【文献】
Gilardi, J., et al.,Novartis highlights pharmaceutical research strategy, intensifying focuson molecular pathways shared,[online],Novartis,2005年 5月 3日,[平成24年1月26日検索],インターネット,URL,http://cws.huginonline.com/N/134323/PR/200505/992453_5.html
【文献】
J. Biol. Chem., 2004, Vol.279, No.21, pp.21924-21928
【文献】
J. Biol. Chem., 2004, Vol.279, pp.6213-6216
【文献】
Eur. J. Immunol., 1999, Vol.29, No.9, pp.2819-2825
【文献】
Nat. Biotechnol., 1997, Vol.15, No.7, pp.637-640
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
本発明によって、今回驚くべきことに、IL−1β化合物が患者、例えば、哺乳動物、
特にヒトの自己炎症性症候群の予防および処理に有用であることを見いだした。本発明に
よる自己炎症性症候群は、例えば、限定はしないが、高力価自己抗体または抗原特異的T
細胞欠失の自己免疫性疾患に対する炎症の再発により特徴付けられる遺伝病群である。さ
らに、本発明による自己炎症性症候群は、IL−1β分泌の増加(該疾患において変異し
ていると考えられるピリンの負の制御役割の喪失)、NFkB活性化および白血球のアポ
トーシスの障害)を示す。本発明による自己炎症性症候群はマックルウェルズ症候群(M
WS)、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)、新生児発症全身炎症疾患(NOMI
D)、慢性小児神経皮膚関節症(CINCA)症候群、家族性地中海熱(FMF)および
/または全身性発症若年性特発性関節炎(SOIJA)のような特発性関節炎の特定の形
態、全身性発症特発性若年性関節リウマチのような若年性関節リウマチの特定の形態およ
び/または成体の関節リウマチの特定の形態である。好ましくはIL−1β化合物は若年
性関節リウマチおよび成体の関節リウマチおよび/またはマックルウェルズ症候群の予防
および処置において有用である。
【0004】
本発明の特定の発見にしたがって、下記の態様を提供する:
【0005】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物の自己炎症性症候群を予防および処置するための組成物
および方法に関する。したがって、IL−1β化合物はまた自己炎症性症候群を処置する
ための医薬および薬剤を製造するために有用である。特定の局面において、このような医
薬および薬剤は、治療有効量のIL−1β化合物を薬学的に許容される担体と一緒に含む
。
【0006】
さらなる態様において、本発明は若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候
群および/または他の自己炎症性症候群および/またはマックルウェルズ症候群の予防お
よび/または処置における、具体的に何らかの上記または下記ポリペプチド、例えば、I
L−1βリガンドまたはIL−1β受容体、好ましくはIL−1βリガンドに結合する抗
体の使用を提供する。所望により、該抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体フラ
グメントまたは一本鎖抗体である。ある局面において、本発明は、IL−1βリガンドに
結合する単離された抗体に関する。他の局面において、該抗体はIL−1βリガンド(ア
ンタゴニスト抗体)の活性を阻害または中和する。他の局面において、該抗体はヒトまた
は非ヒト相補性決定領域(CDR)残基およびヒトフレームワーク領域(FR)残基を有
するモノクローナル抗体である。該抗体は標識でき、固体支持体に固定できる。さらなる
局面において、該抗体は抗体フラグメント、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、または抗
イディオタイプ抗体である。さらに他の態様において、本発明は、抗IL−1βリガンド
またはIL−1β受容体抗体、好ましくは抗IL−1βリガンド抗体を薬学的に許容され
る担体と一緒に含む組成物を提供する。ある局面において、該組成物は治療有効量の抗体
を含む。好ましくは、該組成物は滅菌される。該組成物は、長期保存を成し遂げることが
できる液体医薬製剤の形態で投与され得る。あるいは、該抗体はモノクローナル抗体、抗
体フラグメント、ヒト化抗体、または一本鎖抗体である。
【0007】
さらなる態様において、本発明は、若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチお
よび/または他の自己炎症性症候群および/またはマックルウェルズ症候群の予防および
/または処置における、インビボでIL−1βの正のフィードバックループを中断するこ
とができる、IL−1β化合物、例えば、IL−1β抗体の使用を提供する。インビボで
のこの正のフィードバックは、患者において、IL−1βの自立的な過剰生産を誘導する
。
【0008】
さらなる態様において、本発明は染色体16p13に位置し、タンパク質ピリン(マレ
