(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2溝部は、前記給排弁を流れる空気量が前記ピストンの移動に関わらず一定となるときに前記突起部が接するように前記ピストンに形成されることを特徴とする請求項1に記載のレベリングバルブ。
前記第2溝部は、前記ピストンの移動量に対する前記給排弁を流れる空気量の変化度合が、前記第1溝部に前記突起部が接するときよりも前記第2溝部に前記突起部が接するときの方が小さくなるように前記ピストンに形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のレベリングバルブ。
前記第2溝部は、前記ピストンが前記一方向へ移動したときに前記突起部が当接し、前記ピストンが前記他方向へ移動することを規制する第1規制面と、前記ピストンが前記他方向へ移動したときに前記突起部が当接し、前記ピストンが前記一方向へ移動することを規制する第2規制面と、を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載のレベリングバルブ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係るレベリングバルブ100の概要について説明する。
【0022】
レベリングバルブ100は、鉄道車両の車体と台車との間に設けられる空気ばねの伸縮を調整して、台車に対する車体の高さを一定に維持するものである。
【0023】
レベリングバルブ100は、
図1に示すように、車体1側に取り付けられ、レバー4と連結棒5とを介して台車2に連結される。車体1の荷重変化により空気ばね3が伸縮して車体1の高さが変化すると、この変化が連結棒5及びレバー4を介してレベリングバルブ100に伝達される。
【0024】
車体荷重が増加して空気ばね3が収縮した場合、すなわち、台車2に対する車体1の高さが規定の高さよりも低くなった場合には、レバー4が
図1に示される中立位置から上方(
図1の矢印A方向)に押し上げられる。このようにレバー4が上方に変位すると、空気ばね3に連通する空気ばね通路6と圧縮空気を供給する空気圧源としてのコンプレッサ7に連通する供給通路9とがレベリングバルブ100内において連通される。これにより、コンプレッサ7から空気ばね3へ圧縮空気が供給され、空気ばね3は伸長する。空気ばね3が伸長したことで台車2に対する車体1の高さが規定の高さになると、レバー4が中立位置に戻り、空気ばね3への圧縮空気の供給が停止される。
【0025】
一方、車体荷重が減少して空気ばね3が伸長した場合、すなわち、台車2に対する車体1の高さが規定の高さよりも高くなった場合には、レバー4が中立位置から下方(
図1の矢印B方向)に引き下げられる。このようにレバー4が下方に変位すると、空気ばね通路6と排気通路8とがレベリングバルブ100内において連通される。排気通路8は一端が大気に開放されているため、空気ばね3内の圧縮空気は大気へと排出され、空気ばね3は収縮する。空気ばね3が収縮したことで台車2に対する車体1の高さが規定の高さになると、レバー4が中立位置に戻り、空気ばね3からの圧縮空気の排出が停止される。
【0026】
このように、レベリングバルブ100は、台車2に対する車体1の相対変位に伴って回動するレバー4の回動方向に応じて空気ばね通路6を供給通路9又は排気通路8に選択的に連通させている。これにより、車体1と台車2との間に生じた相対変位が減少し、台車2に対する車体1の高さは規定の高さに維持される。
【0027】
次に、
図2及び
図3を参照して、レベリングバルブ100の構成について説明する。
図2は、レベリングバルブ100の軸方向の断面図であり、
図3は、
図2のIII−III線に沿うレベリングバルブ100の径方向の断面図である。
【0028】
レベリングバルブ100は、空気ばね通路6,供給通路9及び排気通路8が内部に形成されるハウジング10と、ハウジング10内に摺動自在に収容されるピストン20と、台車2に対する車体1の相対変位量をピストン20に伝達するロータ30と、ピストン20の移動方向に応じて空気ばね通路6を供給通路9又は排気通路8に選択的に連通させる給排弁40と、を備える。
【0029】
ハウジング10は、ピストン20が収容される収容孔11aが第1中心軸O1に沿って貫通して形成されるメインケース11と、メインケース11の一方の側面に取り付けられ収容孔11aの一方の開口を閉塞する第1キャップ部材12と、メインケース11の他方の側面に取り付けられ、収容孔11aと同心の貫通孔13bが貫通して形成される第2キャップ部材13と、を有する。第1キャップ部材12と第2キャップ部材13とは、図示しないボルトを介してメインケース11に取り付けられる。また、図示しないボルトを介してメインケース11が車体1に取り付けられることでハウジング10は車体1に対して固定される。
【0030】
メインケース11及び第1キャップ部材12には、空気ばね通路6を構成する通路11c,11d,12aがそれぞれ形成される。これらの通路11c,11d,12aによって、空気ばね3は給排弁40と連通する。また、メインケース11及び第2キャップ部材13には、供給通路9を構成する通路11e,13aがそれぞれ形成される。これらの通路11e,13aによって、コンプレッサ7は給排弁40と連通する。なお、空気ばね通路6は、第1キャップ部材12を通ることなく、メインケース11のみに形成されていてもよい。同様に、供給通路9は、メインケース11を通ることなく、第2キャップ部材13のみに設けられていてもよい。
【0031】
また、メインケース11には、
