特許第6286781号(P6286781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286781
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】眼鏡型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20180226BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   H04N5/64 511A
【請求項の数】23
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-523709(P2016-523709)
(86)(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公表番号】特表2016-528533(P2016-528533A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】TR2014000079
(87)【国際公開番号】WO2014209244
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】61/839,983
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518020196
【氏名又は名称】シーワイ・ビジョン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CY VISION INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ハカン・ウレイ
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−189643(JP,A)
【文献】 特開2006−39271(JP,A)
【文献】 特開2000−111829(JP,A)
【文献】 特開2013−65022(JP,A)
【文献】 米国特許第8503087(US,B1)
【文献】 国際公開第2007/004377(WO,A1)
【文献】 特開2001−311946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 − 27/02
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側部と、その反対側の第2の側部とを有する平面的に延在する媒体であって、眼鏡のグラスの位置に取り付けられる少なくとも1つの空間光変調器(2)と、
前記空間光変調器(2)に対して前記第1の側部側の第1の領域に配置され、前記空間光変調器(2)の前記第1の側部の表面を直接照明する少なくとも1つの点光源(3)と、
を備え、
前記空間光変調器(2)の第2の側部の表面には、マトリックス状のマイクロリフレクタ(4)が取り付けられ、
前記マイクロリフレクタ(4)は、前記空間光変調器(2)に対して前記第1の側部側の第2の領域において、少なくとも1つの視聴領域の方向に前記点光源(3)からの光を向け、前記点光源(3)によって生成された発散照明を収束照明に変換する、眼鏡型画像表示装置(1)。
【請求項2】
前記空間光変調器(2)は、液晶ディスプレイ(LCD)である、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項3】
前記液晶ディスプレイ(LCD)は、位相限定空間光変調器(2)である、請求項2に記載の画像表示装置(1)。
【請求項4】
前記マイクロリフレクタ(4)は、半透明である、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項5】
前記マイクロリフレクタ(4)は、金属薄膜で被覆されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項6】
前記マイクロリフレクタ(4)は、同一の屈折率を有する2つの層の間に埋め込まれている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項7】
前記点光源(3)からの光は、小さな射出瞳のディスプレイを形成するために、瞳孔の中心の方向に反射される、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項8】
前記点光源(3)の発光帯に対応する波長のみを反射するフィルタ(5)を備える、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項9】
前記点光源(3)と前記空間光変調器(2)とは、偏光フィルムで結合されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項10】
前記マイクロリフレクタ(4)のサイズは、前記SLMのピクセルのサイズ以上であり、
前記マイクロリフレクタ(4)の間隔は、複数の視認可能な回折アーチファクト及びモアレパターンを回避するために非周期的である、
