特許第6286488号(P6286488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286488
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】線巻取り機構付き移動プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   B25J19/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-138362(P2016-138362)
(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公開番号】特開2018-8341(P2018-8341A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】514150181
【氏名又は名称】大銀微系統股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HIWIN MIKROSYSTEM CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】卓永財
(72)【発明者】
【氏名】周▲き▼斌
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−65087(JP,A)
【文献】 実開昭56−161926(JP,U)
【文献】 特開平8−39477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
H02G 11/00 − 11/02
B23Q 1/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所在の空間に、固定位置である仮想の基準点を定義する固定台と、
前記固定台に変位可能に結合されており、連接部を有し、且つ前記固定台に対して移動するときに、前記連接部と前記基準点との相対的な距離が同期変化する自在台と、
前記固定台に設けられており、転動部材を有する巻取り機構と、
前記転動部材に巻き付けられており、一端が前記連接部と連接し、他端が前記基準点の所在位置に対応する線と、
を含む線巻取り機構付き移動プラットフォームにおいて、
前記自在台が前記固定台に対して移動して、前記連接部と前記基準点との距離が変化するときに、前記線の前記巻取り機構から放出される長さは、前記巻取り機構の前記線に対する巻取り又は放出によって相対的に変化し、
前記転動部材は、更に、一つの第1シャフトと、二つの第2シャフトとを含み、前記二つの第2シャフトは前記第1シャフトに平行し、前記線は前記各第2シャフトの周面に交錯に巻き付けられていることを特徴とする線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項2】
前記巻取り機構は前記固定台に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項3】
前記巻取り機構は、前記固定台に変位自在に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項4】
前記転動部材は、一つの第1転動体と、二つの第2転動体とを有し、前記第1転動体は、前記第1シャフトを幾何中心とし、前記第1シャフトを中心として回転可能であり、前記二つの第2転動体は、それぞれ二つの前記第2シャフトを幾何中心とし、互いに距離を置いて前記第1転動体の軸方向の端面に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項5】
二つの前記第2転動体は、それぞれ二つの前記第2シャフトを中心として回転可能であることを特徴とする、請求項4に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項6】
前記巻取り機構は、更に、弾性部材を含み、前記弾性部材の一端は前記転動部材と連接することを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項7】
前記基準点は前記巻取り機構に位置することを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項8】
前記基準点は前記固定台に位置することを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【請求項9】
前記線は、ケーブル、電線、光ファイバー、エアチューブ、水管又はオイルチューブであることを特徴とする、請求項1に記載の線巻取り機構付き移動プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動プラットフォームに関し、特に、線巻取り機構付き移動プラットフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動プラットフォームなどの一般的な自動化機器は、設定されるストロークを自動的に操作するため、重複の運動により、ケーブルを損壊する可能性がある。ケーブルを保護するために、従来は、弾性を有しながら良い強度を有するスリーブを採用し、又は保護チェーンを採用していた。スリーブを採用する場合には、伸縮と屈折との変形能力がより弱いため、適用可能な範囲が制限される。なお、保護チェーンを採用する場合には、伸縮と屈折との変形能力がより強いため、移動プラットフォームへの適用が広汎となり、ケーブルを良く保護することが可能である。
【0003】
しかしながら、従来の保護チェーンは、変形しているときに、チェーンの相対的な移動による機器表面との接触とにより、騒音の音量が大きく、そして、チェーンの重量により、移動時に振動が発生しやすい。騒音は人体の健康に悪影響を与え、また、移動時の振動により、加工の精度に悪影響を与えるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、移動プラットフォームの線を巻取り可能で、且つ保護可能であり、移動プラットフォームの周囲の環境が簡潔となり、騒音及び振動が発生しない線巻取り機構付き移動プラットフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、所在の空間に固定位置である仮想の基準点を定義する固定台と、
