(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286572
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】風力タービンを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20180215BHJP
F03D 80/40 20160101ALI20180215BHJP
F03D 80/60 20160101ALI20180215BHJP
F03D 9/22 20160101ALI20180215BHJP
F03D 7/04 20060101ALI20180215BHJP
H02J 3/18 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
H02J3/38 160
F03D80/40
F03D80/60
F03D9/22
F03D7/04 Z
!H02J3/18
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-550966(P2016-550966)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-536974(P2016-536974A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014070683
(87)【国際公開番号】WO2015067408
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】102013222452.4
(32)【優先日】2013年11月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516129275
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】ギエルシュ,ヘルゲ
【審査官】
高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0215775(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01775819(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D1/00−80/80,
H02J3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの風力タービン(100)を制御する方法であって、
前記少なくとも1つの風力タービン(100)が電力グリッド(120)に電力を供給するように設定され、
前記風力タービン(100)は、供給される有効電力と無効電力の両方が互いに独立して正または負になる4象限動作で運転され、前記電力グリッド(120)における電力の供給量である前記電力グリッド(120)の状態変数に応じて、
−有効電力が前記電力グリッド(120)に供給される、あるいは
−有効電力が前記電力グリッド(120)から除去され、前記少なくとも1つの風力タービン(100)の少なくとも1つの電気消費体に供給されるとともに、
前記電力グリッド(120)のグリッド周波数、前記電力グリッド(120)のグリッド電圧のグループからの変数を含む前記電力グリッド(120)のさらなる状態変数に応じて、
−無効電力が前記電力グリッド(120)に供給される、あるいは
−無効電力が前記電力グリッド(120)から除去されるとともに、
前記電力グリッド(120)から除去された電力は、
−解氷の必要性の有無に関わらず、特に結氷が存在している、起こり得るか否かに関わらず、または場合によっては、少なくとも1つの解氷装置、特にブレードヒータ、を稼動するために使用され、
および/または
−乾燥の必要性の有無に関わらず、発電機を乾燥させるため、あるいは前記風力タービン(100)の他の機能ユニットを乾燥させるため、の乾燥装置を稼動するために使用されることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記4つの象限動作は、
−有効電力が前記電力グリッド(120)へ供給され、無効電力が前記電力グリッド(120)へ供給される第1象限(QI)と
−有効電力が前記電力グリッド(120)から除去され、無効電力が前記電力グリッド(120)へ供給される第2象限(QII)と
−有効電力が前記電力グリッド(120)から除去され、無効電力が前記電力グリッド(120)から除去される第3象限(QIII)と、
−有効電力が前記電力グリッド(120)へ供給され、無効電力が前記電力グリッド(120)から除去される第4象限(QIV)と、
を供給する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つ以上あるいは全ての電気消費体は、電気抵抗バンクを有しておらず、および/または、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する唯一の目的を果たさない機能を実行するために設定され、
