(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第1検知領域と前記第2検知領域とのうち少なくとも1つの検知領域で前記動きを検知している時間が所定の第2時間以上である場合に前記離床信号を出力し、
前記第2時間は前記第1時間より長い
請求項3に記載の離床センサ。
前記赤外線受動センサは、前記第1検知領域と前記第2検知領域とを含む、水平方向に並んだ複数の検知領域のそれぞれを対象として前記対象者の動きを検知する焦電型赤外線センサを水平方向に複数備える
請求項1または請求項2に記載の離床センサ。
前記赤外線受動センサは、前記第1検知領域と前記第2検知領域とを含む、水平方向および垂直方向に並んだ複数の検知領域のそれぞれを対象として前記対象者の動きを検知する焦電型赤外線センサを水平方向および垂直方向に複数備える
請求項1または請求項2に記載の離床センサ。
前記赤外線受動センサは、前記寝床の上部空間において、前記第1検知領域と前記第2検知領域とを含む、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域のそれぞれで、前記対象者の動きを検知する
請求項1に記載の離床センサ。
前記制御部は、前記第1検知領域と前記第2検知領域とで前記動きを検知し、かつ、前記第1検知領域と前記第2検知領域との赤外線が示す温度が所定の範囲内に含まれる場合に、前記離床信号を出力する
請求項12に記載の離床センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような被介護者動作検出装置では、被介護者より出力される赤外線を検出し、検出した信号を解析処理することによって、対象者の動作を判定しているため、複雑な判定処理が必要となる。また、このような判定処理に時間が必要となり、対象者の離床が介護者に通知されるのが遅れるという課題がある。また、上記のような離床検知装置では、2種類の赤外線センサがともに対象者の存在を検知しなくなったときに離床したとして通報を行っているので、同様に対象者の離床が介護者に通知されるのが遅れるという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で、迅速かつ的確に対象者の離床を検知することができる離床センサ等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る離床センサは、対象者が就寝する寝床からの前記対象者の離床を検知する離床センサであって、前記寝床の上部空間において、水平方向に並んだ複数の検知領域のそれぞれで、前記対象者の動きを検知する赤外線受動センサと、前記赤外線受動センサが前記複数の検知領域のうち所定数以上の検知領域で前記動きを検知した場合に離床信号を出力する制御部とを備える。
【0007】
これにより、簡単な構成で、的確に対象者の離床を検知することができる。また、対象者が寝返りを打っている等では検知せず、対象者が寝床(ベッド)から起き上がった場合には確実に検知することができる。
【0008】
また、前記赤外線受動センサは、前記複数の検知領域ごとに、前記対象者の動きを検知した場合にON信号を出力し、前記制御部は、連続性をもったパルス的なON信号を、連続したON信号とみなしてもよい。
【0009】
これにより、赤外線受動センサの特性に関係なく、的確に対象者の離床を検知することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記複数の検知領域のうち所定の検知領域で前記動きを検知した場合に離床信号を出力してもよい。
【0011】
これにより、動きが検知された検知領域の位置について考慮することも可能である。例えば、複数の検知領域のうち、中央部分に位置する検知領域を両端部分に位置する検知領域よりも重視することもできる。
【0012】
また、前記制御部は、前記所定の検知領域で前記動きを検知している時間が所定の第1時間以上である場合に前記離床信号を出力してもよい。
【0013】
これにより、例えば寝返りを打つなどで手の動きが検知されただけで離床と判定してしまうというような誤動作をさらに防止することができる。
【0014】
また、前記制御部は、前記所定の検知領域のうち少なくとも1つの検知領域で前記動きを検知している時間が所定の第2時間以上である場合に前記離床信号を出力してもよい。
【0015】
これにより、さらに的確に対象者の離床を検知することができる。
【0016】
また、前記赤外線受動センサは、前記複数の検知領域のそれぞれを対象として前記対象者の動きを検知する焦電型赤外線センサを水平方向に複数備えてもよい。
【0017】
これにより、簡単な構成で、水平方向に並んだ複数の検知領域のそれぞれで、対象者の動きを検知することができる。
【0018】
また、前記複数の検知領域は、2つの検知領域であり、前記赤外線受動センサは、前記2つの検知領域のそれぞれを対象として前記対象者の動きを検知する前記焦電型赤外線センサを水平方向に2つ備え、前記制御部は、前記焦電型赤外線センサの2つがともに前記動きを検知した場合に前記離床信号を出力してもよい。
【0019】
