(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、AISは、国際航海に従事しない500トン以上の船舶、全ての客船と国際航海に従事する300トン以上の船舶への設置が義務付けられているものの、その他の小型船舶等への設置は義務付けられていない。またAISは非常に高価であるため、小型船舶への普及が遅れている状況にあり、必ずしも、小型船舶が大型船舶の船舶情報を把握しているとは限らない。一方、大型船舶は、AISにより他の大型船舶の船舶情報を知ることができるが、AISを通じて小型船舶の船舶情報を知ることができない。よって、大型船舶にAISが搭載されていたとしても、小型船舶にAISが搭載されていなければ、相互に船舶情報を把握することはできないため、濃霧発生時や日没後など視界確保が難しい環境下において相互に発見が遅れ、衝突を回避することが困難になる場合もあり得る。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、AIS等の専用装置を備えることなく、船舶の船舶情報を簡易に取得することを可能とする情報配信装置、情報配信システム及び情報配信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
第1の船舶に設けられたAIS(自動船舶識別装置)から当該第1の船舶の航海情報を受信する第1受信部と、前記
第1の船舶とは異なる
複数の第2の船舶
の各々に
設けられる携帯端末
のそれぞれから、前記携帯端末の位置情報を受信する第2受信部と、前記航海情報により示される
第1の船舶と前記位置情報により示される
各第2の船舶とのうち、前記
携帯端末のいずれかである一の携帯端末の位置情報により示される位置を基準にして所定の条件を満足する船舶
であって前記第1の船舶と前記一の携帯端末とは異なる他の携帯端末の位置情報により示される前記第2の船舶に関する船舶情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記船舶情報を記録でき、記録された前記船舶情報を前記情報取得部に配信できる記憶部と、前記情報取得部により取得された前記船舶情報を前記
一の携帯端末に配信し、前記船舶情報を前記
一の携帯端末に提示させる制御部と、を備えた情報配信装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上述の情報配信装置であって、前記情報取得部は、前記
一の携帯端末の位置情報により示される位置を基準にして、前記所定の条件を満足する船舶であって
前記第1の船舶と前記一の携帯端末とは異なる他の携帯端末の位置情報により示される前記第2の船舶の位置に関する情報を前記船舶情報として取得する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上述の情報配信装置であって、前記情報取得部は、前記所定の条件を満足する船舶の位置に関する情報に加え、更に、前記所定の条件を満足する船舶
であって前記第1の船舶と前記一の携帯端末とは異なる他の携帯端末の位置情報により示される前記第2の船舶の進行方向と移動速度に関する情報を前記船舶情報として取得する。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述の情報配信装置であって、前記携帯端末は、前記船舶情報により示される船舶の画像を、前記携帯端末に内蔵された撮像装置により撮像された画像と合成して前記携帯端末の表示部に表示させる画像表示制御部を備える。
【0010】
また、本発明の一態様は、AIS(自動船舶識別装置)と、
複数の携帯端末と、前記AISから前記AISが搭載された
第1の船舶の航海情報を受信し、かつ前記
第1の船舶とは異なる
複数の第2の船舶
の各々に
設けられる前記携帯端末
のそれぞれから前記携帯端末の位置情報を受信する情報配信装置を備える情報配信システムであって、前記航海情報により示される
第1の船舶と前記位置情報により示される
各第2の船舶とのうち、前記
携帯端末のいずれかである一の携帯端末の位置情報により示される位置を基準にして所定の条件を満足する船舶
であって前記第1の船舶と前記一の携帯端末とは異なる他の携帯端末の位置情報により示される前記第2の船舶に関する船舶情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された前記船舶情報を記録でき、記録された前記船舶情報を前記情報取得部に配信できる記憶部と、前記情報取得部により取得された前記船舶情報を前記
