(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
電子式シガレットは、少なくとも2つのオフアクシス(off-axis)の、好ましくは分散用の出口を有する1つ以上の口挿入端部と、少なくとも1つの気流ダイバータと、電子式シガレットを構成するその他の材料との何れか又は任意の組合せを用いることにより、エアロゾル出力の改善及び口当たりの良好化との双方又は何れか一方を達成する。
【0006】
理論に拘束されることを望むものではないが、少なくとも2つのオフアクシスの、好ましくは分散用の出口を有する口挿入端部を用いることにより、エアロゾルを喫煙者の口内に大きく分布させ、より充満した口当たりが得られるようにする。口挿入端部は、気化されていない液体の小滴を収集する衝突面をも提供し、このような液体の小滴が、気化されていない形態で口挿入端部から流出するのを阻止する。この口挿入端部の衝突面は、小滴が喫煙中にこの衝突面に当るようにすることにより熱を強めるようにする作用も達成する。
【0007】
更に、理論に拘束されることを望むものではないが、気流ダイバータの使用は、気流を低速にするか、又はヒータの一部を囲む少なくとも幾らかの気流の方向を変えて、電子式シガレットでの吸引が増大した際に吸引された気流がヒータを冷却する傾向を和らげるか、又はこれらの双方を達成する作用をする。ヒータに対する冷却の影響を低減させることにより、喫煙者が期待するように、電子式シガレットに対する長い又は強い或いはその双方の吸引中にエアロゾルの出力を多くすると思われる。
【0008】
図1、4、6、8、9及び13に示すように、新規な電子式シガレット60は、交換可能なカートリッジ(すなわち第1の区分)70と再使用可能な固定物(すなわち第2の区分)72とを具えており、これらを、ねじ連結部205により、又はすべり嵌め、戻り止め、クランプ及びクラスプの何れか又は任意の組合せによるような他の便利な手段により、互いに結合させるようにしてある。第1の区分70は、長手方向に延在する外管6(すなわちケーシング)と、この外管すなわちケーシング6内に同心的に配置した内管62とを有している。第2の区分72も長手方向に延在する外管6(すなわちケーシング)を有している。他の実施例では、第1の区分70と第2の区分72との双方を有する単一の管とし、電子式シガレット60の全体を廃棄するようにしうる。
【0009】
一実施例では、電子式シガレット60には、上流封止部15内の中央の空気流路20をも設けることができる。この中央の空気流路20は内管62に向けて開放している。更に、電子式シガレット60は液体供給容器22を有する。この液体供給容器は液体材料と、任意ではあるが液体材料を内部に蓄積するように作用しうる液体蓄積媒体21とを有する。一実施例では、液体供給容器22は、外管6と内管62との間の外側環状部内に収容されている。この外側環状部は、上流端部で封止部15により、下流端部では液体ストッパ10により封止され、液体材料が液体供給容器22から漏洩するのを阻止するようにしてある。
【0010】
一実施例では、中央の空気流路20の下流でこれから離間させてヒータ14をも内管62内に収容する。このヒータ14は、ワイヤコイル、平面体、セラミック体、単線ワイヤ、抵抗ワイヤのケージの形態又はその他の適切な如何なる形態にもすることができる。芯(ウイック)28は、液体供給容器22内の液体材料と連通しているとともに、ヒータ14と連通し、芯28が液体材料をヒータ14に極めて接近した関係にもたらすようにする。芯28は、繊維質で可撓性の材料から構成しうる。この芯28は、液体を吸引する能力を有する少なくとも1本のフィラメントを具えるようにするのが好ましく、より好ましくは、芯28が、ガラス(又はセラミック)フィラメントを有しうるフィラメントの束を具えるようにするか、最も好ましくは、芯28がガラスフィラメントの巻線の群、好ましくはこのような巻線の3つの群を有する束を具えるようにし、これらの構成の全ては、フィラメント間の隙間を介する毛管作用により液体を吸引しうるものである。第2の区分72内の電源1は、電圧をヒータ14の両端間に印加するように作用しうる。電子式シガレット60は、中央の空気流路20と内管62の他の部分との双方又は何れか一方に空気を送給するように作用しうる少なくとも1つの空気入口44をも有する。
【0011】
電子式シガレット60は更に、少なくとも2つのオフアクシスの、好ましくは分散用の出口24を有する口挿入端部8を具える。この口挿入端部8は、内管62の内部と、ストッパ10を貫通する中央の流路63とを介して中央の空気流路20と流体連結される。更に、
図7及び8に示すように、ヒータ14は、長手方向に対し交差する方向に延在させ、液体材料を気化させてエアロゾルを形成するのに充分な温度にこの液体材料を加熱するようにするのが好ましい。他の実施例では、ヒータ14を他の向き(方向性)にすることも考えられる。例えば、
図13に示すように、ヒータ14と芯28の加熱部分を内管62内で長手方向に配置することができる。ヒータ14は図示するように内管62内の中央に配置するのが好ましい。しかし、他の実施例では、ヒータ14を内管62の内面に隣接させて配置することができる。
【0012】
図1を参照するに、芯28と、液体供給容器22と、口挿入端部8とは、カートリッジ70内に収容され、電源1は第2の区分72内に収容されている。一実施例では、第1の区分(カートリッジ)70を使い捨て可能とし、第2の区分(固定物)72を再使用可能とする。区分70及び72はねじ連結部205により互いに取付けられ、これにより、液体供給容器22が使い尽くされた場合に、下流の区分70を交換しうるようにする。第1の区分と、第2の区分とを別々に設けることにより、多数の利点が得られる。第1に、第1の区分70が少なくとも1つのヒータ14と、液体供給容器22と、芯28を収容している場合、第1の区分70を交換する際に、液体と接触している可能性のある全ての素子が処分される。従って、例えば、異なる液体材料を用いる場合に、異なる口挿入端部8間で交差汚染(二次汚染)が生じることがない。又、第1の区分70を適切な時間間隔で交換する場合、ヒータが液体で汚されるおそれが殆ど無くなる。任意ではあるが、第1の区分70と第2の区分72とを、係合時に互いに解除可能にロックさせるように配置する。
【0013】
一実施例では、
図10に示すように、外管6が、透明材料より成るクリア(透明)窓71を有し、喫煙者が液体供給容器22内に残存する液体材料の量を見うるようにすることができる。クリア窓71は、第1の区分70の長さの少なくとも一部に亘って延在させるとともに、この第1の区分70の周囲の全体に又は一部に延在させるようにすることができる。他の実施例では、外管6を少なくとも部分的に透明材料から形成し、喫煙者が液体供給容器22内に残存する液体材料の量を見うるようにすることができる。
