特許第6286522号(P6286522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アトムメディカル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6286522-液体混注用接続コネクタ 図000002
  • 特許6286522-液体混注用接続コネクタ 図000003
  • 特許6286522-液体混注用接続コネクタ 図000004
  • 特許6286522-液体混注用接続コネクタ 図000005
  • 特許6286522-液体混注用接続コネクタ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6286522
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】液体混注用接続コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20180215BHJP
   A61M 39/26 20060101ALI20180215BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   A61M39/10 130
   A61M39/10 120
   A61M39/26
   A61M5/14 510
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-248435(P2016-248435)
(22)【出願日】2016年12月21日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】若林 啓介
(72)【発明者】
【氏名】小林 心一
(72)【発明者】
【氏名】小平 陽子
(72)【発明者】
【氏名】関 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】松原 一郎
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−33124(JP,A)
【文献】 実開平3−114252(JP,U)
【文献】 特開2015−66205(JP,A)
【文献】 特開2016−150063(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/162347(WO,A1)
【文献】 特表2010−508988(JP,A)
【文献】 特表2002−515311(JP,A)
【文献】 特開2015−66068(JP,A)
【文献】 特開平9−108361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 39/26
A61M 5/14
F16L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側注液を供給するための医療用器具を挿抜可能な弁体と、該弁体により外部と遮断された内側空間部を形成する基体部とを備える接続具が、着脱可能に接続される液体混注用接続コネクタであって、
医療用配管が接続される第1ポート及び第2ポートと、前記接続具が接続される第3ポートとを有する分岐管本体を備え、
前記第3ポートは、前記第1ポートに連通する第1流路を形成する内側配管と、前記内側配管の周囲に形成され該内側配管との間に前記第2ポートに連通する第2流路を形成する外側配管とを有する二重構造とされ、
前記内側配管の開口端が前記外側配管の開口端よりも外方に突出して形成され、
前記接続具を前記第3ポートに接続したときに、
前記内側配管の開口端が前記内側空間部において前記弁体に対面する位置に配置され、
前記第1流路と前記第2流路とが前記内側空間部を介して連通可能とされることを特徴とする液体混注用接続コネクタ。
【請求項2】
前記外側配管の外周面には、前記接続具が有する雌ねじ部と螺合可能な雄ねじ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体混注用接続コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に薬液や血液等の主薬液の輸液を行うための医療用配管の途中に配置され、主薬液中に他の薬液等の側注液を混注するために用いられる液体混注用接続コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に薬液や血液等の主薬液を投与する際に、輸液バックから患者までの間を接続して主薬液を流通させる輸液チューブ等の医療用配管が使用される。また、主薬液中に他の薬液等の側注液を混合可能とするため、医療用配管の途中に液体混注用接続コネクタが用いられることがある。
