特許第6286557号(P6286557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6286557有機−無機ハイブリッド薄膜およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286557
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】有機−無機ハイブリッド薄膜およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/30 20060101AFI20180215BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   C23C16/30
   H01L21/312 N
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-538482(P2016-538482)
(86)(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-534231(P2016-534231A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】KR2013009909
(87)【国際公開番号】WO2015030297
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0104463
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】515276668
【氏名又は名称】アイユーシーエフ−エイチワイユー(インダストリー−ユニバーシティ コーオペレーション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティ)
【氏名又は名称原語表記】IUCF−HYU (INDUSTRY−UNIVERSITY COOPERATION FOUNDATION HANYANG UNIVERSITY)
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】スン,ミュン モ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,キュウ ソク
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5220106(JP,B2)
【文献】 特開2004−231784(JP,A)
【文献】 特開2006−070029(JP,A)
【文献】 特開2008−218632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/30
H01L 21/312
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1:
[式1]−[M−X−R1−Y−]m−
(前記式1において、mは1以上であり、
R1は、置換または非置換の〜60個の核原子のアリールまたはヘテロアリールであり、
Mは、Zn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびWからなる群から選択され、
XまたはYは、O、S、N、NHおよびCOからなる群から選択され、かつXまたはYのいずれか一方はSである)
で表される有機−無機ハイブリッド薄膜。
【請求項2】
前記有機−無機ハイブリッド薄膜の厚さは、1Åから500Åに及ぶ、請求項1に記載の有機−無機ハイブリッド薄膜。
【請求項3】
有機−無機ハイブリッド薄膜を含む機能性薄膜であって、
請求項1に記載の有機−無機ハイブリッド薄膜ならびにZn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびWからなる群から選択される金属の酸化物層を備える機能性薄膜。
【請求項4】
前記有機−無機ハイブリッド薄膜を備える前記機能性薄膜において、金属酸化物層の厚さは、10Åから2000Åに及ぶ、請求項に記載の機能性薄膜。
【請求項5】
機能性薄膜であって、請求項1に記載の前記有機−無機ハイブリッド薄膜を備えカプセル化に用いられる能性薄膜。
【請求項6】
機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法であって、
(1)以下の式2によって表される第1の前駆体化合物を用いて、基板の表面上に無機分子層を形成する工程
[式2]M(R21)(R22)...(R2n)
(前記式2において、Mは、Zn、Sn、Cd、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、Nb、W、In、GaおよびAlからなる群から選択され、
nは、前記金属Mの酸化数の状態に従って決定され、
