【実施例1】
【0015】
本発明の包装機における包装袋供給装置を
図1ないし
図20に示した一実施例を用いて説明する。
【0016】
この実施例の包装機Pにおける包装袋供給装置1は、多数の包装袋aを積み重ねて収容可能な袋マガジン2と、袋マガジン2に積み重ねられた包装袋aから一枚の包装袋aを分離するための分離機構3と、分離機構3にて分離した一枚の包装袋aを配置するための袋配置部4とを有し、袋配置部4に一枚の包装袋aが配される度毎に保持されて次位の包装工程へ順次供給されるように構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0017】
この実施例の包装機Pは、被包装物であるペットフードを大袋(長さ600〜1050mm、幅300〜450mm)の袋口付近にチャックを備えたガゼット袋内に充填し包装するためのものであり、
図1または
図2に示すように、包装袋供給装置1の他、包装袋aを保持するためのグリップ対10、包装袋aを保持したグリップ対10を各包装工程毎に間欠移動させるためのトラック式移動体5、被包装物を包装袋a内に包装するための被包装物充填手段6または第1シール手段7a,第2シール手段7b等を備えている。
【0018】
この包装機Pは、
図2に示すように、(1)給袋工程(包装袋aを包装袋供給装置1によりグリップ対10に供給する工程)、(2)印字・印字検査工程(IJP(インクジェットプリンタ)によって賞味期限等が包装袋aに印刷されると共に、印字検査用カメラにより印字検査を行う工程)、(3)チャック開き及び片つかみ検知工程(チャックを開くと共にグリップ対10で片つかみをしていないか検知する工程)、(4)開口・膨らまし工程(包装袋aの袋口を開口して膨らます工程)、(5)充填工程(被包装物充填手段6により包装袋a内にペットフードを充填する工程)、(6)および(7)振動・窒素充填工程(ペットフードを充填した包装袋aに振動を与えると共に窒素を充填する工程)、(8)脱気・仮付けシール工程(包装袋a内を脱気すると共に袋口付近に仮付けシールを施す工程)、(9)第1シール・系外排出工程(包装袋aの袋口に第1シールを施すと共に、開口・膨らましがNGでペットフードが充填されなかった空袋や金属が検知されたものを系外へ排出する工程)、(10)第2シール工程(包装袋aの袋口に第2シールを施す工程)、(11)冷却・排出・系外排出工程(シール部位を冷却し良品を排出すると共に、シール不良品などを系外へ排出する工程)を経て被包装物(ペットフード)を包装袋a内に収容する装置である。
【0019】
包装袋供給装置1は、上記包装機Pにおいて、次位の包装工程へ包装袋aを供給するためにグリップ対10に包装袋aを順次供給するものであり、
図3に示すように、(1)袋マガジン2により包装袋aを順次下流側へ送る工程(
図4の1付近で行われる。)、(2)袋マガジン2に積み重ねられた包装袋aから一枚の包装袋aを分離機構3により分離する工程(
図4の2付近で行われる。)、(3)分離機構3により分離された一枚の包装袋aが水平移送手段8により把持されて袋配置部4まで移送される工程(
図4の3付近で行われる。)、(4)袋配置部4に移送された一枚の包装袋aが位置補正される工程(
図4の4付近で行われる。)、(5)回動アーム9により保持された包装袋aを把持手段11へ受け渡す工程(
図5の5付近で行われる。)、(6)グリップ対10への移送時に包装袋aの高さ補正を行った後、把持手段11からグリップ対10へ包装袋aを受け渡す工程(
図5の6付近で行われる。)の6工程からなる給袋工程を
図4または
図5に示した各部にて行う装置である。
【0020】