【0003】
例えば特許文献1の混注手段(液体混注用接続コネクタ)は、薬液を流通させる薬液流路(主流路)と、薬液流路の途中から分岐する分岐流路とを有しており、分岐流路を介して薬液流路に補給液(側注液)を混注可能に設けられている。この分岐流路には弁手段(弁体)が設けられており、弁手段は、非操作状態の際には分岐流路を閉じ、混注操作の際には分岐流路を開くようになっている。そして、混注操作を行う際には、弁手段に供給手段を接続することで、弁手段及び分岐流路を介して側注液が主薬液に混合されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2のコネクタ(液体混注用接続コネクタ)は、輸液剤(輸液)を流入又は流出可能な流路を有する第1〜第3の3つのポートと、第1ポートと第2ポートの流路間を連通する内部流路(主流路)と、第3ポート内に設けられて内部流路に連なる空間部とが本体に設けられており、第3ポートを介して空間部に他の輸液剤(側注液)を供給可能に設けられている。また、第3ポートにはオスコネクタを挿入可能な弁体が備えられており、オスコネクタの非挿入状態で第3ポートを閉塞する一方で、オスコネクタの挿入により第3ポートを開口することができ、他の輸液剤を第3ポートを介して内部流路を流通する輸液剤に混注させることができる。さらに、コネクタは、内部流路上に、第1ポートから内部流路に流入した輸液剤を空間部に案内可能であり、かつ空間部寄りの流路断面積を第1ポートの流路断面積よりも狭くする壁面を備えており、この壁面によって、第1ポートから流入する第1輸液剤を空間部側に案内するとともに、空間部寄りの流路断面積を小さくすることで、空間部内に導かれる第1輸液剤の勢いを増して、滞留する輸液剤を排出するように構成されている。
【0005】
また、特許文献3の液体混注具(液体混注用接続コネクタ)は、管状体のハウジングの一端にゴム状弾性体(弁体)が取り付けられる混注口を有し、その他端に流出口を有し、混注口と流出口とのほぼ中間部で分岐された分岐管の先端部に注入口を有しており、ハウジングの内腔に分岐管の基部付近から混注口の近傍まで立設された筒状中空体が設けられている。また、ハウジングの混注口側には、鈍針を有する接続具が接続可能とされており、接続具を浅く接続することで、ゴム状弾性体を介して鈍針の先端部をハウジング内に挿入でき、その鈍針の先端部と筒状中空体の先端部との間に間隙を形成できる。そして、この鈍針を介して側注液がハウジング内に送られるようになっている。なお、特許文献3には、鈍針の先端部と筒状中空体の先端部との間の間隙はデッドスペースが生じない大きさとされていることが記載されており、このため、側注液が滞留せず、混注液が円筒中空体の内腔に送られて流出口から患者の体内に持続的に投与されることが記載されている。また、この特許文献3には、輸液中は、ハウジングの混注口に設けられたゴム状弾性体によって内部と外部とが遮断されるので、輸液への細菌の侵入が防止されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009‐45165号公報
【特許文献2】特開2016‐147077号公報
【特許文献3】特開平11‐33124号公報
【特許文献4】特開2015‐66205号公報
【特許文献5】特開2016‐150063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3に記載されるように、液体混注用接続コネクタでは、主薬液が流通する主流路(薬液流路、内部流路)が、混注口(第3ポート、分岐流路)に設けられた弁手段によって外部と遮断される構成とされており、弁体の性能に応じて輸液への細菌の侵入が防止される。また、弁体と主流路との間にデッドスペースが生じやすいという問題に関しては、弁体と主流路との間に形成される流路の経路を工夫することにより輸液の滞留を防止し、輸液への細菌の侵入を防止している。このように、液体混注用接続コネクタにおいては、輸液への細菌の侵入を防止する効果は弁体の性能に左右され、弁体が最も重要な構成要素とされている。このため、各メーカーにおいては、弁体の機能向上のために日々改良が行われており、例えば特許文献4又は特許文献5に開示されているように、ISO594で規定された標準的なルアーチップ部(オスルアー)を有するコネクタに弁体を設け、専用のコネクタを介さずに医療用器具と接続可能とした医療用コネクタ(接続具)も活用されている。