これにより、簡単な構成で、水平方向に並んだ2つの検知領域のそれぞれで、対象者の動きを検知することができる。また、焦電型赤外線センサの2つがともに動きを検知した場合に離床信号を出力するので、複雑な判定処理が必要なく、離床判定を迅速に行うことができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記焦電型赤外線センサの2つがともに前記動きを検知している時間が所定の第1時間以上である場合に前記離床信号を出力してもよい。
【0021】
これにより、例えば寝返りを打つなどで手の動きが検知されただけで離床と判定してしまうというような誤動作をさらに防止することができる。
【0022】
また、前記制御部は、2つの前記焦電型赤外線センサのうち少なくとも一方が前記動きを検知している時間が所定の第2時間以上である場合に前記離床信号を出力してもよい。
【0023】
これにより、さらに的確に対象者の離床を検知することができる。
【0024】
また、前記赤外線受動センサは、さらに、前記焦電型赤外線センサそれぞれの間に、前記検知領域を抑制する抑制板を備えてもよい。
【0025】
これにより、適切に検知領域を設定することができ、的確に対象者の離床を検知することができる。
【0026】
また、前記赤外線受動センサは、前記複数の検知領域のそれぞれを対象として前記対象者の動きを検知する焦電型赤外線センサを水平方向および垂直方向に複数備えてもよい。
【0027】
これにより、簡単な構成で、水平方向および垂直方向に並んだ複数の検知領域のそれぞれで、対象者の動きを検知することができる。
【0028】
また、前記赤外線受動センサは、前記寝床の上部空間において、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域のそれぞれで、前記対象者の動きを検知してもよい。
【0029】
これにより、簡単な構成で、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域のそれぞれで、対象者の動きを検知することができる。
【0030】
また、前記赤外線受動センサは、前記複数の検知領域のそれぞれで、検知領域の赤外線を検知し、当該赤外線の変化に基づいて前記対象者の動きを検知してもよい。
【0031】
これにより、簡単な構成で、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域のそれぞれで、対象者の動きを検知することができる。
【0032】
また、前記制御部は、前記動きを検知し、かつ、前記動きを検知した検知領域の赤外線が示す温度が所定の範囲内に含まれる場合に、前記離床信号を出力してもよい。
【0033】
これにより、対象者の体温を考慮することができ、さらに的確に対象者の離床を検知することができる。
【0034】
また、前記離床センサは、さらに、前記離床信号を外部機器に送信する通知部を備えてもよい。
【0035】
これにより、例えば、監視センター等にいる介護者に、対象者の離床を迅速かつ的確に通知することができる。
【0036】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、簡単な構成で、迅速かつ的確に、対象者の離床を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0041】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における離床センサの構成を示す概略斜視図であり、
図2は実施の形態1における離床センサの構成を示す上面図である。
【0042】
離床センサ100は、対象者が就寝する寝床(ベッド)からの対象者の離床を検知する離床センサであり、
図1に示すように第1センサ101、第2センサ102、前面および上面が開口した立方体形状の本体部103、本体部103の前面に取り付けられる前面カバー104、本体部103の上面に取り付けられる上蓋105、第1センサ101および第2センサ102が取り付けられる支持板106、第1センサ101と第2センサ102との間に取り付けられる抑止板107、および処理部110を備えている。なお、
図1では、上蓋105を本体部103から上方に開けた状態を示している。
【0043】
第1センサ101および第2センサ102は、対象者から出力される赤外線を検知することで動きを検知する赤外線受動センサである。具体的には、第1センサ101および第2センサ102は、焦電型赤外線センサであり、焦電素子および回路が一体化されたモジュールである。第1センサ101および第2センサ102は、対象者の動きの検知に応じた出力信号を出力する。すなわち、対象者の動きを検知していない場合、出力信号はOFF信号であり、対象者の動きを検知している場合、出力信号はON信号である。なお、第1センサ101および第2センサ102は、焦電素子および回路が一体化されたモジュールでなくてもよく、例えばレンズ機能、および赤外線入射光を部分的に遮断する格子などの遮蔽構造を前面カバー104に持たせることもできる。また、第1センサ101および第2センサ102は、アナログ出力型のセンサであってもよく、この場合、例えば出力電圧が所定の閾値となる電圧幅を超えた場合に、対象者の動きを検知しているとすることができる。