一の携帯端末に配信し、前記船舶情報を前記
一の携帯端末に提示させる制御部と、前記船舶情報により示される船舶の画像を、前記
一の携帯端末に内蔵された撮像装置により撮像された画像と合成して前記
一の携帯端末の表示部に表示させる画像表示制御部と、を含む情報配信システムである。
【0011】
また、本発明の一態様は、AIS(自動船舶識別装置)と、
複数の携帯端末と、前記AISから前記AISが搭載された
第1の船舶の航海情報を受信し、かつ前記
第1の船舶とは異なる
複数の第2の船舶
の各々に
設けられる前記携帯端末
のそれぞれから前記携帯端末の位置情報を受信する情報配信装置を備える情報配信方法であって、情報取得部が、前記航海情報により示される
第1の船舶と前記位置情報により示される
各第2の船舶とのうち、前記
携帯端末のいずれかである一の携帯端末の位置情報により示される位置を基準にして所定の条件を満足する船舶
であって前記第1の船舶と前記一の携帯端末とは異なる他の携帯端末の位置情報により示される前記第2の船舶に関する船舶情報を取得する過程と、記憶部が、前記情報取得部により取得された前記船舶情報を記録でき、記録された前記船舶情報を前記情報取得部に配信できる過程と、制御部が、前記情報取得部により取得された前記船舶情報を前記
一の携帯端末に配信し、前記船舶情報を前記
一の携帯端末に提示させる過程と、画像表示制御部が、前記船舶情報により示される船舶の画像を、前記
一の携帯端末に内蔵された撮像装置により撮像された画像と合成して前記
一の携帯端末の表示部に表示させる過程と、を含む情報配信方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、専用装置を備えることなく、船舶の船舶情報を簡易に取得することができ、小型船舶等において自船舶の周囲の船舶の船舶情報を知ることができる。これより、小型船舶は、濃霧発生時や日没後など視界確保が難しい環境下においても、安全に運航することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態における情報配信システム1について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態における情報配信システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態における情報配信システム1は、情報配信装置2、大型船舶3に搭載されたAIS(Automatic Identification System:自動船舶識別装置)4、小型船舶5に搭載された携帯端末6とを備えている。本実施形態においては、大型船舶3と小型船舶5がそれぞれ1隻である場合を説明するが、勿論この数に限られるものではない。
【0015】
情報配信装置2と大型船舶3に搭載されたAIS4とは、ネットワーク10を介して接続される。また、情報配信装置2と小型船舶5に搭載された携帯端末6とは、ネットワーク10を介して接続される。本実施形態では、ネットワーク10は、無線通信(VHF帯等)やIP通信を含むネットワークである。
大型船舶3に搭載されたAIS4は、搭載されている大型船舶の位置情報、進行方向、移動速度などの航海情報に、搭載されている船舶の識別情報としての船舶IDを付加し、ネットワーク10を介して第1受信部20またはAIS情報送受信変換部11に一定時間毎に送信する。
【0016】
AIS情報送受信変換部11は、AIS4から送信された航海情報をネットワーク10を介して受信する。AIS情報送受信変換部11は、受信した航海情報をIP通信可能なデータに変換し、変換した航海情報をネットワーク10を介してIP通信で情報配信装置2に送信する。
【0017】
携帯端末6は、GPS(Global Positioning System)機能と通信機能を有する情報端末であり、例えばスマートフォンやタブレット端末である。携帯端末6は、GPS機能を用いて、現在位置の位置情報を一定周期で取得する。携帯端末6は、取得した位置情報に船舶IDを付加して、ネットワーク10を介して情報配信装置2に送信する。
また、携帯端末6は、情報配信装置2からネットワーク10を介して船舶情報(後述)を取得する。携帯端末6は、取得した船舶情報をAR(Augmented Reality)を用いて表示部63に表示する。なお、携帯端末6は、撮像装置であるカメラを搭載している。
