設定し、処理後の細胞生存率(%)及び72時間目における白血病細胞増殖に対する化合物の半数阻害濃度(IC50値、72時間)を算出した。
【0234】
(3)実験結果
実験結果を表2に示す。
表2は、本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体が、著しく高い抗ヒト固形腫瘍活性を有し、ヒト固形腫瘍細胞の死滅を誘発することができ、これらの腫瘍細胞の増殖を阻害し得ることを示している。本発明の1−オキソ/アシル化−14−アシル化オリドニン誘導体BS−OR−090及びBS−OR−091の抗MGC−803及び抗Hep−2活性は、オリドニン自体と比較すると、それぞれほぼ10倍及び5倍高かった。BS−OR−004、BS−OR−005、BS−OR−019及びBS−OR−093の抗CaEs−17活性は、3倍を超えて高かった。BS−OR−004及びBS−OR−090の抗CNE活性は、ほぼ6倍高かった。さらに、BS−OR−090及びBS−OR−093の抗SK−OV−3活性は、7倍を超えて高かった。BS−OR−004、BS−OR−005及びBS−OR−090すべての抗PANC−1及び抗Hep G2細胞株活性は、ほぼ7〜8倍高かった。BS−OR−004及びBS−OR−005両方の抗Becap−37及び抗RKO活性も、7倍を超えて高かった。BS−OR−004、BS−OR−005、BS−OR−019及びBS−OR−090の抗MG−63活性は、5倍を超えて高かった。BS−OR−090の抗Hela活性は、5倍を超えて高かった。BS−OR−005及びBS−OR−090両方の抗PC−3活性も、5倍を超えて高かった。
【0235】
【表3】
【0236】
【表4】
【0237】
【表5】
【0238】
【表6】