R21からR2nはそれぞれ独立して、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシド、塩化物の基、水酸化物の基、オキシ水酸化物の基、ニトレート基、カーボネート基、アセテート基、またはオキサレート基である。)および、
(2)以下の式3によって表される第2の前駆体化合物を前記無機分子層と反応させて、前記無機分子層上に有機分子層を形成する工程
[式3]R3−S−R4−R5
(前記式3において、R3は、水素、COR6、C1〜20アルキル、C5〜20シクロアルキル、または5〜60個の核原子のアリールもしくはヘテロアリールであり、
R4は、C1〜20アルキル、C5〜20シクロアルキル、または5〜60個の核原子のアリールもしくはヘテロアリールであり、
R5は、C1〜20アルコキシ基、エーテル基、カルボキシル基、COR6、チオール基、ヒドロキシル基およびアミン基からなる群から選択される1つまたは複数の種であり、
R6は、水素、アルコキシ基、エーテル基、カルボキシル基、チオール基、およびアミン基からなる群から選択される1つまたは複数の種である。)
を含む方法。
【請求項7】
前記第2の前駆体化合物は、以下の式4:
[式4]
【化1】
(式4において、Zはチオール基であり、Qは、チオール基およびヒドロキシル基から選択されるいずれか1つであり、ZおよびQは、オルト、メタまたはパラの位置にある。)
によって表される、請求項に記載の、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法。
【請求項8】
前記第2の前駆体化合物は、以下の式5:
[式5]
【化2】
によって表される、請求項に記載の、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法。
【請求項9】
前記第2の前駆体化合物は、以下の式6:
[式6]
【化3】
によって表される、請求項に記載の、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法。
【請求項10】
前記工程(1)および前記工程(2)を繰り返し実行することをさらに含む、請求項に記載の、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法。
【請求項11】
前記基板は、ガラス、シリコンおよびプラスチックからなる群から選択される、請求項に記載の、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法。
【請求項12】
前記工程(1)に先立って酸化物層を基板表面上に形成する工程をさらに含む、請求項に記載の、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法。
【請求項13】
有機−無機ハイブリッド薄膜を有する機能性薄膜を調整する方法であって、
請求項6に記載の方法で有機−無機ハイブリッド薄膜を調整する工程と、
Zn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびWからなる群から選択される金属の酸化物層を原子層堆積によって形成する工程(3)能性薄膜を調製する方法。
【請求項14】
前記工程(1)および前記工程(2)をそれぞれn1回(n1は、1以上である)繰り返し実行した後に、前記工程(3)をn2回(n2は、1以上である)繰り返し実行する、請求項13に記載の機能性薄膜を調製する方法。
【請求項15】
請求項13に記載の機能性薄膜を調整する方法であって、前記工程(1)から前記工程(3)を繰り返し実行し、多層構造を持つ機能性薄膜を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機−無機ハイブリッド薄膜およびその調製方法に関し、より詳細には、安定した新しい官能基を含む有機−無機ハイブリッド薄膜、ならびに無機前駆体および有機前駆体を交互に用いる分子層堆積法によって形成される有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機−無機ハイブリッド材料は、物理的方法または化学的方法に基づいて、有機材料を無機材料と結合することによって、有機材料の性質および無機材料の性質の双方を示すことができる材料である。
【0003】
有機−無機ハイブリッド薄膜を調製するのに最も多く用いられている方法はゾル−ゲル法であり、これにより、有機−無機ハイブリッド材料の低温での容易な調製が可能となり、結果として、その調査が長い間、広範囲にわたって行われてきた。それでもやはり、ゾル−ゲル法は、単分子層の制御が困難であり、かつ変形が熱処理後に生じて、高品質の有機−無機ハイブリッド薄膜の調製が困難であるという欠点を有する。
【0004】
有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する別の方法は、インターカレーションに基づくものであり、ゾル−ゲル法による調製が困難であった有機−無機ハイブリッド材料の調製を可能にする。それでもやはり、この方法もまた単分子層の制御が困難であり、かつ堆積速度が遅いので、高品質の有機−無機ナノハイブリッド超格子を調製する場合に困難を示す。
