(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状の長尺部材を、長さ方向に延在する谷が形成されるように前記保護層を外側に向けて折り曲げた形状を有し、壁の出隅を覆うように設置されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の衝撃緩衝建装材。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の衝撃緩衝建装材について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、衝撃緩衝建装材の各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
「第1実施形態」
図1は、本発明の衝撃緩衝建装材の一例を壁に取り付けた状態を説明するための概略断面図である。
図1において符号10は衝撃緩衝建装材を示し、符号20は壁を示している。
図1に示す衝撃緩衝建装材10の取り付けられている壁20は、住宅の室内に設けられているものである。壁20は、木材などからなる柱24と、柱24に固定された石膏ボード23と、石膏ボード23の表面に貼り付けられたクロス22とを有している。
図1に示す壁20には、出隅20a(コーナー部)が形成されている。
【0018】
図1に示す衝撃緩衝建装材10は、発泡樹脂からなる衝撃吸収層1と、衝撃吸収層1の一方の面(外側の面)に配置された半硬質樹脂または硬質樹脂からなる保護層2と、衝撃吸収層1の他方の面(内側の面)に配置された硬質樹脂からなる補強層3とを有している。
図1に示す衝撃緩衝建装材10は、補強層3と衝撃吸収層1と保護層2とが共押出成形されてなるものである。
図1に示すように、衝撃吸収層1は、補強層3と保護層2とに囲まれた領域内を埋めるように形成されている。
【0019】
衝撃緩衝建装材10は、
図1に示すように、壁20の出隅20aを覆うように設置されている。
衝撃緩衝建装材10は、板状の長尺部材を、長さ方向に延在する谷5が形成されるように保護層2を外側に向けて折り曲げた形状を有している。
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、谷5が幅方向の略中心の位置に形成されている。したがって、谷5から幅方向の各縁部11、12までの距離が同じとなっている。衝撃緩衝建装材10の長さや幅は、衝撃緩衝建装材10の設置される場所の条件や、衝撃緩衝建装材10を設置する主な目的などに応じて適宜決定できる。
【0020】
図1に示す衝撃緩衝建装材10の幅方向の縁部11、12は、衝撃吸収層1の厚み寸法が、徐々に小さくなっていることにより、外側が断面視円弧状の傾斜面となっている。その結果、衝撃緩衝建装材10の幅方向の縁部11、12が、衝撃吸収層1の保護層2と反対側の面(内側の面)に垂直である場合と比較して、以下に示す効果が得られる。すなわち、衝撃緩衝建装材10に物体がぶつかった場合の衝撃緩衝建装材10から物体への衝撃を緩和できる。また、壁20から張り出して設置されている衝撃緩衝建装材10が邪魔になることを防止できる。さらに、良好な外観が得られる。
【0021】
また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10は、谷5と反対側の面が、断面視円弧状の形状とされている。このため、例えば、谷5と反対側の面が、断面視直角の形状である場合と比較して、壁20の出隅20a(コーナー部)に設置された衝撃緩衝建装材10に物体がぶつかった場合に、衝撃緩衝建装材10から物体への衝撃をより効果的に緩和できる。
【0022】
衝撃吸収層1は、デュロメータ硬さ(JIS K7215)がA80以下であって、発泡倍率が1.5〜4倍である発泡樹脂からなるものである。衝撃吸収層1は、デュロメータ硬さと発泡樹脂の発泡倍率とが上記範囲であるので、弾性に優れている。このため、衝撃緩衝建装材10の取り付けられた壁20に物体がぶつかった場合、壁20から物体への衝撃を十分に緩和できる。より一層、衝撃緩衝建装材10の衝撃緩衝機能を向上させるためには、衝撃吸収層1のデュロメータ硬さは、A30〜A60であることがより好ましく、発泡樹脂の発泡倍率は、2〜3倍であることがより好ましい。
【0023】
衝撃吸収層1に使用する材料としては、デュロメータ硬さと発泡樹脂の発泡倍率とが上記範囲であればよく、特に限定されない。例えば、衝撃吸収層1に使用する材料として、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、軟質塩化ビニル樹脂などの樹脂100重量部に、熱膨張性マイクロバルーンが1〜10重量部混入されたものなどを用いることができる。
【0024】
衝撃吸収層1の厚みは、1〜30mmであることが好ましい。衝撃吸収層1の厚みが1mm以上であると、衝撃緩衝建装材10として十分な衝撃緩衝機能が得られる。より一層、衝撃緩衝建装材10の衝撃緩衝機能を向上させるためには、衝撃吸収層1の厚みを3mm以上とすることがより好ましい。また、衝撃吸収層1の厚みが30mm以下であると、壁20からの衝撃緩衝建装材10の張り出し寸法が大きくなりすぎて、邪魔になることを防止でき、好ましい。
【0025】
保護層2は、デュロメータ硬さ(JIS K7215)がD30〜D100であって、厚みが0.3〜1.5mmである半硬質樹脂または硬質樹脂からなるものである。保護層2のデュロメータ硬さをD30以上とし、厚みを0.3mm以上とすることで、保護層2の表面に窪みや疵、欠けが発生することを十分に防止でき、優れた耐久性が得られる。より一層、衝撃緩衝建装材10の耐久性を向上させるためには、保護層2のデュロメータ硬さはD50以上とすることがより好ましく、厚みは0.5mm以上とすることがより好ましい。
【0026】
また、保護層2のデュロメータ硬さをD100以下とし、厚みを1.5mm以下とすることで、衝撃緩衝建装材10が衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合、保護層2が衝撃に伴う衝撃吸収層1の変形に追随して撓み、衝撃吸収層1とともに衝撃を吸収するものとなる。衝撃吸収層1の変形に対する保護層2の追随性をより向上させて、衝撃緩衝建装材10の衝撃緩衝機能を向上させるためには、保護層2のデュロメータ硬さをD80以下とし、厚みを1mm以下とすることがより好ましい。
【0027】
保護層2の材料としては、デュロメータ硬さと厚みが上記範囲であればよく、特に限定されない。例えば、保護層2に使用する材料として、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂(半硬質も含む)、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合樹脂)、ASA(アクリロニトリルスチレンアクリレート)樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが使用可能である。
【0028】
保護層2の材料として使用できる上述した樹脂は、上述した衝撃吸収層1に使用する材料との密着性が高い樹脂であるため、好ましい。保護層2と衝撃吸収層1との密着性が優れていると、衝撃吸収層1の変形に対する保護層2の追随性が向上するため、衝撃緩衝建装材10の衝撃緩衝機能が向上する。また、保護層2と衝撃吸収層1との密着性が優れていると、耐久性が向上する。
【0029】
補強層3は、デュロメータ硬さ(JIS K7215)がD50〜D100であり、厚みが0.5mm以上である硬質樹脂からなるものである。補強層3のデュロメータ硬さをD50以上とし、厚みを0.5mm以上とすることで、衝撃緩衝建装材10が衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10の下層に配置されている壁20の破損を防止できる。より一層効果的に、衝撃緩衝建装材10の下層に配置されている壁20の破損を防止するためには、補強層3のデュロメータ硬さはD70以上とすることがより好ましく、厚みは2mm以上とすることがより好ましい。補強層3の厚みは、壁20からの衝撃緩衝建装材10の張り出し寸法が大きくなりすぎないように、5mm以下とすることがより好ましい。また、補強層3のデュロメータ硬さをD100以下とすることで、補強層3の材料の選択肢を増やすことができる。
【0030】
補強層3の材料としては、デュロメータ硬さと厚みが上記範囲であればよく、特に限定されない。例えば、補強層3に使用する材料として、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、アクリル樹脂などが使用可能である。また、補強層3の材料として使用できるこれらの樹脂は、上述した衝撃吸収層1に使用する材料との密着性の高い樹脂であるため、好ましい。補強層3と衝撃吸収層1との密着性が優れていると、衝撃緩衝建装材10の耐久性が向上する。
