【文献】
Integr. Biol.,2011年,Vol.3,p.468-478
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒトIgG4重鎖定常領域が、EU番号付けシステムによる定常領域の252位にチロシン、254位にトレオニン、及び256位にグルタミン酸を含む、請求項3又は4に記載の構築物。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の態様に関する様々な用語が本明細書及び特許請求の範囲を通して用いられる。そのような用語は、別途指摘しない限り、当業界におけるその通常の意味を与えられるべきである。その他の特に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式で解釈されるべきである。
【0031】
対象及び患者という用語は、互換的に用いられ、任意の動物を含む。コンパニオン哺乳動物及び家畜哺乳動物、並びにマウス、ウサギ、及びラットなどのげっ歯類、及びその他のげっ歯類を含む、哺乳動物が好ましい。カニクイザルなどの非ヒト霊長類がより好ましく、ヒトが非常に好ましい。
【0032】
抗体などの分子は、それがヒトの手によりその天然の環境から変化した、及び/又は取り出された場合、「単離」されている。
【0033】
本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、別途明確に記述されない限り、複数の指示対象を含む。
【0034】
抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物は、限定されるものではないが、配列番号647、配列番号648、配列番号649、配列番号650、又は配列番号651のインターフェロンアルファ-2bを含む、弱毒化インターフェロンアルファ-2bタンパク質に融合したCD38に特異的に結合する、本明細書に記載されるか、又は例示される任意の抗体を含む。いくつかの態様において、抗CD38抗体への、配列番号7などの非突然変異インターフェロンアルファ-2bタンパク質の融合は、インターフェロン分子の生物活性を弱める。本開示において、弱毒化インターフェロン、弱毒化インターフェロンアルファ-2b、IFN-アルファ2b A145D、及びIFN-アルファ2b A145Gは、互換的に用いられる。
【0035】
特異性は絶対的な意味である必要はないが、抗原陰性細胞と比較して抗原陽性細胞に対する抗体-IFN-アルファ融合タンパク質構築物の選択性の程度を示す相対的用語であってもよい。抗原陽性細胞に対する抗体-IFN-アルファ融合タンパク質構築物の特異性は、抗体の可変領域によって、通常は、抗体の相補性決定領域(CDR)によって媒介される。構築物は、抗原陰性細胞と比較して抗原陽性細胞に対する100倍の特異性を有してもよい。
【0036】
ヒトCD38は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、カニクイザルCD38は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0037】
インターフェロン-アルファ2bを、そのタンパク質配列中にある特定のアミノ酸変化を導入することによって、細胞表面のインターフェロン受容体に結合するインターフェロンを介して媒介されるその生物活性に関して弱毒化することができることがさらに観察された。抗体が、弱毒化インターフェロン分子により引き起こされるオフターゲットインターフェロン活性の減少が得られるCD38陽性細胞への弱毒化インターフェロンのための送達媒体として役立ち得るように、弱毒化インターフェロン分子を、CD38に特異的に結合する抗体に融合することができる。CD38抗体への弱毒化インターフェロンの融合は、動物の体内の細胞などのCD38を発現する細胞上のCD38に特異的に結合する抗体の能力に有意に影響しないことがさらに観察された。CD38抗体のバリアントを、抗体が、CD38抗原への抗体の特異性又は親和性を有意に喪失することなく、低下した免疫原性並びに増強された安定性及び半減期を有するように操作する、及び発現させることができる。これらのバリアント抗体を、弱毒化インターフェロンに融合することができる。
【0038】
したがって、CD38に特異的に結合する抗体を特徴とする。また、そのような抗CD38抗体を、インターフェロンアルファなどの弱毒化リガンドのための送達媒体として使用することができることも観察された。いかなる特定の理論又は作用機序にも限定されることを意図するものではないが、抗体は、それらがCD38陽性細胞に結合するようにインターフェロンアルファに指令し、インターフェロンはその受容体と相互作用することができると考えられる。送達媒体としての抗体は、インターフェロン分子がその受容体に結合する減少した能力を相殺すると考えられる。この意味において、弱毒化インターフェロンは、健康な細胞、特に、CD38を発現しない細胞上のその受容体と相互作用する能力が低下している。弱毒化インターフェロンを、CD38陽性細胞上のその受容体の近くに持って行くことにより、抗体は、CD38を発現しない健康な細胞に対する望ましくない効果を誘導する能力の減少を示しながら、その関連する受容体に結合する弱毒化インターフェロンの能力を増強し、治療効果を誘導することができると考えられる。
【0039】
抗体は、ポリクローナルであってよいが、いくつかの態様においては、ポリクローナルではない。抗体は、好ましくはモノクローナルである。抗体は、好ましくは完全長抗体である。完全長抗体は、一般に、可変領域重鎖と可変領域軽鎖とを含む。抗体は、抗原結合特異性を保持し、また、好ましくは親抗体分子(例えば、CD38について)の親和性の多く又は全部を保持する、抗体の誘導体又は断片又は部分を含んでもよい。例えば、誘導体は、少なくとも1つの可変領域(重鎖又は軽鎖可変領域のいずれか)を含んでもよい。好適な抗体誘導体及び断片の他の例としては、限定されるものではないが、多エピトープ特異性を有する抗体、二特異的抗体、多特異的抗体、ダイアボディ、一本鎖分子、並びにFab、F(Ab')2、Fd、Fabc、及びFv分子、一本鎖(Sc)抗体、一本鎖Fv抗体(scFv)、個々の抗体軽鎖、個々の抗体重鎖、抗体鎖と他の分子との融合物、重鎖単量体又は二量体、軽鎖単量体又は二量体、1つの重鎖と1つの軽鎖とからなる二量体、並びに他の多量体が挙げられる。一本鎖Fv抗体は、多価であってもよい。あらゆる抗体アイソタイプを使用して、抗体誘導体、断片、及び部分を生成することができる。抗体誘導体、断片、及び/又は部分を、原核性又は真核性の任意の細胞型により組換え的に生成、発現させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態においては、単離された抗体は、IFN-アルファ、又は弱毒化IFN-アルファが重鎖IgG定常領域のC末端に融合したモノクローナル抗体を指してもよい。モノクローナル抗体がCD38に対する結合特異性を有し、IFN-アルファが弱毒化IFN-アルファ2bである場合、単離された抗体は、本明細書では抗CD38抗体-弱毒化IFN-アルファ融合タンパク質、又は抗CD38抗体-弱毒化IFN-アルファ融合構築物とも呼ばれる。
【0041】
完全長抗体において、それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVHと省略される)と、重鎖定常領域とを含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVLと省略される)と、軽鎖定常領域とを含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLを含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FWR又はFR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。それぞれのVH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FWR1、CDR1、FWR2、CDR2、FWR3、CDR3、FWR4で配置された、3つのCDRと4つのFWRとを含む。典型的には、抗体の抗原結合特性は、CDR配列に対する変化によるよりもFWR配列に対する変化によって乱される可能性は低い。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgγ)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスのものであってもよい。
【0042】
抗体は、任意の種から誘導されたものであってもよい。例えば、抗体は、マウス、ラット、ヤギ、ウマ、ブタ、ウシ、ラクダ、ニワトリ、ウサギ、ロバ、ラマ、ヒトコブラクダ、サメ、又はヒト抗体、並びにその他の任意の動物種に由来する抗体であってもよい。ヒトの処置における使用のために、キメラ化又はヒト化又はスーパーヒト化などにより、ヒト患者への投与時に抗原性が低くなるように非ヒト由来抗体を構造的に変化させることができる。
【0043】
いくつかの態様においては、抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、抗原結合に直接関与するアミノ酸、例えば、重鎖及び/又は軽鎖の、相補性決定領域(CDR)、いくつかの場合、フレームワーク領域(FWR)、又はその部分がヒト起源のものではないが、抗体中の残りのアミノ酸がヒトであるか、又はそうでなければヒト起源のもの、例えば、ヒト抗体足場であるものである。ヒト化抗体はまた、ヒトタンパク質の1つ若しくは複数の残基が1つ若しくは複数のアミノ酸置換により改変された、及び/又はヒトタンパク質の1つ若しくは複数のFWR残基が対応する非ヒト残基により置き換えられた抗体も含む。ヒト化抗体はまた、ヒト抗体中にも、又は非ヒト抗体中にも見出されない残基を含んでもよい。ヒト化抗体は、例えば、米国特許第7,732,578号に記載のようなスーパーヒト化抗体であってもよい。抗体は、ヒト化キメラ抗体であってもよい。
【0044】
非常に好ましい態様において、抗体は、完全ヒト抗体である。完全ヒト抗体は、全分子がヒトであるか、若しくはそうでなければヒト起源のものであるか、又はヒト型の抗体と同一のアミノ酸配列を含む。完全ヒト抗体は、例えば、抗体の可変領域をコードするヒト遺伝子が組換え発現される、ヒトV遺伝子ライブラリーから得られるものを含む。完全ヒト抗体を、他の生物(例えば、マウス及びゼノマウス技術)又はヒト抗体をコードする遺伝子を形質転換された他の生物に由来する細胞中で発現させることができる。それにも拘らず、完全ヒト抗体は、ヒト配列によりコードされないアミノ酸残基、例えば、無作為又は部位特異的突然変異により導入された突然変異を含んでもよい。
【0045】
抗体は、任意のクラス、例えば、IgG1、IgG2又はIgG4の完全長抗体であってもよい。そのような抗体の定常ドメインは、好ましくはヒトである。そのような抗体の可変領域は、非ヒト起源のものであってもよいか、又は好ましくは、ヒト起源であるか、若しくはヒト化される。抗体断片を、完全長抗体の代わりに使用することもできる。
【0046】
抗体は、ミニボディであってもよい。ミニボディは、一本鎖中に全抗体の必須エレメントをコードする、小型の全抗体を含む。例えば、ミニボディは、免疫グロブリン分子のヒンジ領域及びCH3ドメインに融合した天然抗体のVH及びVLドメインを含んでもよい。
【0047】
いくつかの態様において、抗体は、非免疫グロブリン由来タンパク質フレームワークを含んでもよい。例えば、抗原結合のために選択された、CDRを作出するために無作為化された2つのループを有する4ヘリックスバンドルタンパク質シトクロムb562を記載する、(Ku & Schutz、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 6552〜6556頁、1995)を参照することができる。
【0048】
天然配列変異が重鎖及び軽鎖並びにそれらをコードする遺伝子内に存在してもよく、したがって、当業者であれば、本明細書に記載及び例示される抗体のアミノ酸配列、又はそれらをコードする遺伝子内にいくらかのレベルの変異を見出すことを予想できる。これらのバリアントは、好ましくは、親抗体のユニークな結合特性(例えば、特異性及び親和性)を維持する。そのような予想は、一部は、遺伝子コードの縮重性に起因する、並びにコードされたタンパク質の性質を感知できるほどに変化させない、保存的アミノ酸配列変異の公知の進化的成功に起因する。したがって、そのようなバリアント及び相同体は、互いに実質的に同じであると考えられ、本開示の範囲内に含まれる。かくして、抗体は、親抗体の生物学的特性(例えば、結合特異性及び結合親和性)を保持する、1つ又は複数のアミノ酸置換、欠失、付加、又は置き換えを有するバリアントを含む。バリアントは、好ましくは、保存的であるが、非保存的であってもよい。
【0049】
CDR及びFWRに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987及び1991(本明細書ではKabatの番号付けシステムとも呼ばれる)に従って定義することができる。さらに、CDR及びFWRに割り当てられるアミノ酸位置は、強化されたChothiaの番号付けスキーム(http://www.bioinfo.org.uk/mdex.html)に従って定義することができる。抗体の重鎖定常領域を、EU番号付けシステム(Edelman, GMら(1969) Proc. Natl. Acad. USA、63、78〜85頁)により定義することができる。
【0050】
Kabatの番号付けシステムに従って、VH FWR及びCDRを、以下:残基1〜30(FWR1)、31〜35(CDR1)、36〜49(FWR2)、50〜65(CDR2)、66〜94(FWR3)、95〜102(CDR3)及び103〜113(FWR4)のように位置付けることができ、VL FWR及びCDRは以下:残基1〜23(FWR1)、24〜34(CDR1)、35〜49(FWR2)、50〜56(CDR2)、57〜88(FWR3)、89〜97(CDR3)及び98〜107(FWR4)のように位置付けられる。いくつかの例では、可変領域は長さを増加させてもよく、Kabatの番号付けシステムに従って、いくつかのアミノ酸を、数字の後に文字で指定することができる。本明細書は、Kabatの番号付けシステムにより定義されるFWR及びCDRに限定されないが、Chothiaら(1987) J. Mol. Biol. 196:901〜17頁; Chothiaら(1989) Nature 342:877〜83頁;及び/若しくはAl-Lazikaniら(1997) J. Mol. Biol. 273:927〜48頁の標準番号付けシステム;Honnegherら(2001) J. Mol. Biol., 309:657〜70頁の番号付けシステム;又はGiudicelliら(1997) Nucleic Acids Res. 25:206〜11頁に考察されたIMGTシステムなどの、あらゆる番号付けシステムを含む。いくつかの態様においては、CDRは、Kabatの番号付けシステムに従って定義される。
【0051】
いくつかの特定の態様においては、Kabatの番号付けシステムによる、本明細書に記載の重鎖CDR2サブドメインのいずれかについて、5つのC末端アミノ酸が、抗原結合に直接関与しなくてもよく、したがって、これらの5つのC末端アミノ酸の任意の1つ又は複数を、抗原結合に実質的に有害に影響することなく、別の天然アミノ酸と置換することができることが理解される。いくつかの態様においては、Kabatの番号付けシステムによる、本明細書に記載の軽鎖CDR1サブドメインのいずれかについて、4つのN末端アミノ酸が、抗原結合に直接関与しなくてもよく、したがって、これらの4つのアミノ酸の任意の1つ又は複数を、抗原結合に実質的に有害に影響することなく、別の天然アミノ酸と置換することができることが理解される。例えば、Padlanら(1995) FASEB J. 9:133〜139頁により記載されたように、重鎖CDR2の5つのC末端アミノ酸及び/又は軽鎖CDR1の4つのN末端アミノ酸が、抗原結合に関与しなくてもよい。いくつかの態様において、重鎖CDR2と軽鎖CDR1の両方が、抗原結合に直接関与しない。
【0052】
いくつかの態様において、アミノ酸の化学的類似体を、本明細書に記載及び/又は例示される抗体において使用することができる。アミノ酸の化学的類似体の使用は、例えば、対象に投与する必要がある場合などの、分子を安定化させるのに有用である。本明細書で企図されるアミノ酸の類似体は、限定されるものではないが、側鎖の改変、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質合成中の非天然アミノ酸及び/又はその誘導体の組込み並びに架橋剤及びタンパク質性分子又はその類似体に対してコンフォメーション制約を課する他の方法の使用を含む。
【0053】
抗体は、抗体の活性又は安定性に影響し得る、翻訳後改変又は部分を含んでもよい。これらの改変又は部分としては、限定されるものではないが、メチル化、アセチル化、グリコシル化、硫酸化、リン酸化、カルボキシル化、及びアミド化部分並びに当業界で周知である他の部分が挙げられる。部分は、天然の、又はそうでなければ原核及び真核発現系などの組換え発現系により抗体に付加された、免疫グロブリン分子上に一般的に見出される任意の化学基又は基の組合せを含む。
【0054】
本開示により企図される側鎖改変の例としては、アルデヒドとの反応、次いで、NaBH
4による還元による還元的アルキル化;メチルアセトイミデートによるアミド化;無水酢酸によるアシル化;シアネートによるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化;無水コハク酸及び無水テトラヒドロフタル酸によるアミノ基のアシル化;並びにピリドキサル-5-リン酸によるリシンのピリドキシル化、次いで、NaBH
4による還元などのアミノ基の改変が挙げられる。
【0055】
アルギニン残基のグアニジン基を、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサル及びグリオキサルなどの試薬による複素環縮合生成物の形成により改変することができる。
【0056】
カルボキシル基を、O-アシルイソウレア形成、次いで、例えば、対応するアミドへのその後の誘導体化によるカルボジイミド活性化により改変することができる。
【0057】
スルフヒドリル基を、ヨード酢酸又はヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化;システイン酸への過ギ酸酸化;他のチオール化合物による混合ジスルフィドの形成;マレイミド、無水マレイン酸又は他の置換マレイミドとの反応;4-クロロメルクリ安息香酸、4-クロロメルクリフェニルスルホン酸、塩化フェニル水銀、2-クロロメルクリ-4-ニトロフェノール及び他の水銀剤による水銀誘導体の形成;アルカリ性pHでのシアネートによるカルバモイル化などの方法により改変することができる。
【0058】
トリプトファン残基を、例えば、N-ブロモスクシンイミドによる酸化又は2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジルブロミド若しくはハロゲン化スルフェニルによるインドール環のアルキル化により改変することができる。他方、チロシン残基を、テトラニトロメタンによるニトロ化により変化させて、3-ニトロチロシン誘導体を形成させることができる。