【0005】
分子自己アセンブリ法は、静電気を用いることによって有機−無機ハイブリッド薄膜を調製し、ポリマー、ナノ粒子、ナノプレートその他を層の形態に成長させることができる非常に有用な方法である。これを研究するのに多くの努力が費やされている。それでもやはり、分子自己アセンブリ法は、静電気を用いることによって有機−無機ハイブリッド薄膜を調製しており、厳密な意味で単分子層を制御する技術を代表しない。その低い熱安定性により、高品質の安定した有機−無機ハイブリッド薄膜を調製することは困難である。また、加熱溶着(蒸着)法は、有機−無機ハイブリッド薄膜をガス相において調製しており、単分子層の制御を困難にしている。また、その原材料分子は非常に制限されるので、その用途もまた限定される。
【0006】
有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する既存の方法に関するそのような問題を解決するために、有機ポリマーだけでなく有機−無機ハイブリッド材料も堆積することができる分子層堆積技術が開発された。分子層堆積技術は、無機分子または有機分子の自己制御表面反応に基づいて、無機分子または有機分子が分子ユニット内で制御され得るガス相堆積を代表する。S.M.Georgeのグループは、代表的な例として、分子層堆積技術を用いて、トリメチルアルミニウム(TMA)およびエチレングリコール(EG)によるアルコーンポリマー膜を調製した。しかしながら、そのような既存の分子層堆積において、有機前駆体を含む官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、およびそれらの誘導体に制限されており、それに応じて調製される有機−無機ハイブリッド薄膜は、空気中に置かれると直ぐに不安定となって分解するという問題がある。
【0007】
電子デバイスその他の、酸素または水分による特徴的な悪化を防止するために、優れた不動態膜の開発が進行中である。現在では、不動態膜は種々の形態があり、SiO、SiN、およびAl等の無機材料に基づく単一膜、無機材料を交互に堆積させることによって調製される多層膜、ならびに無機材料および有機材料を交互に堆積させることによって調製される多層膜が挙げられる。イオンビーム堆積、電子ビーム堆積、プラズマビーム堆積、および化学蒸着が用いられて、無機不動態膜が形成されてきたが、そのような既存の技術は、堆積温度が高くなければならない点、そして薄膜の適用範囲が優れていなかったという点で問題がある。
【0008】
ゆえに、低温での不動態膜の形成を可能にする原子層堆積(ALD)法は、多くの注目を集めてきた。ALDは、自己制御反応が原子ユニットに用いられて単原子層が堆積する、無機薄膜および金属薄膜を調製するのに理想的な技術を代表し、単原子層の厚さ制御が可能な新しい概念の堆積技術であると考えられ得る。しかしながら、所望の性能はまだ達成されていない。これは、不動態膜形成のプロセス中に生じるピンホールのためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の先行技術に関する問題を解決し、無機層を形成するために用いられる前駆体化合物、および有機層を形成するために用いられる前駆体化合物を交互に用いる、新しい有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、本発明の調製方法に従って調製される有機−無機ハイブリッド薄膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解明するために、以下の式1によって表される有機−無機ハイブリッド薄膜を提供する。
【0012】
[式1]−[M−X−R1−Y−]m−
(上記の式1において、mは1以上であり、
R1は、C1〜20アルキル、C5〜20シクロアルキル、または5〜60個の核原子のアリールもしくはヘテロアリールであり、
Mは、Zn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびWからなる群から選択され、
XまたはYは、O、S、N、NHおよびCOからなる群から選択され、かつXまたはYのいずれか一方はSである。)
【0013】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜は、特徴として、厚さが1Åから50Åである。
【0014】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜において、有機−無機ハイブリッド薄膜の最初の厚さがd0であり、n時間STP条件下に置かれた後の有機−無機ハイブリッド薄膜の厚さがdnであるとすると、以下の関係式が満たされる:
0≦(dn/d0)≦0.1(0≦n≦240)。
【0015】
本発明はまた、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜、ならびにZn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびWからなる群から選択される金属の酸化物層を備える機能性薄膜を提供する。機能性薄膜は、超格子薄膜であってよい。
