(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を具体化した一実施形態について、
図1〜
図5に基づき説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、単に「径方向」及び「周方向」という場合は、
図2にて一点鎖線で示す回転軸線Sを中心とする「径方向」及び「周方向」であるものとする。また、回転軸線Sの延びる方向(
図2では左右方向)を「軸線方向」といい、「軸線方向における一方側(
図2における左側)」のことを「前側」というとともに、「軸線方向における他方側(
図2における右側)」のことを「後側」というものとする。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のダンパ装置11は、エンジンなどの動力源から出力されるトルクの伝達経路において上流から下流に向けて順に配置される、第1のダンパ部20、第2のダンパ部30を備えている。すなわち、第2のダンパ部30は第1のダンパ部20に直列的に接続されており、第2のダンパ部30には第1のダンパ部20から出力されたトルクが入力される。こうした第2のダンパ部30には、入力されたトルク変動に伴う振動を減衰する機能を有する動吸振器40が連結されている。したがって、本実施形態では、第2のダンパ部30が、「第2及び第1のダンパ部のうち何れか一方のダンパ部」に相当する。
【0015】
まず始めに、第1のダンパ部20について説明する。
図1及び
図2に示すように、第1のダンパ部20は、入力側部材の一例としての上流側ダンパディスク21と、この上流側ダンパディスク21からトルクが伝達される弾性部材の一例としての上流側ダンパスプリング22とを備えている。上流側ダンパディスク21は平面視略円環状をなすディスク本体211を有し、このディスク本体211の外周縁からはトルク入力部212が前側に突出している。そして、上流側ダンパディスク21は、トルク入力部212にトルクが入力されると、規定の回転軸線Sを中心に回転する。また、ディスク本体211には、周方向に沿って等間隔に配置される複数の収容室213が形成されている。こうした収容室213には、周方向に伸縮できる態様で上流側ダンパスプリング22が収容されている。そして、周方向において互いに隣り合う各収容室213の間に位置する部分が、上流側ダンパスプリング22にトルクを伝達する第1の伝達部214として機能する。
【0016】
ディスク本体211の前側には上流側ダンパディスク21に同軸上で配置される円環状の第2の中間プレート23が設けられ、ディスク本体211の後側には上流側ダンパディスク21に同軸上で配置される円環状の第1の中間プレート24が設けられている。これら第1及び第2の中間プレート24,23は、上流側ダンパディスク21に対して相対回転可能である。第2の中間プレート23は、上流側ダンパスプリング22よりも径方向内側で、第1の中間プレート24にリベット25によって連結されている。すなわち、第2の中間プレート23は、第1の中間プレート24と一体回転する。
【0017】
こうした第1及び第2の各中間プレート24,23には、周方向及び径方向において上流側ダンパスプリング22の同一位置に窓部26が形成されている。本実施形態の第1のダンパ部20では、複数の上流側ダンパスプリング22が周方向に沿って配置されている。そのため、第1及び第2の各中間プレート24,23には、上流側ダンパスプリング22と同数の窓部26が周方向に沿って配置されている。
【0018】
そして、周方向において互いに隣り合う各窓部26の間に位置する部分が、上流側ダンパスプリング22を介して上流側ダンパディスク21からトルクが伝達される第2の伝達部27として機能する。本実施形態では、第1の伝達部214の軸線方向における両側に、第2の伝達部27が配置されている。これにより、第1の伝達部214が上流側ダンパスプリング22の軸線方向における中央と係合し、第2の伝達部27が上流側ダンパスプリング22の軸線方向における縁部と係合するようになる。
【0019】