前記少なくとも1つの電気消費体は、以下のグループの中から選択される、
−ロータブレード(108)を加熱するためのブレードヒータ
−発電機を加熱するための発電機ヒータ、
−ナセル(nacelle)(104)を加熱するためのナセルヒータ、
−風力タービンタワー(102)あるいはその一部を加熱するためのタワーヒータ、および
−モータ運転における個々の風力タービン(100)の発電機、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
−少なくとも1つの前記電気消費体は、消費機能を実行するために設けられており、
−前記電力グリッド(120)から除去された電力は、その時点で前記電気消費体の消費機能のための電流需要に関わらず、少なくとも1つの電気消費体をそれぞれ稼動するために用いられることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記電力グリッド(120)における電力供給および前記電力グリッド(120)の状態変数にも基づいて前記電力グリッド(120)から電力が除去されると同時に、無効電力が前記電力グリッド(120)に給電されるあるいは前記電力グリッド(120)から除去されることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有効電力の供給または除去は、電力供給の状態変数に応じて設定され、
前記無効電力の供給または除去は、グリッド周波数、またはグリッド電圧、またはグリッド周波数およびグリッド電圧の前記さらなる状態変数に応じて行われる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記有効電力の給電あるいは除去、または前記無効電力の給電あるいは除去は、少なくとも1つの周波数変換器によって行われ、特に、前記少なくとも1つの風力タービン(100)が、この目的のためにフルインバーター稼動されることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
風力発電所(112)を形成するとともに共通結合のグリット点(PCC)を介して電力グリッド(120)に給電する複数の風力タービン(100)が設けられていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
発電機と、電力を直流中間回路へ導入するための周波数変換器と、4象限動作で前記風力タービンの運転を制御する制御部とを備えており、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を用いるように設定される風力タービン(100)。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を用いた複数の風力タービン(100)と、電力を直流中間回路へ導入するための周波数変換器と、4象限動作で前記風力タービンの運転を制御する制御部とを備えた風力発電所(112)であって、
共通結合のグリット点(PCC)を介して前記電力グリッド(120)に給電する、
風力発電所(112)。
【請求項11】
前記制御部は、少なくとも1つの風力タービン(100)を制御するための中央制御装置として設けられていることを特徴とする、
請求項10に記載の風力発電所(112)。
【請求項12】
少なくとも1つの風力タービン(100)を制御する方法であって、
前記少なくとも1つの風力タービン(100)が電力グリッド(120)に電力を供給するように設定され、
前記電力グリッド(120)における電力の供給に応じて、
−有効電力が前記電力グリッド(120)に供給される、あるいは
−有効電力が前記電力グリッド(120)から除去され、前記少なくとも1つの風力タービン(100)の少なくとも1つの電気消費体に供給されるとともに、
前記電力グリッド(120)の状態変数にも応じて、
−無効電力が前記電力グリッド(120)に供給される、あるいは
−無効電力が前記電力グリッド(120)から除去されるとともに、
前記電力グリッド(120)から除去された電力は、
−解氷の必要性の有無に関わらず、特に結氷が存在している、起こり得るか否かに関わらず、または場合によっては、少なくとも1つの解氷装置、特にブレードヒータ、を稼動するために使用され、
および/または
−乾燥の必要性の有無に関わらず、発電機を乾燥させるため、あるいは前記風力タービン(100)の他の機能ユニットを乾燥させるため、の乾燥装置を稼動するために使用されることを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの風力タービンを動作させる方法に関する。さらに、本発明は、風力タービンおよび複数の風力タービンを備えた風力発電所に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンが一般的に知られている。それらは、風によって電気エネルギーを生成し、電力グリッドへと給電する。さらに、数年前には、電力の純粋な提供を超えて電力グリッドを支援するように、電力グリッドへ給電する風力タービンがすでに提案されていた。