【0016】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を備える機能性薄膜において、金属酸化物層の厚さは、10Åから2000Åに及ぶ。
【0017】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を備える機能性薄膜において、有機−無機ハイブリッド薄膜を備える機能性薄膜の最初の厚さがD0であり、n時間STP(標準温度および標準圧力)条件下に置かれた後の有機−無機ハイブリッド薄膜を備える機能性薄膜の厚さがDnであるとすると、以下の関係式が満たされる:
0≦(Dn/D0)≦0.1(0≦n≦240)。
【0018】
本発明に従う機能性薄膜は、特徴として、カプセル化用である。
【0019】
本発明はまた、以下:
(1)以下の式2によって表される第1の前駆体化合物を用いて、無機分子層を形成する工程
[式2]M(R21)(R22)...(R2n)
(前記式2において、Mは、Zn、Sn、Cd、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、Nb、W、In、Ga、AlおよびTlからなる群から選択され、
nは、前記金属Mの酸化数の状態に従って決定され、
R21からR2nはそれぞれ独立して、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシド、塩化物の基、水酸化物の基、オキシ水酸化物の基、ニトレート基、カーボネート基、アセテート基、またはオキサレート基である。)および、
(2)以下の式3によって表される第2の前駆体化合物を前記無機分子層と反応させて、前記無機分子層上に有機分子層を形成する工程
[式3]R3−S−R4−R5
(前記式3において、R3は、水素、COR6、C1〜20アルキル、C5〜20シクロアルキル、または核原子が5〜60個のアリールもしくはヘテロアリールであり、
R4は、C1〜20アルキル、C5〜20シクロアルキル、または5〜60個の核原子のアリールもしくはヘテロアリールであり、
R5は、C1〜20アルコキシ基、エーテル基、カルボキシル基、COR6、チオール基およびアミン基からなる群から選択される1つまたは複数の種であり、
R6は、水素、アルコキシ基、エーテル基、カルボキシル基、チオール基、およびアミン基からなる群から選択される1つまたは複数の種である。)
を含む基板構造を調製する方法を提供する。
【0020】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド分子膜を調製する方法において、第1の前駆体化合物は、基板と反応して、基板表面上に無機層を形成する。
【0021】
第1の前駆体化合物は、無機薄膜が形成され得るあらゆる前駆体であってよく、蒸気圧が高い金属化合物が用いられて、所望量の前駆体がチャンバ中に短時間に噴射される。例えば、第1の前駆体化合物は、金属Mとして、Zn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびW、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される金属の1種を含む、アルコキシド、塩化物、水酸化物、オキシ水酸化物、ニトレート、カーボネート、アセテート、オキサレートおよびそれらの混合物からなる群であってよい。
【0022】
第1の前駆体化合物は、特徴として、金属Mの酸化数の状態に従って決定されるR21、R22...R2nのn個の置換基を含み、R21からR2nはそれぞれ独立して、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシド、塩化物の基、水酸化物の基、オキシ水酸化物の基、ニトレート基、カーボネート基、アセテート基、またはオキサレート基である。
【0023】
具体的には、Zn金属を含む無機層を形成するのに用いられる原材料ガスは、DEZn(ジエチル亜鉛)およびDMZn(ジメチル亜鉛)を含む一方で、Al金属を含む無機層を形成するのに用いられる原材料ガスは、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)その他であってよい。
【0024】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法において、上記の式3によって表される第2の前駆体化合物のSR3またはR5は、第1の前駆体化合物によって基板表面上に形成された無機層と反応して、有機−無機ハイブリッド薄膜を形成する。
【0025】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法において、式4によって表される化合物が、第2の前駆体化合物に用いられてよい。
【0026】
[式4]
【化1】
(式4において、Zはチオール基であり、Qは、チオール基およびヒドロキシル基から選択されるいずれか1つであり、ZおよびQは、オルト、メタまたはパラの位置にある。)
