(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓋部の側壁の高さが前記枠体の側壁の高さと略同じ高さに形成されており、前記蓋部を前記案内板の爪部に係合させたときに、前記蓋部の上面と前記枠体の上面とが同じ高さとなることを特徴とする請求項1に記載の見出しホルダー。
前記枠体は細長い矩形状に形成されるとともに、前記背面板は前記枠体の2つの長辺からそれぞれ伸び出て前記枠体の短辺方向の中央部で接合されてなることを特徴とする請求項1に記載の見出しホルダー。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態の説明に先立って、基礎となる予備的事項について説明する。
【0013】
図1(a)は、予備的事項に係る見出しホルダーの斜視図であり、
図1(b)はその見出しホルダーの問題点を示す断面図である。
【0014】
図1(a)に示すように、予備的事項に係る見出しホルダー80は、その本体81の上面に見出し紙85を収容するための矩形状の凹部84が形成されている。
【0015】
その凹部84の長辺方向の両端には、凹部84の両端付近の上方を覆う張出部83が形成されている。この張出部83で覆われた部分に、見出し紙85及び窓板82を差し込んで、見出し紙85を見出しホルダー80に装着する。
【0016】
窓板82は、透明な樹脂板よりなり、凹部84と張出部83との隙間の厚さと同程度の厚さに形成されている。
【0017】
この窓板82を見出し紙85と共に、凹部84と張出部83との隙間に装着すると、窓板82の両端が張出部83によって押圧される。これにより、窓板82の脱落が防止され、窓板82の下に配置された見出し紙85が見出しホルダー80に保持される。
【0018】
このような見出しホルダー80は、例えばファイル等の背表紙やキャビネット等に取り付けられる。
【0019】
ところが、
図1(b)に示すように、見出しホルダー80は、ファイルを落下させるなどして見出しホルダー80に強い衝撃が加わったり、窓板82に手が触れたりすると、窓板82が張出部83と凹部84との隙間から外れてしまうことがある。
【0020】
そのため、長期間使用している間に、いつのまにか見出し紙85がなくなっているといった問題が生じる。
【0022】
(第1実施形態)
図2(a)、(b)は、第1実施形態に係る見出しホルダーの斜視図であり、
図3(a)〜(c)はその断面図である。なお、
図3(a)は、
図2(a)のBB部分の断面に対応し、
図3(b)は、
図2(b)のAA部分の断面に対応し、
図3(c)は
図2(a)のCC部分の断面に対応する。
【0023】
図2(a)に示すように、本実施形態に係る見出しホルダー10は、見出し紙を収容する細長い矩形状の本体2と、その本体2と一体的に形成された蓋部1とを備えている。この本体2及び蓋部1は、樹脂材料によって形成されてなる。
【0024】
本体2は、その四辺の周縁部を囲むように形成された枠体21を備えており、その枠体21の上面の中央部には、細長い矩形状の窓部22が形成されている。この窓部22を通じて収容した見出し紙を視認できる。
【0025】
図3(a)に示すように、枠体21は、側壁211と、側壁211から内側に伸び出て見出し紙の飛び出しを阻止する庇部212とを備えている。
【0026】
枠体21の下方は、底面板23によって覆われている。この底面板23と庇部212との間には0.5mm程度の隙間が形成されており、その隙間に見出し紙が保持される。
【0027】
製造上の理由により、
図7(a)に示すように、底面板23は枠体21の両側から伸び出るように形成されたものを、矢印に示すように折返部20で折り返して溶着して形成される。
【0028】
一方、
図2(b)に示すように、本体2の一端には、庇部212と底面板23との間の隙間(スペース)とつながった挿入口213が形成されており、その挿入口213から見出し紙90を挿入できる。
【0029】
挿入口213の下側からは、案内板24が伸び出ている。この案内板24は、底面板23と一体的につながっており、見出し紙90を挿入口213に挿入ための案内経路としての役割を果たし、見出し紙90の挿入を容易にする。
【0030】
また、案内板24の横には、蓋部1を固定するための爪部241が形成されている。
【0031】
挿入口213の上の庇部212からは、肉薄のヒンジ部11を介して蓋部1が伸び出ている。蓋部1は、そのヒンジ部11を回転軸として本体2に対して回動可能となっている。
【0032】
蓋部1は、天板13とその周縁部に形成された側壁12とを備えている。蓋部1の側壁12には、案内板24の爪部241と噛み合う溝部12aが形成されている。この溝部12aと爪部241と噛み合うことで、蓋部1を閉じた状態に保つことができ、衝撃などによって蓋部1が開くのを防止できる。
【0033】
この蓋部1を本体2と平行な向きに倒して閉じると、
図3(c)に示すように挿入口213の外側が蓋部1で塞がれ、挿入口213からの見出し紙90の脱落を防止できる。
【0034】
また、蓋部1は枠体21と略同じ高さに形成されており、
図2(a)に示すように、蓋部1を閉じたときに、見出しホルダー10において蓋部1が枠体2と一体的となったスマートな外観を実現できる。
【0035】
蓋部1の先端を持ち上げると、溝部12aが爪部241から外れて、
図2(b)に示すように蓋部1がヒンジ部11を中心に回転して開き、挿入口213が現れる。この状態で、見出し紙90を本体2内にスライドさせるように差し込むことで、本体2に容易に見出し紙90を挿入することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の見出しホルダー10によれば、蓋部1の開閉操作によって、見出し紙90の挿入又は取り外しを容易に行える。
【0037】