【0059】
ヒスチジン残基のイミダゾール環の改変を、ヨード酢酸誘導体によるアルキル化又はジエチルピロカルボネートによるN-カルベトキシル化により達成することができる。
【0060】
架橋剤、例えば、n=1からn=6の(CH
2)nスペーサー基を有する二官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのホモ二官能性架橋剤並びに通常はN-ヒドロキシスクシンイミドなどのアミノ反応性部分及びマレイミド若しくはジチオ部分(SH)若しくはカルボジイミド(COOH)などの別の基に特異的な反応性部分を含有するヘテロ二官能性試薬を使用して、抗体及び構築物の3Dコンフォメーションを安定化することができる。
【0061】
抗体は、親和性成熟されていてもよく、又は例えば、予測されるMHCクラスII結合モチーフを除去することにより、免疫原性を低下させるアミノ酸変化を含んでもよい。本明細書に記載の抗体の治療有用性を、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存的細胞傷害(CDC)、血清半減期、生体分布及びFc受容体への結合又はこれらのいずれかの組合せなどの、その機能的特徴を調節することによってさらに増強することができる。この調節を、タンパク質工学、糖鎖工学又は化学的方法により達成することができる。必要とされる治療適用に応じて、これらの活性のいずれかを増加又は減少させることが有利であり得る。糖鎖工学の例は、Shinkawa T.ら(2003) J. Biol. Chem. 278: 3466〜73頁に記載のPotelligent(登録商標)法を使用した。
【0062】
抗体は、異化からIgGを保護し、高い血清抗体濃度を維持するのに重要な役割を有する受容体である新生児Fc受容体(FcRn)との抗体の相互作用を調節する改変などの、その血清半減期及び生体分布を調節する改変を含んでもよい。血清半減期を調節する改変は、米国特許第7,083,784号に記載のような、M252Y/S254T/T256E[EU番号付けシステム(Edelman, G.M.ら(1969) Proc. Natl. Acad. USA 63、78〜85頁)による番号付け]の三重の置換(例えば、配列番号656、配列番号657、配列番号658、配列番号694)などのIgG1又はIgG4のFc領域中に存在してもよい。他の置換は、250位及び428位(例えば、米国特許第7,217,797号を参照されたい)、並びに307位、380位及び434位(例えば、WO00/42072を参照されたい)に存在してもよい。Fc受容体への結合並びにFcRn結合及び血清半減期などの、これらの受容体により媒介されるその後の機能を調節する定常ドメインアミノ酸置換の例は、米国特許出願公開第2009/0142340号、第2009/0068175号、及び第2009/0092599号に記載されている。ネイキッド抗体は、異種性を減少させるために重鎖C末端リシンが省略又は除去されていてもよい。ヒトIgG4中でのS228P(EU番号付け)の置換は、in vivoで抗体Fabアーム交換を安定化することができる(Labrinら(2009) Nature Biotechnology 27:8; 767〜773頁)。
【0063】
抗体分子に連結されたグリカンは、抗体と、Fc受容体及びグリカン受容体との相互作用に影響し、それによって、血清半減期などの抗体活性に影響することが知られている。したがって、所望の抗体活性を調節するある特定の糖型は、治療的利点を提供することができる。操作された糖型を作成するための方法としては、限定されるものではないが、米国特許第6,602,684号、第7,326,681号、及び第7,388,081号並びにPCT公開番号WO08/006554に記載のものが挙げられる。あるいは、抗体配列を改変して、関連する糖型結合部位を除去することができる。
【0064】
抗体を標識するか、又は任意の化学的若しくは生物的分子部分にコンジュゲートすることができる。標識された抗体は、治療、診断、又は基礎研究適用において有用であり得る。蛍光色素、放射性標識、酵素、蛍光タンパク質、及びビオチンなどの、そのような標識/コンジュゲートは、検出可能であってもよい。標識/コンジュゲートは、化学療法剤、毒素、アイソトープ、及びがん細胞の殺傷などの状態を処置するために使用される他の薬剤であってもよい。化学療法剤は、抗体が使用される目的にとって好適である任意のものであってもよい。
【0065】
タンパク質切断を防止するか、又は活性若しくは安定性を増強するために公知の保護基/遮断基によって抗体を誘導体化することができる。
【0066】
抗体は、好ましくは、約1×10
-2M未満の解離定数(Kd)を含むCD38上のエピトープに対する結合親和性を有する。いくつかの実施形態においては、Kdは約1×10
-3M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-4M未満である。いくつかの実施形態においては、Kdは約1×10
-5M未満である。さらに他の実施形態においては、Kdは約1×10
-6M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-7M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-8M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-9M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-10M未満である。さらに他の実施形態においては、Kdは約1×10
-11M未満である。いくつかの実施形態においては、Kdは約1×10
-12M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-13M未満である。他の実施形態においては、Kdは約1×10
-14M未満である。さらに他の実施形態においては、Kdは約1×10
-15M未満である。親和性の値は、Biacore(商標)分析又はOctet(登録商標)Red 96(Forte Bio社)Dip-and-Readシステムを用いる分析などの表面プラズモン共鳴を含む標準的な方法によって取得されるものを指す。
【0067】
抗体は、一本鎖Fv分子(scFv)、Fab、又は完全長IgGを含んでもよい。任意のそのような抗体は、配列番号659のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む重鎖が配列番号13のアミノ酸配列を含まないという条件で、配列番号659又は配列番号665又は配列番号736のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含んでもよい。重鎖中にアミノ酸変化を含む抗体は、CD38に特異的に結合する能力を保持することが理解される。保持されたCD38特異的結合活性(親和性を含む)は、好ましくは、重鎖中にアミノ酸変化を含まない抗体の結合活性(親和性を含む)とほぼ同じであるが、その結合活性(親和性を含む)は重鎖中にアミノ酸変化を含まない抗体よりも低いか、又は高いものであってもよい。抗体は、配列番号664のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む軽鎖が配列番号14のアミノ酸配列を含まないという条件で、配列番号664又は配列番号666のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含んでもよい。軽鎖中にアミノ酸変化を含む抗体は、CD38に特異的に結合する能力を保持することが理解される。保持されたCD38特異的結合活性(親和性を含む)は、好ましくは、軽鎖中にアミノ酸変化を含まない抗体の結合活性(親和性を含む)とほぼ同じであるが、その結合活性(親和性を含む)は軽鎖中にアミノ酸変化を含まない抗体よりも低いか、又は高いものであってもよい。
【0068】
いくつかの態様において、重鎖FWR1は、配列番号199、配列番号206、配列番号214、配列番号215、配列番号217、配列番号219、配列番号389、配列番号396、配列番号400、配列番号404、配列番号408、配列番号412、配列番号416、配列番号420、配列番号424、配列番号428、配列番号432、配列番号466、配列番号470、配列番号472、配列番号474、配列番号476、配列番号478、配列番号480、配列番号482、配列番号486、配列番号488、配列番号513、配列番号537、配列番号542、配列番号547、配列番号552、配列番号557、配列番号562、配列番号567、配列番号572、配列番号577又は配列番号748のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖FWR1は、配列番号199、配列番号214、配列番号215、配列番号217、配列番号219、配列番号389、配列番号396、配列番号400、配列番号404、配列番号408、配列番号412、配列番号416、配列番号420、配列番号424、配列番号428、配列番号432、配列番号466、配列番号470、配列番号472、配列番号474、配列番号476、配列番号478、配列番号480、配列番号482、配列番号486、配列番号488、配列番号513、配列番号537、配列番号542、配列番号547、配列番号552、配列番号557、配列番号562、配列番号567、配列番号572、配列番号577又は配列番号748のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、重鎖FWR2は、配列番号201、配列番号211、配列番号229、配列番号391、配列番号397、配列番号401、配列番号405、配列番号409、配列番号413、配列番号417、配列番号421、配列番号425、配列番号429、配列番号433、配列番号515、配列番号520、配列番号521、配列番号522、配列番号523、配列番号524、配列番号525、配列番号538、配列番号543、配列番号548、配列番号553、配列番号558、配列番号563、配列番号568、配列番号573、配列番号578、配列番号749又は配列番号750のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖FWR2は、配列番号201、配列番号211、配列番号229、配列番号391、配列番号397、配列番号401、配列番号405、配列番号409、配列番号413、配列番号417、配列番号421、配列番号425、配列番号429、配列番号433、配列番号515、配列番号520、配列番号521、配列番号522、配列番号523、配列番号524、配列番号525、配列番号538、配列番号543、配列番号548、配列番号553、配列番号558、配列番号563、配列番号568、配列番号573、配列番号578、配列番号749又は配列番号750のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、重鎖FWR3は、配列番号203、配列番号210、配列番号212、配列番号213、配列番号216、配列番号218、配列番号221、配列番号226、配列番号227、配列番号230、配列番号393、配列番号399、配列番号403、配列番号407、配列番号411、配列番号415、配列番号419、配列番号423、配列番号427、配列番号431、配列番号435、配列番号468、配列番号517、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号540、配列番号545、配列番号550、配列番号555、配列番号560、配列番号565、配列番号570、配列番号575、配列番号580、配列番号751又は配列番号752のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖FWR3は、配列番号203、配列番号210、配列番号212、配列番号213、配列番号216、配列番号218、配列番号221、配列番号226、配列番号227、配列番号230、配列番号393、配列番号399、配列番号403、配列番号407、配列番号411、配列番号415、配列番号419、配列番号423、配列番号427、配列番号431、配列番号435、配列番号468、配列番号517、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号540、配列番号545、配列番号550、配列番号555、配列番号560、配列番号565、配列番号570、配列番号575、配列番号580、配列番号751又は配列番号752のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、重鎖FWR4は、配列番号205、配列番号395、配列番号519、配列番号541、配列番号546、配列番号551、配列番号556、配列番号561、配列番号566、配列番号571、配列番号576、配列番号581又は配列番号753のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖FWR4は、配列番号205、配列番号395、配列番号519、配列番号541、配列番号546、配列番号551、配列番号556、配列番号561、配列番号566、配列番号571、配列番号576、配列番号581又は配列番号753のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。重鎖フレームワーク領域(FWR1、FWR2、FWR3、及び/又はFWR4)中にアミノ酸変化を含む抗体は、CD38に特異的に結合する能力を保持することが理解される。保持されたCD38特異的結合活性(親和性を含む)は、好ましくは、任意の重鎖フレームワーク領域中にアミノ酸変化を含まない抗体の結合活性(親和性を含む)とほぼ同じであるが、その結合活性(親和性を含む)は任意の重鎖フレームワーク領域中にアミノ酸変化を含まない抗体よりも低いか、又は高いものであってもよい。
【0069】
いくつかの態様において、重鎖CDR1は、配列番号200、配列番号224、配列番号390、配列番号514、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、又は配列番号697のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖CDR1は、配列番号200、配列番号224、配列番号390、配列番号514、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、又は配列番号697のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、重鎖CDR2は、配列番号202、配列番号392、配列番号398、配列番号402、配列番号406、配列番号410、配列番号414、配列番号418、配列番号422、配列番号426、配列番号430、配列番号434、配列番号467、配列番号471、配列番号473、配列番号475、配列番号477、配列番号479、配列番号481、配列番号483、配列番号485、配列番号487、配列番号489、配列番号516、配列番号539、配列番号544、配列番号549、配列番号554、配列番号559、配列番号564、配列番号569、配列番号574、配列番号579、配列番号698又は配列番号737のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖CDR2は、配列番号202、配列番号392、配列番号398、配列番号402、配列番号406、配列番号410、配列番号414、配列番号418、配列番号422、配列番号426、配列番号430、配列番号434、配列番号467、配列番号471、配列番号473、配列番号475、配列番号477、配列番号479、配列番号481、配列番号483、配列番号485、配列番号487、配列番号489、配列番号516、配列番号539、配列番号544、配列番号549、配列番号554、配列番号559、配列番号564、配列番号569、配列番号574、配列番号579、配列番号698又は配列番号737のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、重鎖CDR3は、配列番号204、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号228、配列番号231、配列番号394、配列番号469、配列番号518、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号699又は配列番号738のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、重鎖CDR3は、配列番号204、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号228、配列番号231、配列番号394、配列番号469、配列番号518、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号699又は配列番号738のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。重鎖相補性決定領域(CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)中にアミノ酸変化を含む抗体は、CD38に特異的に結合する能力を保持することが理解される。保持されたCD38特異的結合活性(親和性を含む)は、好ましくは、任意の重鎖相補性決定領域中にアミノ酸変化を含まない抗体の結合活性(親和性を含む)とほぼ同じであるが、その結合活性(親和性を含む)は任意の重鎖相補性決定領域中にアミノ酸変化を含まない抗体よりも低いか、又は高いものであってもよい。
【0070】