【0008】
一方、輸液の滞留防止機能を有する液体混注用接続コネクタは、複数のメーカーにおいて製造されているが、それぞれのメーカーにおいて製造される液体混注用接続コネクタは、専用の弁体を組み合わせることが必要なものとなっている。すなわち、弁体は、各メーカーにおいて汎用性や互換性がなく、異なるメーカーのコネクタと弁体とを組み合わせて使用した場合には、輸液の滞留防止効果を発揮することができない。このため、他のメーカーにおいて高性能の弁体が開発されたとしても、コネクタを変更せずに弁体のみを交換して使用することはできなかった。したがって、ユーザーは、コネクタと弁体とを必ず一体として用いることを余儀なくされていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、種々の弁体を有する接続具を適用することができ、輸液の衛生状態を良好に保つことができる液体混注用接続コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、側注液を供給するための医療用器具を挿抜可能な弁体と、該弁体により外部と遮断された内側空間部を形成する基体部とを備える接続具が、着脱可能に接続される液体混注用接続コネクタであって、医療用配管が接続される第1ポート及び第2ポートと、前記接続具が接続される第3ポートとを有する分岐管本体を備え、前記第3ポートは、前記第1ポートに連通する第1流路を形成する内側配管と、前記内側配管の周囲に形成され該内側配管との間に前記第2ポートに連通する第2流路を形成する外側配管とを有する二重構造とされ、前記内側配管の開口端が前記外側配管の開口端よりも外方に突出して形成され、前記接続具を前記第3ポートに接続したときに、前記内側配管の開口端が前記内側空間部において前記弁体に対面する位置に配置され、前記第1流路と前記第2流路とが前記内側空間部を介して連通可能とされる。
【0011】
液体混注用接続コネクタの第3ポートには、ISO594で規定された標準的な筒状部(ルアーチップ、オスルアー)を有する接続具が接続される。また、接続具を第3ポートに接続すると、内側配管の開口端が外側配管の開口端よりも外方に突出して形成されるとともに、その内側配管の開口端が接続具の内側空間部において弁体に対面して配置されるので、第1流路と接続具の内側空間部とを連通させることができ、さらに内側空間部を介して第1流路と第2流路とを連通させることができる。
そして、このように第3ポートに接続具が接続された状態においては、内側配管の開口端(第1流路)を通じて接続具の内側空間部内に噴出される主薬液が、内側空間部の周壁部をなぞるようにして旋回して、そのまま外側配管の第2流路に流れ込み、第2流路を通じて第2ポートから患者に送り出される。また、接続具の弁体を介して内側空間部に側注液を注入した際には、内側配管の開口端(第1流路)から噴出される主薬液により内側空間部内に貯留された側注液を外側配管の第2流路に効率的に洗い流すことができる。したがって、接続具の内側空間部内に主薬液や側注液が滞留することを防止でき、輸液の衛生状態を良好に維持できる。
【0012】
本発明の液体混注用接続コネクタにおいて、前記外側配管の外周面には、前記接続具が有する雌ねじ部と螺合可能な雄ねじ部が形成されているとよい。
【0013】
外側配管の外周面に雄ねじ部を形成することで、第3ポートにルアーロック方式の接続具を接続することができる。この場合、液体混注用接続コネクタと接続具との接続を補強できるので、液体混注用接続コネクタからの接続具の脱落等を防止でき、輸液の衛生状態を良好に保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、種々の弁体を有する接続具を適用することができ、輸液の衛生状態を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の液体混注用接続コネクタの外観斜視図である。
図2図1におけるA矢視図である。
図3図2におけるB‐B線に沿う液体混注用接続コネクタの断面図である。
図4】液体混注用接続コネクタに接続具を接続した状態の断面図である。
