特許第6286580号(P6286580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6286580ガスタービン設備のガス供給系のための圧力調整装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286580
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ガスタービン設備のガス供給系のための圧力調整装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/22 20060101AFI20180215BHJP
   F02C 7/224 20060101ALI20180215BHJP
   F02C 9/40 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   F02C7/22 B
   F02C7/224
   F02C9/40 B
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-558295(P2016-558295)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公表番号】特表2017-520704(P2017-520704A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015055340
(87)【国際公開番号】WO2015150056
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】102014205937.2
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・ビッカート
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−047948(JP,A)
【文献】 特開2008−131694(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0012358(US,A1)
【文献】 特開2003−286864(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0287945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン設備(5)のガス供給系(3)のための圧力調整装置(1)であって、供給導管(38)を通って流入するガスの圧力を減少させるための減圧ユニット(7)と、前記減圧ユニット(7)に並列に接続された、前記供給導管(38)を通って流入するガスを圧縮するための圧縮機設備(9)と、前記減圧ユニット(7)の出口側(22)に配置された制御部品(24)であって、前記減圧ユニット(7)を出口側において前記圧縮機設備(9)から流体技術的に分離することができる制御部品(24)と、を含む圧力調整装置(1)。
【請求項2】
前記減圧ユニット(7)と前記圧縮機設備(9)とが、出口側において、T字路部分(23)を介して、共通の集合管(22)に誘導されており、前記制御部品(24)が、前記減圧ユニット(7)と前記T字路部分(23)との間に配置されている、請求項1に記載の圧力調整装置(1)。
【請求項3】
前記圧縮機設備(9)内の圧力設定値が、前記減圧ユニット(7)内の圧力設定値に一致する、請求項1又は2に記載の圧力調整装置(1)。
【請求項4】
前記減圧ユニット(7)が、2つの並列に接続された圧力制御パス(13、15)を含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力調整装置(1)。
【請求項5】
前記減圧ユニット(7)の前記圧力制御パス(13、15)が、それぞれ互いに異なる圧力値に設定されている、請求項4に記載の圧力調整装置(1)。
【請求項6】
ガスタービン設備(5)のためのガス供給系(3)であって、ガス供給部(31)と、前記ガス供給部(31)に流体技術的に連結された、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力調整装置(1)と、前記圧力調整装置(1)に流体技術的に連結された、前記ガスタービン設備(5)への供給導管(47)と、を含むガス供給系(3)。
【請求項7】
前記ガス供給部(31)には処理段(33)が、前記ガスタービン設備(5)への前記供給導管(47)には後処理段(41)が接続されている、請求項6に記載のガス供給系(3)。
【請求項8】