いくつかの態様において、軽鎖FWR1は、配列番号232、配列番号247、配列番号259、配列番号260、配列番号261、配列番号436、配列番号443、配列番号447、配列番号451、配列番号455、配列番号459、配列番号463、配列番号490、配列番号497、配列番号501、配列番号509、配列番号582、配列番号607、配列番号614、配列番号618、配列番号622、配列番号626、配列番号630、配列番号634又は配列番号638のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖FWR1は、配列番号232、配列番号247、配列番号259、配列番号260、配列番号261、配列番号436、配列番号443、配列番号447、配列番号451、配列番号455、配列番号459、配列番号463、配列番号490、配列番号497、配列番号501、配列番号509、配列番号582、配列番号607、配列番号614、配列番号618、配列番号622、配列番号626、配列番号630、配列番号634又は配列番号638のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、軽鎖FWR2は、配列番号234、配列番号246、配列番号248、配列番号281、配列番号283、配列番号285、配列番号287、配列番号289、配列番号291、配列番号293、配列番号295、配列番号297、配列番号438、配列番号444、配列番号448、配列番号452、配列番号456、配列番号460、配列番号464、配列番号492、配列番号498、配列番号502、配列番号506、配列番号510、配列番号584、配列番号592、配列番号593、配列番号609、配列番号615、配列番号619、配列番号623、配列番号627、配列番号631、配列番号635又は配列番号639のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖FWR2は、配列番号234、配列番号246、配列番号248、配列番号281、配列番号283、配列番号285、配列番号287、配列番号289、配列番号291、配列番号293、配列番号295、配列番号297、配列番号438、配列番号444、配列番号448、配列番号452、配列番号456、配列番号460、配列番号464、配列番号492、配列番号498、配列番号502、配列番号506、配列番号510、配列番号584、配列番号592、配列番号593、配列番号609、配列番号615、配列番号619、配列番号623、配列番号627、配列番号631、配列番号635又は配列番号639のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、軽鎖FWR3は、配列番号236、配列番号245、配列番号265、配列番号266、配列番号267、配列番号271、配列番号272、配列番号274、配列番号276、配列番号277、配列番号278、配列番号279、配列番号280、配列番号282、配列番号284、配列番号286、配列番号288、配列番号290、配列番号292、配列番号294、配列番号296、配列番号298、配列番号300、配列番号302、配列番号304、配列番号306、配列番号308、配列番号310、配列番号312、配列番号314、配列番号316、配列番号318、配列番号320、配列番号323、配列番号327、配列番号331、配列番号335、配列番号339、配列番号343、配列番号347、配列番号351、配列番号355、配列番号359、配列番号363、配列番号367、配列番号371、配列番号375、配列番号379、配列番号383、配列番号387、配列番号440、配列番号445、配列番号449、配列番号453、配列番号457、配列番号461、配列番号465、配列番号494、配列番号499、配列番号503、配列番号507、配列番号511、配列番号586、配列番号611、配列番号616、配列番号620、配列番号624、配列番号628、配列番号632、配列番号636又は配列番号640のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖FWR3は、配列番号236、配列番号245、配列番号265、配列番号266、配列番号267、配列番号271、配列番号272、配列番号274、配列番号276、配列番号277、配列番号278、配列番号279、配列番号280、配列番号282、配列番号284、配列番号286、配列番号288、配列番号290、配列番号292、配列番号294、配列番号296、配列番号298、配列番号300、配列番号302、配列番号304、配列番号306、配列番号308、配列番号310、配列番号312、配列番号314、配列番号316、配列番号318、配列番号320、配列番号323、配列番号327、配列番号331、配列番号335、配列番号339、配列番号343、配列番号347、配列番号351、配列番号355、配列番号359、配列番号363、配列番号367、配列番号371、配列番号375、配列番号379、配列番号383、配列番号387、配列番号440、配列番号445、配列番号449、配列番号453、配列番号457、配列番号461、配列番号465、配列番号494、配列番号499、配列番号503、配列番号507、配列番号511、配列番号586、配列番号611、配列番号616、配列番号620、配列番号624、配列番号628、配列番号632、配列番号636又は配列番号640のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、軽鎖FWR4は、配列番号238、配列番号442、配列番号446、配列番号450、配列番号454、配列番号458、配列番号462、配列番号496、配列番号500、配列番号504、配列番号508、配列番号512、配列番号588、配列番号613、配列番号617、配列番号621、配列番号625、配列番号629、配列番号633、配列番号637又は配列番号641のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖FWR4は、配列番号238、配列番号442、配列番号446、配列番号450、配列番号454、配列番号458、配列番号462、配列番号496、配列番号500、配列番号504、配列番号508、配列番号512、配列番号588、配列番号613、配列番号617、配列番号621、配列番号625、配列番号629、配列番号633、配列番号637又は配列番号641のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。軽鎖フレームワーク領域(FWR1、FWR2、FWR3、及び/又はFWR4)中にアミノ酸変化を含む抗体は、CD38に特異的に結合する能力を保持することが理解される。保持されたCD38特異的結合活性(親和性を含む)は、好ましくは、任意の軽鎖フレームワーク領域中にアミノ酸変化を含まない抗体の結合活性(親和性を含む)とほぼ同じであるが、その結合活性(親和性を含む)は任意の軽鎖フレームワーク領域中にアミノ酸変化を含まない抗体よりも低いか、又は高いものであってもよい。
【0071】
いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、配列番号233、配列番号250、配列番号525、配列番号255、配列番号262、配列番号263、配列番号319、配列番号322、配列番号325、配列番号329、配列番号333、配列番号337、配列番号341、配列番号345、配列番号349、配列番号353、配列番号357、配列番号361、配列番号365、配列番号369、配列番号373、配列番号377、配列番号381、配列番号385、配列番号437、配列番号491、配列番号583、配列番号589、配列番号590、配列番号608、又は配列番号696のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖CDR1は、配列番号233、配列番号250、配列番号525、配列番号255、配列番号262、配列番号263、配列番号319、配列番号322、配列番号325、配列番号329、配列番号333、配列番号337、配列番号341、配列番号345、配列番号349、配列番号353、配列番号357、配列番号361、配列番号365、配列番号369、配列番号373、配列番号377、配列番号381、配列番号385、配列番号437、配列番号491、配列番号583、配列番号589、配列番号590、配列番号608、又は配列番号696のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR2は、配列番号235、配列番号249、配列番号253、配列番号264、配列番号299、配列番号301、配列番号303、配列番号305、配列番号307、配列番号309、配列番号311、配列番号313、配列番号315、配列番号317、配列番号326、配列番号330、配列番号334、配列番号338、配列番号342、配列番号346、配列番号350、配列番号354、配列番号358、配列番号362、配列番号366、配列番号370、配列番号374、配列番号378、配列番号382、配列番号386、配列番号439、配列番号493、配列番号585、配列番号591、配列番号605、配列番号610又は配列番号747のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖CDR2は、配列番号235、配列番号249、配列番号253、配列番号264、配列番号299、配列番号301、配列番号303、配列番号305、配列番号307、配列番号309、配列番号311、配列番号313、配列番号315、配列番号317、配列番号326、配列番号330、配列番号334、配列番号338、配列番号342、配列番号346、配列番号350、配列番号354、配列番号358、配列番号362、配列番号366、配列番号370、配列番号374、配列番号378、配列番号382、配列番号386、配列番号439、配列番号493、配列番号585、配列番号591、配列番号605、配列番号610又は配列番号747のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、軽鎖CDR3は、配列番号237、配列番号244、配列番号251、配列番号254、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号268、配列番号269、配列番号270、配列番号273、配列番号275、配列番号321、配列番号324、配列番号328、配列番号332、配列番号336、配列番号340、配列番号344、配列番号348、配列番号352、配列番号356、配列番号360、配列番号364、配列番号368、配列番号372、配列番号376、配列番号380、配列番号384、配列番号388、配列番号441、配列番号495、配列番号587、配列番号594、配列番号595、配列番号596、配列番号597、配列番号598、配列番号599、配列番号600、配列番号601、配列番号602、配列番号603、配列番号604、配列番号606又は配列番号612のアミノ酸配列を含み、いくつかの態様において、軽鎖CDR3は、配列番号237、配列番号244、配列番号251、配列番号254、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号268、配列番号269、配列番号270、配列番号273、配列番号275、配列番号321、配列番号324、配列番号328、配列番号332、配列番号336、配列番号340、配列番号344、配列番号348、配列番号352、配列番号356、配列番号360、配列番号364、配列番号368、配列番号372、配列番号376、配列番号380、配列番号384、配列番号388、配列番号441、配列番号495、配列番号587、配列番号594、配列番号595、配列番号596、配列番号597、配列番号598、配列番号599、配列番号600、配列番号601、配列番号602、配列番号603、配列番号604、配列番号606又は配列番号612のアミノ酸配列との少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。軽鎖相補性決定領域(CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)中にアミノ酸変化を含む抗体は、CD38に特異的に結合する能力を保持することが理解される。保持されたCD38特異的結合活性(親和性を含む)は、好ましくは、任意の軽鎖相補性決定領域中にアミノ酸変化を含まない抗体の結合活性(親和性を含む)とほぼ同じであるが、その結合活性(親和性を含む)は任意の軽鎖相補性決定領域中にアミノ酸変化を含まない抗体よりも低いか、又は高いものであってもよい。
【0072】
いくつかの態様において、抗体は、特定の重鎖と軽鎖との対を含む。配列番号659のアミノ酸配列を有する重鎖を、配列番号664のアミノ酸配列を有する任意の軽鎖と対にするか、又は配列番号665のアミノ酸配列を有する重鎖を、配列番号666のアミノ酸配列を有する任意の軽鎖と対にするか、又は配列番号736のアミノ酸配列を有する重鎖を、配列番号664のアミノ酸配列を有する任意の軽鎖と対にすることができる。
【0073】
可変重鎖と可変軽鎖との対は、以下の表に由来する対を含んでもよい。
【0085】
抗体を弱毒化されたリガンドに融合して、例えば、細胞表面受容体に対する弱毒化リガンドの作用に起因するシグナリング経路の活性化に関して抗原-特異性指数の上昇を示す、抗体-弱毒化リガンド構築物を形成させることができる。これらの構築物は、抗体-リガンド構築物の文脈においては、抗原陰性細胞上でのリガンド活性は劇的に弱まるが、抗原陽性細胞におけるリガンド活性は、たとえあったとしても、穏やかにのみ弱まるような方法でリガンド部分を突然変異させることができるという観察に基づくものである。そのような構築物は、遊離リガンドよりも抗原陰性細胞と比較して抗原陽性細胞に対して1、2、3、4又は5桁規模高い効力を示す。いくつかの態様において、抗体-弱毒化リガンド構築物は、非弱毒化遊離(すなわち、抗体に結合していない)リガンドとして抗原陽性細胞に対する少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%の効力を保持する。いくつかの態様において、抗体-弱毒化リガンド構築物は、非弱毒化遊離(すなわち、抗体に結合していない)リガンドの最大活性の少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%又は少なくとも90%を保持する。最大活性は、薬剤のさらなる増加が応答量をさらに増加させない、用量応答曲線の高いプラトー部分でのシグナリング活性の量(又はその下流の効果)を含む。
【0086】
いくつかの態様において、インターフェロンリガンドへの抗体融合及びインターフェロンリガンド中への弱毒化突然変異の含有は、融合物を含まない抗体と比較して、10倍を超えて、好ましくは50倍を超えて、好ましくは100倍を超えて、好ましくは1000倍を超えて、又は好ましくは10,000倍を超えて抗原特異性指数(ASI)を増加させる。ASIは、標的抗原陰性細胞上での遊離非突然変異ポリペプチドリガンドと比較したシグナリング活性の倍数減少効力を掛けた、標的抗原陽性細胞上での遊離非突然変異ポリペプチドリガンドと比較した抗体-IFNリガンド構築物のシグナリング活性の倍数増加効力を含む。用量がアッセイ中のリガンド又は抗体-リガンド構築物の濃度を指し、応答が特定の用量のリガンドのシグナリング活性に対する細胞の量的応答を指す、用量応答曲線の数値的中点である、EC
50値により効力を定量的に表すことができる。かくして、典型的には、同じ方法により測定された場合、例えば、第1の化合物が、同じ細胞上で第2の化合物のEC
50よりも10倍低いEC
50(例えば、モル濃度単位で表される)を有すると示された場合、第1の化合物は10倍高い効力を有すると言われる。逆に、典型的には、同じ方法により測定された場合、第1の化合物は同じ細胞上で第2の化合物のEC
50よりも10倍高いEC
50を有すると示された場合、第1の化合物は、10倍低い効力を有すると言われる。
【0087】
抗体は、好ましくは、CD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約100nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約75nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約50nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約30nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約25nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約20nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約18nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約15nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約13nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。抗体は、約10nM未満のEC
50値でCD38陽性細胞に結合することができる。
【0088】
抗体に連結されたインターフェロンは、好ましくは、抗体が結合するCD38抗原の細胞表面発現を欠く細胞上のそのそれぞれの受容体を刺激する際にインターフェロンの活性を低下させる点突然変異及び/又は欠失を含む、そのアミノ酸配列中の変化を含む。インターフェロンアルファの非常に好ましいバリアントは、配列番号7のインターフェロンアルファ2b分子の168位にアミノ酸変化を含む。例えば、親IFN-アルファ2b分子中のアラニンである、168位のアミノ酸は、好ましくは、グリシン(Gly/G)(配列番号650)又はアスパラギン酸(Asp/D)(配列番号647)に変化される。いくつかの態様において、IFN-アルファ2bは、IFN-アルファ2bがヒトIgG1又はヒトIgG4重鎖定常ドメインなどのIgG重鎖定常ドメインに融合した場合、そのN末端でトランケートされる。トランケートされたIFN-アルファ2bは配列番号7の23個のN末端アミノ酸を有さず(Met1からGly23までが欠失される)、トランケートされたIFN-アルファ2bは配列番号648のアミノ酸配列を含む。トランケートされたIFN-アルファ2bはまた、以前は168位にあったが、トランケートされたタンパク質中では145位になった(例えば、アラニン168はアラニン145になる)アミノ酸変化を含んでもよい。トランケートされたIFN-アルファ2bにおいて、アラニンは、好ましくは、グリシン(Gly/G)(配列番号651)又はアスパラギン酸(Asp/D)(配列番号649)に変化される。A145D変化を有するインターフェロン(配列番号647又は配列番号649)は、本開示の抗体に融合した弱毒化リガンドとして特に好ましい。これらの点突然変異した、弱毒化されたバージョンのIFN-アルファのいずれかを、例えば、抗体-弱毒化インターフェロン構築物として、本明細書に記載の任意の抗体に連結することができる。
【0089】
抗体とインターフェロンとの間の連結は、好ましくは、融合物、例えば、インターフェロンのN又はC末端と、抗体の重鎖又は軽鎖のN又はC末端との間のペプチド結合を含む。非常に好ましい態様においては、抗体とインターフェロンとの間にはリンカーは存在せず、かくして、抗体とインターフェロンとは直接融合される。介在リンカーペプチドを含まない直接的融合物は、インターフェロンタンパク質の少なくとも測定可能な程度の弱毒化を提供すると考えられ、また、この弱毒化は本明細書に記載又は例示されるものなどの、インターフェロンタンパク質中に導入される突然変異から生じるインターフェロンタンパク質の弱毒化と共に付加的であるとも考えられる。
【0090】
抗体及びそのサブドメイン(例えば、FWR及びCDR)をコードするポリヌクレオチド配列は、本開示において特徴付けられる。ポリヌクレオチドとしては、限定されるものではないが、RNA、DNA、cDNA、RNAとDNAのハイブリッド、及びRNA、DNA、又はそのハイブリッドの一本鎖、二本鎖又は三本鎖が挙げられる。