また、本実施形態では、第1の中間プレート24の内周縁241は、第2の中間プレート23の内周縁231よりも径方向内側に位置している。こうした第1の中間プレート24は、上流側ダンパスプリング22を介して伝達されたトルクを第2のダンパ部30に伝達する。したがって、本実施形態では、第1の中間プレート24が、「第1のダンパ部20の出力側部材」として機能する。なお、本実施形態の第1の中間プレート24は、上流側ダンパスプリング22よりも径方向内側に位置する内周側部分242が上流側ダンパディスク21のディスク本体211よりも前側(
図2では左側)に位置するように加工されている。
【0020】
次に、第2のダンパ部30について説明する。
図1及び
図2に示すように、第2のダンパ部30は、第1の中間プレート24の内周側部分242の前側(
図2では左側)に配置される第3の中間プレート31と、上流側ダンパスプリング22よりも径方向内側に配置される弾性部材の一例としての下流側ダンパスプリング32とを備えている。この第3の中間プレート31は、上流側ダンパディスク21及び第1の中間プレート24に同軸上で配置されるとともに、第1の中間プレート24と一体回転する。具体的には、第3の中間プレート31において下流側ダンパスプリング32よりも径方向外側に位置する部分が、リベット33によって第1の中間プレート24に連結されている。
【0021】
第2及び第3の各中間プレート24,31には、周方向及び径方向における下流側ダンパスプリング32の同一位置に窓部34が形成されている。本実施形態の第2のダンパ部30は、複数の下流側ダンパスプリング32を周方向に沿って配置した構成となっている。そのため、第2及び第3の各中間プレート24,31には、下流側ダンパスプリング32と同数の窓部34が周方向に沿って配置されている。そして、周方向において互いに隣り合う各窓部34の間に位置する部分が、第1のダンパ部20から出力されたトルクを下流側ダンパスプリング32に伝達する第3の伝達部35として機能する。したがって、本実施形態では、第3の中間プレート31が、「第2のダンパ部30の入力側部材」として機能し、第3の中間プレート31の第3の伝達部35が、「第2のダンパ部30の弾性部材(下流側ダンパスプリング32)にトルクを伝達する伝達部」として機能する。
【0022】
また、第3の中間プレート31の第3の伝達部35よりも径方向外側は、連結部311となっている。この連結部311は、平面視略円環状をなしており、第1のダンパ部20の前側(
図2では左側)に位置している。こうした連結部311の外周縁の径方向における位置は、上流側ダンパスプリング22の径方向における位置とほぼ同一位置となっている。そして、連結部311に動吸振器40が連結されている。
【0023】
本実施形態の第2のダンパ部30は、軸線方向において第2及び第3の各中間プレート24,31の間に配置される円環状の下流側ダンパディスク36を備えている。この下流側ダンパディスク36は、上流側ダンパディスク21及び第1〜第3の各中間プレート24,23,31に同軸上で配置され、第2及び第3の各中間プレート23,31と相対回転可能となっている。
【0024】
下流側ダンパディスク36には、下流側ダンパスプリング32を収容する複数の収容室361が周方向に沿って形成されている。こうした収容室361内で、下流側ダンパスプリング32は、周方向に伸縮できる態様で配置されている。そして、周方向において互いに隣り合う各収容室361の間に位置する部分が、下流側ダンパスプリング32を介してトルクが伝達される第4の伝達部362として機能する。このように第4の伝達部362を介して伝達されたトルクが、第2のダンパ部30、即ちダンパ装置11から出力される。したがって、本実施形態では、下流側ダンパディスク36が、「第2のダンパ部30の出力側部材」として機能する。
【0025】
なお、本実施形態では、第4の伝達部362の軸線方向における両側に、第3の伝達部35が配置されている。そのため、第3の伝達部35が下流側ダンパスプリング32の軸線方向における縁部と係合し、第4の伝達部362が下流側ダンパスプリング32の軸線方向における中央と係合するようになっている。
【0026】
次に、動吸振器40の構成、及び動吸振器40の第3の中間プレート31への取り付け構造について説明する。
