【文献】
Wanghua Wu et al.,A mm-Wave FMCW Rader Transmitter Based on a Multirate ADPLL,2013 IEEE Radio Frequency Integrated Circuits Symposium,IEEE,2013年 7月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発振器の帯域ごとに、前記PLLが、前記発振器の別の隣接する帯域の前記FCWを生成するさらなる制御入力を前記メモリに記憶するようにさらに構成される、請求項1に記載のPLL。
周波数ランプ信号を生じさせるように構成された周波数ランプ発生器と、前記周波数ランプ信号を送受信するように構成された送受信機とを備える、周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置であって、前記周波数ランプ発生器が、多帯域発振器と、前記発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリとを備える位相同期ループ(PLL)を有し、前記PLLが、
前記発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して前記発振器によって生成される周波数に対応する前記PLLの周波数制御ワード(FCW)を取得し、
前記第1の帯域に隣接する前記発振器の第2の帯域の前記FCWに対応する周波数を生成し、かつ
前記発振器に前記FCWに対応する前記周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、前記第2の制御入力を前記メモリに記憶するように構成されるキャリブレーションモードにおいて、前記PLLが動作可能であり、
前記PLLが、前記PLLの通常の動作モードにおいて粗制御入力および微制御入力を前記発振器に提供するように構成されたフィルタをさらに備え、
前記フィルタが、前記PLLの前記キャリブレーションモードにおいて前記FCWを取得するために、前記PLLの入力に接続するようにさらに構成され、
前記FCWの前記取得前に、前記PLLが、前記発振器の制御入力を前記第1の制御入力閾値に設定するようにさらに構成される、周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置。
前記PLLがデジタルPLLであり、前記発振器がデジタル制御発振器(DCO)であり、前記方法が粗デジタル制御入力および微デジタル制御入力を受信することを含み、前記第1の制御入力閾値が微デジタル制御入力である、請求項12に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらのおよび/または他の問題に対処するために、本教示の一態様において多帯域発振器およびその発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリを備える位相同期ループが提供される。本教示によるPLLは、発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して発振器によって生成される周波数に対応するPLLの周波数制御ワード(FCW)を取得するようにPLLが構成されるキャリブレーションモードにおいて動作可能である。キャリブレーションモードにおいて、PLLは、該第1の帯域に隣接する発振器の第2の帯域の該FCWに対応する周波数を生成するためにさらに動作可能である。キャリブレーションモードにおいて、PLLは、発振器に該FCWに対応する該周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、該第2の制御入力をメモリに記憶するようにさらに構成される。
【0007】
一態様において、本教示のPLLは、PLLの通常の動作モードにおいて粗制御入力および微制御入力を該発振器に提供するように構成されたフィルタをさらに備える。
【0008】
一態様において、PLLの該キャリブレーションモードにおいて該FCWを取得するために、フィルタはPLLの入力に接続するようにさらに構成される。
【0009】
一態様において、第1の制御入力閾値は、該発振器の微制御入力である。
【0010】
一態様において、取得、生成、識別、および記憶が発振器の帯域ごとに順次実施される。
【0011】
一態様において、FCWの該取得の前に、PLLは、制御入力を該第1の制御入力閾値に設定するようにさらに構成される。
【0012】
一態様において、発振器の帯域ごとに、PLLは、発振器の別の隣接する帯域の該FCWを生成するさらなる制御入力を該テーブルに記憶するようにさらに構成される。
【0013】
一態様において、本教示のPLLは、デジタルPLLである。このような態様において、PLLの発振器は、粗デジタル制御入力および微デジタル制御入力を受信するように構成されたデジタル制御発振器(DCO)であってもよく、第1の制御入力閾値は微デジタル制御入力である。デジタルPLLに関して、フィルタは、デジタルフィルタであってもよい。
【0014】
本教示に関して、デジタルPLLを含むことができるこのようなPLLは、特に、周波数ランプ信号を生じさせるための周波数ランプ発生器および該周波数ランプ信号を送受信するための送受信機を備える周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置で有利に用いられ得る。
【0015】
これらのおよび他の特徴は、本教示の理解を当業者にもたらす以下の図面を参照してより良く理解されるであろうが、決して限定することを意図したものではない。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
多帯域発振器と、上記発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリとを備える、位相同期ループ(PLL)であって、
上記発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して上記発振器によって生成される周波数に対応する上記PLLの周波数制御ワード(FCW)を取得し、
上記第1の帯域に隣接する上記発振器の第2の帯域の上記FCWに対応する周波数を生成し、かつ
上記発振器に上記FCWに対応する上記周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、上記第2の制御入力を上記メモリに記憶するように構成されるキャリブレーションモードにおいて、上記PLLが動作可能である、位相同期ループ(PLL)。
(項目2)
上記PLLの通常の動作モードにおいて粗制御入力および微制御入力を上記発振器に提供するように構成されたフィルタをさらに備える、上記項目に記載のPLL。
(項目3)