【0044】
また、第1センサ101および第2センサ102は、水平方向に並べて取り付けられる。具体的には、第1センサ101および第2センサ102は、
図2に示すようにそれぞれ支持板106の長手方向中央から等距離の位置で、中央よりの位置に取り付けられている。
【0045】
抑止板107は、赤外線を透過しない樹脂等で形成しており、支持板106の長手方向中央および前面カバー104の長手方向中央を結ぶ位置に設けられる。また、抑止板107は、
図2に示すように第1センサ101および第2センサ102に入射する赤外線を抑制している。
【0046】
本体部103、上蓋105、および支持板106は、抑止板107と同様に赤外線を透過しない樹脂等で形成している。
【0047】
前面カバー104は、赤外線を透過する樹脂等で形成しており、この前面カバー104部分を透過した赤外線が第1センサ101および第2センサ102で検知される。
【0048】
次に、処理部110の詳細な構成について説明する。
図3は、実施の形態1における離床センサ100の処理部110の構成を示すブロック図である。
【0049】
処理部110は、
図3に示すように制御部111および通知部112を備えている。
【0050】
制御部111は、第1センサ101および第2センサ102から出力されるそれぞれの出力信号を受け付け、第1センサ101および第2センサ102の両方の出力信号が同時に動きを検知したことを示す(両方の出力信号がON信号である)場合に、離床と判定する。ここで、離床とは、対象者が寝床(ベッド)の上に起き上がった状態となったことであり、離床直前の動作ということができる。
【0051】
通知部112は、制御部111で離床と判定された場合に、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信する。ここで、通知部112は、離床信号を有線通信または無線通信のどちらで送信してもよい。また、通知部112は、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して介護者の例えばスマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末に離床信号を送信してもよい。
【0052】
次に、上記のように構成された離床センサ100の使用例について説明する。
図4は、実施の形態1における離床センサ100の使用例を説明するための斜視図である。
【0053】
離床センサ100は、
図4に示すように対象者11が就寝する寝床(ベッド)12の上端(対象者11の頭部側)または上端から少し離れた位置に設置される。また、離床センサ100は、
図4に示すように対象者11が寝床(ベッド)12の上に起き上がった状態13で対象者11の頭から背中程度が検知領域Aとなるような、例えば対象者11の首から肩程度の高さに水平方向に設置される。
【0054】
次に、上記のように設置された離床センサ100の検知領域について説明する。
図5は、実施の形態1における離床センサ100の検知領域を説明する図である。ここで、
図5は、離床センサ100を設置している側から寝床(ベッド)12を見た図である。
【0055】
離床センサ100の検知領域Aの高さ方向の範囲には、
図5に示すように対象者11が寝床(ベッド)12の上に起き上がった状態13で対象者11の頭から背中程度が含まれる。また、検知領域Aは、
図5に示すように第1センサ101が検知する検知領域A1および第2センサ102が検知する検知領域A2の2つの検知領域により構成される。このように、検知領域A1および検知領域A2が構成されるのは、本体部103の底面および側面、上蓋105、および抑止板107により、第1センサ101および第2センサ102に入射する赤外線が抑制されるためである。そして、このように構成された検知領域A1および検知領域A2の両方において対象者11の動きが検知されると、制御部111は離床と判定する。
【0056】
例えば、
図5に示すように対象者11が寝床(ベッド)12の上に起き上がった状態13となれば、検知領域A1および検知領域A2の両方において対象者11の動きが同時に検知される。よって、この場合、制御部111において離床と判定されることになる。一方、例えば、対象者11が寝返りを打つことにより手等が検知領域A1または検知領域A2に入ると、検知領域A1または検知領域A2の片方だけにおいて対象者11の動きが検知される。よって、この場合、検知領域A1および検知領域A2の両方において対象者11の動きが同時に検知されないので、制御部111において離床とは判定されないことになる。
【0057】
なお、制御部111での動きの検知における同時とは、厳密には同時でなくとも、多少の時間幅(例えば、0.3秒)を有しても構わない。しかし、時間幅を長く設定しすぎると、例えば対象者11の右手が検知領域A1に入った後、上記時間幅以内に対象者11の左手が検知領域A2に入った場合にも、離床と判定されることになり、誤判定の可能性が高くなることが考えられる。
【0058】
次に、上記のように構成された離床センサ100が対象者の離床を検知する際の動作について説明する。
