(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧力センサには、可撓隔膜を損傷し得る環境において用いられるものがある。例えば、圧力センサには、化学気相成長(CVD)システム中で使用されるものがある。これらのシステムは、可撓隔膜上への堆積物の間断ない蓄積および/または原子ドーピングに起因する可撓隔膜の変化を引き起こし得る。このような可撓隔膜への損傷は、行った圧力測定の精度に悪影響を及ぼしうる。
【0005】
この問題に対処する一つの手法として、可撓隔膜を定期的に交換することができる。しかし、これは、交換が時期尚早および不当に遅れるという両方の結果となり得、しかも、交換処理中はシステムを使用できない。
【0006】
別の手法として、可撓隔膜の定期的な較正試験を行ってもよい。しかしこの場合もまた、システムをオフラインにしなければならず、ゆえに一時的に使用から外す必要があるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
圧力センサは気体圧力または液体圧力を測定してもよい。チャンバは気体または液体を受ける吸入口を有してもよい。可撓隔膜は、吸入口を流れた後の気体または液体に曝される表面を有するチャンバ内にあってもよい。圧力センサシステムは、可撓隔膜における気体または液体の圧力の変化によって引き起こされた変化を感知し得る。圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜における気体または液体の圧力の変化によって引き起こされたのではない変化を感知し得る。圧力不感応型センサシステムは、気体または液体の圧力の変化によって引き起こされた可撓隔膜の変化に感応しなくてもよい。
【0008】
圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜の上または内部であって、変化を受けるが、気体または液体の圧力への変化に対しては感応しない圧力不感応位置に、局所センサを備えてもよい。
【0009】
圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜の上または内部の異なる圧力不感応位置に、複数の局所センサを備えてもよい。可撓隔膜の上または内部であって、受けた変化に感応するが、気体または液体の圧力への変化に対しては感応しない圧力不感応位置における変化を、推定処理システムが複数の局所センサの出力から推定してもよい。
【0010】
可撓隔膜は、各々が、変化を受けるが、気体または液体の圧力への変化に対しては感応しない圧力不感応位置の列を有してもよい。少なくとも二つの複数の局所センサは、この列を挟む二つの側またはこの列の同じ側に位置とし得る。
【0011】
推定処理システムは、以下の数式にしたがって、圧力不感応位置での応力を計算してもよい。
【数1】
ここで、σ
1′およびσ
2′は、それぞれ実質的に異なる圧力P1およびP2を受ける際の複数の局所センサのうちの一つからの出力、σ
1′′およびσ
2′′は、同様にそれぞれ実質的に異なる圧力P1およびP2を受ける際の複数の局所センサのうち他の一つからの出力、σ
initialは、圧力P1およびP2に曝される前に可撓隔膜上に受けるものであり、かつ圧力P1およびP2に曝される間も可撓隔膜上に残る応力である。
【0012】
複数の局所センサのこれらの異なる圧力感応位置は、可撓隔膜の表面に対し実質的に平面対称とし得る。
【0013】
可撓隔膜は円形であり、圧力不感応位置は、可撓隔膜の半径の0.63のプラスマイナス0.2の範囲内の半径を有する実質的に同心の円上とし得る。
【0014】
圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜における気体または液体に曝される表面上に、または、曝されない表面上に、局所センサを備えてもよい。これに換えて、圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜内に埋め込まれた局所センサであってもよい。
【0015】
圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜の上または内部に局所センサを備えなくてもよい。可撓隔膜は、第1可撓隔膜であってよく、圧力不感応型センサシステムは、第1可撓隔膜から分離された第2可撓隔膜を備えてもよい。第2可撓隔膜は、吸入口を流れた後の気体または液体に曝される表面を有していてもよい。
【0016】
第2可撓隔膜の大きさ、形状、および材料組成は、第1可撓隔膜と実質的に同一であってよい。これに換えて、第2可撓隔膜の大きさ、形状、または材料組成は、第1可撓隔膜と実質的に異なってもよい。
【0017】
第2可撓隔膜における気体または液体の圧力の変化に反応するものではない変化は、第1可撓隔膜に関連して上記検討した任意の方法によって測定してもよい。