図2及び
図3に示すように、本実施形態の動吸振器40は、下流側ダンパスプリング32よりも径方向外側に位置している。こうした動吸振器40は、平面視略円環状をなす動吸振器本体41を備えている。この動吸振器本体41は、連結される第3の中間プレート31に同軸上で配置されるとともに、この第3の中間プレート31と一体回転する。なお、動吸振器本体41は、上流側ダンパディスク21、第1〜第3の各中間プレート24,23,31及び下流側ダンパディスク36を構成する板材と比較して、肉厚の板材(即ち、軸線方向における幅が広い板材)で構成されている。
【0027】
本実施形態の動吸振器本体41の内側縁部としての内周縁411は、第1の中間プレート24に第3の中間プレート31を連結するリベット33よりも径方向外側に位置している。そして、動吸振器本体41の径方向内側には、第2のダンパ部30において連結部311よりも径方向内側の部分の一部が位置している。すなわち、第2のダンパ部の一部が、軸線方向において動吸振器本体41と位置的に重複している。
【0028】
こうした動吸振器本体41には、周方向に沿って略等間隔に配置される複数の転動室43が形成されている。これら各転動室43は、動吸振器本体41の内周縁411側に開口している。また、転動室43の径方向外側の縁部(以下、「外側縁部」ともいう。)431は、その周方向における中央が径方向における最外部となる弧状をなしている。例えば、外側縁部431の弧形状としては、一例として、中心が回転軸線Sよりも径方向外側に位置するような円弧が挙げられる。
【0029】
また、周方向において互いに隣り合う各転動室43の間には、各転動室43を区画する区画壁44が設けられている。こうした区画壁44は、径方向に沿った形状をなしている。そして、区画壁44の先端(径方向内側の端部)側には、円環状の緩衝材45が取り付けられている。この緩衝材45としては、例えば、合成樹脂などの可撓性材料で構成されるOリングが挙げられる。
【0030】
区画壁44において緩衝材45の取付け位置よりも先端は、周方向における両側に広がる規制手段の一例としての幅広部441となっている。この幅広部441の周方向における端部は、緩衝材45の外周縁よりも周方向内側に位置している。
【0031】
また、周方向において互いに隣り合う各転動室43の間であって且つ区画壁44の径方向外側には、軸線方向に貫通する取付孔501が形成されている(
図3参照)。この取付孔501は、径方向において、転動室の外側縁部431の最外部と略同一位置に位置している。なお、動吸振器本体41において取付孔501が形成された部位が、「連結部位」に相当する。
【0032】
図3及び
図4に示すように、本実施形態の動吸振器40は、転動室43で転動する転動体の一例としてのコロ46を備えている。コロ46は、平面視略円形状をなしており、動吸振器本体41よりも肉厚に構成されている。こうしたコロ46の周面461には、全周に渡る環状の溝部462が設けられている。この溝部462の幅寸法(即ち、軸線方向における長さ寸法)は、動吸振器本体41の厚み寸法(即ち、軸線方向における長さ寸法)よりも僅かに大きい。
【0033】
また、コロ46において第3の中間プレート31の連結部311に対向する側の側面である第1の側面463からは、その中央から第1の軸部464が後側に突出している。同様に、コロ46において第1の側面463の反対側に位置する第2の側面465からは、その中央から第2の軸部466が前側に突出している。
【0034】
本実施形態の動吸振器40は、動吸振器本体41を挟んで第3の中間プレート31の連結部311の反対側に配置される円環状のガイド部材47を更に備えている。このガイド部材47は、動吸振器本体41との間に隙間を介在させた状態で動吸振器本体41に同軸上で配置されている。こうしたガイド部材47には、第2のガイド部の一例としてのガイド孔471が、転動室43の周方向における同一位置に形成されている。そして、ガイド孔471内に、第2の軸部466が挿通されている。すなわち、ガイド部材47は、第2の軸部466を介してコロ46を支持している。そして、ガイド孔471の径方向内側の縁部472は、転動室43の外側縁部431に沿った動吸振器本体41に対する相対移動をガイドする。
