(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御ICの出力端子から前記半導体チップの前記制御電極までの配線は、その半導体チップの第1電極及び第2電極に接続されていない請求項6に記載の半導体モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0028】
本実施形態の電気接続体及びその電気接続体が用いられる検査装置は、例えば、半導体ウェーハ上のIC(Integrated Circuit)チップ等の検査対象物のテスト時の効率化を図ったものである。測定の効率化を目的として、多数の検査対象物を同時に測定する際に、テスタの電源チャネル数の不足をカバーするための改良を加えている。具体的には、テスタに接続されるインターフェースを備えたプローブカード上に搭載される回路部分の改良に関するものである。本発明は、プローブカードを含む電気接続体全般やテスタに適用することができると共に、当該電気接続体やテスタが用いられる検査装置全てに適用することができる。以下では、プローブカードのテスタへのインターフェースとなる基板に搭載される回路構成部分を中心に説明する。また、検査対象物として、半導体ウェーハ上に多数形成されるICチップ(検査対象デバイス)を例に説明する。
【0029】
本実施形態の検査装置は、テスタと、そのテスタのテストヘッドに接続されるインターフェースを備えたプローブカードと、プローバとを備えている。テスタは、複数のICチップを同時に検査することが可能なように複数の電源チャネルを備えている。それら電源チャネルは、テストヘッドを介してプローブカードにつなげられる。
【0030】
プローブカードは、上面にテスタのテストヘッドに接続されるインターフェース(コネクタ)を備え、下面に前記テスタの電源チャネルよりも多い数のプローブを備えている。そして、プローブカードは、各電源チャネルをプローブカード上でそれぞれ複数に分岐して、複数のICチップに選択的に接続させてテスト電源を供給できるとともに、電気的特性(電圧、電流、出力信号特性等)を計測できるように構成されている。
プローバは、被検査デバイスを供給するとともに電気接続体に対して相対的に位置決めしプローブカードのプローブと被検査デバイスのパッドとを接触させる機構を備えている。
【0031】
複数のICチップを同時に測定する装置において、検査中のICチップの異常を検出して、異常が検出されたICチップへのテスト電源を遮断する検出機能をプローブカード側に備えることもできる。こうすることで、不良チップと共通の電源チャネルから分岐した他のチップへの電源異常等の影響を遮断することができる。また、本実施形態の検査装置は、半導体装置のバーンイン検査にも用いることができる。
【0032】
図1、及び
図2を用いて、プローブカードの構成について説明する。
図1は、プローブカード100を上面側から見た斜視図である。
図2は、プローブカード100を下面側から見た斜視図である。なお、以下の説明では、プローブカード100の下側にプローブ(
図1、
図2では不図示)が設けられているとして説明を行うが、方向については相対的なものであり、プローブカード100の姿勢に応じて変化する。
【0033】
プローブカード100は、インターフェース基板1と、コネクタ3と、スティフナ4と、中間接続体5と、プローブ基板6とを備えている。プローブ基板6の下面側には、検査対象となるICチップ(検査対象デバイス)のパッドと接触する複数のプローブが設けられている。プローブはプローブ基板6の下側に突出して、ICチップの端子と接触する。さらに、プローブ基板6には、プローブと接続する配線が形成されている。プローブ基板6は、半導体ウェーハに対応する円板状に形成されている。そして、検査時において、プローブ基板6が半導体ウェーハの上に配置される。プローブ基板6は、例えば、セラミック基板と薄膜多層基板の積層体を有している。
【0034】
プローブ基板6の上には、中間接続体5が設けられている。中間接続体5の上にはインターフェース基板1が設けられている。インターフェース基板1の上面には、スティフナ4と、複数のコネクタ3が設けられている。スティフナ4は、プローブカード100の剛性を高めるリブとなる。スティフナ4を設けることで、プローブの高さばらつきを抑制することができる。スティフナ4は、インターフェース基板1の上面に部分的に配置される。
【0035】
コネクタ3は、インターフェース基板1の上面に設けられている。例えば、コネクタ3は、インターフェース基板1の上面において、スティフナ4が設けられていない箇所に設けられている。複数のコネクタ3は、円形のインターフェース基板1の外周に沿って配列されている。インターフェース基板1の複数のコネクタ3は、テスタと接続するために設けられている。例えば、プローブカード100のコネクタ3が、対となるテスタ側のコネクタと嵌合することで、インターフェース基板1の配線とテスタの配線とが接続される。このように、インターフェース基板1は、テスタとのインターフェースとなる。よって、インターフェース基板1には、テスタからのテスト電源が供給される。
【0036】
インターフェース基板1は複数の配線層が設けられたプリント配線基板(PCB:Printed Circuit Board)である。例えば、インターフェース基板1として、IVH(Interstitial Via Hole)で層間を接続する多層基板を用いることができる。インターフェース基板1は中間接続体5と対向して配置されている。
【0037】
中間接続体5は、プローブ基板6とインターフェース基板1とを接続するために、プローブ基板6とインターフェース基板1との間に保持されている。すなわち、中間接続体5が介在した状態で、インターフェース基板1とプローブ基板6とが対向して配置されている。中間接続体5は、例えば、ポゴピンのような接続ピン、及び接続ピンを保持するホルダ等を有している。中間接続体5の接続ピンを介して、インターフェース基板1の内部配線と、プローブ基板6の導電路が電気的に接続される。
【0038】
さらに、インターフェース基板1の上面には、実装領域7が設けられている。実装領域7は、スティフナ4がインターフェース基板1上に接合されていない箇所に配置される。実装領域7には、複数の半導体モジュール10が設けられている。半導体モジュール10は、インターフェース基板1の中心側に配置される。すなわち、プローブ基板6の上方に実装領域7が設けられ、実装領域7を囲むように、コネクタ3がインターフェース基板1の外周側に実装されている。一つの半導体モジュール10に接続される複数プローブが、その半導体モジュールの真下に位置するプローブ基板6上に配置されていると、半導体モジュール10とプローブとが最短で接続できるという点でより好ましい。半導体モジュール10は、BGA(Ball Grid Array)などによって、インターフェース基板1上に実装されている。すなわち、半導体モジュール10とインターフェース基板1は、はんだボール等を介して電気的に接続される。