ノストリンとしても既知)をコードするMEFV遺伝子の変異を有する疾患における、I
L−1β化合物、例えば、IL−1β抗体の使用を提供する。ピリンは顆粒球、単球およ
び滑膜繊維芽細胞で発現する。ピリンはIL−1β生産に関与する。
【0009】
さらなる態様において、本発明は:(a)抗−IL−1βリガンドまたはIL−1β受
容体抗体、好ましくは抗−IL−1βリガンド抗体を含む物質の組成物;(b)該組成物
を含む容器;および(c)好ましくは抗IL−1βリガンド抗体の使用、若年性関節リウ
マチもしくは成体の関節リウマチおよび/または他の自己炎症性症候群および/またはマ
ックルウェルズ症候群の処置における、該抗IL−1βリガンドまたはIL−1β受容体
抗体の使用を言及した該容器に添付するラベルまたは該容器に含まれる添付文書を含む製
品に関する。該組成物は治療有効量の抗IL−1βリガンドまたはIL−1β受容体抗体
、好ましくは抗IL−1βリガンドを含み得る。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、例えば、静脈内または皮下に、治療有効量の遊離形
または塩形の、好ましくは薬学的に許容される送達形のIL−1β化合物および遊離形ま
たは塩形の抗炎症化合物である第2の薬剤の共投与を含む、上記方法または使用を提供す
る。
【0011】
さらなる態様において、本発明にしたがって使用されるIL−1β化合物は順番に超可
変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む少なくとも一つの免疫グロブリン重鎖可
変ドメイン(V
H)を含む抗原結合部位を含むIL−1β結合分子であって、該CDR1
はアミノ酸配列Val−Tyr−Gly−Met−Asnを有し、該CDR2はアミノ酸
配列Ile−Ile−Trp−Tyr−Asp−Gly−Asp−Asn−Gln−Ty
r−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Glyを有し、そして該CDR
3はアミノ酸配列Asp−Leu−Arg−Thr−Gly−Proを有する、結合分子
;ならびにそれらの直接等価物である。
【0012】
さらなる態様において、本発明にしたがって使用されるIL−1β化合物は順番に超可
変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む少なくとも一つの免疫グロブリン
軽鎖可変ドメイン(V
L)を含むIL−1β結合分子であって、該CDR1’はアミノ酸
配列Arg−Ala−Ser−Gln−Ser−Ile−Gly−Ser−Ser−Le
u−Hisを有し、該CDR2’はアミノ酸配列Ala−Ser−Gln−Ser−Ph
e−Serを有し、そして該CDR3’はアミノ酸配列His−Gln−Ser−Ser
−Ser−Leu−Proを有する、結合分子ならびにその直接等価物である。
【0013】
さらなる態様において、本発明にしたがって使用されるIL−1β化合物は、例えば、
若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候群および/または他の自己炎症性症
候群、好ましくは若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候群および/または
マックルウェルズ症候群を処置するための医薬を製造するための、上記定義のとおりの重
鎖可変領域(V
H)を含む単離された免疫グロブリン重鎖を含む単一ドメインIL−1β
結合分子である。
【0014】
さらなる態様において、本発明にしたがって使用されるIL−1β化合物は両方の重鎖(V
H)および軽鎖(V
L)可変ドメインを含むIL−1β結合分子であって、該IL−1β結合分子は
a)順番に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
H)であって、該CDR1はアミノ酸配列Val−Tyr−Gly−Met−Asnを有し、該CDR2はアミノ酸配列Ile−Ile−Trp−Tyr−Asp−Gly−Asp−Asn−Gln−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Glyを有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Asp−Leu−Arg−Thr−Gly−Proを有するドメイン(V
H)、ならびに
b)順番に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V
L)であって、該CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Ser−Ile−Gly−Ser−Ser−Leu−Hisを有し、該CDR2’はアミノ酸配列Ala−Ser−Gln−Ser−Phe−Serを有し、そして該CDR3’はアミノ酸配列
His−Gln−Ser−Ser−Ser−Leu−Proを有する、ドメイン(V
L);
を含む少なくとも一つの抗原結合部位を含む、結合分子;ならびにそれらの直接等価物である。
【0015】
特記しない限り、いかなるポリペプチド鎖も、本明細書において、N−末端に始まりか
つC−末端に終わるアミノ酸配列を持つとして記述される。
抗原結合部位がV
HおよびV
Lドメインの両方を含むときは、これらは同じポリペプチ
ド分子上に位置し得るかまたは、好ましくは、それぞれのドメインは異なる鎖上に在り得
るが、V
Hドメインは免疫グロブリン重鎖もしくはそのフラグメントの一部であり、そし