【0091】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、CD38上のエピトープに特異的に結合する抗体の重鎖をコードする。ポリヌクレオチドは、配列番号667、配列番号668、配列番号679、配列番号680、配列番号681、配列番号682、配列番号683、配列番号684、配列番号、配列番号685、配列番号686、配列番号695、配列番号724、配列番号725、配列番号726、配列番号727、配列番号732、配列番号733、配列番号734、配列番号735、配列番号743、配列番号744、配列番号745又は配列番号746のいずれかのアミノ酸配列を含む重鎖をコードしてもよい。ポリヌクレオチドは、配列番号669、配列番号670、配列番号671、配列番号672、配列番号673、配列番号674、配列番号675、配列番号676、配列番号677、配列番号678、配列番号688、配列番号689、配列番号690、配列番号691、配列番号692、配列番号693、配列番号702、配列番号703、配列番号712、配列番号713、配列番号714、配列番号715、配列番号716、配列番号717、配列番号718又は配列番号719のいずれかのアミノ酸配列を含む軽鎖をコードしてもよい。ポリヌクレオチドは、配列番号667、配列番号668、配列番号679、配列番号680、配列番号681、配列番号682、配列番号683、配列番号684、配列番号、配列番号685、配列番号686、配列番号695、配列番号724、配列番号725、配列番号726、配列番号727、配列番号732、配列番号733、配列番号734、配列番号735、配列番号743、配列番号744、配列番号745、配列番号746、配列番号669、配列番号670、配列番号671、配列番号672、配列番号673、配列番号674、配列番号675、配列番号676、配列番号677、配列番号678、配列番号688、配列番号689、配列番号690、配列番号691、配列番号692、配列番号693、配列番号702、配列番号703、配列番号712、配列番号713、配列番号714、配列番号715、配列番号716、配列番号717、配列番号718又は配列番号719のいずれかの核酸配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、配列番号667、配列番号668、配列番号679、配列番号680、配列番号681、配列番号682、配列番号683、配列番号684、配列番号、配列番号685、配列番号686、配列番号695、配列番号724、配列番号725、配列番号726、配列番号727、配列番号732、配列番号733、配列番号734、配列番号735、配列番号743、配列番号744、配列番号745、配列番号746、配列番号669、配列番号670、配列番号671、配列番号672、配列番号673、配列番号674、配列番号675、配列番号676、配列番号677、配列番号678、配列番号688、配列番号689、配列番号690、配列番号691、配列番号692、配列番号693、配列番号702、配列番号703、配列番号712、配列番号713、配列番号714、配列番号715、配列番号716、配列番号717、配列番号718又は配列番号719のいずれかとの少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有する核酸配列を含んでもよく、いくつかの態様において、そのようなバリアントは、好ましくは、配列番号667、配列番号668、配列番号679、配列番号680、配列番号681、配列番号682、配列番号683、配列番号684、配列番号、配列番号685、配列番号686、配列番号695、配列番号724、配列番号725、配列番号726、配列番号727、配列番号732、配列番号733、配列番号734、配列番号735、配列番号743、配列番号744、配列番号745、配列番号746、配列番号669、配列番号670、配列番号671、配列番号672、配列番号673、配列番号674、配列番号675、配列番号676、配列番号677、配列番号678、配列番号688、配列番号689、配列番号690、配列番号691、配列番号692、配列番号693、配列番号702、配列番号703、配列番号712、配列番号713、配列番号714、配列番号715、配列番号716、配列番号717、配列番号718又は配列番号719のポリヌクレオチド配列によりコードされる同じアミノ酸をコードする。好ましくは、ポリヌクレオチドバリアントによりコードされる抗体は、親(非バリアント)ポリヌクレオチド配列によりコードされる抗体の親和性とほぼ等しい親和性でCD38に特異的に結合する。例えば、実施例に記載の技術などの、本明細書に記載又は例示される任意の技術に従って、親和性を測定することができる。ポリヌクレオチド配列及びバリアントポリヌクレオチド配列の相補体も、本開示の範囲内にある。
【0092】
また、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターも本開示の範囲内に包含される。ベクターは、発現ベクターであってもよい。かくして、対象のポリペプチドをコードする配列を含有する組換え発現ベクターが提供される。発現ベクターは、限定されるものではないが、調節配列、選択マーカー、精製タグ、又はポリアデニル化シグナルなどの1つ又は複数のさらなる配列を含有してもよい。そのような調節エレメントは、転写プロモーター、エンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、又は転写及び翻訳の終結を制御する配列を含んでもよい。
【0093】
発現ベクター、特に、哺乳動物発現ベクターは、複製起点、発現させようとする遺伝子に連結された好適なプロモーター及びエンハンサー、他の5'若しくは3'フランキング非転写配列、5'若しくは3'非翻訳配列(必須リボソーム結合部位など)、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、又は転写終結配列などの、1つ又は複数の非転写エレメントを含んでもよい。特定の宿主中で複製する能力を付与する複製起点を組込むこともできる。
【0094】
ベクターを使用して、当業者には周知の宿主細胞、好ましくは、抗体を発現することができる宿主細胞の任意の様々なアレイを形質転換することができる。ベクターとしては、限定されるものではないが、プラスミド、ファージミド、コスミド、バキュロウイルス、バクミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、及びバキュロウイルス、並びに他の細菌、真核、酵母、及びウイルスベクターが挙げられる。好適な宿主細胞としては、限定されるものではないが、CHO細胞、HEK293細胞、又は公知の、若しくは生成された任意の安定な真核細胞株が挙げられ、細菌、酵母、及び昆虫細胞も含む。
【0095】
また、抗体をハイブリドーマ細胞により生成することもできる;ハイブリドーマを生成する方法は、当業界で周知であり、確立されている。
【0096】
インターフェロン受容体に対するリガンドの親和性を実質的に低下させる1つ又は複数の突然変異を有するインターフェロンアルファリガンドが、抗体の対応する抗原を示す標的細胞に対して突然変異インターフェロンアルファリガンドを標的化する抗CD38抗体に連結される場合、標的抗原陽性細胞に対するリガンドの活性は維持されるが、非標的抗原陰性細胞に対するリガンドの活性は実質的に減少することが、本開示に従って観察された。正味の結果は、オフターゲットリガンド活性から生じる毒性を低下させるための手段を提供する、抗原陰性非標的細胞と比較して、抗原陽性標的細胞上でのその受容体の活性化においてはるかにより高い効力を有するリガンドシグナリング分子である。
【0097】
いくつかの態様において、ポリペプチド構築物は、抗CD38抗体又はその抗原結合部分に連結されたIFN-アルファバリアントを含む。そのようなポリペプチドは、体内でCD38陰性非腫瘍細胞に対してはるかにより低い効力を示しながら、高い効力で、CD38陽性腫瘍細胞に対してIFNの抗増殖活性を示すことができる。
【0098】
本開示はまた、本開示の抗体と抗体-弱毒化インターフェロン構築物とを含む組成物も提供する。これらの組成物は、限定されるものではないが、1つ又は複数の希釈剤、結合剤、安定剤、バッファー、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバント、又は他の好適な担体及び/若しくは賦形剤などの、少なくとも1つの任意の好適な補助剤をさらに含んでもよい。薬学的に許容される補助剤が好ましい。組成物は、本明細書に記載及び/又は例示される、任意の抗体と、抗体-弱毒化インターフェロン構築物と、薬学的に許容される担体などの許容される担体とを含んでもよい。好適な担体は、抗体及び/又はインターフェロンの生物活性に干渉しない任意の媒体を含み、好ましくは、それが投与される宿主にとって非毒性的である。担体は、水、塩水、若しくはアルコール、又は生理的に適合するバッファー、例えば、ハンクス液、リンゲル液、若しくは生理食塩バッファーなどの水性溶液であってもよい。担体は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤(formulatory agent)を含有してもよい。
【0099】
組成物中で有用な薬学的賦形剤及び添加剤としては、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類及びオリゴ糖などの糖;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖及び他の公知の糖などの誘導体化糖;並びに多糖類又は糖ポリマー)が挙げられ、単独で、又は組合せで、任意の好適な質量又は容量を含む、単独で、又は組合せ中に存在してもよい。例示的なタンパク質賦形剤としては、血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン、及び他の公知のタンパク質が挙げられる。緩衝化能力においても機能し得る代表的なアミノ酸としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、及びアスパルテームが挙げられる。1つの好ましいアミノ酸は、ヒスチジンである。第2の好ましいアミノ酸は、アルギニンである。
【0100】
組成物中での使用にとって好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、及びソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、及びセロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、及びデンプンなどの多糖類;並びにマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、及びミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本開示における使用のための好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0101】
抗体組成物はまた、バッファー又はpH調整剤を含んでもよい;典型的には、バッファーは、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的なバッファーとしては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、カルボン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩;Tris、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸バッファーが挙げられる。本発明の組成物中での使用のための好ましいバッファーは、クエン酸塩などの有機酸塩である。
【0102】
さらに、本開示の組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、抗微生物剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN(登録商標)20」及び「TWEEN(登録商標)80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー性賦形剤/添加剤を含んでもよい。
【0103】
また、組成物を、持続放出媒体又はデポー調製物中で製剤化することもできる。例えば、組成物を、好適なポリマー性若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳濁液として)若しくはイオン交換樹脂と共に、又はやや溶けにくい誘導体として、例えば、やや溶けにくい塩として製剤化することができる。リポソーム及び乳濁液は、疎水性薬物のための担体としての使用にとって好適な送達媒体の周知の例である。
【0104】
組成物を、任意の好適な剤形中での対象への投与のために製剤化することができる。組成物を、経口、頬、経鼻、経皮、非経口、注射、静脈内、皮下、筋肉内、直腸、又は経膣投与のために製剤化することができる。組成物を、アジュバントと共に、又はデポー製剤として、好適な制御放出媒体中で製剤化することができる。
【0105】
非経口投与のための調製物としては、注射できる状態にある滅菌溶液、皮下注射錠剤などの、使用直前に溶媒と組み合わせることができる状態にある滅菌乾燥溶解性生成物、注射できる状態にある滅菌懸濁液、使用直前に媒体と組み合わせることができる状態にある滅菌乾燥不溶性生成物並びに滅菌乳濁液が挙げられる。
【0106】
抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を使用して、例えば、CD38を表面に発現した細胞の増殖を阻害する、減少させる、低下させる、遮断する、又は防止することができる。いくつかの態様において、CD38を表面に発現する細胞の増殖を阻害するか、又は減少させるための方法は一般に、CD38を発現する細胞と、細胞の増殖を阻害するか、又は減少させるのに有効な量の抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物とを接触させることを含む。CD38に特異的に結合する抗体は、本明細書に記載又は例示される任意の抗体であってもよい。弱毒化インターフェロンアルファ2bは、IFN-アルファ2b A145D又はIFN-アルファ2b A145Gを含んでもよい。細胞は、リンパ球、自己免疫性リンパ球、又は白血病細胞、多発性骨髄腫細胞、若しくはリンパ腫細胞などの腫瘍細胞であってもよい。抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物は、例えば、薬学的に許容される担体及び場合により、本明細書に記載又は例示される任意のそのような担体、補助剤、又は賦形剤などの1つ又は複数の補助剤又は賦形剤と共に組成物中に含まれていてもよい。前記方法を、in vitro、ex vivo、in vivo、又はin situで実行することができる。
【0107】
抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を使用して、例えば、CD38を表面に発現した細胞のアポトーシスを誘導する、容易にする、又は増強することもできる。いくつかの態様において、CD38を表面に発現する細胞におけるアポトーシスを誘導するための方法は、一般に、CD38を発現する細胞と、細胞におけるアポトーシスを誘導するのに有効な量の抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物とを接触させることを含む。CD38に特異的に結合する抗体は、本明細書に記載又は例示される任意の抗体であってもよい。弱毒化インターフェロンアルファ2bは、IFN-アルファ2b A145D又はIFN-アルファ2b A145Gを含んでもよい。細胞は、リンパ球、自己免疫性リンパ球、又は白血病細胞、多発性骨髄腫細胞、若しくはリンパ腫細胞などの腫瘍細胞であってもよい。抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物は、例えば、薬学的に許容される担体及び場合により、本明細書に記載又は例示される任意のそのような担体、補助剤、又は賦形剤などの1つ又は複数の補助剤又は賦形剤と共に組成物中に含まれていてもよい。前記方法を、in vitro、ex vivo、in vivo、又はin situで実行することができる。
【0108】
抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を使用して、CD38を表面に発現する細胞を含む、及び/又は少なくとも部分的には、それにより媒介される腫瘍を有する対象を処置することもできる。いくつかの態様において、CD38を表面に発現する細胞を含む腫瘍を処置するための方法は一般に、それを必要とする対象に、対象中の腫瘍を処置するのに有効な量の抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を投与する工程を含む。有効な処置は、例えば、腫瘍中のCD38陽性細胞の増殖を阻害すること、若しくは減少させること、及び/又は腫瘍中のCD38陽性細胞のアポトーシスを誘導することを含んでもよい。CD38に特異的に結合する抗体は、本明細書に記載又は例示される任意の抗体であってもよい。弱毒化インターフェロンアルファ2bは、IFN-アルファ2b A145D又はIFN-アルファ2b A145Gを含んでもよい。抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物は、例えば、薬学的に許容される担体及び場合により、本明細書に記載又は例示される任意のそのような担体、補助剤、又は賦形剤などの1つ又は複数の補助剤又は賦形剤と共に組成物中に含まれていてもよい。
【0109】
抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物又はそのような構築物を含む組成物を、組成物の構築物を血液に投与することによって腫瘍に投与することができる。抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物又はそのような構築物を含む組成物を、構築物が血流を介して、及び/又は腫瘍細胞中に拡散するように投与することができる。構築物は、腫瘍細胞により内在化されてもよい。
【0110】