図5】本発明の第2実施形態の液体混注用接続コネクタに接続具を接続した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る液体混注用接続コネクタについて、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1図4に示す第1実施形態の液体混注用接続コネクタ101は、図3及び図4に示すように、側注液を供給するための医療用器具を挿抜可能な接続具201が着脱可能に接続される液体混注用接続コネクタである。この液体混注用接続コネクタ101は、輸液チューブ等の医療用配管(図示略)が接続される第1ポート10及び第2ポート20と、接続具201が接続される第3ポート30Aとの、3つのポート10,20,30Aを有する分岐管本体1を備える。
【0018】
第3ポート30Aに接続可能な接続具201について、簡単に説明しておく。
第3ポート30Aに接続される接続具201は、図3及び図4に示すように、シリンジ、カテーテル等の医療用器具を着脱可能な弁体51と、この弁体51により外部と遮断された内側空間部54Aを形成する基体部52と、基体部52に接続され、内側空間部54Aに連通する内側流路55Aが形成された筒状部53Aとを備える、いわゆるスプリットセプタム型の接続具とされる。接続具201の筒状部53Aは、ISO594で規定された標準的な形状とされる。具体的には、筒状部53Aの外周面53oが、ISO594で規定されたルアーテーパにより形成されており、接続具201は、同規定により規格化されたメスコネクタを有する医療用配管等(図示略)に接続可能とされる。なお、図3及び図4に示される接続具201は、筒状部53Aの周囲に、雌ねじ部57が形成された外筒部56を有しており、接続先の医療用配管等とルアーロック方式の接続が可能となっている。
【0019】
また、接続具201の弁体51は弾性部材により形成されており、弁体51の中央に形成されたスリット51sを介して、内側空間部54Aに医療用器具301のオスコネクタ61(ルアーチップ、オスルアー)が挿抜可能とされる。このため、弁体51に医療用器具301のオスコネクタ61を未挿入の状態では、弁体51のスリット51sは閉じられており、内側空間部54Aが外部(若しくはオスコネクタ61)と遮断された状態となる。
【0020】
一方、医療用器具301のオスコネクタ61の先端部分を弁体51に挿入することで、スリット51sを開放でき、医療用器具301の内部と接続具201の内側空間部54Aとを連通させることができる。そして、このように内側空間部54Aを医療用器具301の内部と連通させることで、医療用器具301の内部の側注液をオスコネクタ61の先端開口を通じて接続具201の内側空間部54Aに注入できる。また、内側空間部54Aに注入された側注液は、筒状部53Aの接続先である医療用配管等に、内側流路55Aを通じて送り出されるようになっている。なお、側注液の注入完了後に、医療用器具301のオスコネクタ61を弁体51から引き抜くと、スリット51sが弁体51の弾性復元力により再び閉じられ、接続具201の内側空間部54Aを閉鎖することができる。
【0021】
次に、液体混注用接続コネクタ101の各構成部について説明する。
液体混注用接続コネクタ101の全体を構成する分岐管本体1は、ポリカーボネートや透明ABS樹脂、ポリプロピレン等の樹脂により形成される。
第1ポート10は、ISO594で規定されたルアーテーパにより形成された内周面11iを有するメスコネクタとされ、同規定により規定されたオスコネクタを有する医療用配管等に嵌合により接続可能とされる。また、第1ポート10の外周面11oには雄ねじ部13が形成されており、この雄ねじ部13が、接続先の医療用配管等が有する雌ねじ部と螺合可能に設けられている。このため、第1ポート10は、接続先の医療用配管等にルアーロック方式の接続が可能となっている。なお、第1ポート10には、雄ねじ部13を形成することなく、オスコネクタとメスコネクタとの嵌合のみにより接続するスリップロック方式を採用することもできる。
【0022】
第2ポート20は、ISO594で規定されたルアーテーパにより形成された外周面21oを有するオスコネクタとされ、同規定により規定されたメスコネクタを有する医療用配管等に嵌合により接続可能とされる。また、第2ポート20には、雌ねじ部23が形成されたロック部材22が設けられており、この雌ねじ部23が、接続先の医療用配管等が有する雄ねじ部と螺合可能に設けられている。このため、第2ポート20は、接続先の医療用配管等にルアーロック方式の接続が可能となっている。なお、この第2ポート20においても、ロック部材22(雌ねじ部23)を設けずに、オスコネクタとメスコネクタとの嵌合のみにより接続するスリップロック方式を採用することもできる。