【0018】
第2可撓隔膜は、どちらも吸入口を流れた後に気体または液体に曝される二つの表面を有してもよい。
【0019】
圧力センサシステムは、気体または液体の圧力の変化に反応して変化する静電容量を有する可変コンデンサを備えてもよく、可撓隔膜は、導電性材料で形成されてよく、また可変コンデンサの一部であってよい。
【0020】
圧力不感応型センサシステムは、気体または液体の圧力の変化に反応して変化する抵抗を有するひずみゲージを備えてもよい。
【0021】
圧力センサは、圧力不感応型センサシステムが感知した可撓隔膜の変化に基づいて、圧力センサシステムによる測定を補償する補償システムを備えてもよい。
【0022】
圧力センサは、圧力不感応型センサシステムが感知した可撓隔膜への変化に基づいて、圧力センサシステムの予想される残り寿命を示す情報を提供する寿命測定システムを備えてもよい。
【0023】
寿命測定システムは、圧力センサシステムの予想される残り寿命が閾値と等しいか、またはこれを超える時に警報を発する警報システムを備えてもよい。
【0024】
これらは、他の部品、工程、特徴、目的、利益、および利点同様に、以下の実施形態の詳細な説明、添付の図面、および請求項の検討から明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1Aは、可撓隔膜を利用する先行技術の圧力センサの断面図である。
【
図1B】
図1Bは、先行技術の圧力センサの使用中に、可撓隔壁における気体または液体に曝された表面上に堆積物が堆積した後の、
図1Aに示す可撓隔膜の一部分の拡大断面図である。
【
図2A】
図2Aは、圧力を付与されたが堆積物の堆積が何もない可撓隔膜における、気体または液体に曝される側および乾燥側上の応力のグラフである。
【
図2B】
図2Bは、多様なレベルの圧力を受けたが、同様に堆積物の堆積が何もない同じ可撓隔膜の一方の側上の応力のグラフである。
【
図3A】
図3Aは、圧力を付与されないが、かなりの堆積物の堆積がある、同じ可撓隔膜の気体または液体に曝される側および乾燥側上の応力のグラフである。
【
図3B】
図3Bは、圧力を付与され、かなりの堆積物の堆積がある、同じ可撓隔膜の気体または液体に曝される側および乾燥側上の応力のグラフである。
【
図4A】
図4Aは、2種類の異なる不均一な堆積物の堆積パターンの例を示す。
【
図4B】
図4Bは、2種類の異なる不均一な堆積物の堆積パターンの例を示す。
【
図5】
図5は、2種類の異なる不均一な堆積物の堆積があった多様なレベルの圧力下での、隔膜の気体露出側における多様な位置での応力を示す。
【
図6】
図6は、可撓隔膜と、可撓隔膜の表面上の圧力不感応位置に(例えば圧電抵抗式または圧電式の)ひずみゲージを備える圧力不感応型センサシステムとを利用する圧力センサの一例の断面図を示す。
【
図7A】
図7Aは、可撓隔膜603上の圧力不感応位置でのひずみゲージおよび発生した堆積物の堆積の多様な位置および構成を示す。
【
図7B】
図7Bは、可撓隔膜603上の圧力不感応位置でのひずみゲージおよび発生した堆積物の堆積の多様な位置および構成を示す。
【
図7C】
図7Cは、可撓隔膜603上の圧力不感応位置でのひずみゲージおよび発生した堆積物の堆積の多様な位置および構成を示す。
【
図7D】
図7Dは、可撓隔膜603上の圧力不感応位置でのひずみゲージおよび発生した堆積物の堆積の多様な位置および構成を示す。
【
図8A】
図8Aは、可撓隔膜上の圧力不感応位置でのひずみゲージの一例を示し、ひずみゲージは4つの検知素子を備えてもよい。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aに示す多重圧電抵抗素子間に形成されてもよい電気的接続点の一例を示す。
【
図9A】
図9Aは、可撓隔膜と、圧力不感応位置の列に関し反対側上の圧力感応位置での隔膜の表面上にひずみゲージを備える圧力不感応型センサシステムとを利用する、圧力センサの一例の断面図である。
【
図9B】
図9Bは、ひずみゲージの異なる圧力感応位置、およびこれらが可撓隔膜の表面に対して実質的な平面対称性を有する様子を示す。
【
図9C】
図9Cは、ひずみゲージの異なる圧力感応位置、およびこれらが可撓隔膜の表面に対して実質的な平面対称性を有する様子を示す。
【
図10】
図10は、
図9に示す二つのひずみゲージからの二つの異なる圧力での出力の例、および、この情報を用いて、圧力不感応位置に位置した場合のひずみゲージの出力を決定する様子を示すグラフである。
【
図11】
図11は、可撓隔膜と、圧力不感応位置の列の外側上の圧力感応位置で隔膜の表面上にひずみゲージを備える圧力不感応型センサシステムとを利用する圧力センサの一例の断面図を示す。
【
図12】
図12は、可撓隔膜と、圧力不感応位置の列によって区分される表面の内側上の圧力感応位置で隔膜の表面上にひずみゲージを備える圧力不感応型センサシステムとを利用する圧力センサの一例の断面図を示す。