【0035】
図2、
図3及び
図5に示すように、ガイド部材47は、動吸振器本体41に対して一体回転するように取り付けられている。このガイド部材47において動吸振器本体41に取り付けられる位置には、底壁481が動吸振器本体41に当接する第2の凹部48が形成されている。この第2の凹部48の底壁481は、動吸振器本体41の連結部位に当接している。そして、第2の凹部48の底壁481には、取付孔501と連通する第2の連通孔502が貫通形成されている。すなわち、第2の凹部48は、周方向において互いに隣り合う各転動室43の間に位置している。したがって、本実施形態では、第2の凹部48が、「他の凹部」に相当する。
【0036】
また、動吸振器本体41は、第3の中間プレート31の連結部311との間に隙間を介在させた状態で配置されている。このように隙間を設ける理由としては、以下に示す理由が挙げられる。
【0037】
(理由1)トルク変動に伴う振動の減衰効率を上げるためにはコロ46の重量を重くする必要があり、肉厚のコロ46(即ち、
図2における左右方向の幅の広いコロ)を採用していること。
【0038】
(理由2)このような肉厚のコロ46が転動する空間を確保すること。
そして、第3の中間プレート31の連結部311には、第1のガイド部の一例としてのガイド孔312が、転動室43の周方向における同一位置に形成されている。こうしたガイド孔312の周縁形状はガイド部材47に形成されたガイド孔471の周縁形状と略同一形状となっており、連結部311のガイド孔312内にはコロ46の第1の軸部464が挿通されている。すなわち、連結部311は、第1の軸部464を介してコロ46を支持している。
【0039】
こうした連結部311において動吸振器本体41が取り付けられる位置には、底壁491が動吸振器本体41に当接する第1の凹部49が形成されている。この第1の凹部49の底壁491が、動吸振器本体41の連結部位に当接している。そして、第1の凹部49の底壁491には、取付孔501と連通する第1の連通孔503が貫通形成されている。すなわち、第1の凹部49は、周方向において互いに隣り合う各転動室43の間に位置している。したがって、本実施形態では、軸線方向に沿って連続する第1の連通孔503、取付孔501及び第2の連通孔502によって、軸線方向に延びる貫通孔50が構成される。また、第1の凹部49が、「凹部」に相当する。
【0040】
動吸振器本体41及びガイド部材47は、連結部材の一例としてのリベット51によって第3の中間プレート31の連結部311に一体回転可能に取り付けられる。リベット51は、頭部511と軸線方向に延びる軸部512とを有している。本実施形態では、リベット51の頭部511がガイド部材47に係止される。すなわち、リベット51の軸部512の先端513は、ガイド部材47側から貫通孔50内に挿入され、連結部311側から貫通孔50外に突出している。そして、この状態で軸部512の先端513が連結部311にかしめられる。これにより、軸部512の先端513は、それ以外の部分よりも太くなる。このとき、リベット51の頭部511は、ガイド部材47の第2の凹部48内に位置するとともに、リベット51の軸部512の先端513は、第3の中間プレート31の連結部311の第1の凹部49内に位置している。
【0041】
このようにリベット51をかしめると、軸部512において第3の中間プレート31の連結部311に形成された第1の連通孔503内に位置する部分もまた太くなる。そのため、リベット51の軸部512と、第3の中間プレート31の連結部311に形成された第1の連通孔503の周壁との密着度合が高くなり、第3の中間プレート31と動吸振器本体41との連結強度が強くなる。その結果、第3の中間プレート31を介した動吸振器本体41へのトルク伝達の効率が向上する。
【0042】
次に、本実施形態のダンパ装置11の動作について説明する。
ダンパ装置11にトルクが入力されると、このトルクは、第1のダンパ部20及び第2のダンパ部30を介して出力される。このとき、入力されるトルクに変動が発生すると、上流側ダンパスプリング22や下流側ダンパスプリング32が伸縮することにより、トルク変動に伴う振動が減衰される。
