(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286680
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】発熱機器内蔵キャビネット
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
H05K7/20 U
H05K7/20 G
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-218033(P2013-218033)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-82505(P2015-82505A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】高津 祐司
(72)【発明者】
【氏名】茶之木 大輔
【審査官】
原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0044631(US,A1)
【文献】
特開2004−184070(JP,A)
【文献】
特開2010−025451(JP,A)
【文献】
特開平09−138044(JP,A)
【文献】
特開2003−023284(JP,A)
【文献】
特開2004−055656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部排気口と、下部吸気口とを備えた発熱機器を、キャビネット本体の内部に備えるとともに、
上部吸気口と、下部吐出口とを備えた熱関連機器を、前記キャビネット本体の内面に備えた発熱機器内蔵キャビネットであって、
前記熱関連機器をキャビネット本体の側面に配置し、
前記キャビネット本体の内部の空間を、前記熱関連機器の上部吸気口側と下部吐出口側とに、上下に区画する仕切板を、前記キャビネット本体の内面、または前記熱関連機器に取付け、
この仕切板を前記キャビネット本体の内面、または前記熱関連機器の取付位置から発熱機器に向けて延びるものとし、
前記発熱機器の上部排気口と下部吸気口とを上下に区画したことを特徴とする発熱機器内蔵キャビネット。
【請求項2】
前記仕切板は、前記熱関連機器の正面側を上下に区画する前方仕切部と、前記熱関連機器の両側面側を上下に区画する側方仕切部とを備え、前記熱関連機器を跨ぐよう前記キャビネット本体の内面に取付けたことを特徴とする請求項1記載の発熱機器内蔵キャビネット。
【請求項3】
前記熱関連機器を、上下方向に移動可能としたことを特徴とする請求項2記載の発熱機器内蔵キャビネット。
【請求項4】
前記仕切板の、前記発熱機器の側面に向けた突出量を、変更可能としたことを特徴とする請求項1記載の発熱機器内蔵キャビネット。
【請求項5】
前記仕切板は、着脱自在とした延設板を備えたことを特徴とする請求項4記載の発熱機器内蔵キャビネット。
【請求項6】
前記仕切板に対してスライド可能とした延設板を備えたことを特徴とする請求項4記載の発熱機器内蔵キャビネット。
【請求項7】
前記仕切板は、ロールスクリーン構造を有し、伸縮自在としたことを特徴とする請求項4記載の発熱機器内蔵キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱機器を内蔵したキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャビネット本体の内部には、様々な機器が内蔵されており、これらの機器は通電によって発熱する(以下、発熱機器)。これら発熱機器を冷却するために、キャビネット本体の内部には、熱関連機器(例えば、熱交換器、ペルチェ式冷却装置、コンプレッサー式冷却装置等)が取付けられている。発熱機器は、一般的に上部排気口と下部吸気口とを備えており、また熱関連機器は、前記上部排気口から排気される暖気を吸気するための上部吸気口と、発熱機器を冷却する冷気を吐出するための下部吐出口とを備えている。したがって、下部吐出口から吐出された冷気は、発熱機器の下部吸気口から吸気され、発熱機器内部の熱とともに上部排気口から排気され、上部排気口から排気された暖気は、熱関連機器の上部吸気口により吸気される。
【0003】
しかしながら、発熱機器の上部排気口から排気される暖気が、熱関連機器の上部吸気口に吸い込まれない流れや、また熱関連機器の下部吐出口から吐出される冷気が、発熱機器の内部を通過しない流れが発生すると、キャビネット内部の冷却効率が低下する問題があった。そこで、特許文献1に示すように、発熱機器を跨ぐように、キャビネット本体の内部に仕切板を取付けることにより、熱関連機器の上部吸気口側と下部吐出口側とを上下に区画する技術が開示されている。
【0004】
また特許文献1の発明は、仕切板と発熱機器との間に弾性部材を備えたことにより、発熱機器のサイズが多少変化しても、シール性を確保できるものとしている。しかしながら、発熱機器のサイズは大小様々であり、発熱機器のサイズを大幅に変更する際には、サイズを変更した仕切板を新設しなくてはならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−38355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記した従来の問題点を解決し、発熱機器のサイズの変更に影響されずに、熱関連機器の上部吸気口側と下部吐出口側とを上下に区画することができる発熱機器内蔵キャビネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明は、上部排気口と、下部吸気口とを備えた発熱機器を、キャビネット本体の内部に備えるとともに、上部吸気口と、下部吐出口とを備えた熱関連機器を、前記キャビネット本体の内面に備えた発熱機器内蔵キャビネットであって、