袋マガジン2は、第1駆動軸12と、第1駆動軸12の回転に伴って回転する第1環状体13と、第1環状体13に突設された第1袋ガイド14と、第2駆動軸15と、第2駆動軸15の回転に伴って回転する第2環状体16と、第2環状体16に突設された第2袋ガイド17と、第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間に構成された複数の袋積載部18とを有するコンベアにて構成されており、第1駆動軸12と第2駆動軸15が同一方向に回転することにより第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間に積み上げられた包装袋aが移送され、第1駆動軸12と第2駆動軸15を逆方向に回転することにより第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間の離間距離が調整可能に構成されている。以下、袋マガジン2の構成および作用について詳述する。
【0021】
図6に示すように、一端側に配された第1駆動軸12は第1駆動手段(サーボモーター)19により正逆両方向に回転可能に構成されており、第1駆動軸12に第1スプロケット21が固定されることにより、第1駆動軸12の回転に伴って第1環状体13(この実施例では
図6中、上から2番目と4番目のチェーン)が回転するように構成されている。第1環状体13には、第1環状体13に対して直交する方向に延在して固定された第1幅板23が設けられており、第1幅板23には第1袋ガイド14が外方に向かって突出するように固定され、第1環状体13の回転に伴って第1袋ガイド14も回転するように構成されている。
【0022】
他方、他端側に配された第2駆動軸15は第2駆動手段(サーボモーター)20により正逆両方向に回転可能に構成されており、
図6または
図7に示すように、第2駆動軸15に第2スプロケット22が固定されることにより、第2駆動軸15の回転に伴って第2環状体16(この実施例では
図6中、上から1番目と3番目のチェーン)が回転するように構成されている。第2環状体16には、第2環状体16に対して直交する方向に延在して固定された第2幅板24が設けられており、第2幅板24には第2袋ガイド17が外方に向かって突出するように固定され、第2環状体16の回転に伴って第1袋ガイド17も回転するように構成されている。
【0023】
そして、第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間には、
図8に示すように複数の袋積載部18が構成され、これらの袋積載部18に包装袋aを積載して、第1駆動軸12と第2駆動軸15を同一方向に回転することにより、第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間(袋積載部18)に積み上げられた包装袋aが移送されるように構成されている。これにより、コンベアを利用した複数の袋積載部18を備えた袋マガジン2を構成でき、給袋スペースの省スペース化をより図ることができる。
【0024】
他方、
図9に示すように、第1駆動軸12と第2駆動軸15を逆方向に回転することにより、第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間の離間距離を調整することができ、これによって、包装袋aの幅に応じて袋積載部18の幅を調整することができる袋マガジン2となる。なお、第1駆動軸12と第2駆動軸15を逆方向に回転することにより、第1袋ガイド14と第2袋ガイド17との間の離間距離を調整可能な構成は、上記のように予め包装袋aの幅に応じて袋積載部18の幅を調整することに使用できるが、この他に、袋積載部18に適当に包装袋aが積載されても、包装袋aを幅方向の両側から寄せて積載状態を修正するために使用することも可能である。
【0025】
分離機構3は、袋マガジン2に積み重ねられた包装袋aから一枚の包装袋aを分離するためのものであり、この実施例では、
図10に示すように、袋マガジン2のコンベアによって図中左端に送られてきた袋積載部18から一枚の包装袋aのみを取り上げるように作用するものである。袋積載部18に積載された包装袋aは、チャック袋やガゼット袋では反った状態となることに加え、静電気や負圧によって包装袋同士が軽く接着することがあり、この分離機構3および昇降手段(上下用アクチュエーター)25により、確実に一枚の包装袋aを袋積載部18から取り上げることができるように構成されている。
【0026】
分離機構3は、少なくとも一対の吸着盤60a,60b(この実施例では、