補強層3の材料は、保護層2の材料と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0031】
また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10は、補強層3と衝撃吸収層1と保護層2とが共押出成形されて一体化されているものである。このため、補強層3と衝撃吸収層1との密着性および、保護層2と衝撃吸収層1との密着性に優れたものとなる。このため、衝撃緩衝建装材10は、優れた耐久性を有している。
【0032】
図1に示す衝撃緩衝建装材10を製造する際に、補強層3と衝撃吸収層1と保護層2とを共押出成形する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。また、共押出成形する条件は、各層の材料や厚みに応じて適宜決定できる。
【0033】
また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10の設置方法としては、如何なる方法を用いてもよい。例えば、ビス(ねじ)などを用いて壁20の表面に衝撃緩衝建装材10を固定してもよい。また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10は樹脂からなるものであり、軽量であるので、壁20の表面に接着する方法や、両面テープを用いる方法などを用いて容易に設置できる。衝撃緩衝建装材10を壁20の表面に接着した場合、保護層2の表面にビスなどの接合部材が露出することがなく、良好な外観が得られるため、好ましい。
さらに、衝撃緩衝建装材10の保護層2の表面には、必要に応じて着色を施したり、印刷を行ったりしてもよい。このことによって、例えば、衝撃緩衝建装材10に衝突しないように注意を喚起したり、外観を向上させたりすることができる。
【0034】
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合、衝撃吸収層1とともに、衝撃吸収層1の変形に追随して保護層2が変形する。したがって、衝撃吸収層1と保護層2とによって、衝撃が吸収される。より詳細には、衝撃吸収層1の保護層2側から受けた衝撃は、衝撃吸収層1と比較して硬度の高い保護層2によって面方向に分散されながら、衝撃吸収層1の厚み方向に伝達される。このことにより、
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、衝撃吸収層1の一部に衝撃による応力が集中しにくいものとなり、衝撃吸収層1による衝撃吸収能力を効率よく利用できる。このような、衝撃吸収層1と保護層2との相乗効果により、
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、優れた衝撃緩衝機能が得られる。その結果、
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、例えば、衝撃緩衝建装材10の取り付けられた壁20に、転倒などにより人がぶつかった場合に、壁20から人への衝撃を十分に緩和できる。
【0035】
また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、保護層2によって衝撃が面方向に分散されるので、衝撃により衝撃吸収層1の一部に回復不能な深い窪みが形成されることが防止される。したがって、衝撃緩衝建装材10は、衝撃を受けた後の表面に窪みが形成されにくいものとなる。また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10は、衝撃吸収層1の保護層2側から受けた衝撃を吸収した後、硬度の高い保護層2の衝撃に対する反力により、保護層2側の表面形状が、元の形状に復元されやすいものとなる。しかも、保護層2は、十分に高い硬度を有するものであるので、衝撃吸収層1のみからなるものと比較して、疵や欠けが形成されにくい。よって、
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、耐久性に優れ、良好な外観を長期にわたって維持できる。
【0036】
また、
図1に示す衝撃緩衝建装材10は、補強層3を有するものであるので、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けて、保護層2および衝撃吸収層1で吸収されなかった衝撃が、補強層3に到達した場合に、衝撃緩衝建装材10の下層に配置されている壁20の構造が破損されることを防止できる。したがって、
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、例えば、衝撃緩衝建装材10の取り付けられた壁20に、車椅子などの硬い物体がぶつかった場合にも、壁20の破損を防止できる。
【0037】
「第2実施形態」
図2は、本発明の衝撃緩衝建装材の他の例を壁に取り付けた状態を説明するための概略断面図である。
図2において、
図1に示す第1実施形態と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
図2において符号10aは衝撃緩衝建装材を示し、符号21は壁を示している。
【0038】
図2に示す衝撃緩衝建装材10aの取り付けられている壁21は、住宅の室内に設けられているものである。壁21は、木材などからなる柱24と、柱24に固定された石膏ボード23と、石膏ボード23の表面に貼り付けられたクロス22とを有している。
図2に示す壁21においても、出隅20a(コーナー部)が形成されている。しかし、
図2に示す壁21では、
図1に示す壁20と異なり、出隅20aに設置されていた石膏ボード23に代えて、衝撃緩衝建装材10aが配置されている。
【0039】
図2に示す衝撃緩衝建装材10aは、壁21の出隅20aを覆うように設置されている。
図2に示す衝撃緩衝建装材10aの幅方向の縁部11a、12aは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と異なり、衝撃吸収層1の保護層2と反対側の面(内側の面)に略垂直となっている。そして、衝撃緩衝建装材10aの幅方向の各縁部11a、12aが、それぞれ石膏ボード23の側面と対向して配置されている。また、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aの厚みは、石膏ボード23の厚みと略同一とされている。その結果、石膏ボード23の外側の表面と、衝撃緩衝建装材10aの保護層2側の面とが、略同一平面上に配置されている。このことにより、
図2に示す壁21では、石膏ボード23の外側の表面から連続して、衝撃緩衝建装材10aの保護層2側の面上に、クロス22が貼られている。すなわち、衝撃緩衝建装材10aを構成する保護層2は、クロス貼り下地として機能している。
【0040】
図2に示す壁21では、壁21の内部に衝撃緩衝建装材10aが設置されたものとなっている。よって、
図2に示す壁21では、衝撃緩衝建装材10aを壁21の外に向かって張り出させることなく、衝撃緩衝建装材10aを設置することによる効果が得られる。したがって、
図2に示す壁21では、衝撃緩衝建装材10aが邪魔になることはないし、衝撃緩衝建装材10aが壁21の外観に影響を与えることはない。
【0041】
また、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aの設置方法としては、如何なる方法を用いてもよい。例えば、ビスなどを用いて壁21の表面に衝撃緩衝建装材10aを固定してもよい。なお、
図2に示す壁21では、壁21の内部に衝撃緩衝建装材10aが設置されているので、衝撃緩衝建装材10aの保護層2の表面にビス(ねじ)などの接合部材が露出しても、外観に影響を与えることはない。
【0042】
図2に示す衝撃緩衝建装材10aは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1と、衝撃吸収層1の一方の面(外側の面)に配置された保護層2と、衝撃吸収層1の他方の面(内側の面)に配置された補強層3とを有している。また、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、補強層3と衝撃吸収層1と保護層2とが共押出成形されてなるものである。
【0043】
したがって、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aにおいても、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃吸収層1の一部に衝撃による応力が集中しにくく、衝撃吸収層1による衝撃吸収能力を効率よく利用できる。よって、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aにおいても、例えば、衝撃緩衝建装材10aの取り付けられた壁21に、転倒などにより人がぶつかった場合に、壁21から人への衝撃を十分に緩和できる。