上記フィルタが、上記PLLの上記キャリブレーションモードにおいて上記FCWを取得するために、上記PLLの入力に接続するようにさらに構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のPLL。
(項目4)
上記第1の制御入力閾値が、上記発振器の微制御入力である、上記項目のうちのいずれか1項に記載のPLL。
(項目5)
上記PLLが、上記発振器の帯域ごとに取得、生成、識別、および記憶を順次実施するように構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のPLL。
(項目6)
上記FCWの上記取得前に、上記PLLが上記制御入力を上記第1の制御入力閾値に設定するようにさらに構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のPLL。
(項目7)
上記発振器の帯域ごとに、上記PLLが、上記発振器の別の隣接する帯域の上記FCWを生成するさらなる制御入力を上記メモリに記憶するようにさらに構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のPLL。
(項目8)
上記PLLがデジタルPLLであり、上記発振器が粗デジタル制御入力および微デジタル制御入力を受信するように構成されたデジタル制御発振器(DCO)であり、上記第1のデジタル制御入力閾値が微デジタル制御入力である、上記項目のうちのいずれか1項に記載のPLL。
(項目9)
周波数ランプ信号を生じさせるように構成された周波数ランプ発生器と、上記周波数ランプ信号を送受信するように構成された送受信機とを備える、周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置であって、上記周波数ランプ発生器が、多帯域発振器と、上記発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリとを備える位相同期ループ(PLL)を有し、上記PLLが、
上記発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して上記発振器によって生成される周波数に対応する上記PLLの周波数制御ワード(FCW)を取得し、
上記第1の帯域に隣接する上記発振器の第2の帯域の上記FCWに対応する周波数を生成し、かつ
上記発振器に上記FCWに対応する上記周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、上記第2の制御入力を上記メモリに記憶するように構成されるキャリブレーションモードにおいて、上記PLLが動作可能である、周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置。
(項目10)
上記PLLが、上記PLLの通常の動作モードにおいて粗制御入力および微制御入力を上記発振器に提供するように構成されたフィルタをさらに備える、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目11)
上記フィルタが、上記PLLの上記キャリブレーションモードにおいて上記FCWを取得するために、上記PLLの入力に接続するようにさらに構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目12)
上記第1の制御入力閾値が、上記発振器の微制御入力である、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目13)
上記PLLが、上記発振器の帯域ごとに取得、生成、識別、および記憶を順次実施するように構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目14)
上記FCWの上記取得前に、上記PLLが、上記発振器の制御入力を上記第1の制御入力閾値に設定するようにさらに構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目15)
上記発振器の帯域ごとに、上記PLLが、上記発振器の別の隣接する帯域の上記FCWを生成するさらなる制御入力を上記テーブルに記憶するようにさらに構成される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目16)
上記PLLがデジタルPLLであり、上記発振器が粗デジタル制御入力および微デジタル制御入力を受信するように構成されたデジタル制御発振器(DCO)であり、上記第1のデジタル制御入力閾値が微デジタル制御入力である、上記項目のうちのいずれか1項に記載のFMCWレーダー装置。
(項目17)
上記項目のうちのいずれか1項に記載の上記周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置を備える、車両。
(項目18)
多帯域発振器を備える位相同期ループ(PLL)の周波数キャリブレーション方法であって、
上記発振器の制御入力を記憶するために、上記PLLのメモリにルックアップテーブルを提供することと、
上記発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して上記発振器によって生成される周波数に対応する上記PLLの周波数制御ワード(FCW)を取得することと、
上記第1の帯域に隣接する上記発振器の第2の帯域の上記FCWに対応する周波数を生成することと、
上記発振器に上記FCWに対応する上記周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、上記第2の制御入力を上記メモリに記憶することと、を含む、方法。
(項目19)
上記FCWを取得するために、上記PLLの入力と上記PLLのフィルタの出力とを接続することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
上記発振器が、粗制御入力および微制御入力を受信するように構成され、上記第1の制御入力閾値が微制御入力である、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
上記FCWの上記取得の前に、上記制御入力を上記第1の制御入力閾値に設定することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
上記取得、生成、識別、および記憶が、上記発振器の帯域ごとに順次実施される、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
上記発振器の帯域ごとに、上記発振器の別の隣接する帯域の上記FCWを生成するさらなる制御入力を上記ルックアップテーブルに記憶することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