【0039】
次に、本実施形態の技術的特徴の一つである半導体モジュール10について、
図3を用いて説明する。
図3は、1つの半導体モジュール10の構成を示す平面図である。なお、
図3では、XY直交座標系を示していている。半導体モジュール10は、実装基板16と、制御IC11と、半導体チップ20と、を備えている。もちろん、
図3に示す半導体モジュール10の構成及びレイアウトは、本実施形態の一例であり、本発明は
図3に示す構成及びレイアウトに限定されるものではない。
【0040】
実装基板16は、複数の配線が設けられたプリント配線基板である。実装基板16は、例えば1辺が10〜20mm程度の矩形状になっている。実装基板16の端辺に沿った方向がXY方向となっている。実装基板16は、パッド30、及びパッド40を備えている。実装基板16の上には制御IC11及び半導体チップ20が実装されている。矩形状の実装基板16の中央には制御IC11が配置されている。例えば、制御IC11はワイヤボンディングなどにより、実装基板16上に実装されている。よって、制御IC11はパッド40と接続されている。
【0041】
さらに、制御IC11の周辺には、複数の半導体チップ20が配置されている。ここでは、制御IC11の外側に複数の半導体チップ20がアレイ状に配列されている。例えば、複数の半導体チップ20は、制御IC11を囲むように配列されている。また、一つの制御IC11、及び複数の半導体チップ20を含むレイアウトは、Y方向に沿った中心線(
図3中の2点鎖線)に対して対称になっている。一つの制御IC11、及び複数の半導体チップ20を含むレイアウトは、X方向に沿った中心線(
図3中の1点鎖線)に対して対称になっている。このように、対称なレイアウトとすることで、設計が容易になる。
【0042】
複数の半導体チップ20は、同様の構成を有するチップである。それぞれの半導体チップ20は、電源チャネルを切り替えるスイッチとなっている。例えば、スイッチである半導体チップ20がONすることで、テスタの電源チャネルがプローブと接続され、OFFすることで、絶縁されて切り離される。それぞれの半導体チップ20は、制御IC11からの制御信号に応じてON/OFFする。制御IC11は、半導体チップ20を制御する制御信号を出力する。制御IC11からの制御信号は、実装基板16上の配線を介して、半導体チップ20に供給される。
【0043】
それぞれの半導体チップ20は、2つのパワーMOSトランジスタを有しており、それらが隣接して配置されている。
実装基板16上において、複数の半導体チップ20は、搭載されている2つのパワーMOSトランジスタの並び方向に並んで配列されている。すなわち、本実施形態では、複数の半導体チップ20は、その2つのパワーMOSトランジスタがY方向に並ぶ向きで、Y方向に沿って配列されている。
図3では、Y方向に沿った半導体チップ20の列が10個設けられている。すなわち、実装基板16上において、半導体チップ20が10列になって配置されている。換言すると、実装基板16には、10列のチップ列が設けられている。ここで、実装基板16の左端に配置された半導体チップ20の一列を第1チップ列12とし、その隣の一列を第2チップ列14とする。
【0044】
第1チップ列12は、6個の半導体チップ20を有している。同様に、第2チップ列14は、6個の半導体チップ20を有している。なお、制御IC11が設けられている箇所では、半導体チップ20を設けることができないため、1列に含まれる半導体チップ20の数が第1チップ列12に含まれる半導体チップ20の数に比べて少なくなっている。
【0045】
実装基板16の上には、複数のパッド30が設けられている。パッド30は、実装基板16の表面に露出している。パッド30は、実装基板16に設けられた配線と接続している。パッド30は、半導体チップ20の近傍に配置され、半導体チップ20と接続している。例えば、それぞれ半導体チップ20は、ワイヤボンディングなどによって、パッド30と電気的に接続する。したがって、実装基板16上には、半導体チップ20の数に応じて、複数のパッド30が配置されている。
【0046】
実装基板16上において、複数のパッド30がY方向に沿って配列されている。
図3では、Y方向に沿ったパッド30の列が5個設けられている。すなわち、実装基板16上において、パッド30が5列になって配置されている。換言すると、実装基板16上には、5列のパッド列が設けられている。それぞれのパッド列の両側には、チップ列が配置される。XY平面内において、第1チップ列12の半導体チップ20と第2チップ列半導体チップ20とは、パッド30を介して対向配置されている。
【0047】
ここで、実装基板16において、左端のパッド列をパッド列13とする。パッド列13の左側には、第1チップ列12が配置され、右側には、第2チップ列14が配置されている。換言すると、第1チップ列12と第2チップ列14との間に、パッド列13が配置されている。
【0048】
ここで、第1チップ列12に含まれる半導体チップ20に設けられた2つのパワーMOSトランジスタを第1トランジスタ21、及び第2トランジスタ22とする。第2チップ列14に含まれる半導体チップ20に設けられた2つのパワーMOSトランジスタを第3トランジスタ23、及び第4トランジスタ24とする。
【0049】
次に、半導体チップ20とパッド30との接続構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、
図3のAの領域を拡大した平面図である。すなわち、
図4は、第1チップ列12の一つの半導体チップ20と、第2チップ列14の一つの半導体チップ20と、それら2つの半導体チップ20の間のパッド30とを模式的に示す拡大図である。そして、半導体チップ20においては、
図4に示す構成が半導体チップ20の数に応じて、複数設けられていることになる。
【0050】
上記したように、第1チップ列12は、パッド列13の左側(−X側)に配置され、第2チップ列14は、パッド列13の右側(+X側)に配置されている。第1チップ列12の半導体チップ20は、第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とを備え、第2チップ列14の半導体チップ20は、第3トランジスタ23と第4トランジスタ24とを備えている。第1トランジスタ21と第2トランジスタ22は、第1チップ列12の並び方向(Y方向)に並んで配置されており、第1トランジスタ21は、第2トランジスタ22の上側(+Y側)に配置されている。第3トランジスタ23と第4トランジスタ24は、第2チップ列14の並び方向(Y方向)に並んで配置されており、第3トランジスタ23は、第4トランジスタ24の上側(+Y側)に配置されている。