一例として、米国特許第6,784,564号明細書には、グリッド電圧に応じて、給電された有効電力を減少させる方法について記載されている。周波数グリッドに依存する電源調整を懸念する方法が、米国特許第6,891,281号明細書に暗示されている。グリッド電圧に応じた位相角の設定は、米国特許第6,965,174号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,784,564号明細書
【特許文献2】米国特許第6,891,281号明細書
【特許文献3】米国特許第6,965,174号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような対策は、特に、分散型グリッドにおいて、特に重要であって、グリッドの質を改善し、時には最初の電力系統あるいはその少なくとも一部の安定的な動作を保障する、またはこれを恒久的に保障するかもしれない。
しかし、今日では、多くの他国が追従する、少なくともドイツ連邦共和国において、グリッドにおける風力タービンの割合が増加している。全ての有望な成長において、風力タービンには、電力グリッドの安定化のために、将来的に大きな責任も付与されるであろう。よって、グリッドを支援するための風力タービンの能力は、さらに可能であれば、開発され改善されなくてはならない。
【0005】
本発明の目的は、上述した問題のうちの少なくとも1つを解決することにある。特に、風力タービンによって電力グリッドの支援をさらに改善するために助ける解決策を提案する。少なくとも、既知の方法やシステムに対する解決策の代替案を提案する。
【0006】
ドイツ特許商標庁は、本PCT出願に係る優先権主張出願について、以下の先行技術の調査を実施した。
DE 10 2005 041 927 B4、DE 10 2005 049 426 B4、DE 10 2008 037 449 B4、DE 10 2011 007 037 A1およびWO2003/ 058 063 A1。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、請求項1に係る方法が提案されている。
ここでは、電力グリッドに給電するように設定された少なくとも1つの風力タービンを制御する。説明の便宜上、個々の風力タービンに関する説明は、一緒に言及されていなくても、それぞれの個々の特徴や優位点について、複数の風力タービンを含む風力発電所と同様に、複数の風力タービンにも適用される。そして、風力タービンや風力発電所にも適用可能であることが、その説明から明らかである場合には、これは特に当てはまる。
【0008】
少なくとも1つの風力タービンのために、電力グリッドに有効電力を給電したり、電力グリッドにおいて電力の供給に応じて電力グリッドから有効電力を除去したりすることが提案されている。特に、通常運転時において、電力が電力グリッドに給電されるがグリッドにおける電力供給過剰となった場合には、少なくとも1つの風力タービンによってグリッドから有効電力が除去される。この除去された有効電力は、少なくとも1つの風力タービンあるいは風力発電所において存在する少なくとも1つの消費体に供給される。この消費体は、これはよくあるケースであるが、必ずしも風力タービン内に物理的に配置されている必要はない。ここでは、特に、既存の消費体を利用することが提案されている。
【0009】
さらに、無効電力も、電力グリッドのグリッド周波数やグリッド電圧のように、電力グリッドの状態変数に応じて、電力グリッドに給電あるいは除去される。
4つの象限動作(4-quadrant operation)は、このように提案され、よって、具体的に給電される有効電力および無効電力の両方が、互いに独立した状態で有効または無効となってもよい。このように提案された方法は、明示的に、一方の象限(one quadrant)を構成する、有効電力が電力グリッドから除去されて無効電力が供給される、他方の象限(a further quadrant)を構成する、有効電力が電力グリッドから除去され無効電力が同様に除去される、という2つの象限を含む。
【0010】
電気消費体の少なくとも1つは、好ましくは、電気抵抗バンクを持っていない。よって、少なくとも1つの消費体は、電力を破壊するための抵抗バンク等として独占的に利用されていない、すなわち、他の目的のためではなく電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために、技術的に正確に表現されることが好ましい。むしろ、風力タービンまたは風力発電所にとにかく提供されている消費体を利用することが提案されている。従って、進歩は、追加の装置を提供する必要もなく、単独で、少なくとも1つの風力タービンを動作させるために提案された方法によって既に達成される。
【0011】
例えば、電力グリッドから除去された電力を吸い上げるために利用される電気消費体は、例えば、ロータブレードを過熱するためのブレードヒータを含んでいてもよい。同様に、発電機を加熱するための発電機ヒータを利用してもよい。更なる例として、風力タービンのナセル(nacelle)の内部を加熱するナセルヒータについて述べられている。さらに、風力タービンタワーを加熱するためのタワーヒーターが考えられる。特に、周囲の環境に放熱することができる既存のヒータや暖房機器の使用は、熱エネルギーへの電気エネルギーの無視できない量の変換を可能にする。