上記PLLがデジタルPLLであり、上記発振器がデジタル制御発振器(DCO)であり、上記方法が粗デジタル制御入力および微デジタル制御入力を受信することを含み、上記第1のデジタル制御入力閾値が微デジタル制御入力である、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(摘要)
位相同期ループ(PLL)は、多帯域発振器と、その発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリとを備える。PLLは、発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して発振器によって生成される周波数に対応するPLLの周波数制御ワード(FCW)を取得し、該第1の帯域に隣接する発振器の第2の帯域の該FCWに対応する周波数を生成し、発振器に該FCWに対応する該周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、該第2の制御入力をメモリに記憶するようにPLLが構成される、キャリブレーションモードにおいて動作可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般に、本教示により提供される位相同期ループは、多帯域発振器およびその発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリを備える。このようなPLLは、発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して発振器によって生成される周波数に対応するPLLの周波数制御ワード(FCW)を取得して、該第1の帯域に隣接する発振器の第2の帯域の該FCWに対応する周波数を生成するようにPLLが構成されるキャリブレーションモードにおいて動作可能である。このキャリブレーションモードにおいて、このようなPLLは、発振器に該FCWに対応する該周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、該第2の制御入力をメモリに記憶するようにさらに構成される。
【0019】
このようなPLLは、特に、周波数ランプ信号を生じさせるための周波数ランプ発生器および該周波数ランプ信号を送受信するための送受信機を備える周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置に有利に用いられ得る。
【0020】
本教示のPLLは、比較的高い線形周波数ランプの生成をもたらす周波数キャリブレーションにより従来技術の問題を解決することができる。
【0021】
隣接する発振器帯域間の交差点における周波数差は、一般に、生成されたランプにおいて非線形性を生じさせるが、ここで多帯域発振器の制御入力を調整することによって補正される。制御入力の調整を可能にするために、多帯域発振器の帯域間の交差点または相当周波数点での発振器出力の周波数値を見出し、本教示によるPLLを使用して、隣接する発振器帯域の交差点で発振器出力周波数を効率的に見出すことが可能である。
【0022】
有利には、本教示によるPLLは、比較的高速、ロバスト、かつ正確な方法で多帯域発振器の帯域間の交差点を計算かつ記憶する可能性を提供する。本教示により、周波数ランプ生成における線形性を改善するために交差点を使用することが可能である。このため、周波数生成における線形性を改善することができ、帯域遷移におけるランプの線形性は、各帯域内部と同程度に良好であり得、これは特に自動車レーダーにおけるランプ生成に対して大きな利点である。
【0023】
具体的には、制御値がキャリブレーションモードにおいて見出されるまで、点検索により点をする代わりに、発振器の所定の第1の制御入力について、PLLループが周波数制御ワードに対してロックするように、本教示によるPLLは構成され得る。隣接する帯域のペアごとに同じ周波数を生成する発振器制御入力は、ルックアップテーブルに記憶される。その結果、本教示によれば、ランプが生成される場合、2つの隣接する帯域間で遷移が存在し、現用の発振器制御入力は、遷移を線形化するために次の帯域の相当記憶値で置換される。このように本教示によれば、キャリブレーション後のPLLの出力は、発振器帯域が交差する場合、周波数が著しく不連続性になることなく発振器同調レンジ全体にわたって有利に掃引することができる。
【0024】
有利には、本教示により提供されるPLLは、キャリブレーション回路の複雑性が低く、帯域あたり単一の制御入力のメモリ記憶能力のみを有するメモリを含むことができる。また、キャリブレーションは、オンザフライキャリブレーションが温度および電圧変化を補償するのに十分な速さであってもよい。
【0025】
有利には、本教示により提供されるPLLは、デジタルPLLである。このような構成において、有利には、発振器はデジタル制御発振器(DCO)であってもよい。DCOを有するデジタルPLLのこの特定のケースにおいて、DCOの制御入力はメモリに直接記憶することができるデジタルワードであり、デジタルPLLのFCWの取得およびDCOのデジタル制御入力の取得はより単純である。このようなデジタルPLLは、比較的高い線形周波数ランプの生成をもたらす、デジタル制御と周波数キャリブレーションとの組み合わせによって先行技術の実装と関連した問題を解決することができる。
【0026】
本教示によれば、多帯域発振器を備える位相同期ループの周波数キャリブレーション方法であって、発振器の少なくとも1つの制御入力を記憶するために、PLLのメモリにルックアップテーブルを提供することと、発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して発振器によって生成される周波数に対応するPLLの周波数制御ワード(FCW)を取得することと、該第1の帯域に隣接する発振器の第2の帯域の該FCWに対応する周波数を生成することと、発振器に該FCWに対応する該周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、該第2の制御入力を該ルックアップテーブルに記憶することと、を含む方法も提供される。
【0027】
一態様において、本教示による周波数キャリブレーション方法は、該FCWを取得するためにPLLの入力とPLLのフィルタの出力とを接続することを含む。
【0028】
一態様において、発振器は、粗制御入力および微制御入力を受信するように構成され、第1の制御入力閾値は微制御入力である。
【0029】
一態様において、周波数キャリブレーション方法は、FCWの該取得の前に、制御入力を該第1の制御入力閾値に設定することを含む。
【0030】
一態様において、取得、生成、識別、および記憶が、発振器の帯域ごとに順次実施される。
【0031】
一態様において、本教示による周波数キャリブレーション方法は、発振器の帯域ごとに、発振器の別の隣接する帯域の該FCWを生成するさらなる制御入力を該テーブルに記憶することをさらに含む。
【0032】