【0051】
第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のそれぞれは、平面視において矩形状に形成されている。例えば、第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のそれぞれは、1辺が1mm程度の正方形となっている。第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のそれぞれは、縦型構造のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、例えばプレーナ型やトレンチ型のパワーMOSFETを用いることができる。したがって、第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のそれぞれは、裏面側にドレイン電極Dが位置している。一つの半導体チップ20中の二つのトランジスタ(第1トランジスタ21及び第2トランジスタ22、又は、第3トランジスタ23及び第4トランジスタ24)はドレイン電極Dを基板側で共通している。すなわち、ドレイン電極Dを構成する半導体基板が共通になっている。換言すると、半導体チップ20の裏面側(実装基板16側)には二つのトランジスタのドレイン電極Dが一続きに形成されている。
【0052】
さらに、第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24の表面側には、ゲート電極Gとソース電極Sがそれぞれ設けられている。第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24において、ゲート電極G及びソース電極Sのレイアウトは同じになっている。
【0053】
第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のそれぞれにおいて、ソース電極Sは、ゲート電極Gよりも大きくなっている。また、ソース電極S、及びゲート電極Gは、それぞれ矩形状に形成されている。第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24においてソース電極Sは同じ大きさとなっている。第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24においてゲート電極Gは同じ大きさとなっている。
【0054】
図4では、第1トランジスタ21において、ゲート電極Gをゲート電極21Gとし、ソース電極Sをソース電極21Sとして図示している。同様に、第2トランジスタ22において、ゲート電極Gをゲート電極22Gとし、ソース電極Sをソース電極22Sとして図示している。第3トランジスタ23において、ゲート電極Gをゲート電極23Gとし、ソース電極Sをソース電極23Sとして図示している。第4トランジスタ24において、ゲート電極Gをゲート電極24Gとし、ソース電極Gをソース電極24Sとして図示している。
【0055】
第1トランジスタ21上においては、ゲート電極21Gが右下角近傍に配置され、ソース電極21Sが左上角近傍に配置されている。同様に、第2トランジスタ22上においては、ゲート電極22Gが右下角近傍に配置され、ソース電極22Sが左上角近傍に配置されている。一方、第3トランジスタ23上においては、ゲート電極23Gが左上角近傍に配置され、ソース電極23Sが右下角近傍に配置されている。同様に、第4トランジスタ24上においては、ゲート電極24Gが左上角近傍に配置され、ソース電極24Sが右下角近傍に配置されている。
【0056】
第1チップ列12の半導体チップ20と第2チップ列14の半導体チップ20は、回転対称に配置されている。すなわち、第1チップ列12の半導体チップ20をXY平面内において、180°回転させると、第2チップ列14の半導体チップ20と同じ電極レイアウトとなる。そして、第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のいずれにおいても、ゲート電極Gがソース電極Sよりもパッド列13側に配置される。換言すると、X方向において、−X側から+X側に向かって、ソース電極21S、22S、ゲート電極21G、22G、パッド30、ゲート電極23G、24G、ソース電極23S、24Sの順番で配置されている。
【0057】
パッド列13には、複数のパッド30がY方向に沿って配列されている。ここでは、第1トランジスタ21〜第4トランジスタ24のゲート電極G、及びソース電極Sと接続されるため、8つのパッド30が図示されている。
【0058】
パッド列13に含まれるパッド30を上から順に、パッド33G、パッド31S、パッド33S、パッド31G、パッド34G、パッド32S、パッド34S、パッド32Gとする。パッド33Gは、ゲート電極23Gと接続され、パッド31Sはソース電極21Sと接続され、パッド33Sはソース電極23Sと接続され、パッド31Gは、ゲート電極21Gと接続されている。パッド34Gは、ゲート電極24Gと接続され、パッド32Sはソース電極22Sと接続され、パッド34Sはソース電極24Sと接続され、パッド32Gは、ゲート電極22Gと接続されている。
【0059】
パッド31G、パッド32G、パッド33G、及びパッド34Gは、それぞれ、パッド31S、パッド32S、パッド33S、及びパッド34Sよりも小さくなっている。ワイヤ17は、ソース電極S、及びゲート電極Gを、それぞれ対応するパッド30に接続している。すなわち、ワイヤボンディングによって、ソース電極S、及びゲート電極Gから、対応するパッド30までのワイヤ17を形成する。こうすることで、パッド30とパワーMOSトランジスタの各電極が接続される。
【0060】
このように、ゲート電極G、及びソース電極Sの位置に応じて、パッド30を配置している。すなわち、Y方向におけるゲート電極G、及びソース電極Sの配置順に従って、パッド30の配置を設定している。
【0061】
さらに、Y方向において、第1トランジスタ21に接続されるパッド30と第3トランジスタ23の電極に接続されるパッド30が交互に配置されている。例えば、パッド33Gとパッド33Sとの間に、パッド31Sが配置され、パッド31Sとパッド31Gとの間に、パッド33Sが配置されている。同様に、第3トランジスタ23に接続されるパッド30と第2トランジスタ22に接続されるパッド30についても交互に配置されている。このように、同じトランジスタのソース電極S及びゲート電極Gに接続される2つのパッドが連続することなく配置されている。