【0018】
情報配信装置2は、第1受信部20、第2受信部21、記憶部22、情報取得部23、制御部24を備えている。
第1受信部20は、情報取得部23に接続されている。第1受信部20は、AIS情報送受信変換部11からネットワーク10を介して、大型船舶3の航海情報を受信する。なお、第1受信部20は、AIS4から送信された航海情報をAIS情報送受信変換部11を介さず直接受信してもよい。
第2受信部21は、情報取得部23に接続されている。第2受信部21は、携帯端末6からネットワーク10を介して送信された位置情報を受信する。
【0019】
情報取得部23は、第1受信部20、第2受信部21、記憶部22、制御部24にそれぞれ接続されている。情報取得部23は、第1受信部20で受信した航海情報と第2受信部21で受信した位置情報とを記憶部22に船舶ID毎に記憶する。また、情報取得部23は、船舶ID毎に船舶の進行方向と移動速度とを求める。
情報取得部23は、第2受信部21から取得した位置情報により示される位置を基準にして所定の条件を満足する船舶IDを決定する。ここで、本実施形態では、所定の条件とは、船舶IDにより特定される船舶が、上記位置情報により示される位置を中心として、携帯端末6の利用者の安全を確保する領域に侵入したことである。ただし、この例に限らず、例えば、所定の条件は、船舶IDにより特定される船舶が、上記位置情報により示される位置付近に一定の時間内に到達すると予測されることであってもよく、携帯端末6の利用者の海上での安全を確保するための条件であれば、任意に設定し得る。
情報取得部23は、決定した船舶ID毎に記憶されている船舶情報を取得し、その船舶情報に船舶IDを付加して制御部24に送信する。船舶情報は、位置情報、速度情報、方向情報を含む。
【0020】
記憶部22は、情報取得部23により取得された船舶情報を記録でき、記録された船舶情報を情報取得部23に配信できる。
制御部24は、情報取得部23により取得された船舶情報をネットワーク10を介して携帯端末6に配信する。
【0021】
図2は、本実施形態における携帯端末6のブロック図である。
携帯端末6は、通信部60、GPS61、記憶部62、表示部63、画像表示制御部64を備えている。
【0022】
通信部60は、画像表示制御部64に接続されている。通信部60は、ネットワーク10を経由して情報配信装置2と通信する。
GPS61は、自己の位置情報を取得する。
記憶部62は、画像表示制御部64に接続されている。記憶部62は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスク装置などから構成され、画像表示制御部64が実行するプログラム、データ等を記憶する。
表示部63は、画像表示制御部64に接続されている。表示部63は、液晶表示装置などから構成され、任意の画像を表示する。
【0023】
画像表示制御部64は、記憶部62に記憶されたプログラムを実行する。画像表示制御部64は、GPS61から周期的に自船舶の現在位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報を通信部60を介して情報配信装置2に送信する。
画像表示制御部64は、情報配信装置2からの船舶情報を通信部60を介して受信し、受信した船舶情報に基づいて、自船舶及び近傍の船舶の移動速度及び進行方向を示すシンボルを形成する。画像表示制御部64は、形成したシンボルを表示部63に表示する。また、画像表示制御部64は、自船舶の警報通知ゾーン(ガードゾーン)を生成する。画像表示制御部64は、生成した警報通知ゾーンに他の船舶が侵入したか否かを判別し(即ち、前述の所定の条件が満足されたかどうかを判定し)、侵入した場合に、表示部63に警報を出力する。
【0024】
次に、情報配信装置2の動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態における情報配信装置2のフローチャートを示す図である。
ステップS101において、第1受信部20は、ネットワーク10を介してAIS4から船舶IDが付加された航海情報を受信する。
ステップS102において、第2受信部21は、ネットワーク10を介して携帯端末6から船舶IDが付加された位置情報を受信する。
【0025】
ステップS103において、情報取得部23は、第1受信部20で受信した航海情報と第2受信部21で受信した位置情報を記憶部22に船舶ID毎に記憶する。