【0044】
また、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃を受けた後の表面に窪みが形成されにくいものとなる。また、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1の保護層2側から受けた衝撃を吸収した後、硬度の高い保護層2の衝撃に対する反力により、保護層2側の表面形状が、元の形状に復元されやすいものとなる。したがって、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aは、良好な外観を長期にわたって維持できるものとなる。
【0045】
また、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、補強層3を有するものであるので、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10aの下層に配置されている壁21の構造の破損を効果的に防止できる。
【0046】
「第3実施形態」
図3は、本発明の衝撃緩衝建装材の他の例を壁に取り付けた状態を説明するための概略断面図である。
図3において、
図1に示す第1実施形態と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
図3において符号10bは衝撃緩衝建装材を示し、符号27は壁を示している。
【0047】
図3に示す衝撃緩衝建装材10bの取り付けられている壁27は、住宅の室内に設けられているものである。壁27は、木材などからなる下地材25と、下地材25に固定された石膏ボード23と、石膏ボード23の表面に貼り付けられたクロス22とを有している。また、壁27には、サッシ26が取り付けられている。
図3に示す壁27においても、出隅20a(コーナー部)が形成されている。
【0048】
図3に示す衝撃緩衝建装材10bは、壁27の出隅20aを覆うように設置されている。衝撃緩衝建装材10bは、
図3に示すように、下地材25および石膏ボード23に取り付けられている。衝撃緩衝建装材10bには、
図3に示すように、サッシ26のフランジ(アングル)が取り付けられている。衝撃緩衝建装材10bは、窓枠として機能している。
【0049】
図3に示す衝撃緩衝建装材10bは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、板状の長尺部材を、長さ方向に延在する谷5が形成されるように保護層2を外側に向けて折り曲げた形状を有している。
図1に示す衝撃緩衝建装材10では、衝撃緩衝建装材10の谷5と幅方向の両縁部との距離が略同じとなっている。しかし、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bでは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と異なり、衝撃緩衝建装材10bの谷5と一方の縁部12bとの距離L1と、谷5と他方の縁部11bとの距離L2とが異なっている。
【0050】
また、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bは、幅方向の縁部11b、12bが、衝撃吸収層1の保護層2と反対側の面(内側の面)に略垂直となっている。そして、衝撃緩衝建装材10bの幅方向のサッシ26側の縁部12bは、外壁(図示略)と対向して配置されている。
【0051】
図3に示す衝撃緩衝建装材10bは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1と、衝撃吸収層1の一方の面(外側の面)に配置された保護層2と、衝撃吸収層1の他方の面(内側の面)に配置された補強層3とを有している。また、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bは、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、補強層3と衝撃吸収層1と保護層2とが共押出成形されてなるものである。
【0052】
したがって、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bにおいても、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃吸収層1の一部に衝撃による応力が集中しにくく、衝撃吸収層1による衝撃吸収能力を効率よく利用できる。よって、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bにおいても、例えば、衝撃緩衝建装材10bの取り付けられた壁27に、転倒などにより人がぶつかった場合に、壁27から人への衝撃を十分に緩和できる。
【0053】
また、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃を受けた後の表面に窪みが形成されにくいものとなる。また、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1の保護層2側から受けた衝撃を吸収した後、硬度の高い保護層2の衝撃に対する反力により、保護層2側の表面形状が、元の形状に復元されやすいものとなる。しかも、保護層2は、十分に高い硬度を有するものであるので、衝撃吸収層1のみからなるものと比較して、疵や欠けが形成されにくい。したがって、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bは、良好な外観を長期にわたって維持できるものとなる。
【0054】
また、
図3に示す衝撃緩衝建装材10bも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、補強層3を有するものであるので、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10bの下層に配置されている壁27の構造の破損を効果的に防止できる。
【0055】
「他の例」
本発明の衝撃緩衝建装材は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、
図4(a)〜
図4(f)に示す衝撃緩衝建装材であってもよい。
図4(a)は、本発明の衝撃緩衝建装材の他の例を説明するための模式図である。
図4(a)に示す衝撃緩衝建装材10cが、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と異なるところは、衝撃緩衝建装材10cの谷51に、断面視円弧状で長さ方向に延びる溝が形成されているところのみである。
【0056】
衝撃緩衝建装材10cを設置しようとする壁の出隅(コーナー部)には、物体が衝突して変形したことなどによって、凹凸が形成されている場合がある。このような出隅を覆うように衝撃緩衝建装材10cを設置すると、出隅に存在する凹凸によって、衝撃緩衝建装材10cと壁とを密着させることができない場合がある。
【0057】
衝撃緩衝建装材10cを壁に密着させて設置しないと、衝撃緩衝建装材10bの吸収した衝撃吸収層1の保護層2側からの衝撃による応力が、壁の一部に集中してしまう恐れがある。このため、衝撃緩衝建装材10cによる壁の構造の破損を防止する機能が、十分に得られない恐れがある。
また、衝撃緩衝建装材10cを壁に密着させて設置しないと、衝撃緩衝建装材10cが歪んで取り付けられて、外観が低下する場合がある。また、衝撃緩衝建装材10cを壁に密着させて設置しないと、衝撃緩衝建装材10cと壁との接合力が十分に得られず、衝撃緩衝建装材10cが壁から外れやすくなる場合がある。
【0058】
図4(a)に示す衝撃緩衝建装材10cは、谷51に断面視円弧状で長さ方向に延びる溝が形成されているので、壁の出隅に凹凸が存在していても、出隅を覆うように衝撃緩衝建装材10cを設置した場合、出隅の凹凸が谷51に形成した溝に入り込む。したがって、衝撃緩衝建装材10cを壁に密着させて取り付けることができる。よって、衝撃緩衝建装材10cは、出隅に凹凸が存在している壁に取り付けられた場合であっても、壁の構造の破損を効果的に防止できる。また、衝撃緩衝建装材10cが歪んで取り付けられることや、衝撃緩衝建装材10cと壁との接合力が不十分となることも防止できる。
【0059】
また、上述した実施形態では、補強層と衝撃吸収層と保護層とを有するものを例に挙げて説明したが、本発明の衝撃緩衝建装材においては、
図4(b)に示すように、補強層が設けられていなくてもよい。
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dは、衝撃吸収層1と、衝撃吸収層1の一方の面(外側の面)に配置された保護層2とを有している。また、
図4(b)衝撃緩衝建装材10dは、衝撃吸収層1と保護層2とが共押出成形されてなるものである。
【0060】