【0012】
しかしながら、それにもかかわらず、他の消費体は、モータ動作時に動作可能なそれぞれの風力タービンの発電機として考えられている。エネルギーの一部は、このように空気流の一部として変換される。しかし、原理的には、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために、発熱するように発電機を動作させることも、この点では他の消費体として利用されることも考えられる。しかし、これは、発電機を損傷させないように慎重に行われなくてはならない。
【0013】
特に、電力を減少させる必要があるときに消費体を動作させることが提案されている。ここでも使用される上記消費体は、具体的にはそれぞれ関連付けされた消費体の機能であって、特定の機能を実行するためにそれぞれ提供される。ブレードヒータの場合には、この機能とは、ブレードを加熱する機能である。発電機用ヒータの場合には、この機能とは、発電機を加熱し、必要に応じて発電機を乾燥もさせる機能である。このそれぞれの消費体の機能は、ブレードヒータであれば、特に結氷が認識された際に動作されて氷が解氷されるように、通常、特定の機会にのみ実行される。しかし、ここでは、いわゆる例えば真夏にブレードヒータを動作させる等、そのような消費体の機能の必要性に応じて独立して対応する消費体を動作させることが提案されている。
【0014】
したがって、解氷の必要性があるか否かとは関係なく、一実施形態に従って、少なくとも1つの解氷装置、特に、ブレードヒータを動作させるために、電力グリッドから除去された電力を利用することも提案されている。特に、結氷が存在するか否かに関係なく、予想され、あるいは可能性さえある。解氷装置は、このように真夏にも動作される。風力タービンは、結氷自体が予想されることのない場所であっても、解氷装置を備えていることが好ましい。さらに、あるいは選択的には、乾燥の必要性の有無に関係なく、発電機を乾燥させるあるいは風力タービンの他の機能ユニットを乾燥させるための少なくとも1つの乾燥装置を動作させるために、除去された電力あるいはその一部を利用することが提案されている。発電機ヒータあるいは他の乾燥装置は、電力グリッドからの電力除去に際しては、このように消費体として利用される。
【0015】
電力グリッド内の電力の供給は、電力グリッドの状態変数と考えることができる。さらに状態変数は、無効電力を供給または除去されるに従って、電力グリッドのグリッド周波数および/または電力グリッドのグリッド電圧を含むことが好ましい。これらの実施形態によれば、有効電力の供給または除去は、このように電力の供給に応じて設定され、無効電力の供給または除去は、グリッド周波数および/またはグリッド電圧に応じて実行される。ここで、グリッド周波数依存および/またはグリッド電圧依存の無効電力の供給または除去は、上述した状態変数の定性的および定量的の両方に依存することができる。無効電力のレベルと動的な上昇または低下の両方は、上述したグリッドの状態変数に依存する。
【0016】
同様に、グリッドの状態変数のレベルおよび/または挙動は、基準として考慮される。
この方法は、電力グリッドに有効電力および無効電力を供給、あるいは電力グリッドから有効電力および無効電力を除去するために、周波数インバータを使用することが好ましい。これにより、風力タービン、特に発電機の機能から完全に給電あるいは除去の動作を分離することができる。適合した仕様を持つ任意の工場コントローラは、最初に、変わらないように動作し続けることができる。もちろん、コントローラは、より少ない電力が必要である場合や電力がマイナスである場合でも、可能であれば、風力発電の動作を適合させる。しかし、有効電力および/または無効電力の供給時あるいは除去時の即時応答は、周波数コンバータに関係なく、最初に付与される。
【0017】
風力タービンあるいは全ての関連する風力タービンは、完全なコンバータ動作(converter operation)として知られるものの中で動作されることが好ましい。この完全なコンバータ動作の場合、通常の発電動作としてこれを説明するために、風によって除去された発電機の総エネルギーは、整流され、対応するDC中間回路へ移送される。このDC中間回路、給電される電力を生成する周波数コンバータあるいは複数の周波数コンバータからは、周波数、位相および振幅に応じて、電流が供給される。
【0018】
電力除去の動作中に、この周波数インバータは、また、単に簡略化するためのインバータとして、電力グリッドから直流中間回路に、電力またはエネルギーを導入することができる。適切なエネルギーは、この直流中間回路によって、関係する消費体から除去される。実際、有利なことに、風力タービンの中心点あるいは風力発電所から関係する消費体においてこのような電力を除去するためのコマンド信号があるが、それに続く付与はそれぞれの消費体によって実行される。最後に、関係する消費体は、そうでなければ、具体的には、電力消費のために使用されるのではなく、それ自身の消費機能の通常の動作のために使用される場合には、独立して動作する。