ステップS104において、情報取得部23は、船舶ID毎に船舶の進行方向と移動速度などの移動情報を求める。情報取得部23は、例えば、同一船舶IDの情報を過去に受信しているか否かを判別する。同一の船舶IDの情報を過去に受信している場合、情報取得部23は、過去に受信していた船舶IDが割り当てられた船舶において、今回の位置と前回の位置とから船舶の進行方向を判別し、前回の位置と今回の位置との間の距離を時刻の差で割ることにより、船舶の移動速度を算出する。ただし、航海情報に大型船舶3の移動情報が含まれている場合、情報取得部23は、小型船舶5の移動情報のみを求める。
【0026】
ステップS105において、情報取得部23は、第2受信部21から取得した位置情報により示される位置を基準にして所定の条件を満足する船舶IDを抽出する。情報取得部23は、例えば、第2受信部21から取得した位置情報により示される位置を基準として他の船舶の相対位置が予め決められた閾値以下の場合、所定の条件を満足すると判定し、判定された船舶の船舶IDを抽出する。一方、情報取得部23は、第2受信部21から取得した位置情報により示される位置を基準として他の船舶の相対位置が予め決められた閾値を超える場合、所定の条件を満足しないと判定し、判定された船舶の船舶IDを抽出しない。閾値は、例えば、情報取得部23が取得する船舶IDに対応する船舶が航海するのに、他船の影響を受ける恐れがある距離である。
【0027】
ステップS106において、情報取得部23は、抽出した船舶ID毎に船舶情報を生成し、生成した船舶情報を制御部24に出力する。
ステップS107において、制御部24は、船舶情報をネットワーク10を介して携帯端末6に送信する。
【0028】
続いて、小型船舶5に搭載される携帯端末6における画像表示処理を、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態における携帯端末6における画像表示処理のフローチャートを示す図である。なお、この画像表示処理は、表示部63に自船舶と近隣の船舶の位置関係を表示するものであって、画像表示制御部64により繰り返し行われる。なお、携帯端末6は、乗員が行う操作に応じて既述のアプリケーションを起動し、そのアプリケーションに組み込まれた手順に基づいて以下の画像表示処理を行う。
【0029】
ステップS201において、画像表示制御部64は、情報配信装置2からの船舶情報を通信部60を介して受信する。
ステップS202において、画像表示制御部64は、受信した船舶情報に基づいて、自船舶と他船舶を示すシンボルと、自船舶及び他船の移動速度及び進行方向を示すシンボルとを船舶ID毎に生成する。例えば、画像表示制御部64は、受信した船舶情報から移動速度を抽出し、抽出した移動速度を矢印の長さで示す指標を生成する。また、画像表示制御部64は、受信した船舶情報から進行方向を抽出し、抽出した進行方向を矢印の向きで示す指標を生成する。
【0030】
ステップS203において、画像表示制御部64は、自船舶を中心として警報通知ゾーンを決定する。警報通知ゾーンは、自船舶の現在位置、移動速度、および進行方向に基づいて決定される、例えば環状領域である。なお、警報通知ゾーンの決定方法は後述する。
【0031】
ステップS204において、画像表示制御部64は、表示部63上に、自船舶である小型船舶5の位置情報により示される位置に自船舶を示すシンボルを表示する。また、画像表示制御部64は、受信した船舶情報から位置情報を船舶ID毎に抽出し、その位置情報により示される位置に、その船舶IDに対応する他船舶を示すシンボルを表示する。また、画像表示制御部64は、表示した自船舶と他船舶を示すシンボルに、ステップS202で生成した指標(矢印)を船舶ID毎に配置して表示する。さらに、画像表示制御部64は、ステップS203で決定した警報通知ゾーンを表示部63上に表示する。
【0032】
ステップS205において、画像表示制御部64は、生成した警報通知ゾーンに他の船舶が侵入したか否かを判定する。他の船舶が警報通知ゾーンに侵入した場合、画像表示制御部64は、ステップS206に進み、携帯端末6に警報を出力する。一方、他の船舶が警報通知ゾーンに侵入しない場合、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出力しない。
【0033】
(表示部63の表示画面)
次に、画像表示制御部64が表示部63に表示する表示画面について説明する。