【0027】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法において、以下の式5または式6によって表される化合物が、第2の前駆体化合物に用いられてよい。
【0028】
[式5]
【化2】
[式6]
【化3】
【0029】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法において、工程(1)および工程(2)は、繰り返し実行されて、所望の厚さの有機−無機ハイブリッド薄膜を形成することができる。
【0030】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法において、基板は、ガラス、シリコンおよびプラスチックからなる群から選択される。
【0031】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法はさらに、工程(1)に先立って酸化物層を基板表面上に形成する工程を含む。
【0032】
本発明はまた、有機−無機ハイブリッド薄膜が工程(1)および工程(2)によって形成された後、Zn、Sn、In、Cd、Ga、Al、Ti、Si、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zr、Ru、Mo、NbおよびWからなる群から選択される金属の酸化物層を原子層堆積によって形成する工程(3)をさらに含む、有機−無機ハイブリッド薄膜を備える超格子薄膜を調製する方法を提供する。
【0033】
本発明に従う超格子薄膜を調製する方法において、工程(1)および工程(2)をそれぞれn1回(n1は、1以上である)繰り返し実行した後に、工程(3)をn2回(n2は、1以上である)繰り返し実行する。
【0034】
本発明に従う超格子薄膜を調製する方法において、工程(1)から工程(3)は繰り返し実行される。
【発明の効果】
【0035】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜およびカプセル化膜は、新しい官能基を含んで空気中で安定なままであるので、半導体および電子デバイス、化学センサおよびバイオセンサ、ナノトライボロジ、表面修飾、ナノ電子機械系(NEMS)、マイクロ電子機械系(MEMS)、ならびに不揮発性メモリを製造するためのナノパターニングが挙げられる種々の分野に適用され得る。
【0036】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法は、分子層堆積法に従って無機前駆体および有機前駆体を交互に用いることによって有機−無機ハイブリッド薄膜を調製するときに、有機前駆体に以前には用いられなかった新しい官能基を含めることによって、空気中で非常に安定する有機−無機ハイブリッド多層分子膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施例における第1の前駆体および第2の前駆体の噴射量に対する薄膜成長速度を示す図である。
図2】本発明の一実施例における第1の前駆体および第2の前駆体の噴射量に対する薄膜成長速度を示す図である。
図3】本発明の一実施例において調製される、有機−無機ハイブリッド薄膜および4−メルカプトフェノールの紫外線分光学的測定の結果を示す図である。
図4】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド薄膜のUV−Vis吸収測定の結果を示す図である。
図5】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド薄膜、および比較例において調製される薄膜の空気安定性試験の結果を示す図である。
図6】本発明の一実施例における有機−無機ハイブリッド薄膜形成プロセスのサイクルに対する薄膜厚さ測定の結果を示す図である。
図7】本発明の一実施例において調製されるハイブリッド薄膜の表面粗さ測定の結果を示す図である。
図8】本発明の一実施例における第1の前駆体および第2の前駆体の噴射量に対する薄膜成長速度を示す図である。
図9】本発明の一実施例における第1の前駆体および第2の前駆体の噴射量に対する薄膜成長速度を示す図である。
図10】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド薄膜の紫外線分光学的測定の結果を示す図である。
図11】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド薄膜のUV−Vis吸収測定の結果を示す図である。
図12】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド薄膜、および比較例において調製される薄膜の空気安定性試験の結果を示す図である。
図13】本発明の一実施例における有機−無機ハイブリッド薄膜形成プロセスの薄膜厚さ測定の結果を示す図である。
図14】本発明の一実施例において調製されるハイブリッド薄膜の表面粗さ測定の結果を示す図である。