【
図13】
図13は、測定すべき圧力を受けた気体または液体に曝された表面を有する可撓隔膜と、これに同一の気体または液体に曝され、実質的に同一の堆積物堆積および原子ドーピングを受けた分離型プローブとを利用する圧力センサの一例の断面図を示す。
【
図14】
図14は、圧力センサの一部である隔膜の状態への変化を補償する、圧力センサの一例のブロック図である。
【
図15】
図15は、圧力センサの予想される残り寿命を表す情報、および/または、圧力センサの予想される残り寿命が閾値と等しいまたはこれを超える場合に警報を提供する圧力センサの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここから実施形態を説明する。これに加えて、またはこれに換えて、他の実施形態を用いてもよい。より効果的な説明のため、またはスペースを節約するために、明白または不要な詳細を省略するものとする。実施形態の中には、追加の部品または工程とともに、および/または、説明されている部品または工程の全てではない状態で、実施してもよいものがある。
【0027】
図面は説明的な実施形態のものである。これらは必ずしも全ての実施形態を説明するものではない。これに加えて、またはこれに換えて他の実施形態を用いてもよい。明白または不要な詳細は、より効果的な説明のため、またはスペースの節約のために、省略してもよい。実施形態の中には、追加の部品または工程とともに、および/または、説明されている部品または工程が全てない状態で、実施してもよいものがある。異なる図面中に同一の数字が見られる場合は、同一または同様の部品または工程を意味する。
【0028】
図1Aは、可撓隔膜103を利用する先行技術の圧力センサ101の断面図である。先行技術型圧力センサ101は、測定すべき圧力の気体または液体を受ける吸入口107を有するチャンバ105を備える。
【0029】
可撓隔膜103は、吸入口107を流れた後の気体または液体に曝される表面109を有する。可撓隔膜103は、気体または液体に曝されず、むしろ第2チャンバ113の壁を形成する他の面111を有する。また第2チャンバ113内には、電気的接続点117を有する絶縁環状基準電極115と電気的接続点121を有する絶縁円形検知電極119とを有する。
【0030】
可撓隔膜103は、例えばシリコン、サファイア、セラミック、ステンレス鋼、および/またはニッケル合金など、任意の材料で形成してもよい。この材料は、隔膜103が撓むことを許容するものであってもよいが、測定すべき圧力の気体または液体を透過し得るものであってはならない。可撓隔膜103は、例えば円形、楕円形、矩形、または三角形など、任意の形状とし得る。可撓隔膜103は、導電性の表面を有してもよい。
【0031】
吸入口107での気体または液体の圧力の変化が、可撓隔膜103の撓みの変化を引き起こし得る。基準電極115、検知電極119、および可撓隔膜103が共同して、静電容量が隔膜103の撓みの変化に反応して変化するコンデンサを形成してもよい。この静電容量の変化は、119と103との間、または115と103との間の静電容量の変化を測定することによって測定することができる。さらに、これらの測定結果の両方を差動的に用いて、測定精度を改善することができる。
【0032】
気体または液体の圧力の変化に起因する隔膜103の撓みの変化を検知するために、他の手段を追加的または代替的に採用してもよい。例えば、吸入口107での気体または液体の圧力の変化から引き起こされる隔膜103の撓みの変化に感応する一か所以上の位置である隔膜103の上または内部に、(例えば、圧電抵抗式または圧電式の)一つ以上のひずみゲージを載置してもよい。隔膜103の撓みの変化を検知および測定するために、例えば光学的および/または超音波的手法のような他の手法を追加的または代替的に採用してもよい。さらなる手法として、115および103または119および103を静電力で駆動するとともに、この駆動作用の際の隔膜の剛性を測定してもよい。一つの方法として、一組の電極対を可変周波数の正弦波(AC)電圧で駆動し、他の電極対の静電容量出力を測定してもよい。これは、隔膜の共振周波数の測定を可能にし得る。共振周波数の変化によって、隔膜剛性の変化の検知を可能にし得る。
【0033】
図1Bは、先行技術の圧力センサ101の使用中に気体または液体に曝された可撓隔膜103の表面109上に堆積物123が堆積した後の、
図1Aに示す可撓隔膜103の一部分の拡大断面図を示している。堆積物123は均一に示されているが、実際には均一でなくてもよい。例えば、堆積物123は、中心近くと比較して、周辺近くで厚くなっていてもよいし、またはその反対であってもよい。上述のように、可撓隔膜103は、同様に又はむしろ、原子ドーピングによって損傷を受けるとしてもよい。
【0034】