【0014】
一実施例では、前述した少なくとも1つの空気入口44が1つの又は2つの空気入口44、44′を有するようにする。或いはまた、3つ、4つ、5つ又はより多い空気入口を設けることができる。1つよりも多い空気入口44、44′がある場合には、これらの空気入口44、44′を電子式シガレット60に沿う異なる位置に配置するのが好ましい。例えば、
図1に示すように、空気入口44aを、パフセンサ16に隣接させて電子式シガレットの上流端部に配置し、パフセンサが喫煙者によるパフを検出した際に電力をヒータに供給するようにすることができる。空気入口44aを口挿入端部8と連通させて、この口挿入端部での吸引がパフセンサを駆動するようにする必要がある。この場合、空気入口44aからの空気は、バッテリに沿って封止部15内の中央の空気流路20と、内管62及び外管6の双方又は何れか一方の他の部分との双方又は何れか一方に流れることができる。封止部15に隣接させてその上流に、又は他の所望の何れかの位置に、少なくとも1つの追加の空気入口44、44′を位置させることができる。空気入口44、44′の大きさ及び個数を変えることは、電子式シガレット60の吸引抵抗の設定に役立つこともできる。
【0015】
一実施例では、ヒータ14を、芯28と連通させるとともに、芯28内に含まれる液体材料を気化させてエアロゾルを形成するのに充分な温度にこの液体材料を加熱するように配置する。
【0016】
ヒータ14は、芯28を囲んでいるワイヤコイルとするのが好ましい。適切な電気抵抗性の材料の例には、チタンと、ジルコンと、タンタルと、白金族から選択した金属とが含まれる。適切な金属合金の例には、ステンレス鋼と、ニッケル;コバルト;クロム;アルミニウム;チタン;ジルコン;ハフニウム;ニオブ;モリブデン;タンタル;タングステン;錫;ガリウム;マンガン;鉄を含有する合金と、ニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼に基づく超合金とが含まれる。エネルギー伝達の動力学及び必要とする外部の物理化学特性に応じて、ヒータを例えば、ニッケルアルミナイドや、表面上にアルミナの層を有する材料や、鉄アルミナイドや、その他の複合材料から形成し、電気抵抗性の材料を、任意ではあるが、絶縁材料内に埋め込むか、又は絶縁材料でカプセル封止又は被覆するか、又はその逆にすることができる。ヒータ14は、ステンレス鋼、銅、銅合金、ニッケルクロム合金、超合金及びこれらの任意の組合せより成る群から選択した少なくとも1種類の材料を有するようにするのが好ましい。一実施例では、ヒータ14をニッケルクロム合金又は鉄クロム合金から形成する。他の一実施例では、ヒータ14を外側の表面上に電気抵抗層を有するセラミックヒータとすることができる。
【0017】
他の実施例では、ヒータ14を、1994年12月29日に出願されたSikka 氏等の公有の米国特許第 5,595,706号明細書に記載されているような鉄アルミナイド(例えば、FeAl又はFe
3 Al)又はニッケルアルミナイド(例えば、Ni
3 Al)から構成しうる。鉄アルミナイドは高抵抗性を呈する点でこの鉄アルミナイドを使用するのが有利である。FeAlは約180マイクロオームの抵抗を呈し、一方ステンレス鋼は約50〜91マイクロオームを呈する。抵抗が高くなると、電源(バッテリ)1に対する電流の引込み又は電流負荷を低くする。
【0018】
一実施例では、ヒータ14が、芯28を少なくとも部分的に包囲しているワイヤコイルを有するようにする。本例では、このワイヤを金属ワイヤとするか、又はヒータコイルが芯28の長さの一部に沿って延在するようにするか、或いはこれらの双方を達成させるのが好ましい。ヒータコイルは芯28の周囲を完全に又は部分的に囲むように延在させることができる。他の実施例では、ヒータコイルを芯28に接触させないようにする。
【0019】
ヒータ14は、熱伝導により芯28内の液体を加熱するようにするのが好ましい。或いはまた、ヒータ14からの熱が熱伝導素子により液体に伝達しうるようにするか、又はヒータ14が、使用中に電子式シガレット60を通して吸引される到来外気に熱を伝達し、この外気の対流により液体を加熱するようにしうる。
【0020】
一実施例では、芯が、セラミック材料又はセラミック繊維を有するようにする。上述したように、芯28はヒータ14により少なくとも部分的に囲まれている。更に、一実施例では、芯28が互いに対向する孔を通って内管62内に延在し、芯28の端部29及び31が液体供給容器22と接触するようにする。
【0021】
好ましくは、芯28が複数のフィラメント又はフィラメントの束を有するようにしうる。これらのフィラメントはほぼ、電子式シガレットの長手方向に対して交差する方向で整列させることができる。一実施例では、芯28がフィラメントから構成され、毛管作用により液体がこれらフィラメント間の隙間を介してヒータ14に吸引されうるようにする。芯28は、ほぼ、十字状、クローバー状、Y字状又はその他の適切な何らかの形状とすることができる断面を有するフィラメントを具えるようにしうる。
【0022】
芯28は適切な何らかの材料又はこれら材料の組合せを有するのが好ましい。これらの適切な材料の例は、ガラスフィラメントや、セラミック又はグラファイトを主成分とする材料である。更に、芯28は、濃度、粘度、表面張力及び蒸気圧のような種々の液体物理特性を有するエアロゾル発生用液体に適合する適切な何らかの毛管吸引作用を有するようにしうる。芯28の毛管特性は液体の特性と相俟って、芯28がヒータ14の領域で常に湿潤し、ヒータ14の過熱を回避するようにする。
【0023】
芯を用いる代わりに、ヒータを、熱を迅速に発生させうる高電気抵抗を有する材料より成る抵抗ヒータを組入れた、毛管作用が充分な多孔質材料とすることができる。
【0024】
一実施例では、芯28と、液体供給容器22の繊維媒体21とをアルミナセラミックから構成する。他の実施例では、芯28がガラス繊維を有し、繊維媒体21がセラミック材料又はポリエチレンテレフタレートを有するようにする。
【0025】
一実施例では、電源1がバッテリを有し、このバッテリは、アノードがカソードの下流に位置するように電子式シガレット60内に配置するようにする。バッテリアノードコネクタ4はバッテリの下流端部と接触する。ヒータ14は、2本の互いに離間した電気リード線によりバッテリに接続されている(
図4、6及び8に示す)。
【0026】
ヒータ14のコイル状にしない端部27及び27′(
図5参照)と電気リード線26との間の接続部は高導電性で耐熱性にするとともに、ヒータ14は高抵抗性として、熱が接点ではなく主としてヒータ14に沿って発生するようにするのが好ましい。
【0027】