図6は、実施の形態1における離床センサ100が対象者の離床を検知する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【0059】
第1センサ101が検知領域A1を対象に、第2センサ102が検知領域A2を対象に、それぞれ赤外線を検知する。ここで、第1センサ101および第2センサ102からの出力信号を検知する方法としては、周期的にポーリング(出力信号の読み出し動作)を行う方法と、検知イベント(出力信号のON信号を受信)を受けての判定処理を開始する方法とがある。なお、この出力信号を検知する方法は、どちらの方法を用いても構わないので、本実施の形態では、判定処理以降の動作について説明する。
【0060】
制御部111は、第1センサ101および第2センサ102から出力される出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示す(両方の出力信号がON信号である)か否かを判定する(ステップS101)。この判定の結果、出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示す場合(ステップS101でYES)、制御部111は、離床と判定する(ステップS102)。次に、通知部112は、制御部111で離床と判定されると、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信する。(ステップS103)。一方、出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示さない(少なくとも一方の出力信号がOFF信号である)場合(ステップS101でNO)、制御部111は、出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示すか否かの判定を繰り返す(ステップS101)。
【0061】
以上のように、水平方向に設定された2つ検知領域である検知領域A1および検知領域A2の両方において対象者11の動きが同時に検知されると離床と判定し、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信している。これにより、簡単な構成で、迅速かつ的確に対象者の離床を検知することができる。
【0062】
(変形例)
次に、対象者の離床を検知する際の動作の変形例について説明する。
【0063】
本変形例では、制御部111は、第1センサ101および第2センサ102から出力されるそれぞれの出力信号を受け付け、第1センサ101および第2センサ102の両方の出力信号が同時に動きを検知したことを示す(両方の出力信号がON信号である)時間が所定の第1時間以上である場合に、離床と判定する。また、制御部111は、第1センサ101または第2センサ102のうち少なくとも一方の出力信号が動きを検知したことを示す(少なくとも一方の出力信号がON信号である)時間が所定の第2時間以上である場合に、離床と判定する。
【0064】
本変形例における離床センサ100が対象者の離床を検知する際の動作について説明する。
図7は、実施の形態1の変形例における離床センサ100が対象者の離床を検知する際の動作の流れを示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同様の動作については同じ符号を付している。
【0065】
制御部111は、第1センサ101および第2センサ102から出力される出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示す(両方の出力信号がON信号である)か否かを判定する(ステップS101)。この判定の結果、出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示す場合(ステップS101でYES)、制御部111は、出力信号が動きを検知したことを示している(出力信号がON信号である)時間(以下、動き検知時間ともいう)が所定の第1時間以上継続したか否かを判定する(ステップS201)。この判定の結果、動き検知時間が所定の第1時間以上継続した場合(ステップS201でYES)、制御部111は、離床と判定する(ステップS102)。
【0066】
一方、出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示さない(少なくとも一方の出力信号がOFF信号である)場合(ステップS101でNO)、および、所定の第1時間以上継続していない場合(ステップS201でNO)、制御部111は、第1センサ101または第2センサ102のうち少なくとも一方の動き検知時間が所定の第2時間以上継続したか否かを判定する(ステップS202)。この判定の結果、動き検知時間が所定の第2時間以上継続した場合(ステップS202でYES)、制御部111は、離床と判定する(ステップS102)。
【0067】