本教示により提供される周波数キャリブレーション方法は、デジタル制御発振器を有するデジタルPLLによって有利に実装することができる。
【0033】
PLLまたはデジタルPLLは、周波数ランプ信号を生じさせるための周波数ランプ発生器および該周波数ランプ信号を送受信するための送受信機を備える周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置に関して有利に用いることができる。ミリメートル波(mm波)周波数領域において動作する周波数変調連続波(FMCW)レーダーは、高解像度で物体の速度および位置を検出するための多数の用途で使用される。レーダー解像度は、透過波の周波数およびランプ信号の線形性に直接依存する。このため、広帯域および高線形周波数ランプを有するレーダーシステムは、正確な範囲の情報を提供することができる。
【0034】
例として、1GHzの帯域幅を有する77GHzのシステムは、数百メートルの距離での長距離検出に加えて短距離の高解像度レーダーシステムの両方に使用することができる。したがって、GHz範囲で動作するFMCWレーダーは、先進運転支援システム(ADAS)が一般的になりつつあり、最高の安全性の評価を実現するためにすぐに必要になり得る自動車用途に非常に適している。
【0035】
レーダー信号を生成するために使用されるVCOを有するPLLのパフォーマンス出力は、典型的に非線形である。このため、VCOの制御電圧が所望の線形変調ランプ出力勾配を確実に生じるように、特別な労力を要しなければならない。本教示による多帯域発振器を有するPLLまたはデジタルPLLは、このような状況において特定の有利な応用例を有する。
【0036】
本教示によれば、周波数ランプ信号を生じさせるための周波数ランプ発生器と該周波数ランプ信号を送受信するための送受信機とを備える周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置であって、周波数ランプ発生器が、多帯域制御発振器とその発振器の制御入力を記憶するように構成されたメモリとを備えるPLLを有し、PLLが、発振器の第1の帯域の第1の制御入力閾値に応答して発振器によって生成される周波数に対応するPLLの周波数制御ワード(FCW)を取得し、該第1の帯域に隣接する発振器の第2の帯域の該FCWに対応する周波数を生成し、かつ発振器に該FCWに対応する該周波数を生成させる第2の制御入力を識別して、該第2の制御入力をメモリに記憶するように構成されるキャリブレーションモードにおいて、PLLが動作可能である周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置も提供される。
【0037】
PLLは、PLLの通常動作において粗制御入力および微制御入力を該発振器に提供するように構成されたフィルタをさらに備えてもよい。
【0038】
一態様において、PLLの該キャリブレーションモードにおいて該FCWを取得するために、フィルタはPLLの入力に接続するようにさらに構成される。
【0039】
一態様において、第1の制御入力閾値は、該発振器の微制御入力である。
【0040】
一態様において、取得、生成、識別、および記憶が発振器の帯域ごとに順次実施される。
【0041】
一態様において、FCWの該取得の前に、PLLは、発振器の制御入力を該第1の制御入力閾値に設定するようにさらに構成される。
【0042】
さらに別の態様において、発振器の帯域ごとに、PLLは、発振器の別の隣接する帯域の該FCWを生成するさらなる制御入力を該テーブルに記憶するようにさらに構成される。
【0043】
有利には、別の態様において、PLLはデジタルPLLであり、発振器は粗デジタル制御入力および微デジタル制御入力を受信するように構成されたデジタル制御発振器(DCO)であり、第1のデジタル制御入力閾値は微デジタル制御入力である。
【0044】
したがって、本教示はまた、周波数ランプ信号を生じさせるための周波数ランプ発生器と、該周波数ランプ信号を送受信するための送受信機と、前述したようなPLLまたはデジタルPLLと、を備える周波数変調連続波(FMCW)レーダー装置を備える車両を提供することにも及ぶ。
【0045】
デジタルPLLは、一般に、本教示の方法を実施することができる種々の回路アーキテクチャを有することができ、デジタルPLLの2つの例は、E,Temporiti、C,Wu、D,Baldi、R,Tonietto、およびF,Svelto「A 3GHz fractional all−digital PLL with a 1.8MHz bandwidth implementing spur reduction techniques,」IEEE JSSC,Mar,2009に記載されていることが理解されよう。
【0046】
図1は、従来より直面する多くのランプ非線形性効果を克服する本教示による例示的なデジタルPLL1回路のブロックアーキテクチャ概略図を例証する。
【0047】
図1に示すように、デジタルPLL1回路は、一般に、多帯域デジタル制御発振器(DCO)2およびDCOのデジタル制御入力4Aを記憶するように構成されたメモリ3を備える。
【0048】
多帯域発振器は、一般に、発振器によって生じさせる出力信号の周波数帯域を決定する少なくとも1つの入力を含む。多帯域発振器は、一般に、動作パラメータのそれぞれのパラメータ値に応答して周波数範囲内で調整可能な周波数を有する出力信号を生成するように構成される。出力信号周波数は、一般に、所定の制御範囲内で入力制御信号に応答して各周波数範囲内で生成される。多帯域デジタル制御発振器の例は、W,Wu、X,Bai、R,B,Staszewski、およびJ,R,Long「A mm−wave FMCW radar transmitter based on a multirate ADPLL」,Proc,IEEE Radio Frequency Integr,Circuits Symp.,pp.107−110 2013に記載されている。
【0049】
より正確には、
図1に見られるように、デジタルPLL1回路は、基準周波数クロックCKR7のすべての立ち上がりエッジを有するデジタルPLL1回路の入力6で、周波数コマンドワードFCWを蓄積するように構成された位相アキュムレータ5をさらに備える。このようにして、基準位相信号8を生成することができる。基準位相信号8とフィードバック信号10との間の周波数差および位相差を検出するための位相周波数検出器(PD)9が提供され、これによりデジタル位相誤差信号11を生成することができる。回路は、デジタル位相誤差信号11により、DCO2にデジタル制御入力13、14を生成するためのデジタルフィルタループ12をさらに備えることができる。DCO2は、デジタルフィルタ12に連結され、デジタル制御入力4A、13、14に応答してDCO出力信号15を生成するように構成される。有利には、DCO2は、多帯域オンチップDCO、例えばデジタル回転進行波発振器(RTWO)であってもよい。