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dにおいても、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃吸収層1の一部に衝撃による応力が集中しにくく、衝撃吸収層1による衝撃吸収能力を効率よく利用できる。よって、
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dにおいても、例えば、衝撃緩衝建装材10dの取り付けられた壁に、転倒などにより人がぶつかった場合に、壁から人への衝撃を十分に緩和できる。
【0061】
また、
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃を受けた後の表面に窪みが形成されにくいものとなる。また、
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dも、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様に、衝撃吸収層1の保護層2側から受けた衝撃を吸収した後、硬度の高い保護層2の衝撃に対する反力により、保護層2側の表面形状が、元の形状に復元されやすいものとなる。しかも、保護層2は、十分に高い硬度を有するものであるので、衝撃吸収層1のみからなるものと比較して、疵や欠けが形成されにくい。したがって、
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dは、良好な外観を長期にわたって維持できるものとなる。
【0062】
また、本発明の衝撃緩衝建装材は、
図4(c)に示すように、衝撃吸収層1aと保護層2aと補強部材4とを有するものであってもよい。
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eは、衝撃吸収層1aと、衝撃吸収層1aの一方の面(外側の面)に配置された保護層2aとを有し、衝撃吸収層1aと保護層2aとが共押出成形されてなるカバー部材13を有するものである。
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eにおける衝撃吸収層1aおよび保護層2aは、補強部材4にカバー部材13を取り付ける際の受け部材としての形状以外は、
図4(b)に示す衝撃緩衝建装材10dと同じものである。
【0063】
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eにおける衝撃吸収層1aでは、幅方向の縁部に沿って、保護層2aと反対側の面(内側の面)に、後述する補強部材4の係合部4aを収容するための溝1b、1bが設けられている。
図4(d)は、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eの一部を示した拡大図模式図である。溝1b、1bは、カバー部材13を形成する際に用いる金型の形状を所定の形状とすることにより、形成されたものである。
【0064】
また、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eの保護層2aは、衝撃吸収層1aの外側の面から衝撃吸収層1aの内側の面の一部まで、連続して形成されている。また、衝撃吸収層1aの内側の面に形成されている保護層2aは、
図4(d)に示すように、衝撃吸収層1aの溝1b、1b内で衝撃吸収層1aの内側の面から延在して終端し、突起2b、2bを形成している。突起2b、2bは、カバー部材13を形成する際に用いる金型の形状を所定の形状とすることにより、形成されたものである。
【0065】
そして、衝撃緩衝建装材10eにおいては、
図4(c)および
図4(d)に示すように、衝撃吸収層1aに設けられた溝1b、1bと、保護層2aの一部からなる突起2b、2bとが、後述する補強部材4の係合部4aが着脱自在にはめ込まれる受け部材として機能するものとなっている。溝1b、1bおよび突起2b、2bは、衝撃緩衝建装材10eの長さ方向全長に渡って連続して形成されていてもよいし、長さ方向の一部にのみ断続的に形成されていてもよい。
【0066】
補強部材4の幅方向中央部は、衝撃吸収層1aの内側の形状に沿う形状を有している。補強部材4の幅方向の縁部には、
図4(d)に示すように、断面視で衝撃吸収層1aに向かって立設され、端部が外側に向かって伸びる係合部4a、4aが設けられている。係合部4a、4aは、溝1b、1bおよび突起2b、2bと対向して配置される位置に設けられている。係合部4a、4aは、溝1b、1bおよび突起2b、2bと対向して配置される位置の一部にのみ形成されていてもよいし、溝1b、1bおよび突起2b、2bと対向して配置される位置の全長に亘って形成されていてもよい。また、補強部材4には、必要に応じて、補強部材4を壁に取り付ける際に使用可能な穴が設けられていてもよい。
【0067】
補強部材4は、デュロメータ硬さ(JIS K7215)がD50〜D100であり、厚み(係合部の形成されていない領域の厚み)が0.5mm以上である硬質樹脂からなるものである。補強部材4のデュロメータ硬さをD50以上とし、厚みを0.5mm以上とすることで、衝撃吸収層1の保護層2側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10eの下層に配置されている壁の破損を防止できる。より一層、衝撃緩衝建装材10eの下層に配置されている壁の破損を防止する保護機能を向上させるためには、補強部材4のデュロメータ硬さはD70以上とすることがより好ましく、厚みは2mm以上とすることがより好ましい。補強部材4の厚みは、壁からの衝撃緩衝建装材10eの張り出し寸法が大きくなりすぎないように、5mm以下とすることがより好ましい。また、補強部材4のデュロメータ硬さをD100以下とすることで、補強部材4の材料の選択肢を増やすことができる。
【0068】
補強部材4の材料としては、デュロメータ硬さと厚みが上記範囲であればよく、特に限定されない。例えば、補強部材4に使用する材料として、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、アクリル樹脂などが使用可能である。
補強部材4の材料は、保護層2aの材料と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
補強部材4は、従来公知の押出成形により、形成できる。
【0069】
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eを形成するには、まず、衝撃吸収層1aと保護層2aとを共押出成形することにより、これらが一体化されてなるカバー部材13を形成する。その後、
図4(c)および
図4(d)に示すように、補強部材4に、カバー部材13の保護層2aと反対側の面を対向させて、衝撃吸収層1aに設けられた溝1b、1bと、保護層2aの一部からなる突起2b、2bとからなる受け部材に、補強部材4の係合部4a、4aをはめ込むことにより、カバー部材13を補強部材4に取り付ける。このことによって
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eが得られる。
【0070】
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eを壁に設置する方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法を用いることができる。
まず、衝撃緩衝建装材10eの取り付け位置に補強部材4を固定する。補強部材4の固定方法としては、特に限定されないが、ビスなどを用いて固定することが好ましい。なお、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eでは、補強部材4の外側全面が保護層2aおよび衝撃吸収層1aに覆われることになるので、補強部材4の外側にビスなどの接合部材が露出しても、外観に影響を与えることはない。
その後、
図4(c)および
図4(d)に示すように、補強部材4の係合部4a、4aを、衝撃吸収層1aと保護層2aとが一体化されてなるカバー部材13の受け部材にはめ込むことにより、衝撃緩衝建装材10eを壁に設置できる。
【0071】
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eは、補強部材4を有しているので、衝撃吸収層1aの保護層2a側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10eの下層に配置されている壁の構造が破損されることを効果的に防止できる。
また、補強部材4に、衝撃吸収層1aと保護層2aとが一体化されてなるカバー部材13が着脱自在に取り付けられているので、衝撃緩衝建装材10eの取り付け位置に補強部材4を固定してから、カバー部材13を取り付ける方法を用いて、衝撃緩衝建装材10eを壁に確実かつ容易に優れた外観で設置できる。また、補強部材4に、衝撃吸収層1aと保護層2aとが一体化されてなるカバー部材13が着脱自在に取り付けられているので、カバー部材13が劣化した場合には、カバー部材13を交換することができる。