前記処理段(33)が、フィルタユニット(35)及び/又は予熱ユニット(37)を含んでいる、請求項7に記載のガス供給系(3)。
【請求項9】
前記後処理段(41)が、フィルタユニット(45)及び/又は予熱ユニット(43)を含んでいる、請求項7又は8に記載のガス供給系(3)。
【請求項10】
ガスタービン設備(5)のガスの圧力調整方法であって、
‐前記ガスは、減圧ユニット()及び前記減圧ユニットと並列に接続された圧縮機設備(9)に、前記減圧ユニット(7)及び前記圧縮機設備(9)に共通の供給導管(38)を通って供給され、
‐前記ガスは、減圧モードにおいて、前記減圧ユニット()を通るように誘導され、
‐前記ガスは、圧縮モードにおいて、前記圧縮機設備(9)を通るように誘導され、
‐減圧モードと圧縮モードとの間の切替段階の間、前記減圧ユニット()を出口側において前記圧縮機設備(9)から分離する制御部品(24)が作動する方法。
【請求項11】
前記制御部品(24)が、前記減圧モードから前記圧縮モードへの切替段階の間閉鎖され、前記圧縮モードの間閉鎖されたままであり、及び/又は、前記制御部品(24)が、前記圧縮モードから前記減圧モードへの切替段階の間開放され、前記減圧モードの間開放されたままである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記圧縮機設備(9)内部の圧力設定値が、前記減圧ユニット(7)内で減圧されるガスの圧力設定値に一致する値に設定される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスが、圧力調整装置(1)に流入する前に、処理段(33)において処理される、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記圧力調整装置(1)から流出するガスが後処理段(45)に供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記後処理段(45)から流出するガスが、供給導管(47)を通じて、ガスタービン設備(5)に供給される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン設備のガス供給系のための圧力調整装置に関する。さらに、本発明は、ガスタービン設備のためのガス供給系と、ガスの圧力を調整するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、ガスタービン設備の一部として、天然ガス等の気体状燃料の燃料による発電に用いられる。その際、ガスタービンは、燃料を用いて運転され、ガスタービンの方では、1つ又は複数の発電機を駆動する。ガスタービンの運転に天然ガスフローを用いる場合には、特に天然ガスの入口圧力を考慮すべきである。大抵の場合、燃料ガスの採取場所は、消費者の場所から遠く離れているので、適切な輸送が必要である。そのために、燃料ガスはまず、高い輸送圧力に圧縮され、このガスの圧力は、それぞれの消費箇所においてようやく、必要な入口圧力に設定される。当該入口圧力はしばしば一定ではなく、変動する。
【0003】
この問題に対処するために、一般的な実践では、圧力調整装置が用いられる。当該圧力調整装置は、1つ又は複数の制御パスにおいて、燃料ガスの圧力を、入口圧力の変動に左右されずに、所定の境界内で維持することができる。ガスタービンの運転のためには、例えば、36barから40barの運転圧力が必要である。
【0004】
その際、従来の構想は、ガスタービン設備のガス供給のための圧力調整装置に、2つの並列に接続された制御系を設けることを規定している。これら制御系の内1つは、減圧ユニットとして構成されており、流入する燃料ガスの圧力を、既定値まで低下させる。第2の制御系として、圧縮機設備が用いられる。当該圧縮機設備は燃料ガスの圧縮に用いられ、必要である場合、すなわち、望ましくない圧力の低下が予想されるか、又は、すでに観察される場合には、当該圧縮機設備を用いて、燃料ガスの圧力を再び上昇させることができる。両方の制御系の組み合わせによって、あらゆるガス流入条件において、必要な運転圧力を、ガスタービンの入口において設定することが可能である。
【0005】
圧力調整装置の純粋な減圧モード、すなわち、流入する燃料ガスの一次圧力(Vordruck)が高い場合における減圧ユニットの単独の運転と、純粋な圧縮モード、すなわち、流入する燃料ガスの一次圧力が低い場合における圧縮機設備の単独の運転とは両方、比較的に容易に管理できるが、両方の制御系の間の切替段階は、これまでのところ、問題のあるものとなっている。なぜなら、並列に接続された制御系は、共通のコレクタの内で動作するので、切替段階の間、すなわち、減圧モードと圧縮モードとの間で切替られる際に、相互に作用するからである。