堆積物123の堆積および/または原子ドーピングによって引き起こされる変化は、隔膜103を撓ませる可能性が有り、および/または、気体または液体の圧力の変化に対する隔膜103の撓み感応性を変化させる可能性がある。上述のように、可撓隔膜への損傷は、圧力センサ101による圧力測定の精度に悪影響を及ぼしうる。
【0035】
圧力不感応位置が可撓隔膜103上にあってもよい。堆積物が可撓隔膜103上に堆積する際、および/または、可撓隔膜103が原子ドーピングによって変換される際に、これらの位置は、応力および/または変位の変化を受けてもよい。しかし、吸入口107での気体または液体の圧力が変化したというだけの場合には、これらの位置は、応力および/または変位の変化を受けないものとする。
【0036】
図2Aは、圧力を付与しているが堆積物の堆積が何もない可撓隔膜における、気体または液体に曝される側201および乾燥側203上の応力のグラフである。図に示すように、隔膜上の圧力不感応位置205および207は、圧力の付与にもかかわらず可撓隔膜中に応力を全く示さない。
【0037】
図2Bは、多様なレベルの圧力を付与しているが同様に堆積物の堆積が何もない場合の、同じ可撓隔膜の一方の側上の応力のグラフである。線209は10Torrの、211は5Torrの、213は2.5Torrの、215は1Torrの、そして217は0Torrの、付与圧力を表す。この図に示すように、隔膜上の圧力不感応位置205および207は、これらの多様な圧力の付与にもかかわらず、可撓隔膜中に応力がないことを示し続ける。
【0038】
図3Aは、圧力を付与されないが、かなりの堆積物の堆積がある場合の、同じ可撓隔膜の気体または液体に曝される側201および乾燥側203上の応力のグラフである。図に示すように、隔膜上の全ての位置は、約同一レベルの応力を示す。
【0039】
図3Bは、圧力を付与され、かつ、かなりの堆積物の堆積がある場合の、同じ可撓隔膜の気体または液体に曝される側201および乾燥側203上の応力のグラフである。図に示すように、隔膜上の圧力不感応位置205および207は、堆積物の堆積によって課された応力を反映する応力を示す。しかしながら、
図2Aにも示すように、これらの同一の圧力不感応位置は、圧力が隔膜に付与されている時でも応力を何も示さない。
【0040】
圧力不感応位置は、位置の列を構成してもよい。例えば、このような圧力不感応位置の列は、円形隔膜の場合には、円形隔膜と実質的に同心であるとともに、円形隔膜の半径の約0.63のプラスマイナス0.2の半径を有する円を構成し得る。隔膜の他の構成では、圧力不感応位置は、隔膜の外周の輪郭に沿うが、そこから内側に間隔をあけた線で同様に区分され得る。
【0041】
堆積物の堆積は、隔膜の表面に均一でなくてもよい。例えば、隔膜の外縁に向かって厚くなり、一方で中心に向かって薄くなっていてもよく、その反対でもよい。堆積された堆積物が不均一または原子ドーピングが不均一の任意の場合にも、圧力感応位置の軌跡が存在し得る。
【0042】
図4Aおよび4Bは、異なる不均一な堆積物の堆積パターンの例を示す。
図4Aにおいて、堆積物の堆積領域は、圧力不感応位置の線401を覆っている。
図4Bにおいては、堆積物の堆積領域は、圧力不感応位置の線401を覆っていない。クロスハッチングは、堆積物の堆積を示す。
【0043】
図5は、不均一な堆積物の堆積があった多様なレベルの圧力下での、隔膜の気体に曝される側における多様な位置での応力を示す。線501,502,および503は、
図4Aに示す不均一な堆積物の堆積の場合の、1Torr、5Torr、および10Torrをそれぞれ示す。線504,505,および506は、
図4Bに示す不均一な堆積物の堆積の場合の、1Torr、5Torr、および10Torrをそれぞれ示す。しかしながら、やはり、与えられた圧力のかなりの変化にもかかわらず、応力に実質的に何の変化も示さない隔膜上に、圧力不感応位置が存在し得る。
【0044】
よって、これらの圧力不感応位置の一つ以上で発生した変化の量を測定することは、堆積物の堆積および/または原子ドーピングによって引き起こされる隔膜103への損傷の量を示し得る。ここからは、このような圧力感応位置での変化の測定手法の例を説明する。追加的または代替的に他の方法を用いてもよい。
【0045】
図6は、可撓隔膜603と、可撓隔膜603の表面607上の圧力不感応位置に(例えば、圧電抵抗式または圧電式の)ひずみゲージ605を備える圧力不感応型センサシステムとを利用する圧力センサ601の一例の断面図を示す。ひずみゲージ605を除いては、圧力センサ601の全ての部品は、上述したすべての変形を含む圧力センサ101に対応する部品と上述のように同一とし得る。
【0046】