バッテリは、リチウムイオンバッテリ又はその変形体、例えば、リチウムイオンポリマバッテリとすることができる。或いはまた、バッテリをニッケル金属水素化物バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、リチウムマンガンバッテリ、リチウムコバルトバッテリ又は燃料電池とすることができる。この場合、電源中のエネルギーが枯渇されるまで、電子式シガレット60を喫煙者により使用しうるようにするのが好ましい。或いはまた、電源1は再充電可能にすることができ、これには、外部の充電装置によりバッテリを充電しうる回路を含めることができる。この場合、この回路は、充電されると、予め決定したパフ数に対する電力を生じ、その後にこの回路を外部の充電装置に再接続する必要があるようにするのが好ましい。
【0028】
電子式シガレット60には、パフセンサ16を有する制御回路をも設けるのが好ましい。このパフセンサ16は、空気圧の降下を検出するとともに電源1からヒータ14への電圧の印加を開始するように動作しうる。制御回路は、ヒータ14を起動した際に発光するように動作しうるヒータ起動ライト48をも有するようにしうる。このヒータ起動ライト48は、LED48を有し且つ電子式シガレット60の上流端部に位置させ、このヒータ起動ライト48がパフ中に石炭が燃えている状態を呈するようにするのが好ましい。更に、ヒータ起動ライト48は、喫煙者に見えるように配置しうる。更に、ヒータ起動ライト48は、シガレットシステム診断用に用いることができる。このヒータ起動ライト48は、喫煙者がこのヒータ起動ライト48を起動させるか、又は秘密のために起動させずにこのヒータ起動ライト48が所望に応じ喫煙中に起動しないようにするか、これらの双方を達成させたりするように構成することもできる。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの空気吸入口44aをパフセンサ16に隣接させて配置し、パフセンサ16が、喫煙者がパフ中であることを表す空気の流れを検出するとともに、ヒータ14が動作していることを表すために電源1及びヒータ起動ライト48を起動するようにする。
【0030】
制御回路はパフセンサ16と一体にし、最大期間リミッタを有するのが好ましいパフセンサ16に応答してヒータ14に電力を供給するようにする。
【0031】
或いはまた、制御回路には喫煙者がパフを開始するようにする手動スイッチを設けることができる。ヒータに電流を供給する期間は、蒸発させたい液体量に応じてプリセットしうるようにする。この目的の為に、制御回路をプログラミング可能としうる。或いはまた、パフセンサが圧力降下を検出している限り、制御回路が電力をヒータに供給するようにしうる。
【0032】
ヒータ14は、起動されると、このヒータ14により囲まれた芯28の一部分を約10秒よりも短い期間、より好ましくは約7秒よりも短い期間の間加熱するようにするのが好ましい。従って、電力供給サイクル(又は最大パフ長)を約2秒〜約10秒(例えば、約3秒〜約9秒、約4秒〜約8秒又は約5秒〜約7秒)の範囲内にすることができる。
【0033】
一実施例では、液体供給容器22が、液体材料を含む液体蓄積媒体21を有するようにする。
図1、4、6、8、9及び13に示す実施例では、液体供給容器22を、内管62と外管6との間及びストッパ10及び封止部15との間の外側環状部内に収容する。従って、液体供給容器22が中央の空気流路20を少なくとも部分的に囲み、ヒータ14及び芯28が液体供給容器22の部分間に延在する。液体蓄積材料は、綿、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン又はこれらの任意の組合せを有する繊維性材料とするのが好ましい。繊維は、約6ミクロン〜約15ミクロン(例えば、約8ミクロン〜約12ミクロン又は約9ミクロン〜約11ミクロン)の寸法範囲の直径を有するようにするのが好ましい。液体蓄積媒体21は、焼結した多孔質又は発泡材料とすることができる。又、繊維は吸入不能となる寸法にするのが好ましく、その断面はY字状、十字状、クローバー状又はその他の適切な何らかの形状とすることができる。或いはまた、液体供給容器22は、繊維質の蓄積媒体21を有さずに
図15〜26を参照して更に説明するように充満タンクを有するようにしうる。
【0034】
又、液体材料は、電子式シガレット60に用いるのに適した沸点を有するようにするのが好ましい。この沸点が高すぎる場合には、ヒータ14は芯28内の液体を気化させることができない。しかし、沸点が低すぎる場合には、ヒータ14が起動されていない場合にも液体が気化されるおそれがある。
【0035】
液体材料には、加熱時に液体から放出される揮発性のたばこ風味(フレーバー)化合物を有するたばこ含有材料を含めることができる。この液体材料は、たばこ風味含有材料又はニコチン含有材料とすることもできる。これに代えて、或いはこれに加えて、液体材料に非たばこ材料を含めることができる。例えば、液体材料に、水、溶媒、エタノール、植物エキス及び自然の又は人工の風味を含めることができる。液体材料には更にエアロゾル形成体を含めるのが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリン及びプロピレングリコールである。
【0036】
使用中、液体材料は、芯28の毛管作用によりヒータ14の近辺で液体供給容器22及び液体蓄積媒体21の双方又は何れか一方から移動する。一実施例では、
図4に示すように、芯28が第1の端部29及び第2の端部31を有する。これら第1の端部29及び第2の端部31は液体蓄積媒体21の対向側部内に延在してこの液体蓄積媒体内に入れられた液体材料と接触するようになっている。又、ヒータ14は少なくとも部分的に芯28の中央部を囲み、ヒータが起動された際に芯28の中央部における液体がヒータ14により気化されて、液体材料の気化及びエアロゾルの形成を達成するようにするのが好ましい。
【0037】
本発明の一実施例による1つの利点は、液体供給容器22内の液体材料が酸素から保護される(その理由は、ほぼ酸素が芯を介して液体蓄積部分に入り込むことができない為である)ので、液体材料が劣化するおそれが著しく低減されるということである。更に、外管6がクリア(透明)でない他の実施例では、液体供給容器22が光から保護される為、液体材料が劣化するおそれが著しく低減される。従って、有効期間及び清潔度を高レベルに維持しうる。
【0038】