請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項11】
前記点光源(3)は、眼鏡のフレーム(6)に配置されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項12】
前記点光源(3)は、眼鏡のノーズブリッジ(7)に配置されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項13】
前記点光源(3)は、レーザダイオード又はVCSELなどの狭帯域光源である、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項14】
前記点光源(3)は、偏光板に結合されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項15】
左右の目(A)に照明を供給するために、請求項1に記載の画像表示装置を一対備える、画像表示装置(1)。
【請求項16】
前記マイクロリフレクタ(4)は、視聴者の瞳孔を追跡するようにアクティブ制御される、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項17】
前記マイクロリフレクタ(4)は、電子ディスプレイ及び自然のシーンの明るさを調整するようにアクティブ制御される、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項18】
前記空間光変調器のピクセルの強度は、配列された複数のプログラマブル・マイクロリフレクタ(4)を用いて制御される、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項19】
前記点光源(3)は、視聴者のそれぞれの目(A)に対して少なくとも2つ配置されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項20】
前記点光源(3)は、LED又はレーザダイオードから選択される赤色、緑色、及び青色の一式の光源である、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項21】
前記目の瞳孔(A)の位置を検出する瞳孔追跡カメラ(8)を備える、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項22】
前記目の瞳孔に対して光学的に共役な位置にある点光源(3)がオンされる、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【請求項23】
前記マイクロリフレクタ(4)には、射出瞳レプリケータ(10)が結合されている、請求項1に記載の画像表示装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、眼鏡型ウェアラブル画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェアラブルディスプレイは、仮想現実(バーチャル・リアリティVR)、拡張現実(オーグメンテッド・リアリティ、AR)、及び、3Dモバイルディスプレイを可能にする技術である。目に仮想画像を提供する多くのウェアラブル技術があるが、それらは全て、表示パネルと目との間にリレーレンズが必要である。
【0003】
ウェアラブルディスプレイの設計においては、画像を損失することなく目の動きを可能にするために、大きな視野(FOV)及び大きな射出瞳のサイズ(12〜15mm)を有することが望まれている。従来技術の実施形態においては、大きな視野(80度〜120度)を有する軍の頭部装着型のディスプレイHMD及び仮想現実ゴーグルのいくつかの例があるが、その視覚は非常に大きくなる。サイズ及び光学系の大きさを低減するための別のアプローチは、異なる解決策を利用する。(i)アクティブ瞳孔追跡は有望な解決策であるが、瞳孔を追跡するために提供される光学機構は非常に複雑である。(ii)特殊な光学リレーは、有望である光ガイドリレー、ホログラフリレー、又は基板ガイドリレーを用いることで、光学系をよりコンパクトにすることができるが、薄い形状因子を達成するために、視野を妥協する必要がある。(iii)特殊なコンタクトレンズを装着することを必要とするディスプレイ。米国特許8441731号明細書には、自発光型透過性有機ELを用いるルックアラウンド型の新規なディスプレイが開示されている。ディスプレイの視聴は、高視度センターレンズ及び偏光フィルタを備える特殊なコンタクトレンズを必要とする。(iv)制限された空間のために制限された分解能を有するコンタクトレンズに直接配置されるディスプレイ。個々のエミッタから照射される光は、コヒーレントではなく、エミッタがレンズによって結合されている場合を除いて、各エミッタからの回折によって網膜上に画像を書き込むために、或いは、回折の無い高指向性の光線を照射するために、使用されることはできない(ジャンニック P.ローランド,ケビン P.