てV
Lは免疫グロブリン軽鎖もしくはそのフラグメントの一部である。
【0016】
“IL−1β結合分子”とは、単独かもしくは他の分子と結合してのどちらかでIL−
1β抗原に結合する能力がある任意の分子を意味する。結合反応は、例えば、無関係の特
異性を持つが同じイソタイプの抗体、例えば抗−CD25抗体、を用いる陰性対照テスト
を参照して、IL−1βのその受容体への結合の阻害を測定するバイオアッセイもしくは
任意の種類の結合アッセイを含む、標準的な方法(定性アッセイ)により示され得る。有
利には、本発明のIL−1β結合分子のIL−1βへの結合は競合的結合アッセイで示さ
れ得る。
【0017】
抗原結合分子の例は、B細胞もしくはハイブリドーマにより生成される抗体およびキメ
ラの、CDR−移植のもしくはヒトの抗体またはそれらの任意のフラグメント、例えばF
(ab’)
2およびFabフラグメント、ならびに単一鎖もしくは単一ドメイン抗体が挙
げられる。
【0018】
単一鎖抗体は、通常は10〜30個のアミノ酸、好ましくは15〜25個のアミノ酸か
らなるペプチドリンカーにより共有結合した抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメインからな
る。したがって、そのような構造には重鎖および軽鎖の定常部分が含まれておらず、そし
て、小さいペプチドスペーサーは全体の定常部分より抗原性が小さいと信じられている。
“キメラ抗体”とは、重鎖もしくは軽鎖またはその両方の定常領域がヒト由来である一方
で、重鎖および軽鎖両方の可変ドメインは非−ヒト(例えば、マウス)由来であるかもし
くはヒト由来であるが異なるヒト抗体から誘導化される抗体を意味する。“CDR−移植
抗体”とは、超可変領域(CDR)が非−ヒト(例えばマウス)抗体もしくは異なるヒト
抗体のような、ドナー抗体から誘導化される一方で、免疫グロブリンの全てのもしくは実
質的に全ての他の部分、例えば、定常領域および可変ドメインの高度保存部分、即ちフレ
ームワーク領域が受容者の抗体、例えばヒト由来の抗体、から誘導化される抗体を意味す
る。しかしながら、CDR−移植抗体は、フレームワーク領域において、例えば超可変領
域に隣接するフレームワーク領域の部分において、ドナー配列の少数のアミノ酸を含んで
もよい。“ヒト抗体”とは、例えばEP 0546073 B1、USP 554580
6、USP 5569825、USP 5625126、USP 5633425、US
P 5661016、USP 5770429、EP 0438474 B1およびEP
0463151 B1に一般用語で記載されているように、重鎖もしくは軽鎖両方の定
常および可変領域が全てヒト由来であるか、もしくはヒト由来の配列に実質的に同一であ
るが、必ずしも同じ抗体からでない抗体を意味し、そして、マウス免疫グロブリンの可変
および定常部遺伝子がそれらのヒト同等物により置換されたマウスにより生成された抗体
を含む。
【0019】
本発明の特に好ましいIL−1β結合分子はヒト抗体、とりわけ下記実施例およびWO
02/16436に記載されているACZ885抗体である。
【0020】
したがって、本発明の好ましいキメラ抗体においては、重鎖および軽鎖両方の可変ドメ
インはヒト由来であり、例えば、配列番号1および配列番号2に示されるACZ885抗
体のものである。定常領域ドメインは、好ましくはまた、例えば“Sequences of Protein
s of Immunological Interest”、Kabat E. A. et al., US Department of Health and H
uman Services, Public Health Service, National Institute of Health、に記載されて
いる適当なヒト定常領域ドメインを含む。
【0021】
超可変領域はいかなる種類のフレームワーク領域と結合してもよいが、好ましくはヒト
由来である。適当なフレームワーク領域は、Kabat E. A. et al.、同書中に記載されてい
る。好ましい重鎖フレームワークはヒト重鎖フレームワーク、例えば、配列番号1に示さ
れるACZ885抗体のものである。それは配列でFR1、FR2、FR3およびFR4
の領域からなる。同様に、配列番号2は、配列でFR1’、FR2’、FR3’およびF
R4’の領域からなる好ましいACZ885軽鎖フレームワークを示す。
【0022】
したがって、本発明はまた1位のアミノ酸から始まりかつ118位のアミノ酸で終わる
配列番号1に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第一のドメインもしく
は上述の第一のドメインのどちらか、ならびに1位のアミノ酸から始まりかつ107位の
アミノ酸で終わる配列番号2に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第二
のドメインを含む、少なくとも一つの抗原結合部位を含む、IL−1β結合分子を提供す
る。
【0023】
全てのヒトに自然に見出されるタンパク質に対して育てられたモノクローナル抗体は、
非−ヒトシステム中で、例えばマウス中で、典型的には発育し、そしてそれ自体では、典
型的に非−ヒトタンパク質である。この直接的結果として、ハイブリドーマにより生成さ
れるような異種間の抗体は、ヒトに投与されたとき、異種間の免疫グロブリンの定常部分
により優先的に介在される望ましくない免疫反応を誘発する。それらは長期間にわたって
