【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するため、本発明の第1の態様は、取付部材を被取付部材に取り付けるため、ピンと、前記ピンを挿入するための開口部を有するグロメットとを備えるクリップであって、
前記ピンは、円板状のピンフランジと、
前記ピンフランジの下面に形成された複数のガイドリブと、
前記ガイドリブの下方に延びるピン軸部と、を有し、
前記グロメットは、円筒形のグロメットフランジと、
前記グロメットフランジの内側の円周方向に沿って次第に高さが高くなり、前記ガイドリブの下面を押し上げるための複数の押上げ斜面と、
前記押上げ斜面に隣接し、前記ガイドリブの下面に当接するための上面が平らな複数の斜面上部平面と、
前記斜面上部平面に隣接し、前記ガイドリブの側面に当接するための縦方向に延びる複数の過回転防止壁と、を有する、ことを特徴とするクリップである。
【0014】
ピンのガイドリブを有し、グロメットが、押上げ斜面と、斜面上部平面と、過回転防止壁とを有すると、ピンを回転させることにより、ピンのガイドリブが、グロメットの押上げ斜面上に沿って押し上げられ、斜面上部平面上で過回転防止壁に当接して回転を止められ、本嵌合状態を解除することが出来る。
【0015】
前記押上げ斜面に隣接し、前記ガイドリブの外周に係合するため縦方向に延びる複数の回転抑制リブを有することが好ましい。
回転抑制リブと過回転防止壁の間にガイドリブを保持することにより本勘合状態が維持される。
【0016】
前記グロメットの前記回転抑制リブと、前記押上げ斜面と、前記斜面上部平面と、前記過回転防止壁との数は、それぞれ4つであることが好ましい。
回転抑制リブと、押上げ斜面と、斜面上部平面と、過回転防止壁とがこの順で4つづつあると、ピンを90°回転させると、グロメットからピンを浮き上がらせることが出来る。
【0017】
前記グロメットは、更に、
前記グロメットフランジの下面から斜め下方に延びる一対の脱落防止爪と、
前記グロメットフランジの下方に形成されたグロメット胴部と、
前記グロメット胴部の間にスリットをあけて形成された一対の拡開脚と、を有することが好ましい。
【0018】
グロメットがグロメットフランジの下面から斜め下方に延びる一対の脱落防止爪を有すると、ピンを抜け止めするのに使用することが出来る。
グロメットが一対の拡開脚を有すると、拡開脚先端部が広がって、取付部材を取り付けることが出来る。
【0019】
ピンがガイドリブを有し、グロメットが押上げ斜面を有すると、ピンを回転させるとき、ガイドリブが押上げ斜面上を摺動し、ピンを解除する方向に移動させることが出来る。
グロメットが斜面上部平面と過回転防止壁とを有すると、ピンを取り外すため回転させるとき、ガイドリブが、斜面上部平面上で過回転防止壁に当接する。そのため、ピンの回し過ぎを防止することが出来る。
【0020】
前記ピンの前記ピン軸部は、円柱状のピン軸上部と、前記ピン軸上部の下側の円周上に形成され、前記ピン軸上部より大径で、上面が斜面である複数のピン外周部と、前記ピン外周部の間のピン位置決め溝と、前記ピン外周部の下側に形成されたピン軸下部と、前記ピン軸下部の下側に形成され、ピン軸下部より小径の円柱状のピン下端円筒部と、を有することが好ましい。
前記ピン軸下部の断面は、ほぼ正方形で、各辺が緩やかにカーブすることが好ましい。
【0021】
ピン外周部と、ピン外周部の間のピン位置決め溝が形成されていると、グロメットの脱落防止爪がピン位置決め溝に位置するようにすることにより、ピンをグロメット内に押し込むとき、ピンとグロメットが回転しないようにすることが出来る。
【0022】
前記ピンの前記ピン位置決め溝内には、前記グロメットの前記脱落防止爪が係合するための脱落防止爪係合棚が形成されていることが好ましい。
ピン位置決め溝内に脱落防止爪係合棚があると、脱落防止爪が脱落防止爪係合棚に係合し、仮嵌合状態で、ピンが脱落しないように保持することが出来る。
【0023】
仮嵌合状態では、前記グロメットの前記脱落防止爪が、前記ピンの前記ピン位置決め溝に入り、前記ピンは、前記グロメットに対して回転しないように規制されることが好ましい。
脱落防止爪が、ピン位置決め溝に入っていると、仮嵌合状態から、ピンをグロメットに対して回転させずに押し込むことが出来る。
【0024】
仮嵌合状態では、前記脱落防止爪係合棚と、前記グロメットの前記脱落防止爪が係合し、前記ピンは抜け止めされ、
前記グロメットの一対の拡開脚先端部が、前記ピン下端円筒部の下側に係合し、前記ピンが誤って押し込まれないように保持することが好ましい。
【0025】
仮嵌合状態で、一対の拡開脚先端部が、ピン下端円筒部の下側に係合すると、ピンを容易に押し込めないように保持することが出来る。