図11に示すように、包装袋aの長さ方向に沿って3対の吸着盤60a,60b)により包装袋aを吸着するものであって、3対の吸着盤60a,60bは包装袋aを吸着した状態で水平状態から傾斜状態に移行可能に構成されている。
【0027】
具体的には、分離機構3は、
図11に示すように、包装袋aの幅方向の左右において吸着する右吸着盤60aと左吸着盤60bを長さ方向に3対備えている。ただし、本発明における分離機構は、これに限定されるものではなく、例えば右吸着盤と左吸着盤を長さ方向に2対備え、中央に紙垂れ防止の吸着盤を1つ有するようなものも本発明の範疇に包含される。また、分離機構3の構造としては、
図12(A)側面図または(B)正面図に示すように、駆動ユニット(シリンダー)65にはL字型レバーの一端側66が取り付けられ、L字型レバーは取付台に回動可能に連結されている。L字型レバーの他端側67は回転支点68aに回動可能に連結されている。取付台には傾斜状の誘導カム70が形成されており、一方、吸着盤60a、60bを取り付けた基台69には、回転ローラ68bが取り付けられている。そして、傾斜状の誘導カム70に沿って回転ローラ68bが前記回転支点68aを起点として摺動するように構成されており、誘導カム70と基台69は弾性体71を介して常時、付勢されている。
【0028】
このような分離機構3の作用について説明すると、駆動ユニット(シリンダー)65の往動によって、回転支点68aを介して回動ピン68bが誘導カム70で誘導されて、基台69、即ち、吸着盤60a,60bのそれぞれの底が水平状態から外側に向く傾斜状態になり、吸着盤60a,60bにて吸着した包装袋aをU字状にし、積層された包装袋から1枚だけを分離をするように作用する(
図12(C)〜
図6(D))。
【0029】
他方、駆動ユニット(シリンダー)65の復動によって、分離機構3に付設の吸着盤60a,60bは傾斜状態から水平状態になる(
図12(E))。そして、包装袋aが水平状態に保持されたところを水平移送手段8の掴み手段8aに把持されるよう構成されている。
【0030】
水平移送手段8は、
図10に示すように、分離機構3にて分離した一枚の包装袋aを把持して受け取り、袋配置部4まで移送するためのものである。この水平移送手段8は分離機構3により水平状態(
図12(E)の状態)に保持された一枚の包装袋aを左側方から把持する掴み手段(チャックシリンダー)8aを備えており、掴み手段8aが水平方向に往復動することにより一枚ずつ包装袋aを袋配置部4まで移送するように構成されている。なお、この実施例では、分離機構3とは別に水平移送手段8が設けられているが、分離機構3が一枚の包装袋を把持したまま袋配置部4へ移送するように構成されたものも本発明の範疇に包含される。
【0031】
袋配置部4は、分離機構3にて分離した一枚の包装袋aを配置するための部位である。本発明の包装袋供給装置1がこのような袋配置部4を備え、袋配置部4に一枚の包装袋aが配される度毎に次位の包装工程へ供給されることで、袋マガジン2では特に包装袋aを揃えて積載する必要もなく生産効率を向上させることができる。
【0032】
袋配置部4は、
図13ないし
図16に示すように、水平移送されてきた一枚の包装袋aを、幅方向または長さ方向に位置補正するための袋位置補正手段26を有している。これにより、より正確な位置に包装袋aを配置することができる。
【0033】
袋位置補正手段26は、包装袋aを幅方向において位置補正する第1位置補正手段と、包装袋aを長さ方向において位置補正する第2位置補正手段とを有している。
【0034】
第1位置補正手段は、
図13ないし
図15に示すように、幅方向の両側において上方に突出すると共に長さ方向に延在するように設けられたサイドガイド27a,27bと、サイドガイド27a,27bの幅方向の離間距離を伸縮するための伸縮手段28(ボールねじ28aとサーボモータ28b)を有している。そして、袋配置部4に一枚の包装袋aが載置される度に、サーボモータ28bが作動してボールねじ28aが収縮し、それに伴ってサイドガイド27a,27bの幅方向の離間距離も収縮して包装袋aが幅方向において位置補正されるように構成されている。幅方向の位置補正がなされた後は、サーボモータ28bが作動してボールねじ28aが伸長し、それに伴ってサイドガイド27a,27bの幅方向の離間距離も伸長してサイドガイド27a,27bが初期位置に戻るように構成されている。