図3に示されるように、収容孔11aに対して径方向外側に開口する凹部11bが形成される。ハウジング10は、この凹部11bを覆ってメインケース11に取り付けられるカバー部材14をさらに備える。カバー部材14がメインケース11に取り付けられることにより、ロータ30が収容される収容空間15が画定される。
【0032】
カバー部材14には、収容空間15と外部とを連通する連通孔14aが形成される。連通孔14aは、給排弁40と外部とを連通させる排気通路8として機能する。連通孔14aには、外部からの異物の侵入を防止するためにフィルタ16が設けられる。
【0033】
給排弁40は、一端側がメインケース11の収容孔11aに挿入され他端側が第2キャップ部材13の貫通孔13bに挿入される筒状の弁ケース41と、一端側がピストン20に固定され他端側が弁ケース41内に挿入されるバルブロッド42と、弁ケース41内に配置される弁体等と、により構成される。給排弁40の具体的な構成について、以下に説明する。
【0034】
弁ケース41は、収容孔11a内に挿入される第1円筒部41aと、第2キャップ部材13内に挿入される第2円筒部41cと、第1円筒部41aと第2円筒部41cとの間に設けられ、第1円筒部41a及び第2円筒部41cよりも外径が大きく外周面に雄ねじが形成されたフランジ部41bと、を有する。弁ケース41は、収容孔11aの開口部に形成された雌ねじ部11fにフランジ部41bが螺合されることで、メインケース11に固定される。メインケース11から突出した第2円筒部41cを覆うようにして第2キャップ部材13がメインケース11に固定されることで、第2キャップ部材13によってフランジ部41bがメインケース11から抜け出ることが規制される。この結果、弁ケース41がメインケース11から外れることが防止される。
【0035】
また、弁ケース41の内部には、第1円筒部41a側に開口しバルブロッド42が挿入される第1挿入孔41dと、第1挿入孔41dに連続して形成され、第1挿入孔41dよりも内径が大きい第2挿入孔41eと、第1挿入孔41dと第2挿入孔41eとの接続部に形成される段差部41fと、が設けられる。第2挿入孔41eは、第2円筒部41c側で開口しており、第2挿入孔41eの開口端には、円柱状のプラグ48が挿入固定される。このように、第2挿入孔41eの開口端は、プラグ48によって閉塞される。
【0036】
段差部41fの内周寄りの部分には、第1中心軸O1を中心とする環状の第1弁座部41gがプラグ48側に向かって突出して形成される。また、段差部41fに対向するプラグ48の端面には、第1中心軸O1を中心とする環状の第2弁座部48aが段差部41f側に向かって突出して形成される。プラグ48には、一端が第2弁座部48aの内周側において開口し、他端がプラグ48の外周面において開口する通路48bが設けられる。
【0037】
第2挿入孔41e内には、第1弁座部41gに離着座する円盤状の弁体43と、第2弁座部48aに離着座する円盤状のチェック弁体44と、弁体43を第1弁座部41gに向けて付勢するとともにチェック弁体44を第2弁座部48aに向けて付勢するスプリング45と、が設けられる。つまり、スプリング45の付勢力によって、第1弁座部41gに弁体43が着座し、第2弁座部48aにチェック弁体44が着座すると、第2挿入孔41e内の空間は閉塞された状態となる。弁体43は、外周面において第2挿入孔41eに摺動支持されるとともに、外周面に設けられた図示しない切欠部を通じて弁体43で仕切られる空間同士を連通している。チェック弁体44も弁体43と同様に図示しない切欠部を通じてチェック弁体44で仕切られる空間同士を連通している。
【0038】
弁ケース41には、第2キャップ部材13に形成される通路13aとプラグ48に形成される通路48bとを連通する通路41hが形成される。コンプレッサ7から吐出された圧縮空気は、これらの通路11e,13a,41h,48bを通じて、チェック弁体44の上流に導かれる。
【0039】
チェック弁体44は、チェック弁体44の上流側の圧力、すなわち、コンプレッサ7側の圧力が、チェック弁体44の下流側の圧力よりも高いときには、スプリング45の付勢力に抗して第2弁座部48aから離間し、供給通路9と第2挿入孔41e内の空間とを連通させる。反対に、コンプレッサ7側の圧力がチェック弁体44の下流側の圧力よりも低いときには、チェック弁体44は、第2弁座部48aに着座し、供給通路9と第2挿入孔41e内の空間との連通を遮断する。このようにチェック弁体44は、弁体43に向かう流れのみを許容する逆止弁として機能する。
【0040】
バルブロッド42は、棒状部材であり、弁ケース41により摺動自在に支持される摺動部42aと、摺動部42aよりも外径が小さく形成され、ピストン20に挿入固定される固定部42bと、を有する。
【0041】
摺動部42aには、弁ケース41内に挿入される側の端面42cにおいて開口する非貫通孔42dと、非貫通孔42d内の空間と収容孔11a内の空間とを連通する複数の貫通孔42eと、が形成される。つまり、非貫通孔42d内の空間は、貫通孔42e,収容孔11a,収容空間15及び連通孔14aを通じて、外部と連通する。
【0042】
バルブロッド42の端面42cは、弁体43に対して離接可能であり、端面42cが弁体43に接しているとき、非貫通孔42dの開口端は弁体43によって閉塞される。
【0043】
また、バルブロッド42には、弁ケース41に挿入される先端の外周に大径部42fが形成されるとともに、大径部42fに連続して大径部42fより小径の小径部42gが形成される。これに対して、弁ケース41の第1挿入孔41dには、大径部42fに対向する位置に縮径部41iが設けられ、小径部42gに対向する位置に拡径部41jが設けられる。大径部42fと縮径部41iとの間には、環状隙間が形成される。