仮嵌合状態で、脱落防止爪係合棚と脱落防止爪とが係合すると、ピンは仮嵌合状態から抜けないように保持される。
【0026】
本嵌合状態では、前記ピンの前記ガイドリブの外周部は、前記グロメットの前記過回転防止壁と、前記回転抑制リブとの間に係止され、
前記拡開脚先端部は、前記ピン軸下部により押し広げられて、一対の前記拡開脚の間隔が広くなり、
前記ピン軸上部に形成されたピン軸凸部が、前記脱落防止爪と係合し、前記ピンは抜け止めされることが好ましい。
【0027】
本嵌合状態で、ピンのガイドリブの外周部が、過回転防止壁と回転抑制リブとの間に入ると、ピンが容易に回転しないように保持される。
拡開脚先端部が、ピン軸下部により押し広げられると、グロメットフランジと、拡開脚との間に被取付部材と取付部材を挟むことが出来る。
ピン軸凸部が脱落防止爪と係合すると、ピンは確実に抜け止めされる。
【0028】
本嵌合状態で、前記ピンを回転させると、前記ピンの前記ガイドリブは、前記回転抑制リブと前記過回転防止壁との間の係合から外れ、前記グロメットの前記押上げ斜面上に沿って押し上げられ、
前記ガイドリブは、前記斜面上部平面上で前記過回転防止壁に当接して回転を止められることが好ましい。
【0029】
ピンを回転させることにより、ガイドリブが押上げ斜面上に沿って押し上げられ、本嵌合状態を容易に解除することが出来る。
ガイドリブが、斜面上部平面上で過回転防止壁に当接して回転を止められるので、ピンを必要以上に回転させることがない。
【0030】
前記過回転防止壁に当接した前記ピンを引き上げると、前記脱落防止爪の下面が前記ピン外周部の前記斜面に当接して、前記ピンは回転し、
前記グロメットの前記脱落防止爪は、前記ピンの前記ピン位置決め溝に入り、前記脱落防止爪係合棚に係合し、
前記グロメットの一対の前記拡開脚の先端部が、前記ピン下端円筒部の下側に係合し、前記仮嵌合状態に戻ることが好ましい。
【0031】
指で、ピンを引き上げると、ピンは回転させられ、脱落防止爪は、初めの仮嵌合状態の時とは、90°ずれた隣のピン位置決め溝に入る。グロメットとピンが仮嵌合状態に戻ると、そのままで再使用することが出来る。
【0032】
本発明の第2の態様は、取付部材を被取付部材に取り付けるため、ピンと、前記ピンを挿入するための開口部を有するグロメットとを備えるクリップであって、
前記ピンは、円板状のピンフランジと、
前記ピンフランジの下面に形成された複数のガイドリブと、
前記ガイドリブの下方に延びるピン軸部と、を有し、
前記グロメットは、円筒形のグロメットフランジと、
前記グロメットフランジの下面から斜め下方に延びる一対の脱落防止爪と、
前記グロメットフランジの下方に形成されたグロメット胴部と、
前記グロメット胴部の間にスリットをあけて形成された一対の拡開脚と、を有することを特徴とするクリップである。
【0033】
前記ピン軸部には縦方向に延びるピン位置決め溝が形成され、前記グロメットの前記脱落防止爪は、前記ピン位置決め溝に入り、前記ピンは前記グロメットに対して回転しないように規制されることが好ましい。
【0034】
前記グロメットは、前記グロメットフランジの内側に形成され、縦方向に延びる複数の回転抑制リブと、縦方向に延びる複数の過回転防止壁と、を有し、
前記ピンの前記ガイドリブの外周部は、前記グロメットの前記回転抑制リブと、前記過回転防止壁との間に係止されることが好ましい。
【0035】
本発明の第3の態様は、取付部材を被取付部材に取り付けるため、開口部を有するグロメットと共にクリップを構成するピンであって、
円板状のピンフランジと、
前記ピンフランジの下面に形成された複数のガイドリブと、
前記ガイドリブの下方に延びるピン軸部と、を有し、
前記ピン軸部は、ピン軸上部と、前記ピン軸上部の下側の円周上に形成され、前記ピン軸上部より大径で、上面が斜面である複数のピン外周部と、前記ピン外周部の間のピン位置決め溝と、前記ピン外周部の下側に形成されたピン軸下部と、前記ピン軸下部の下側に形成され、ピン軸下部より小径のピン下端円筒部と、を有することを特徴とするピンである。
【0036】
本発明の第4の態様は、取付部材を被取付部材に取り付けるため、ピンと共にクリップを構成し、前記ピンを挿入するための開口部を有するグロメットであって、
円筒形のグロメットフランジと、
前記グロメットフランジの内側の円周方向に形成された複数の回転抑制リブと、
前記グロメットフランジの内側に沿って次第に高さが高くなる複数の押上げ斜面と、
前記押上げ斜面に隣接し、上面が平らな複数の斜面上部平面と、
前記斜面上部平面に隣接し、縦方向に延びる複数の過回転防止壁と、
前記グロメットフランジの下面から斜め下方に延びる一対の脱落防止爪と、
前記グロメットフランジの下方に形成されたグロメット胴部と、
前記グロメット胴部の間にスリットをあけて形成された一対の拡開脚と、を有する、
ことを特徴とするグロメットである。