圧力不感応型センサシステムは、気体または液体の圧力の変化によって引き起こされたものではない可撓隔膜603の変化を感知してもよい。圧力不感応型センサシステムは、気体または液体の圧力の変化によって引き起こされる可撓隔膜603の変化に不感応であってもよい。ひずみゲージ605が位置する圧力不感応位置は、堆積物の堆積および/または原子ドーピングによって引き起こされる変化のような変化を受けるが、気体または液体の圧力の変化によって引き起こされる変化を受けない位置でなければならない。そのような位置の例を
図2A,2B,および3Bに示す。
【0047】
ひずみゲージ605は、圧力不感応位置での可撓隔膜603の上または内部に存在し得る。可撓隔膜603上にある場合、ひずみゲージ605を接着剤などで可撓隔膜603のいずれの側に取り付けてもよい。可撓隔膜603内にある場合、圧力不感応位置にて可撓隔膜603にひずみゲージを添加することによって、ひずみゲージ605を設けてもよい。可撓隔膜603は半導体材料であってもよい。
【0048】
図7A〜7Dは、可撓隔膜603上の圧力不感応位置でのひずみゲージ605および発生した堆積物701の多様な位置および構成を示す。
図7Aは、気体または液体に曝される側703上のひずみゲージ605を示し、
図7Bは、乾燥側705上のひずみゲージ605を表し、
図7Cは、乾燥側705上のひずみゲージ605および気体または液体に曝される側703上の追加のひずみゲージ605Aを表し、
図7Dは、可撓隔膜603内に埋め込まれたひずみゲージ605を表す。同様に、複数のひずみゲージが、可撓隔膜603の上、またはその内部の複数の圧力不感応位置にあってもよい。複数のひずみゲージを用いる場合は、それらの出力の平均を用いてもよい。
【0049】
図8Aにおいて、可撓隔膜803上の圧力不感応位置でのひずみゲージ801の一例を示す。ひずみゲージ801は、正方形状に配置された圧電抵抗素子805,807,809,および811のブリッジとしてもよく、圧電抵抗素子805および809は、一方向にひずみを検知するように向けられてよく、一方で圧電抵抗素子807および811は、他の垂直な方向にひずみを検知するように向けられてもよい。各圧電抵抗素子は、その抵抗を、付与された応力に応じて変化させ得る。
【0050】
図8Bは、
図8Aに示す多重圧電抵抗素子間に形成されてもよい電気的接続点の一例を示す。接続点813および815に渡って電圧を付与し、接続点817および819に渡った差動的出力を供し得る。
【0051】
実際には、隔膜上の圧力不感応位置を正確に同定することは、特に製造中の公差のばらつきによってこの位置が変化する場合に、困難かもしれない。これに換えて、複数の局所ひずみゲージを、可撓隔膜の上または内部の圧力感応位置に設置してもよい。推定処理システムは、複数のセンサからの出力を受けるとともに、これらの出力から、気体または液体の圧力の変化に反応したものではない変化を受けた可撓隔膜の上または内部の圧力不感応位置での変化を推定してもよい。
【0052】
図9Aは、可撓隔膜903と、例えば圧力不感応位置911などの圧力不感応位置の列に関して反対位置であるの圧力感応位置の隔膜903の表面909上にひずみゲージ905および907を備える圧力不感応型センサシステムとを利用する、圧力センサ901の一例の断面図である。
図9Bおよび
図9Cは、ひずみゲージ905および907の異なる圧力感応位置、およびこれらが可撓隔膜903の表面909に対して実質的な平面対称性を有する様子を示す。
【0053】
図9は推定処理システム913をも示している。ひずみゲージ905および907の出力から、推定処理システム913は、例えば圧力不感応位置911などの、気体または液体の圧力の変化に反応したものではない変化を受けた可撓隔膜上の圧力不感応位置での応力の変化を推定し得る。推定処理システム913は、任意の手法を用いてこれを行うように構成し得る。
【0054】
図10は、
図9に示す二つのひずみゲージ905および907からの二つの異なる圧力P1およびP2での出力の例、および、この情報を用いて、圧力不感応位置に位置した場合のひずみゲージの出力を決定する様子を示すグラフである。具体的には、
図10は、σ
1′としての圧力P1およびσ
2′′としての圧力P2での位置X′のひずみゲージ905の応力出力と、σ
1′′としての圧力P1およびσ
2′′としての圧力P2での位置X′′のひずみゲージ907の応力出力とを示している。
【0055】
例えば
図10に示すように、ひずみゲージ905および907の位置の間で、可撓隔膜上の位置に関する応力の示度の線形変化を仮定して推定処理システム913を構成してもよい。また
図10に示すように、圧力P1での二つのひずみゲージの出力値の間を結ぶ線と、圧力P2での二つのひずみゲージの出力値の間を結ぶ線との交点を決定することによって、推定処理システム913が圧力不感応位置911での応力を決定するように構成してもよい。数学的には、推定処理システム913は、以下の数式にしたがって、この圧力不感応位置911での応力を計算するように構成してもよい。
【数2】
ここで、σ
initialは、圧力P1およびP2に曝される前の可撓隔膜上に受けた任意の応力である。