【0072】
また、本発明の衝撃緩衝建装材は、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eにおけるカバー部材13に代えて、
図4(e)に示すように衝撃吸収層1aと保護層2cと補強層3aとを含むカバー部材14を用いたものであってもよい。
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fは、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eと同じ補強部材4を有している。
また、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fの衝撃吸収層1aは、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eと同じものである。また、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fにおける保護層2cは、
図1に示す保護層2と同じものである。
【0073】
また、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fの補強層3aは、補強部材4にカバー部材14を取り付ける際の受け部材としての形状以外は、
図1に示す補強層3と同じものである。
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fの補強層3aは、衝撃吸収層1aの内側の面全面に形成されている。
図4(f)は、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fの一部を示した拡大図模式図である。補強層3aは、
図4(e)および
図4(f)に示すように、衝撃吸収層1aの溝1b、1b内に形成された突起3b、3bを有している。なお、
図4(e)および
図4(f)に示す突起3b、3bの形状は、
図4(c)および
図4(d)に示す保護層2aの一部からなる突起2b、2bと同様である。突起3b、3bは、カバー部材14を形成する際に用いる金型の形状を所定の形状とすることにより、形成されたものである。
【0074】
そして、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fにおいては、
図4(f)に示すように、衝撃吸収層1aに設けられた溝1b、1bと、補強層3aの一部からなる突起3b、3bとが、補強部材4の係合部4aが着脱自在にはめ込まれる受け部材として機能するものとなっている。
【0075】
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fのカバー部材14は、
図1に示す衝撃緩衝建装材10と同様にして形成できる。また、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fは、カバー部材14と補強部材4とを用いて、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eと同様にして形成できる。また、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fは、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eと同様にして壁に設置できる。
【0076】
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fは、補強部材4を有しているので、
図4(c)に示す衝撃緩衝建装材10eと同様の効果が得られる。
しかも、
図4(e)に示す衝撃緩衝建装材10fは、衝撃吸収層1aと保護層2cと補強層3aとを含むカバー部材14を用いているので、衝撃吸収層1aの保護層2c側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10fの下層に配置されている壁の構造が破損されることを、より効果的に防止できる。
【0077】
図6は、本発明の衝撃緩衝建装材の他の例を壁に取り付けた状態を説明するための模式図である。
図6に示す衝撃緩衝建装材10gを構成する保護層52は、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aを構成する保護層2と同様に、クロス貼り下地としての機能を有するものである。また、
図6に示す衝撃緩衝建装材10gは、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aと同様に、補強層35と衝撃吸収層15と保護層52とが共押出成形されてなるものである。また、
図6に示すように、衝撃緩衝建装材10gは、壁の出隅20a(コーナー部)を覆うように設置されている。
【0078】
図6に示す衝撃緩衝建装材10gと、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aとは、同じ材料からなるものであり、形状が異なっている。以下、衝撃緩衝建装材10gの形状について詳細に説明する。
【0079】
衝撃緩衝建装材10gは、断面視略扇型状の衝撃吸収層15と、保護層52と、補強層35とを有している。保護層52は、衝撃吸収層15の外側の面を覆うクロス貼り下地部25aと、クロス貼り下地部25aから連続して衝撃吸収層15の縁部の表面を覆うように形成され、衝撃吸収層15の保護層52と反対側の面(内側の面)に略垂直に配置された側面部25bとを有している。側面部25bは、
図6に示すように、石膏ボード23の側面と対向配置されている。
【0080】
図6に示すクロス貼り下地部25aは、クロス22および/またはクロス下地調整材(パテ)との密着性を向上させるために、表面処理されたものであることが好ましい。表面処理としては、従来公知の技術を用いることができ、特に限定されない。具体的には、表面処理として、複数のライン状の凹凸を形成するノッチング処理および/またはプライマーを塗布するプライマー処理が挙げられる。
【0081】
図6に示す衝撃緩衝建装材10gの補強層35は、衝撃吸収層15の内側の面を覆う曲面部35aと、曲面部35aの断面視両端部からそれぞれ保護層52の側面部25bと略同一平面上に連続して設けられた2つの側面部35b、35bと、側面部35b、35bの端部から断面視略直角に曲がって外側に延びる取り付け部35c、35cとを有している。
側面部35bは、保護層52の側面部25bとともに石膏ボード23の側面と対向配置されている。取り付け部35cは、衝撃緩衝建装材10gを壁に固定するためのものであり、石膏ボード23の表面と略平行に延在している。
【0082】
衝撃緩衝建装材10gでは、
図6に示すように、保護層52の側面部25bと補強層35の側面部35bとの合計の壁の厚み方向の寸法L3が、石膏ボード23の厚みと略同一とされている。その結果、石膏ボード23の外側の表面と、衝撃緩衝建装材10gの保護層52のクロス貼り下地部25aの表面とが、略同一平面上に配置されている。このことにより、
図6に示す壁では、石膏ボード23の外側の表面から連続して、保護層52のクロス貼り下地部25aの面上に、クロス22が貼られている。
保護層52の側面部25bの壁の厚み方向の寸法と、補強層35の側面部35bの壁の厚み方向の寸法とのバランスは、特に限定されるものではなく、石膏ボード23の厚み寸法などに応じて適宜決定できる。
【0083】
また、
図6に示す衝撃緩衝建装材10gは、壁に固定することにより、曲面部35aの内側に空洞45が形成されるものである。空洞45は、衝撃吸収層15のクロス貼り下地部25a側から衝撃を受けた場合に、衝撃緩衝建装材10gの下層に配置されている壁の構造の破損を防止する機能を有する。また、
図6に示す衝撃緩衝建装材10gは、壁に固定することにより、空洞45が形成されるものであるため、壁の出隅20a(
図6においては柱24の角)が歪んでいたり、凹凸が存在したりしていても、衝撃緩衝建装材10gを高精度で設置できる。
【0084】
図6に示す衝撃緩衝建装材10gの設置方法としては、如何なる方法を用いてもよい。例えば、ビスなどを用いて壁の構造部材である柱24に補強層35の取り付け部35cを固定してもよいし、接着剤を用いて柱24に補強層35の取り付け部35cを固定してもよい。
また、本実施形態において、クロス貼り下地部25aの面上にクロス22を貼る場合には、クロス貼り下地部25a上にクロス下地調整材(パテ)を塗布して、表面の段差を均し、表面を平滑にしてからクロス22を貼ることが好ましい。
【0085】
図6に示す衝撃緩衝建装材10gにおいても、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aと同様に、優れた衝撃緩衝機能が得られるとともに、耐久性に優れ、良好な外観を長期にわたって維持できる効果が得られる。