前記熱関連機器をキャビネット本体の側面に配置し、前記キャビネット本体の内部の空間を、
前記熱関連機器の上部吸気口側と下部吐出口側とに、上下に区画する仕切板を、前記キャビネット本体の内面、または前記熱関連機器に取付け
、この仕切板を前記キャビネット本体の内面、または前記熱関連機器の取付位置から発熱機器に向けて延びるものとし、前記発熱機器の上部排気口と下部吸気口とを上下に区画したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発熱機器内蔵キャビネットにおいて、前記仕切板は、前記熱関連機器の正面側を上下に区画する前方仕切部と、前記熱関連機器の両側面側を上下に区画する側方仕切部とを備え、前記熱関連機器を跨ぐよう前記キャビネット本体の内面に取付けたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発熱機器内蔵キャビネットにおいて、前記熱関連機器を、上下方向に移動可能としたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発熱機器内蔵キャビネットにおいて、前記仕切板の、前記発熱機器の側面に向けた突出量を、変更可能としたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発熱機器内蔵キャビネットにおいて、前記仕切板は、着脱自在とした延設板を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発熱機器内蔵キャビネットにおいて、前記仕切板に対してスライド可能とした延設板を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の発熱機器内蔵キャビネットにおいて、前記仕切板は、ロールスクリーン構造を有し、伸縮自在としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る発熱機器内蔵キャビネットは、上部排気口と、下部吸気口とを備えた発熱機器をキャビネット本体の内部に備えるとともに、上部吸気口と、下部吐出口とを備えた熱関連機器をキャビネット本体の内面に備えたものであり、キャビネット本体の内部の空間を、
前記発熱機器の上部吸気口側と下部吐出口側とに上下に区画する仕切板を、キャビネット本体の内面、または熱関連機器に取付けた。これにより、発熱機器のサイズの変更に影響されずに、熱関連機器の上部吸気口側と下部吐出口側とを上下に区画することができ、キャビネット本体の内部空間の冷却効率を向上させることができる。
【0015】
また、仕切板は熱関連機器の正面側を上下に区画する前方仕切部と、熱関連機器の両側面側を上下に区画する側方仕切部とを備え、前記熱関連機器を跨ぐよう前記キャビネット本体の内面に取付けることが好ましく、これにより熱関連機器周りを上下に区画可能となるとともに、熱関連機器が取付けられるキャビネット本体の内面に、容易に仕切板を取付けることができる。
【0016】
さらに、熱関連機器は上下方向に移動可能とすることが好ましく、これによって発熱機器の高さに応じて熱関連機器の設置位置を変更することが可能となる。なお、前記仕切板の発熱機器の側面に向けた突出量は、変更可能とすることが好ましく、また仕切板には延設板を着脱自在に備えることがより好ましい。さらに、前記延設板を仕切板に対してスライド可能としたり、前記仕切板にロールスクリーン構造を備え、伸縮自在とすることもできる。これらの構成により、発熱機器のサイズが大幅に変更となる場合でも、仕切板を新設することなく、容易に仕切板の長さを変更することができ、発熱機器のサイズに対応して、発熱機器の側面に向かって適切な突出量とした上で、仕切板を取付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図5】本発明の仕切板の取付部を、キャビネット本体の内部の前後面側に向けて形成した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の仕切板の突出角度を変更した状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の熱関連機器の取付高さを変更した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1において、発熱機器内蔵キャビネットは、前後面に扉1を備えた屋外用のキャビネット本体2と、このキャビネット本体2の内部に取付けられた、発熱機器3とを備えるものである。本実施形態では発熱機器3はパワーコンディショナである。前記発熱機器3は、天井面に上部排気口4を備えるとともに、正面下部に下部吸気口5を備えたものである。発熱機器3は前述の通り、通電により発熱するため、キャビネット本体2の内部の左右側面に取付けられる熱関連機器6によって冷却が行われる。なお、前記熱関連機器6は、コンプレッサー式冷却装置である。
【0019】
なお、本明細書中における熱関連機器6とは、キャビネット本体2の内面に取付けられるものを指す。また本実施形態においては、
図2のようにキャビネット本体2の外部に、熱関連機器6とは別に室外機7を設置し、この室外機7により放熱を行うものとしたが、キャビネット本体2の内部の熱を放熱できる構造を備えるものであればよい。また熱関連機器6は、コンプレッサー式冷却装置に限定されず、フィン型、水冷式、及びヒートパイプ式の熱交換器や、ペルチェ式冷却装置としてもよい。また、発熱機器3の上部排気口4は、天井面に限定されず、例えば発熱機器3の左右側面の上部に形成してもよく、下部吸気口5は正面側に限定されることはない。なお、本実施形態ではキャビネット本体2の前後面に扉1を形成したため、熱関連機器6をキャビネット本体2の前後面に取付けることができないことから、発熱機器3の天井面に上部排気口4を備えたものとしたが、キャビネット本体2の前後面に熱関連機器6が設置可能である場合には、発熱機器3の前後面に上部排気口4を備えることもできる。