図5は、本実施形態における携帯端末6の表示部63の表示例を示す図である。
図5に示すように、画像表示制御部64は、表示部63に、2つの画面A、Bを表示する。
【0034】
画面Aは、自船舶から携帯端末6に搭載されているカメラで撮影した海上の景観を映像モニタに映し出したときの表示画面の一例を示す画面である。画面Aにおいて、画像表示制御部64は、カメラ機能で撮影した海上の景観を表示部63に他船舶の画像を合成して表示する。画面Aに表示される他の船舶の画像は上述の船舶情報から生成され、そのための画像処理は、情報配信装置2および携帯端末6の何れで実施してもよい。画面Aに示す円形のシンボルY1、Y2は、カメラを向けた方向に存在する他船舶を示す。また、画像表示制御部64は、自船舶の位置からの相対位置に応じて、他船舶を示す円形のシンボルY1、Y2の色を変更する。例えば、円形のシンボルY1が示す船舶が自船舶に近い距離に存在する場合、画像表示制御部64は、円形のシンボルY1の色を赤色にして表示する。また、円形のシンボルY2が示す船舶が自船舶から十分遠い距離に存在する場合、画像表示制御部64は、円形のシンボルY2の色を緑色にして表示する。自船舶と他船舶との間の距離に応じてシンボルY1、Y2の大きさを変更してもよい。
【0035】
画面Bは、画像表示制御部64が地図上に自船舶の小型船舶5、他船舶の小型船舶と大型船舶3、警報通知ゾーンを表示した画面である。画面BのPが示す三角形のシンボルは、自船舶の小型船舶5の位置を示す。画面BのYが示す三角形のシンボルは、他船舶の小型船舶または大型船舶3の位置を示す。画面BのXが示す円形のシンボルは、警報通知ゾーンを示す。なお、上述した進行方向と移動速度を表す矢印は、船舶を示すYとXのシンボルから引き出されるベクトル(図示なし)として表示される。なお、
図5の画面Cには、製品広告が表示される。
【0036】
(警報通知ゾーンの決定方法)
次に、警報通知ゾーンの決定方法について説明する。
図6は、本実施形態における警報通知ゾーンの決定方法について説明する図である。なお以降の説明に用いる各図面においては、それぞれの図に図示した空間において互いに直交するx軸、y軸を規定して説明する。X1は、Pが示す自船舶(以下、「自船舶P」という。)が、移動速度V1のときに決定される警報通知ゾーンを示す。X2は、自船舶Pが、移動速度V2のときに決定される警報通知ゾーンを示す。X3は、自船舶Pが、移動速度V3のときに決定される警報通知ゾーンを示す。なお、自船舶Pは、y方向に進んでいるとする。また、移動速度は、V1、V2、V3の順に高くなる。
【0037】
画像表示制御部64は、自船舶Pの移動速度に応じて警報通知ゾーンを変形させる。具体的には、画像表示制御部64は、自船舶Pの移動速度が高くなるにつれて、前方方向(y方向)に警報通知ゾーンを広げた円(楕円)を描き、表示部63上に表示する。また、画像表示制御部64は、自船舶Pの移動速度が低くなるにつれて、前方方向(−y方向)に警報通知ゾーンを縮小した円(楕円)を描き、表示部63上に表示する。
画像表示制御部64は、例えば、記憶部62に予め記憶してある警報通知テーブルを参照し、自船舶Pの移動速度に対応する前方方向に広げる長さ(以下、「前方距離」という。)Hを取得する。警報通知テーブルは、自船舶Pの移動速度と、自船舶Pの移動速度毎の前方距離を対応させたテーブルである。
【0038】
(警報判定パターン)
上述したように、画像表示制御部64は、ステップS205において、他船舶が警報通知ゾーンに他船舶が侵入した場合、携帯端末6に警報を出力する。ただし、他船舶が警報通知ゾーンに他船舶が侵入しても、自船舶と他船舶とが衝突する恐れがない場合、画像表示制御部64は、警報を出力しない。以下に、他船舶が警報通知ゾーンに他船舶が侵入した場合において、画像表示制御部64が警報を出力するか否かを判定する判定パターンについて説明する。
【0039】
図7は、本実施形態における警報を出力するか否かを判定する判定パターンについて説明する図である。なお、
図7に示す実線の円は、警報通知ゾーンであり、画像表示制御部64が他の船舶における警報通知ゾーンへの侵入を検知し、携帯端末6に警報を出力する場合を示す。
図7に示す破線の円は、警報通知ゾーンであり、画像表示制御部64が他の船舶における警報通知ゾーンへの侵入を検知したか否かにかかわらず、携帯端末6に警報を出力しない場合を示す。また、三角形のシンボルは、航海中の船舶を示す。正方形のシンボルは、停泊中の船舶を示す。