【0019】
提案された方法の場合には、風力発電所を構成し、共通結合のグリッド点を介して電力グリッドに給電する、複数の風力タービンが使用されることが好ましい。上述した効果および動作は、結果として組み合わせることができる。このような風力発電所は、共通結合のグリッド点に給電し、このようにして、個々の風力タービンに比べて、定期的に供給可能で除去可能な電力量(無効電力と有効電力の両方)という点で有意量を持っている。このような風力発電所は、このように、上記の4つの象限動作で動作され、したがって、エネルギーの提供のためだけでなく、制御性の可能性についても、電力グリッドの観点から有意量を構成することが好ましい。これは、通常の電力需要を含め、電力の供給に重要な選択で満たすことができる。とりわけ、それは、このように、過去に、ある状況において電力を除去するために合計の支払が必要であった状況に、好ましい影響を与えることもできる。
【0020】
上述した実施形態のうちの少なくとも1つに従う方法を使用するように設定される風力タービンが提案されることが好ましい。
より好ましくは、複数の風力タービンを使用するとともに上述した実施形態のうちの少なくとも1つに従う方法を使用するように設定される風力発電所が提案されることが好ましい。
【0021】
このような風力発電所は、風力発電所が効率的な給電および制御ユニットとしてグリッド結合点において作用するように、上記4つの象限動作も制御し風力タービンを制御するための中央制御装置を有していることが好ましい。
本発明は、添付の図面を参照しつつ、例として以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】象徴的な図形に基づいて、提案された4つの象限動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、タワー102とナセル104とを有する風力タービン100を示している。3つのロータブレード108とスピナー110を有する回転体106は、ナセル104上に配置されている。稼働中には、ロータ106は、風によって回転するように設定され、これによりナセル104において発電機を駆動する。
図2は、同一であっても異なっていてもよいが、一例として、3つの風力タービン100を備えた風力発電所112を示している。3つの風力タービン100は、代表的なものであって、原理的には、任意の数の風力タービンを含む風力発電所112であってもよい。風力タービン100は、発電所グリッド114を介して、電力、特に生成された電流を供給する。ここで、生成された個々の風力タービン100の電流あるいは電力は加算され、その後、共通結合のグリッド点あるいは略してPCCとして一般的に参照される給電ポイント118においてこれを電力グリッド120に給電するように、通常、発電所において電圧を上昇変換するための変圧器116が設けられている。
図2は、制御装置が設けられているのは当然であるが、制御装置を示していない風力発電所112の単なる簡略図である。一例として、発電所グリッド114は、ただ1つの他の例示的な実施形態を特定するように、一例として個々の風力タービン100の出力にも変圧器が設けられるように、異なる形態として形成されていてもよい。
【0024】
図3は、横方向における有効電力と縦方向における無効電力Qとを具体的に示す複素平面における図の構成に従って、提案された4つの象限のドライブを示している。よって、この図において、この点について給電された電流と電圧との間の位相角を表す角度も、プロットされている。ここで、1つの象限を示す4つの領域は、説明の便宜上、間隔が座標系の領域にプロットされているため、それぞれが複素平面のこの図とは別にグラフを用いて示されている。このように、本図は、QI〜QIVによって示される4つの象限を示している。4つの象限は、この文脈では、Qが無効電力を意味しないのであれば、このように命名される。
【0025】
図3に記載の第1象限QIは、有効電力と無効電力とが給電される場合を示している。給電される無効電力は、Pg(発電電力)と呼ばれ、無効電力は、Qig(生成された誘導無効電力)と呼ばれる。給電される無効電力Pgと給電される誘導無効電力Qigとは、皮相電力を付与する。
この第1象限は、通常の給電ケースも表すこともできる。誘導無効電力が給電されたことをさらに示すように、Pg、Qigおよびのベクトル図に正確に導くとともに、第1象限には誘導の記号も示されている。背後で実行されるのと同じことを意味する、当業者によって使用される“ラグ”という用語によって、この操作において、供給された電流が、具体的には、示された角度によって正確に、電圧よりも遅れることを示している。
【0026】
第2象限QIIでは、有効電力が、電力グリッドから除去される、すなわち消費され生成されず、これは記号Pc(消費電力)によって示される。無効電力成分Qccは、プラスに示される。しかし、有効電力が除去されるため、無効電力は容量無効電力(capacitive reactive power)として使用されるが除去(消費)されるものとしてここでも参照され、つまりそれが命名したQccが使用される理由である。電流は、ここで電圧よりも先に流れ、これは第2象限QIIにおいて、“リード(lead)”として参照され、(コンデンサの)電気容量の記号によって示される。