トンプソン,ハカン ユーリー,及びメイソン・トーマス、チャプタ:10.4.1「シースルー頭部装着型ディスプレイ(HWD)構造」、ビジュアル・ディスプレイ・テクノロジのハンドブック,2011)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許8441731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目は数センチの距離だけ目の前に配置されたディスプレイに焦点を合わせることができないので、ウェアラブルディスプレイは、画像生成装置から目への画像をリレーするために光学系を必要とする。要求されるリレー光学系及びレンズは、大きく、様々な光学設計上の制約のために小型化することができない。マイクロ技術の大きな進歩にもかかわらず、特にモバイルデバイス及び拡張現実(AR)のための3Dウェアラブルディスプレイにおける真の飛躍的進歩は、以下の2つの基本的な問題のために失われている。(i)画像ソースから目へのリレーレンズは、大きな視野及び3D認識を提供するために大きさを保たなければならない。(ii)視聴の快適性は、奥行きの手がかりを見失うために制限される。
【0006】
本発明の目的は、大きな視野を有し、3D認識を拡大するとともに、奥行きの手がかりを見失うことなく視聴の快適性を実現する画像表示装置の実現である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために実現された画像表示装置は、請求項1及び各請求項に記載されている。本画像表示装置は、少なくとも1つの空間光変調器と、少なくとも1つの点光源とを備え、前記点光源は、前記空間光変調器の前方に配置され、前記空間光変調器の前面を直接照明し、前記空間光変調器の裏面には、マトリックス状のマイクロリフレクタが取り付けられている。マイクロリフレクタは、マイクロミラーを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、画像表示装置、特にウェアラブルディスプレイデバイスのいくつかの基本的な課題を解決する。
【0009】
(i)空間光変調器と目との間のリレー光学系の除去。目の焦点の問題は、焦点の無限の深さを提供するピンホールの表示原理を用いて解決される。その結果、ウェアラブルディスプレイの小型化が、マイクロ技術の進歩を最大限活用することによって可能になる。
【0010】
(ii)認識エラー及び視聴の不快感を回避するために全ての基本的な3Dの奥行きの手がかりを提供する。2つの目は、分解能を損なうことなく、ディスプレイパネルよりも対象物の正確な深さで固定する必要があり、それにより、調節と収束との矛盾を排除する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の目的を達成するために実現された画像表示装置が、添付の図面に示されている。
図1図1は、本発明の好ましい実施形態である。
図2図2は、透過型表示装置及び点光源を用いる網膜上のピンホール画像のための実験装置である。
図3図3は、図2の装置を用いた予備実験結果である。
図4図4は、本発明の別の実施形態である。
図5図5は、スクリーンのSLM及びマイクロリフレクタ配列を用いた画像表示装置の基本動作である。
図6図6は、回転した眼球のためのスクリーンのSLM及びマイクロリフレクタ配列を用いた画像表示装置の基本動作である。
図7図7は、スーパーマルチビューを達成するために、それぞれの目に対して複数の光源を用いて瞳孔の中心に複合照明を有する視聴者の上面図である。
図8図8は、埋込み型マイクロリフレクタ、フィルタを備えるスクリーンの詳細である。
図9図9は、各リフレクタに埋込み型マイクロリフレクタ、フィルタ、回折格子を有するスクリーンの詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の画像表示装置(1)は、少なくとも1つの空間光変調器(2)と、少なくとも1つの点光源(3)とを備え、点光源(3)及び視聴者の目(A)は、点光源(3)が空間光変調器(2)の前面に直接照明するように、空間光変調器(SLM)の前方に配置され、マトリックス状のマイクロリフレクタ(4)が空間光変調器(2)の裏面に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の基礎は、ピンホールカメラの撮像原理である。本発明に開示される撮像原理に基づくピンホールは、SLM(2)と目(A)との間に外部リレーレンズを用いることなく、網膜上に直接的に広角画像を生成することができる。本発明では、点光源(3)によって生成された発散照明がマトリックス状のマイクロリフレクタ(4)によって収束照明に変換される(図1)。
【0014】
我々の目は、目の前のピンホールを用いて、25cmより近い対象物に焦点を合わせることはできないが、数cmだけ離れた対象物を容易に見ることはできる。画像生成装置のコンセプトに基づく網膜上へのレンズのない画像リレーは、ピンホールカメラの撮像原理に類似する、瞳孔の200μm〜1mmの範囲の部分を使用することに基づいているが、ウェアラブルディスプレイデバイスのために利用される。