【0086】
図7は、本発明の衝撃緩衝建装材の他の例を壁に取り付けた状態を説明するための模式図である。
図7に示す衝撃緩衝建装材10hを構成する保護層26は、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aを構成する保護層2と同様に、クロス貼り下地としての機能を有するものである。また、
図7に示す衝撃緩衝建装材10hは、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aと同様に、補強層36と衝撃吸収層16と保護層26とが共押出成形されてなるものである。また、
図7に示すように、衝撃緩衝建装材10hは、壁の出隅20aを覆うように設置されている。
【0087】
図7に示す衝撃緩衝建装材10hと、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aとは、同じ材料からなるものであり、形状が異なっている。以下、衝撃緩衝建装材10hの形状について詳細に説明する。
【0088】
衝撃緩衝建装材10hは、断面視略扇型状の衝撃吸収層16と、保護層26と、補強層36とを有している。保護層26は、衝撃吸収層16の外側の面を覆うクロス貼り下地部26aと、クロス貼り下地部26aから連続して衝撃吸収層16の片側の縁部の表面を覆うように形成され、衝撃吸収層16の保護層26と反対側の面(内側の面)に略垂直に配置された側面部26bとを有している。側面部26bは、
図7に示すように、石膏ボード23の側面と対向配置されている。
【0089】
衝撃緩衝建装材10hの補強層36は、
図7に示すように、断面視略L字型であり、クロス貼り下地部36aとコーナー部36bとを有する。
クロス貼り下地部36aは、
図7に示すように、全体が補強層36からなるものであり、衝撃吸収層16の片側の縁部の表面を覆うように形成され、外面が保護層26のクロス貼り下地部26aと略同一平面状に延在している。
コーナー部36bは、衝撃吸収層16の内側の面に沿って形成されている。コーナー部36bの壁の出隅20a(
図7においては柱24の角)と対向する部分には、凹部36cが設けられている。凹部36cが設けられていることにより、壁の出隅20aが歪んでいたり、凹凸が存在したりしていても、衝撃緩衝建装材10hを高精度で設置できる。よって、衝撃緩衝建装材10hは、納まりがよく、壁の仕上がりがよいものとなる。
【0090】
図7に示すように、衝撃緩衝建装材10hの一方の縁部において、石膏ボード23と対向配置されている補強層36のクロス貼り下地部36aの厚みは、石膏ボード23の厚みと略同一とされている。また、衝撃緩衝建装材10hの他方の縁部において、石膏ボード23と対向配置されている側面部26bと補強層36のコーナー部36bとの合計寸法は、石膏ボード23の厚みと略同一とされている。その結果、石膏ボード23の外側の表面と、補強層36のクロス貼り下地部36aの表面および保護層26のクロス貼り下地部26aの表面とが、略同一平面上に配置されている。このことにより、
図7に示す壁では、石膏ボード23の外側の表面から連続して、補強層36のクロス貼り下地部36aおよび保護層26のクロス貼り下地部26aの面上に、クロス22が貼られている。
【0091】
補強層36のクロス貼り下地部36aの表面および/または保護層26のクロス貼り下地部26aは、
図6に示す衝撃緩衝建装材10gのクロス貼り下地部25aと同様に、クロス22および/またはクロス下地調整材(パテ)との密着性を向上させるために、表面処理されたものであってもよい。
【0092】
また、衝撃緩衝建装材10hの他方の縁部において、石膏ボード23と対向配置されている側面部26bの寸法と、補強層36のコーナー部36bの寸法とのバランスは、特に限定されるものではなく、石膏ボード23の厚み寸法などに応じて適宜決定できる。
【0093】
また、
図7に示す衝撃緩衝建装材10hの設置方法としては、如何なる方法を用いてもよい。例えば、衝撃緩衝建装材10hを貫通するビスなどを用いて壁の構造部材である柱24に衝撃緩衝建装材10hを固定してもよいし、接着剤を用いて衝撃緩衝建装材10hを柱24に固定してもよい。
【0094】
図7に示す衝撃緩衝建装材10hにおいても、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aと同様に、優れた衝撃緩衝機能が得られるとともに、耐久性に優れ、良好な外観を長期にわたって維持できる効果が得られる。
【0095】
図8は、本発明の衝撃緩衝建装材の他の例を壁に取り付けた状態を説明するための模式図である。
図8に示す衝撃緩衝建装材10iは、不燃下地材37に、衝撃吸収層17の保護層27と反対側の面を対向させて取り付けられているものである。
図8に示す衝撃緩衝建装材10iを構成する保護層27は、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aを構成する保護層2と同様に、クロス貼り下地としての機能を有するものである。しかし、
図8に示す衝撃緩衝建装材10iは、補強層がなく、衝撃吸収層17と保護層27とが共押出成形されてなるものである。また、
図8に示す衝撃緩衝建装材10hは、不燃下地材37を介して壁の出隅20a(コーナー部)を覆うように設置されている。
【0096】
衝撃緩衝建装材10iは、断面視略扇型状の衝撃吸収層17と、保護層27とを有している。保護層27は、衝撃吸収層17の外側の面を覆うクロス貼り下地部27aと、クロス貼り下地部27aから連続して衝撃吸収層17の縁部の表面を覆うように形成され、衝撃吸収層17の保護層27と反対側の面(内側の面)に略垂直に配置された側面部27b、27bと、側面部27b、27bの不燃下地材37に近い部分の厚みを厚くしてなる凸部27c、27cとを有している。
【0097】
凸部27c、27cは、後述する不燃下地材37に形成された溝37c内の凹部37dに嵌合するものである。凸部27cは、衝撃緩衝建装材10iの長さ方向に連続して設けられているものであってもよいし、断続的に設けられていてもよい。また、凸部27cは、衝撃緩衝建装材10iを不燃下地材37に接着することにより固定する場合には、設けられていなくてもよい。
【0098】
不燃下地材37の材料としては、不燃材料からなるものであればよく、従来公知の材料を用いることができる。具体的には、例えば、不燃下地材37として、セメントとケイ酸質紛体と骨材と繊維とを含む不燃材料を押出成形したものなどが挙げられる。
不燃下地材37は、
図8に示すように、断面視略L字型であり、クロス貼り下地部37aとコーナー部37bとを有する。
【0099】
クロス貼り下地部37aは、
図8に示すように、外面が衝撃緩衝建装材10iの保護層27のクロス貼り下地部27aと略同一平面状に延在している。不燃下地材37のクロス貼り下地部37aの外面には、表面溝37fが設けられている。表面溝37fは、不燃下地材37を、ビスを用いて壁の構造部材である柱24などに固定する場合に、ビスの頭を不燃下地材37内に収容するためのものである。表面溝37fの深さおよび/または幅は、使用するビスの形状等に応じて適宜決定できる。表面溝37fが設けられていることにより、クロス22を貼りした後の表面にビスの頭に起因する凸凹が形成されることを防止できる。また、表面溝37f内には、断面視略V字型のV字溝37gが形成されている。V字溝37gは、ビス止めの際にビスの位置決めに用いることができる。V字溝37gが設けられていることにより、ビスを用いて不燃下地材37を柱24などに固定する際の作業を安定して行うことができ、作業性が向上するとともに、良好な仕上がりが得られやすくなる。
【0100】
また、クロス貼り下地部37aの内面において、表面溝37fと対向する位置には、裏面溝37hが設けられている。裏面溝37hは、ビスを不燃下地材37に貫通させることで、ビスによって裏面に押し出されて盛り上がった不燃下地材37の材料を収容するものである。裏面溝37hが設けられていることで、裏面に押し出された不燃下地材37の材料によって、不燃下地材37と柱24との密着性が低下したり、歪みが生じたりすることを防止でき、不燃下地材37と柱24との接合を高精度で行うことができる。
【0101】
また、コーナー部37bの外側には、衝撃緩衝建装材10iが着脱自在に嵌め込まれる溝37cが形成されている。溝37cの底面に沿う側面には、衝撃緩衝建装材10iの凸部27cと嵌合する帯状の凹部37dが設けられている。溝37cは、衝撃緩衝建装材10iの外形形状に対応する内面形状を有している。したがって、溝37cは、衝撃吸収層17の厚みと保護層27の厚みとの合計寸法に対応する深さを有している。そして、溝37c内に衝撃緩衝建装材10iが嵌め込まれていることにより、衝撃吸収層17に衝撃緩衝建装材10iが取り付けられている。このことにより、不燃下地材37の外面と、保護層27のクロス貼り下地部27aの表面とが、略同一平面上に配置されている。