【0006】
減圧ユニットから圧縮機設備への切替プロセスの間、圧縮機設備は、当該圧縮機設備が減圧ユニットを「圧倒」するか、又は、減圧モードを抑制できる場合のみ、燃料ガスの所望の圧縮を保証できる。逆方向の切替プロセスの間、減圧ユニットは、圧縮機設備の側で圧縮圧力がもはや生じない場合にようやく、その運転を再開できる。
【0007】
ガスタービンは、調整された一次圧力の維持の他にも、一次系における圧力勾配の制限も必要とする。従って、ガスタービンのガス供給系のための圧力調整装置は、特に切替プロセスの間の、圧力の急上昇が回避されているように構成されなければならない。
【0008】
それゆえ、従来の圧力調整装置においては、制御系、すなわち特に圧縮機設備と減圧ユニットとに、遮断弁と自身の媒体で作動する制御弁とが配設されており、これらの弁は、切替段階の間、適切に協働する。例えば、圧縮機設備の出口側には、原動機によって駆動される遮断弁を設けることが可能であり、当該圧縮機設備の出口側の圧力は、背圧として、減圧ユニット内で用いられる、自身の媒体で作動する制御弁に作用する。減圧モードから圧縮モードに切り替える際、遮断弁が開口するが、制御弁は、上昇した背圧ゆえに閉口する。逆に、制御弁は、圧縮機設備の遮断弁が閉口している場合に開口する。このシステム力学は、遮断弁及び制御弁の応答時間によって決定されており、適切に利用可能な弁の選択によってのみ最適化され得る。しかしながら、切替段階の間の調整された、又は、一定の圧力勾配については語ることができない。
【0009】
さらに、上述の圧力調整装置においては、圧縮機設備の圧力設定値を、減圧ユニットの圧力設定値よりも高くなるように選択する必要性が残存する。その際、必要な圧力差は、概ね、圧力調整装置内で用いられる部品の機器パラメータから算出される。圧縮機設備の必要な圧力設定値は、減圧ユニットの圧力設定値よりも約3barから4bar上回っている。このように圧力を高めることによって、切替段階において、減圧ユニットの運転を停止させることが可能であり(制御弁が閉口する)、従って、一次系において、ガスタービン設備の運転にとって十分に安定した、適切な高さの運転圧力が確保される。
【0010】
しかしながら、減圧ユニットの設定値と圧縮機設備の設定値との間の、約3barから4barという必要な圧力差によって、圧縮機設備内の燃料ガスは基本的に、ガスタービン設備の運転に必要であろう圧力よりも高い圧力に圧縮される。当該圧縮機設備は、ガスタービンの実際に必要な運転圧力よりも3barから4bar上の圧力のために設計されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の第1の課題は、先行技術に対して改良された、ガスタービン設備のガス供給系のための圧力調整装置を供給することにある。
【0012】
本発明の第2の課題は、対応する圧力調整装置を有するガス供給系を供給することにある。
【0013】
本発明の第3の課題は、ガス、特に燃料ガスの圧力調整方法を記載することにあり、当該方法は、改良された圧力調整装置の利点を利用している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、本発明の第1の課題は、ガスタービン設備のガス供給系のための圧力調整装置によって解決され、当該圧力調整装置は、流入するガス、特に燃料ガスの圧力を低下させるための減圧ユニットと、流入するガスを圧縮するための減圧ユニットに並列に接続された圧縮機設備と、減圧ユニットの出口側に配置された制御部品と、含んでおり、当該制御部品を通じて、減圧ユニットは、出口側において流体技術的に、圧縮機設備から分離可能である。
【0015】
第1のステップにおいて、本発明は、切替段階の間に必要とされる、圧縮機設備の設定値と減圧ユニットの設定値との間の圧力差ゆえに、不必要に高い圧縮性能が必要とされ、それによって、不必要な追加費用が発生し、圧力調整装置を運転するためのエネルギー需要が希望に反して増大するという事実から出発している。
【0016】
第2のステップにおいて、本発明は、切替段階の間における、圧力調整に用いられる制御系、すなわち減圧ユニット及び圧縮機設備、の相互作用が防止されている場合、圧縮機設備にとってこれまで必要であった過剰圧力を省略できるという考察から出発している。
【0017】
第3のステップにおいて、本発明は、このことが、制御系を流体技術的に分離できることによって可能であり、この分離は、減圧ユニットの出口側に配置された制御部品を圧力調整装置に組み込むことによって、容易かつ効果的に実現し得るということを認識している。このような制御部品によって、減圧ユニットは、必要に応じて、出口側で圧縮機設備から遮断され得る。