腫瘍の処置における抗CD38抗体又は抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物の使用が提供される。抗CD38抗体又は抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を使用して腫瘍を処置するための方法が提供される。本明細書に記載又は例示される任意の抗CD38抗体又は抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を使用することができる。処置することができる腫瘍としては、限定されるものではないが、AIDS関連がん、聴神経腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺嚢癌腫、副腎皮質がん、特発性骨髄化生、脱毛症、胞巣状軟部肉腫、肛門がん、血管肉腫、再生不良性貧血、星状細胞腫、毛細血管拡張性運動失調症、基底細胞癌(皮膚)、膀胱がん、骨がん、腸がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍及びCNS腫瘍、乳がん、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頸がん、小児脳腫瘍、小児がん、小児白血病、小児軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、腺管癌、内分泌がん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫、肝外胆管がん、眼のがん、眼:メラノーマ、網膜芽腫、卵管がん、ファンコニ貧血、線維肉腫、胆嚢がん、胃がん(gastric cancer)、消化管がん、消化管カルチノイド腫瘍、泌尿生殖器がん、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、グリオーマ、婦人科がん、血液悪性腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、遺伝性乳がん、組織球増殖症、ホジキン病、ヒトパピローマウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭がん、眼内メラノーマ、島細胞がん、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、喉頭がん、平滑筋肉腫、白血病、リー・フラウメニ症候群、口唇がん、脂肪肉腫、肝臓がん、肺がん、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳がん、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽腫、メラノーマ、メルケル細胞がん、中皮腫、転移がん、口腔がん、多発性内分泌腺腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、鼻腔がん、鼻咽頭がん、腎芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫症、ナイミーヘン染色体不安定症候群、非メラノーマ皮膚がん、非小細胞肺がん(NSCL
C)、眼がん、食道がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、オストミー卵巣がん(ostomy ovarian cancer)、膵臓がん、副鼻腔がん、副甲状腺がん、耳下腺がん、陰茎がん、末梢神経外胚葉腫瘍、下垂体がん、真性赤血球増加症、前立腺がん、珍しいがん及び関連する障害、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ロトムンド・トムソン症候群、唾液腺がん、肉腫、神経鞘腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん(SCLC)、小腸がん、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌(皮膚)、胃がん(stomach cancer)、滑膜肉腫、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、移行上皮がん(膀胱)、移行上皮がん(腎盂/尿管)、トロホブラストがん、尿道がん、泌尿器系がん、ウロプラキン(uroplakin)、子宮肉腫、子宮がん、膣がん、外陰がん、ワルデンストレームマクログロブリン血症並びにウィルムス腫瘍が挙げられる。ある実施形態において、腫瘍は多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫の群から選択される。
【0111】
好ましい態様において、前記方法は、それを必要とする対象における多発性骨髄腫、白血病、又はリンパ腫の処置のために使用される。そのような方法は、対象を、オールトランス型レチノイン酸などのレチノイドで処置することをさらに含んでもよい。細胞表面に結合した抗原がCD38であるいくつかの好ましい態様においては、腫瘍又はがんを、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病又は急性骨髄性白血病から選択することができる。
【0112】
抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を、他の薬物と組み合わせる、及び/又は放射線療法若しくは手術などの、他のがん処置レジメン若しくはモダリティに加えて使用することができる。抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物が公知の治療剤と組み合わせて使用される場合、その組合せを順番に(連続的に、若しくは処置なしの期間で分割して)、又は同時に、又は混合物として投与することができる。がんの場合、本文脈で用いることができるいくつかの公知の抗がん剤がある。組合せ処置はまた、例えば、維持療法として、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物による処置、次いで、公知の処置、又は公知の薬剤による処置、次いで、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物による処置を包含することも企図される。例えば、がんの処置においては、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を、アルキル化剤(メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イフォスファミドシスプラチン、若しくはシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなどの白金含有アルキル化剤など)、代謝拮抗剤(プリン若しくはピリミジン類似体又はアザチオプリン及びメルカプトプリンなどの抗葉酸剤など)、アントラサイクリン(ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシンイダルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、若しくはアントラサイクリン類似体など)、植物アルカロイド(ビンカアルカロイド又はビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、パクリタキセル若しくはドセタキセルなどのタキサンなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(I型若しくはII型トポイソメラーゼ阻害剤など)、ポドフィロトキシン(エトポシド若しくはテニポシドなど)、又はチロシンキナーゼ阻害剤(イマチニブメシレート、ニロチニブ、若しくはダサチニブなど)と組み合わせて投与することができることが企図される。
【0113】
多発性骨髄腫の処置の場合、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を、デキサメタゾンなどのステロイド、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ若しくはカルフィルゾミブなど)、免疫調節薬(サリドマイド、レナリドミド若しくはポマリドミドなど)、又は誘導化学療法剤の投与、次いで、メルファラン塩酸塩などの他の化学療法剤又は上に列挙された化学療法剤を用いるか、又は用いない自己造血幹細胞移植による対象の処置などの他の好適な療法と組み合わせて投与することができる。
【0114】
ホジキンリンパ腫の処置の場合、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を、ABVD(アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ブレオマイシン、ビンブラスチン、及びデカルバジン)、又はStanford V(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、メクロレタミン、エトポシド、プレドニゾン)、又はBEACOPP(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、プロカルバジン、エトポシド、プレドニゾン)などの現在の治療アプローチと組み合わせて投与することができる。
【0115】
非ホジキンリンパ腫又は他のリンパ腫の場合、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を、現在の治療アプローチと組み合わせて投与することができる。非ホジキンリンパ腫のために認可された薬物の例としては、Abitrexate(メトトレキサート)、Adriamycin PFS(ドキソルビシン塩酸塩)、Adriamycin RDF(ドキソルビシン塩酸塩)、Ambochlorin(クロラムブシル)、Amboclorin(クロラムブシル)、Arranon(ネララビン)、ベンダムスチン塩酸塩、Bexxar(トシツモマブ及びヨウ素I131トシツモマブ)、Blenoxane(ブレオマイシン)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、クロラムブシル、Clafen(シクロホスファミド)、シクロホスファミド、Cytoxan(シクロホスファミド)、DenileukinDiftitox、DepoCyt(リポソームシタラビン)、ドキソルビシン塩酸塩、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、Folotyn(プララトレキサート)、イブリツモマブチウキセタン、Istodax(ロミデプシン)、Leukeran(クロラムブシル)、Linfolizin(クロラムブシル)、リポソームシタラビン、Matulane(プロカルバジン塩酸塩)、メトトレキサート、Methotrexate LPF(メトトレキサート)、Mexate(メトトレキサート)、Mexate-AQ(メトトレキサート)、Mozobil(プレリキサフォル)、ネララビン、Neosar(シクロホスファミド)、Ontak(デニロイキンジフチトックス)、プレリキサフォル、プララトレキサート、Rituxan(リツキシマブ)、リツキシマブ、ロミデプシン、トシツモマブ及びヨウ素I131トシツモマブ、Treanda(ベンダムスチン塩酸塩)、Velban(ビンブラスチン硫酸塩)、Velcade(ボルテゾミブ)、並びにVelsar(ビンブラスチン硫酸塩)、ビンブラスチン硫酸塩、Vincasar PFS(ビンクリスチン硫酸塩)、ビンクリスチン硫酸塩、ボリノスタット、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Zolinza(ボリノスタット)が挙げられる。非ホジキンリンパ腫を処置するのに使用される組合せ薬物の例としては、CHOP(C=シクロホスファミド、H=ドキソルビシン塩酸塩(ヒドロキシダウノマイシン)、O=ビンクリスチン硫酸塩(Oncovin)、P=プレドニゾン);COPP(C=シクロホスファミド、O=ビンクリスチン硫酸塩(Oncovin)、P=プロカルバジン塩酸塩、P=プレドニゾン);CVP(C=シクロホスファミド、V=ビンクリスチン硫酸塩、P=プレドニゾン);EPOCH[E=エトポシド、P=プレドニゾン、O=ビンクリスチン硫酸塩(Oncovin)、C=シクロホスファミド、H=ドキソルビシン塩酸塩(ヒドロキシダウノマイシン)];ICE(I=イフォスファミド、C=カルボプラチン、E=エトポシド)及びR-CHOP(R=リツキシマブ、C=シクロホスファミド、H=ドキソルビシン塩酸塩(ヒドロキシダウノマイシン)、O=ビンクリスチン硫酸塩(Oncovin)、P=プレドニゾン)が挙げられる。
【0116】
抗CD38抗体、又は抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を使用して、CD38陽性腫瘍細胞などのCD38陽性細胞を検出することができる。いくつかの態様において、これらの構築物を、抗CD38抗体、又は抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物と、対象から単離された組織試料とを接触させる工程、及び組織試料中の抗体又は構築物とCD38陽性細胞との複合体を検出する工程を一般に含んでもよい、対象から単離された組織試料中のCD38陽性腫瘍細胞を検出するための方法において使用することができる。組織試料は、好ましくは血液である。細胞は、CD38陽性B細胞リンパ腫細胞、多発性骨髄腫細胞、非ホジキンリンパ腫細胞、慢性骨髄性白血病細胞、慢性リンパ性白血病細胞、又は急性骨髄性白血病細胞であってもよい。前記方法は、対象から組織試料を単離する工程をさらに含んでもよい。
【0117】
本開示はまた、本明細書に記載及び例示される任意の抗体及び抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物を含むキットを特徴とする。キットを使用して、特に、診断、基礎研究、又は治療方法における使用のための抗体及び他の薬剤を供給することができる。
【0118】
いくつかの態様において、キットは、構築物が場合により薬学的に許容される担体を含む組成物中に含まれる、抗CD38抗体-弱毒化インターフェロンアルファ-2b融合構築物と、CD38を表面に発現する腫瘍細胞の増殖を阻害するか、若しくは減少させるための1つ若しくは複数の方法、CD38を表面に発現する腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導するための方法、並びに/又はCD38を表面に発現する細胞を含む、及び/若しくはそれにより媒介される腫瘍を処置するための方法においてキットを使用するための説明書とを含む。そのような方法は、本明細書に記載又は例示される任意の方法であってもよい。キットは、薬学的に許容される担体を含んでもよい。キットは、薬学的に許容される補助剤及び/又は1つ若しくは複数の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。キットにおいて、抗CD38抗体は本明細書に記載又は例示される任意の抗体であってもよく、弱毒化インターフェロンアルファ-2bは本明細書に記載又は例示される任意の弱毒化インターフェロンアルファ-2bを含んでもよい。前記構築物は、注射若しくは静脈内投与できる状態にある滅菌溶液中に含まれるか、又は使用直前に担体と組み合わせることができる状態にある滅菌凍結乾燥形態を含んでもよい。
【0119】
いくつかの態様において、キットは、抗CD38抗体と、対象から単離された組織試料などの試料中のCD38陽性細胞を検出するための方法においてキットを使用するための説明書とを含む。抗CD38抗体は、本明細書に記載又は例示される任意の抗体であってもよい。抗体は、場合により、弱毒化インターフェロンアルファ-2bタンパク質に融合することができる。
【0120】
以下の実施例は、本開示をより詳細に説明するために提供される。それらは本開示を例示することを意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0121】
X355/02-HC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4の最適化
他の抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質は、PCT出願番号PCT/AU2012/001323に記載されている。これらのものは、このPCT出願においてX355/02-HC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4と命名された抗体構築物を含む。本明細書では、X355/02-HC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4は、A02.1と改名された。抗体の重鎖配列は配列番号11のアミノ酸配列を含み、軽鎖配列は配列番号12のアミノ酸配列を含む。A02.1の可変軽鎖(配列番号14)を、S228P置換(EU番号付け)を含有するヒトIgG4定常領域(配列番号3)上で形式化されたその可変重鎖A02.1(配列番号13)と同時発現した。この抗体は本明細書ではX02.1と呼ばれ、A02.1はIFN-アルファ2bとの融合物を含むが、両抗体が同一の重鎖及び軽鎖配列を共有するにも拘らず、X02.1はそれを含まない。
【0122】
ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子のデータベースに対するBLAST検索(Altschul SF (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389〜3402頁)を、X02.1の可変重鎖のアミノ酸配列を用いて実施した。最も近いヒト生殖系列可変重鎖遺伝子は、IGHV4-61
*01(配列番号16)であった。X02.1 VHとIGHV4-61
*01のアラインメントを、
図2に示す。X02.1可変重鎖領域は、その最も近い生殖系列アミノ酸配列と8アミノ酸異なる。X02.1重鎖可変領域の免疫原性を低下させるために、生殖系列アミノ酸残基置換を、生殖系列配列と異なる残基で生成し、得られる抗体バリアントを抗CD38抗体結合活性について試験することができる。
【0123】
X02.1親配列のいくつかの重鎖バリアントを、
図2に詳述する。これらの重鎖可変領域を、IgG4 S228P定常領域上で形式化し、A02.1軽鎖と同時発現させた。Table 1a(表2)及びTable 1b(表3)は、フローサイトメトリー及び表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて評価した場合にヒトCD38に結合するその能力と共に試験したバリアントの配列を詳述するものである。簡単に述べると、抗体鎖をCHO細胞中で一過的に同時発現させ、実施例5に記載のプロテインAクロマトグラフィーにより精製した。実施例5に記載のフロー結合アッセイを用いて、バリアントを評価した。それぞれの抗体について得られた用量応答曲線のEC
50も、Table 1a(表2)及びTable 1b(表3)に記載する。
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
Table 1a(表2)に詳述されたバリアントのSPR結合を、Table 1b(表3)のものと別々に評価した。親抗体X02.1のK
D(M)は、SPR結合実験において2.7×10
-8〜3.78×10
-10の範囲であった。フローサイトメトリー結合実験により、抗体X02.8、X02.11、X02.69及びX02.71はCD38陽性細胞株ARP-1に強く結合することが示された。
【0127】
続いて、上記のアミノ酸置換を有する抗体を、弱毒化IFN-アルファ2bへのコンジュゲーションによる融合タンパク質の文脈で探索した(A02と呼ばれ、IFNに連結した場合、X02指定を有する同じバリアントを表す小数点以下の数字を有する)。これらの重鎖可変領域を、A145D弱毒化IFN-アルファ2bに融合したS228P置換を含むIgG4定常領域上で形式化し、CHO又はHEK細胞中で、実施例5に記載のA02.1軽鎖と同時発現させた。次いで、細胞上清から上手く精製されたタンパク質を、細胞株ARP-1へのフロー結合アッセイ中で試験した。それぞれの抗体に関する用量応答曲線のEC