また、本実施形態の見出しホルダー10では、庇部212によって見出し紙90の周縁部の4辺を支持するとともに、蓋部1によって挿入口213を塞ぐことができるため、見出し紙90の脱落を防ぐことができる。
【0038】
ところで、実際の見出しホルダー10では、樹脂成型の精度の制約や、取り付けの際の本体2の歪み等によって、
図3(a)の断面において側壁211と底面板23との接触部分に隙間が生じることがある。
【0039】
図4(a)は比較例1に係る見出しホルダーの側壁と底面板との接触部分を拡大して示す断面図であり、
図4(b)は比較例2に係る見出しホルダーの側壁と底面板との接触部分を拡大して示す図である。
【0040】
図4(a)に示す比較例1の見出しホルダーでは、側壁121と底面板123とを、底面板123の上面に対して斜めに傾斜した1つの面で接触させている。
【0041】
このような見出しホルダーでは、取り付けの際の歪みが生じると、側壁と底面板との境界に、接触面に沿った斜め方向の隙間125が生じる。
【0042】
このような見出しホルダーに見出し紙90を挿入すると、図示のように、見出し紙90の側端部90aが側壁121と底面板123との隙間125に入り込んでしまう。この場合には、見出し紙90が隙間125に引っかかった状態となり見出し紙90をスムーズに挿入できなくなってしまう。
【0043】
また、
図4(b)に示す比較例2の見出しホルダーでは、側壁121を、底面板123の上面を側壁121の内側面121aの下に潜り込ませた構造となっている。
【0044】
このような見出しホルダーでは、歪みによって底面板123の上面に沿った隙間125bが生じる。
【0045】
ここに見出し紙90を挿入すると、図示のように見出し紙90の側端部90aが側壁121と底面板123との隙間に入り込んでしまう。
【0046】
その結果、見出し紙90が側壁と底面板との隙間に引っかかった状態となり見出し紙90をスムーズに挿入できなくなる。
【0047】
そこで、見出し紙90の挿入を容易にするべく、本実施形態の見出しホルダー10では、側壁211と底面板23との接触部分を
図5に示す構造としている。
【0048】
図5は、
図3(a)の見出しホルダー10の底面板23と側壁211との接触部分を拡大して示す断面図である。
【0049】
図5に示すように、見出しホルダー10では、側壁211の内側面211aを底面板23の上面231に対して垂直に形成する。また、側壁211の内側面211aを、底面板23の上面231よりも下側にまで伸ばしている。さらに、底面板23には、上面231に垂直な垂直面232を形成する。
【0050】
これにより、側壁211と底面板23は、底面板23の上面付近において、底面板23の上面231に対して垂直な面で接触する。
【0051】
見出しホルダー10に歪みが生じると、側壁211と底面板23の境界に、底面板23の上面231に対して垂直な方向の隙間230が生じる。
【0052】
見出し紙90は、底面板23と略平行な向きで挿入されるため、見出し紙90と隙間230との角度差が大きくなる。そのため、見出し紙90の側端部90aが隙間230に入りにくくなる。
【0053】
これにより、見出しホルダー10によれば、歪等により側壁211と底面板23と間に隙間230ができた場合であっても、引っかかることなくスムーズに見出し紙90を挿入できる。
【0054】
次に、本実施形態に係る見出しホルダー10の製造方法について説明する。
【0055】
図6は、見出しホルダー10を展開した状態の成型体を示す平面図である。また、
図7(a)は、
図6のDD部分の断面図であり、
図7(b)は
図6のEE部分の断面図であり、
図7(c)は
図6のFF部分の断面図である。
図8は、
図6の成型体を形成するための金型の断面図である。
【0056】
本実施形態の見出しホルダー10は、庇部212と底面23との隙間が、0.5mm程度と狭いため、
図3に示す形状のままで射出成型で形成することは困難である。
【0057】
そこで、
図6に示すように、底面板23を開いた状態の樹脂成型体10aを作製する。
【0058】
図7(a)〜(c)の断面図に示すように、樹脂成型体10aには、枠体21の2つの長辺に沿って形成された肉薄の折曲部20が形成されている。その折曲部20を介して底面板23が枠体21の外側に向かって延びている。
【0059】
このような樹脂成型体10aは、例えば、
図8に示すように、第1の金型71及び第2の金型72の間のキャビティ73に樹脂を射出して成型できる。
【0060】
その後、
図6に示す樹脂成型体10aは、
図7(a)、
図7(b)の矢印に示すように、底面板23及び案内板24を底部20で折り曲げて枠体21の下方で底面板23の先端部同士を突き合わせる。
【0061】
そして、底面板23の先端部同士を溶着又は接着等の方法で接合する。
【0062】
以上の工程により、見出しホルダー10が完成する。
【0063】
本実施形態の見出しホルダー10の製造方法によれば、見出しホルダー10を射出成型により一体的に形成した後、折り曲げ加工及び溶着といった簡単な工程で作製できるため、安価に製造できる。
【0064】
(第2実施形態)
図9(a)及び
図9(b)は、第2実施形態に係る見出しホルダー40の斜視図である。なお、
図9(a)及び
図9(b)において、
図2の見出しホルダー10と同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、本実施形態の見出しホルダー40は、本体2の上面全面が庇部212で覆われており、窓部22がない点で
図2の見出しホルダー10と異なる。
【0066】
本体2及び蓋部1を含む見出しホルダー40は、透明な樹脂材料によって形成されており、庇部212を通して、収容した見出し紙の内容を視認することができる。
【0067】
蓋部1を閉じると、見出しホルダー40に収容された見出し紙を完全に覆うことができる。これにより、本実施形態の見出しホルダー40によれば、見出し紙の汚れを防ぐことができる。