投与できないので、このことは明らかにそのような抗体の使用を制限する。それ故に、ヒ
トに投与されたとき、実質的な同種異系反応を誘発しない、単一鎖の、単一ドメインの、
キメラの、CDR−移植のもしくはとりわけヒトの抗体を使用することは特に好ましい。
【0024】
上述の事項を考慮して、本発明のさらに好ましいIL−1β結合分子は、
a)(i)順番に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む可変ドメインなら
びに(ii)ヒト重鎖の定常部分もしくはそのフラグメントであって、該CDR1はアミ
ノ酸配列Val−Tyr−Gly−Met−Asnを有し、該CDR2はアミノ酸配列I
le−Ile−Trp−Tyr−Asp−Gly−Asp−Asn−Gln−Tyr−T
yr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Glyを有し、そして該CDR3はア
ミノ酸配列Asp−Leu−Arg−Thr−Gly−Proを有する、定常部分もしく
はそのフラグメントならびに
b)(i)順番にこれらの超可変領域ならびに所望によりまたCDR1’、CDR2’お
よびCDR3’の超可変領域を含む可変ドメインならびに(ii)ヒト軽鎖の定常部分も
しくはそのフラグメントであって、該CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser
−Gln−Ser−Ile−Gly−Ser−Ser−Leu−Hisを有し、該CDR
2’はアミノ酸配列Ala−Ser−Gln−Ser−Phe−Serを有し、そして該
CDR3’はアミノ酸配列His−Gln−Ser−Ser−Ser−Leu−Proを
有する、定常部分もしくはそのフラグメント、
を少なくとも含むヒト抗IL−1β抗体;ならびにそれらの直接等価物から選択される。
【0025】
あるいは、本発明のIL−1β結合分子は、
a)順番に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む第一のドメインであって
、該CDR1はアミノ酸配列Val−Tyr−Gly−Met−Asnを有し、該CDR
2はアミノ酸配列Ile−Ile−Trp−Tyr−Asp−Gly−Asp−Asn−
Gln−Tyr−Tyr−Ala−Asp−Ser−Val−Lys−Glyを有し、そ
して該CDR3はアミノ酸配列Asp−Leu−Arg−Thr−Gly−Proを有す
るドメイン、
b)超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む第二のドメインであって
、該CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Ser−Ile−Gl
y−Ser−Ser−Leu−Hisを有し、該CDR2’はアミノ酸配列Ala−Se
r−Gln−Ser−Phe−Serを有し、そして該CDR3’はアミノ酸配列His
−Gln−Ser−Ser−Ser−Leu−Proを有するドメイン、ならびに
c)第一のドメインのN−末端にかつ第二のドメインのC−末端にまたは第一のドメイン
のC−末端にかつ第二のドメインのN−末端に、のどちらかに結合するペプチドリンカー
、を含む抗原結合部位を含む単一鎖結合分子;ならびにそれらの直接等価物から選択され
得る。
【0026】
周知のように、一つの、少数のもしくは数個でさえアミノ酸の欠失、追加または置換の
ような、アミノ酸配列における軽微な変更は、実質的に同一の性質を有する元のタンパク
質の対立遺伝子形に至るであろう。
【0027】
したがって、“それらの直接等価物”なる用語は、
(i)全体として取った超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3は、上記に示され
る超可変領域に少なくとも80%相同的、好ましくは少なくとも90%相同的、さらに好
ましくは少なくとも95%相同的であり、ならびに
(ii)分子Xのものと同一のフレームワーク領域を有するが、上記に示されるものと同
一の超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を有する、規準分子と実質的に同じ程
度でIL−1βのその受容体への結合を阻害する能力があるすべての単一ドメインIL−
1β結合分子(分子X)、
または
(i)全体として取った超可変領域CDR1、CDR2、CDR3、CDR1’、CDR
2’およびCDR3’は、上記に示される超可変領域に少なくとも80%相同的、好まし
くは少なくとも90%相同的、さらに好ましくは少なくとも95%相同的であり、ならび
に
(ii)分子X’と同一のフレームワーク領域および定常部分を有するが、上記に示され
るものと同一の超可変領域CDR1、CDR2、CDR3、CDR1’、CDR2’およ
びCDR3’を有する、規準分子と実質的に同じ程度でIL−1βのその受容体への結合
を阻害する能力がある、結合部位当り少なくとも二つのドメインを有するすべてのIL−
1β結合分子(分子X’)、のいずれかを意味する。
【0028】
さらなる局面において、本発明はまた、両方の重鎖(V
H)および軽鎖(V
L)可変ドメインを含むIL−1β結合分子であって、該IL−1β結合分子は
a)順番に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