【0102】
コーナー部37bの壁の出隅20a(
図8においては柱24の角)と対向する部分には、凹部37eが設けられている。凹部37eが設けられていることにより、壁の出隅20aが歪んでいたり、凹凸が存在したりしていても、不燃下地材37を高精度で設置できる。よって、不燃下地材37は、納まりがよく、壁の仕上がりがよいものとなる。
【0103】
不燃下地材37の溝37cの設けられている部分を除く部分の厚みは、
図8に示すように、石膏ボード23の厚みと略同一とされている。
その結果、石膏ボード23の外側の表面と、不燃下地材37の外面とが、略同一平面上に配置されている。このことにより、
図8に示す壁では、石膏ボード23の外側の表面から連続して、不燃下地材37の外面および保護層27のクロス貼り下地部27aの面上に、クロス22が貼られている。
【0104】
図8に示す不燃下地材37においては、不燃下地材37の最低厚み寸法L4は、凹部37eと溝37cとの間の寸法である。不燃下地材37においては、最低厚み寸法L4が、必要な防火性能を満たす厚みとなるようにされる。例えば、最低厚み寸法L4は8mm以上とすることができる。
【0105】
図8に示す不燃下地材37の設置方法は、特に限定されないが、例えば、不燃下地材37を貫通する長さのビスを、V字溝37gに位置決めしてねじ込み、壁の構造部材である柱24に不燃下地材37を固定する方法が挙げられる。また、接着剤を用いて不燃下地材37を柱24に固定してもよい。
【0106】
不燃下地材37のクロス22が貼られる面および/または保護層27のクロス貼り下地部27aは、
図6に示す衝撃緩衝建装材10gのクロス貼り下地部25aと同様に、クロス22および/またはクロス下地調整材(パテ)との密着性を向上させるために、表面処理されたものであってもよい。
【0107】
図8に示す衝撃緩衝建装材10iを不燃下地材37に設置する方法としては、衝撃緩衝建装材10iの凸部27cと、不燃下地材37の溝37c内の凹部37dとを嵌合させる方法を用いることができる。また、衝撃緩衝建装材10iと不燃下地材37とを接着剤を用いて固定してもよい。この場合、衝撃緩衝建装材10iの凸部27cおよび不燃下地材37の溝37c内の凹部37dは、なくてもよい。
【0108】
図8に示す衝撃緩衝建装材10iにおいても、
図2に示す衝撃緩衝建装材10aと同様に、優れた衝撃緩衝機能が得られるとともに、耐久性に優れ、良好な外観を長期にわたって維持できる効果が得られる。
また、
図8に示す衝撃緩衝建装材10iは、不燃下地材37に、衝撃吸収層17の保護層27と反対側の面を対向させて取り付けられているものであるので、不燃下地材37に上記効果を付与できる。
なお、
図8においては、補強層のない衝撃緩衝建装材10iを例に挙げて説明したが、衝撃吸収層の保護層と反対側の面に補強層を有していてもよい。
【0109】
なお、本発明の衝撃緩衝建装材の取り付けられる壁は、住宅の室内に設けられたものであることが好ましいが、特に限定されない。
また、本発明の衝撃緩衝建装材は、板状の長尺部材を、長さ方向に延在する谷が形成されるように保護層を外側に向けて折り曲げた形状を有し、壁の出隅を覆うように設置されることが好ましいが、板状の衝撃緩衝建装材とし、平坦な壁に設置してもよい。
【実施例】
【0110】
表1に示す材料を用いて以下に示す方法により、実施例1〜実施例4の衝撃緩衝建装材を製造した。
【0111】
【表1】
【0112】
表1における以下の記号は、以下に示す材料を示す。
A−1:オレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモランQT85AA2)
A−2:塩化ビニル樹脂(可塑剤30%)(信越ポリマー社製エクセラストSE775)
B−1:オレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモランQT60MB)
B−2:塩化ビニル樹脂(可塑剤50%)(三菱化学社製スミコン1360KD7)
C−1:ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製プライムポリプロE701G)
C−2:塩化ビニル樹脂(三菱化学社製ビニカD2132H)
D−1:熱膨張性マイクロバルーン(日本フィライト社製エクスパンセル930MB120)
D−2:ADCA(アゾジカルボンアミド)(永和化成工業製)
【0113】
「実施例1」
表1に示す衝撃吸収層、保護層、補強層の材料をそれぞれ、各層を形成するための押出機のホッパーに供給した。次いで、各層の材料を各押出機で溶融混錬し、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に共押出し、冷却した。
このことにより、
図4(a)に示す形状を有し、保護層と発泡体からなる衝撃吸収層と補強層とが、この順に積層された積層体からなる実施例1の衝撃緩衝建装材を得た。
【0114】
実施例1の衝撃緩衝建装材について、以下に示す方法により、シャルピー衝撃強度と衝撃吸収性(G値)とを測定し、落球試験を行なった。
【0115】
「シャルピー衝撃強度の測定方法」
JIS K−7111の付属書1に準拠して測定した。試験機として、付属書2規定の試験機を用い、温度は、23℃で行った。なお、試験片として、補強層の材料を押出成形して得られた成形体を付属書4に規定する5号試験片に加工したものを用いた。
【0116】
「衝撃吸収性(G値)の測定方法」
転倒衝突時の床の硬さ試験(JIS A6519)を参考にして測定した。なお、試験体として、長さ10cm、幅20mmのものを作成し、金属板上に保護層が略水平になるように固定して、保護層を上に向けて評価した。
【0117】
「落球試験」
長さ10cm、幅20mmの試験体を作成し、保護層が略水平になるようにして保護層を上に向けて載置し、石膏ボードの上に両面テープで仮止めした。そして、重さ200gの球体を、高さ100cmの位置から試験体上に落下させた。その後、石膏ボード表面の状態を観察した。
【0118】
その結果、実施例1の補強層の衝撃緩衝建装材のシャルピー衝撃強度は、30J/m
2であった。また、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、99.5であった。
また、落球試験により石膏ボードには、1mm程度の窪みが形成された。
【0119】
「実施例2」
表1に示す衝撃吸収層、保護層、補強層の材料をそれぞれ、各層を形成するための押出機のホッパーに供給した。次いで、各層の材料を各押出機で溶融混錬し、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に共押出し、冷却した。
このことにより、
図4(a)に示す形状を有し、保護層と発泡体からなる衝撃吸収層と補強層とが、この順に積層された積層体からなる実施例2の衝撃緩衝建装材を得た。
【0120】
実施例2の衝撃緩衝建装材について、実施例1と同様にして、シャルピー衝撃強度と衝撃吸収性(G値)とを測定し、落球試験を行なった。
その結果、補強層のシャルピー衝撃強度は、15J/m
2であった。また、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、105.3であった。
また、落球試験により石膏ボードには、1mm程度の窪みが形成された。
【0121】
「実施例3」
表1に示す衝撃吸収層および保護層の材料をそれぞれ、各層を形成するための押出機のホッパーに供給した。次いで、各層の材料を各押出機で溶融混錬し、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に共押出し、冷却した。
このことにより、
図4(c)に示す形状を有し、保護層と発泡体からなる衝撃吸収層とが積層された積層体からなるカバー部材を得た。
【0122】
また、表1に示す補強部材の材料を押出機のホッパーに供給し、押出機で溶融混錬し、ダイから空気中に押出し、冷却した。
このことにより、
図4(c)に示す形状を有する補強部材を得た。
そして得られたカバー部材を補強部材に取り付けることにより、実施例3の衝撃緩衝建装材を得た。
【0123】
実施例3の衝撃緩衝建装材について、実施例1と同様にして、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)を測定し、落球試験を行なった。また、実施例1と同様にして、補強部材のシャルピー衝撃強度を測定した。
その結果、補強部材のシャルピー衝撃強度は、30J/m
2であった。また、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、84.5であった。
また、落球試験後の石膏ボードに変化はなく、窪みは形成されなかった。
【0124】
「実施例4」
実施例1の衝撃緩衝建装材と同様の材料により、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、