【0044】
この環状隙間を流れる空気流には、第1中心軸O1方向における環状隙間の流路長、すなわち、第1中心軸O1方向において大径部42fと縮径部41iとが重なり合う長さに応じた流路抵抗が付与される。ここで、大径部42fと縮径部41iとが重なり合う長さは、弁ケース41に対するバルブロッド42の変位量に応じて変化する。つまり、弁ケース41に対するバルブロッド42の変位が比較的小さく環状隙間の流路長が長い場合は空気が流れにくくなり、弁ケース41に対するバルブロッド42の変位が比較的大きく環状隙間の流路長が短い場合は空気が流れやすくなる。
【0045】
また、弁ケース41には、拡径部41jにおいて第1挿入孔41dに開口するとともに弁ケース41の外周面において開口し、第1挿入孔41d内の空間を、空気ばね通路6を構成する通路11cと連通させる貫通孔41kが複数形成される。つまり、第1挿入孔41dとバルブロッド42の外周面により囲まれる空間は、貫通孔41k及び通路11c,12a,11dを通じて、常時、空気ばね3と連通する。
【0046】
上記構成の給排弁40によれば、バルブロッド42の端面42cが弁体43に接するとともに、弁体43が第1弁座部41gに着座しているときには、空気ばね通路6と供給通路9との連通、及び空気ばね通路6と排気通路8との連通が遮断された状態となる。
【0047】
一方、バルブロッド42が弁ケース41に進入する方向(
図2の矢印C方向)に移動し、バルブロッド42の端面42cが弁体43に接した状態で弁体43が第1弁座部41gから離座すると、空気ばね通路6と供給通路9とが連通し、空気ばね通路6と排気通路8との連通が遮断された状態となる。
【0048】
反対に、バルブロッド42が弁ケース41から退出する方向(
図2の矢印D方向)に移動し、バルブロッド42の端面42cが弁体43から離れ、弁体43が第1弁座部41gに着座しているときには、空気ばね通路6と供給通路9との連通が遮断され、空気ばね通路6と排気通路8とが連通された状態となる。
【0049】
このように、給排弁40は、弁ケース41に対するバルブロッド42の移動に応じて、空気ばね通路6に対して供給通路9又は排気通路8を選択的に連通させるとともに、空気ばね通路6に対する供給通路9及び排気通路8の連通を遮断することが可能である。
【0050】
続いて、バルブロッド42を移動させるピストン20と、台車2に対する車体1の相対変位量をピストン20に伝達するロータ30について説明する。
【0051】
ピストン20は、バルブロッド42の固定部42bが挿通する貫通孔20aが中央に形成された円筒状部材であり、収容孔11aによって第1中心軸O1方向に摺動自在に支持される。ピストン20の外周面の一部には、
図3に示すように、断面形状が半月状のガイド溝21がピストン20の摺動方向(第1中心軸O1方向)に対して直交する方向に所定の幅を持って形成される。また、ピストン20にはその両側を連通する図示しない流路が形成される。これにより、ピストン20が第1中心軸O1方向に移動する際に、収容孔11a内の空気はこの流路を通じて移動することが可能である。
【0052】
ロータ30は、円筒状の本体部31と、本体部31の一方の端部から突出して形成され、本体部31の外径よりも小さな二面幅を有する四角柱状のボス部32と、本体部31の他方の端部に設けられたフランジ部33と、フランジ部33の外周面から径方向外側に向かって突出して形成されたアーム部34と、を有する。
【0053】
ロータ30は、
図3に示すように、カバー部材14に設けられた軸受17,18を介して、支持孔14bにより本体部31が支持される。このように、ロータ30は、第1中心軸O1と直交する方向に延びる第2中心軸O2を中心として回動自在にハウジング10により支持される。
【0054】
また、ロータ30の回動中心である第2中心軸O2からオフセットしたロータ30のアーム部34には、突起部としてのピン35が設けられる。ピン35は、一端側がアーム部34に圧入され、他端側がアーム部34から突出した状態で取り付けられる。アーム部34から突出したピン35の他端側は、ロータ30がハウジング10に組み付けられた状態で、
図3に示すように、ピストン20のガイド溝21内に挿入される。
【0055】
ボス部32は、
図1に示すように、レバー4に形成された嵌合穴4aに嵌合される。したがって、レバー4の回動に伴ってボス部32が回動すると、アーム部34に圧入されたピン35は、第2中心軸O2を中心として、
図2に示す矢印Eまたは矢印Fの方向に移動する。ピン35はピストン20のガイド溝21に接しているため、ロータ30の回動は、ピン35を介してピストン20に伝達され、ピストン20はピン35の移動に伴って収容孔11a内を第1中心軸O1方向(
図2の矢印C,Dの方向)に移動する。
【0056】
次に、ピン35が接するピストン20のガイド溝21について説明する。
【0057】
ガイド溝21は、
図4Aに示すように、ピン35の径とほぼ同じ幅に形成される第1溝部22と、第1溝部22に連続して形成され、第1溝部22よりもピストン20の摺動方向(第1中心軸O1方向)における幅が大きい第2溝部23と、を有する。第1溝部22は、台車2に対する車体1の相対変位が比較的小さいとき、すなわち、ロータ30の回動量が小さいときにピン35が接する位置に形成され、第2溝部23は、台車2に対する車体1の相対変位が比較的大きいとき、すなわち、ロータ30の回動量が大きいときにピン35が接する位置に形成される。
【0058】