図2及び3に示すように、口挿入端部8は、少なくとも2つの分散用の出口流路24(例えば、3個、4個、5個以上、好ましくは2〜10個以上の出口流路、より好ましくは2〜6個の出口流路24、更により好ましくは4個の出口流路24)を有する。口挿入端部8のこれらの出口流路24はオフアクシス流路80の端部に配置し、電子式シガレット60の長手方向に対して外方に角度を成す(すなわち発散する)ようにするのが好ましい。ここで用いる用語“オフアクシス”は電子式シガレットの長手方向に対してある角度にあることを表している。又、口挿入端部(又はフローガイド)8は、この口挿入端部8の周囲に沿って均一に分布させた出口流路を有し、使用中に喫煙者の口内にエアロゾルを実質的に均一に分布させるようにするのが好ましい。この場合、エアロゾルが喫煙者の口内に向かうと、このエアロゾルが喫煙者の口に入り込むとともに種々の方向に移動し、軸線上にあるオンアクシス(on-axis )の単一の出口流路を有しエアロゾルを喫煙者の口内の単一個所に向ける電子式シガレットに比べて、充満した口当たりが得られるようになる。
【0039】
更に、エアロゾル内に混入する噴霧化されていない液体材料の小滴が、口挿入端部の内面81及びオフアクシス流路の内面の双方又は何れか一方に当たり、これらの小滴が除去又は分裂されるように、出口流路24及びオフアクシス流路80を配置する。一実施例では、口挿入端部の出口流路をオフアクシス流路の端部に位置させるとともに、外管6の中心軸線に対して約5°〜約60°の角度にして、使用中に喫煙者の口全体にエアロゾルをより完全に分散させるとともに小滴を除去するようにする。
【0040】
各出口流路の直径は約0.015インチ〜約0.090インチの範囲(例えば、約0.020インチ〜約0.040インチ又は約0.028インチ〜約0.038インチの範囲)とするのが好ましい。出口流路24及びオフアクシス流路80の寸法は、出口流路24の個数とともに、所望に応じ電子式シガレット60の吸引抵抗(RTD)を調整するように選択しうる。
【0041】
図1に示すように、口挿入端部8の内面81がほぼドーム状の表面を有するようにしうる。或いはまた、
図3に示すように、口挿入端部8の内面81′を、平坦な端面を有するほぼ円筒状又は截頭円錐状とすることができる。内面はその表面全体に亘って実質的に均一にするか、又は口挿入端部8の長手軸線を中心として対称的にするのが好ましい。しかし、他の実施例では、内面を不規則的な形状又はその他の形状或いはその双方とすることができる。
【0042】
口挿入端部8はカートリッジ70の外管6内に一体に固定させるのが好ましい。更に、口挿入端部8は、低密のポリエチレン、高密のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びこれらの任意の組合せよりなる群から選択したポリマから形成しうる。口挿入端部8は所望に応じ着色することもできる。
【0043】
一実施例では、電子式シガレット60が、
図4、6、8、13、15〜26に示す種々の例の気流ダイバータ又は気流ダイバータ手段をも具えるようにする。気流ダイバータは、ヒータにおける或いはヒータを囲む気流を管理するように作用し、吸引された空気がヒータを冷却する傾向を和らげる。このようにしないと、エアロゾルの出力を減少させるおそれがある。
【0044】
一実施例では、
図4及び5に示すように、電子式シガレット60が、封止部15内の中央の空気流路20の下流端部82に不浸透性のプラグ30を有する気流ダイバータを具えるようにしうる。中央の空気流路20は、外管6と内管62との間の環状部の上流端部を封止している封止部15内で軸線方向に延在する中央流路とするのが好ましい。気流ダイバータは、空気を中央の空気流路20から内管62に向け且つ封止部15の下流端部の外周面と内管62の内壁との間に規定された外側空気流路84内に指向させる少なくとも1つの径方向空気流路32を有するようにしうるのが好ましい。
【0045】
中央の空気流路20の孔の直径は前記の少なくとも1つの径方向空気流路32の直径とほぼ同じとするのが好ましい。又、この中央の空気流路20の孔及び前記の少なくとも1つの径方向空気流路32の直径は、約1.5mm〜約3.5mmの範囲(例えば、約2.0mm〜約3.0mm)にするのが好ましい。任意ではあるが、この中央の空気流路20の孔及び前記の少なくとも1つの径方向空気流路32の直径は、電子式シガレット60の吸引抵抗を制御するために調整しうるようにする。使用中、空気は中央の空気流路20の孔内に流れ、前記の少なくとも1つの径方向空気流路32を経て且つ外側空気流路84内に入り、ヒータ14の中央部分に向けられる空気の流れの部分は僅かとなり、加熱サイクル中のヒータ14に対する前述した冷却の影響を最少にする。従って、到来する空気はヒータ14の中央から離れる方向に向かい、ヒータを通過する空気の速度は、空気がヒータ14の中央部分に合致するように直接向かう封止部15内の中央の孔を経て流れる場合に比べて減少する。
【0046】
他の実施例では、
図6及び7に示すように、気流ダイバータを、封止部15の下流端部とヒータ14との間に配置されたディスク34の形態としうる。このディスク34は、外側の管状壁部90の下流端部における横方向壁部内に少なくとも1つの孔36を有している。又、この少なくとも1つの孔36をオフアクシスとして、到来する空気を内管62の内壁に向けて外方に指向させるようにするのが好ましい。ディスク34は、パフ中に空気の流れをヒータ14の中央部分から離れる方向にそらして、喫煙者による強い又は長く続く吸引の結果としてヒータを冷却する空気の流れの傾向を弱めるように作用しうる。従って、ヒータ14は加熱サイクル中の冷却からほぼ防止され、パフ中に生じるエアロゾルの量が少なくなるのが防止される。
【0047】
ヒータ14は、
図13及び14に示すように、内管62内にその長手方向に向けて配置し、ディスク34は、空気の流れを非中央的に、又はヒータ14の中央配置位置から径方向で離れるように、或いはこれらの双方が達成されるように向ける配置とした少なくとも1つの孔36を有する。ヒータ14を内管62内にその長手方向に向けて且つ内管62の内壁に隣接させて配置する実施例では、空気の流れの少なくとも一部分をヒータ14から離れる方向に向けて、電力供給サイクル中にヒータ14に対する空気の流れによる冷却の影響を和らげるように、又は空気の流れを減速させて同じ効果を得るように、或いはこれらの双方を達成するように、孔36を配置することができる。
【0048】
更に他の実施例では、
図8に示すように、気流ダイバータが、短くした中央の空気流路20の下流端部82から延在する截頭円錐状区分40を有するようにする。中央の空気流路20を他の実施例に比べて短くすることにより、ヒータ14がこの中央の空気流路20から更に離して配置され、空気流をヒータ14に接触する前に減速させ、空気流がヒータ14を冷却する傾向を弱めるようにする。或いはまた、ヒータ14を口挿入端部8に近づくように且つ中央の空気流路20から更に離れるように移動させ、同じ冷却緩和効果を達成するのに充分に空気流を減速させる時間及びスペースの双方又は何れか一方が得られるようにすることができる。
【0049】