図15】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド超格子薄膜のTEM写真測定の結果を示す図である。
図16】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド超格子薄膜において有機−無機ハイブリッド薄膜の厚さを変えることによって測定されるピンホール形成阻害率を示す図である。
図17】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド超格子薄膜において有機−無機ハイブリッド薄膜の厚さを変えることによって測定されるピンホール形成阻害率を示す図である。
図18】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド超格子薄膜における、原子層堆積によって形成されるAl薄膜の、有機−無機ハイブリッド薄膜に対する比率に対する薄膜応力測定の結果を示す図である。
図19】本発明の一実施例において調製される有機−無機ハイブリッド薄膜、および比較例において調製される薄膜のCa試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、本発明の実施例に従って、以下でさらに詳細に記載される。しかしながら、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【実施例1】
【0039】
Si(100)基板を蒸留水およびアセトンで洗浄した後、Nガスで2〜3回パージして、基板表面上のあらゆる汚染物質を除去してから、ジエチル亜鉛(DEZn)を第1の前駆体化合物として用いて、分子層堆積法に従って、ジエチル亜鉛(DEZn)薄膜をSi基板上に堆積させた。
【0040】
4−メルカプトフェノールを第2の前駆体化合物として用いることによって、分子層堆積法に従って、ジエチル亜鉛(DEZn)薄膜上に有機分子膜を形成し、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製した。アルゴンをキャリアガスおよびパージガスの双方に用いて、DEZnおよび4−メルカプトフェノールをそれぞれ20℃および70℃にて蒸発させた。1サイクルは、2秒間のDEZnへの曝露、10秒間のArによるパージ、2秒間の4−メルカプトフェノールへの曝露、および50秒間のArによるパージによって達成した。薄膜は、80℃から200℃の温度にて、そして300mTorrの圧力下で成長した。
【0041】
<実験>有機前駆体および無機前駆体の成長速度対噴射時間の測定
実施例1において、ジエチル亜鉛(DEZn)の第1の前駆体化合物の噴射時間に従う薄膜の成長速度、および4−メルカプトフェノールの第2の前駆体化合物の噴射時間に従う薄膜の成長速度を測定し、それぞれ図1および図2に示した。
【0042】
図1および図2から、薄膜の成長速度は、ジエチル亜鉛(DEZn)の第1の前駆体化合物および4−メルカプトフェノールの第2の前駆体化合物の噴射量と共に増大し、その後、成長速度はもはや増大せずに、ある速度にて留まったことに注目することができる。
【0043】
<実験>IR分光学的測定
KBrペレットをSi基板および4−メルカプトフェノールの代わりに用いたこと以外は実施例1と同じ方法で調製した有機−無機ハイブリッド薄膜のIR分光学的測定を行った。結果を図3に示す。
【0044】
図3において、4−メルカプトフェノールのヒドロキシル基およびチオール基が、4−メルカプトフェノールのみが含まれる比較例において見出される一方で、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜の場合、第2の前駆体として用いたメルカプトフェノールのヒドロキシル基およびチオール基は、第1の前駆体によって調製した無機分子層と反応してハイブリッド薄膜を形成するので、メルカプトフェノールのヒドロキシル基およびチオール基は、赤外線分光法によって検出されないことを確認することができる。
【0045】
<実験>UV−VIS分光学的測定
上記の実施例1において調製した有機−無機ハイブリッド薄膜のUV−Vis吸収を測定した。結果を図4に示す。
【0046】
図4から、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜は、可視光線範囲に吸収が認められないことを確認することができる。
【比較例】
【0047】
比較例において、ジエチル亜鉛(DEZn)を第1の前駆体化合物として用いて、分子層堆積法に従ってジエチル亜鉛(DEZn)薄膜をSi基板上に堆積させてから、ヒドロキノン(HQ)を第2の前駆体化合物として用いたこと以外は、上記の実施例1と同じ方法で有機−無機ハイブリッド薄膜を調製した。
【0048】
<実験>空気中での安定性試験
上記の実施例1の有機−無機ハイブリッド薄膜および比較例において調製した有機−無機ハイブリッド薄膜を空気中に置きながら、厚さの変化を測定して、空気中の安定性を試験した。結果を図5に示す。
【0049】