ここで、動き検知時間が所定の第2時間以上継続した場合には、例えば、第1センサ101または第2センサ102だけの動き検知時間が所定の第2時間以上継続した場合が含まれる。また、第1センサ101および第2センサ102両方の動き検知時間が所定の第1時間以上継続せず、その後の第1センサ101または第2センサ102だけの動き検知時間を加えた時間が所定の第2時間以上継続した場合も含まれる。さらに、第1センサ101または第2センサ102だけの出力信号が動きを検知したことを示した後、第1センサ101および第2センサ102の出力信号が同時に動きを検知したことを示し、この同時に動きを検知したことを示す時間が所定の第1時間以上継続せず、その後の第1センサ101または第2センサ102だけの動き検知時間を加えた時間が所定の第2時間以上継続した場合も含まれる。このように、第1センサ101または第2センサ102のうち少なくとも一方が動きを検知していればよく、例えば第1センサ101と第2センサ102とが交互に検知する等、いろいろな検出パターンが含まれることになる。
【0068】
なお、これらの検出パターンそれぞれに対して、個別の所定の時間を設定することも可能である。例えば、第1センサ101だけで動き検知が継続した場合(または第2センサ102だけで動き検知が継続した場合)には、所定の第2時間で継続の判定を行い、第1センサ101と第2センサ102とが交互に動き検知が継続した場合には、所定の第3時間で継続の判定を行うというように、別の所定の時間を設定することができる。
【0069】
また、第1センサ101または第2センサ102だけの出力信号が動きを検知したことを示した後、第1センサ101および第2センサ102の出力信号が同時に動きを検知したことを示した場合、
図7に示すフローチャートには表していないが、第1センサ101および第2センサ102両方の動き検知時間が所定の第1時間以上継続したか否かを判定することができる。この場合、第1センサ101および第2センサ102両方の動き検知時間が所定の第1時間以上継続した時点で、離床と判定することができる。
【0070】
次に、通知部112は、制御部111で離床と判定されると、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信する(ステップS103)。
【0071】
一方、動き検知時間が所定の第2時間以上継続していない場合(ステップS202でNO)、制御部111は、出力信号の両方が同時に動きを検知したことを示すか否かの判定を繰り返す(ステップS101)。
【0072】
以上のように、第1センサ101および第2センサ102両方で動きが検知され、かつ所定の第1時間以上継続した場合に離床と判定しているので、例えば寝返りを打つなどで手の動きが検知されただけで離床と判定してしまうということがない。また、第1センサ101または第2センサ102のうち少なくとも一方で動きが検知され、かつ所定の第2時間以上継続した場合に離床と判定しているので、例えば第1センサ101および第2センサ102両方で動きが検知されない場合であっても、対象者の離床を見逃すこともない。このように、第1センサ101および第2センサ102両方で動きが検知された場合と、第1センサ101または第2センサ102のうち少なくとも一方で動きが検知された場合とで、動き検知が継続した時間に対する、離床と判定するための閾値を変えているので、的確に対象者の離床を検知することができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、離床センサ100を動作させる電源については図示していないが、例えば乾電池、充電地等の電池で動作させることが可能である。これにより、商用電源を用いる必要もなく、手軽に設置することができ、設置場所の移動等も簡単に行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態では、
図5に示すように検知領域A1および検知領域A2が一部重なって設定されているが、必ずしも重なって設定されている必要はなく、検知領域A1および検知領域A2の間に検知できない領域がないように設定されればよい。
【0075】
また、本実施の形態では、2つの焦電型赤外線センサを用いた例であるが、これに限られるものではない。例えば、3つ以上の焦電型赤外線センサを水平方向に備えた構成とすることも可能である。また、水平方向だけでなく、水平方向および垂直方向に複数の焦電型赤外線センサを備えた構成とすることも可能である。この場合、複数(3つ以上)の焦電型赤外線センサのうち所定数以上の焦電型赤外線センサで動きを検知した場合に離床信号を出力する。また、上記変形例と同様に動き検知が継続した時間を離床の判定に用いても構わない。
【0076】
また、本実施の形態において用いた焦電型赤外線センサは、例えばレンズおよび遮蔽構造等で検知エリアが細分化されて構成されて、出力信号がパルス的に出力される場合もある。このような場合、連続性をもったパルス的な信号は、一連の検知信号とみなすこともできる。
【0077】
(実施の形態2)
実施の形態1では、2つの焦電型赤外線センサを用いているのに対して、本実施の形態2では、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域を有する赤外線受動センサを用いている。
【0078】