【0056】
上記説明を除いては、圧力センサ901の多様な部品は、上述したすべての変形を含み、
図1および6にそれぞれ示す圧力センサ101および601に対応した部品と上述のように同一とし得る。
【0057】
使用する複数の圧力センサは、圧力不感応位置の線に関する反対位置の上にある必要はない。これらは、例えば、この線によって区分される表面の内側上にあってもよいし、外側上にあってもよい。
【0058】
図11は、可撓隔膜1103と、例えば圧力不感応位置1111などの、圧力不感応位置の列によって区分される面の外側上の圧力感応位置で隔膜1103の表面1109上に、ひずみゲージ1105および1107を備える圧力不感応型センサシステムとを利用する圧力センサ1101の一例の断面図を示す。ひずみゲージ1105および1107の異なる圧力感応位置は、可撓隔膜1103の表面1109に対して、実質的な平面対称性を有してもよい。
【0059】
上記説明を除いては、圧力センサ1101の多様な部品は、上述したすべての変形を含み、
図1,6,および9にそれぞれ示す圧力センサ101,601,および901に対応する部品と上述のように同一とし得る。
【0060】
図12は、可撓隔膜1203と、例えば圧力不感応位置1211などの圧力不感応位置の列によって区分される表面の内側上の圧力感応位置で隔膜1203の表面1209上にひずみゲージ1205および1207を備える圧力不感応型センサシステムとを利用する圧力センサ1201の一例の断面図を示す。ひずみゲージ1205および1207の異なる圧力感応位置は、可撓隔膜1203の表面1209に対して、実質的な平面対称性を有してもよい。
【0061】
上記説明を除いては、圧力センサ1201の多様な部品は、上述したすべての変形を含み、
図1,6,および9にそれぞれ示す圧力センサ101,601,および901に対応する部品と上述のように同一とし得る。
【0062】
圧力不感応型センサシステムは、可撓隔膜の上または内部に何も局所センサを備えなくてもよい。その代わりに、圧力不感応型センサは、圧力センサの隔膜に堆積物が堆積され、および/または、原子ドーピングを受ける環境と同一の環境に曝される、完全に分離したプローブを備えてもよい。堆積した堆積物および/または原子ドーピングによって引き起こされる、この分離型プローブへの損傷によって、可撓隔膜に生ずる損傷を表してもよい。ここからは、そのような分離型装置の例を、記載するとともに、図によって説明する。追加的または代替的に他の手法を用いてもよい。
【0063】
図13は、測定すべき圧力を受けた気体または液体に曝された表面1305を有する可撓隔膜1303と、これに同一の気体または液体に曝され、実質的に同一の堆積物堆積および原子ドーピングを受けた分離型プローブ1307とを利用する圧力センサ1301の一例の断面図を示す。
【0064】
可撓隔膜1309は、可撓隔膜1303と、同一の大きさ、形状、および材料組成であってもよく、または、(
図13に示すように)異なる大きさ、形状、および材料組成であってもよい。可撓隔膜1309は、可撓隔膜1303と実質的に同一の堆積物の堆積および原子ドーピングを受ける位置、または、堆積物の堆積および原子ドーピングを受けるが、その量が可撓隔膜1303でと同一ではない位置に設置してもよい。
【0065】
分離型プローブ1307は、その両面がともに気体または液体に曝され、それゆえ、気体または液体の圧力の変化に反応して撓むことのない、可撓隔膜1309を備えてもよい。センサシステム1311は、堆積物の堆積および/または原子ドーピングによって引き起こされる変化を含む、可撓隔膜1309の変化を感知してもよい。より導電性が高い(より露出されている)表面には、表面1309の導電性が低い部分(露出がより少ない、またはより小さな開口)よりも、より多くの堆積物が付着してもよい。したがって、1309の両面が気体に曝されるとしても、吸入管へ到るより導電性の高い表面は、より多くの堆積物を検知し得る。センサシステム1311は、
図1Aに示す電極115および119のような、可撓隔膜1303の変化を感知するのに用いられるセンサシステムと同一タイプ、または、上記検討のひずみゲージ手法のような、異なるタイプのシステムであってよい。
【0066】
可撓隔膜1309の一方の側のみが気体または液体に曝される場合、上記検討した任意の方法によって、堆積物の堆積および/または原子ドーピングの変化を、可撓隔膜1309上の一つ以上の圧力感応位置で検知してもよい。
【0067】
可撓隔膜1309が可撓隔膜1303と実質的に異なる場合、または、可撓隔膜1303および1309の気体または液体への曝され度合いに差がある場合は、圧力不感応型センサシステムによってこれらの差を補償する補償がなされてもよい。
【0068】