【0035】
第2位置補正手段は、
図13または
図16に示すように、長さ方向の両側において上方に向かって突出すると共に幅方向に延在するように設けられた上端辺部側ガイド29a,下端辺部側29bと、上端辺部側ガイド29a,下端辺部側29bの長さ方向の離間距離を伸縮するために、下端辺部側ガイド29bを長さ方向に往復動させるアクチュエーター30を有している。そして、袋配置部4に一枚の包装袋aが載置される度に、アクチュエーター30が作動して下端辺部側ガイド29bが上端辺部側ガイド29a側に向かって移動し、それに伴って上端辺部側ガイド29a,下端辺部側29bの長さ方向の離間距離も収縮して包装袋aが長さ方向において位置補正されるように構成されている。長さ方向の位置補正がなされた後は、アクチュエーター30が作動して下端辺部側ガイド29bが初期位置に向かって戻るように構成されている。
【0036】
また、袋配置部4は、
図16に示すように、包装する包装袋aに応じて包装袋の上端辺部を位置決めするための位置決め手段31を有している。位置決め手段31は、上端辺部側ガイド29aと、上端辺部側ガイド29aを長さ方向に往復動させるための往復動手段32(爪上高さ切り替えシリンダー)を有している。
これにより、包装袋に応じてより適切な位置に包装袋を配置することができる。
【0037】
具体的には、包装袋の中には、
図17(a)のようにグリップ対10に把持された時、爪上高さh1が短いものa1と、
図17(b)のように爪上高さh2が長いものa2があり、上端辺部側ガイド29aの位置を変動可能とすることで、爪上高さが異なる包装袋に対応してより適切な位置に包装袋を配置することができるように構成されている。
【0038】
さらに、包装袋供給装置1は、
図18に示すように、袋配置部4に配された一枚の包装袋aを保持して回動し垂直姿勢とする一対の回動アーム9を有し、回動アーム9は、
図19または
図20に示すように、包装袋aの一面側から吸着する吸盤33と、包装袋aの他面側から押圧保持するチャックシリンダ34の弾性押圧板とにより、包装袋aを挟持する保持手段35を有している。これにより、包装袋aを挟み込み、袋配置部4に載置され水平方向に延在した包装袋aを保持する際に、包装袋aが位置ずれすることをより防止できる。
【0039】
さらに、包装袋供給装置1は、回動アーム9にて垂直姿勢に保持された包装袋aの高さを補正するための高さ補正手段36を有している。
【0040】
高さ補正手段36は、
図18に示すように、把持手段11を上下動させる上下動駆動機構37(ボールねじ37aとサーボモータ37bを有している)と、包装袋aを保持した回動アーム9の上昇に伴ってパルスを発生させるロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダが発生するパルスをカウントするパルスカウンタと、回動アーム9による包装袋aの保持位置と把持手段11による受取位置間において、包装袋aの上端辺部の通過を検出するセンサ38と、それらを制御する制御部を有している。
【0041】
そして、制御部は、回動アーム9が正規の位置にて包装袋aを保持して上昇した際、センサ38が包装袋aの上端辺部の通過を検出する間にカウントされる基準パルス数と、回動アーム9が包装袋aを保持して上昇した際、センサ38が包装袋aの上端辺部の通過を検出する間にその都度カウントされるパルス数とを比較し、その比較量に応じて上下動駆動機構37による把持手段11の上下移動量を制御するよう構成されている。このように、把持手段11に把持される包装袋aの高さ位置を補正できるようにしたことによって、その後、水平移動してグリップ対10に保持される際には、上端辺部の高さが均一な状態で保持されるため、シール位置がずれて商品として見栄えが損なわれることを防止できる。