【0015】
カメラの前方のピンホールを用いないピンホールカメラの撮像原理は、図2の実験装置を用いて説明される。SLM(2)は、視聴者の目(A)のすぐ近くにあり、SLM(2)と撮像カメラ(3B)との間には、リラックスした目を擬態するために25cmの距離に焦点を合わせる光学部品がない。点光源(3)は、大発光面積を有するLEDであり、当該面積は、調整可能な開口部(3A)を用いて効果的に低減されることができる。その結果が図3に見られる。当該図面における第1の画像は、開口部(3A)が完全に開いたときのカメラ(3B)の画像を示している。SLMの特性は解決できない。前記図面における第2の画像は、ピンホールカメラの効果を得るために、開口部(3A)が部分的に閉じられたときの分解能の改善を示している。図3における第3の画像は、第2の画像の拡大バージョンである。画像は焦点が合っているが、分解能は、接眼レンズ及び回折アーチファクトの制限される合焦力により約100μmに制限される。
【0016】
SMLからカメラ(又は目で視聴するときの網膜)への伝播に起因する回折アーチファクトは、達成可能な分解能を制限する。ディスプレイから網膜への伝達関数を計算することによって、SLMに計算機合成複合波関数(computer generated complex wave function)を表示することができ、回折アーチファクトを除去するとともに、高分解能の画像を網膜上に形成することができる。SLMのパターンは、複素数であり且つ急速に変化するシステムの伝達関数の逆関数を近似するカーネルを用いて計算することができる。位相限定カーネルは、(SLM技術の制限を考慮して)計算機合成ホログラム(CGH)及び位相回復システム(J.R.フィエン、「位相回復アルゴリズム:比較」、応用光学21.15、P.2758−2769(1982)、及びバックリー、エドワード等、「ランダム超解像位相マスクを有する2次元及び3次元ホログラフィックディスプレイの視野角の拡大」、応用光学45.28(2006):7334−7341)に用いられるものと同様のアルゴリズムを用いて設計される。また、カーネルは複数フレームで実行され、目の調整は個々の復元におけるノイズを除去する。
【0017】
表示される画像を前処理するためのアルゴリズムの開発及び最適化は、回折シミュレーション、画像処理を利用する計算の研究及び反復フーリエ変換アルゴリズムの使用を含んでいる。前記システムは、システムの伝達関数の逆関数を用いて得られる正確な複素数のデコンボリューションカーネルを用いてシミュレートすることができる。SLMに表示されるパターンは、ダイナミックレンジ及び位相/振幅の表示能力、異なるユーザの人体の画像較正要求、異なるLEDを作動させるためのアクティブ瞳孔追跡、リアルタイムの実行によって課される制約を考慮して最適化されることができる。
【0018】
我々の目は、目の前のピンホールを用いて25cmより近い対象物に焦点を合わせることができないが、数cmだけ離れた対象物を容易に見ることはできる。画像生成装置のコンセプトに基づく網膜上へのレンズのない画像リレーは、ピンホールカメラの撮像原理に類似する、瞳孔の1mm未満の部分を使用することに基づいている。画像は合焦であるが、分解能は回折アーチファクトによって約100μmに制限される。網膜画像の質を向上させるために、複合関数を用いることができる。このような位相及び振幅の複合関数は、高フレームレートでSLM(2)に一つ又は一連の画像として表されることができ、合成統合画像が視聴者の目(A)によって認識されることができる。
【0019】
同様に、図1のマトリックス状のマイクロリフレクタ(4)によって、光源からの光が視聴者の瞳孔の方向に向けられ、画像の細部が分解できるようになる。点光源(3)からの光は、小さな射出瞳のディスプレイを形成するように、瞳孔の中心の方向に反射される。前記画像は、異なる深さで焦点を合わされたままであり、当該異なる深さは、瞳孔の小さな部分のみが使用されるので、焦点の損失及び軸ずれ収差なしで所望の大きさの視野を確保する。
【0020】
本発明の好適な実施形態において、空間光変調器(2)は、液晶表示装置(LCD)である。LCDは、位相限定空間光変調器(2)である。
【0021】
本発明の好適な実施形態においては、半透明であるマイクロリフレクタ(4)が、マイクロリフレクタ(4)配列に用いられる。マイクロリフレクタ(4)は、同じ屈折率を有する2つの層の間に埋め込まれ、透過した光線の方向は、マイクロリフレクタ(4)によって影響されない。マトリックス状のマイクロリフレクタ(4)は、無定型連続面であってもよいし、個別の1D又は2Dマトリックス状のマイクロリフレクタ(4)、又は異なるタイプの反射面の組合せで構成されてもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、画像表示装置(1)は、フィルタ(5)を備えている。本発明の実施形態において、フィルタは、光源(3)の発光帯に対応する波長のみを反射する。マイクロリフレクタ(4)の透明度は、金属薄膜の被膜、誘電体反射層、誘電体反射層、偏光板、カラーフィルタなどのフィルタ(5)を用いて制御することができる。