截頭円錐状区分40を加えることにより、孔の寸法を大きくし、これにより空気流を減速させ、ヒータ14における又はその周りにおける空気速度を減少させ、空気がパフ中にヒータ14に及ぼす冷却の影響を和らげるようにするのが好ましい。截頭円錐状区分40の大きい方の(出口)端部の直径は、約2.0mm〜約4.0mmの範囲、より好ましくは約2.5mm〜約3.5mmの範囲とするのが好ましい。
【0050】
中央の空気流路20の孔の直径と、截頭円錐状区分40の小端部及び大端部の双方又は何れか一方の直径とは、電子式シガレット60の吸引抵抗を制御するように調整しうる。
【0051】
種々の実施例の気流ダイバータは、空気流の速度(velocity)(空気流の速さ(speed )及び方向の双方又は何れか一方)を制御することにより空気流を導くようにするのが好ましい。例えば、気流ダイバータは、空気流を特定の方向に指向させるか、又は空気流の速さを制御するか、又はこれらの双方を達成させることができる。空気流の速さは、空気流の経路の横断面の面積を変えることにより制御しうる。縮小断面を通る空気流の速さは増加し、広い断面を通る空気流の速さは減少する。
【0052】
一実施例では、電子式シガレット60を通常のシガレットとほぼ同じ大きさとする。ある実施例では、電子式シガレット60を約80mm〜約110mmの長さ、好ましくは約80mm〜約100mmの長さとし、約7mm〜約8mmの直径としうる。一実施例では、例えば、電子式シガレットを約84mmの長さで約7.8mmの直径を有するようにする。
【0053】
一実施例では、
図1、4、6及び8の電子式シガレット60にもヒータ14の上流において、この電子式シガレット60を通る空気の流れを制限するように作用しうるフィルタセグメントを設けることができる。フィルタセグメントを付加することにより、吸引抵抗を調整する支援を行うこともできる。
【0054】
外管6及び内管62の双方又は何れか一方を、任意の適切な材料又はこれら材料の組合せから形成しうる。適切な材料の例には、これらの材料の一種類以上を有する金属、合金、プラスチック又は複合材料が含まれるか、或いは食料又は薬剤の分野に適した熱可塑性プラスチック、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セラミック及びポリエチレンが含まれる。これらの材料は好ましことに、軽量で非脆性である。
【0055】
図9に示すように、電子式シガレット60には、この電子式シガレット60の第1の区分70に隣接する外管6を囲んで取外し自在に又は回転自在に或いはこれらの双方で配置したスリーブ(套管)アセンブリ87を設けることもできる。更に、スリーブアセンブリ87は第1の区分70の少なくとも一部分を断熱させて、エアロゾルが喫煙者に送給される前にこのエアロゾルの温度を保つようにする。一実施例では、スリーブアセンブリ87は電子式シガレット60の周囲に回転でき且つスリーブアセンブリの周囲にこのスリーブアセンブリと交差する方向で離間して配置したスロット88を有し、これらスロット88が第1の区分70における空気吸入口44と整列されて、喫煙者がパフする際に空気が電子式シガレット60内に入り込むようにする。喫煙前又は喫煙中に、喫煙者はスリーブアセンブリ87を回転させ、空気吸入口44がこのスリーブアセンブリ87により少なくとも部分的に遮断され、電子式シガレット60の吸引抵抗及び通気の双方又は何れか一方を調整するようにしうる。
【0056】
スリーブアセンブリ87はシリコーン又はその他の柔軟性材料から形成し、喫煙者にやわらかい口当たりを与えるようにするのが好ましい。しかし、スリーブアセンブリ87は1つ以上の片から形成しうるとともに、プラスチック、金属及びこれらの組合せを有する種々の材料から形成しうる。一実施例では、スリーブアセンブリ87はシリコーンより成る単一片とする。このスリーブアセンブリ87は取外して他の電子式シガレットに再使用することができるか、又は第1の区分70と一緒に廃棄するようにすることができる。スリーブアセンブリ87は適切な如何なる色にもすることもでき、或いは画像又はその他のしるしを有するようにでき、又はこれらの双方を達成することができる。
【0057】
図10に示すように、電子式シガレット60には、第1の区分70及び第2の区分72の少なくとも一方の外側面91上に位置するアロマ細条89を含めることもできる。或いはまた、アロマ細条89をスリーブアセンブリ87の一部の上に位置させることができる。アロマ細条89は装置のバッテリとヒータとの間に位置させ、アロマ細条89が喫煙中に喫煙者の鼻に隣接させるようにするのが好ましい。アロマ細条89には、喫煙前及び喫煙中の双方又は何れか一方において放出されるフレグランス材料を有する風味アロマゲル、フィルム又は溶液を含めることができる。一実施例では、第1の区分70の内部に位置させた場合のアロマ細条上の通気口(図示せず)を開放させることのできるパフ作用により、ゲルと流体と溶液との何れか又は任意の組合せの風味アロマを放出させることができる。或いはまた、ヒータ14により発生させる熱によりアロマを放出させることができる。
【0058】
一実施例では、アロマ細条89にたばこ風味エキスを含めることができる。このようなエキスは、たばこ材料を小片に研磨し、有機溶剤を用いて数時間の間混合体を振ることにより得ることができる。次にこのエキスを濾過し、(例えば、硫酸ナトリウムを用いて)乾燥させ、制御温度及び圧力で凝縮させることができる。或いはまた、揮発性部分と不揮発性部分とを分離させるSAFE(Solvent Assisted Flavor Extraction:溶媒補助の風味抽出)蒸留技術(Engel 氏等、1999年)のような風味化学の分野で既知の技術を用いてエキスを得ることができる。更に、特定の化合物の更なる分離(separation)及び単離(isolation )の双方又は何れか一方のためにpH分別及びクロマトグラフ法を用いることができる。たばこエキスの強さは、有機溶剤又は水を用いて希釈することにより調節しうる。
【0059】
アロマ細条89は、ポリマ又は紙の細条とし、これに、例えば絵筆を用いるか又は含浸によりエキスを被着するようにすることができる。或いはまた、エキスを紙のリング及び細条の双方又は何れか一方の中にカプセル封止し、このエキスを喫煙者により、例えば、喫煙中にアロマ細条89を引っかくことにより、手動で放出させるようにすることができる。
【0060】
他の実施例では、
図11及び12に示すように、
図1、4、6及び8の電子式シガレットに、固定片27及び回転可能片25を有する口挿入端部8を設けることができる。出口流路24及び24′はこれらの固定片27及び回転可能片25の各々に位置させる。これらの出口流路24及び24′の1つ以上は図示のように整列させてエアロゾルが喫煙者の口の中に入るようにする。しかし、回転可能片25は口挿入端部8内で回転させて、口挿入端部の固定片27内で1つ以上の出口流路24を少なくとも部分的に遮断するようにしうる。従って、消費者は各パフで吸引するエアロゾルの量を調整しうる。出口流路24及び24′は、これらの出口流路24及び24′がエアロゾルの吸入中に、より充満する口当たりを提供するように発散されるように口挿入端部8内に形成しうる。