H)であって、該CDR1はアミノ酸配列Ser−Tyr−Trp−Ile−Glyを有し、該CDR2はアミノ酸配列Ile−Ile−Tyr−Pro−Ser−Asp−Ser−Asp−Thr−Arg−Tyr−Ser−Pro−Ser−Phe−Gln−Glyを有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Tyr−Thr−Asn−Trp−Asp−Ala−Phe−Asp−Ileを有するドメイン(V
H)、ならびに
b)アミノ酸配列
His−Gln−Ser−Ser−Ser−Leu−Proを有する超可変領域CDR3’を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V
L);
を含む少なくとも一つの抗原結合部位を含む、結合分子;ならびにそれらの直接等価物を提供する。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、両方の重鎖(V
H)および軽鎖(V
L)可変ドメインを含むIL−1β結合分子であって、該IL−1β結合分子は:
a)順番に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
H)であって、該CDR1はアミノ酸配列Ser−Tyr−Trp−Ile−Glyを有し、該CDR2はアミノ酸配列Ile−Ile−Tyr−Pro−Ser−Asp−Ser−Asp−Thr−Arg−Tyr−Ser−Pro−Ser−Phe−Gln−Glyを有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Tyr−Thr−Asn−Trp−Asp−Ala−Phe−Asp−Ileを有する、ドメイン(V
H)、ならびに
b)順番に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V
L)であって、該CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Ser−Val−Ser−Ser−Tyr−Leu−Alaを有し、該CDR2’はアミノ酸配列Asp−Ala−Ser−Asn−Arg−Ala−Thrを有し、そして該CDR3’はアミノ酸配列
His−Gln−Ser−Ser−Ser−Leu−Proを有する、ドメイン(V
L)、を含む少なくとも一つの抗原結合部位を含む、結合分子;ならびにその直接等価物を提供する。
【0030】
本明細書において、アミノ酸配列は互いに少なくとも80%相同的であるが、このとき
は、これらは、配列が最適にアラインし、アミノ酸配列中のギャップもしくは挿入は非−
同一の残基として計算されるときには、似た場所に少なくとも80%の同一のアミノ酸残
基を有する。
【0031】
IL−1βのその受容体への結合の阻害は、WO 02/16436に記載されている
アッセイのようなアッセイを含む様々なアッセイで簡便に試験され得る。“同じ程度で”
なる用語は、規準および同等の分子が、統計学的根拠で、上記のアッセイの一つにおいて
本質的に同一なIL−1β結合阻害曲線を示すことを意味する。例えば、本発明のIL−
1β結合分子がIL−1βのその受容体への結合の阻害について典型的に有するIC
50
値は、上記のようにアッセイするとき、対応する規準分子のIC
50と好ましくは実質的
に同じものの±×5以内である。
【0032】
例えば、使用されるアッセイは、可溶性IL−1β受容体および本発明のIL−1β結
合分子によるIL−1βの結合の競合的阻害のアッセイであってもよい。
【0033】
最も好ましくは、本発明にしたがって使用されるヒトIL−1β抗体は、
a)1位のアミノ酸から始まりかつ118位のアミノ酸で終わる配列番号1に示されるも
のと実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインならびにヒト重鎖の定常部分を含
む一つの重鎖;ならびに
b)1位のアミノ酸から始まりかつ107位のアミノ酸で終わる配列番号2に示されるも
のと実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインならびにヒト軽鎖の定常部分を含
む一つの軽鎖、を少なくとも含むヒトIL−1抗体である。
【0034】
より好ましくは、本発明にしたがって使用するためのIL−1β結合分子はACZ88
5(実施例参照)である。
【0035】
ヒト重鎖の定常部分は、γ
1、γ
2、γ
3、γ
4、μ、α
1、α
2、δもしくはεタイ
プ、好ましくはγタイプ、さらに好ましくはγ
1タイプであってよいが、一方では、ヒト
軽鎖の定常部分は、κもしくはλタイプ(λ
1、λ
2およびλ
3サブタイプを含む)であ
ってもよいが、好ましくはκタイプである。これらの定常部分全てのアミノ酸配列はKaba
t et al.、同書中に与えられている。
【0036】
本発明のIL−1β結合分子は、例えば、WO 02/16436に記載のとおりの組
み換えDNA技術により製造される。
【0037】
本発明の他の態様において、IL−1β化合物は成熟ヒトIL−1βのGlu 64残
基(成熟ヒトIL−1βのGlu 64残基はヒトIL−1β前駆体の残基180に相当
する)を含むループを含むヒトIL−1βの抗原エピトープに対して結合特異性を有する
抗体であり得る。このエピトープはIL−1β受容体の認識部位の外であり、そして、し
たがってこのエピトープの抗体、例えばACZ885抗体、がIL−1βのその受容体へ
の結合を阻害する能力を有することは最も驚くべきである。したがって若年性関節リウマ
チおよび成体の関節リウマチおよび/または自己炎症性症候群および/またはマックルウ