【0027】
除去された容量無効電力Qccは、進み電流(leading current)およびそれに応じて示される角度が容量無効電力を示すために、少なくとも選択された実例によれば、技術的な視点からは混乱を招くことになるかもしれないが、少なくとも論理的に、生成された誘導性無効電力Qigとして参照されてもよい。
残りについては、2つの抵抗が横軸に平行に示され、これによりこの複雑な図面の実際の軸(actual axis)を記号として表している。
【0028】
第3象限QIIIでは、有効電力Pcも除去、すなわち消費される。しかし、ここでは、無効電力Qicの割合がマイナスとなる。誘導無効電力は、このように消費され、電流が電圧(lag)の後に流れる。これが、示したインダクタンスの記号がここで再び使用される理由である。
最後に、第4象限QIVは、ここでは電流が再び電圧よりも先に流れるため、命名したQcgが選択されるように、誘導無効電力Qcgの給電(生成に対応する有効電力Pgが給電され、(誘導)無効電力Qcgが除去されるケースを示している。これは、電気容量によってもここに示される。
【0029】
このように、風力タービンまたは風力発電所の4つの象限動作を提案する解決策が作成され、この動作は
図3によって示されている。
ここでは、根本的な理由は、ドイツにおけるエネルギー革命の場合には、心柱でなくても、風力エネルギーが心柱の1つであるということである。当然、技術的な内容に関して、その提案がドイツに限定されるものではない。ここで紹介される解決法によって、ダイレクトマーケティングのようなトピックスコントロールリザーブ(topics such as direct marketing, control reserve)およびわずかなリザーブ(minute reserve)も考慮されて、再生可能エネルギープラント(green power plants)として知られるものを構築するための構成を形成する。供給されるエネルギーとしては、従来の発電所、特に原子力発電所がスイッチオフされるように編成されることが、提案されている。にもかかわらず、これらの大規模で部分的にリードするグリッド安定化発電所を用いることなく、安定的なグリッドを生成して操作することが可能でなければならない。ここで、キーポイントは、電力グリッドの一部を形成する、分配グリッドにおいて、そして送電グリッドにおけるより高いレベルでも、潮流コントロール(load flow control)であることが確認されている。この潮流コントロールは、電力グリッドの安定性のためのパラメータである。
【0030】
従来の発電所は、一般的に、エネルギーを供給するために設けられている。このような従来の発電所のシステムサービス電力は、必要な電力の提供、電圧保持のための無効電力の供給、電力グリッドの潮流の制御に対してのみに限定されている。このような発電所は、製造動作(または“生成動作”)中にのみ、いわゆるエネルギーの送達とともに、このサービスを提供する。
【0031】
提案された特定の4象限発電所、いわゆる4象限動作で動作される風力タービンまたは風力発電所の場合には、消費動作(電力消費動作)の間、いわゆる電力グリッドからエネルギーが匹脱されている際に、システムサービスを提供することも可能である。このため、エネルギーの消費による潮流コントロールの可能性が提案されている。
給電量が0に減少していくと、電力も電力グリッドから除去される。
【0032】
一例として、電力グリッド、特に欧州の統合ネットワークにも給電されるために、ドイツの北部では非常に風が強く、たくさんの風力エネルギーが提供されるという事実について述べる。
ここで生産された過剰な供給は、統合されたネットワークにおける問題につながるが、ドイツの北部から南部への潮流を増加させる。このような問題が発生しないように、ドイツでは、統合されたネットワークにおける潮流を制御するために、多数の大規模消費体(例えば、熱消費体)は、制御された状態で、多数の分配された風力タービンに接続されている。消費体としては、発電機ヒータ、ブレードヒータ、モータ動作において動作される発電機であってもよい。調整された基準電力の他に、潮流コントロールのための無効電力のようなサービスが導入されてもよい。この方法は、特に風力タービンのような多数の広く分布するアクチュエータにおいて利点があるともいえるが、確かに世界的なエネルギーバランスの面で利点があり、比較的短期間で有効化、無効化される。このように、グリッド内のプロセスは、迅速に対応され、本発明ではさらに上述した4象限動作のためにこれを提案している。
【0033】
説明のための更なる例として、スポットマーケットでは、エネルギーが取引されるという事実について述べる。
時価はマイナス3000ユーロ/MWhまで下落する場合がある。このエネルギーの地域的な供給過剰と合成マイナス価格(resultant negative price)は、その地域の風力タービンの減少あるいは完全な破壊によって制御可能であって、巨大な消費体、特に熱的な消費体をスイッチオフすることで、上述した価格変動の原因となる過剰エネルギーを制御可能である。