【0020】
本実施形態において、熱関連機器6は、
図2に示すように、発熱機器3の上部排気口4から排気される暖気を吸気するための上部吸気口8と、発熱機器3を冷却する冷気を吐出するための下部吐出口9とを備えたものとし、キャビネット本体2の内部の左右側面にそれぞれ取付けられるものとした。これによって、キャビネット本体2の前後面に形成された扉1や、発熱機器3の扉を開閉した際に、後述する仕切板10がその動作を阻害せず、また発熱機器3の前後面に操作部を備える場合でも、その操作が容易となる。したがって、
図2の矢印で示すように、下部吐出口9から吐出された冷気は、発熱機器3の下部吸気口5から吸気され、発熱機器3内部の熱とともに上部排気口4から排気され、上部排気口4から排気された暖気は、熱関連機器6の上部吸気口8により吸気される。なお、熱関連機器6は、キャビネット本体2の内部の左右側面にそれぞれ取付けられるものとしたが、キャビネット本体2の内部の前面や後面に取付けてもよく、またキャビネット本体2のサイズにより必要とされる冷却能力に応じて、取付ける熱関連機器6の数を変更することが好ましい。
【0021】
本実施形態では、
図3及び
図4に示す仕切板10を、
図2のように熱関連機器6を跨ぐようにキャビネット本体2の内部の左右側面に取付け、熱関連機器6の上部吸気口8側と下部吐出口9側とを上下に区画した。これにより、発熱機器3のサイズの変更に影響されずに、熱関連機器6の上部吸気口8側と下部吐出口9側とを上下に区画することが可能となり、キャビネット本体2の内部空間の冷却効率を向上させることができる。これは、発熱機器3のサイズは大小様々であるのに対し、熱関連機器6のサイズは発熱機器3と比較すると定格であることからも、本発明が有用であるといえる。なお、仕切板10は熱関連機器6に取付けてもよい。
【0022】
前記仕切板10は、
図2乃至
図4に示すように、熱関連機器6の正面側を上下に区画する前方仕切部11と、熱関連機器6の両側面側を上下に区画する側方仕切部12とを備えるものとした。すなわち、仕切板10は、熱関連機器6を跨いで、熱関連機器6の正面側と両側面側との3方向を上下に区画するものである。これにより熱関連機器6周りを隙間なく上下に区画可能となるとともに、熱関連機器6が取付けられるキャビネット本体2の内部の左右側面に、容易に仕切板10を取付けることができる。なお、仕切板10により熱関連機器6の周りを隙間なく上下に区画することが好ましく、また、前方仕切部11の発熱機器側の端部は発熱機器3の上部排気口4より下側に位置していることが好ましい。
【0023】
仕切板10には、取付部13が形成されており、この取付部13によって、熱関連機器6が設置されるキャビネット本体2の内部の左右側面側のフレームやレール等に、ネジ孔14を介して仕切板10がネジ止めされる。なお、仕切板10は側方仕切部12を備えない場合や、キャビネット本体2の内部の前後面側のフレームやレール等に仕切板10を取付ける必要がある場合には、
図5のように取付部13をキャビネット本体2の内部の前後面側に向けて形成することができる。一方、仕切板10を熱関連機器6に取付ける場合は、ネジ止め、または爪による係合等により取付けることも可能である。
【0024】
本実施形態においては、仕切板10を発熱機器3の側面に向けて略水平方向に突出させて取り付けているが、発熱機器3の高さに応じて
図6に示すように、突出角度を変更する等、その突出方向を変更して取付けることができる。また、発熱機器3の高さに対応して、
図7に示すように、熱関連機器6の高さを変更することも可能である。このとき、仕切板10のサイズは変更されることなく、キャビネット本体2の内部の左右側面に取付けられる。
【0025】
また、仕切板10は、発熱機器3のサイズの変更に対応して、発熱機器3の側面に向けた突出量を変更可能とすることができる。例えば、第2の実施形態として
図8に示すように、仕切板10は、延設部としての延設板16を、ボルト15と図示しないナットとによって着脱自在に取付けることができる構成としてもよい。さらに、第3の実施形態として
図9及び
図10に示すように、前記延設板16に長孔17を形成し、延設板16を仕切板10に対してスライド可能としたり、第4の実施形態として
図11に示すように、前記仕切板10に、軸に巻かれたロールスクリーンの先端を引き出すことができるロールスクリーン構造を備え、フック18等によって発熱機器3の側面に伸縮自在に取付ける構成とすることも可能である。これら第2乃至第4の実施形態に示す構成により、発熱機器3のサイズが大幅に変更となる場合でも、仕切板10を新設することなく、容易に仕切板10の長さを変更することができ、発熱機器3のサイズに対応して、発熱機器3の側面に向かって適切な突出量とした上で、仕切板10を取付けることが可能となる。また、実施形態5として
図12に示すように、延設板16を前後方向に2つに分割することで、それぞれの延設板16の間に空間を形成し、その空間に発熱機器3が位置することで、発熱機器3の前後方向も仕切ることが可能となる。
【0026】
なお、本実施形態においては、発熱機器3を内蔵した屋外用のキャビネットとしたが、本発明は屋内用のキャビネットにも適用可能であり、また発熱機器3はパワーコンディショナのみならず、その他分電盤や制御盤、またはサーバラック等であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 扉
2 キャビネット本体
3 発熱機器
4 上部排気口
5 下部吸気口
6 熱関連機器
7 室外機
8 上部吸気口
9 下部吐出口
10 仕切板
11 前方仕切部
12 側方仕切部
13 取付部
14 ネジ孔
15 ボルト
16 延設板
17 長孔
18 フック