【0040】
図7に示す、パターン1は、相手船舶(他船舶)が自船舶より移動速度が速い場合に警報通知ゾーンに侵入したパターンである。パターン1において、後方から侵入してくる場合(100)、相手船舶が自船舶の前方から侵入してくる場合(101)、前方を横切る場合(102)のいずれかにおいて、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出す。ただし、相手船舶が自船舶の後方を横切る場合(103)、自船舶と相手船舶とが衝突する危険性は非常に低いため、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出力しない。
【0041】
図7に示す、パターン2は、相手船舶(他船舶)が自船舶より移動速度が遅い場合に、自船舶が相手船舶に近づくことで警報通知ゾーンに侵入したパターンである。パターン2において、パターン1と逆で、相手船舶の後方から侵入していく場合(100A)、パターン1と同様で、相手船舶が自船舶の前方から侵入してくる場合(101A)、相手船舶の前方を横切る場合(102A)のいずれかにおいて、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出す。ただし、相手船舶が自船舶の後方を横切る場合(103A)、自船舶と相手船舶とが衝突する危険性は非常に低いため、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出さない。
【0042】
図7に示す、パターン3は、相手船舶が自船舶の後方を通過することで警報通知ゾーンに侵入する場合である。パターン3の場合、自船舶と相手船舶とが衝突する危険性は非常に低いため、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出さない。
図7に示す、パターン4は、自船舶が停泊中の相手船舶に近づくことで、相手船舶が警報通知ゾーンに侵入する場合である。パターン4の場合、自船舶の航路上に停泊中の相手船舶が存在せず、自船舶と相手船舶とが衝突する危険性は非常に低いため、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出さない。
【0043】
(警報通知タイミング)
次に、相手船舶が警報通知ゾーンに侵入した場合において、画像表示制御部64が携帯端末6に警報を出すタイミング(以下、「警報通知タイミング」という。)について説明する。画像表示制御部64が警報を携帯端末6に出力する警報通知タイミングを決定する方法として、例えば、他船舶が自船舶に接近する時間から決定する方法と、自船舶と他船舶との相対距離から決定する方法がある。
【0044】
まず、他船舶が自船舶に接近する時間から警報通知タイミングを決定する方法について説明する。
図8は、他船舶が自船舶に接近する時間から警報通知タイミングを決定する方法を説明する図である。画像表示制御部64は、他船舶と自船舶の各々の移動速度、進行方向から、例えば5分後に衝突の恐れがあると検知した場合、おおよそ5分後に衝突の恐れがある円、おおよそ4分後に衝突の恐れがある円、おおよそ3分後に衝突の恐れがある円を決定する。なお、
図8に示す(1)の領域は、おおよそ4分以上から5分以内に他船舶と自船舶が衝突の恐れがある領域である。
図8に示す(2)の領域は、おおよそ3分以上から4分以内に他船舶と自船舶が衝突の恐れがある領域である。
図8に示す(3)の領域は、おおよそ3分以内に他船舶と自船舶が衝突の恐れがある領域である。
【0045】
画像表示制御部64は、他船舶が警報通知ゾーンに侵入し、他船舶の位置が
図8に示す(1)の領域に存在する場合、1回のみ携帯端末6に警報を出力する。
画像表示制御部64は、他船舶の位置が
図8に示す(2)の領域に存在する場合、予め決められた周期(警報通知タイミング)毎に携帯端末6に警報を出力する。また、例えば、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出力している際に、携帯端末6において、警報を出力されていることを確認したことを示す操作が行われた場合、次回の警報通知タイミングを例えば30秒後に引き延ばす。一方、警報を出力されていることを確認したことを示す操作が行われなかった場合、画像表示制御部64は、予め決められた周期に従い、携帯端末6に警報を出力する。
【0046】