【0043】
また、ダンパ装置11にトルクが入力されて上流側ダンパディスクなどが回転すると、この回転が動吸振器40にも伝達される。すると、動吸振器本体41は、第3の中間プレート31と一体回転する。このとき、動吸振器本体41の回転速度がほぼ一定速であると、コロ46は、回転によって作用する遠心力によって、転動室43の外側縁部431の最外部(即ち、外側縁部の周方向における中央)に位置する。そして、コロ46は、動吸振器本体41とほぼ一体回転する。
【0044】
その一方で、動吸振器本体41の回転速度が変化すると、即ち動吸振器40に入力されるトルクに変動が生じると、コロ46は、転動室43の外側縁部431に沿って動吸振器本体41に対して相対的に変位する。その結果、ダンパ装置11に入力されたトルク変動に伴う振動が動吸振器40によって減衰される。
【0045】
そして、ダンパ装置11へのトルク伝達が遮断されると、動吸振器本体41の回転が停止する。すると、コロ46は、自重によって転動室43内で変位する。このときのコロ46の変位は、外側縁部431に沿った変位であるとは限らない。例えば、コロ46は、外側縁部431に沿うことなく鉛直方向下方に位置する区画壁44に向けて落下することがある。
【0046】
こうした場合、区画壁44に取り付けられた緩衝材45にコロ46が衝突し、衝突に伴う振動及び衝撃音などの発生が抑制される。しかも、本実施形態の区画壁44の先端には幅広部441が設けられている。そのため、コロ46が緩衝材45に衝突したときには、その衝突直後にコロ46が幅広部441に当接し、コロ46のこれ以上の変位が規制される。その結果、コロ46の衝突に伴う緩衝材45の更なる撓みが抑制される。すなわち、緩衝材45に対する過度の負荷の付与が抑制され、緩衝材45の長寿命化が図られる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、動吸振器本体41を、その径方向外側で第2のダンパ部30を構成する第3の中間プレート31に取り付けた。そのため、動吸振器本体を転動室よりも径方向内側で第2のダンパ部30に取り付ける場合と比較して、動吸振器本体41を、その内周縁411が径方向外側に位置する形状とすることができる。その結果、動吸振器本体41を軽量化させることができ、ひいてはこの動吸振器本体41を備える動吸振器40を軽量化させることができるようになる。
【0048】
(2)このように動吸振器本体41の内周縁411を径方向外側に位置するようにしたことで、転動室43よりも径方向内側の空間を有効に活用することができる。すなわち、本実施形態の動吸振器40を備えるダンパ装置11の設計の自由度を向上させることができるようになる。
【0049】
例えば、本実施形態では、第2のダンパ部30の一部が、軸線方向において動吸振器本体41と位置的に重複している。そのため、第2のダンパ部30を、動吸振器40と軸線方向とは異なる位置に配置する場合と比較して、ダンパ装置11の軸線方向における小型化を図ることができるようになる。
【0050】
(3)本実施形態では、各転動室43は、径方向において上流側ダンパスプリング22と略同一位置に形成されている。そのため、転動室43が下流側ダンパスプリング32と径方向における同一位置に形成する場合と比較して、コロ46の可動範囲を広くしつつ、多くの転動室43を形成することが可能となる。
【0051】
(4)第3の中間プレート31の連結部311には、第1の凹部49が形成されており、この第1の凹部49内に、リベット51の軸部512の先端513が収容されている。そのため、軸部512の先端513が、連結部311よりも後側に突出することが抑制される。その結果、連結部311と第1のダンパ部20との間隔を狭くすることができ、ダンパ装置11の軸線方向における小型化を図ることができる。
【0052】
(5)また、ガイド部材47には、第2の凹部48が形成されており、この第2の凹部48内に、リベット51の頭部511が収容されている。そのため、頭部511が、ガイド部材47よりも前側に突出することが抑制される。その結果、ダンパ装置11と、このダンパ装置11の前側に位置する周辺部材との隙間を狭くすることができる。すなわち、ダンパ装置11を備える動力伝達装置の軸線方向における小型化に貢献することが可能となる。