図5において、本発明とは異なり、S基を含まない比較例の場合、厚さは大幅に減少する一方で、本発明に従う実施例の場合には、厚さは時間と共に変化しないこと、そしてS基を含む有機−無機ハイブリッド多層膜は、空気中で非常に安定することが理解され得る。
【実施例2】
【0050】
上記の実施例1のように、第1の前駆体化合物によってジエチル亜鉛(DEZn)を形成するプロセスの前に、分子層堆積法に従って、ジエチル亜鉛(DEZn)を第1の前駆体化合物として用いてSi基板上に薄膜を堆積させて、4−メルカプトフェノールを第2の前駆体化合物として用いて有機−無機ハイブリッド薄膜をジエチル亜鉛(DEZn)薄膜上に形成し、そして第2の前駆体化合物に基づいて薄膜を繰り返し形成しながら、薄膜の厚さを測定した。結果を図6に示す。
【0051】
図6において、第1の前駆体化合物によって薄膜を形成し、かつ第2の前駆体化合物によって薄膜を形成するプロセスの繰返し数は、形成される薄膜の厚さと比例することを確認することができる。
【0052】
<実験>表面粗さ測定
実施例2において調製した厚さが50nmの有機−無機ハイブリッド薄膜を、表面粗さについてAFMにより測定した。結果を図7に示す。測定された平均粗さは、2.2Åであった。
【実施例3】
【0053】
Si(100)基板を蒸留水およびアセトンで洗浄した後、Nガスで2〜3回パージして、基板表面上のあらゆる汚染物質を除去してから、トリメチルアルミニウム(TMA)を第1の前駆体化合物として用いて、分子層堆積法に従って、トリメチルアルミニウム(TMA)薄膜をSi基板上に堆積させた。
【0054】
4−メルカプトフェノールを第2の前駆体化合物として用いることによって、分子層堆積法に従って、トリメチルアルミニウム(TMA)薄膜上に有機分子膜を形成し、有機−無機ハイブリッド薄膜を調製した。
【0055】
アルゴンをキャリアガスおよびパージガスの双方に用いて、DEZnおよび4−メルカプトフェノールをそれぞれ20℃および70℃にて蒸発させた。1サイクルは、2秒間のDEZnへの曝露、10秒間のArによるパージ、2秒間の4−メルカプトフェノールへの曝露、および50秒間のArによるパージによって達成した。薄膜は、80℃から200℃の温度にて、そして300mTorrの圧力下で成長した。
【0056】
<実験>有機前駆体および無機前駆体の成長速度対噴射時間の測定
実施例3において、トリメチルアルミニウム(TMA)の第1の前駆体化合物の噴射時間に従う薄膜の成長速度、および4−メルカプトフェノールの第2の前駆体化合物の噴射時間に従う薄膜の成長速度を測定し、それぞれ図8および図9に示した。
【0057】
図8および図9から、薄膜の成長速度は、トリメチルアルミニウム(TMA)の第1の前駆体化合物および4−メルカプトフェノールの第2の前駆体化合物の噴射量と共に増大し、その後、成長速度はもはや増大せずに、ある速度にて留まったことに注目することができる。
【0058】
<実験>IR分光学的測定
KBrペレットをSi基板および4−メルカプトフェノールの代わりに用いたこと以外は実施例3と同じ方法で調製した有機−無機ハイブリッド薄膜のIR分光学的測定を行った。結果を図10に示す。
【0059】
図10において、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜の場合、第2の前駆体として用いたメルカプトフェノールのヒドロキシル基およびチオール基は、第1の前駆体によって調製した無機分子層と反応してハイブリッド薄膜を形成するので、メルカプトフェノールのヒドロキシル基およびチオール基は、赤外線分光法によって検出されないことを確認することができる。
【0060】
<実験>UV−VIS分光学的測定
上記の実施例3において調製した有機−無機ハイブリッド薄膜のUV−Vis吸収を測定した。結果を図11に示す。
【0061】
図11から、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜は、可視光線範囲に吸収が認められないことを確認することができる。
【0062】
<比較例>
比較例において、トリメチルアルミニウム(TMA)を第1の前駆体化合物として用いて、分子層堆積法に従ってトリメチルアルミニウム(TMA)薄膜をSi基板上に堆積させてから、ヒドロキノン(HQ)を第2の前駆体化合物として用いたこと以外は、上記の実施例3と同じ方法で有機−無機ハイブリッド薄膜を調製した。
【0063】
<実験>空気中での安定性試験
上記の実施例3の有機−無機ハイブリッド薄膜および比較例において調製した有機−無機ハイブリッド薄膜を空気中に置きながら、厚さの変化を測定して、空気中の安定性を試験した。結果を図12に示す。
【0064】
図12において、最初の厚さがd0であり、n時間における厚さがdnであるとすると、S基を含まない比較例の場合、本発明とは異なり、厚さの大幅な減少の結果として、dn/d0は0.5以上に増大するが、本発明に従う実施例の場合、時間に伴う厚さの変化がない結果として、dn/d0は0.1以下にて維持されること、そして、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜は、空気中で非常に安定することを認識することができる。