両方の隔膜に関し、これらが堆積物の堆積および/または原子ドーピングを等しい度合いで受けることが確実となるように、バッフルを用いてもよい。そのようなバッフルの例が、2013年4月30日出願の、MEMS圧力センサ用統合型バッフルと題する、米国仮特許出願第61/817,713号に記載されており、ここにその内容を参照して援用する。
【0069】
上記説明を除いては、圧力センサ1301の多様な部品は、上述のように、上述したすべての変形を含む
図1,6,9,11および12にそれぞれ示す圧力センサ101,601,901,1101,および1201と同一であってもよい。
【0070】
図14は、圧力センサの一部である隔膜の状態への変化を補償する、圧力センサ1401の一例のブロック図である。圧力センサ1401は、隔膜を含む圧力センサシステム1403と、圧力不感応型センサシステム1405と、補償システム1407とを備えてもよい。圧力センサシステム1403および圧力不感応型センサシステム1405は、上記検討した任意のタイプのものとし得る。補償システム1407は、圧力不感応型センサシステム1405によって与えられた損傷示度に基づいて、圧力センサシステム1403によって与えられた圧力示度を調整するとしてもよい。圧力感応型センサシステム1403の示度中の隔膜への損傷の異なる損傷レベルとこれに対応する誤差と間の、実験的および/または数学的に決定される関係に基づいて、それを行うように補償システム1407を構成してもよい。これらの決定された関係を、圧力不感応型センサシステム1405によって報告された損傷の量に基づいて、補償システム1407によって適用される補償アルゴリズム、および/または、圧力センサシステム1403によってなされた測定に必要な調整をマッピングするマッピングテーブルへ、変換してもよい。補償システム1407は、圧力センサ1401が使用中である時に、実時間でこの補償を提供してもよい。
【0071】
図15は、圧力センサの予想される残り寿命を表す情報、および/または、圧力センサの予想される残り寿命が閾値と等しいまたはこれを超える場合に警報を提供する圧力センサ1501の一例のブロック図である。圧力センサ1501は、堆積物の堆積および/または原子ドーピングによって損傷を受ける隔膜を有する圧力センサシステム1503、圧力不感応型センサシステム1505、寿命管理型測定システム1507、および警報システム1509を備えるものとしてもよい。
【0072】
圧力センサシステム1503および圧力不感応型センサシステム1505は、上記検討した任意のタイプとし得る。
【0073】
寿命測定システム1507は、圧力不感応型センサシステム1505によって与えられた損傷示度に基づいて、圧力センサシステム1503内で用いられる隔膜の残り寿命を決定してもよい。寿命測定システム1507は、隔膜の寿命の終わりと、隔膜への損傷が閾値レベルに到達したことが圧力不感応型センサシステム1503によって報告される時とを同一とみなし得る。隔膜への実際の損傷を、この閾値と比較してもよく、隔膜の残り寿命として百分率の差を、寿命測定システム1507によって報告してもよい。損傷の変化と、対応する報告された寿命の変化との線形または非線形関係を用いてもよい。この線形または非線形関係を、実験的および/または数学的に確認してもよいとともに、アルゴリズムおよび/またはマッピングテーブルによって実施してもよい。寿命測定システム1507は、圧力センサ1501の使用中に、実時間でこの補償を提供してもよい。
【0074】
警報システム1509は、寿命測定システム1507からのセンサシステム1501の残り寿命についての情報と閾値とを比較するとともに、予想される残り寿命がこの閾値と等しい、またはこれを超える場合に、警報を発してもよい。圧力センサ1501が使用中に実時間で適切である場合、警報システム1509はこの警報を提供してもよい。
【0075】
明記されていない限り、ここで検討した推定処理システム、補償システム、寿命測定システム、および警報システムは、構成要素としてここに説明した機能を行うように構成されたコンピュータシステムで実施される。各コンピュータシステムは、一つ以上のプロセッサ、有形メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、および/またはプログラム可能型読取専用メモリ(PROM))、有形記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ、CD/DVDドライブ、および/またはフラッシュメモリ)、システムバス、映像処理部品、ネットワーク通信部品、入力/出力口、および/またはユーザインターフェース装置(例えば、キーボード、ポインティングデバイス、表示装置、マイクロホン、音声再現システム、および/またはタッチスクリーン)を備える。
【0076】
各コンピュータシステムは、そのそれぞれのセンサシステムと統合されるか、デスクトップコンピュータまたは携帯型コンピュータのように、そこから分離されてもよい。
【0077】