【0062】
このようにすることで、ゲート電極G及びソース電極Sから、対応するパッド30までの距離を短くすることができる。すなわち、対応する電極とパッド30を近接して配置することができる。パッド30と電極を接続するワイヤ17を短くすることができ、ワイヤボンディングを簡便に行うことができる。例えば、隣接するワイヤ17同士が交差したり、接触したりするのを防ぐことができる。よって、簡便かつ確実にボンディングすることができる。
【0063】
また、ソース電極は、テスタの電源チャネルとプローブカードのプローブとを結ぶ経路上に接続され、ゲート電極は、制御IC11の出力と接続されるので、一般に、ソース電極Sに流れる電流は、ゲート電極Gに流れる電流よりも大きくなっている。よって、
図4では、各ソース電極Sに接触するワイヤ17の数を、各ゲート電極Gに接続するワイヤ17の数よりも多くしている。
【0064】
図5は、
図4で示した第1チップ列12の一つの半導体チップ20であるパワーMOSFETの等価回路図である。この半導体チップ20は第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とで構成されており、それらトランジスタ21、22はドレインが共通の基板として切り出されている。これにより、第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とはドレイン電極21D、22Dが接続された状態となっている。このようにすると、ドレインを共通基板としない場合、すなわち第1トランジスタ21と第2トランジスタ22をそれぞれ切り出した後に互いのドレイン電極を外部で接続する場合に比べ、低抵抗での接続が可能となる。
【0065】
さらに本実施形態では、
図5に示す通り、第1トランジスタ21と第2トランジスタ22がドレイン電極21D、22Dの接続点を境に対称に配置されている。このため、それぞれのトランジスタ21、22のソース/ドレイン間の寄生ダイオード71、72が互いに逆向きに接続されることになる。このようにすると、一つのパワーMOSFETだけで半導体チップを構成した場合には寄生ダイオードにより一方向の電流しか遮断できないのに比べて、双方向の電流を遮断することができる。すなわち、例えば第1トランジスタ21だけの場合は、ドレイン21Dからソース21Sに向かう電流のみを遮断できる片切りスイッチとなってしまうのに対して、本実施の形態では、ソース21Sとソース22
S間の双方向の電流を遮断できる両切りスイッチとして作用させることができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、前述した通り、半導体チップ20に含まれる2つのパワーMOSトランジスタ(例えば、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22)のドレインを共通としている。そして、2つのパワーMOSトランジスタを1チップで切り出している。こうすることで、実装面積を小さくすることができ、実装密度を高くすることができる。この理由について、以下に説明する。
【0067】
通常、半導体チップ等の素子を実装基板上に複数実装する場合、実装装置(チップマウンタ)の性能に応じて最小実装間隔が決まっており、その分だけチップ周辺に余剰するスペースを配置する必要がある。よって、チップ数が増えるにつれて、チップ面積だけでなく、余剰スペース分も実装面積が大きくなってしまう。さらに、別チップとした場合、チップ間を接続するためのスペースも必要となってしまう。また、ゲート保護のためのダイオード等の素子を別途設ける場合、その接続に要するスペースも必要となる。
【0068】
本実施の形態では、2つのパワーMOSトランジスタがドレイン電極Dを構成する半導体基板を共通とした1チップとなっているため、実装面積を小さくすることができる。よって、スイッチの実装密度を高くすることができ、実装するスイッチ数を増やすことができる。
【0069】
さらに、一つのチップ列は、それぞれの半導体チップ20に備えられた2つのパワーMOSトランジスタの並び方向に並んでおり、隣接する2つのチップ列12、14の間に、パッド列13を配置している。2列のチップ列12、14の電極が1列のパッド列13に含まれるパッド30と接続している。こうすることで、パッド30を効率よくレイアウトすることができ、省スペース化を図ることができる。これにより、実装密度を高くすることができ、実装するスイッチ数を増やすことができる。
【0070】
また、本実施の形態では、複数の半導体チップ20を有する半導体モジュール10をインターフェース基板1に実装している。これにより、実装を容易に行うことができる。すなわち、多数(
図3では40個)のスイッチを有する半導体モジュール10を、インターフェース基板1に実装しているため、個々のリレーをインターフェース基板1に実装する構成に比べて、実装工程を簡素化することができる。また、本実施の形態では、それぞれの半導体モジュール10の真下に位置するプローブ基板上にその半導体モジュール10によって制御されるプローブの接続端子が位置しているので半導体モジュール10とプローブとを短い距離で多数接続することができる。
【0071】
次に、半導体チップ20を用いたスイッチ回路の構成について、
図6を用いて説明する。
図6は、半導体チップ20をスイッチとして用いた構成を示す回路図である。なお、
図6では、実装基板16の一部の回路、具体的には、4つの半導体チップ20を用いた回路を示している。また、
図6では、適宜、回路や配線などが省略して図示されている。また、
図6は、4つの半導体チップ20をそれぞれスイッチとして用いて、電源チャネルを切り替える回路を示している。そのため、
図6では、各構成要素が4つずつ示されている。半導体モジュール10では、
図6に示す構成が電源チャネルの数に応じて、複数設けられている。
【0072】
図1、2に示したように、プローブカード100は半導体モジュール10、及びプローブ基板6を備えている。なお、
図6では、インターフェース基板1、及び中間接続体5については、図示を省略している。
【0073】