【実施例4】
【0065】
上記の実施例3のように、第1の前駆体化合物によってトリメチルアルミニウム(TMA)薄膜を形成するプロセスの前に、分子層堆積法に従って、トリメチルアルミニウム(TMA)を第1の前駆体化合物として用いてSi基板上に薄膜を堆積させて、4−メルカプトフェノールを第2の前駆体化合物として用いて有機−無機ハイブリッド薄膜をトリメチルアルミニウム(TMA)薄膜上に形成し、そして第2の前駆体化合物に基づいて薄膜を繰り返し形成しながら、薄膜の厚さを測定した。結果を図13に示す。
【0066】
図13において、第1の前駆体化合物によって薄膜を形成し、かつ第2の前駆体化合物によって薄膜を形成するプロセスの繰返し数は、形成される薄膜の厚さと比例することを確認することができる。
【0067】
<実験>表面粗さ測定
実施例4において調製した厚さが50nmの有機−無機ハイブリッド薄膜を、表面粗さについてAFMにより測定した。結果を図14に示す。測定された平均粗さは、2.8Åであった。
【実施例5】
【0068】
有機−無機ハイブリッド薄膜を、上記の実施例1および実施例3と同じ方法で調製した後、Al薄膜を、原子層堆積法に従って有機−無機ハイブリッド薄膜上に堆積させ、そしてそのようなプロセスを、原子層堆積に基づくAl薄膜の、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜に対する比率を制御することによって繰り返して、有機−無機ハイブリッドの機能性薄膜を調製した。
【0069】
原子層堆積に従ってAl薄膜を形成するために、アルゴンガスをキャリアガスおよびパージガスとして用いてトリメチルアルミニウム(TMA)およびHOを常温で蒸発させた。このサイクルは、1秒間のTMAへの曝露、5秒間のArによるパージ、1秒間のHOへの曝露、および5秒間のArによるパージによって達成した。上記の薄膜は、80℃の温度にて、300mTorrの圧力下で成長した。
【0070】
<実験>TEM測定
上記の実施例5において調製した有機−無機ハイブリッド薄膜:Al薄膜の比率が1:2のときにTEM写真を測定した。結果を図15に示す。図15において、原子層堆積に従うAl薄膜および本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜が交互に形成されたことを確認することができる。
【0071】
<実験>ピンホール形成阻害効果の測定
上記の実施例5において、有機−無機ハイブリッド薄膜の厚さを変えることによって、ピンホール形成阻害率を測定した。結果を図16および図17に示す。
【0072】
図16において、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜の厚さが80nm以上であれば、ピンホールはほとんど形成されないことが実現し得る。
【0073】
<実験>薄膜応力測定
上記の実施例5において調製した有機−無機ハイブリッドの機能性薄膜において、薄膜の総厚を同じに維持しながら、Al薄膜の、本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜に対する比率に対して、薄膜応力を測定した。結果を図18に示す。
【0074】
<実験>耐水分透過性および耐酸素透過性の測定
上記の実施例5において調製した有機−無機ハイブリッドの機能性薄膜、および比較例のAl薄膜を、耐水分透過性および耐酸素透過性について測定した。結果を以下の表1および図19に記載する。
【0075】
以下の表1および図19から、本発明に従う、有機−無機ハイブリッド薄膜およびAlを含む機能性薄膜は、耐水分透過および耐酸素透過が比較例よりも優れていることに注目することができる。
【0076】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜およびカプセル化膜は、新しい官能基を含んで空気中で安定なままであるので、半導体および電子デバイス、化学センサおよびバイオセンサ、ナノトライボロジ、表面修飾、ナノ電子機械系(NEMS)、マイクロ電子機械系(MEMS)、ならびに不揮発性メモリを製造するためのナノパターニングが挙げられる種々の分野に適用され得る。
【0078】
本発明に従う有機−無機ハイブリッド薄膜を調製する方法は、分子層堆積法に従って無機前駆体および有機前駆体を交互に用いることによって有機−無機ハイブリッド薄膜を調製するときに、有機前駆体に以前には用いられなかった新しい官能基を含めることによって、空気中で非常に安定する有機−無機ハイブリッド多層分子膜を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 基板
20 有機−無機ハイブリッド薄膜
30 酸化物層
40 第1の耐化学薬品層
50 第2の耐化学薬品層
60 保護層
100 Si
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19