【0023】
第3ポート30Aは、第1ポート10に連通する第1流路41を形成する内側配管31Aと、この内側配管31Aの周囲に形成され、内側配管31Aとの間に第2ポート20に連通する第2流路42を形成する外側配管32とを有する二重構造とされる。そして、外側配管32の開口端32e側の内周面32iが、ISO594で規定されたルアーテーパにより形成されており、同規定により規定されたオスコネクタを有する医療用配管等に嵌合により接続可能とされる。つまり、外側配管32の内周面32iは、接続具201の筒状部53Aの外周面53oと嵌合により接続可能とされている。また、外側配管32の外周面32oには、接続具201の雌ねじ部57と螺合可能な雄ねじ部33が形成されており、接続具201とルアーロック方式の接続が可能となっている。なお、この第3ポート30Aにおいても、雄ねじ部33を形成することなく、オスコネクタ(接続具)とメスコネクタ(外側配管32)との嵌合のみにより接続するスリップロック方式を採用することができる。
【0024】
一方、内側配管31Aは、接続具201の筒状部53Aの内周面53iとの間に隙間をあけて内側流路55Aに挿入可能に形成されている。つまり、内側配管31Aの外周面31oが筒状部53Aの内周面53iよりも小さく、言い換えれば、内側配管31Aの外径が筒状部53Aの内径よりも小さく形成されている。また、内側配管31Aの開口端31eは、外側配管32の開口端32eよりも外方に突出して形成されるとともに、接続具201を第3ポート30Aに接続したときに、接続具201の内側空間部54Aにおいて弁体51に対向する位置に配置可能とされる。
【0025】
このため、接続具201の筒状部53Aの外周面53oを外側配管32の内周面32iに嵌め合わせることで、接続具201を第3ポート30Aに接続でき、またこの際、接続具201の筒状部53Aの内周面53iと内側配管31Aの外周面31oとの間に隙間を形成した状態で内側配管31Aを筒状部53Aの内側流路55Aの内部に挿通させることができ、分岐管本体1の第2流路42と筒状部53Aの内側流路55Aとを連通させることができる。また、内側配管31Aの開口端31eが外側配管32の開口端32eよりも外方に突出して形成されるとともに、その内側配管31Aの開口端31eが接続具201の内側空間部54Aにおいて弁体51に対面して配置されることで、第1流路41と接続具201の内側空間部54Aとを連通させることができる。したがって、分岐管本体1の第1流路41と第2流路42とは、接続具201を第3ポート30Aに接続することにより、接続具201の内側空間部54Aを介して連通されるようになっている。
【0026】
そして、このように第3ポート30Aに接続具201を接続した状態においては、図4に二点鎖線の矢印で流路内の流れを示すように、内側配管31Aの開口端31e(第1流路41)を通じて接続具201の内側空間部54A内に主薬液が供給されるようになっている。そして、その内側配管31Aの開口端31eから噴出された主薬液は、図4に実線の矢印で流路内の流れを示すように、内側空間部54Aの周壁部をなぞるようにして旋回して、そのまま筒状部53Aの内側流路55Aに流れ込み、外側配管32の第2流路42を通じて第2ポート20から医療用配管等に送り出される。
【0027】
また、接続具201の弁体51を介して内側空間部54Aに側注液を注入した際には、内側空間部54A内に貯留された側注液を、内側配管31Aの開口端31eから噴出される主薬液により筒状部53Aの内側流路55Aに効率的に洗い流すことができる。このように、液体混注用接続コネクタ101においては、側注液が注入される接続具201の内側空間部54Aを主薬液の流路の一部として構成しており、主薬液が常に内側空間部54Aの内部を通過するように構成しているので、接続具201の内側空間部54A内に主薬液や側注液が滞留することを防止できる。したがって、液体混注用接続コネクタ101から患者に送り出される輸液の衛生状態を良好に維持できる。
【0028】
また、液体混注用接続コネクタ101においては、第3ポート30Aの外側配管32の外周面32oに雄ねじ部33を形成したので、第3ポート30Aにルアーロック方式の接続具201を接続することができる。この場合、ルアーロック方式の接続具201を用いることで、液体混注用接続コネクタ101と接続具201との接続を補強できるので、接続具201の脱落等を防止でき、輸液の衛生状態を良好に保つことができる。
【0029】