第1溝部22は、ピストン20の摺動方向(第1中心軸O1方向)に対して直交して延びる第1供給側壁22aと、ピストン20の摺動方向において第1供給側壁22aに対向して設けられる第1排出側壁22bと、の二つの壁面を有する。ロータ30の回動に応じて第1供給側壁22aにピン35が押し付けられると、ピストン20及びバルブロッド42は、空気ばね通路6と供給通路9とを連通させる方向に移動する。一方、ロータ30の回動に応じて第1排出側壁22bにピン35が押し付けられると、ピストン20及びバルブロッド42は、空気ばね通路6と排気通路8とを連通させる方向に移動する。第1供給側壁22aと第1排出側壁22bとの間の間隔は、ピン35の径とほぼ同じに設定される。このため、ピン35が第1溝部22にあるとき、ピン35は、第1供給側壁22aと第1排出側壁22bとの両方に接触した状態となる。
【0059】
第2溝部23は、第1溝部22の幅よりも大きい所定の大きさの幅で形成された拡幅部24と、第1溝部22から拡幅部24に向かって徐々に幅が大きくなる幅変化部25と、を有する。
【0060】
拡幅部24は、ピストン20の摺動方向(第1中心軸O1方向)に対して直交して延びる第2供給側壁24aと、ピストン20の摺動方向において第2供給側壁24aに対向して設けられる第2排出側壁24bと、の二つの壁面を有する。第2供給側壁24aと第2排出側壁24bとの間の間隔は、第1供給側壁22aと第1排出側壁22bとの間の間隔よりも大きく設定される。
【0061】
幅変化部25は、第1供給側壁22aと第2供給側壁24aとを接続する供給側接続壁25aと、第1排出側壁22bと第2排出側壁24bとを接続する排出側接続壁25bと、を有する。供給側接続壁25aと排出側接続壁25bとの間の間隔は、第1溝部22から拡幅部24に向かって徐々に大きくなるように設定される。
【0062】
このように、第2供給側壁24aと第2排出側壁24bとの間の間隔、及び、供給側接続壁25aと排出側接続壁25bとの間の間隔は、第1供給側壁22aと第1排出側壁22bとの間の間隔よりも大きく、すなわち、ピン35の径よりも大きく設定される。このため、ピン35が第2溝部23にあるとき、ピン35は、ピストン20の摺動方向において対向する何れか一方の壁面のみに接触した状態となる。
【0063】
以上のように構成されたレベリングバルブ100の基本的な動作について説明する。
【0064】
車体荷重が増加して空気ばね3が収縮した場合、すなわち、台車2に対する車体1の高さが規定の高さよりも低くなった場合には、レバー4が中立位置から上方(
図1の矢印A方向)に押し上げられる。レバー4が上方に変位するのに伴ってレバー4に連結されたロータ30は、第2中心軸O2を中心として、
図2における矢印E方向に回動し、ロータ30のアーム部34に設けられたピン35も矢印E方向に移動する。ピン35の移動は、ガイド溝21を介してピストン20に伝達されるため、ピストン20は、ピン35の移動に伴って、
図2における中立位置Nから矢印C方向へと移動する。
【0065】
ピストン20が矢印C方向に移動することで、ピストン20に連結されたバルブロッド42は、スプリング45の付勢力に抗して弁体43を第1弁座部41gから離間させる。この結果、供給通路9と空気ばね通路6とが連通する。具体的には、通路11e,13a,41h,48bを通り、チェック弁体44と第2弁座部48aとの間を通過して第2挿入孔41e内の空間に流入したコンプレッサ7から吐出された圧縮空気は、弁体43と第1弁座部41gとの間及び大径部42fと縮径部41iとの間を通過し、貫通孔41k及び通路11c,12a,11dを通って空気ばね3に供給される。
【0066】
このとき、バルブロッド42の端面42cは、弁体43に押圧されているため、非貫通孔42dの開口端は弁体43によって閉塞される。つまり、ピストン20が中立位置Nから矢印C方向に移動すると、第1弁座部41gと弁体43とで構成される供給弁が開放状態になって供給通路9と空気ばね通路6とが連通し、弁体43とバルブロッド42の端面42cとで構成される排出弁が閉鎖状態になって排気通路8と空気ばね通路6とが遮断された状態になる。
【0067】
このように、供給通路9と空気ばね通路6とが連通すると、コンプレッサ7からの圧縮空気が供給通路9及び空気ばね通路6を通じて空気ばね3に供給され、空気ばね3は伸長する。空気ばね3が伸長することで、台車2に対する車体1の高さが高くなり、それに伴ってレバー4も中立位置に近づく。レバー4が中立位置に近づくにつれて、ピストン20も
図2における中立位置Nに向かって矢印D方向に移動し、やがて、車体1の高さが規定の高さになると、ピストン20は中立位置Nに至る。このとき、弁体43は第1弁座部41gに着座するため供給弁は、閉鎖状態となる。この結果、供給通路9と空気ばね通路6との連通が遮断され、空気ばね3への圧縮空気の供給が停止される。
【0068】
これに対して、車体荷重が減少して空気ばね3が伸長した場合、すなわち、台車2に対する車体1の高さが規定の高さよりも高くなった場合には、レバー4が中立位置から下方(
図1の矢印B方向)に引き下げられる。レバー4が下方に変位するのに伴ってレバー4に連結されたロータ30は、第2中心軸O2を中心として、
図2における矢印F方向に回動し、ロータ30のアーム部34に設けられたピン35も矢印F方向に移動する。ピン35の移動は、ガイド溝21を介してピストン20に伝達されるため、ピストン20は、ピン35の移動に伴って、
図2における中立位置Nから矢印D方向へと移動する。
【0069】