まず、プローブ基板6、及び検査対象となる半導体ウェーハ50の接続構成について説明する。プローブ基板6には、複数のプローブ65a〜65dが設けられている。また、検査対象となる半導体ウェーハ50には、複数の検査対象デバイス52a〜52dが形成されている。検査対象デバイス52a〜52dには、それぞれ端子51a〜51dが設けられている。プローブ65a〜65dはプローブ基板6から検査対象デバイス52a〜52d側にそれぞれ突出している。プローブ65a〜65dは、端子51a〜51dとそれぞれ同時に接触可能にプローブ基板6上に配置されている。例えば、プローブ65aは、検査対象デバイス52aの端子51aと接触する。検査対象デバイス52a〜52dを特に識別しない場合は、検査対象デバイス52と示す。プローブ65a〜65dについても同様にプローブ65と示す。
【0074】
プローブ基板6は、複数の配線66を有している。複数の配線66は、それぞれプローブ65a〜65dに接続されている。配線66は、導電路64を介して、半導体モジュール10の電源出力端子19と接続している。なお、導電路64は、中間接続体5、及びインターフェース基板1(
図6では不図示)に設けられた配線や端子等によって構成されている。
【0075】
半導体モジュール10内の回路について説明する。上記したように、半導体モジュール10は、実装基板16、制御IC11、及び半導体チップ20を備えている。また、実装基板16には、テスタ(
図6では不図示)等から、
図1で示したコネクタ3を介して、第1の電位Vsw(Hレベル、例えば、16V)と第2の電位Vss(Lレベル、例えば、−3V)が供給されている。実装基板16は、電源入力端子18と複数の電源出力端子19とを備えている。
【0076】
ここでは、4つの半導体チップ20によるチャネル切替を説明するため、4つの半導体チップ20を半導体チップ20a〜20dとして示している。すなわち、半導体チップ20a〜20dのうちの一つが選択的にONすることで、検査対象デバイス52a〜52dの一つにテスト電源が供給される。
【0077】
具体的には、電源入力端子18はコネクタ3を介して電源チャネルに接続されている。そして、1つの電源チャネルが分岐して半導体チップ20a〜20dにそれぞれ接続される。半導体チップ20a〜20dはそれぞれ電源出力端子19に接続されている。半導体モジュール10の電源出力端子19は、それぞれ異なる導電路64に接続されている。検査対象デバイス65a〜65の検査を行う場合、半導体チップ20a〜20dが選択的にONする。
【0078】
例えば、半導体チップ20aがONすると、検査対象デバイス52aの端子51aにテスト電源が供給される。これにより、検査対象デバイス52aの検査が行われる。このとき、半導体チップ20b〜20dはOFFしているため、検査対象デバイス52b〜52dの端子51b〜51dにはテスト電源が供給されない。
【0079】
そして、ONする半導体チップ20a〜20dを順番に切り替えていく。こうすることで、検査対象デバイス52a〜52dに順番にテスト電源が供給されていき、4つの検査対象デバイス52a〜52dを検査することができる。
【0080】
上記のように、制御IC11は、半導体チップ20a〜20dのON/OFFを切り替える制御回路を有している。以下、半導体チップ20a〜20dのON/OFFを切り替えるための回路について説明する。制御IC11は、テスタからの信号(
図6では不図示)に基づいて、半導体チップ20a〜20dを制御する(以下、半導体チップ20の制御に用いられるテスタからの信号を「検査信号」ともいう)。すなわち、制御IC11は、検査信号に基づいて、半導体チップ20a〜20dを選択的にONする。
【0081】
制御IC11は、半導体チップ20a〜20dをスイッチングするための制御スイッチ61a〜61d、62a〜62dを備えている。制御IC11において第1の電位Vswが分岐されて制御スイッチ61a〜61dに入力されている。同様に、第2の電位Vssが分岐されて制御スイッチ62a〜61dに入力されている。
【0082】
制御スイッチ61a、62aの出力は、半導体チップ20aのゲート電極Gに接続されている。制御スイッチ61b、62bの出力は、半導体チップ20bのゲート電極Gに接続されている。制御スイッチ61c、62cの出力は、半導体チップ20cのゲート電極Gに接続されている。制御スイッチ61d、62dの出力は、半導体チップ20dのゲート電極Gに接続されている。実装基板16上の配線63は、制御IC11の出力と半導体チップ20a〜20dのゲート電極Gとを接続する。
【0083】
制御スイッチ61aと制御スイッチ62aは対となっており、択一的にONする。すなわち、制御スイッチ61aと制御スイッチ62aのどちらか一方がONして、他方がOFFする。例えば、半導体チップ20aをONする場合、制御スイッチ61aがONして、制御スイッチ62aはOFFする。同様に、制御スイッチ61bと制御スイッチ62bは対となっており、択一的にONする。制御スイッチ61cと制御スイッチ62cは対となっており、択一的にONする。制御スイッチ61dと制御スイッチ62dは対となっており、択一的にONする。
【0084】
さらに、制御スイッチ61a〜61dは、選択的にONする。すなわち、制御スイッチ61a〜61dのうちの一つがONすると、他の3つはOFFする。具体的には、半導体チップ20dをONする場合、制御スイッチ61dがONして、制御スイッチ61a、61b、61cがOFFする。この時、制御スイッチ61dと対となる制御スイッチ62dはOFFし、制御スイッチ61a、61b、61cと対となる制御スイッチ62a、62b、62cがONする。換言すると、制御スイッチ62a〜62dは、選択的にOFFする。すなわち、制御スイッチ61a〜61dのうちの一つがOFFすると、他の3つはONする。
【0085】
制御スイッチ61a〜61dのうち、ONとなった一つの制御スイッチに対応する半導体チップ20には、第1の電位Vswが供給される。この時、制御スイッチ62a〜62dのうち、OFFとなった3つの制御スイッチに対応する半導体チップ20には、第2の電位Vssが供給される。例えば、制御スイッチ61aがON、制御スイッチ62aがOFFすると、半導体チップ20aのゲート電極Gには、第1の電位Vswが供給される。この時、制御スイッチ61b、61c、61dはOFF、制御スイッチ62b、62c、62dがONしているため、半導体チップ20b、20c、20dのゲート電極Gには、第2の電位Vssが供給される。よって、半導体チップ20aのみがONして、半導体チップ20b、20c、20dがOFFする。このようにして、半導体チップ20a〜20dを選択的にONすることができる。これにより、上記したように、検査対象デバイス52aにテスト電源が供給される。
【0086】
本実施形態の検査装置は、各電源チャネルをプローブカード100上でそれぞれ複数に分岐して、複数の検査対象デバイス52に接続させてテスト電源を供給している。このように、半導体チップ20a〜20dをON/OFF制御することで、検査対象デバイス52の数を増やすことができる。例えば、テスタの電源チャネル数が256chの場合、電源チャネルを4分岐することで、一度に1024個の検査対象デバイスを検査することができる。