画像表示制御部64は、他船舶の位置が
図8に示す(3)の領域に存在する場合、他船舶の位置が
図8に示す(2)の領域に存在する場合と同様の警報通知タイミングで警報を携帯端末6に出力すると同時に、危険を感じさせる警報音を携帯端末6に出力する。危険を感じさせる警報音は、例えば、100デシベル程度の耳を塞ぎたくなるような大きな音である。
【0047】
次に、自船舶と他船舶との相対距離から警報通知タイミングを決定する方法について説明する。
図9は、自船舶と他船舶との相対距離から警報通知タイミングを決定する方法を説明する図である。
画像表示制御部64は、
図9に示すように、警報通知ゾーンの領域内において、半径が異なる2つの円を決定する。なお、その半径は予め決められている。例えば、
図9に示す円Aの半径は、おおよそ4分後に自船舶と他船舶の衝突の恐れがある距離に対応する。また、円Bの半径は、おおよそ3分後に自船舶と他船舶の衝突の恐れがある距離に対応する。
【0048】
画像表示制御部64は、他船舶が警報通知ゾーンに侵入し、他船舶の位置が
図9に示す(1)の領域に存在する場合、1回のみ携帯端末6に警報を出力する。
画像表示制御部64は、他船舶の位置が
図9に示す(2)の領域に存在する場合、予め決められた周期(警報通知タイミング)毎に携帯端末6に警報を出力する。また、例えば、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出力している際に、携帯端末6において、警報を出力されていることを確認したことを示す操作が行われた場合、次回の警報通知タイミングを例えば30秒後に引き延ばす。一方、警報を出力されていることを確認したことを示す操作が行われなかった場合、画像表示制御部64は、予め決められた周期に従い、携帯端末6に警報を出力する。
【0049】
画像表示制御部64は、他船舶の位置が
図9に示す(3)の領域に存在する場合、他船舶の位置が
図9に示す(2)の領域に存在する場合と同様の警報通知タイミングで警報を携帯端末6に出力すると同時に、危険を感じさせる警報音を携帯端末6に出力する。危険を感じさせる警報音は、例えば、100デシベル程度の耳を塞ぎたくなるような大きな音である。
【0050】
図10は、自船舶と他船舶との相対距離から警報通知タイミングを決定する方法において、他船舶が複数存在する場合の警報通知タイミングを説明する図である。警報通知タイミングは、
図9に示した場合と同様である。ただし、例えば、
図10に示すように、(1)に他船舶が複数存在する場合、画像表示制御部64は、他船舶毎に警報通知タイミングを決定せず、一括して一つの警報通知タイミングを決定する、つまり3回の警報を出力するのではなく、1回のみ警報を出力する。
【0051】
(警報パターン)
次に、画像表示制御部64が携帯端末6に警報を出力するパターン(以下、「警報パターン」という。)を説明する。
図11は、警報パターンを表した図である。
図11(A)に示す警報パターンは、ポップアップメッセージの表示と音声出力を行うパターンである。画像表示制御部64は、表示部63上に他船が近づいている旨を示すポップアップメッセージを表示する。また、画像表示制御部64は、他船が近づいている旨を示す音声又は警報音を示す信号を不図示の携帯端末6に搭載されている音出力部に出力する。これより、音声又は警報音は、音出力部から出力される。なお、音出力部は、例えばスマートフォンに搭載されているスピーカである。
【0052】
図11(B)に示す警報パターンは、
図11(A)に示す警報パターンに、背景フラッシュを追加したパターンである。背景フラッシュは、例えば画像表示制御部64が表示部63上に特定の表示を点滅または灯火するように、重ねて表示又は非表示させることで行われる。
【0053】
図11(C)に示す警報パターンは、
図11(A)に示す警報パターンに、携帯端末6の振動のバイブレーションを追加したパターンである。バイブレーションは、例えば画像表示制御部64が携帯端末6に搭載されているバイブレータに電圧を印加し、そのバイブレータを所定の振動パターンで振動させることで行われる。バイブレータは、印加される電気的条件に応じた周波数の振動を発生させる振動素子である。
図11(D)に示す警報パターンは、
図11(C)に示す警報パターンに、背景フラッシュを追加したパターンである。
【0054】