ピストン20が矢印D方向に移動することで、ピストン20に連結されたバルブロッド42の端面42cは、弁体43から離間する。この結果、空気ばね通路6と排気通路8とが連通する。具体的には、空気ばね3内の圧縮空気は、通路11d,12a,11c及び貫通孔41kを通り、大径部42fと縮径部41iとの間及び弁体43と端面42cとの間を通過し、非貫通孔42d内に流れ込み、さらに、貫通孔42e,収容孔11a,収容空間15及び連通孔14aを通じて、大気へ放出される。
【0070】
このとき、弁体43はスプリング45の付勢力によって第1弁座部41gに押圧されているので、第2挿入孔41e内の空間と、大径部42fと縮径部41iとの間の環状隙間と、は遮断された状態になる。つまり、ピストン20が中立位置Nから矢印D方向に移動すると、弁体43とバルブロッド42の端面42cとで構成される排出弁が開放状態になって空気ばね通路6と排気通路8とが連通し、第1弁座部41gと弁体43とで構成される供給弁が閉鎖状態になって供給通路9と空気ばね通路6との連通が遮断された状態になる。
【0071】
このように、空気ばね通路6と排気通路8とが連通すると、空気ばね3内の圧縮空気が空気ばね通路6及び排気通路8を通じて大気に放出され、空気ばね3は収縮する。空気ばね3が収縮することで、台車2に対する車体1の高さが低くなり、それに伴ってレバー4も中立位置に近づく。レバー4が中立位置に近づくにつれて、ピストン20も
図2における中立位置Nに向かって矢印C方向に移動し、やがて、車体1の高さが規定の高さになると、ピストン20は中立位置Nに至る。このとき、バルブロッド42の端面42cは弁体43に当接するため排出弁は、閉鎖状態となる。この結果、空気ばね通路6と排気通路8との連通が遮断され、空気ばね3からの圧縮空気の排出が停止される。
【0072】
このようにして、レベリングバルブ100は、台車2に対する車体1の相対変位に伴って回動するレバー4の回動方向に応じて、空気ばね3をコンプレッサ7又は大気に選択的に連通させて、台車2に対する車体1の高さが規定の高さとなるように調整する。
【0073】
続いて、ロータ30の回動角αに対するピストン20の移動量Sの変化について、
図4〜6を参照して説明する。
図4Aから
図4Fは、ピストン20のガイド溝21の部分を中心に示した図であり、ロータ30の回動に伴ってピストン20の移動量Sがどのように変化するかを示している。また、
図5は、ロータ30の回動角αに対するピストン20の移動量Sの変化を示したグラフであり、
図6は、ピストン20の移動量Sに対して給排弁40を流れる空気量Qの変化を示したグラフである。
【0074】
まず、台車2に対する車体1の高さが規定の高さから徐々に低下することでピストン20の移動量Sがどのように変化するのかについて説明する。
【0075】
台車2に対する車体1の高さが規定の高さにあるとき、
図4Aに示されるように、レバー4の変位に応じて回動するロータ30の回動角αはゼロとなり、ピストン20は、中立位置Nに位置した状態となる。このとき、ガイド溝21内に挿入されたピン35は、第1溝部22の第1供給側壁22aと第1排出側壁22bとに接触した状態となり、ピストン20の位置を中立位置Nに保持するように機能する。このように、台車2に対する車体1の高さが規定の高さにあり、台車2に対する車体1の相対変位量がゼロ、すなわち、ロータ30の回動角αがゼロのときのピストン20の移動量Sは、
図5にも示されるように、ゼロとなる。
【0076】
また、この状態では、弁体43にはバルブロッド42の端面42cが当接しており、弁体43はスプリング45の付勢力によって第1弁座部41gに押圧されている。つまり、空気ばね通路6は、排気通路8及び供給通路9との連通が遮断されている。このため、給排弁40を流れる空気量Qは、
図6に示されるようにゼロとなる。
【0077】
台車2に対する車体1の高さが規定の高さから僅かに低下すると、
図4Bに示されるように、ロータ30は第2中心軸O2を中心として矢印E方向に回動し、ロータ30の回動角αは第1回動角α1となる。このとき、ロータ30の回動に伴って移動するピン35は、第1溝部22の第1供給側壁22aに押し付けられた状態となる。このように第1供給側壁22aにピン35が押し付けられることでロータ30の回動がピン35を介してピストン20に伝達され、結果として、ピストン20は中立位置Nから第1距離S1だけ矢印Cの方向へと移動する。
【0078】
なお、この状態においてピン35は、第1溝部22の第1供給側壁22aと第1排出側壁22bとの両壁面に接した状態にある。このため、台車2に対する車体1の相対変位量がわずかに変化する場合であっても、この相対変位量の変化はピン35を介してピストン20に伝達される。つまり、ピン35が第1溝部22内にある限り、ピストン20の移動量Sは、
図5に示されるように、ロータ30の回動角αに対して正弦波状に比例して応答性よく変化することとなる。
【0079】
また、ピストン20が矢印Cの方向へと移動すると、ピストン20とともに移動するバルブロッド42によって、弁体43は、第1弁座部41gから離間する方向へと押圧される。この結果、供給通路9と空気ばね通路6とが連通し、空気ばね3に圧縮空気が供給される状態となる。
【0080】
ここで、弁ケース41に対するバルブロッド42の移動量が小さいと、上述のように、大径部42fと縮径部41iとが第1中心軸O1方向において重なり合う長さが長い状態となる。このため、ピストン20の移動量Sが比較的小さい間、例えば、第1距離S1に至るまでは、
図6に示されるように、圧縮空気が流れにくくなり、給排弁40を流れる空気量Qの変化度合も抑制される。このように、台車2に対する車体1の相対変位量が比較的小さいときは、空気ばね3に対して給排される圧縮空気の流量が微量となるため、規定の高さへの微調整が可能となる。