【0050】
デジタルPLL1回路は、DCO2からの出力信号17の立ち上がりエッジ数を計数することによってフィードバック信号10を生成するためのアキュムレータ16Bおよびラッチ16Aと、基準位相信号8からフィードバック信号10で減算される微小な補正信号ε[k]をDCO出力信号19から決定するように構成された時間デジタル変換器(TDC)18と、を備える位相アキュムレータをさらに含んでもよい。
【0051】
より具体的には、本教示によるデジタルPLL1の通常動作において、デジタル位相誤差信号11は、以下により詳細に説明するように、所望の周波数にDCO2を同調可能な粗デジタル制御入力13および微デジタル制御入力14を形成するために、デジタルループフィルタ12によってデジタル的にフィルタ処理される。
【0052】
図2は、通常モードの動作の間に提供されるFCWを置換するために、デジタルPLLの入力6がループ20を介してデジタルフィルタ12の微出力14に接続するように切り替えられるキャリブレーションモードの間の本教示によるデジタルPLL1を例証する。
【0053】
以下、
図3および4を参照して本教示によるデジタルPLL1のキャリブレーションアルゴリズムをより詳細に説明する。
【0054】
デジタル制御入力の調整を可能にするために、デジタルPLL1のキャリブレーションアルゴリズムは、交差点でのDCO出力周波数値をまず見出すように構成される。粗デジタル制御入力13、すなわち、例えば
図4に例証されるようなDCO2の第1の帯域nの第1の値nについて、DCO微デジタル制御入力14は、動作30で上側の所定の第1のデジタル制御入力閾値にまず設定される。次に、
図2に示すように、DCO帯域nの上側の所定の第1のデジタル制御入力閾値によりデジタルPLLループをロックするFCWnを動作32で取得するために、デジタルPLL1は、ループ20を介してデジタルフィルタ12をデジタルPLL入力6に接続することによって、動作31で再構成される。言い換えれば、取得したFCWnは、DCO2の帯域nの上側の所定のデジタル制御入力閾値に応答してDCO2によって生成される周波数に対応する。
【0055】
DCO2の第1の帯域nのためのFCWnが取得された後、
図1に示すように、デジタルPLL1は、動作33でデジタルフィルタ12がデジタルPLL入力6に接続されていないその通常の構成に戻される。次に、DCO帯域は、粗デジタル制御入力13の値を調整することによって、上側の第2の帯域n+1に動作34でインクリメントされ、デジタルPLL1に対する周波数入力FCWは、予め取得した値FCWnに動作35で固定されて、デジタルPLL1がDCO2 Fine n+1の対応する微デジタル制御入力14に対してロックすることができる。次に、デジタル制御入力Fine n+1は、対応するDCO帯域に関連するデジタルPLL1のメモリ3のルックアップテーブル3Aに動作36で記憶される。次に、FCWnの取得および微デジタル制御入力Fine n+1の記憶は、DCO2の帯域ごとに順次実施され、これによって、デジタルPLL1の全周波数範囲を網羅する。
【0056】
したがって、
図4によりよく見られるように、帯域nにおける上側の第1のデジタル制御入力閾値は、隣接する帯域n+1におけるデジタル制御入力Fine n+1と同じ周波数を生成することができる。言い換えれば、デジタル制御入力Fine n+1は、DCO2に帯域nに隣接するDCOの帯域n+1のFCWnに対応する周波数を生成させる。FCWnは、2つの隣接するDCO帯域nとn+1との交差点の周波数に対応する。
【0057】
有利には、第1のデジタル制御入力閾値は、単一の固定プログラマブル値であるために、DCO2のそれぞれの帯域あたり1つの微デジタル制御入力Fine n+1のみが記憶され、記憶量を減少して、本教示のデジタルPLL1のキャリブレーションを実施する。
【0058】
本教示のデジタルPLL1の通常の動作モードにおいて、キャリブレーションモードの間に取得された微デジタル制御入力Fine n+1は、帯域遷移でDCO2の微デジタル制御入力14を調整するために使用され、その結果線形ランプ、すなわち周波数が経時的に線形に増減する信号を生成する。
【0059】
ランプ信号を生成するデジタルPLL1の通常動作において、DCO帯域nに対応する粗デジタル制御入力13の値に対して、現用の微デジタル制御入力14が第1のデジタル制御入力閾値より高い場合、現用の微デジタル制御入力14は、第1のデジタル制御入力閾値と微デジタル制御入力Fine n+1を記憶したメモリとの差だけ減少されて、粗デジタル制御入力13は、上側の隣接するDCO帯域n+1に対応するn+1に対して1だけ増加される。これにより、帯域nにおける第1のデジタル制御入力閾値は、隣接する帯域n+1におけるデジタル制御入力Fine n+1と同じ周波数を生成するために、DCOの帯域を変化させる場合、ランプの周波数における連続性が保証される。
【0060】
他方では、DCO帯域n+1に対応する粗デジタル制御入力13の値n+1に対して、現用の微デジタル制御入力14がメモリ3に記憶された微デジタル制御入力Fine n+1より低い場合、現用の微デジタル制御入力14は、第1のデジタル制御入力閾値と微デジタル制御入力Fine n+1を記憶したメモリとの差だけ増加されて、粗デジタル制御入力13は、下側の隣接するDCO帯域nに対応するnに対して1だけ減少される。前述のように、DCOの帯域を変化させる場合、ランプの周波数における連続性を保証することができる。
【0061】
微デジタル制御入力Fine n+1のみがDCO帯域ごとに記憶される実装において、微デジタル制御入力14は、第1のデジタル制御入力閾値を通常、超えないために、周波数生成のための一部の範囲が失われることを理解されたい。上側および下側の両方の帯域の微デジタル制御入力を計算かつ記憶し、これによりメモリ消費およびキャリブレーション時間の両方を倍増する同じ原理を使用して、この範囲を増加することができる。このために、各帯域において、ここで上述するように、上側のデジタル制御入力閾値とは対照的に下側のデジタル制御入力閾値を設定することと、この下側の帯域において同じ周波数を生成する微デジタル制御入力を続いて取得するために、下側の帯域に変化させることとによって、FCWnを取得して、微デジタル制御入力を記憶するプロセスを繰り返すことができる。
【0062】
より具体的には、