【0023】
各マイクロリフレクタ(4)の大きさは、SLM(2)のピクセルと同じ大きさ以上であることが期待されるが、その間隔は、複数の視認可能な回折アーチファクト及びモアレパターンを回避するように最適化されることが求められる。1つの方法は、それらを非周期的にさせることである。
【0024】
本発明の好適な実施形態において、点光源(3)は、LEDである。
【0025】
本発明の実施形態において、点光源(3)は、端面放射型LEDである。
【0026】
本発明の他の実施形態において、点光源(3)は、レーザダイオード又はVCSELなどの狭帯域光源である。本発明の他の実施形態において、光源(3)及び空間光変調器(2)は、偏光フィルムと結合される。偏光フィルムは、フィルムの異なる部分において異なる偏光特性を有するようにパターニングされている。
【0027】
本発明の好適な実施形態において、画像表示装置(1)は、眼鏡型である。本発明の前記実施形態のバージョンにおいて、点光源(3)は、フレーム(6)の眼鏡に配置される(図1)。
【0028】
本発明の前記実施形態の別のバージョンにおいて、点光源(3)は、眼鏡のノーズブリッジ(7)に配置される。本実施形態は、大きな視野のディスプレイを可能にするとともに、視聴者の顔の周囲に配置される曲率を有するスクリーン表面を可能にする(図4)。
【0029】
本発明の他の実施形態において、現実世界の画像と点光源(3)及びSLM(2)の組合せによって形成される画像とが、網膜上に重ね合わされる。SLM(2)の後方に配置されるマイクロリフレクタ(4)は、入ってくる光線に適当な傾斜を与え、視聴者の目(A)に向かわせる(図5)。
【0030】
目が他の位置に回転されたときの画像形成は、眼の瞳孔の中心の光学的に共役な位置(optical conjugate)に位置する、他の点光源(3)を作動させることによって達成される(図6)。
【0031】
本発明の好適な実施形態において、マトリックス状のマイクロリフレクタ(4)は、半透明又は半透過である。透明度は、光源の発光帯に対応する波長のみを反射する金属薄膜の被膜、誘電体反射層、偏光板、カラーフィルタなどのフィルタ(5)を用いて制御することができる。透明性は、同じ屈折率を有する2つの層の間にマイクロリフレクタ(4)を埋め込むことによって達成することができ、透過した光線の方向は、マイクロリフレクタ(4)によって影響されない(図7及び図8)。特定の光源の波長における付加的なARノッチコーティングが、フィルタの効率を増加させるために適用されてもよい。
【0032】
本発明の別の実施形態において、マイクロリフレクタ(4)には、射出瞳レプリケータ(10)が結合される。射出瞳レプリケータ(10)は、複数の射出瞳を生成することができ、バイナリ型回折格子などの格子、異なる傾きを有するミラー列、又はマイクロレンズ列から選択されてもよい。格子の場合、格子パターンの周期は、回折格子のパターンの少なくとも3周期分が各マイクロリフレクタ(4)と密接するように、マイクロリフレクタ(4)よりも小さくすべきである。好適な実施形態において、格子パターンの周期は、複製された射出瞳が目の瞳孔の大きさよりも大きい距離分離されるように、十分小さくするべきである(図9)。その結果、光は、複製された瞳孔の1つのみから瞳孔に入ることができる。格子が使用される場合、複製される瞳孔の間隔は、波長によって異なる。僅かに異なる傾きを有するミラー列などの非周期的なパターンが使用される場合、色依存分離(color dependent separation)の問題を軽減することができる。
【0033】
本発明の別の実施形態において、画像表示装置(1)は、2組の点光源(3)を備えている。3Dバージョンの眼鏡の後方には、仮想点光源が設けられている。前記システムは、左右の目(A)に照明を供給するために眼鏡に結合された2つの光源(R1)及び(L1)(3)を用いる。SLM(2)は空間情報を表示し、SLM(2)の後方に配置されたマイクロリフレクタ(4)は光線を目(A)に向ける。マイクロリフレクタ(4)は、好ましくは半透明であり、自然なビジョンと重ね合わされる電子表示情報を可能にする。また、自然なビジョンを完全に閉塞するマイクロリフレクタ(4)を作製してもよい。好適な構成において、マイクロリフレクタ(4)は受動的であり、マイクロリフレクタ(4)からの入射角及び反射角は、表面により変化するマイクロリフレクタ(4)の傾斜角度によって制御される。SLM(2)は、偏光光源(3)と、SLM(2)とマイクロリフレクタ(4)との間の他の偏光板とを用いて各ピクセルの輝度を制御するように使用されてもよい(図5)。
【0034】