【0081】
台車2に対する車体1の高さがさらに低下し、
図4Cに示されるように、ロータ30の回動角αが第1回動角α1よりも大きい第2回動角α2になると、ピン35は、第1溝部22の第1供給側壁22aと第2溝部23の幅変化部25の供給側接続壁25aとの境界付近に至る。ロータ30の回動角αが第1回動角α1から第2回動角α2に変化する間も、ピン35は、第1供給側壁22aに押し付けられるため、ピン35の移動に伴ってピストン20は、中立位置Nから第1距離S1よりも離れた第2距離S2だけ矢印C方向へと移動する。
【0082】
このように、ピストン20が第2距離S2まで移動すると、弁ケース41に対するバルブロッド42の移動量が大きくなるため、ピストン20が第1距離S1にあるときと比較して、大径部42fと縮径部41iとが重なり合う長さは短くなる。このため、ピストン20の移動量Sが第2距離S2に達するまでの間、給排弁40を流れる圧縮空気に付与される抵抗は徐々に小さくなり、
図6に示されるように、給排弁40を流れる空気量Qは、ピストン20の移動量Sの増加とともに増加する。つまり、台車2に対する車体1の相対変位量が比較的大きいときは、空気ばね3に対して給排される圧縮空気の流量が台車2に対する車体1の相対変位量に応じて大きく変化するため、規定の高さへの収束性を高めることができる。
【0083】
台車2に対する車体1の高さがさらに低下し、
図4Dに示されるように、ロータ30の回動角αが第2回動角α2よりも大きい第3回動角α3になると、ピン35は、第2溝部23の幅変化部25の供給側接続壁25aに押し付けられた状態になる。また、
図4E及び
図4Fに示されるように、台車2に対する車体1の高さがさらに低下してロータ30の回動角αが第3回動角α3よりも大きい第4回動角α4や第4回動角α4よりも大きい第5回動角α5になると、ピン35は、第2溝部23の拡幅部24の第2供給側壁24aに押し付けられた状態になる。
【0084】
ここで、第2溝部23の幅が第1溝部22と同じ幅で形成されていた場合、すなわち、ガイド溝21が互いに平行な一対の壁面で形成されていた場合、ピストン20の移動量Sは、
図5において破線で示されるように、ロータ30の回動角αに比例して正弦波状に単調増加する。
【0085】
これに対して、本実施形態では、第2溝部23の幅が第1溝部22よりも大きく形成されているため、
図4D〜
図4Fに示されるように、ピン35が第2溝部23内に至り、供給側接続壁25aや第2供給側壁24aに押し付けられてもピストン20の移動量Sは単調に増加し続けることなく、
図5において実線で示されるようにある程度の大きさに制限される。
【0086】
このように、本実施形態に係るレベリングバルブ100では、ロータ30の回動角αが所定値(移行回動角αL)を超えたときに、第1溝部22よりも幅が大きい第2溝部23にピン35が接する構成としたことで、ピストン20が移動する範囲が大幅に制限される。ピストン20の移動範囲が小さくなると、ピストン20と当接するおそれがある弁ケース41や第1キャップ部材12をピストン20に対してより近い位置に配置させることが可能となり、ピストン20の移動方向におけるレベリングバルブ100の全長を短縮させることができる。つまり、ピストン20の移動量がロータ30の回動角αに比例して単調増加する場合と比較して、ピストン20の移動範囲が小さい本実施形態では、ピストン20の移動方向におけるレベリングバルブ100の全長を大幅に短縮させることが可能となる。さらに、レベリングバルブ100の全長が短くなることで、レベリングバルブ100の重量を軽減させることができるとともに、車体1に対するレベリングバルブ100の搭載性を向上させることができる。
【0087】
また、給排弁40を流れる空気量Qは、
図6に示されるように、ピストン20の移動量Sが所定量を超えるとほぼ一定となる。これは、大径部42fと縮径部41iとが第1中心軸O1方向において重なり合わなくなると、弁体43と第2挿入孔41eとの間の流路やハウジング10内に形成された他の通路の断面積等によって給排弁40を流れる空気量Qが制限されるためである。
【0088】
このように、給排弁40を流れる空気量Qがほぼ一定となる領域では、ピストン20の移動量Sを変化させても空気ばね3に対して給排される圧縮空気の流量はほとんど変化しない。したがって、給排弁40を流れる空気量Qがピストン20の移動量Sに関わらずほぼ一定となる領域、すなわち、ピストン20が移動しても給排弁40を流れる空気量Qが変化しない領域に至った段階でピストン20の移動量Sが制限されれば、レベリングバルブ100としての機能を損なうことなく、レベリングバルブ100の全長を短縮することが可能となる。
【0089】
このため、本実施形態に係るレベリングバルブ100では、給排弁40を流れる空気量Qがピストン20の移動量Sに関わらずほぼ一定となるときに、ピン35が第2溝部23に接するように、第1溝部22に対する第2溝部23の位置が設定される。より具体的には、
図6に示すように、給排弁40を流れる空気量Qが所定の基準空気量QLになるときのピストン20の移動量Sを制限移動量SLとし、
図5に示すように、ピストン20の移動量Sが制限移動量SLに達するときのロータ30の回動角αを移行回動角αLとすると、ロータ30の回動角αが移行回動角αLを超えたときにピン35が第2溝部23に接するように、第1溝部22に対する第2溝部23の位置が設定される。
【0090】