【0087】
さらに、複数の検査対象デバイス52を同時に測定する装置において、検査中の検査対象デバイス52の異常を検出して、異常が検出された検査対象デバイス52への検査用電源(テスト電源)を遮断する。この検査装置のプローブカード上の回路には、テスト電源を遮断する素子が組み込まれている。不良チップ(検査対象デバイス52)が有る場合、常時、それに接続される半導体チップ20をOFFして、その不良チップに印加されたテスト電源を遮断する。こうすることで、不良チップと共通の電源チャネルから分岐した他の検査対象デバイス52への電源異常等の影響を遮断することができる。これにより、正確に検査することができる。
【0088】
例えば、制御IC11が不良となる検査対象デバイスを記憶するようにしてもよい。そして、制御IC11が不良チップを記憶して、不良チップに対する電源供給を遮断するようにしてもよい。あるいは、テスタ側に不良となる検査対象デバイスを特定する情報を記憶し、その情報に基づいて制御IC11が不良チップへの電源供給を停止するようにしてもよい。
【0089】
次に、半導体チップ20のトランジスタ構成と、その制御回路について、
図7を用いてさらに具体的に説明する。
図7は、1つの半導体チップ20のトランジスタ構成と、それに対する制御スイッチ61、62を示す回路図である。すなわち、
図7では、
図6で示した一部の構成を示している。具体的には、
図7は、
図6に示した制御スイッチ61、62の1ペアに相当する構成と半導体チップ20の一つの構成を図示している。制御スイッチ61a〜61d、62a〜62d、及び半導体チップ20a〜20dの回路構成はそれぞれ
図7に示す回路構成と同様となっているため、説明を省略する。すなわち、それぞれの半導体チップ20に対して
図7に示す構成が設けられている。
【0090】
なお、
図7において示されている、ゲートとドレインを結ぶ配線とその配線上に設けられたゲート保護回路73、74は説明のために図示されたものであり、実際の半導体モジュール10には設けられていない(
図8、
図9、
図10についても同じ)。
【0091】
テスタ80は、半導体モジュール10の電源入力端子18に電源チャネルからのテスト電源を供給する。電源入力端子18と電源出力端子19は、半導体チップ20を介して接続されている。さらに、テスタ80は、半導体モジュール10の制御入力端子60に検査信号を供給する。デジタル信号である検査信号は、制御IC11に供給される。具体的には、検査信号は、反転増幅器69を介して、制御スイッチ61、62に供給される。
【0092】
制御スイッチ61はpMOS、制御スイッチ62はnMOSであり、制御スイッチ61と制御スイッチ62が一体となってCMOS67を構成している。すなわち、制御スイッチ61のゲートと制御スイッチ62のゲートが接続されて反転増幅器69につながっており、制御スイッチ61のドレインと制御スイッチ62のドレインとが接続されて配線63につながっている。制御スイッチ61のソースは第1の電位Vswに接続され、制御スイッチ62のソースは第2の電位Vssに接続される。反転増幅器69からの検査信号は反転して、制御スイッチ61と制御スイッチ62のゲートに供給される。したがって、制御スイッチ61及び制御スイッチ62の一方がONする。制御スイッチ61、62の出力は、配線63を介して、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている。
【0093】
このように、制御IC11は、制御スイッチ61、62のON/OFFに応じた制御信号を半導体チップ20に出力する。制御信号が配線63を介して、第1トランジスタ21、及び第2トランジスタ22のゲート電極Gに供給される。なお、配線63は、実装基板16に設けられている。すなわち、配線63は実装基板16上で分岐されて、第1トランジスタ21のゲート電極Gと、第2トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている。
【0094】
したがって、制御スイッチ61がONすると、第1の電位Vswが第1トランジスタ21と第2トランジスタ22のゲート電極Gに供給される。一方、制御スイッチ62がONすると、第2の電位Vssが第1トランジスタ21と第2トランジスタ22のゲート電極Gに供給される。
【0095】
半導体チップ20は、上記のように、第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とを備えている。第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とは、電源入力端子18と電源出力端子19との間に直列に接続されている。第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とは、それぞれnチャネルのパワーMOSトランジスタであり、ドレイン電極Dを基板側で共通にしている。すなわち、第1トランジスタ21のドレイン電極Dと第2トランジスタ22のドレイン電極Dは、導通している。第1トランジスタ21のソース電極Sがテスタ80側、すなわち、電源入力端子18に接続されている。一方、第2トランジスタ22のソース電極Sは、プローブ側、すなわち、電源出力端子19に接続されている。
【0096】
従って、第1トランジスタ21及び第2トランジスタ22のゲート電極Gに第1の電位Vswが供給されると、スイッチである第1トランジスタ21及び第2トランジスタ22がONする。すると、電源入力端子18と電源出力端子19が接続される。すなわち、プローブとテスタ80が接続される。
【0097】
一方、第1トランジスタ21及び第2トランジスタ22のゲート電極Gに第2の電位Vssが供給されると、スイッチである第1トランジスタ21及び第2トランジスタ22がOFFする。すると、電源入力端子18と電源出力端子19が非接続となる。すなわち、プローブがテスタ80から切り離され、プローブへの電源供給を遮断することができる。このように、半導体チップ20は、制御信号に応じて、プローブとテスタの電源チャネルとの接続を制御する。
【0098】
このように、第1トランジスタ21と第2トランジスタ22のドレイン電極を向い合わせて、直列に接続することで、電源入力端子18と電源出力端子19との間のリーク電流を低減することができる。例えば、ソース電極Sドレイン電極Dとの間とには、寄生ダイオード71、72が入っている。このため、1つのトランジスタしか設けられていない場合、寄生ダイオードによって、電源入力端子18と電源出力端子19との間にリーク電流が流れてしまう。