ェルズ症候群を処置するためのこのような抗体の使用は新規であり、本発明の範囲内であ
る。
【0038】
したがって、さらなる局面において、本発明は、若年性関節リウマチもしくは成体の関
節リウマチおよび/または自己炎症性症候群および/またはマックルウェルズ症候群を処
置するための、成熟ヒトIL−1βのGlu 64残基を含むループを含むヒトIL−1
βの抗原エピトープに対して抗原結合特異性を有しそしてIL−1βのその受容体への結
合を阻害することができるIL−1βに対する抗体の使用を含む。
【0039】
さらなる局面において、本発明は:
i)若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチおよび/または自己炎症性症候群お
よび/またはマックルウェルズ症候群を予防および/または処置するための、Glu 6
4を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原エピトープに対して抗原結合特異性を有
しそしてIL−1βのその受容体への結合を阻害する能力を有するIL−1βに対する抗
体の使用、
ii)Glu 64を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原エピトープに対して抗
原結合特異性を有しそしてIL−1βのその受容体への結合を阻害する能力を有するIL
−1βに対する抗体の有効量を患者に投与することを含む、患者の若年性関節リウマチも
しくは成体の関節リウマチおよび/または自己炎症性症候群および/またはマックルウェ
ルズ症候群を予防および/または処置するための方法、
iii)若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候群および/または自己炎症
性症候群および/またはマックルウェルズ症候群を処置するための、Glu 64を含む
ループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原エピトープに対して抗原結合特異性を有しそして
IL−1βのその受容体への結合を阻害する能力を有するIL−1βに対する抗体を、薬
学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と一緒に含む医薬組成物、
iv)若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候群および/または自己炎症性
症候群および/またはマックルウェルズ症候群を処置するための薬剤を製造するための、
Glu 64を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原エピトープに対して抗原結合
特異性を有しそしてIL−1βのその受容体への結合を阻害する能力を有するIL−1β
に対する抗体の使用
を含む。
【0040】
本説明の目的のために、抗体が実質的にACZ885抗体と同じ程度でIL−1βのそ
の受容体への結合を阻害する能力を有する、すなわち、例えば、実施例に記載の標準BI
Acore分析で測定され、10nMまたはそれ未満、例えば、1nMまたはそれ未満、
好ましくは100pMまたはそれ未満、より好ましくは50pMまたはそれ未満の平衡解
離定数(K
D)を有するとき、抗体は“IL−1βの結合を阻害する能力を有する”とな
る。
【0041】
したがってさらなる局面において、本発明は、若年性関節リウマチもしくは成体の関節
リウマチ症候群および/または自己炎症性症候群を処置するための、IL−1βに対する
結合に対して約10nM、1nM、好ましくは100pM、より好ましくは50pMまた
はそれ未満のK
Dを有する抗体の使用を提供する。本発明のこの局面はまた、Glu 6
4を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原決定因子に対して結合特異性を有するI
L−1βに対する抗体について上記のとおり、このように高い親和性抗体についての使用
、方法および組成物を含む。
【0042】
本説明において、“若年性関節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候群および/ま
たは自己炎症性症候群”なる用語は、疾患または状態の因果関係、発展、進歩、存続もし
くは病理学を含む疾患または医療状態において、直接的もしくは間接的であれ、若年性関
節リウマチもしくは成体の関節リウマチ症候群および/または自己炎症性症候群が役割を
果たすところの、全ての疾患および医学的状態を包含する。
【0043】
本説明において、“マックルウェルズ症候群”(“MWS”も)なる用語は、疾患また
は状態の因果関係、発展、進歩、存続もしくは病理学を含む疾患または医療状態において
、直接的もしくは間接的であれ、“マックルウェルズ症候群”が役割を果たすところの、
全ての疾患および医学的状態を包含する。
【0044】
式Iの化合物は、該活性成分のみ、または、例えば、アジュバントとして、例えば、同
種もしくは異種、急性もしくは慢性拒絶反応または炎症性もしくは自己免疫性疾患の処置
または予防のための、他の薬剤、例えば、免疫抑制性もしくは免疫調節剤または他の抗炎
症性剤、または化学療法剤、例えば、悪性細胞の抗増殖剤と一緒に投与できる。例えば、
本発明の抗体は、カルシニューリン阻害剤、例えば、シクロスポリンAまたはFK506
;mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパ
マイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP236
75、AP23841、TAFA−93、バイオリムス−7またはバイオリムス−9;免
疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えば、ABT−281、ASM981など;コル
チコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミ
ド;ミゾルビン;ミコフェノール酸または塩;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオ
キシスペルグアリンまたはそれらの免疫抑制相同物、類似体もしくは誘導体;PKC阻害
剤、例えば、WO 02/38561またはWO 03/82859に記載されているよ
うな、例えば、実施例56または70の化合物;JAK3キナーゼ阻害剤、例えば、N−
ベンジル−3,4−ジヒドロキシ−ベンジリデン−シアノアセトアミド□−シアノ−(3
,4−ジヒドロキシ)−]N−ベンジルシンナムアミド(チルホスチンAG490)、プ
ロジギオシン25−C(PNU156804)、[4−(4’−ヒドロキシフェニル)−
アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P131)、[4−(3’−ブロモ
−4’−ヒドロキシルフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−
P154)、[4−(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシルフェニル)−アミノ−
6,7−ジメトキシキナゾリン]WHI−P97、KRX−211、遊離形または薬学的
に許容される塩形の、例えば、一クエン酸塩の3−{(3R,4R)−4−メチル−3−
[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジ
ン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリル(CP−690,550とも呼ばれる)
、またはWO04/052359またはWO05/066156に記載されているような
化合物;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体に対するモノクローナル
抗体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28
、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガン
ド;他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4の少なくとも細胞外部分またはそれらの変
異体を有する、例えば、非CTLA4タンパク質配列に結合しているCTLA4の少なく
とも細胞外ドメイン部分またはそれらの変異体を有する、組み換え結合分子、例えば、C
TLA4Ig(例えば、ATCC 68629で示される)またはそれらの変異体、例え
ば、LEA29Y;接着分子阻害剤、例えば、LFA−1アンタゴニスト、ICAM−1
または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニス
ト;または化学療法剤、例えば、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラスチン、ドキ
ソルビシンまたは5−フルオロウラシル;または抗感染症剤と一緒に使用できる。本発明
の化合物と組み合わせて有用でありそうな免疫調節剤は、例えば
【0045】
−mTOR活性のメディエイター、例えば、阻害剤、例えば、式
【化1】
で示されるラパマイシンおよびラパマイシン誘導体、例えば
40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、例えば、40−O−ヒドロキシアルキル−ラ
パマイシン誘導体、例えば、40−O−(2−ヒドロキシ)−エチル−ラパマイシン(エ
バロリムス)、
32−デオキソ−ラパマイシン誘導体および32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、例
えば、32−デオキソラパマイシン、
16−O−置換ラパマイシン誘導体、例えば、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32−
デオキソラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒド
ロ−ラパマイシン、16−ペンタ−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−
40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、
酸素基で40位をアシル化されているラパマイシン誘導体、例えば、40−[3−ヒドロ
キシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−プロピオン酸メチル]−ラパマイシン(CCI
779としても既知)、
40位をヘテロシクリルにより置換されているラパマイシン誘導体、例えば、40−エピ
−(テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT578としても既知)、