図5に例証されるように、このようにDCO2の帯域nごとに、DCO微デジタル制御入力14は、下側の所定の第1のデジタル制御入力閾値に動作30で設定される。次に、DCO帯域nの下側の所定の第1のデジタル制御入力閾値によりデジタルPLLループをロックするFCWnを動作32で取得するために、デジタルPLL1は、ループ20を介してデジタルフィルタ12をデジタルPLL入力6に接続することによって、動作31で再構成される。その後、デジタルPLL1は、動作33でその通常の構成に戻され、次に、DCO帯域は、粗デジタル制御入力13の値を調整することによって、下側の第2の帯域n−1に動作34でデクリメントされ、デジタルPLL1に対する周波数入力FCWは、予め取得した値FCWnに動作35で固定されて、デジタルPLL1がDCO2Fine n−1の対応する微デジタル制御入力14に対してロックすることができる。次に、デジタル制御入力Fine n−1は、デジタルPLL1のメモリ3のルックアップテーブル3Aに動作36で記憶される。次に、FCWnの取得および微デジタル制御入力Fine n−1の記憶は、DCO2の帯域ごとに順次実施され、これによって、デジタルPLL1の全周波数範囲を網羅する。このため、
図5に示すように、帯域nにおける下側の第1のデジタル制御入力閾値は、上側の第1のデジタル制御入力閾値に関して上述したような対応する方法で、隣接する帯域n−1におけるデジタル制御入力Fine n−1と同じ周波数を生成する。デジタル制御入力Fine n−1は、DCO2に帯域nに隣接するDCOの帯域n−1のFCWnに対応する周波数を生成させる。FCWnは、2つの隣接するDCO帯域nとn−1との交差点の周波数に対応する。
【0063】
本教示のデジタルPLL1の別のキャリブレーションモードにおいて、PVT帯域に対するキャリブレーションを提供することができる。PVT帯域に対するキャリブレーションは、前述の粗帯域キャリブレーションと同様である。PVTキャリブレーションについて、第1の粗帯域閾値が設定されて、微制御が一定に保持される一方、FCWnが前述の再構成されたデジタルPLLキャリブレーションモードにおいて取得される。次に、デジタルPLL1は、その通常の動作モードに戻されて、PVT帯域は、インクリメントされるかまたはデクリメントされる。FCWは、記憶される第2の粗帯域値を取得するために、FCWnに設定される。この場合、第1のPVT帯域における第1の粗帯域値は、第2のPVT帯域における第2の粗値と同じ周波数を生成する。
【0064】
図6は、本教示によるPLLのPVT帯域に対するキャリブレーション方法を例証する。PVTキャリブレーションは、前述のデジタルPLL1を参照して説明されるが、PVTキャリブレーション方法は本教示による他のPLLに同様に適用されることが理解されよう。DCO2のPVT帯域mごとに、DCO粗デジタル制御入力14は、所定の第1のデジタル制御入力閾値に、動作600で設定される。次に、DCO2のPVT帯域mの所定の第1のデジタル制御入力閾値によりデジタルPLLループをロックするFCWmを動作602で取得するために、デジタルPLL1は、ループ20を介してデジタルフィルタ12をデジタルPLL入力6に接続することによって、動作601で再構成される。その後、デジタルPLL1は動作603でその通常の構成に戻され、次にDCO2のPVT帯域は下側の第2の帯域m−1に動作604でデクリメントされる。DCO2のPVT帯域もこの段階で上側の第2の帯域m+1に動作604でインクリメントされてもよいことが理解されよう。デジタルPLL1に対する周波数入力FCWは、予め取得した値FCWmに動作605で固定され、デジタルPLL1が、次にデジタルPLL1のメモリ3のルックアップテーブル3Aに動作606で記憶されるDCO2の対応する粗デジタル制御入力に対してロックすることができる。次に、FCWmの取得および粗デジタル制御入力の記憶は、DCO2のPVT帯域mごとに順次実施され、これによって、上側および下側の第1のデジタル制御入力閾値に関して上述したような対応する方法でデジタルPLL1の全PVT範囲を網羅する。このPVTキャリブレーションの間、微制御入力は、一定値に設定される。
【0065】
図7は、従来より直面する多くのランプ非線形性効果も克服する本教示による別の例示的なデジタルPLL41のブロックアーキテクチャ概略図を例証する。
【0066】
図7に示すように、デジタルPLL41回路は、一般に、多帯域デジタル制御発振器(DCO)42およびDCOのデジタル制御入力44Aを記憶するように構成されたメモリ43を備える。
【0067】
図7に見られるように、デジタルPLL41回路は、シグマ−デルタ変調器47において予め処理されたデジタルPLL41回路の入力46Aで周波数コマンドワードFCWfを蓄積して、蓄積信号を分周器48に提供するように構成された位相アキュムレータ45をさらに備える。分周器48は、DCO42からの出力信号50Bを分割することによって、位相周波数検出器(PD/TDC)49の位相信号50Aをさらに生成することができる。
【0068】
位相周波数検出器49は、基準位相信号50Aと入力アナログ周波数基準f
ref46Bとの間の周波数差および位相差を検出して、これによりデジタル位相誤差信号51を生成するように構成される。回路は、デジタル位相誤差信号51により、DCO42にデジタル微制御入力およびデジタル粗制御入力53、54を生成するためのデジタル低域フィルタ(LPF)52をさらに備えることができる。DCO42は、フィルタ52に連結され、制御入力53、54に応答して周波数のDCO出力信号55f
outを生成するように構成される。
【0069】
本教示のデジタルPLL41の通常動作において、
図1のデジタルPLL1に関して上述したような同様の方法で、所望の周波数にDCO42を同調可能にする粗デジタル制御入力53および微デジタル制御入力54を形成するために、デジタル位相誤差信号51は、デジタルループフィルタ52によってデジタル的にフィルタ処理される。
【0070】
図8は、通常モードの動作の間に提供されたFCWfを置換するために、ループ56を介してデジタルフィルタ52の微出力54に接続するように、デジタルPLL41の入力46Aが切り替えられるキャリブレーションモードの間の本教示による
図7のデジタルPLL41を例証する。
【0071】
当業者によって理解されるように、本教示によるデジタルPLL41のキャリブレーションアルゴリズムは、ここで
図3および4を参照して上述したデジタルPLL1のキャリブレーションアルゴリズムと同様の方法で実行することができる。本教示によるデジタルPLL41の動作モードが本教示によるデジタルPLL1の動作モードと同様であり、当業者は同様の利点を認識することが理解されよう。
【0072】
デジタルPLL41のキャリブレーションアルゴリズムにおいて、DCO42の粗デジタル制御入力53の第1の値nについて、DCO微デジタル制御入力54は、上側の所定の第1のデジタル制御入力閾値にまず設定される。次に、
図8に示すように、DCO帯域nの上側の所定の第1のデジタル制御入力閾値によりデジタルPLLループをロックするFCWを取得するために、デジタルPLL41は、ループ56を介してデジタルフィルタ52をデジタルPLL入力46Aに接続することによって、再構成される。
【0073】
DCO42の第1の帯域nのためのFCWが取得された後、