図4(e)に示す形状を有するカバー部材を形成した。得られたカバー部材を実施例3で形成した補強部材に取り付けることにより、実施例4の衝撃緩衝建装材を得た。
【0125】
実施例4の衝撃緩衝建装材について、実施例1と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定し、落球試験を行なった。
その結果、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、81.8であった。
また、落球試験後の石膏ボードに変化はなく、窪みは形成されなかった。
【0126】
「実施例5」
表1に示す衝撃吸収層、保護層、補強層の材料をそれぞれ、各層を形成するための押出機のホッパーに供給した。次いで、各層の材料を各押出機で溶融混錬し、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に共押出し、冷却した。
このことにより、
図6に示す形状を有し、保護層と発泡体からなる衝撃吸収層と補強層とが、この順に積層された積層体からなる実施例5の衝撃緩衝建装材を得た。
【0127】
実施例5の衝撃緩衝建装材について、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定した。その結果、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、37.3であった。
【0128】
「実施例6」
表1に示す衝撃吸収層、保護層の材料をそれぞれ、各層を形成するための押出機のホッパーに供給した。次いで、各層の材料を各押出機で溶融混錬し、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に共押出し、冷却した。
このことにより、
図8に示す形状を有し、保護層と発泡体からなる衝撃吸収層とが、この順に積層された積層体からなる実施例6の衝撃緩衝建装材を得た。
次に、普通ポルトランドセメント43質量%、珪石34質量%(ケイ酸質紛体)、パーライト20質量%(骨材)、パルプ3%(繊維)を押出機のホッパーに供給して、混錬し、ダイから空気中に押出し、蒸気養生することにより、
図8に示す不燃下地材を形成した。なお、不燃下地材の最低厚み寸法L4(
図8参照)は8mmであった。その後、得られた不燃下地材の溝に衝撃緩衝建装材を設置し、接着剤を用いて固定した。
【0129】
実施例6で形成した不燃下地材に取り付けられた衝撃緩衝建装材について、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定した。その結果、衝撃吸収性(G値)は、95.4であった。
【0130】
「実施例7」
表1に示す衝撃吸収層、保護層、補強層の材料をそれぞれ、各層を形成するための押出機のホッパーに供給した。次いで、各層の材料を各押出機で溶融混錬し、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に共押出し、冷却した。
このことにより、
図7に示す形状を有し、保護層と発泡体からなる衝撃吸収層と補強層とが、この順に積層された積層体からなる実施例7の衝撃緩衝建装材を得た。
【0131】
実施例7の衝撃緩衝建装材について、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定した。その結果、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、92.9であった。
【0132】
実施例1〜実施例7の衝撃緩衝建装材の各層の厚みおよび硬度を表1に示す。
なお、各層の硬度は、以下に示す方法により調べた。
「デュロメータ硬さ試験」
JIS K−7215に準拠し、試験機としてテクロック社製のGS−710を用いて測定した。試験片として、各層の材料のみを厚み6mm、幅20mmで押出成形して得られた成形体を用いた。
【0133】
「比較例1」
図5は、比較例1において使用した従来の衝撃緩衝建装材を説明するための模式図である。
図5に示す衝撃緩衝建装材40は、ベース部材41に、カバー部材42を取り付けたものである。ベース部材41とカバー部材42との間には、空間43が形成されている。ベース部材41およびカバー部材42は、いずれも塩化ビニル樹脂からなる厚み1mmのものである。
【0134】
比較例1において使用した衝撃緩衝建装材のベース部材41およびカバー部材42に使用されている塩化ビニル樹脂について、実施例1と同様にして、デュロメータ硬さ試験を行った。その結果、硬度Dは70であった。
【0135】
また、比較例1の衝撃緩衝建装材について、実施例1と同様にして、シャルピー衝撃強度と衝撃吸収性(G値)とを測定し、落球試験を行なった。
その結果、シャルピー衝撃強度は、15J/m
2であった。また、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、136.2であった。
また、落球試験後の石膏ボードに変化はなく、窪みは形成されなかった。
【0136】
「比較例2」
比較例2の衝撃緩衝建装材として、厚み5mmの発泡ウレタン樹脂材料を用意した。
比較例2の衝撃緩衝建装材について、実施例1と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定し、落球試験を行なった。
その結果、衝撃吸収性(G値)は、99.2であった。
また、落球試験により石膏ボードには、3mm程度の窪みが形成された。
【0137】
「比較例3」
図9は、比較例3において使用した衝撃緩衝建装材を説明するための模式図である。
図9に示す衝撃緩衝建装材50は、
図6に示す実施例5の衝撃緩衝建装材10gの補強層35である。
また、比較例3の衝撃緩衝建装材について、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定した。その結果、衝撃緩衝建装材の衝撃吸収性(G値)は、43.9であった。
【0138】
「比較例4」
図10は、比較例4としての不燃下地材を説明するための模式図である。
図10に示す不燃下地材60は、
図8に示す実施例6の衝撃緩衝建装材10iの取り付けられた不燃下地材の断面形状と略同一の形状を有するものであり、実施例6における衝撃緩衝建装材10iに代えて、全体を実施例6の不燃下地材と同じ不燃材料で形成したものである。なお、
図10に示す不燃下地材60では、
図8に示す不燃下地材と異なり、入隅部分には、断面視円弧状で長さ方向に延びる凹部61が設けられている。また、
図10に示す不燃下地材60の外面における断面視直線部分には、ノッチング処理によって複数のライン状の凹凸が形成されている。
比較例4の不燃下地材60について、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定した。その結果、不燃下地材60の衝撃吸収性(G値)は、155.1であった。
【0139】
「比較例5」
図11は、比較例5において使用した衝撃緩衝建装材を説明するための模式図である。
図11に示す衝撃緩衝建装材70は、
図7に示す実施例7の衝撃緩衝建装材10hの断面形状と略同一の形状を有するものであり、実施例7の保護層26および衝撃吸収層16に代えて全体が実施例7の補強層36の材料によって形成されているものである。また、
図11に示す衝撃緩衝建装材70では、
図7に示す衝撃緩衝建装材10hと異なり、湾曲面71の曲率半径が小さくなっている。
比較例5の衝撃緩衝建装材70について、実施例1の衝撃緩衝建装材と同様にして、衝撃吸収性(G値)を測定した。その結果、衝撃緩衝建装材70の衝撃吸収性(G値)は、115.0であった。
【0140】
実施例1〜実施例4、比較例1および比較例2のシャルピー衝撃強度、衝撃吸収性(G値)および落球試験の結果を表2に示す。また、実施例5〜実施例7、比較例3〜比較例5の衝撃吸収性(G値)の結果を表2に示す。
【0141】
【表2】
【0142】
表2に示すように、実施例1〜実施例4では、衝撃吸収性(G値)はいずれも、比較例1と比較して小さく、衝撃吸収性に優れていることが確認できた。
また、実施例1〜実施例4の落球試験の結果は、僅かまたは窪みなしであり、比較例2と比較して、衝撃緩衝建装材の下層に配置されている表面に、窪みが形成されにくいことが分かった。
【0143】
表2に示すように、比較例1は、落球試験により窪みが形成されなかった。しかし、比較例1は、衝撃吸収性(G値)が大きく、衝撃吸収性が不足している。
また、比較例2は、衝撃吸収性は得られる。しかし、比較例2は、落球試験により窪みが形成された。
【0144】
表2に示すように、実施例5では、比較例3と比較して、衝撃吸収性(G値)が小さく、衝撃吸収性に優れていることが確認できた。
また、実施例6では、比較例4と比較して、衝撃吸収性(G値)が小さく、衝撃吸収性に優れていることが確認できた。
また、実施例7では、比較例5と比較して、衝撃吸収性(G値)が小さく、衝撃吸収性に優れていることが確認できた。