【0061】
他の実施例では、気流ダイバータが、ヒータ14に隣接するがこのヒータ14の直ぐ上流に追加した第2の芯素子を有するようにする。この第2の芯素子は空気流の一部をヒータ14の周りにそらすようにする。
【0062】
他の実施例では、
図15に示すように、電子式シガレット60が、交換式のカートリッジ(すなわち第1の区分)70と、再使用可能な固定物(すなわち第2の区分)72とを具え、これらを、ねじ連結部205により、又はすべり嵌め、戻り止め、クランプ及びクラスプの何れか又は任意の組合せによるような他の便利な手段により、互いに結合させるようにしてある。第2の区分72は、
図1につき示し且つ説明した実施例のような他の実施例に関して上述した技術に応じて構成しうる。
【0063】
更に
図15を参照するに、本例では、第1の区分70が、長手方向に延在する外管(すなわちケーシング)6と、ねじ連結部205及びマウスピース(口挿入端部)8間の位置にある切断円筒のタンク容器22の形態の液体供給容器とを具えている。タンク容器22は、耐熱性のプラスチック又は編んだファイバーグラスから成る別体に形成した自己支持型の(個別の)中空体を有するようにするのが好ましい。一実施例では、タンク容器22をほぼ、一方の側を切断した細長の部分的な円筒体の形態としうる。一実施例では、タンク容器22が、
図16で矢印“X”の方向におけるような横断面を有し、この横断面がタンク容器22の直径のほぼ3分の2の位置となるように切断を行う。他の実施例では、この横断面を、タンクの所望の容量、又はヒータに対する及び空気流を導くためのケーシング6内のスペースの必要性のような設計条件に応じて変えることができる。例えば、
図15に示す実施例では、タンク容器22は半円形の断面、すなわちタンク直径の2分の1に等しい横断面を有する。
【0064】
一実施例では、タンク容器22はケーシング6から分離した構造とすることができ、長手方向に延在する平坦なパネル101と、長手方向に延在するアーチ状のパネル103とを有する。アーチ状のパネル103は、外管6の内面127と適合する、すなわち一致するようにするのが好ましい。タンク容器22は、外側ケーシング6の内面127に沿う予め決定した位置における離間したリッジ333及び333′、又はレール/摺動形式の連結手段(例えば、
図22参照)、又は摩擦嵌め或いはスナップ嵌め、又はその他の手段のような便利な手段により外側ケーシング6の内面127に対して適所に保持しうることが考えられる。これに加えて又はこれに代えて、液体吸収材料のディスク10及び15をタンク容器22の内部の部分に対接させて配置して、このタンク容器22を適所に保持するとともに、このタンク容器22又は芯28から不所望に漏れるおそれのある如何なる液体も吸収するようにすることができる。これらのディスク10及び15にはそれぞれ開口11を設けて、空気及びエアロゾルの双方又は何れか一方がこれらのディスクを通過するようにする。
【0065】
好適な実施例では、芯28を液体供給容器22の内部と連通させるとともに、ヒータ14と連通させ、芯28が毛管作用によりタンク容器22からヒータ14の近傍に液体を吸引するようにする。芯28は可撓性のフィラメントの束とし、その端部29及び31をタンク容器22の境界内に配置されるようにするのが好ましい。液体供給容器の内容物は、芯28の端部29及び31とともに前述したような液体とするのが好ましい。芯28の端部29及び31はタンク容器の内部のかなりの部分を占めている為、液体を吸引する芯28の能力に影響を及ぼさないように喫煙物60を構成配置するのが好ましい。任意ではあるが、タンク容器22内の液体の分布を維持させるために、このタンク容器22がフィラメント又はガーゼ或いは繊維ウェブを有するようにしうる。
【0066】
好ましくは、ヒータ14が、芯28の一部を囲む電気抵抗性ワイヤのコイル巻線を有するようにしうる。これに代えて又はこれに加えて、ヒータが、コイルに代わる単線ワイヤ、ワイヤケージ、印刷“ワイヤ”、金網、又はその他の構成体を有するようにしうる。ヒータ14及び関連の芯部分28は、
図16に示すようにタンク容器22の平坦パネル101の中央に配置するか、又はこのパネルの一端の部分に配置することができ、或いは1つ又は2つ以上のヒータ14を平坦パネル101の中央又は対向する端部の部分に配置することができる。
【0067】
次に
図15及び16を参照するに、一実施例では、気流ダイバータ100をヒータ14に隣接させて設ける。このダイバータ100は、平坦パネル101の平面から外方に延在するとともにヒータ14及び芯28に隣接するほぼ楕円形の遮蔽体又は壁部105の形態とし、到来する空気流をヒータ14からそらして、ヒータを直接横切って吸引される空気の量を、気流ダイバータ100が存在しない構成に比べて減少させるようにすることができる。
【0068】
楕円形の壁部105はその端部で開放させ、ヒータ14が起動されてその近傍に新たにエアロゾルが生ぜしめられた際にこのような過飽和されたエアロゾルがダイバータ100の境界から引出されるようにするのが好ましい。理論に拘束されることを望むものではないが、このような構成によれば、ヒータ14と、端部が開放したダイバータ100とを通過する空気の吸引効果又はベンチュリ効果を利用することにより、エアロゾルを放出させる。任意ではあるが、ダイバータ100の壁部105にホール107を開け、ダイバータ100の境界からエアロゾルを引出す傾向にある空気の吸引作用が真空に対抗して作用しないようにする。これらのホール107は、最適な量の空気をダイバータ100の境界内に吸引させる寸法にすることができる。これにより、ヒータ14と接触するように吸引される空気の量を減少及び制御し、電子式シガレット60に対する激しい吸引中にも、到来する空気流のかなりの部分がそれてヒータ14を迂回するようにする。
【0069】
更に、ホール107はヒータ14の端部27及び27′を導出させるのに用いることができ、或いはホール107とは別のホール又はノッチを設けることができる。
図16の実施例では、ヒータ14の端部27及び27′と電気リード線26及び26′とを、ダイバータ100の位置に隣接する平坦パネル101上に形成した電気接点111及び111′に接続する。これらの電気接点111及び111′は、平坦パネル101上ではなく
図17に示すように壁部105′自体の上に形成することができる。
【0070】
再び
図16を参照するに、楕円形のダイバータ遮蔽体105は長手軸線に沿って対称的にし、ダイバータ100は