【0018】
減圧モードから圧縮モードへの切替プロセスの間、圧力は、減圧ユニットの出口側で、ゆっくりと、管理下で低下し、圧縮モードにおいて、第1の制御系(減圧ユニット)は、第2の制御系(圧縮機設備)から分離され得る。それによって、圧縮機設備が、特に切替段階において、減圧ユニットの機能を圧倒する必要がないので、圧縮圧力を全体として従来よりも低く設定できるということが実現する。
【0019】
圧縮機設備の必要とされる出口圧力がより少なくなることによって、必要とされる圧縮性能がより小さくなり、それによって、圧縮機設備の運転費用を削減することができる。概算では、圧縮機設備の駆動力は、圧縮機の設定値が3bar低下した際の、入口圧力が約20barであり、終圧が30barから40barである場合の、16kg/sというガスタービン設備の一般的な消費に基づいて、約300kW減少する。多段圧縮機設備では、例えば、圧縮機段を1つ減らすことが可能である。
【0020】
さらに、特に逆流が防止された、二次圧力に抵抗する制御部品はもはや不要である。これらの制御部品は、これまで、制御部品として、圧縮機設備及び減圧ユニット内で用いられてきた。減圧ユニットは、圧縮機設備の動作中における、制御部品の出口側の配置によって、残りの系からは完全に分離され得るので、より安価で操作が容易な制御部品を用いることができる。
【0021】
減圧モードから圧縮モードへの管理された切替と、その逆の切替とは、制御部品を操作するための適切な閉鎖又は開放の規則の選択によって、すなわち、下流に接続された導管系における圧力勾配を通じて、容易に調整可能である。そのために、制御部品は、アクチュエータを通じて対応して作動する。言い換えると、制御部品は、切替段階の間、下流に接続された導管系において、すなわち圧縮機設備及び減圧ユニットの出口側において、圧力勾配の設定を可能にする。
【0022】
圧力調整装置の好ましいさらなる構成において、減圧ユニット及び圧縮機設備は、出口側において、T字路部分を通って共通の集合管に誘導されており、制御部品は、減圧ユニットとT字路部分との間に配置されている。当該箇所において、切替段階の間、減圧ユニットの圧縮機設備からの分離が、所定の圧力勾配を維持しつつ、技術的に比較的容易かつ管理可能に実現し得る。
【0023】
本発明の有利な態様では、圧縮機設備内の圧力設定値は、減圧ユニット内の圧力設定値に概ね一致する。減圧ユニットが、主要制御パス及び予備制御パスを有するように構成されている場合、圧縮機設備内の圧力設定値は、好ましくは、減圧ユニット内の最小圧力設定値に、すなわち予備制御器に関する所定の値に一致する。言い換えると、圧縮機設備の終圧は、減圧ユニットの圧力レベルにあり、これまで必要だった両方の制御系の間の圧力差の設定は、組み込まれた制御部品によって省略可能である。
【0024】
制御部品を制御ボールバルブとして形成することが有利である。制御ボールバルブは、特に、減圧ユニットと圧縮機設備との間の切替段階において優勢であるような、小さな圧力差に適している。開口状態における制御ボールバルブの圧力損失は殆どゼロである。
【0025】
好ましくは、減圧ユニットは、2つの並列に接続された、余剰の圧力制御パスを含んでいる。その際、好ましくは圧力制御パスの内一方は、主要制御器として用いられ、他方の圧力制御パスは、予備制御器として用いられる。このために、予備制御器は、主要制御器の圧力設定値よりも低い圧力値に設定される。主要制御器が正常に動作し、主要パスに障害が発生しない限りにおいて、二次圧力は、予備制御器が例えばそこで用いられる、自身の媒体で作動する制御弁を通じて閉鎖されたままである範囲内にある。二次圧力が低下すると、予備制御器は、自身の媒体で作動する制御弁において、自動的に開放される。言い換えると、好ましい態様において、両方の制御パスは、互いに対して等級を付けて設定されており、圧力設定値は異なっている。
【0026】
本発明によると、本発明の第2の課題は、ガスタービン設備のためのガス供給系によって解決される。当該ガス供給系は、ガス供給部と、当該ガス供給部に流体技術的に連結された上述の圧力調整装置と、当該圧力調整装置と流体技術的に連結された、ガスタービン設備のための供給導管と、を含んでいる。
【0027】
記載されたガス供給系は、減圧モードにおける燃料ガスの減圧と圧縮モードにおける燃料ガスの圧縮との間の管理された切替によって、比較的少ない費用とエネルギー消費とで、ガスタービン設備内で燃焼させるために適切な圧力レベルの燃料ガスを持続的に供給することを可能にする。
【0028】