また、給排弁40を流れる空気量Qの変化度合の大きさからみると、ピストン20の移動量Sがゼロから第2移動量S2の間にあるときのように、ピストン20の移動量Sに対する空気量Qの変化度合が比較的大きい領域は、レベリングバルブ100の機能を発揮するために重要な領域である。一方、ピストン20の移動量Sが第2移動量S2を超え、ピストン20の移動量Sに対する空気量Qの変化度合が非常に小さい領域はレベリングバルブ100の機能の発揮にあまり影響を及ぼす領域ではない。
【0091】
したがって、第1溝部22にピン35が接するときよりも第2溝部23にピン35が接するときの方が、ピストン20の移動量Sに対する給排弁40を流れる空気量Qの変化度合が小さくなるように、第1溝部22に対する第2溝部23の位置を設定することで、レベリングバルブ100としての機能を十分に発揮させつつ、レベリングバルブ100の全長を短縮することが可能となる。
【0092】
なお、第2溝部23の幅は第1溝部22の幅よりも大きく形成されているため、例えば、
図4D〜
図4Fに示されるように、ピン35が第2溝部23内にあるとき、ピストン20は、図中の矢印Cの方向にさらに移動可能である。しかしながら、上述のように、ピン35が第2溝部23内にあるときは、給排弁40を流れる空気量Qがほぼ最大となっているため、ピストン20が矢印Cの方向にさらに移動したとしてもレベリングバルブ100の機能に影響を及ぼすことはない。
【0093】
しかし、ピストン20が矢印Cと反対の方向に移動してしまうと、給排弁40を流れる空気量Qが低下し、台車2に対する車体1の高さの調整が緩慢になるおそれがある。これに対して、本実施形態では、第2溝部23の拡幅部24の第2供給側壁24aと幅変化部25の供給側接続壁25aがピン35に当接することでピストン20が矢印Cと反対の方向へ移動することが規制される。このように、第2供給側壁24aと供給側接続壁25aとが第1規制面として機能するため、上述のように給排弁40を流れる空気量Qが低下することが防止される。
【0094】
なお、台車2に対する車体1の高さが規定の高さから徐々に上昇した場合のピストン20の移動量Sの変化については、台車2に対する車体1の高さが規定の高さから低下する場合に対して、ピストン20の移動方向が反対方向(
図2の矢印Dの方向)であり、給排弁40によって連通されるのが空気ばね通路6と排気通路8とである点で異なるだけであり、ピストン20の移動量Sは、
図5に示すように変化し、また、給排弁40を流れる空気量Qは、
図6に示すように変化する。このため、その説明を省略する。また、この場合、第2溝部23の拡幅部24の第2排出側壁24bと幅変化部25の排出側接続壁25bとは、ピン35と当接することでピストン20が矢印Dと反対の方向に移動することを規制する第2規制面として機能する。
【0095】
以上の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0096】
レベリングバルブ100では、台車2に対する車体1の相対変位量に応じて回動するロータ30の回動角αが所定値を超えると、ロータ30に結合されたピン35が、第1溝部22よりもピストン20の摺動方向における幅が大きい第2溝部23に接する。このため、ピストン20の移動量Sは、ロータ30の回動角α、すなわち、台車2に対する車体1の相対変位量に比例して単調増加することなく、ある程度の大きさに制限される。この結果、ピストン20の移動方向におけるレベリングバルブ100の全長が短縮され、レベリングバルブ100の重量を軽減させることができるとともに、車体1に対するレベリングバルブ100の搭載性を向上させることができる。
【0097】
なお、レベリングバルブ100では、第2溝部23の拡幅部24の第2供給側壁24aが第1溝部22の第1供給側壁22aと平行に形成され、第2溝部23の拡幅部24の第2排出側壁24bが第1溝部22の第1排出側壁22bと平行に形成されているため、ピストン20の移動量Sは、
図5において実線で示されるように、一旦、制限移動量SLに達してから緩やかに減少した後、また比例的に増加する。
【0098】
これに代えて、第2供給側壁24a及び第2排出側壁24bを湾曲させて形成することで、ピストン20の移動量Sが制限移動量SLに達してから一定の移動量Sとなるようにしてもよい。この場合、ピストン20の移動量Sが抑制される範囲において、給排弁40を流れる空気量Qを一定量とすることができる。但し、第2溝部23を湾曲させて形成すると、加工時間が長くなり製造コストが上昇するため、製造コストを抑制させるためには、
図4Aに示すように、第2供給側壁24aと第2排出側壁24bとを平行に形成することが好ましい。
【0099】
また、レベリングバルブ100では、第1溝部22の第1供給側壁22aに対して第1中心軸O1方向に所定距離だけ離れた位置に第2溝部23の拡幅部24の第2供給側壁24aが設けられるとともに、第1溝部22の第1排出側壁22bに対して第1中心軸O1方向に所定距離だけ離れた位置に第2溝部23の拡幅部24の第2排出側壁24bが設けられることで、第2溝部23の幅が第1溝部22の幅よりも大きくなっている。これに代えて、第2供給側壁24aを第1供給側壁22aと面一に形成するか、あるいは、第2排出側壁24bを第1排出側壁22bと面一に形成することで、第1中心軸O1方向の何れか一方側へ第2溝部23の幅を第1溝部22の幅より大きくしてもよい。この場合も、第1中心軸O1方向の何れか一方側へのピストン20の移動量Sが抑制されるため、結果として、レベリングバルブ100の全長を短縮させることができる。
【0100】