図8は、実施の形態2における離床センサ200の構成を示す概略斜視図である。
【0079】
離床センサ200は、対象者が就寝する寝床(ベッド)からの対象者の離床を検知する離床センサであり、
図8に示すようにセンサ201、前面および上面が開口した立方体形状の本体部203、本体部203の前面に取り付けられる前面カバー204、本体部203の上面に取り付けられる上蓋205、センサ201が取り付けられる支持板206、および処理部210を備えている。なお、
図8では、上蓋205を本体部203から上方に開けた状態を示している。
【0080】
センサ201は、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域のそれぞれで、赤外線を検知し、検知した赤外線の変化によって動きを検知する赤外線受動センサであり、センサ素子および回路が一体化されたモジュールである。また、センサ201は、マトリックス状の複数の検知領域それぞれに対して、検知の対象とするか否かを設定することが可能である。すなわち、複数の検知領域のうち所定の検知領域を検知の対象としないことができる。これにより、例えば就寝している状態の対象者が含まれるような検知領域を検知の対象としないことができる。また、センサ201は、支持板206の長手方向中央の位置に取り付けられている。
【0081】
本体部203、上蓋205、および支持板206は、同様に赤外線を透過しない樹脂等で形成している。
【0082】
前面カバー204は、赤外線を透過する樹脂等で形成しており、この前面カバー204部分を透過した赤外線がセンサ201で検知される。
【0083】
次に、処理部210の詳細な構成について説明する。
図9は、実施の形態2における離床センサ200の処理部210の構成を示すブロック図である。
【0084】
処理部210は、
図9に示すように制御部211および通知部212を備えている。
【0085】
制御部211は、センサ201から出力される水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域ごとの出力信号を受け付け、所定数以上の出力信号が各検知領域で動きを検知したことを示す場合に、離床と判定する。ここで、離床とは、実施の形態1と同様に、対象者が寝床(ベッド)の上に起き上がった状態となったことであり、離床直前の動作ということができる。
【0086】
通知部212は、制御部211で離床と判定された場合に、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信する。ここで、通知部212は、離床信号を有線通信または無線通信のどちらで送信してもよい。また、通知部212は、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して介護者の例えばスマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末に離床信号を送信してもよい。
【0087】
次に、上記のように構成された離床センサ200の使用例について説明する。
【0088】
離床センサ200の設置については、実施の形態1の
図4に示す離床センサ100と同様に設置される。
【0089】
次に、上記のように設置された離床センサ200の検知領域について説明する。
図10は、実施の形態2における離床センサの検知領域を説明する図である。ここで、
図10は、離床センサ200を設置している側から寝床(ベッド)12を見た図である。
【0090】
離床センサ200の検知領域Aの高さ方向の範囲には、
図10に示すように対象者11が寝床(ベッド)12の上に起き上がった状態13で対象者11の頭から背中程度が含まれる。ここで、検知領域Aは、センサ201が検知することが可能な領域(検知可能領域:例えば64個の検知領域Bより構成)のうち、検知の対象として設定した複数の検知領域Bにより構成される検知設定領域である。すなわち、検知領域Aは、
図10に示すように水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域B(
図10の例では検知の対象として設定した32個の検知領域)により構成される。このように構成された検知領域Aに含まれる複数の検知領域Bのうち、所定数以上(例えば6個の検知領域以上)の検知領域Bにおいて対象者11の動きが検知されると、制御部211は離床と判定する。
【0091】
例えば、
図10に示すように対象者11が寝床(ベッド)12の上に起き上がった状態13となれば、12個の検知領域Bにおいて対象者11の動きが検知される。よって、この場合、制御部211において離床と判定されることになる。一方、例えば、対象者11が寝返りを打つことにより手等が2個の検知領域Bに入った場合、所定数未満の検知領域Bでしか動きが検知されないので、制御部211において離床とは判定されないことになる。
【0092】
次に、上記のように構成された離床センサ200が対象者の離床を検知する際の動作について説明する。
図11は、実施の形態2における離床センサ200が対象者の離床を検知する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【0093】