【0053】
(6)本実施形態では、第1の凹部49及び第2の凹部48は、周方向において互いに隣り合う各転動室43の間に位置している。そのため、動吸振器本体41において転動室43を極力径方向外側に設けることができ、動吸振器40によるトルク変動に伴う振動の減衰効率を向上させることができる。また、第1の凹部49及び第2の凹部48が周方向において転動室43と重複する場合と比較して、動吸振器本体41の径方向寸法の小型化を図ることができる。
【0054】
(7)本実施形態では、リベット51の軸部512の先端513が第3の中間プレート31の連結部311にかしめられるため、軸部512の先端513が太くなる。この際、軸部512において第3の中間プレート31の連結部311に形成された第1の連通孔503内に位置する部分もまた太くなる。その結果、軸部512の先端側と、第3の中間プレート31の連結部311に形成された第1の連通孔503の周壁との密着度合が高くなり、第3の中間プレート31と動吸振器本体41との連結強度が強くなる。そのため、第3の中間プレート31を介した動吸振器本体41へのトルク伝達効率を向上させることができるようになる。
【0055】
(8)ダンパ装置11へのトルク伝達が遮断され、動吸振器本体41が回転しなくなると、コロ46は、自身の荷重によって鉛直方向下方に落下することとなる。このとき、コロ46が転動室43の外側縁部431に沿って変位しないおそれがあり、コロ46が区画壁44に衝突するおそれがある。この点、本実施形態では、区画壁44に緩衝材45が取り付けられている。そのため、この緩衝材45にコロ46が衝突することにより、衝撃に伴う振動及び異音の発生を抑制することができるようになる。
【0056】
なお、動吸振器本体41が回転している場合、区画壁44にコロ46が当接することはほとんどない。そのため、区画壁44に緩衝材45を取り付けても、動吸振器40によるトルク変動に伴う振動の減衰作用が低下することはない。
【0057】
(9)また、本実施形態の区画壁44の先端には、幅広部441が形成されている。そして、緩衝材45に衝突したコロ46は、幅広部441に当接し、この幅広部441によってこれ以上の緩衝材45の変位が規制される。その結果、コロ46が幅広部441に衝突した後では、コロ46の変位に伴う緩衝材45の変形が抑制される。これにより、緩衝材45に作用する負荷を少なくすることができ、この緩衝材45の長寿命化を図ることができるようになる。
【0058】
(10)本実施形態では、第3の中間プレート31の連結部311にガイド孔312を設けている。そのため、連結部311は、第1の軸部464を介してコロ46を支持している。そのため、動吸振器本体41の後側に、ガイド部材を新たに設け、このガイド部材でコロ46を支持させる場合と比較して、ガイド部材を省略できる分、部品点数の増加を抑制することができる。また、ダンパ装置11の軸線方向における小型化を図ることができる。
【0059】
なお、本実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・動吸振器40を第3の中間プレート31の連結部311に取り付けるに際し、リベット51の頭部511の一部が第2の凹部48から前側に突出していてもよい。また、リベット51の軸部512の先端513の一部が第1の凹部49から後側に突出していてもよい。
【0060】
・動吸振器40を第3の中間プレート31の連結部311に取り付けるに際し、リベット51の頭部511を連結部311(即ち、第1の凹部49の底壁491)に係止させ、リベット51の軸部512の先端513をガイド部材47(即ち、第2の凹部48の底壁481)に係止させるようにしてもよい。
【0061】
・中間プレート31の連結部311にガイド孔312を設けなくてもよい。この場合、軸線方向において動吸振器本体41と連結部311との間に、ガイド部材を新たに設け、このガイド部材にガイド孔312を形成してもよい。この場合、このガイド部材を、動吸振器本体41に一体回転可能な状態で取り付けることが好ましい。
【0062】