図7に示すように、デジタルPLL41はデジタルフィルタ52がデジタルPLL入力A46に接続されない、その通常の構成に戻される。次に、DCO帯域は、粗デジタル制御入力53の値を調整することによって、上側の第2の帯域n+1にインクリメントされ、デジタルPLL41に対する周波数入力FCWは、予め取得した値FCWに固定されて、デジタルPLL41がDCO42Fine n+1の対応する微デジタル制御入力54に対してロックすることができる。次に、デジタル制御入力Fine n+1は、対応するDCO帯域に関連するデジタルPLL41のメモリ43のルックアップテーブル43Aに記憶される。次に、FCWの取得および微デジタル制御入力Fine n+1の記憶は、DCO42の帯域ごとに順次実施され、これによって、デジタルPLL41の全周波数範囲を網羅する。
【0074】
本教示のデジタルPLL41の通常の動作モードにおいて、キャリブレーションモードの間に取得された微デジタル制御入力Fine n+1は、帯域遷移でDCO42の微デジタル制御入力54を調整するために使用され、これにより、線形周波数ランプを生成する。
【0075】
図9は、従来より直面する多くのランプ非線形性効果も克服する本教示による例示的なチャージポンプPLL61のブロックアーキテクチャ概略図を例証する。
【0076】
図9に示すように、PLL61回路は、一般に、多帯域電圧制御発振器62および発振器62の制御入力64Aを記憶するように構成されたメモリ63を備える。デジタル−アナログ変換器素子64Bは、メモリ63に記憶されたデジタル制御入力を変換して、発振器62に適切なアナログ制御入力を提供するために、メモリ63と発振器62との間に挿入される。
【0077】
前述のように、多帯域DCOの場合、多帯域発振器は、発振器によって生じさせる出力信号の周波数帯域を決定する少なくとも1つの入力を含む。
【0078】
より正確には、
図9に例証されるように、PLL61回路は、PLL61回路の入力で整数部FCWint76Aおよびシグマ−デルタ変調器65において予め処理された小数部FCWf76Bを有する周波数コマンドワードFCWを蓄積して、蓄積信号79を分周器68に提供するように構成された位相アキュムレータ67をさらに備える。分周器68は、発振器62からの出力信号77を分割することによって、基準位相信号70をさらに生成することができる。
【0079】
基準位相信号70と入力周波数基準ω
ref66との間の周波数差および位相差を検出するための位相周波数検出器(PD)69が提供され、これにより位相誤差信号71を生成することができる。回路は、位相誤差信号71により発振器62に制御入力73、74を生成させるためのフィルタループ72をさらに備えることができる。発振器62は、フィルタ72に連結することができて、制御入力64A、73、74に応答して周波数ω
outの発振器出力信号75を生成するように構成される。
【0080】
本教示によれば、デジタルPLL61の通常動作において、以下により詳細に説明するように、発振器62のデジタルワードとして、粗制御入力73および発振器62のアナログ電圧入力として、所望の周波数に発振器62を同調可能にする微制御入力74を形成するために、位相誤差信号71は、ループフィルタ72によってフィルタ処理される。
【0081】
図10は、通常モードの動作の間に提供されたFCW(FCWintおよびFCWf)を置換するために、ループ80を介してフィルタ72の微出力74に接続するように、PLL61の入力が切り替えられるキャリブレーションモードの間の本教示によるデジタルPLL61を例証する。有利には、アナログ−デジタル変換器素子78は、位相アキュムレータ67に入るデジタル信号に、アナログ電圧微出力74を変換するために、挿入されてもよい。
【0082】
本教示によるPLL61のキャリブレーションアルゴリズムは、
図3および4を参照して前述したデジタルPLL1回路のキャリブレーションアルゴリズムと同様であり、当業者によって容易に実装される。
【0083】
簡潔には、PLL61のキャリブレーションアルゴリズムは、交差点で発振器出力周波数値をまず見出すように構成される。粗制御入力73の第1の値nについて、発振器微制御入力74は、上側の所定の第1の制御入力閾値に動作30でまず設定される。次に、
図10に示すように、発振器帯域nの所定の第1の制御入力閾値によりPLLループをロックするFCWnを動作32で取得するために、デジタルPLL61は、アナログ−デジタル変換器素子78およびループ80を介してフィルタ72をPLL入力76A、76Bに接続することによって、動作31で再構成される。
【0084】
発振器62の第1の帯域nのためのFCWnが取得された後、
図9に示すように、デジタルPLL61は、フィルタ72がPLL入力76A、76Bに接続されないその通常の構成に動作33で戻される。次に、発振器帯域は、粗制御入力73の値を調整することによって、上側の第2の帯域n+1に動作34でインクリメントされ、PLL61に対する周波数入力FCWは、予め取得した値FCWnに動作35で固定されて、PLL61が発振器62Fine n+1の対応する微制御入力74にロックすることができる。次に、制御入力Fine n+1は、PLL61のメモリ63のルックアップテーブル63Aに動作36で記憶される。次に、FCWnの取得および微デジタル制御入力Fine n+1の記憶は、発振器62の帯域ごとに順次実施され、これによって、PLL61の全周波数範囲を網羅する。
【0085】
有利には、前述のデジタルPLLのキャリブレーションと同様の方法において、発振器62の各帯域あたり1つの微制御入力Fine n+1のみが記憶され、これにより、記憶量を減少させて、本教示のPLL61のキャリブレーションを実施する。
【0086】
本教示のPLL61の通常の動作モードにおいて、キャリブレーションモードの間に取得された微制御入力Fine n+1は、帯域遷移で発振器62の微制御入力74を調整するために使用され、これにより、線形ランプを生成する。
【0087】
本教示によるPLL61の動作モードが本教示によるデジタルPLL1の動作モードと同様であり、当業者は同様の利点を認識することが理解されよう。
【0088】
一般に、PLLは、ループフィルタタイプに応じて2つのモードで動作することができる。タイプIモードにおけるPLLは、ループフィルタに積分器を有さず、周波数におけるより速いレスポンスを可能にするが、出力周波数でのノイズが増加する。一方、タイプIIモードにおけるPLLは、より良好な信号を可能にするが、目標周波数へのトラッキング変化およびロッキングがより遅くなる。一態様において、上述のPLLのFCWの取得は、FCWを高速かつ正確に見出すために、タイプIモードにおいてデジタルPLL1、41、またはPLL61によって行われる。
【0089】
本教示により提供されるデジタルPLLまたはPLLは、多くの利点を提供することができることが理解されよう。キャリブレーションアルゴリズムおよびPLLメモリに記憶されるデジタル制御入力を使用して、発振器帯域遷移で周波数不連続性を調整することによって、高線形ランプをPLLによって生成することができる。