センサ201が検知領域Aを対象に、複数の検知領域Bのそれぞれで赤外線を検知する。ここでも、実施の形態1と同様に、センサ201からの出力信号を検知する方法としては、周期的にポーリング(出力信号の読み出し動作)を行う方法と、検知イベント(出力信号のON信号を受信)を受けての判定処理を開始する方法とがある。なお、この出力信号を検知する方法は、どちらの方法を用いても構わないので、本実施の形態でも、判定処理以降の動作について説明する。
【0094】
制御部211は、センサ201から出力される出力信号が所定数以上(例えば6個の検知領域以上)の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示すか否かを判定する(ステップS301)。この判定の結果、出力信号が所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示す場合(ステップS301でYES)、制御部211は、離床と判定する(ステップS302)。次に、通知部212は、制御部211で離床と判定されると、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信する。(ステップS303)。一方、出力信号が所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示さない場合(ステップS301でNO)、制御部211は、出力信号が所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示すか否かの判定を繰り返す(ステップS301)。
【0095】
以上のように、水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域のうち、所定数以上の検知領域において対象者11の動きが検知されると離床と判定し、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信している。これにより、簡単な構成で、迅速かつ的確に対象者の離床を検知することができる。
【0096】
(変形例)
次に、対象者の離床を検知する際の動作の変形例について説明する。
【0097】
本変形例では、制御部211は、センサ201から出力される水平方向および垂直方向に並んだマトリックス状の複数の検知領域ごとの出力信号を受け付け、第1の所定数以上の出力信号が各検知領域で動きを検知したことを示す時間が所定の第1時間以上である場合に、離床と判定する。また、制御部211は、第2の所定数以上の出力信号が各検知領域で動きを検知したことを示す時間が所定の第2時間以上である場合に、離床と判定する。
【0098】
本変形例における離床センサ200が対象者の離床を検知する際の動作について説明する。
図12は、実施の形態2の変形例における離床センサ200が対象者の離床を検知する際の動作の流れを示すフローチャートである。なお、実施の形態2と同様の動作については同じ符号を付している。
【0099】
制御部211は、センサ201から出力される出力信号が第1の所定数以上(例えば6個の検知領域以上)の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示すか否かを判定する(ステップS401)。この判定の結果、出力信号が第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示す場合(ステップS401でYES)、制御部211は、第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動き検知時間が所定の第1時間以上継続したか否かを判定する(ステップS402)。この判定の結果、所定の第1時間以上継続した場合(ステップS402でYES)、制御部211は、離床と判定する(ステップS302)。
【0100】
一方、出力信号が第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示さない場合(ステップS401でNO)、および、第1の所定数以上の検知領域Bにおいて所定の第1時間以上継続していない場合(ステップS402でNO)、制御部211は、第2の所定数以上の検知領域Bにおける動き検知時間が所定の第2時間以上継続したか否かを判定する(ステップS403)。ここで、第2の所定数は第1の所定数より小さい。この判定の結果、動き検知時間が所定の第2時間以上継続した場合(ステップS403でYES)、制御部211は、離床と判定する(ステップS302)。
【0101】
なお、出力信号が第2の所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示した後、出力信号が第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示した場合、
図12に示すフローチャートには表していないが、第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動き検知時間が所定の第1時間以上継続したか否かを判定することができる。この場合、第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動き検知時間が所定の第1時間以上継続した時点で、離床と判定することができる。
