(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286641
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】頭付ボルトの緩み止め構造
(51)【国際特許分類】
F16B 39/02 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
F16B39/02 P
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-231131(P2015-231131)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-89875(P2017-89875A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年6月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203896
【氏名又は名称】太田 良三
(72)【発明者】
【氏名】太田 良三
【審査官】
内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02783811(US,A)
【文献】
特表2006−514238(JP,A)
【文献】
特開2011−179679(JP,A)
【文献】
特開2008−064299(JP,A)
【文献】
実開平02−116012(JP,U)
【文献】
実開昭63−112612(JP,U)
【文献】
英国特許出願公開第01224343(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 39/02 − 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭付ボルトの緩み止めの構造において、頭付ボルト(1)のボルト頭部上面(3)に上部材(17)のボルト孔(18)の直径と同寸法の円形の罫描線を描き、この線上の180°相対する2ケ所の位置よりボルト頭部(2)を貫通して、そのボルト頭部下面(4)より深くまで垂直に2本の錐孔(5)を穿孔しておき、頭付ボルトを上部材(17)のボルト孔(18)を通して、下部材(20)にねじ込んだ後、この2本の錐孔を通して上部材のボルト孔の入口角部(19)に向って、2本の釘(7)を挿入し、その釘の先端楔部(8)が入口角部(19)に接するまで降下させ、次にボルト頭部の中央の小ねじ孔(6)に押え込み用小ボルト(10)をねじ込んで、2本の釘を下方に強く押下げて、その先端の楔部の切刃(9)をボルト孔の入口角部に喰い込ませて、頭付ボルトを上部材に結合させるようにした頭付ボルトの緩み止めの構造。
【請求項2】
請求項1に記載の頭付ボルトの緩み止めの構造において、ボルト頭部(2)と押え込み用小ボルト(10)の間に歯付き座金(14)を介在させて、その歯付き座金の2個の小孔(16)に2本の釘(7)を貫通させて、ボルト頭部との間の廻り止めを行い、押え込み用小ボルトをねじ込むことにより、2本の釘の切刃(9)を上部材(17)のボルト孔(18)の入口角部(19)に喰い込ませた後、その歯付き座金の歯(15)を押え込み用小ボルトの鍔部(12)の外周の切込み溝(13)に折り曲げ、噛合させることにより押え込み用小ボルトの戻り回転を阻止しうるようにした頭付ボルトの緩み止めの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は並目、細目等の頭付ボルトの緩み止めを行う方法である。
【背景技術】
【0002】
頭付ボルトの緩み止めの方法としては座金を上部材に固定し、この座金を折り曲げる等の方法によりボルトの頭の回転を阻止するものがあるが、締付けた時の頭の角度によっては確実に回り止めを行うことが困難なこともある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
頭付ボルトをねじ込んだとき、振動等により生じる緩みを確実に、しかも簡単な作業により制止することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
頭付ボルト1の
ボルト頭部上面3に上部材17のボルト孔18の直径と同寸法の円形の罫描線を描き、この線上の180°相対する2ケ所の位置よりボルト頭部2を貫通して、その
ボルト頭部下面4より少く深くまで垂直に2本の錐孔5を穿孔しておき、頭付ボルトを上部材17のボルト孔18を通して、下部材20にねじ込んだ後、この2本の錐孔を通して上部材のボルト孔の入口角部19に向って、2本の釘7を挿入し、その
釘の先端の楔部8が入口角部19に接するまで降下させる。
【0005】
次に、ボルト頭部の中央の小ねじ孔6に押え込み用小ボルト10をねじ込んで、2本の釘を下方に強く押下げて、その先端の楔部の切刃9をボルト孔の入口角部に喰い込ませて、頭付ボルトを上部材に結合させるようにすることにより、頭付ボルトの緩みを止めることができる。
【0006】
ボルト頭部2と押え込み用小ボルト10の間に歯付き座金14を介在させて、その
歯付き座金の2個の小孔16に2本の釘7を貫通させて、ボルト頭部との間の廻り止めを行い、又歯付き座金の歯15を押え込み用小ボルトの鍔部12の外周の切込み溝13に折り曲げて噛合せることにより、押え込み用ボルトの戻り回転を阻止するようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施により頭付ボルトを強く締め込んだ後、簡単な方法で確実な緩み止めが可能になる。そして激しい振動にも耐えることが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の一例として、頭付ボルトをねじ込んだ後、その頭部より押え込み用ボルトにより釘を押下げた後、歯付き座金で廻り止めした状態の縦断面図
【
図6】本発明の実施形態の一例として、頭付ボルトをねじ込んだ後、その頭部より押え板により釘を押下げた状態の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
頭付ボルト1の
ボルト頭部上面3に上部材17のボルト孔18の直径と同寸法の円形の罫描線を描き、この線上の180°相対する2ケ所の位置よりボルト頭部2を貫通して、その
ボルト頭部下面4より少く深くまで垂直に2本の錐孔5を穿孔しておき、頭付ボルトを上部材17のボルト孔18を通して、下部材20にねじ込んだ後、この2本の錐孔を通して上部材のボルト孔の入口角部19に向って、2本の釘7を挿入し、その
釘の先端楔部8が入口角部19に接するまで降下させる。
【0010】
次にボルト頭部の中央の小ねじ孔6に押え込み用小ボルト10をねじ込んで、2本の釘を下方に強く押下げて、その先端の楔部の切刃9をボルト孔の入口角部に喰い込ませて、頭付ボルトを上部材に結合させるようにすることにより頭付ボルトの緩みを止めることができる、釘の直径は錐穴5に滑合する寸法とし、その先端の楔部の切刃は鋭く、そして焼入しておく。
【0011】
ボルト頭部2と押え込み用小ボルト10の間に歯付き座金14を介在させて、その
歯付き座金の2個の小孔16に2本の釘7を貫通させて、ボルト頭部との間の廻り止めを行い、又歯付き座金の歯15を押え込み用小ボルトの鍔部12の外周の切込み溝13に折り曲げて噛合させることにより、押え込み用ボルトの戻り回転を阻止するようにする。
【0012】
押え込み用小ボルトは頭付ボルトより浮上ることがないので、2本の釘の先端の楔部の切刃の喰い込みは絶対に緩むことがない、従ってこの頭付ボルトは激しい振動に対しても充分耐えることができる。
【0013】
又、大きい径の頭付ボルトの緩み止めを行う場合は、2本の釘を押え込み用小ボルト10で押え込む代りに、
図6、
図7及び
図8に示すように2本のボルト22により押え板21を降下させて釘を押し下げ、釘の先端楔部の切刃9をボルト孔の入口角部19に喰い込ませる、このときは2本のボルトの長方形の共用座金23の端を折りまげて、そのボルトの廻り止を行うことができる。
【符号の説明】
【0014】
1・・・頭付ボルト 2・・・ボルト頭部
3・・・ボルト頭部上面 4・・・ボルト頭部下面
5・・・錐孔 6・・・ボルト頭部の小ねじ孔
7・・・釘 8・・・釘の先端楔部
9・・・先端楔部の切刃 10・・・押え込み用小ボルト
11・・・小ボルトの頭部 12・・・小ボルトの鍔部
13・・・鍔部外周の切込み溝 14・・・歯付き座金
15・・・歯付き座金の歯 16・・・歯付き座金の小孔
17・・・上部材 18・・・上部材のボルト孔
19・・・ボルト孔の入口角部 20・・・下部材
21・・・押え板 22・・・押え板用ボルト
23・・・長方形の共用座金