50値を、Table 2(表4)に記載する。試験した全ての抗体-弱毒化IFN融合構築物は、CD38陽性細胞株ARP-1に結合した。重鎖バリアントX02.9(IFNに融合していない)は容易に精製することができなかったが、IFNに融合した同一のバリアント(A02.9)は精製されたことが観察された。いくつかの事例では、同等のモノクローナル抗体を発現させる、及び/又は精製することがより困難であると考えられる場合、弱毒化IFN融合タンパク質を発現及び精製することができた。
【0128】
【表4】
【0129】
A02.1可変軽鎖のアミノ酸配列を用いるBLAST検索を、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子のデータベースに対して実施した。最も近いヒト生殖系列可変軽鎖遺伝子はIGLV5-37
*01であった。A02.1VLとIGLV5-37
*01のアミノ酸配列アラインメントを、
図3に記載する。このアラインメントは、これらの配列間の12アミノ酸の相違を例示する。
【0130】
いくつかのアミノ酸置換を、X02.1可変軽鎖中で作製した。これらの置換を、
図3に示す。これらの軽鎖可変領域と、S228P置換を含有するIgG4定常領域上で形式化されたX02.1可変重鎖との同時発現を、実施例5に記載のようにCHO細胞中で実施した。
【0131】
続いて、CHO細胞上清から精製された抗体を、CD38陽性細胞株ARP-1へのフローサイトメトリーに基づく結合アッセイにおいて試験した。Table 3(表5)は、それぞれの抗体について得られた用量応答曲線のEC
50値を詳述する。
【0132】
【表5】
【0133】
抗体X02.96、X02.99、X02.101、X02.102、X02.103及びX02.104はCD38陽性ARP-1細胞株に強く結合した。X02.105は、CD38陽性H929細胞株に強く結合することができた。
【0134】
X02.1及びA02.1の可変重鎖配列のアミノ酸配列分析により、酸化又は異性化を潜在的に受け得るアミノ酸が同定された。これらのものは、D101に潜在的な異性化部位及びM(100C)に潜在的な酸化部位を含む。潜在的な異性化及び酸化部位を除去するために、以下のようなアミノ酸置換を作製した:D(101)E(配列番号30)、M(100C)L(配列番号29)及びD(101)EとM(100C)Lの双方の組合せ(配列番号27)(
図2)。Table 4(表6)に示されるように可変重鎖中でこれらのアミノ酸置換の組合せを用いて抗体を作製した。抗体重鎖可変領域を、S228P置換を含有するIgG4定常領域を用いて形式化し、CHO細胞中でA02.1軽鎖と同時発現させた。次いで、抗体をプロテインAクロマトグラフィーにより精製し、フローサイトメトリーによりARP-1細胞への結合についてスクリーニングした。得られた結合データを、Table 4(表6)に示す。
【0135】
【表6】
【0136】
抗体X02.76及びX02.77はARP-1細胞株へのその強い結合を維持したが、これは、X02.1及びA02.1重鎖中の潜在的な酸化部位及び異性化部位を除去するためのアミノ酸置換がそのCD38結合活性に対してほとんど影響しなかったことを示している。抗体X02.74を形成するためのこれらの置換の組合せは、実施例5におけるプロトコールを用いて精製しなかった抗体をもたらした。
【0137】
X02.1及びA02.1の可変軽鎖配列のアミノ酸分析により、酸化又は脱アミド化を潜在的に受け得るアミノ酸が同定された。これらのものは、N69に潜在的な脱アミド化部位及びM89に潜在的な酸化部位を含んでいた。さらに、推定N結合グリコシル化部位は、N94位で軽鎖のCDR3内に存在すると予測された。N結合グリカンの存在は、治療タンパク質における不均一性を引き起こし、開発を複雑化し得る。これらの潜在的な問題を除去するために、以下の点バリアントを合成した:N69A(配列番号39)、M89L(配列番号52)及びM89I(配列番号51)、N94T(配列番号48)、N94Q(配列番号38)、G95P(配列番号50)及びS96A(配列番号45)(
図3を参照されたい)。抗体を、Table 5(表7)に記載のようにCHO細胞中での重鎖と軽鎖の同時発現によって作成した。抗体をプロテインAクロマトグラフィーにより精製し、フローサイトメトリーによりARP-1細胞への結合についてスクリーニングした。得られた結合データを、Table 5(表7)に提示する。
【0138】
【表7】
【0139】
X02.94はCD38陽性細胞株ARP-1に結合したが、これは、M89L置換がCD38結合活性にほとんど影響しなかったことを示している。抗体X02.80中でのN94Q置換は、潜在的なN結合グリコシル化モチーフを除去し、フローサイトメトリーにより測定された場合、CD38結合活性に対する影響は最小であった(Table 5(表7))。このグリコシル化モチーフを除去する他の置換は、容易に精製することができない抗体又はCD38陽性細胞株ARP-1への減衰した結合を示す抗体をもたらした。69位の潜在的な脱アミド化部位を、アラニンへの置換により除去したが、この抗体(X02.81)は容易に精製されなかった。
【0140】
X02.1可変重鎖バリアントを含む、試験した他の抗体を、Table 6(表8)に列挙する。これらの重鎖可変領域を、S228P置換を含有するIgG4定常領域上で形式化した。これらの重鎖を、CHO細胞中でA02.1軽鎖と同時発現させた。抗体を発現させ、得られる抗体を、CD38陽性細胞ARP-1への結合についてフローサイトメトリーに基づくアッセイにおいて試験した。T23K(配列番号21;X02.68)を除いて、全ての可変重鎖置換が、フローサイトメトリーに基づくアッセイにおいてCD38陽性細胞株ARP-1への結合に対する影響は最小であった。
【0141】
【表8】
【0142】
X02.1配列中に他の軽鎖可変領域置換を含む抗体も生成した。これらのバリアント軽鎖を、S228P置換を含有するIgG4定常領域上で形式化されたX02.1重鎖と組み合わせて、実施例5に記載のようにCHO細胞中で発現させた。これらの抗体バリアントを生成するために用いられた重鎖と軽鎖の概要を、Table 7(表9)に記載する。抗体X02.83、X02.85、X02.91、X02.82は、CD38陽性細胞株ARP-1に強く結合した。
【0143】
【表9】
【0144】
続いて、CD38結合活性及びX02バリアント抗体の精製にほとんど影響しない置換をA145D弱毒化IFN-アルファ2bへの融合により武装抗体として生成した。X02.1軽鎖置換を組み合わせ、得られたバリアントを、Table 8(表10)に列挙されるように、HEK293E細胞中でX02.1重鎖の点バリアント及び組合せバリアントと同時発現させた。これらの抗体は主に、潜在的なX02.1軽鎖脱アミド化部位、X02.1重鎖のCDR3に由来する酸化部位及びin silico分析(Epibase、Lonza社、UK)により予測されたX02.1重鎖のフレームワーク領域3に由来する推定強力MHCクラスII結合ペプチドを除去することに焦点を当てたものであった。
図4。
【0145】
【表10】
【0146】
Table 8(表10)に列挙された抗体を、表面プラズモン共鳴(SPR)によりタンパク質発現及びCD38への結合について分析した。また、効力アッセイを、トランスフェクトされた細胞から取得された細胞培養上清を用いて実施して、実施例5に概略されるように、これらの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質のそれぞれの相対活性を評価した。得られたデータを、Table 9(表11)に記載する。
【0147】
【表11】
【0148】
試験したタンパク質のうち、A02.12は良好に発現され、アネキシンV、カスパーゼ及び細胞増殖アッセイにおいて効力を示した。抗体A02.47中でのN69Tの置換は、アネキシンV又はカスパーゼアッセイにおいて発現レベル又は効力に影響しなかったが、これは、この脱アミド化部位の除去が可能であることを示している。N69T置換を本明細書に記載の他の構築物に組み込んで、得られる抗体の機能的活性の喪失を最小にしながら、この推定脱アミド化部位を除去することができた。
【実施例2】
【0149】
A02.1軽鎖アミノ酸配列のin silico免疫原性分析
推定免疫原性エピトープを、Epibase分析ソフトウェア(Lonza社、UK)を用いてA02.1の軽鎖可変領域アミノ酸配列中で同定した。推定免疫原性エピトープを除去するために、A02.1可変軽鎖中に置換を導入した(
図4)。より低い推定免疫原性を有する軽鎖を、A145D-弱毒化IFNに融合したS228P置換を含有するIgG4定常領域上で形式化されたA02.12重鎖可変領域(配列番号34)と共にHEK293E細胞中で同時発現させた。生成された抗体バリアントを、Table 10(表12)に詳述する。
【0150】
【表12A】
【0151】
【表12B】
【0152】
上記抗体を、SPRによりタンパク質発現、CD38への結合について分析し、実施例5に記載のように細胞培養上清スクリーニングを用いて効力について分析した。これらのアッセイの結果を、Table 11(表13)に詳述する。これらのデータは、抗体の予測される免疫原性を低下させるためのいくつかの残基の置換により、アネキシンV、カスパーゼ及び細胞増殖アッセイにおいて発現し、機能的効力を有する抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質が得られることを示している。
【0153】
【表13】
【実施例3】
【0154】
複数のアミノ酸置換はA02.1バリアントの最適化をもたらす
単一の遺伝子構築物中で上記の抗CD38抗体の免疫原性、製造性又は効力を改善する置換を組み合わせることにより、高度に最適化された抗CD38抗体及び抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質を取得した。Table 12(表14)は、そのような組合せ置換をまとめたものであり、HEK293E細胞中で同時発現された後、試験された重鎖と軽鎖との組合せを詳述するものである。
【0155】
【表14A】
【0156】
【表14B】
【0157】
Table 12(表14)に記載されたそれぞれの抗体を、SPRによりタンパク質発現、CD38への結合について分析し、細胞培養上清を用いて効力について分析した。得られたデータを、Table 13(表15)に記載する。これらの結果は、in silicoで有益であると予測される置換を組み合わせることにより、アネキシンV、カスパーゼ及び細胞増殖アッセイにおいて発現し、機能的効力を有するいくつかの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質が得られたことを示している。
【0158】
【表15】
【実施例4】
【0159】
異なる重鎖と軽鎖の抗CD38抗体の対形成
機能的な抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質を得ることができるかどうかを決定するために、PCT/AU2012/001323に記載の抗体X910/12-HC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4に由来する重鎖(配列番号110)及び軽鎖(配列番号112)、並びにPCT/AU2012/001323に記載の抗体X913/15-HC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4に由来する重鎖(配列番号111)及び軽鎖(配列番号113)を、様々な組合せで互いに、並びに以下の実施例に記載の重鎖及び軽鎖と対形成させた。重鎖と軽鎖との対の概要を、Table 14(表16)に列挙する。
【0160】
【表16】
【0161】
生成されたそれぞれの抗体を、SPRによりタンパク質発現、CD38への結合について分析し、細胞培養上清効力アッセイを用いて効力について分析した。これらのアッセイの結果を、Table 15a(表17)に提示する。これらのデータは、異なる抗体に由来する異なる重鎖と軽鎖の対形成により、アネキシンV、カスパーゼ及び細胞増殖アッセイにおいて発現し、機能的効力を有するいくつかの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質が得られたことを示す。
【0162】
【表17】
【0163】
上記の抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質の選択物を精製し、細胞に基づくアッセイにおいてCD38陽性細胞への結合について分析した。さらに、効力アッセイを繰り返して、それぞれの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質の相対的活性のより正確な決定を得た。これらのアッセイの結果を、Table 15b(表18)に記載する。
【0164】
【表18】
【0165】
図5は機能的活性を有するA02.1の関連構築物のコンセンサス可変重鎖を列挙し、
図6はそのコンセンサス可変軽鎖を列挙する。抗CD38抗体X02.114、X02.115、X02.116、X02.117、X02.118、X02.119(
図6)、X02.120、X02.121、X02.122、X02.123、X02.124、X02.125、X02.126又はX02.127(
図30)について記載されたものなどの、置換の組合せを作製することができることがさらに想定され得る。さらに、上記の抗CD38抗体を、抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質として構築し、本明細書に記載のように機能的活性について試験することもできた。
【0166】
H929多発性骨髄腫異種移植モデル
A02.1のin vivoでの効力を、実施例5に記載されるようなNCI-H929 s.c.多発性骨髄腫モデルにおいて予め試験した。A02.1は、強力な抗腫瘍活性を有することが示された。データは、PCT/AU2012/001323に提示されている。
【0167】
H929多発性骨髄腫異種移植モデルを用いて、上記の抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質のいずれかの抗腫瘍活性を試験することができた。
【0168】
腫瘍細胞株における強力なアポトーシス活性及びカスパーゼ活性化のために弱毒化IFNが必要である
アネキシンVアッセイ及びカスパーゼアッセイを用いて、強力なアポトーシス活性及びカスパーゼ活性化が弱毒化IFNを含有する抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質に依存することが示された(Table 16a(表19)、
図18)。アネキシンVアッセイにおいて、弱毒化IFN含有タンパク質(A02.1及びA02.6)は、弱毒化IFNを含有しないタンパク質(X02.1及びX02.6)よりも2倍高い活性を有していた。
【0169】
【表19】
【実施例5】
【0170】
一般的方法
HEK-293E細胞中での抗体及び抗体-融合構築物の生成。タンパク質構築物をコードするDNAプラスミド(抗体及び抗体-IFN-アルファ2b関連構築物)を、HiSpeed Plasmid Maxiキット(Qiagen社、Valencia、CA)を用いて調製した後、市販のトランスフェクション試薬及びOptiMEM培地(Invitrogen社、Carlsbad、CA)を用いて、HEK293E細胞(CNRC社、Montreal、Canada)中にトランスフェクトし、0.45%(w/v)のD-(+)-グルコース(Sigma社、Castle Hill、NSW)、25μg/mLのゲネチシン(Invitrogen社、Carlsbad、CA)、及び1x GlutaMAX(Invitrogen社、Carlsbad、CA)を添加したF17合成培地中で増殖させた。5%CO
2を供給し、120rpmで振とうしながらインキュベータ中で6日間発現させた後、培養培地を単離し、Protein A Mab Select SuRe(商標)アガロースビーズ(GE Healthcare社、Piscataway、NJ)を用いる親和性精製にかけた。精製されたタンパク質構築物を、PD Midi-Trap G-25カラム(GE Healthcare社、Piscataway、NJ)又はHiPrep 26/10脱塩カラム(HiTrap Desalting HiPrep 26/10 Desalting)を用いて、0.2MアルギニンHCl、25mMクエン酸、71.5mM水酸化ナトリウム、pH6.0中でバッファー交換した。次いで、精製されたタンパク質構築物を、50kDa Amicon Ultra遠心分離フィルター装置(Millipore社、Billerica、MA)を用いて濃縮した後、280nmで吸光度を読み取ることによりタンパク質濃度を決定した。
【0171】
CHO細胞中での抗体及び抗体-融合構築物の生成
タンパク質構築物をコードするDNAプラスミド(抗体及び抗体-IFN-アルファ2b関連構築物)を、HiSpeed Plasmid Maxi Kit(Qiagen社、Valencia、CA)を用いて調製した後、市販のトランスフェクション試薬及びOptiPro SFM(商標)培地(Invitrogen社、Carlsbad、CA)を用いて、CHO細胞(Lonza社)中にトランスフェクトし、Freestyle(商標)CHO Expression Medium(Invitrogen社、Carlsbad、CA)中で増殖させた。10%CO
2を供給し、120rpmで振とうしながらインキュベータ中で6日間発現させた後、培養培地を単離し、Protein A Mab Select SuReアガロースビーズ(GE Healthcare社、Piscataway、NJ)を用いる親和性精製にかけた。精製されたタンパク質構築物を、PD Midi-Trap G-25カラム(GE Healthcare社、Piscataway、NJ)又はHiPrep 26/10脱塩カラム(HiTrap Desalting HiPrep 26/10 Desalting)を用いて、0.2MアルギニンHCl、25mMクエン酸、71.5mM水酸化ナトリウム、pH6.0中でバッファー交換した。次いで、精製されたタンパク質構築物を、50kDa Amicon Ultra遠心分離フィルター装置(Millipore社、Billerica、MA)を用いて濃縮した後、280nmで吸光度を読み取ることによりタンパク質濃度を決定した。
【0172】