いわゆる、例えば、WO9802441、WO0114387およびWO0364383
に記載されているようなラパログ、例えば、AP23573および
TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841およびバイオリムス
の名の下に記載されている化合物(例えば、バイオリムスA9)
TAFA−93およびバイオリムス(バイオリムスA9)の名の下に記載されている化合
物を含む。
【0046】
本説明において、“処置”または“処置する”なる用語は、疾患を有している危険性ま
たは疾患を有している疑いのある患者ならびに病気であるか、または疾患もしくは病状を
有すると診断された患者の処置、ならびに臨床的再発の抑制を含む、防止または予防処置
ならびに治癒または疾患緩和処置の両方を意味する。本発明の有効な治療は、全ての回復
できる症状の緩解を含むが、回復できない症状の緩解は含まない。例えば、マックルウェ
ルズの症状の1つは、普通は回復できず、したがってこの症状が処置できると期待してい
ない進行性神経性難聴である。しかしながら、マックルウェルズの他の回復できる症状、
例えば、皮膚の腫瘍、筋肉痛、発熱、疲労感および結膜炎は本発明の有効な治療で完全に
存在しなくできる。有効な治療の他の測定は自己炎症性症候群、例えば、マックルウェル
ズと関連のあるバイオマーカーの減少、すなわち患者の正常範囲、すなわち<10mg/
L血清からの血清アミロイドタンパク質(SAA)およびc−反応性タンパク質(CRP
)の減少である。
【0047】
本説明において、疾患“マックルウェルズ”は、とりわけ(分子病状)関節炎および蕁
麻疹、進行性神経性難聴の急性発熱性炎症発現および所望により長期多臓器アミロイドー
シス(この場合の約25%)である臨床症状について測定される。分子病状は染色体16
p13に位置し、ピリンと呼ばれるタンパク質をコードするMEFV遺伝子における1個
またはそれ以上の変異により引き起こされる。
【0048】
上記で定義のIL−1β結合分子、特に本発明の第1および第2の局面のIL−1β結
合分子、Glu64を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原エピトープに対する特
異的結合を有する抗体、特にIL−1βの受容体への結合を阻害することができる抗体;
ならびに約10nM、1nM、好ましくは100pM、より好ましくは50pMまたはそ
れ未満のIL−1βへの結合に対するK
Dを有するIL−1βに対する抗体は本明細書で
本発明の抗体と呼ぶ。
【0049】
本発明のさらなる態様において、IL−1β化合物、例えば、本発明の抗体のさらなる
使用は下記のとおりである:
炎症性腸疾患(IBD)、若年性関節炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、冠症候群、動脈
再狭窄、嚢胞性線維症、アルツハイマー病、多発性骨髄腫、動脈硬化症、肺線維症、マッ
クルウェルズおよび慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防および処置。
【0050】
本明細書に記載(本発明の適用)の全ての適応について、適当な用量は、もちろん、例
えば、使用される特定のIL−1β化合物、例えば、本発明の抗体、宿主、投与経路なら
びに処置される状態の性質および重症度に依存して変化する。しかしながら、予防的使用
において、満足な結果は、体重キログラム当たり約0.05mgから約10mg、さらに
普通には体重キログラム当たり約0.1mgから約5mgの投与量で得られると、一般的
に示されている。本発明の抗体は、簡便には、非経腸的、静脈内、例えば、前肘もしくは
他の末梢静脈内に、筋肉内、または皮下的に投与される。
【0051】
他の態様において、本発明は治療的使用に対する投与の驚くべき頻度に関し、すなわち
IL−1β化合物、好ましくはIL−1β抗体、より好ましくはACZ885での処置の
スケジュールは(典型的な用量、患者の体重キログラム当たり、例えば、約0.1mgか
ら約50mg、より好ましくは0.5mgから20mg、さらにより好ましくは1mgか
ら10mgのACZ885)、週に1回またはそれ未満の頻度、より好ましくは2週間に
1回またはそれ未満の頻度、より好ましくは3週間に1回またはそれ未満の頻度、より好
ましくは月に1回またはそれ未満の頻度、より好ましくは2月に1回またはそれ未満の頻
度、より好ましくは3月に1回またはそれ未満の頻度、さらにより好ましくは4月に1回
またはそれ未満の頻度、さらにより好ましくは5月に1回またはそれ未満の頻度、または
さらにより好ましくは6月に1回またはそれ未満の頻度であり得る。最も好ましくは月に
1回である。
【0052】
本発明の医薬組成物は、従来の様式で製造され得る。本発明にしたがう組成物は、好ま
しくは凍結乾燥した剤形で提供される。直接投与のために、適当な水性担体、例えば、注
射用の無菌水もしくは無菌の緩衝生理食塩水にそれを溶かす。ボラス注射としてよりむし
ろ点滴による投与のためにより大容量の溶液を作成することが望まれるとき、ヒト血清ア
ルブミンもしくは患者自身のヘパリン添加血を生理食塩水中に処方時に組み入れることが
有利である。そのような生理的に不活性なタンパク質の過剰な存在は、輸液で使用される
容器および管の壁上への吸着による抗体の損失を防止する。もしアルブミンを用いるなら
ば、適当な濃度は、生理食塩水の0.5〜4.5重量%である。
【0053】
本発明はさらに例として下記実施例で説明する。