図16に示すような向きに又はこの向きから180°にした向きに配置し、これにより喫煙物60の製造及びアセンブリを容易にすることができる。
【0071】
次に
図17を参照するに、ダイバータ100は、
図16のようにせずに、下流部分109を開放端とした楕円形の壁部105′を有するように構成し、ヒータ14の周囲からのエアロゾルの放出を更に容易とするようにする。ダイバータ100の壁部105は、浅い“U”又は“V”字状の形態とすることができるとともに、ヒータ14を少なくとも部分的に重畳するアーチ部分を有するようにしうることが考えられる。
図15、16及び17に示す実施例では、楕円形遮蔽体の壁部105は、その長手軸線が喫煙物60の長手軸線に対しほぼ平行となるような向きとなっている。
【0072】
図18、19及び20では、ダイバータ100及びヒータ14の向きを、上述したようにせずに、喫煙物60の長手軸線に対し交差するようにしうる。前者の向きの1つは空気の流れの妨害を最少としうるが、他の向きによれば極めて多数の渦等を生じて空気とエアロゾルとの混合を助長しうる。
【0073】
図15〜20に示す種々の実施例に関しては、タンク容器22がその一端にキャップ335を有することができる。このキャップ335を除去した状態で、このキャップ335を閉じる前にタンク容器22に液体を充填することができる。キャップ335を適所に保つのに摩擦嵌め又はスナップ嵌め機構を用いるか、又はキャップ335を適所に熱融着させることができる。タンク容器22の他の構造部分を液体の充填用に用いうることが考えられる。例えば、キャップ335の代わりに、平坦パネル101を、液体充填処理用に別体の取付け可能な片として形成しうる。別体の取付け可能な平坦パネル101は、この平坦パネル101をタンク容器22の他の部分に取付ける前に、ダイバータ100の構造体をこの平坦パネル101に取付けるか又はこの平坦パネルと一体に形成しうるという点で有利である。このような構成配置によれば、芯28及びヒータ14をダイバータ100の境界内に設置するのを容易にもする。又、ダイバータ100は、芯28の端部29及び31を入れるための開口が開けられた底壁を有するタブ型容器又は靴型容器の形態の別体片とすることができることも考えられる。このような構成配置によれば、芯28及びヒータ14をダイバータ100の境界内に設置し、その後にこのダイバータ100を平坦壁101に取付けるのを容易にする。
【0074】
更に
図15〜20を参照するに、喫煙者が電子式喫煙物60のマウスピース部分で吸引すると、圧力センサ及び制御回路16が、前述したような電力供給サイクルに応じてヒータ14を起動させる。これらの実施例では、空気が1つ以上のポート44、44′を経て喫煙物内に入り、次いでタンク容器22とこれに対向する外管6の内面127との間に規定された流路110を介してマウスピース8の方向に吸引される。その後、ヒータ14及び芯28により生ぜしめられたエアロゾルが空気と混合され、その結果のエアロゾル(蒸気)が、複数ポートを有するマウスピース8を経て吸引される。
【0075】
これらの実施例でダイバータ100を設けることにより、流路110に入る空気流の大部分がヒータ14を迂回し、喫煙物60に対する強力な吸引作用が、前述したように所望のヒータ作用を妨げるおそれのあるヒータ14に対する反作用的な冷却効果を増大又は与えることはない。それどころか、ダイバータ100により遮蔽されたヒータ14は、到来する空気の流れによる冷却効果の量を制御又は減少させるだけでエアロゾルを発生させることができる。
【0076】
次に
図21及び22を参照するに、他の実施例では、タンク容器22は、外管6の境界内に挿入しうるほぼ方形の中空体の形態とする。一実施例では、頂面パネル122及び底面パネル124は、外管6の内面127の内面曲率に適合するように形成し、タンク容器22と外管6との間で摩擦嵌めが行われるようにしうる。他の実施例では、頂面パネル122及び底面パネル124の各々に、タンク容器22の長手方向に沿って延在する溝123及び125を設けることができる。本例では、これらの溝123及び125が、外側のケーシング6の内面127に沿って長手方向に延在するレール128及び126と結合し、タンク容器22がマウスピース(口挿入端部)8に対する位置に摺動且つ案内されうるようにする。これらの双方の実施例では、タンク容器22を予め決定した距離だけマウスピース8から離間させ、ヒータ14a及び14bで発生されるエアロゾルとここを通過する空気とが混合されるスペース及び機会が得られるようにするのが好ましい。任意ではあるが、レール126及び128と溝123及び125との双方又は何れか一方に、戻り止め、又は留め具又はその他の手段を設けて、タンク容器22を外側のケーシング6に沿う予め決定した位置に鎖錠するようにしうる。これに代え又はこれに加えて、
図15に示すリッジ333及び333′を用いて
図21のタンク容器22の配置及び保持を達成するようにしうる。
【0077】
一実施例では、ヒータ14a及び芯28aを、
図15〜20につき上述した技術に応じてダイバータ100aが設けられた一方のサイドパネル、すなわちパネル131aに沿った、好ましくは中央とした位置に配置する。ヒータ14a、芯28a及びダイバータ100aの向きは長手方向の向きにあるように示してあるが、これらは、この向きにせずに、長手方向に対し交差する方向の向きにすることができ、その1つよりも多い配置をサイドパネルに沿う配置とすることができる。好ましくは、同様な配置を反対側のサイドパネル131b上に設け、タンク容器22が2つの芯28a及び28bに又は2つよりも多い芯に液体を供給するようにする。ヒータ14a及び14bは対向関係に示してあるが、これらは互いにずらして配置するか又は同じサイドパネル131a、131b上に位置させることができる。
図27をも参照するに、タンク容器22は、第1の液体と第2の液体とがこのタンク容器22内の個別の区画室22′及び22″内で別々に保持されるように区画化しうることも考えられる。このような場合、第1のヒータ14′及び第1の芯28′が第1の区画室に対して作用して第1の液体をエアロゾル化し、第2のヒータ14″及び第2の芯28″が第2の区画室に対して作用して第2の液体をエアロゾル化しうるようになる。制御回路16は、2つ(又はそれより多い)別々の液体成分をエアロゾル化するための条件に合わせたパラメータに応じてそれぞれヒータ14′及び14″を別々に駆動するようにプログラミングしうることが考えられる。
【0078】
次に