表面プラズモン共鳴(SPR)により測定されたCD38への抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質結合。ヒトCD38に結合する抗CD38抗体及び抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質の能力を、非特異的結合還元剤(GE Healthcare社、Piscataway、NJ)と7:1で調製された未精製のトランスフェクトされた細胞の上清を用いて測定した。簡単に述べると、Biacore(商標)3000又はT200を用いて、プロテインAを、アミンカップリングを用いてCM5研究等級のセンサーチップのフローセル(FC)1(FC1)及びFC2(又は或いは、FC3及びFC4)上に固定したところ、約1500RUが得られた。FC2(又はFC4)を、実験を通して参照として用いた。実験を、HBS-P+バッファー(0.01M HEPES、0.15M NaCl、0.005%v/v Surfactant P20、pH7.4)中で37℃で実行した。20μl/minの流速で、両フローセルを10μLの50mM水酸化ナトリウムを用いて再生した後、タンパク質を含有する40μLの上清をFC1(又はFC3)のみの上を通過させた。30μLのCD38(ランニングバッファー中の10μg/mL)又は30μLのランニングバッファーを、5分の解離時間でFC1及びFC2の上に注入した。両表面を、水酸化ナトリウムを用いて2回再生した。結果を、機械と共に提供されたBIAevaluationソフトウェアを用いて生成した。Microsoft Excelを、計算のために用いた。BIAevaluationソフトウェアは、参照センサーグラムを自動的に差し引き、各試料について微量のFC2-1(又はFC4-3)を得た。ブランクランニングバッファー注入を用いるセンサーグラムからCD38注入を用いるセンサーグラムを差し引くことにより試験されたそれぞれの抗体について、二重参照を実施した。プロテインA捕捉は、412.5sの固定された時点でのセンサーグラムから測定された応答単位を指し、これはプロテインA表面上に捕捉されたタンパク質のレベルに対応する。CD38結合は507.5sで測定された応答単位であり、タンパク質を捕捉したセンサーに結合したCD38のレベルを示す。CD38解離は865.5sで測定された応答単位であり、解離フェーズの約300s後にタンパク質を捕捉した表面に結合したCD38のレベルを示す。BIAevaluationを用いて、Langmuir 1:1式を用いてセンサーグラムを適合させて、平衡解離定数(KD)を生成した。
【0173】
プロテインA HPLC
Agilent 1100クロマトグラフィーシステムに接続されたPOROS A/20 2.1×30mm Idカラム(Applied Biosystems社)を用いるプロテインA HPLCにより、上清を分析した。カラムをPBS pH7.4で平衡化し、pH2.2に調整されたPBSを用いてタンパク質を溶出させた。PBS中の既知量のモノクローナル抗体を用いて、標準曲線を作成した。215nm又は280nmの波長でのクロマトグラムを、製造業者のソフトウェアを用いて積分し、曲線下面積(AUC)を報告し、作成された標準曲線に対して内挿し、濃度を見積もった。
【0174】
ヒトCD38陽性細胞株ARP-1及びH929への抗体及び抗CD38抗体-IFN融合タンパク質のフローサイトメトリー結合
多発性骨髄腫細胞株ARP-1は、University of Arkansas Medical Center(Little Rock、AK)のMyeloma InstituteのディレクターであるBart Barlogie MD、phDからの贈り物であった。それは、Hardin J.ら(1994) Blood. 84:3063〜70頁に記載されている。多発性骨髄腫細胞株NCI-H929(H929)は、ATCC(CRL-9068、Gazdar, Blood 67: 1542〜1549頁、1986から購入したものであった。
【0175】
フローサイトメトリーに基づくアッセイにおいて抗体又は抗体-インターフェロン構築物がヒトCD38陽性骨髄腫細胞株ARP-1又はH929に結合する能力を試験した。ARP-1細胞又はH929細胞(5×10
5個、トリパンブルー色素排除試験により判断)を、暗室中、氷上で60分間、96穴プレート中で50μLのFACSバッファー(PBS+1%ウシ胎仔血清、FCS、0.2M HEPES、0.5M EDTA)中の様々な濃度のそれぞれのタンパク質と共に、又は無関係の特異性のタンパク質構築物を含むヒトIgG4モノクローナル抗体と共にインキュベートした。細胞をFACSバッファーで3回洗浄した後、ヤギ抗ヒトIgG抗体(フルオレセインイソチオシアネートにコンジュゲートされたFc特異的抗体、FITC;Sigma-Aldrich社、St.Louis、MO)を含有する50μLのFACSバッファー中で30分間インキュベートした。FACSバッファーで3回洗浄した後、細胞を4%ホルムアルデヒドv/vを含有する50μLのPBSで固定し、暗室中、4℃で16時間インキュベートした。懸濁液中のインキュベートされた細胞をさらなる150μLのFACSバッファーで希釈し、FITCチャンネル中の前方散乱、側方散乱及び蛍光強度を用いるFACS Canto II(BD Biosciences社、San Diego、CA)上でのフローサイトメトリーにより結合について分析した。報告される値は、平均蛍光強度(MFI)である。
【0176】
標的アッセイ
Daudi細胞増殖アッセイ:このアッセイを用いて、CD38を展示する細胞上でのIFN及び抗体-IFN融合タンパク質構築物の抗増殖活性を定量した。Daudi細胞は、細胞表面関連抗原としてCD38を発現する。Promega社(Madison、Wisconsin)からのCellTiter-Glo(登録商標)試薬、カタログ番号G7570を用いて、細胞の生存能力を測定した。これは、ATPの定量化に基づいて培養物中の細胞の生存能力を決定する発光に基づくアッセイである。シグナル強度は、マイクロタイタープレートウェル中の生細胞数に比例する。アッセイの詳細は以下の通りである:Daudi細胞(ATCC、Manassas、VAから得られた)を、T75フラスコ(TPP社、Trasadingen、Switzerland、カタログ番号90076)中で、10%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone社、Logan、UT、カタログ番号SH30070.03)を含むRPMI1640(Mediatech,Inc.社、Manassas、VA、カタログ番号10-040-CV)中に0.5×10
5〜0.8×10
5個の生細胞/mLの好ましい密度となるまで培養した。細胞を400×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットをRPMI1640+10%FBS中に再懸濁することにより収獲した。次いで、細胞を計数し、RPMI1640+10%FBS中で密度を3.0×10
5細胞/mLに調整した。次いで、50μLの細胞懸濁液を、96穴丸底組織培養プレート(以後、「実験プレート」と呼ぶ)(TPP社、カタログ番号92067)の各ウェルにアリコートした。別の滅菌96穴プレート(以後、「希釈プレート」と呼ぶ;Costar、Corning、NY、カタログ番号3879)上で、被験物質をRPMI1640+10%FBS中で2回、連続希釈した。次いで、50μL/ウェルを希釈プレートから実験プレートに移した。次いで、実験プレートを5%CO
2と共に37℃で4日間インキュベートした。製造業者により供給されたアッセイバッファーと、アッセイ基質[以後、「CellTiter-Glo(登録商標)試薬」と呼ばれ、製造業者の説明書に従って混合されたもの]との混合物を、100μL/ウェルで実験プレートに添加した。プレートを、2分間振とうした。
【0177】
次いで、100μL/ウェルを、実験プレートから96穴平底白色不透明プレート(以後、「アッセイプレート」と呼ぶ;BD Biosciences社、Franklin 5 Lakes、NJ、カタログ番号35 3296)に移した。次いで、アッセイプレートの内容物を、室温で15分間、暗室中で安定化させた。発光測定チャンネル上、Victor 3V Multilabel Counter(Perkin Elmer社、Waltham、MA、モデル番号1420-041)上でプレートを読み取り、発光を測定した。結果を、「相対発光単位」(RLU)として提示する。非線形回帰及び3パラメータ曲線適合を用いるPrism 5(Graphpad社、San Diego、CA)を用いてデータを分析して、曲線の中点(EC50)を決定した。
【0178】
ARP-1細胞増殖アッセイ:このアッセイを用いて、CD38抗原陽性細胞に対するIFN及び抗体-IFN融合タンパク質構築物の抗増殖活性を定量した。ARP-1細胞は、細胞表面関連抗原としてCD38を発現する。Promega社(Madison、Wisconsin)からのCellTiter-Glo(登録商標)試薬、カタログ番号G7570を用いて、細胞の生存能力を測定した。これは、ATPの定量化により培養物中の細胞の生存能力を決定する発光に基づくアッセイである。シグナル強度は、マイクロタイタープレートウェル中の生細胞数に比例する。
【0179】
アッセイの詳細は以下の通りである:ARP-1細胞を、T175フラスコ(Costar、Corning、NY Lakes、NJ、カタログ番号CLS431080)中で、10%ウシ胎仔血清(FBS;AusGeneX社、Molendinar、QLD、Australia、カタログ番号FBS500S)を含むRPMI1640(Life Technologies社、Mulgrave、VIC、カタログ番号11875-093)中に2.0×10
5〜2.0×10
6個の生細胞/mLの好ましい密度となるまで培養した。細胞を400×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットをRPMI1640+10%FBS中に再懸濁することにより収獲した。次いで、細胞を計数し、RPMI1640+10%FBS中で密度を2.0×10
5細胞/mLに調整した。次いで、50μLの細胞懸濁液を、96穴平底白色不透明プレート(以後、「実験プレート」と呼ぶ)(Costar、Corning、NY Lakes、NJ、カタログ番号CLS3917)の各ウェルにアリコートした。別の滅菌96穴プレート(以後、「希釈プレート」と呼ぶ;Costar、Corning、NY、カタログ番号3799)上で、被験物質をRPMI1640+10%FBS中で2回、連続希釈した。次いで、50μL/ウェルを希釈プレートから実験プレートに移した。次いで、実験プレートを5%CO
2と共に37℃で4日間インキュベートした。それぞれの実験プレートは、相対的対照として親抗体IFN構築物を含んでいた。
【0180】
製造業者により供給されたアッセイバッファーと、アッセイ基質[製造業者の説明書に従って混合された、CellTiter-Glo(登録商標)試薬]との混合物を、100μL/ウェルで実験プレートに添加した。プレートを、2分間振とうした。次いで、アッセイプレートの内容物を、室温で15分間、暗室中で安定化させた。発光測定チャンネル上、FLUOstar Galaxyプレートリーダー(BMG Labtech社、Durham、NC)上でプレートを読み取り、発光を測定した。非線形回帰及び3パラメータ曲線適合を用いるPrism 5(Graphpad社、San Diego、CA)を用いてデータを分析して、曲線の中点(EC
50)を決定した。
【0181】
アネキシンVアッセイ:H929細胞を、400×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットをRPMI1640+10%FBS中に再懸濁することにより収獲した。次いで、細胞を計数し、密度をRPMI1640+10%FBS中、1.0×10
6細胞/mLに調整した。次いで、50μLの細胞懸濁液を、96穴丸底透明プレート(以後、「実験プレート」と呼ぶ;Costar、Corning、NY、カタログ番号CL3799)の各ウェルにアリコートした。別の滅菌96穴プレート(以後、「希釈プレート」と呼ぶ;Costar、Corning、NY、カタログ番号CL3799)上で、被験物質をRPMI1640+10%FBS中で4回、40nMに希釈した。次いで、50μL/ウェルを希釈プレートから実験プレートに移した。次いで、実験プレートを5%CO
2と共に37℃で24時間インキュベートした。次いで、細胞を、400×gで5min遠心分離し、上清を廃棄し、アネキシンV-FITC(1/200)及び7-AAD(1/50)を含有する100μLのHEPESバッファー中に再懸濁した。次いで、細胞を室温で15minインキュベートした後、前方散乱、側方散乱、FITC及びPerCP-Cy5.5チャンネルを用いるFACS Canto II(BD Biosciences社、San Diego、CA)上でのフローサイトメトリーにより、アネキシンV及び7-AAD染色について分析した。アネキシンV陽性細胞とは、20nMの抗体構築物で24h処理した後にアネキシンV-FITCにより陽性に染色される細胞を指し、未処理の細胞と比較した倍数変化として表される。
【0182】
カスパーゼアッセイ:活性化されたカスパーゼ2、3、6、7、8、9、10を、試験抗体を用いる処理後にRoche社(West Sussex、UK)からのHomogeneous Caspases Assay試薬、蛍光、カタログ番号12236869001を用いて測定した。アッセイの詳細は以下の通りである。
【0183】
高レベルのCD38を発現するARP-1細胞を、T175フラスコ(Costar、Corning、NY、カタログ番号CLS431080)中で、10%FBS(AusGeneX社、Molendinar、QLD、Australia、カタログ番号FBS500S)を含むRPMI1640(Life Technologies社、Mulgrave、VIC、カタログ番号11875-093)中に2.0×10
5〜2.0×10
6個の生細胞/mLの好ましい密度となるまで培養した。細胞を400×gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットをRPMI1640フェノールレッドフリー(Life Technologies社、Mulgrave、VIC、カタログ番号11835-030)+10%FBS中に再懸濁することにより収獲した。次いで、細胞を計数し、RPMI1640フェノールレッドフリー+10%FBS中で密度を2.0×10
5細胞/mLに調整した。次いで、50μLの細胞懸濁液を、96穴平底黒壁透明底プレート(以後、「実験プレート」と呼ぶ;Costar、Corning、カタログ番号CLS3603)の各ウェルにアリコートした。別の滅菌96穴プレート(以後、「希釈プレート」と呼ぶ;Costar、Corning、NY、カタログ番号3799)上で、被験物質をRPMI1640フェノールレッドフリー+10%FBS中で4回、40nMに希釈した。次いで、50μL/ウェルを希釈プレートから実験プレートに移した。次いで、実験プレートを5%CO
2と共に37℃で24時間インキュベートした。製造業者により供給されたアッセイバッファーを、製造業者により供給された基質に添加し、製造業者の説明書に従って混合して、「基質溶液」を作出した。次いで、100μLの基質溶液を、アッセイプレートの各ウェルに添加した。プレートを2分間振とうした。次いで、プレートを暗室中、室温で15分間インキュベートし、470〜500nmの励起フィルター及び500〜560nmの放出フィルターでFLUOstar Galaxyプレートリーダー(BMG Labtech社、Durham、NC)上で最終的に読み取り、蛍光を測定し、未処理の細胞と比較した倍数変化として提示する。カスパーゼアッセイは、20nMの抗体構築物を用いる24hの処置後の細胞のカスパーゼ活性化を指す。
【0184】
オフターゲットアッセイ
iLite遺伝子リポーターアッセイ:「オフターゲット」iLiteアッセイ(PBL Interferon Source社、Piscataway、NJ、カタログ番号51100)を、ヒトIgG遮断工程を加えて、大部分は製造業者により記載されたように実施した。iLite細胞株は、「細胞表面上での、MHCクラスII抗原、特に、ヒトリンパ球抗原(HLADR)の発現を特徴とする市販の前単球性ヒト細胞株から誘導された安定なトランスフェクト細胞株」として製造業者によって記載されている。この細胞株は、安定にトランスフェクトされたルシフェラーゼ遺伝子を含有し、その発現は、発光出力に基づいてインターフェロン活性を定量することができる、インターフェロン応答エレメント(IRE)により誘導される。製造業者により供給されたiLiteプレート(以後、アッセイプレートと呼ぶ)及び希釈剤を-80℃の冷凍庫から取り出し、室温に平衡化させた。次いで、ウェルあたり50μLの希釈剤をアッセイプレートに添加した。製造業者により供給されたリポーター細胞のバイアルを-80℃の冷凍庫から取り出し、37℃の水浴中で解凍した。次いで、細胞の25μLアリコートを、アッセイプレートの各ウェルに分注した。次に、RPMI1640+10%FBS(Sigma Chemicals社、St.Louis、MO;カタログ番号I4506)中に希釈された8mg/mLのヒトIgG 12.5μLを各ウェルに添加した。内容物を混合し、37℃で15分間インキュベートした。別の「希釈プレート」上で、被験物質をRPMI1640+10%FBS中で2回、連続希釈した。次いで、12.5μLの被験物質を希釈プレートからアッセイプレートに移した。次いで、アッセイプレートを、5%CO
2と共に37℃で17時間インキュベートした。製造業者により供給されたアッセイバッファーと、基質とを-80℃の冷凍庫から取り出し、2時間、室温に平衡化させた。製造業者により供給されたアッセイバッファーを、製造業者により供給された基質バイアルに添加し、製造業者の説明書に従ってよく混合して、「発光溶液」を作出した。次いで、100μLの発光溶液を、アッセイプレートの各ウェルに添加した。プレートを2分間振とうした。次いで、プレートを暗室中、室温で5分間インキュベートし、発光測定チャンネル上、Victor 3V Multilabel Counter上で最終的に読み取り、発光を測定し、RLUとして提示した。データを、「オンターゲット(Daudi)アッセイ」について記載されたようにGraphpad Prism 5を用いて分析した。iLiteアッセイにおいて抗CD38抗体-IFN融合タンパク質構築物を試験するために、製造業者により供給された希釈剤に0.25mg/mLの抗CD38抗体を添加した(同じ抗体クローンを、iLite細胞上に発現されるCD38への抗CD38抗体-IFN融合タンパク質構築物の任意の結合を遮断するために、抗体-IFN融合タンパク質構築物として試験する)。
【0185】
HEK-Blue(商標)オフターゲットアッセイ:このアッセイを用いて、HEK-Blue(商標)IFN-アルファ/β細胞株(InvitroGen社、San Diego、CA)を用いてインターフェロン-アルファ/β受容体(IFNAR)に結合する抗体-IFN融合構築物の能力を定量した。「オフターゲット(HB-IFN)アッセイ」を、大部分はHEK-Blue(商標)IFN-アルファ/β細胞株の製造業者によって記載されたように実施した。HEK-Blue(商標)IFN-アルファ/β細胞は、I型IFNにより誘導されるJAK-STAT経路の活性化をモニタリングするために特に設計されている。ヒトSTAT2及びIRF9遺伝子をHEK293細胞中に導入して、完全に活性なI型IFNシグナリング経路を得ることにより、この細胞を作成した。HEK-Blue(商標)IFN-アルファ/β細胞は、ISG54プロモーターの制御下で、リポーター遺伝子である分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を安定に発現する。ISG54は、I型IFNによるISRE依存的機構を介して活性化される周知のISGである。IFN-アルファ又はIFNβ刺激の際に、HEK-Blue(商標)IFN-アルファ/β細胞はJAK-STAT経路を活性化した後、SEAPリポーター遺伝子の発現を活性化する。SEAPは、培地中に分泌され、比色分析試薬QUANTI-Blue(商標)を用いて定量することができる。簡単に述べると、HEK-Blue IFN-アルファ/β細胞(Invivogen社、San Diego、CA、カタログ番号hkb-ifnab)を解凍し、熱不活化されたDMEM培地(Mediatech社、Manassas VA、カタログ番号10-013-CV)+10%FBS(Hyclone社、Logan UT、カタログ番号SH30070.03)(HI FBS)中で培養した。細胞が60〜80%の集密度に達した時、それらをCell Stripper(Mediatech社、カタログ番号25-056-Cl)を用いて持ち上げた。細胞をDMEM+HI FBS中で2回洗浄し、計数した。細胞を、DMEM+HI FBS中で3.3×10