固定台に変位可能に結合されており、連接部を有し、固定台に対して移動するときに、連接部と基準点との相対的な距離が同期変化する自在台と、
固定台に設けられており、転動部材を有する巻取り機構と、
転動部材に巻き付けられており、一端が連接部と連接し、他端が基準点の所在位置に対応する線と、
を含む線巻取り機構付き移動プラットフォームにおいて、
自在台が固定台に対して移動して、連接部と基準点との距離が変化するときに、線の巻取り機構から放出される長さは、巻取り機構の線に対する巻取り又は放出によって相対的に変化することを特徴とする。
【0006】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、巻取り機構は固定台に固定されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、巻取り機構は、固定台に変位自在に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、転動部材は、更に、一つの第1シャフトと、二つの第2シャフトとを含み、二つの第2シャフトは第1シャフトに平行し、線は各第2シャフトの周面に交錯に巻き付けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、転動部材は、一つの第1転動体と、二つの第2転動体とを有し、第1転動体は、第1シャフトを幾何中心とし、第1シャフトを中心として回転可能であり、二つの第2転動体は、それぞれ二つの第2シャフトをそれぞれ幾何中心とし、互いに距離を置いて第1転動体の軸方向の端面に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、二つの第2転動体は、それぞれ二つの第2シャフトを中心として回転可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、巻取り機構は、更に、弾性部材を含み、弾性部材の一端は転動部材と連接することを特徴とする。
【0012】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、基準点は巻取り機構に位置することを特徴とする。
【0013】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、基準点は固定台に位置することを特徴とする。
【0014】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによると、線は、ケーブル、電線、光ファイバー、エアチューブ、水管、又はオイルチューブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の線巻取り機構付き移動プラットフォームによれば、移動プラットフォームの線を巻取り可能であり、且つ保護可能であり、移動プラットフォームの周囲の環境が簡潔となり、騒音及び振動が発生しないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの組合せ済み状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームを示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの線の長さが自在台の変位に従って変化する状態を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの巻取り機構を示す分解斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの巻取り機構を示す断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの巻取り機構の線を巻き取る動作を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの巻取り機構の線を放出する動作を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの組合せ済み状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの組合せ済み状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォームの動作を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照する。本実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォーム10は、説明を便利にするために、本発明の主な技術的特徴に関する技術内容だけを説明し、その他の関連の付属技術は、本発明に属する技術分野の周知な知識を有する業者が既に周知であるため、説明は省略する。
【0019】
線巻取り機構付き移動プラットフォーム10は、固定台20と、自在台30と、巻取り機構40と、線50とを含む。
【0020】
固定台20は、台座本体21と、二つのレール22とを有する。台座本体21は、ほぼ立方状を呈する。レール22は、互いに平行し、台座本体21の上面に固定されている。
【0021】
自在台30は、載置台31と、多数のスライドブロック32と、連接部33とを有する。載置台31は、ブロック状を呈する。各スライドブロック32は、各レール22にスライド可能に設けられており、載置台31に固定されている。スライドブロック32により、載置台31は各レール22の長手方向に沿って直線的に往復に変位可能である。一方、連接部33は、載置台31の一側に位置し、台座本体21から延び、外部の周知なコネクタと電気的に接続するためのものである。
【0022】
巻取り機構40は、台座本体21の一側に固定されている。巻取り機構40は、自在台30の往復動の始点に隣接し、線を巻き取るための回転可能な転動部材41を有することが好ましい。
【0023】
