【実施例】
【0011】
以下、
図1乃至
図5を用いて、本発明の一実施形態に係る自動車用シート1を説明する。自動車用シート1は、自動車の最前のシートA、B(一列目シート)、一列目シートのすぐ後側RRに配されたシートC、D、E(二列目シート)、及び二列目シートのすぐ後側RRに配されたシートF、G(三列目シート)を含む。シートAは右側RHに、シートBは左側LHに位置する。センターシートCは、自動車の左右中央に位置する。シートDは、シートAのすぐ後側RRに配される。シートEは、シートBのすぐ後側RRに配される。シートFは、シートDのすぐ後側RRに配される。シートGは、シートEのすぐ後側RRに配される。シートA〜Gのそれぞれは、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4とにより構成される。シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4とは、シートA〜Gによってそれぞれ形状が異なる。周知のように、シートクッション2は着座機能を有し、シートバック3は上半身の背もたれ機能を有し、ヘッドレスト4は乗員頭部を保持可能なる機能を有する。これらのシートA〜Gには、それぞれ安全ベルト、リクライニング装置など周知の機構部品が設けられているが、周知のため、説明を割愛する。
【0012】
シートA〜Eのシートクッション2には、前側FR及び後側RRに移動可能な周知の可動レール(図示省略)が設けられている。可動レールは、それぞれ床Haに並設された固定レールJ、K、又はL上を前側FR及び後側RRに移動自在且つ適宜の位置で停止可能である。固定レールJは、シートA及びシートBの前位置からシートD及びシートEの後位置まで延伸する。固定レールJ上をセンターシートCの可動レール(図示省略)が移動自在である。固定レールKには、シートAと、シートDとが移動自在に配設される。固定レールLには、シートBと、シートEとが移動自在に配設される。なお、シートD用の固定レールKが、シートA用の固定レールと別部品でも良い。また、シートE用の固定レールLが、シートB用の固定レールと別部品でも良い。
【0013】
センターシートCは、
図1に示すように、シートDとシートEとの左右間にある状態では、左側LHから右側RHに連続するシートクッション2、2、2に着座する乗員をゆったり支持可能であるが、
図2に示すように、固定レールJ上を前側FRに移動して、シートAとシートBとの間に据えると、シートA及びシートBとセンターシートCとのシートクッション2、2、2が左側LHから右側RHに連続するようになる。この状態では、シートDとシートEとの間のセンターシートCがあった跡地Ha’には、空間が形成される。センターシートCのシートバック3は、
図1及び
図3に実線で示す着座可能なる姿勢と、
図3に二点鎖線(
図2では実線)で示すように、前倒しして、シートバック3の背面を上側にしてアームレスト或いは小物支持可能なる姿勢とを選択自在である。
【0014】
センターシートCのシートバック3は、シートクッション2の一端に配設され、前倒し機構Qによりシートクッション2に対して立設位置に保持可能なると共にシートクッション2上の前倒れ位置に移動可能である。前倒し機構Qは、ヘッドレスト4を、
図4の実線で示す上段位置から
図4の二点鎖線で示す最下段位置に移動させることで、シートバック3の前倒しが可能なるように構成されてなる。ヘッドレスト4の上下位置は、
図3及び
図4に示すように、二段階でも、更に多くの位置での停止が可能なるようにしても良い。
【0015】
前記前倒し機構Qの詳細を、次に、説明する。前倒し機構Qは、レバー部材13と、シートバック3を前後回転自在に軸支してなる回転中心手段20と、回転中心手段20の下側LWRに配され、回転中心手段20を回転中心とする回転を規制する規制部材18と、レバー部材13、規制部材18間を連結した連結手段15とより構成されてなる。
【0016】
レバー部材13は、シートバック3のシートバックフレーム12に第1ピン14を介して上下回転可能に配されてなり、ヘッドレスト4のステー9の下端部9aの下側LWRの対向した位置には、レバー部材13の一端部13aが配されてなる。第1ピン14を介して一端部13aの反対側である後側RRには、レバー部材13の他端部13bが形成されてなる。ステー9は、ヘッドレスト4から垂下されてなる円柱状をなし、シートバックフレーム12に溶接支持されてなる中空状のフレーム11内に合成樹脂製のホルダー10を介して上下移動自在に支持されてなると共に適宜の位置で係止されてなる。
【0017】
規制部材18は、回転中心手段20を保持するプレート16の下側LWRに突出したアーム16aに第2ピン17により上下回転自在に配され、前側FRには、プレート16に近接して第3ピン19が抜けないように鉤状をなす鉤部18aが形成されてなり、後側RRは直線状をなす取付部18bが形成されてなる。プレート16の下側LWR且つ前側FRには、ストッパ16bが形成されてなり、規制部材18がプレート16に干渉しないように規制している。
【0018】
レバー部材13の他端部13bと、規制部材18の取付部18bとは、連結手段15のインナーケーブル15a、15bが連結されてなる。
図5のプレート16には、ブラケット16cが溶接支持されていて、連結手段15が保持されている。
【0019】
本実施形態によれば、ヘッドレスト4を
図4に実線で示す図示しない乗員の頭部を保護可能なる位置にある時には、第3ピン19が規制部材18によって保持されているので、シートバック3を前倒しできない状態に保持されている。
【0020】
ヘッドレスト4を、例えば
図4に二点鎖線で示す最下段位置に移動させると、ヘッドレスト4のステー9の下端部9aにより、レバー部材13の一端部13aが下側LWRに移動されることで回転され、レバー部材13の他端部13bが上側UPに移動することにより連結手段15を介して規制部材18の取付部18bが上側UPに移動する。取付部18bが上側UPに移動することで、規制部材18の鉤部18aが二点鎖線で示す位置に移動することで、第3ピン19の動き規制を解除し、第3ピン19の動きが自由になるので、シートバック3の前倒しが可能となる。つまり、ヘッドレスト4を最下段位置に移動させるという容易な操作により、最前位置に配されるそのヘッドレスト4を有するシートA〜Cのシートバック3の前倒し時に、シートA〜Cの前側FRに配されてなるインストルメントパネル6、飲料容器7などを保持するコンソールボックス5、トランスミッションのシフトレバー8、ステアリングホイール(図示省略)などの車体部材にヘッドレスト4が干渉しないようにできる。
【0021】
なお、上述の説明では、ヘッドレスト4を最下段位置に移動させているが、ヘッドレスト4の移動位置は限定されない。ヘッドレスト4の移動位置は、シートバック3の前倒し時に、前側FRに配されてなるインストルメントパネル6、コンソールボックス5、シフトレバー8、ステアリングホイールなどの車体部材にヘッドレスト4が干渉しないような下方の位置であればよい。
【0022】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。