【0090】
本教示のキャリブレーションアルゴリズムが粗発振器帯域に適用される場合、バンクあたりのPVTが実質的に固定されると、帯域あたり単一のデジタル制御入力のメモリ記憶能力のみを有するキャリブレーションアルゴリズムを実装することができる。
【0091】
また、本PLLのキャリブレーションは、オンザフライキャリブレーションが温度および電圧変化を補償するのに十分な速さであり得る。
【0092】
例えば、本教示によるデジタルPLL1の実装において、キャリブレーションデータは、DCO帯域あたり16ビットのメモリ、または、16帯域に対して全部で256ビットを有するルックアップテーブルに記憶され、キャリブレーションのための時間は、バンクあたり5マイクロ秒または全部で640マイクロ秒であった。
【0093】
図11は、本願によるデジタルPLL110を組み込むFMCWレーダーシステム100を図式的に例証する。デジタルPLL110は、本明細書において述べられるデジタルPLLの原理および利点のいずれかに従って、実装することができる。FMCWレーダーシステム100は、本教示による多帯域発振器を有するPLLを代わりに組み込み、同様の目的を実現することができることが理解されよう。
【0094】
レーダーシステム100は、周波数ランプ信号を生じさせ、かつデジタルPLL110を備える周波数ランプ発生器101を備える。周波数ランプ発生器101は、該周波数ランプ信号を送受信するための送受信機102に接続される。レーダーシステム100はまた、受信した102によって、送受信される信号を比較するための比較器103も備える。送信信号105は、物体104によって跳ね返され、反射信号106として送受信機102に戻り、信号105、106の両方が、物体104とレーダーシステム100との間の距離dを決定するために使用される。
【0095】
特定の実施形態において、本教示のFMCWレーダーシステム100は、例えば先進運転支援システムの一部として、車両に含まれ得る。
【0096】
図12は、FMCWレーダーシステム100のデジタルPLL110によって生成されるランプ107の形態で変調される送信信号105の周波数fを示す、時間グラフに対する周波数を例証する。さらに
図12に例証されるように、受信信号106は、物体104(
図11)とレーダーシステム100(
図11)との間の距離d(
図11)を往復して伝わる信号の飛行時間に等しい時間tdによってシフトされる送信信号105と同じ変調を有する。ランプ107の周波数は、特定の周波数帯域の範囲内または周波数下限f0および周波数上限fmを画定するいわゆる掃引周波数fsと呼ばれる帯域幅108の範囲内で変動する。例えば、本レーダーシステムの実装において、下限f0は、77GHzおよび帯域幅4GHzであってもよい。
【0097】
有利には、本願によるデジタルPLL110は、送信信号105と反射信号106との間の周波数差fb(いわゆる、うなり周波数)は、経時的に一定のままであることを意味する線形ランプ107を生成する。それにより、式1によって表されるように、うなり周波数fbおよび距離dと、c光の速度およびts掃引時間との間の直接的な関連性を可能にする。
【数1】
【0098】
周波数ランプの非線形性がうなり周波数fbの誤差測定を生じさせ、不十分なレーダー解像度をもたらすことが容易に考えられる。本願に説明したキャリブレーションアルゴリズムのために、本教示の出力デジタルPLLは、帯域が交差する場合、周波数が著しく不連続性になることなくDCO同調レンジにわたって掃引することができ、これにより、高線形ランプ、ひいては物体103の位置および高レーダー解像度の正確な決定が提供される。
【0099】
しかしながら、本教示の趣旨およびまたは範囲から逸脱することなく、修正することができる場合、いずれか1つの一連の利点または特徴に対して本教示を限定することを意図しない。
【0100】
本教示によるデジタルPLLまたはPLLは、種々の電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例としては、消費者向け電子製品、消費者向け電子製品の部品、車両用電子システム、電子レーダーシステム、電子試験装置、無線通信インフラなど、ならびに光ネットワークまたは他の通信ネットワークの回路およびディスク駆動回路を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0101】
文脈上異なる解釈を要する場合を除き、説明および特許請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、および「含む(including)」などは、排他的または網羅的な意味ではなく、包含的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味に解釈される。本明細書において一般に使用される場合、単語「連結される」または「接続される」は、直接的に接続され得るか、または1つ以上の中間要素を介して接続され得る2つ以上の要素を意味する。さらに、本願で使用される場合、単語「本明細書において」、「上記」、「下記」、および類似の趣旨の単語は、全体としての本願を意味するものであり、本願の任意の特定部分を意味するものではない。文脈上可能な場合、単数または複数を使用する単語はそれぞれ、複数または単数も含むことができる。2つ以上の項目のリストに関する単語「または」は、単語の以下の解釈、リストの項目のいずれか、リストの項目のすべて、およびリストの項目の任意の組み合わせのすべてを網羅することを意図する。本明細書において提供されるすべての数値は、測定誤差内で同様の値を含むことを意図する。
【0102】
本明細書において提供される教示は、必ずしも上記の回路ではない他のシステムに適用することができる。上記の種々の実施形態または態様の要素および作用は、さらなる実施形態または態様を提供するために組み合わせることができる。本明細書において述べられる方法の作用は、必要に応じて、任意の順で実施することができる。また、本明細書において述べられる方法の作用は、必要に応じて、連続的にまたは並行して実施することができる。
【0103】
特定の実施形態または態様が説明されるが、これらの実施形態または態様は単なる一例として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際、本明細書において説明される新規の方法および回路は、様々な他の形態で具体化することができる。また、本明細書において説明される方法および回路の形態における種々の省略、代用、および変更は、本開示の趣旨を逸脱することなく行うことができる。添付の請求の範囲およびそれらの等価物は、本開示の範囲および趣旨に含まれるような、このような形態または修正を網羅することを意図する。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照することによって規定される。