図21〜23を参照するに、ヒータ14a及び14bに対する電気接続ラインにはタンク容器22の上で電気接点140及び140′を設けることができ、これら電気接点の各々は、頂面パネル122の長さに沿って延在する長手方向の細条又は軌道の形態とするのが好ましい。これに代え又はこれに加えて、電気接点140及び140′は、タンク容器22の端部パネル138及び138′の双方又は何れか一方に沿って配置することができる。バッテリ1のアノード及びカソードからの電気接続はリード線26を介して行うものであり、これらリード線は、接点細条140及び140′と接触するように押圧させるか、又は電子式喫煙物60のアセンブリの一部として電気接続させることができる。ヒータ14a及び14bに対する電気接続は、
図22に示すように、これらヒータ14a及び14bの端部27及び27′をダイバータの壁部105に設けたノッチ又は孔或いはその他の便利な構成を介して導出することによりタンク容器の外部で達成するようにすることができる。
【0079】
次に特に
図23を参照するに、上述したことに代え、各ヒータ14a、14bの端部27、27′を、タンク容器22の内部に配置した電気リード線145、146を介して同一の又は独自の接点細条140、140′に接続しうる。
【0080】
更に
図22を参照するに、底面パネル124を、タンク容器の構造の他の部分にスナップ嵌め又は加熱封着しうる個別に形成した部品とし、組立を容易にするとともに電気接続形成及びタンク容器22の液体充填を容易にするようにしうる。又、タンク容器22の他の部分を、個別の部品として作用するパネルとして選択しうる。同様に、ダイバータ100a、100bをサイドパネル131a、131bと一体に形成するか、又はタブ型容器又は靴型容器の形態のような個別の部品として形成しうる。
【0081】
他の実施例の場合のように、空気は空気入口44及び44′を通り、その後にタンク容器22のサイドパネル131a及び131bに沿って喫煙物60内に吸引される。空気のかなりの部分は、気流ダイバータ100が存在し近接することによりヒータと芯とのアセンブリの中間領域を迂回する。ヒータ14a及び14bの近傍の領域内に形成されたエアロゾルは、多孔質のマウスピース(口挿入端部)8を経て吸引される前に引かれて空気流と混合される。
【0082】
次に
図24及び25を参照するに、他の実施例では、
図21〜23につき説明した実施例におけるようなタンク容器22を設ける。しかし、本例では、芯28は、タンク容器22の内部に沿って延在する端部29と、長手方向でタンク容器22の端部パネル138から外方に延在する端部31とを有する。芯28の外方延在部分31は前述したようにヒータ14と協同している。任意ではあるが、芯28の自由端にキャップ139を設ける。ヒータ14の端部27及び27′は接点細条140及び140′に接続するか、又は前述したように、喫煙物60のリード線26との直接接続部を有する他の構成体に接続することができる。
【0083】
本例では、気流ダイバータ100cを芯端部31とヒータ14との双方の周りに配置し、この気流ダイバータ100cは下流の開放端部を有する円筒体の形状とする。動作中、空気は、エアロゾルが気流ダイバータ100cの境界内に発生されている最中にタンク容器22に沿って吸引される。空気が気流ダイバータ100cを通過して吸引されると、新たに生ぜしめられたエアロゾルが気流ダイバータ100cの境界から吸引され、マウスピース8を通って引出される前に空気の流れと混合される。
【0084】
一実施例では、気流ダイバータ100cに、ある量の空気をこの気流ダイバータ100cの境界内に入れるようにするポートすなわちホール146を設け、新たに生ぜしめられたエアロゾルの吸引が容易となるようにする。このような構成によれば、真空に対抗して作用することなくエアロゾルが吸引される。
【0085】
他の実施例では、芯28の自由端におけるキャップ139には、新たに生ぜしめられたエアロゾルと通過する空気の流れとの混合を助長させる径方向の延長部139′を設けることができる。この径方向の延長部139′は、エアロゾル中の大きな粒子の分裂及び収集の双方又は何れか一方を達成する衝突個所を提供するディスク状としうることが考えられる。
【0086】
図24及び25に示す実施例では、タンク容器22の下流の端部に単一のダイバータ100cを示しているが、
図25に示しているものに加えて(又はこれに代えて)タンク容器22の上流の端部に他の同様な芯/ヒータ/ダイバータ構成体を設けることができる。
【0087】
図26を参照するに、
図21〜23につき説明したような方形のタンク容器22を内部パネル147により区画化し、上流の芯28′が一方の液体を一方の区画室22′から吸引し、下流の芯28″が他方の液体を他方の区画室22″から吸引するようにしうる。このような構成には、ヒータを個別に接続する手段を設け、上流のヒータ14′が下流のヒータ14とは異なる駆動パラメータに応じて加熱を行って、その編成又は構成用の異なる加熱条件に適合するようにすることができる。
【0088】
図24〜26のタンク容器22は方形として示し且つ説明したが、タンク容器22はそれ以外の他の形状、例えば、円筒体にしてこれを外側のケーシングに比べて小型として空気の流れがこれを通過するようにする。
【0089】
上述した技術は、喫煙物60の例を、気流ダイバータを含むように変更し、これらは全て空気の流れの速度及び方向の双方又は何れか一方を変更して、ヒータ14を冷却する空気の流れの傾向を弱めるようにするものである。
【0090】
ここに開示した技術は電子式シガーに適用しうるものであり、用語“電子式シガレット”を参照することは電子式シガー等を含むことを意図するものである。更に、“電子式喫煙物”を参照することは電子式シガー、電子式シガレット等を含むことを意図するものである。
【0091】
用語“約”を数値と関連してこの明細書及び特許請求の範囲で用いている場合、この用語は、関連する数値がその数値の前後に±10%の許容誤差を含むことを意味するものである。更に、この明細書で%を参照する場合には、この%は重量、すなわち重量%に基づいているものである。
【0092】
更に、用語“ほぼ”及び“実質的に”が幾何学的形状と関連して用いられている場合、これらの用語は、幾何学的形状の精度は必要としないが、形状に対する余裕が開示範囲内にあることを意味するものである。これらの用語“ほぼ”及び“実質的に”は、幾何学的用語に対して用いられている場合、厳密な規定を満足する特徴のみならず、この厳密な規定にかなり近似する特徴をも包含するものである。
【0093】
本明細書では、新たな、改良した、自明ではない電子式シガレットを、特に当業者が理解するのに充分に説明したこと明らかである。更に、当業者にとって明らかなように、本発明の精神及び範囲から本質的に逸脱することなしに、電子式シガレットの特徴事項に対し種々の変更、変形、置換及び等価処置を行うことができる。従って、特許請求の範囲に規定した本発明の精神及び範囲に入るこのような変更、変形、置換及び等価処置の全てが特許請求の範囲に含まれることが明確に意図されるものである。