5個の生細胞/mLに調整し、ウェルあたり150μLを、平底96穴組織培養プレート(以後、「実験プレート」と呼ぶ)中にアリコートした。次いで、DMEM+HI FBS中に希釈された、50μLのIFN-アルファ2b又は融合タンパク質構築物を、各ウェルに添加した。プレートを37℃、5%CO
2で16〜24時間インキュベートした。QUANTI-Blue(Invivogen社、カタログ番号rep-qb1)を、製造業者の指示に従って調製した。QUANTI-Blue(150μL)を、平底プレート(以後、「アッセイプレート」と呼ばれる)の各ウェルにアリコートした。次いで、実験プレートからのウェルあたり50μLの上清を、アッセイプレートに移した。次いで、アッセイプレートを37℃で1〜3時間インキュベートした。630nmでのアッセイプレートの吸光度を、Perkin-Elmer社からのモデル1420-41 Victor 3V Multilabel Counter上で読み取った。データを、Graph Pad Prismを用いて分析した。
【0186】
H929異種移植モデル
骨髄腫腫瘍増殖に対する、異なる用量のA10.38及びA10.0抗CD38抗体-弱毒化IFN-アルファ融合タンパク質構築物の効果を、非CD38-標的化融合タンパク質構築物と比較した。これらの比較のために、NCI-H929 s.c.多発性骨髄腫モデルを用いた。
【0187】
多発性骨髄腫細胞株NCI-H929(ATCC CRL-9068、Gazdar, Blood 67: 1542〜1549頁、1986)を、免疫不全(SCID)マウス中で皮下的に増殖させる。
【0188】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスの脇腹に、50%Matrigel(商標)中の1×10
7個のNCI-H929腫瘍細胞を皮下注射した。平均腫瘍サイズが170〜350mm
3に達した時、マウスを、それぞれ7匹のマウスの4つのコホートに群化し、0時間(T0)で処置を開始した。全ての処置を、3週間にわたって週に2回、腹腔内注射(i.p.)により与えた(グラフの下のバーで示される)。媒体群を除いて、全ての化合物を100μg/用量(約4.5mg/kg)で投与した。腫瘍体積をカリパス測定により週に2回測定した。終点は2,000mm
3の腫瘍体積であった。
【0189】
骨髄腫腫瘍増殖に対する、異なる用量のA02.6、A10.0及びA10.38抗CD38抗体-弱毒化IFN-アルファ融合タンパク質構築物の効果を、媒体と比較した。これらの比較のために、NCI-H929 s.c.多発性骨髄腫モデルを用いた。
【0190】
多発性骨髄腫細胞株NCI-H929(ATCC CRL-9068、Gazdar, Blood 67: 1542〜1549頁、1986)を、免疫不全(SCID)マウス中で皮下的に増殖させる。
【0191】
8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスの脇腹に、50%Matrigel中の1×10
7個のNCI-H929腫瘍細胞を皮下注射した。平均腫瘍サイズが90mm
3に達した時、マウスを、それぞれ5匹のマウスの4つのコホートに群化し、0時間(T0)で処置を開始する。全ての処置を、3週間にわたって週に2回、腹腔内注射(i.p.)により与える(グラフの下のバーで示される)。媒体群を除いて、全ての化合物を100μg/用量(約4.5mg/kg)で投与する。腫瘍体積をカリパス測定により週に2回測定する。
【実施例6】
【0192】
代替的定常領域を含む抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質
A02.12は、タンパク質の定常領域がHC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4(配列番号9)である抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質を含む。この抗体の重鎖可変領域を、A145D弱毒化IFN-アルファ2b(配列番号10)に融合したIgG1定常領域上で再形式化した。HEK293E細胞中でのこの重鎖と、X02.107(配列番号65)の軽鎖との同時発現により、抗体A02.112が得られた。フローサイトメトリーに基づくCD38結合アッセイ及び効力アッセイを用いる抗体A02.12及びA02.112の比較により、ヒトIgG4定常領域を用いて作成されたものと同等の強力な生物活性を有する抗体-弱毒化IFN融合タンパク質をもたらす、ヒトIgG1などの他の抗体定常領域を用いることもできることが示される(Table 16b(表20))。
【0193】
【表20】
【実施例7】
【0194】
R5D1、R5E8及びR10A2可変領域のヒト化
ラット由来抗CD38抗体R5D1、R5E8及びR10A2は、PCT/AU2012/001323に記載されており、ヒト化のためにこれらを選択した。これらの抗体の可変領域を、米国特許出願公開第2003/0039649号に記載のようにスーパーヒト化した。簡単に述べると、標準構造を、そのそれぞれのアミノ酸配列の検査により各げっ歯類重鎖及び軽鎖に割り当てた。R10A2は標準構造2-1-1/1-2(V
L/V
H)を割り当てられ、R5E8は標準構造4-1-1/1-2を割り当てられ、R5D1は標準構造2-1-1/1-2を割り当てられた。同じ標準構造のヒト生殖系列配列を、ドナーCDRの移植のためのアクセプターフレームワークとして用いた。結合活性の維持にとって重要である可能性が高いと見なされるその配列内の位置にアミノ酸置換を含有する、得られるスーパーヒト化抗体遺伝子のバリアントも設計した。様々な重鎖スーパーヒト化可変領域を、
図7に示す。様々な軽鎖スーパーヒト化可変領域を、
図8に示す。
【0195】
重鎖可変領域配列を、A145D弱毒化IFN-アルファ2b(配列番号9)に融合したS228P置換を有するヒトIgG4定常領域を含有するベクターpEE6.4中にサブクローニングした。軽鎖可変領域を、ヒトカッパ定常領域(配列番号5)を含有するベクターpEE12.4中にサブクローニングした。以前に記載のようにCHO細胞中で、pEE6.4中の重鎖とpEE12.4中の軽鎖との同時発現により抗体を生成した。Table 17(表21)は、それぞれスーパーヒト化された5D1に基づくタンパク質を生成するために用いられた重鎖と軽鎖との対をまとめたものである。Table 18(表22)は、作成されたスーパーヒト化された5E8に基づくタンパク質に関する重鎖と軽鎖との対を詳述するものであるが、スーパーヒト化された10A2に基づくタンパク質を作成するために用いられた重鎖と軽鎖との対を、Table 19(表23)に記載する。スーパーヒト化抗体の1ショット平衡解離定数(K
D)ランキングを、得られるCHOトランスフェクション上清のBIAcore(商標)分析により実施した。この方法を用いて、抗体が発現し(プロテインA捕捉)、ヒトCD38に対する結合活性のレベルを有するかどうかを決定した。
【0196】
【表21A】
【0197】
【表21B】
【0198】
【表22】
【0199】
【表23A】
【0200】
【表23B】
【0201】
それぞれのファミリーのヒト化抗体-5D1、5E8及び10A2について、いくつかのヒト化された重鎖と軽鎖との組合せは、タンパク質を発現することができないか、又はヒトCD38に結合することができなかった。ヒト化抗体の3つ全部のファミリーにわたってかなりの数の抗体が発現され、ナノモル濃度(nM)範囲の平衡解離定数でヒトCD38に結合した。共通の軽鎖を共有するA10A2.53及びA10A2.25を、さらなる最適化のために選択した。A10A2.53をA10.0と改名し、A10A2.25をA10.38と改名した。
【実施例8】
【0202】
A10.0の改良されたバリアント
A10.0抗体を、抗体の機能的活性に対する影響を最小にしながら、抗体の生物物理的及びin silicoでの免疫原性に対して正の効果をもたらすために、可変重鎖及び/又は軽鎖配列に対する変化により最適化した。
【0203】
A10.0重鎖及び軽鎖のin silicoでの免疫原性の分析
A10.0重鎖及び軽鎖可変領域のin silicoでの免疫原性の分析を、Epibaseソフトウェアパッケージを用いて作製した。A10.0の重鎖及び軽鎖可変領域中にいくつかのアミノ酸置換を導入して、潜在的な免疫原性エピトープを除去した。ヒト化重鎖(配列番号156)と整列させた、生成された重鎖可変領域バリアントのアミノ酸配列アラインメントを、
図9に示す。ヒト化軽鎖(配列番号161)と整列させた、軽鎖可変領域バリアントのアミノ酸配列アラインメントを、
図10に示す。タンパク質を生成させるためにHEK293E細胞中で同時発現された重鎖及び軽鎖バリアントの詳細を、Table 20(表24)にまとめる。
【0204】
【表24】
【0205】
Table 20(表24)に概略された重鎖と軽鎖の対を用いて作成されたそれぞれの抗体を、SPRによりタンパク質発現レベル及びCD38への結合について評価した。さらに、細胞培養上清を用いて効力アッセイを実施して、これらの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質のそれぞれの相対機能的活性を評価した。Table 21(表25)。
【0206】
【表25】
【0207】
A10.0の可変重鎖及び軽鎖配列のアミノ酸配列の分析により、いくつかの潜在的な脱アミド化部位及び1つの潜在的な酸化部位が同定された。可変重鎖置換N98Qを調製して、重鎖のCDR3に由来する脱アミド化部位を除去した。配列番号197。CDR2置換N53Q(配列番号198)を含有するA10.0可変軽鎖のさらなるバリアントを作成して、この推定脱アミド化部位を除去した。また、軽鎖のCDR3内のM89を、この潜在的な酸化部位を除去し、軽鎖のこの領域の予測される免疫原性を低下させる組み合わせた目的で、この位置でのアミノ酸置換により変化させた。これらの置換を、それぞれの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質を生成させるために同時発現される重鎖と軽鎖の対と共に、Table 22(表26)に概略する。
【0208】
【表26】
【0209】
Table 22(表26)に概略された重鎖と軽鎖の対を用いて作成されたそれぞれの抗体を、SPRによりタンパク質発現レベル及びCD38への結合について評価した。さらに、細胞培養上清を用いて効力アッセイを実施して、これらの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質のそれぞれの相対機能的活性を評価した。Table 23(表27)。
【0210】
【表27】
【実施例9】
【0211】
A10.38の改良されたバリアントの作成
A10.0とA10.38は、共通の軽鎖を共有する。機能的活性に対する影響を最小にしながら、抗体の生物物理的特性及びin silicoでの免疫原性特性に対する正の効果を得るために、A10.0の最適化された軽鎖配列を、A10.38抗体の重鎖と対形成させた。重鎖及び軽鎖の変化及び対の概要を、Table 24(表28)に記載する。
【0212】
【表28】
【0213】
上記抗体のそれぞれを、SPRによりタンパク質発現レベル及びCD38への結合について評価した。細胞培養上清を用いて効力アッセイを実施して、これらの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質のそれぞれの相対機能的活性を評価した。Table 25(表29)。
【0214】
【表29】
【0215】
腫瘍細胞株における強力なアポトーシス活性及びカスパーゼ活性化のために弱毒化IFNが必要である
抗CD38抗体A10.0(弱毒化IFN融合物)とX10.0(融合なし)との相対的効力を、実施例5に概略されたアネキシンV、カスパーゼ及び細胞増殖アッセイを用いて比較した。A10.38及びX10.38の相対的効力も比較した。Table 26(表30)。
【0216】
【表30】
【0217】
これらのデータは、それぞれX10.0及びX10.38と比較して抗体A10.0及びA10.38により示される強力なアポトーシス活性が、弱毒化IFN融合物の存在を必要とすることを示す。弱毒化IFNを含まない抗体に関しては抗増殖活性は観察されなかった。
【0218】
機能的活性を有するタンパク質に由来する重鎖可変領域のコンセンサス配列アラインメントを、
図11に示す。機能的活性を有するタンパク質に由来する軽鎖可変領域のコンセンサス配列アラインメントを、
図12に示す。抗CD38抗体X10.60、X10.61、X10.62、X10.63、X10.64、X10.65、X10.66、X10.67、X10.68、X10.69、X10.70、X10.71、X10.72、X10.73、X10.74、X10.75、X10.76、X10.77、X10.78、X10.79、X10.80、X10.81、X10.82、X10.83、X10.84、X10.85、X10.86、X10.87、X10.88、X10.89、X10.90、X10.91、X10.92、X10.93、X10.94、X10.95、X10.96、X10.97、X10.98、X10.99、X10.100、X10.101、X10.102、X10.103、X10.104、X10.105、X10.106、X10.107、X10.108、X10.109、X10.110、X10.111、X10.112、X10.113、X10.114、X10.115、X10.116、X10.117、X10.118、X10.119、X10.120、X10.121、X10.122、X10.123、X10.124、X10.125、X10.126、X10.127、X10.128、X10.129、X10.130、X10.131、X10.132、X10.133、X10.134、X10.135、X10.136、X10.137、X10.138、X10.139、X10.140、X10.141、X10.142、X10.143、X10.144、X10.145、X10.146、X10.147について記載されたものなどの置換の組合せを作製することができることがさらに想定され得る(
図11、
図12)。さらに、上記の抗CD38抗体を、抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質として構築し、本明細書に記載の機能的活性について試験することができた。
【0219】
H929多発性骨髄腫異種移植片モデル
10A2バリアントA10.0及びA10A2.0のin vivoでの効力をNCI-H929 s.c.マウス多発性骨髄腫モデルにおいて評価した。
図27。両方ともこのモデルにおいて強力な抗腫瘍活性を有することが示された。そのようなモデルを用いて、本明細書に記載の他のタンパク質構築物の抗腫瘍活性について試験することができた。
【0220】
10A2バリアントに関するオフターゲット活性
野生型及び弱毒化インターフェロン145Dに融合した親A10A2.0キメラ抗体と比較した10A2バリアントA10.0、A10.38、A10A2.37及びA10A2.39のオフターゲット活性を、iLiteリポーター遺伝子アッセイ及び/又はHEK Blueアッセイにおいて評価し、
図28及び
図29に示す。EC
50値を
図28及び
図29に提供する。オフターゲット活性は、インターフェロンの弱毒化及び機能を回復するためにCD38に標的化される抗体の必要性を確認する。
【0221】
A10.0及び関連構築物に関するさらなるin vitro効力データ
上記の抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質の選択物を精製し、細胞に基づくアッセイにおいてCD38陽性細胞への結合について分析した。さらに、効力アッセイを繰り返して、これらの抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質のそれぞれの相対的活性をより正確に決定した。これらの様々なアッセイのための方法は、実施例5に記載されている。これらのアッセイのそれぞれの結果を、Table 27(表31)に記載する。
【0222】
【表31】
【0223】
代替的定常領域を有する抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質
A10.0は、タンパク質の定常領域がHC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG4(配列番号9)である抗CD38抗体-弱毒化IFN融合タンパク質を含む。遺伝子合成を用いて、このタンパク質の定常領域をHC-L0-IFN-アルファ(A145D)IgG1(配列番号10)と置き換え、A10.0軽鎖(配列番号161)と対形成させ、A10.59と命名した。タンパク質は発現され、機能的アッセイにおいて強力であることがわかった(Table 28(表32))。前記実施例において試験したタンパク質の大部分をヒトIgG4定常領域上で構築したが、これらのデータは、ヒトIgG1などの他の抗体定常領域を用いることもでき、得られる抗体-弱毒化IFN融合構築物がヒトIgG4定常領域を用いる構築物と同等の強力な生物活性を有することを示している。
【0224】
【表32】
【0225】
Table 29(表33)は、本明細書に記載の各抗体に関する可変重鎖、可変軽鎖及び定常領域の対を列挙するものである。Table 30(表34)は、本開示で用いられる配列を列挙し、AAはアミノ酸(配列型)を指し、DNAはポリヌクレオチド(配列型)を指す。
【0226】
【表33A】
【0227】
【表33B】
【0228】
【表33C】
【0229】
【表33D】
【0230】
【表33E】
【0231】
【表33F】
【0232】
【表33G】
【0233】
【表33H】
【0234】
【表33I】
【0235】
【表33J】
【0236】
【表33K】
【0237】
【表34A】
【0238】
【表34B】
【0239】
【表34C】
【0240】
【表34D】
【0241】
【表34E】
【0242】
【表34F】
【0243】
【表34G】
【0244】
【表34H】
【0245】
【表34I】
【0246】
【表34J】
【0247】
【表34K】
【0248】
【表34L】
【0249】
【表34M】
【0250】
【表34N】
【0251】
【表34O】
【0252】
【表34P】
【0253】
【表34Q】
【0254】
【表34R】
【0255】
【表34S】
【0256】
本開示は、上記に記載及び例示された実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲内にある変更及び改変を行うことができる。