別の実施形態において、マイクロリフレクタ(4)は、視聴者の瞳孔を追跡するか、或いは、電子ディスプレイ及び自然のシーンの明るさを調整するように積極的に制御される。本実施形態の好適なバージョンにおいて、光(R1)及び(L1)(3)からの光は、透過モードにおいて表示スクリーンの出口で遮断され、他を見るために眼鏡から離れて照射される光がない。これは、マイクロリフレクタ(4)の後方に4分の1波長板及び付加的な偏光板を用いることによって達成される。本実施形態の別のバージョンにおいて、光は、マイクロリフレクタ(4)の後方で眼鏡に取り付けられたLCDシャッター等のアクティブシャッターフィルタを用いて遮断されてもよい。本実施形態の別のバージョンにおいて、マイクロリフレクタ(4)は、アクティブシャッターフィルタの一部であり、当該シャッターフィルタが開いているときに伝達し、当該シャッターフィルタが閉じているときに反射する。また、SLM(2)及び光源(3)は、アクティブシャッターフィルタに同期して動作する。すなわち、SLM(2)及び光源(3)は、アクティブシャッターフィルタが閉じているときにオンし、アクティブシャッターフィルタが開いているときにオフする。これにより、自然のシーンからの透過光及び電子ディスプレイからの反射光の強度を制御することができる。アクティブシャッターフィルタの動作周波数は、認識された画像にフリッカーが生じないように、目(A)が認識するよりも早くすべきである。本実施形態の別のバージョンにおいて、表面の薄膜の被膜が、光源(3)から放射される特定の波長帯域の透過光を吸収するためにノッチフィルタとして使用される(図5及び6)。
【0035】
本発明の実施形態において、SLM(2)のピクセルは同一であり、色フィルタは使用されない。赤色、緑色、青色のカラー画像は、光源(3)としてR、G、BのLEDを用いて、時系列に得られる。
【0036】
別の実施形態においては、白色LEDが使用されるともに、カラーフィルタがカラーLCDに類似するピクセルの前に使用されてもよい。
【0037】
本発明の別の実施形態において、SLM(2)のピクセルの強度は、マトリックス状のプログラマブル・マイクロリフレクタ(4)を用いて制御される。所望の方向にマイクロリフレクタ(4)を傾けることで、所望の射出瞳が形成される。また、ピクセルの強度は、ピクセルの一部の持続時間、所望の射出瞳の方向に向けるようにマイクロリフレクタ(4)を傾けるとともに、ピクセルの残りの持続時間、目の瞳孔(A)から離れるようにマイクロリフレクタ(4)を傾けることによって制御される。また、ピクセルの強度は、反射型SLM(2)に用いられるパルス変調及びデジタル変調技術を利用して制御されてもよい(図8)。
【0038】
本発明の別の実施形態において、画像表示装置(1)は、各側部にそれぞれ2つの、4つの点光源(3)を備えている。本実施形態の好適なバージョンにおいて、次の順序の画像が、1フレームあたり60Hzに対応する180Hzのレートで表示される:フレーム1:R1,G2,B1、フレーム2:R2,G1,B2、奇数フレーム:フレーム1と同じ、偶数フレーム:フレーム2と同じ。R,G,Bは赤色,緑色,青色のチャネルを表し、「1」及び「2」は透視画像L1及び透視画像L2を表している。結果として、2つの透視画像は、全フレームレートを倍増させることなく、60fpsで同時に表示することができる(K.アクシト、O.エルデス、S.ヴィシュワナサン、M.フリーマン、H.ユーリー、「混合偏光技術を用いる携帯型3Dレーザープロジェクタ」、ディスプレイ・オブ・ジャーナル、vol.8(10),582−589頁,2012年)。それにより、スーパーマルチビュー3Dバージョンの眼鏡の後方に2つの仮想点光源を形成する好適な構成が達成される(図7)。
【0039】
本発明の実施形態において、画像表示装置(1)は、眼の瞳孔(A)の位置を検出してフィードバックする瞳孔追跡カメラ(8)を備えている。瞳孔の位置に基づいて、瞳孔に対して光学的に共役な位置にある光源(3)がオンする。インタフェースケーブル(9)は、ビデオエレクトロニクス及びバッテリーに対する接続を提供する。映像情報は、頭部装着型のユニットにモバイルコンピュータからリレーされるか、或いは、リモートコンピュータから無線通信を利用してリレーされる。前記概念は、異なるタイプの頭部及びヘルメット装着型のディスプレイ、頭部及びヘルメット装着型のプロジェクタ、頭部装着型のプロジェクタに統合することができる。加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、光レベルセンサなどの付加的なセンサは、公知技術にある付加的な機能のために、前記システムに統合されてもよい。好適な実施形態において、表示される内容は、視聴者の位置及び角度に基づいて変更することができる。視聴者の視線及び環境光レベルに基づいて、明るさ、コントラスト、及びディスプレイに使用される視野の一部が調整されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 画像表示装置
2 空間光変調器
3 点光源
3A 開口部
3B カメラ
4 マイクロリフレクタ
5 フィルタ
6 フレーム
7 ノーズブリッジ(鼻梁)
8 瞳孔追跡カメラ
9 インターフェイスケーブル
10 射出瞳孔レプリケータ(Exit pupil replicator)
図1
図2
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図7
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図9