また、レベリングバルブ100では、第2溝部23にピン35が接するときのロータ30の回動角αである移行回動角αLは、基準空気量QLに基づいて設定されている。これに限定されず、移行回動角αLは、ピストン20の移動量Sが制限されれば、どのような大きさの角度でもよく、例えば、第2回動角α2よりも小さい角度であってもよい。
【0101】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0102】
レベリングバルブ100は、空気ばね3と連通する空気ばね通路6が形成されたハウジング10と、ハウジング10に形成された収容孔11a内に摺動自在に収容されるピストン20と、ハウジング10により回動自在に支持され、台車2に対する車体1の相対変位量に応じて回動しピストン20を移動させるロータ30と、ロータ30の回動に伴ってピストン20が中立位置Nから一方向(矢印C方向)へ移動すると空気ばね3とコンプレッサ7とを連通させ、ロータ30の回動に伴ってピストン20が中立位置Nから他方向(矢印D方向)へ移動すると空気ばね3と大気とを連通させる給排弁40と、を備え、ピストン20は、外周に形成され摺動方向に対して直交する方向に延びるガイド溝21を有し、ロータ30は、第2中心軸O2からオフセットした位置においてピストン20に向かって突出し先端がガイド溝21に挿入されるピン35を有し、ガイド溝21は、ロータ30の回動角αが所定値(移行回動角αL)以下のときにピン35が接する第1溝部22と、第1溝部22に連続して形成され、第1溝部22よりもピストン20の摺動方向における幅が大きく、ロータ30の回動角αが所定値(移行回動角αL)を超えるときにピン35が接する第2溝部23と、を有することを特徴とする。
【0103】
この構成によれば、台車2に対する車体1の相対変位量に応じて回動するロータ30の回動角αが所定値(移行回動角αL)を超えると、ロータ30に結合されたピン35が、第1溝部22よりもピストン20の摺動方向における幅が大きい第2溝部23に接する。このため、ピストン20の移動量Sは、ロータ30の回動角α、すなわち、台車2に対する車体1の相対変位量に比例して単調増加することなく、ある程度の大きさに制限される。この結果、ピストン20の移動方向におけるレベリングバルブ100の全長が短縮され、レベリングバルブ100の重量を軽減させることができるとともに、車体1に対するレベリングバルブ100の搭載性を向上させることができる。
【0104】
また、第2溝部23は、給排弁40を流れる空気量Qがピストン20の移動に関わらず一定となるときにピン35が接するようにピストン20に形成されることを特徴とする。
【0105】
この構成によれば、給排弁40を流れる空気量Qがピストン20の移動に関わらず一定となるとき、ピン35は第2溝部23に接する。つまり、ピストン20が移動しても給排弁40を流れる空気量Qが変化しない領域に至った段階でピストン20の移動量Sが制限される。給排弁40を流れる空気量Qがほぼ一定となる領域では、ピストン20の移動量Sを変化させても空気ばね3に対して給排される圧縮空気の流量はほとんど変化しない。したがって、レベリングバルブ100としての機能を損なうことなく、レベリングバルブ100の全長を短縮することが可能となる。
【0106】
また、第2溝部23は、ピストン20の移動量Sに対する給排弁40を流れる空気量Qの変化度合が、第1溝部22にピン35が接するときよりも第2溝部23にピン35が接するときの方が小さくなるようにピストン20に形成されることを特徴とする。
【0107】
この構成によれば、第1溝部22にピン35が接するときよりも第2溝部23にピン35が接するときの方が、ピストン20の移動量Sに対する給排弁40を流れる空気量Qの変化度合が小さくなる。つまり、この構成では、ピストン20の移動量Sに対する給排弁40を流れる空気量Qの変化度合が比較的小さい領域においてピストン20の移動量Sが制限される。ピストン20の移動量Sに対する給排弁40を流れる空気量Qの変化度合が小さい領域では、ピストン20の移動量Sを変化させても空気ばね3に対して給排される圧縮空気の流量はほとんど変化しない。したがって、レベリングバルブ100としての機能を損なうことなく、レベリングバルブ100の全長を短縮することが可能となる。
【0108】
また、第2溝部23は、ピストン20が一方向(矢印C方向)へ移動したときにピン35が当接し、ピストン20が他方向(矢印D方向)へ移動することを規制する第2供給側壁24a及び供給側接続壁25aと、ピストン20が他方向(矢印D方向)へ移動したときにピン35が当接し、ピストン20が一方向(矢印C方向)へ移動することを規制する第2排出側壁24b及び排出側接続壁25bと、を有することを特徴とする。
【0109】
この構成によれば、第2供給側壁24a及び供給側接続壁25aがピン35に当接することでピストン20が矢印C方向と反対の方向へ移動することが規制され、第2排出側壁24b及び排出側接続壁25bがピン35に当接することでピストン20が矢印D方向と反対の方向へ移動することが規制される。このように、給排弁40を流れる空気量Qが低下する方向にピストン20が変位することが規制されるため、台車2に対する車体1の高さの調整が緩慢になることを防止することができる。
【0110】
また、第2供給側壁24aと第2排出側壁24bとは、互いに平行に形成されることを特徴とする。
【0111】
この構成によれば、第2供給側壁24aと第2排出側壁24bとは、互いに平行に形成される。このように、ガイド溝21の形状が簡素化されることでガイド溝21の加工が容易になるため、第2溝部23が設けられる場合であっても、レベリングバルブ100の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。