【0099】
これに対して、本実施の形態では、直列接続の第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とをドレイン電極同士で接続することで、寄生ダイオード71、72の順方向が反対向きになる。例えば、寄生ダイオード71は、電源入力端子18から電源出力端子19に向かう方向を順方向としており、寄生ダイオード72は、電源入力端子18から電源出力端子19に向かう方向を逆方向としている。これにより、双方向の電流遮断を行うことができる。よって、双方向のスイッチングが可能となり、リーク電流も低減できる。
【0100】
また、パワーMOSトランジスタは、通常、ゲート酸化膜を保護するためにゲートとソース間にゲート保護回路73、74を設ける必要があり、例えば、パワーMOSトランジスタの素子内や外部のゲート−ソース間にショットキーダイオードなどの保護ダイオードが設けられる。このようなゲート保護回路73、74は、ゲート−ソース間にリーク電流を生じさせる原因となる。
【0101】
これに対して、本実施の形態では、半導体チップ20と制御IC11との間の配線63が、半導体モジュール10の外側に出ていない回路構成となっている。すなわち、ゲート電極Gからの配線63が制御IC11の出力のみに接続される構成となっている。したがって、制御IC11の出力段をゲート保護回路として用いることができる。
【0102】
この構成では、ゲート電極Gとソース電極Sとの間に、ゲート酸化膜を保護するためのゲート保護回路73、74を形成する必要がなくなる。半導体チップ20の内部及び外部にゲート/ソース間をつなぐゲート保護回路73、74を設けていないため、リーク電流を低減することができる。これにより、テスタの電流測定時の測定精度の劣化を防ぐことができる。よって、半導体モジュール10をプローブカード100に搭載することによって、正確に検査することができる。
【0103】
また、電源チャネルの経路と、その開閉を制御する制御回路とをパワーMOSトランジスタ21、22を挟んで分離することができるため、リーク電流を低減でき測定精度を向上できる。また、パワーMOSトランジスタ21、22の開閉をCMOS67で制御することにより、消費電力が少なくて済み、発熱量を低下させることができる。
【0104】
なお、本発明においては、半導体チップ20に備えられた二つのトランジスタにおいて、導通を制御する電極を制御電極(本実施形態におけるゲート電極G)、制御電極により制御される導電路の両端の電極であって互いに接続される同種の電極を第1電極(本実施形態におけるドレイン電極D)、入出力側となる同種の電極を第2電極(本実施形態におけるソース電極S)としている。
【0105】
(変形例1)
図8は、制御IC11の制御スイッチ61、62と、半導体チップ20の回路構成の変形例1を示す回路図である。
図7では、制御スイッチ61、62から半導体チップ20に向かう配線63を外部に出さない構成としていたが、
図8では、配線63が抵抗78を介して外部と接続する構成となっている。すなわち、外部からの第2の電位Vssが抵抗78を介してゲート電極Gに供給されている。
【0106】
図8では、制御スイッチ61、62の回路構成が
図7と異なっている。なお、変形例の説明において、
図7と共通する部分については、説明を省略する。例えば、半導体チップ20における第1トランジスタ21、第2トランジスタ22の構成は、
図7と同様であるため、説明を省略する。
【0107】
第1の電位Vswと第2の電位Vssとの間に、制御スイッチ61と制御スイッチ62とが並列に接続されている。制御スイッチ61はpMOS、制御スイッチ62はnMOSである。制御スイッチ61のゲートには、増幅器68を介して検査信号が供給されている。制御スイッチ62のゲートには、反転増幅器69を介して検査信号が供給されている。よって、
図8では、制御スイッチ61と制御スイッチ62とが同時にON/OFFする。
【0108】
制御スイッチ61と制御スイッチ62とが同時にONすると、第1の電位Vswが配線63を介して、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22のゲート電極Gに供給される。制御スイッチ61と制御スイッチ62とが同時にOFFすると、第2の電位Vssが抵抗78、及び配線63を介して、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22のゲート電極Gに供給される。
【0109】
このような構成を用いることで、
図7と同様の効果を得ることができる。すなわち、寄生ダイオード71、72が逆向きで直列接続された構成となるため、両方向の電源遮断を行うことができる。また、半導体チップ20に2つのパワーMOSトランジスタ21、22が含まれているため、実装面積を小さくすることができる。また、パワーMOSトランジスタ21、22のゲート電極Gとソース電極Sとの間のゲート保護回路73、74を取り除くことができる。これにより、ゲート/ソース間のリーク電流を低減することができ、テスタの電流測定時の測定精度の劣化を防ぐことができる。また、電源チャネルの経路と、その開閉を制御する制御回路とをパワーMOSトランジスタ21、22を挟んで分離することができるため、リーク電流を低減でき測定精度を向上できる。また、パワーMOSトランジスタ21、22の開閉をMOSトランジスタ61、62で制御することにより、消費電力が少なくて済み、発熱量を低下させることができる。
【0110】
(変形例2)
なお、
図7では、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22として、NチャネルパワーMOSFETを用いたが、
図9に示すように、PチャネルパワーMOSFETを用いることも可能である。このような構成を用いることで、
図7と同様の効果を得ることができる。
【0111】
(変形例3)
なお、
図8では、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22として、NチャネルパワーMOSFETを用いたが、
図10に示すように、PチャネルパワーMOSFETを用いることも可能である。このような構成を用いることで、
図8と同様の効果を得ることができる。
なお、半導体モジュール10において、実施の形態1と、変形例1〜3を組み合わせることも可能である。例えば、半導体モジュール10において、PチャネルMOSFETの半導体チップ20とNチャネルMOSFETの半導体チップ20とを混載してもよい。
【0112】
その他の実施形態.