上述したように、本実施形態によれば、小型船舶の乗員は、小型船舶5にスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末6を搭載または持ち込み、所定のアプリケーションを起動するだけで、AIS等のような専用装置を備えることなく、船舶の船舶情報を簡易に取得し、この船舶情報に基づいて、携帯端末6の表示部63上に他船舶の位置情報等を表示させることができる。また、画像表示制御部64は、表示部63に2つの画面A、Bを表示し、画面Aには、カメラ機能で撮影した海上の景観を映像モニタに他船舶を表示する。これにより、小型船舶は、濃霧発生時や日没後など視界確保が難しい環境下においても、安全に運航することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、画像表示制御部64は、警報通知ゾーンを決定し、他の船舶が警報通知ゾーンに侵入した場合、携帯端末6に警報を出力する。これにより、自船舶に他船舶が接近した場合でも、小回りのきく小型船舶である自船舶が事前に回避行動を起こすことで、大型船舶との接触事故を未然に防ぐことができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、画像表示制御部64は、自船舶の移動速度に応じて、警報通知ゾーンの前方距離を拡大または縮小する。例えば、自船舶の移動速度が高くなるにつれて、画像表示制御部64は、警報通知ゾーンの前方距離を拡大する。これにより、他船舶が警報通知ゾーンに侵入した場合、自船舶の移動速度に関わらず、携帯端末6の表示部63上に警報を出力してから他船舶が自船舶の位置に到達する時間を一定に保つことができる。よって、自船舶の乗員は、自船舶の移動速度に関わらず、自船舶が他船舶との衝突を回避するために要する時間を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、他船舶が警報通知ゾーンに侵入した場合、画像表示制御部64は、他船舶が存在する警報通知ゾーン内の領域に応じて、警報通知タイミングを変更する。例えば、他船舶が自船舶に近づくにつれて、携帯端末6に警報を出力する周期を短くする。また、画像表示制御部64は、警報を出力する同時に警報音も出力することができる。これにより、自船舶の乗員は、目視で他船舶を確認することなく、他船舶が自船舶に近づいていることを認識することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、画像表示制御部64は、携帯端末6に警報を出力する際に、バイブレーションや警報音、背景フレッシュなどを用いて警報を出力することができる。よって、自船舶の乗員は、携帯端末6から離れている場合でも、他船舶が自船舶に近づいていることを音や光や振動などで認識することができるため、すぐに回避行動をとることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の変形、修正、置換、付加等が可能である。
上述の実施形態では、携帯端末6の画像表示制御部64において、警報通知ゾーンに他の船舶が侵入したか否かの判定を行ったが、本実施形態は、これに限られるものではない。例えば、警報通知ゾーンに他の船舶が侵入したか否かの判定を情報配信装置2で行ってもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、情報配信装置2は、生成した船舶情報をネットワーク10を介して携帯端末6のみに送信したが、これに限定されず、生成した船舶情報をネットワーク10を介して携帯端末6と大型船舶3のAIS4とに送信してもよい。例えば、情報配信装置2は、生成した船舶情報をネットワーク10のIP通信でAIS情報送受信変換部11に送信する。AIS情報送受信変換部11は、受信した船舶情報をネットワーク10のVHF帯の無線通信を利用してAIS4に送信し、AIS4の表示画面に小型船舶5の位置情報を表示する。
なお、AIS4はネットワーク10のIP通信から情報配信装置2で生成された船舶情報を直接得て、その表示画面に小型船舶5の位置情報を表示することも可能である。
これより、AIS4は、自身の表示画面に小型船舶5の位置情報を表示することができる。よって、大型船舶3の乗員は、AIS4を搭載していない小型船舶5の位置を把握することができる。
また、例えば、情報配信装置2は、自船舶の携帯端末6から受信した位置情報を他船舶の携帯端末に配信してもよい。これにより、小型船舶相互間で位置を把握することができ、小型船舶同士の衝突等を回避することが可能になる。