【0102】
次に、通知部212は、制御部211で離床と判定されると、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信する(ステップS303)。
【0103】
一方、動き検知時間が所定の第2時間以上継続していない場合(ステップS403でNO)、制御部211は、出力信号が第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きを検知したことを示すか否かの判定を繰り返す(ステップS401)。
【0104】
以上のように、第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きが検知され、かつ所定の第1時間以上継続した場合に離床と判定しているので、例えば寝返りを打つなどで手の動きが検知されただけで離床と判定してしまうということがない。また、第2の所定数以上の検知領域Bにおいて動きが検知され、かつ所定の第2時間以上継続した場合に離床と判定しているので、例えば第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きが検知されない場合であっても、対象者の離床を見逃すこともない。このように、第1の所定数以上の検知領域Bにおいて動きが検知された場合と、第2の所定数以上の検知領域Bにおいて動きが検知された場合とで、動き検知が継続した時間に対する、離床と判定するための閾値を変えているので、的確に対象者の離床を検知することができる。
【0105】
なお、本変形例では、第1の所定数、所定の第1時間、第2の所定数、および所定の第2時間を離床の判定のために用いているが、これに限られるものではない。例えば、これらに加えて、第3の所定数および所定の第3時間を用いて離床の判定を行う等、判定を細分化しても構わない。
【0106】
また、本実施の形態では、動きが検知された検知領域の位置については考慮していないが、考慮することも可能である。例えば、複数の検知領域のうち、中央部分に位置する検知領域を両端部分に位置する検知領域よりも重視しても構わない。この場合、第1の所定数以上の検知領域における動き検知の判定条件(ステップS401)を、中央部分に位置する検知領域で動きが検知された場合には第1の所定数を少なく(例えば4)し、両端部分に位置する検知領域で動きが検知された場合には第1の所定数を多く(例えば8)することができる。また、検知領域に対して重み付けを行い、中央部分に位置する検知領域には高く(例えば1)重み付けし、両端部分に位置する検知領域には低く(例えば0.5)重み付けしても構わない。さらに、両端に位置する検知領域から中央に位置する検知領域になるにしたがって、徐々に高く重み付けしても構わない。
【0107】
また、本実施の形態の変形例において、動きが検知された検知領域の位置に応じて、第1時間および第2時間の少なくとも1つを変更しても構わない。例えば、中央部分に位置する検知領域において動きが検知された後、両端部分に位置する検知領域において動きが検知された場合、第1時間を短く変更することができる。また、例えば、両端部分に位置する検知領域において動きが検知された後、中央部分に位置する検知領域において動きが検知された場合、第1時間を長く変更すること、または離床との判定から除外することもできる。
【0108】
また、本実施の形態において、センサ201として、赤外線を検知することで温度を計測し、計測した温度の変化によって動きを検知する赤外線受動センサを用いることもできる。この場合、動き検知に加えて、検知領域ごとに計測された温度を離床の判定に用いても構わない。例えば、動きが検知された検知領域の温度が所定の範囲内(例えば34〜40度)に含まれる場合に、離床と判定することができる。
【0109】
また、本実施の形態では、第1の所定数以上の検知領域における動き検知を判定条件(ステップS401)としているが、これに限られるものではない。例えば、所定の比率以上の動き検知(動き検知領域/全検知領域)を判定条件としても構わない。
【0110】
また、実施の形態1および2において、離床センサ100、200は、
図4に示すように対象者11が就寝する寝床(ベッド)12の上端(対象者11の頭部側)または上端から少し離れた位置に設置されるとしているが、これに限られるものではない。例えば、対象者11が就寝する寝床(ベッド)12の下端(対象者11の足元側)または下端から少し離れた位置に設置されてもよい。
【0111】
また、実施の形態1および2において、離床センサ100、200は、離床と判定すると、例えば、監視センター等の外部機器に離床信号を送信するとしているが、これに限られるものではない。例えば、外部機器に離床信号を送信せずに、音または光等のアラームを発生させても構わない。
【0112】
以上、一つまたは複数の態様に係る離床センサについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。