第3トランジスタ23、第4トランジスタ24を含む半導体チップ20の回路構成については、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22を含む半導体チップ20の回路構成と同様になるため、説明を省略する。なお、上記の実施の形態では、第1トランジスタ21、第2トランジスタ22とのドレイン電位を共通としたが、ソース電位を共通としてもよい。すなわち、直列接続した第1トランジスタ21と第2トランジスタ22とのソース電極Sが向かい合うように構成してもよい。また、上記の実施の形態では、パワーMOSトランジスタが縦型構造のものとしてプレーナ型のパワーMOSトランジスタを用いたが、他の縦型構造のパワーMOSトランジスタであってもよく、例えば、トレンチ型パワーMOSトランジスタ、スーパージャンクション型MOSトランジスタ、高速ボディダイオード型パワーMOSトランジスタを用いてもよい。また、横型構造のパワーMOSトランジスタであってもよい。
【0113】
半導体チップ20のパワーデバイスとして、パワーMOSトランジスタを設けたが、共通基板となるトランジスタであれば、特に限定されるものではない。例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やバイポーラトランジスタを用いてもよい。したがって、第1トランジスタ21の第1電極と第2トランジスタ22の第1電極とが、半導体チップ20の基板側で共通するようにする。第1トランジスタ21の第2電極がテスタ80側に接続し、第2トランジスタ22の第2電極がプローブ側に接続している。第1及び第2トランジスタの制御電極に、制御IC11からの制御信号に応じて、テスタ80の電源チャネルとプローブ65との接続を制御する。IGBTやバイポーラ型のトランジスタを用いる場合、第1電極であるコレクタ電極が基板共通となっていればよい。そして、第2電極であるエミッタ電極がテスタ側とプローブ側に接続されればよい。また、半導体チップ20の裏面にAu鍍金等を行って、トランジスタのON抵抗を低減してもよい。
【0114】
さらに、半導体モジュール10において、2つのパワーMOSトランジスタを有する半導体チップ20以外のスイッチが設けられていてもよい。すなわち、半導体モジュール10は、1つ以上の半導体チップ20を備えていればよい。
【0115】
さらに、半導体モジュール10を用いることにより、電源チャネルを切り替えるスイッチ回路を小型化することができる。このため、プローブカード100のテスタ側に設けられた半導体モジュール10の接続端子と、プローブカード100のウェーハ50側に設けられたプローブの接続端子を垂直に接続することができる。すなわち、半導体モジュールの真下に、プローブの接続端子が存在することになる。プローブカードにおいては、スイッチ回路を設けるスペースは制限されているが、半導体モジュール10を設けるための空間として、プローブの真上のスペースを利用することができる。これにより、プローブカード100のスペースを効率よく利用することができる。また、半導体モジュール10とプローブとの導電路を短くすることができる。
【0116】
上記の説明では、半導体モジュール10を半導体ウェーハ検査のプローブカード100に用いる例について説明したが、半導体モジュール10のアプリケーションはプローブカードに限られるものではない。例えば、半導体パッケージのパッケージテスト(ファイナルテスト)を行う検査装置の電気的接続体に半導体モジュール10を用いてもよい。テスタヘッドとICソケットの間に介在する電気的接続体(例えば、DUTボード、パフォーマンスボード等のボード類)に半導体モジュール10を利用することも可能である。したがって、本発明は検査対象デバイスと接触する部材とテスタとの間の電気的接続体に半導体モジュール10を用いることができる。さらには、テスタ80に半導体モジュール10を利用することも可能である。
【0117】
また、半導体の検査装置以外の用途にも用いることができる。例えば液晶ディスプレイ製造における検査工程(アレイ検査工程、セル検査工程、モジュール検査工程)に用いる検査装置(テスタ、プローバ)に用いることができる。例えば、検査対象デバイスと接触するプローブユニットとテスタとの間に設けられる制御スイッチに半導体モジュール10を用いることができる。
【0118】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。
【0119】
この出願は、2014年7月17日に出願された日本出願特願2014−146427を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。