各コンピュータシステムはソフトウェア(例えば、一つ以上のオペレーティングシステム、装置ドライバ、アプリケーションプログラム、および/または通信プログラム)を備えてもよい。ソフトウェアが備えられる場合、ソフトウェアはプログラム指示を含み、関連データおよびライブラリーを含んでもよい。備えられる場合、プログラム指示は、ここに記載するようにコンピュータシステムの一つ以上の機能を実行する一つ以上のアルゴリズムを実行するように構成される。各コンピュータシステムが実行する各機能の説明は、その機能を実行するアルゴリズムの説明も構成する。
【0078】
ソフトウェアは、一つ以上のハードディスクドライブ、CD、DVD、および/またはフラッシュメモリのような、一つ以上の持続性有形記憶装置上またはその内部に記憶されてもよい。ソフトウェアは、ソースコードおよび/またはオブジェクトコードの形式であってもよい。関連データは、いかなるタイプの揮発性および/または非揮発性メモリに記憶されてもよい。ソフトウェアを、持続性メモリにロードして、一つ以上のプロセッサによって実行してもよい。
【0079】
検討してきた部品、工程、特徴、目的、利益、および利点は、単なる例として示したものである。これらと、これらに関する検討内容には、どのような形であれ、保護範囲を限定する意図はない。多くの他の実施形態も熟考される。これらは少数の、付加的な、および/または異なる部品、工程、特徴、目的、利益、および利点を有する実施形態を含む。これらは、部品および/または工程を変えて配置および/または順序づける実施形態も含む。
【0080】
記述されていない限り、これに続く請求項を含む本明細書に記載の、全ての測定、値、割合、位置、強さ、大きさ、および他の仕様は概略であり、正確ではない。これらは、その関連する機能と整合するとともに、その関連する当該分野での通例と整合する、合理的範囲を有するように意図されている。
【0081】
開示中に引用した記事、特許、特許出願、および他の公開公報をすべて、ここに参照して援用する。
【0082】
請求項中で「手段」という語句を用いる場合は、説明してきた対応構造および材料、ならびにその均等物を包含する意図であるとともに、そのように解釈されるべきである。同様に、請求項中で「工程」という語句を用いる場合は、説明してきた対応動作およびその均等物を抱合する意図であるとともに、そのように解釈されるべきである。請求項中にこれらの語句がない場合は、請求項は、これらの対応する構造、材料、または動作、またはこれらの均等物に限定されることを意図せず、またそのように解釈されるべきではないことを意味する。
【0083】
保護範囲は、以下に続く請求項によってのみ限定される。特定の意味が記載されている場合を除き、その範囲は、本明細書とこれに続く審査経過を考慮して解釈する場合、請求項内で用いられる言語の通常の意味と同じくらい広く整合することを意図しまたそのように解釈されるとともに、すべての構造的および機能的均等物を抱合すると解釈されるべきである。
【0084】
あるものまたは動作を他と区別するためだけならば、「第1の」および「第2の」などのような関係語を用いてもよいが、これらの間になんらかの実際の関係または順序を必要とせず、また意味するものでもない。「comprises,」、「comprising,」、およびその他の変化形が、明細書または請求項中の構成要素の一覧に関して用いられる場合、一覧は他の構成要素を排除するものではなく、他の構成要素を含んでもよいことを示す意図がある。同様に、その前に「a」または「an」が付く構成要素にはそれ以上の制限はなく、同一タイプの付加的な構成要素の存在を排除するものではない。
【0085】
米国特許法101条、102条、または103条の要件を満たさない主題を抱合することを意図する請求項はなく、請求項がそのような主題を抱合すると解釈すべきではない。意図せずに抱合されるそのような主題については、請求を放棄する。本段落で述べた点を除き、請求項に記載されているかどうかにかかわらず、記述または図示した内容は、部品、工程、特徴、目的、利益、利点、または均等物のいずれも、公益に対し貢献することを意図せず、またそのように貢献すると解釈されるべきでもない。
【0086】
読む者が技術的開示の性質を直ちに確認することに役立つように、要約書を作成した。請求項の範囲または意味の解釈または限定に用いられることはないと理解すべきである。さらに、多様な実施形態における前述の詳細な説明中の多様な特徴をひとまとめにし、開示内容の無駄がないようにしている。この開示方法を、請求した実施形態が、請求項に明記されているよりも多くの特徴を要件とする必要があると解釈すべきではない。以下の請求項が反映するように、むしろ、独創的な主題は、単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の中にある。このように、各請求項は、それ自身の別個に請求される主題に基づくものとして、以下の請求項を詳細な説明に援用する。