本実施形態では、線50は、電子的信号を伝送する多数の並列する電線51を採用する。電線51は、巻取り機構40の転動部材41に巻き取られる。各電線51は、一端が連接部33と電気的に接続し、他端が巻取り機構40の内部に位置し、巻取り機構40に設けられているコネクタ60と電気的に接続する。
【0024】
コネクタ60は、固定の技術手段により、固定台20との相対的な位置が間接的に固定される。これにより、固定台20の位置が固定されるため、コネクタ60の所在位置に位置する仮想の基準点を定義可能である。
【0025】
これにより、自在台30が各レール22を往復移動するときに、図3に示すように、連接部33とコネクタ60との相対的な位置が変化され、巻取り機構40により、線50の放出される長さは同期変化し、連接部33とコネクタ60との間の距離の増減に対応する。このように、本発明の目的を達成可能である。
【0026】
本実施形態に係る巻取り機構40は、図4から図7に示すように、転動部材41は、第1シャフトと第2シャフトとを形成するためのものである。これにより、部品は、第1シャフトを中心として公転可能であり、第2シャフトを中心として個別に自転可能である。
【0027】
具体的には、転動部材41は、第1転動体411と、二つの第2転動体412とを有する。第1転動体411は、一端がピン状を呈し、且つ第1シャフトを構成し、他端が片状を呈する。二つの第2転動体412は、それぞれピン状を呈し、互いに距離を置いて平行し、第1転動体411の軸方向の他端に間接的に設けられている。これにより、各第2転動体412のピンがそれぞれ第2シャフトを構成すると同時に、各第2転動体412と第1転動体411との間の距離が同じであり、線50は各第2シャフト412の周面に交錯して巻き付けられている。
【0028】
これにより、図6に示すように、転動部材41が第1シャフトを中心として回転して巻き取るときに、各第2シャフト412の間に線50が持続的に巻き取られ、線50の巻取り機構40の外部の長さを減少可能である。
【0029】
なお、図7に示すように、転動部材41が第1シャフトを中心として回転して放出するときに、巻取り機構40から線50が持続に放出され、線50の巻取り機構40の外部の長さを増加可能である。
【0030】
線50を巻き取り又は放出する過程中に、線50と第2転動体412との接触による抵抗を減少するため、両者の接触状態を転動接触又は低摩擦力のスライド接触にすることが可能である。本実施形態では、両者の接触状態を転動接触にする。すなわち、転動部材41は、更に、二つの転動ブッシュ413を含む。転動ブッシュ413は、チューブ状を呈し、各第2転動体412を嵌め、嵌められる第2転動体412と線50との間に介在する。これにより、線50と第2転動体412とが相対的に移動するときには、各転動ブッシュ413が回転するため、線50の移動時の抵抗を減少可能であり、線50の巻取りや放出はスムーズとなる。
【0031】
外力を受けないときに線50が常に巻取り状態にあることを維持するために、巻取り機構40は、更に、うず巻ばねのような弾性部材42を有する。弾性部材42は、一端が転動部材41と連接し、他端が巻取り機構40のケース43に固定されている。弾性部材42により、図6に示すように、線50を巻き取るときの弾力が提供される。自在台30が移動するときに、線50の巻取り機構40に加える力は、弾性部材42の弾力を克服して、図7に示すように、線50を放出可能である。
【0032】
また、各レール22のガイド方向が、三次元移動方向において、重力方向と同じなZ軸の方向である場合には、巻取り機構40により、線巻取り機構付き移動プラットフォーム10が線50を巻き取って保護可能である。線巻取り機構付き移動プラットフォーム10によれば、従来の弾性付きチューブによってケーブルを保護する構造のように、ケーブルの突出量が機器の全高を超えることによる空間的な制限の問題を解決可能である。
【0033】
上記の説明から明らかなように、線巻取り機構付き移動プラットフォーム10は、巻取り機構40により、自在台30の位置の変化に応じて、線の放出する長さを変化可能であるため、線巻取り機構付き移動プラットフォーム10の周りのチューブや線が適当に整列されて簡潔となり、ぶら下がるチューブや線により作業が妨害されることを回避可能であり、また、従来のものによる騒音及び振動も防止可能である。
【0034】
(第2の実施形態)
一方、上記の実施形態のように、巻取り機構40にコネクタ60を結合する他、図8に示す線巻取り機構付き移動プラットフォーム10aのように、台座本体21aの一端にコネクタ60aを固定することにより、コネクタ60aは巻取り機構40aの外部で独立に存在してもよい。すなわち、達成可能な効果を影響しなければ、コネクタ60aを適当の箇所に固定して、外部の電線と電気的に接続してもよい。
【0035】
(第3の実施形態)
図9及び図10を参照する。本実施形態に係る線巻取り機構付き移動プラットフォーム10bは、巻取り機構40bが固定台20bにスライド可能に設けられており、載置台31bと同じ方向に沿って直線的に往復移動が可能であり、線50bの両端がそれぞれ巻取り機構40bから放出されることも可能である。これにより、線50bの両端は、同期に巻取り、又は放出することが可能であることにより、線50bの巻取り及び放出のストロークを減少可能であり、線50bと他の部材との摩擦の距離を減少可能である。このように、線50bを保護する目的を達成可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、移動プラットフォームに適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10,10a,10b 線巻取り機構付き移動プラットフォーム
20 固定台
21,21a,21b 台座本体
22 レール
30 自在台
31,31b 載置台
32 スライドブロック
33 連接部
40,40a,40b 巻取り機構
41 転動部材
42 弾性部材
43 ケース
50,50b ケーブル
51 電線
60a,60 コネクタ
411 第1転動体
412 第2転動体
413 転動ブッシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10