なお、上記第1実施形態では、一例として、図3及び図4に示す形態の接続具201を液体混注用接続コネクタ101に接続する場合について説明を行ったが、本発明に係る液体混注用接続コネクタに接続される接続具は、第1実施形態において適用したものに限定されるものではない。例えば、図5に示される接続具202等、その他のISO594で規定された標準的な筒状部(ルアーチップ、オスルアー)を有する接続具を適用することができる。
【0030】
例えば図5に示される第2実施形態の液体混注用接続コネクタ102は、第1実施形態の液体混注用接続コネクタ101と同様に、第3ポート30Bを構成する外側配管32の開口端側の内周面32iが、ISO594で規定されたルアーテーパにより形成されており、同規定により規定された筒状部を有する接続具を接続できる。図5に示される接続具202は、第1実施形態で用いた接続具201と比べて、筒状部53Bが軸方向に長く形成されたものであるが、筒状部53Bの外周面53oがISO594で規定されたルアーテーパを有しているので、液体混注用接続コネクタ102と接続具202とを、外側配管32の内周面32iと筒状部53Bの外周面53oとを嵌合させることにより接続することができる。
【0031】
この場合において、内側配管31Bは、接続具202の筒状部53Bの内周面53iとの間に隙間をあけて内側流路55Bに挿入可能に形成されており、内側配管31Bの開口端31eは、外側配管32の開口端32eよりも外方に突出して形成される。そして、接続具202を第3ポート30Bに接続したときに、内側配管31Bの開口端31eが、接続具202の内側空間部54Bにおいて弁体51に対向する位置に配置可能とされる。
なお、第2実施形態の液体混注用接続コネクタ102において、内側配管31Bを除いたその他の構成は、第1実施形態の液体混注用接続コネクタ101と同じであり、図5において、第1実施形態と共通する要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
第2実施形態の液体混注用接続コネクタ102においても、内側配管31Bの開口端31eを接続具202の内側空間部54Bに配置し、側注液が注入される接続具202の内側空間部54Bを主薬液の流路の一部として構成しており、主薬液が常に内側空間部54Bの内部を通過するように構成している。このため、内側配管31Bの開口端31eから噴出される主薬液の流れによって、内側空間部54B内に貯留された側注液を筒状部53Bの内側流路55Bに効率的に洗い流すことができる。したがって、接続具202の内側空間部54B内に主薬液や側注液が滞留することを防止でき、液体混注用接続コネクタ102から患者に送り出される輸液の衛生状態を良好に維持できる。
【0033】
また、液体混注用接続コネクタ102においては、第3ポート30Aの外側配管32の外周面32oに雄ねじ部33を形成したので、第3ポート30Aにルアーロック方式の接続具202を接続することができる。この場合、ルアーロック方式の接続具201を用いることで、液体混注用接続コネクタ102と接続具202との接続を補強できるので、接続具202の脱落等を防止でき、輸液の衛生状態を良好に保つことができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 分岐管本体
10 第1ポート
20 第2ポート
30A,30B 第3ポート
31A,31B 内側配管
32 外側配管
33 雄ねじ部
41 第1流路
42 第2流路
51 弁体
52 基体部
53A,53B 筒状部
54A,54B 内側空間部
55A,55B 内側流路
57 雌ねじ部
101,102 液体混注用接続コネクタ
201,202 接続具
301 医療用器具
【要約】
【課題】汎用の接続具を用い、輸液の衛生状態を良好に保つことができる液体混注用接続コネクタを提供する。
【解決手段】接続具が着脱可能に接続される液体混注用接続コネクタであって、医療用配管が接続される第1ポート及び第2ポートと接続具が接続される第3ポートとを有する分岐管本体を備え、第3ポートは、第1ポートに連通する第1流路を形成する内側配管と該内側配管との間に第2ポートに連通する第2流路を形成する外側配管とを有する二重構造とされ、内側配管の開口端が外側配管の開口端よりも外方に突出して形成され、接続具を第3ポートに接続したときに、内側配管の開口端が内側空間部において接続具の弁体に対面する位置に配置され、第1流路と第2流路とが内側空間部を介して連通可能とされる。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5