好ましくは、ガス供給部には処理段が接続されており、ガスタービン設備への供給導管には後処理段が接続されている。処理段又は後処理段は、燃料ガスを、例えばその温度又は異物の含有量に関して、圧力調整装置及びガスタービン設備のために、対応して処理するために用いられる。
【0029】
有利な態様では、処理段は、フィルタユニット及び/又は予熱ユニットを含んでいる。処理段は、圧力調整装置の上流に接続されている。その際、フィルタユニットは、例えば望ましくない粒子を除去することによって、燃料ガスの予備洗浄に用いられる。有利なことにフィルタユニットの下流に流体技術的に接続された予熱ユニット内では、予備洗浄された燃料ガスが、膨張の際の凝縮を回避するために予熱を加えられ、最終的には、所望の圧力を設定するために、圧力調整装置、すなわち減圧ユニット及び圧縮機設備に供給される。
【0030】
圧力調整装置を通過した後、燃料ガスは、圧力調整装置に後置された後処理段に供給される。後処理段は、好ましくは同様に、フィルタユニット及び/又は予熱ユニットを含んでいる。圧力調整の後、燃料ガスは新たに処理(又は後処理)され、さらに洗浄及び加熱が行われ、後処理の場合には、フィルタユニット内における最終的な洗浄は、適切に、予熱の後で行われる。付加的に、予熱ユニット内で、ガスタービン設備の効率に影響を与え、ウォッベ指数、すなわち発熱量と相対密度の平方根との間の比を設定することが可能である。
【0031】
圧力調整装置及びその有利なさらなる構成に関して挙げられたさらなる利点は、対応して、ガス供給系に転用することができる。
【0032】
本発明によると、本発明の第3の課題は、ガス、特にガスタービン設備の燃料ガスの圧力を調整するための方法によって解決され、その際、当該ガスは、減圧ユニット及び/又は当該減圧ユニットに並列に接続された圧縮機設備に供給され、当該ガスは、減圧モードにおいて、減圧ユニットを通過するように誘導され、当該ガスは、圧縮モードにおいて、圧縮機設備を通過するように誘導され、減圧モードと圧縮モードとの間の切替段階の間に、減圧ユニットを出口側において圧縮機設備から分離している制御部品が作動する。
【0033】
当該方法を用いて、減圧モードと圧縮モードとの間の切替プロセスの間に、圧力値と圧力勾配とに関する所定の境界値が守られることが保証され得る。そのために、制御部品は、切替段階の間、対応する閉鎖又は開放の規則で作動するので、減圧ユニットと圧縮機設備とは、決定した、及び、確定した方法で、共通のコレクタ内で協働するか、又は、当該コレクタに流体技術的に接続されるか、又は、当該コレクタから分離する。制御部品を供給することによって、特に、圧縮機設備を、減圧ユニットの最小圧力設定値に一致する圧力設定値で運転することが可能になる。これについては、圧力調整装置に関する対応する記載が参照される。
【0034】
燃料ガスを上述の圧力調整装置に供給する際、当該燃料ガスは、減圧ユニット及び/又は減圧ユニットに並列に接続された圧縮機設備を通って流れる。減圧ユニットの内部では、流入する燃料ガスが、前もって設定された圧力値に減圧される。設備の入口圧力が、所定の値を下回って低下するという望ましくない場合において、圧縮機設備が始動し、圧力は、再び圧縮機設備に関する所定の圧力設定値まで上昇する。対応して、設備の入口圧力が上昇した場合、圧縮モードから減圧モードに再び切り替えられる。圧縮モードと減圧モードとの間の切替段階の間、すでに記載したように、両方の制御系は、望ましくない方法で相互に作用するが、これは、制御部品の使用によって回避され得る。
【0035】
有利なさらなる構成では、制御部品は、減圧モードから圧縮モードへの切替段階の間に閉鎖され、圧縮モードの間、閉鎖されたままである。さらに好ましくは、制御部品は、圧縮モードから減圧モードへの切替段階の間、開放され、減圧モードの間、開放されたままである。好ましくは、制御部品は、切替段階の間、後続の導管系における圧力勾配の所定の範囲を守るために作動する。
【0036】
切替段階の間に制御部品を作動することによって、圧縮機設備による過剰圧力を省略することができる。好ましくは、圧縮機設備の圧力は、対応して、減圧ユニット内で減圧されるガスの最小圧力値に概ね一致する値に設定される。
【0037】
有利なことに、ガスは、圧力調整ユニットに流入する前に処理段で処理される。好ましくは、処理段は、フィルタユニット及び/又は予熱ユニットを含んでいる。
【0038】
さらに好ましくは、圧力調整装置から流出するガスは、後処理段に供給される。当該後処理段は、有利なことに、同じくフィルタユニット及び/又は予熱ユニットを含んでいる。後処理段を通過した後、当該ガスは、有利なことに、供給導管を通じてガスタービン設備に供給される。
【0039】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。示されているのは以下の図である:
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ガスタービン設備のガス供給系の一部としての圧力調整装置を示す図である。
図2図1に係る圧力調整装置を有するガス供給系を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、ガスタービン設備5のためのガス供給系3の一部としての圧力調整装置1を示している。圧力調整装置1は、第1の制御系、すなわち減圧ユニット7と、第2の制御系、すなわち圧縮機設備9と、を含んでおり、これらは並列に接続されている。
【0042】
燃料ガスの圧力を設定するために、燃料ガスは、図2に関して詳細に後述する、対応する処理の後、減圧ユニット7に供給される。
【0043】
減圧ユニット7は、2つの並列に接続された圧力制御パス13、15を含んでおり、これらの制御パスはそれぞれ、好ましくは自身の媒体で作動する制御弁16と、2つの安全遮断弁17と、2つの手動の遮断部品19とを含んでいる。ここでは、第1の圧力制御パス13の圧力設定値は、例えば36barの値に、第2の減圧段15の圧力設定値は35barの値に設定されている。対応して、第1の圧力制御パス13は主要制御器として、第2の圧力制御パス15は予備制御器として機能する。通常運転では、第2の制御パス15の自身の媒体で作動する制御弁16は、第1の制御パス13によってもたらされるより高い二次圧力ゆえに閉口したままである。
【0044】
圧縮機設備9は、圧縮機部分20、自身の媒体で作動する制御弁16、2つの安全遮断弁17、及び、2つの原動機によって作動する遮断部品21を含んでいる。圧縮機設備9は、減圧ユニット7の第2の制御パス15の圧力設定値、ここでは35bar、に一致する圧力設定値に設定されている。
【0045】
圧縮機設備9と減圧ユニット7とは、出口側で、共通のコレクタ22に取り込まれる。T字路部分23を介して、コレクタ22は、ガスタービン設備5に接続されている。
【0046】
設備の入口圧力が限界圧力未満に低下し、当該限界圧力を下回ると減圧モードが不可能になる場合、圧縮機設備9は、原動機によって駆動される遮断部品21を開放することによって作動する。減圧ユニット7は停止させなければならない。この切替段階において、出口側で、決定された圧力値を、圧力を急上昇させずに実現するために、減圧ユニット7とT字路部分23との間に配置された制御部品24は、所定の閉鎖規則に従って閉鎖される。圧縮モードの間、当該制御部品24は閉鎖されたままである。
【0047】
逆に、圧縮モードから減圧モードへの切替段階において、制御部品24は、所定の開放規則に従って開放されるが、原動機によって駆動される遮断弁21は閉鎖され、減圧モードの間、開放されたままである。
【0048】
図2には、図1に係る圧力調整装置1を有するガス供給系3が示されている。ガスタービン設備5を運転するために、パイプライン29から出発して、供給導管として構成されたガス供給部31を通って、燃料ガス、ここでは天然ガスが、処理段33に供給される。処理段33は、フィルタユニット35と予熱ユニット37とを含んでいる。フィルタユニット35では、天然ガスが浄化され、フィルタユニット35の下流に接続された予熱ユニット37において最終的に予熱が加えられる。
【0049】
その後、天然ガスは、所望の圧力を設定するために、さらなる供給導管38を通じて、圧力調整装置1に供給される。ここで、図1に詳細に示されているように、天然ガスの圧力は、減圧ユニット7内で低下し、及び/又は、圧縮機設備9内で所望の圧力に圧縮される。
【0050】
圧力調整装置1を通過した後、天然ガスは、供給導管39を通って、後処理段41に供給される。後処理段41において、天然ガスは、予熱装置43内で新たに予熱が加えられ、その後、最終的な浄化のために、さらなるフィルタユニット45に供給される。フィルタユニット45を出発して、天然ガスは、供給導管47を通って、ガスタービン設備5のガスタービン49に供給され、ガスタービン49で、電気エネルギーを生成するために用いられ得る。
【符号の説明】
【0051】
1 圧力調整装置
3 ガス供給系
5 ガスタービン設備
7 減圧ユニット
9 圧縮機設備
13、15 圧力制御パス
16 制御弁
17 安全遮断弁
19 遮断部品
20 圧縮機部分
21 遮断部品
22 コレクタ
23 T字路部分
24 制御部品
29 パイプライン
31 ガス供給部
33 処理段
35 フィルタユニット
37 予熱ユニット
38、39 供給導管
41 後処理段
43 予熱装置
45 フィルタユニット
47 供給導管
49 ガスタービン
図1
図2