・区画壁44の先端に幅広部441を設けなくてもよい。この場合、区画壁44の先端に、緩衝材とは異なる別の部材を別途取り付けてもよい。この構成を採用すると、区画壁44の先端に取り付けられた別の部材により規制手段が構成される。
【0063】
また、区画壁44に取り付けられた緩衝材45にコロ46が衝突した後に、コロ46の第1の軸部464や第2の軸部466がガイド孔312の周縁やガイド孔471の周縁に当接するように、各ガイド孔312,471の形状を設計してもよい。この場合、軸部464,466及びガイド孔312,471により「規制手段」が構成される。
【0064】
・区画壁44には、スリーブ状の緩衝材を取り付けてもよい。
・転動室43は、動吸振器本体41の内周縁411側に開口しない構成であってもよい。
【0065】
・動吸振器本体41を第3の中間プレート31の連結部311に取り付けるための連結部材は、リベット51以外の他の部材であってもよい。例えば、連結部材はボルトであってもよい。
【0066】
・第3の中間プレート31の連結部311に第1の凹部49を設けなくてもよい。この場合、連結部311と動吸振器本体41の連結部位との間の隙間を埋めるためのスペーサを設けてもよい。
【0067】
同様に、ガイド部材47に第2の凹部48を設けなくてもよい。この場合、ガイド部材47と動吸振器本体41の連結部位との間の隙間を埋めるためのスペーサを設けてもよい。
【0068】
・動吸振器本体41及びガイド部材47を、第3の中間プレート31と同一素材で構成する場合、リベット51などの連結部材を用いることなく動吸振器40を第3の中間プレート31に取り付けてもよい。例えば、動吸振器本体41を第3の中間プレート31に溶接によって取り付け、ガイド部材47を動吸振器本体41に溶接によって取り付けてもよい。
【0069】
・第2のダンパ部30を、軸線方向において動吸振器本体41と位置的に重複させなくてもよい。
・動吸振器40を、
図6に示すように、第1のダンパ部20の第1の中間プレート24に取り付けてもよい。この場合、第1のダンパ部20が、一方のダンパ部に相当する。
【0070】
・動吸振器40を、
図7に示すように、第2のダンパ部30の下流側ダンパディスク36に取り付けてもよい。この場合、第2のダンパ部30が、一方のダンパ部に相当する。
・動吸振器40を、
図8に示すように、第1のダンパ部20の上流側ダンパディスク21に取り付けてもよい。この場合、第1のダンパ部20が、一方のダンパ部に相当する。
【0071】
・ダンパ装置11は、3つ以上のダンパ部が直列的に接続された構成であってもよい。
・
図9に示すように、ダンパ装置11は、一つのダンパ部200と、動吸振器40とを備えた構成であってもよい。この場合、動吸振器40を、ダンパ部200の出力側部材203に取り付けてもよい。また、ダンパスプリング202を介してトルクを出力側部材203に伝達する入力側部材201に、動吸振器40を取り付けてもよい。
【0072】
・取付孔501を、転動室43よりも径方向外側に形成してもよい。
・動吸振器本体41は、複数の板材を重ね合わせることにより構成されたものであってもよい。
【0073】
・弾性部材は、入力されたトルク変動に伴う振動を自身の弾性変形によって減衰させることが可能なものであれば、スプリング以外の他の任意の部材であってもよい。例えば、弾性部材は、合成樹脂などの可撓性材料で構成したものであってもよい。
【0074】
・動吸振器は、コロの代わりに、遠心振り子として作用する転動体を備えたものであってもよい。
次に、上記各実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0075】
(イ)前記ダンパ部において前記動吸振器本体が連結される部材には、前記回転軸線の延びる方向において前記動吸振器本体との間に隙間を介在させた状態で配置される連結部が設けられ、同連結部には、底壁が前記動吸振器本体の前記連結部位に当接する凹部が凹み形成されており、
前記凹部の底壁と前記動吸振器本体の前記連結部位とを前記回転軸線の延びる方向に貫通する貫通孔が形成され、同貫通孔に挿通される連結部材によって前記動吸振器本体が前記連結部に連結されるダンパ装置。