(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の動作モードは、前記クランプスイッチング素子をオン状態に固定して前記第1のスイッチング素子ないし前記第4のスイッチング素子をスイッチングする動作を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のDC−DCコンバータ。
前記第3の動作モードは、前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードにおける前記クランプスイッチング素子のスイッチング周波数より低いスイッチング周波数で前記クランプスイッチング素子をスイッチングする動作を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のDC−DCコンバータ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるDC−DCコンバータ9の回路構成図である。
図1に示すように、DC−DCコンバータ9は、スイッチング回路1,2と、電圧クランプ回路3と、これらの回路が備えた各スイッチング素子のオンオフ状態を制御する制御部5とを備える。DC−DCコンバータ9は、直流電源V1(第1の直流電源)と、直流負荷4が接続された直流電源V2(第2の直流電源)との間に接続される。DC−DCコンバータ9は、直流電源V1から直流負荷4や直流電源V2に電力を供給したり、直流電源V2から直流電源V1に電力を供給するものである。
【0018】
スイッチング回路1(第1のスイッチング回路)の直流端子間であるノードNd5,Nd6間には、平滑コンデンサC1(第1の平滑コンデンサ)が接続される。スイッチング回路1の交流端子間であるノードNd1,Nd2間には、共振コンデンサCrと共振インダクタLrと巻線N1(一次巻線)とが直列接続される。この共振コンデンサCrには、巻線N1に流れる電流の直流成分を除去してトランスTの偏磁を軽減する効果がある。
スイッチング回路2の直流端子間であるノードNd7,Nd8間には、平滑インダクタLと平滑コンデンサC2(第2の平滑コンデンサ)とが直列接続される。スイッチング回路2の交流端子間であるノードNd3,Nd4間には、巻線N2(二次巻線)が接続される。
トランスTは、巻線N1と巻線N2とを磁気結合する。
スイッチング回路1に接続される平滑コンデンサC1の両端間(第1の端子間)は、ノードNd5,Nd6である。スイッチング回路2に接続される平滑コンデンサC2(第2の平滑コンデンサ)の両端間(第2の端子間)は、ノードNd9,Nd10である。ノードNd5,Nd6と、ノードNd9,Nd10とが、このDC−DCコンバータ9の入出力端子間である。ノードNd5,Nd6には、直流電源V1が並列接続される。ノードNd9,Nd10には、直流電源V2が並列接続される。
【0019】
スイッチング回路2(第2のスイッチング回路)は、フルブリッジ接続されたスイッチング素子S1〜S4を含んで構成される。すなわち、スイッチング素子S1(第1のスイッチング素子)と、スイッチング素子S2(第2のスイッチング素子)とは、ノードNd3で直列接続されて第1のスイッチングレッグを構成する。スイッチング素子S3(第3のスイッチング素子)とスイッチング素子S4(第4のスイッチング素子)とは、ノードNd4を介して直列接続されて第2のスイッチングレッグを構成する。このスイッチング回路2は、第1のスイッチングレッグと第2のスイッチングレッグとを並列接続し、第1のスイッチングレッグの両端間であるノードNd7,Nd8間を直流端子間とし、ノードNd3,Nd4間を交流端子間としている。
【0020】
スイッチング回路1は、スイッチング回路2と同様に、フルブリッジ接続されたスイッチング素子H1〜H4を含んで構成される。すなわち、スイッチング素子H1(第5のスイッチング素子)と、スイッチング素子H2(第6のスイッチング素子)とは、ノードNd1を介して直列接続されて第3のスイッチングレッグを構成する。スイッチング素子H3(第7のスイッチング素子)と、スイッチング素子H4(第8のスイッチング素子)とは、ノードNd2を介して直列接続されて第4のスイッチングレッグを構成する。スイッチング回路1は、第3のスイッチングレッグと第4のスイッチングレッグとを並列接続し、第3のスイッチングレッグの両端間であるNd5,Nd6間を直流端子間とし、ノードNd1,Nd2間を交流端子間としている。
【0021】
電圧クランプ回路3は、直列接続されたスイッチング素子S0(クランプスイッチング素子)とクランプコンデンサCcとを含んでいる。第1実施形態の電圧クランプ回路3は、スイッチング回路2の直流端子間に接続される。これにより、電圧クランプ回路3は、この端子間に印加されるサージ電圧を抑制することができる。
【0022】
スイッチング素子H1〜H4,S0〜S4には、それぞれダイオードDH1〜DH4,DS0〜DS4が逆並列接続される。これらスイッチング素子H1〜H4,S0〜S4としてMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を用いた場合には、MOSFETの寄生ダイオードを利用することができる。よって、ダイオードDH1〜DH4,DS0〜DS4は省略可能となる。
【0023】
平滑コンデンサC1とスイッチング素子H1〜H4とは、電圧形フルブリッジ回路を構成する。平滑インダクタLとスイッチング素子S1〜S4とは、電流形フルブリッジ回路を構成する。第1の実施形態のDC−DCコンバータ9は、この電圧形フルブリッジ回路と電流形フルブリッジ回路とが、トランスTで接続されて構成される。電流形フルブリッジ回路には更に、スイッチング素子S0とクランプコンデンサCcとで構成された電圧クランプ回路3が接続される。
【0024】
クランプコンデンサCcには、電圧センサ10が接続され、クランプコンデンサCcの電圧を検出する。平滑コンデンサC1には、電圧センサ11が接続され、電圧形フルブリッジ回路の直流入出力電圧を検出する。また、平滑コンデンサC2には、電圧センサ12が接続され、電流形フルブリッジ回路の直流入出力電圧を検出する。電流センサ13は、平滑インダクタLの電流を検出する。これらの電圧センサ10,11,12の出力側と、電流センサ13の出力側とは、制御部5に接続される。
制御部5は、スイッチング素子H1〜H4,S0〜S4のゲートに接続され、これらスイッチング素子H1〜H4,S0〜S4を制御する。
【0025】
制御部5は、ノードNd5,Nd6間(第1の端子間)に入力した電力を、ノードNd9,Nd10間(第2の端子間)に出力する降圧動作モード(第1の動作モード)、または、ノードNd9,Nd10間に入力した電力をノードNd5,Nd6間に出力する昇圧動作モード(第2の動作モード)で制御可能である。降圧動作モードは、後記する
図2ないし
図7で詳細に説明する。昇圧動作モードは、後記する
図8ないし
図15で詳細に説明する。
制御部5は更に、降圧動作モードの後または昇圧動作モードの中断後に、クランプスイッチング素子S0をスイッチングしてクランプコンデンサCcが放電した電力をノードNd5,Nd6間および/またはノードNd9,Nd10間に出力する放電動作モード(第3の動作モード)で制御し、その後に昇圧動作モードで制御する。放電動作モードは、後記する
図19ないし
図21で詳細に説明する。
【0026】
以下、
図2ないし
図7を用いて、
図1に示すDC−DCコンバータ9が、直流電源V1から直流電源V2へ電力供給する降圧動作を説明する。
図2ないし
図7は、それぞれモードa1〜a6におけるDC−DCコンバータ9の回路動作を示している。以下の
図2ないし
図7では、DC−DCコンバータ9の回路の要部のみを示し、更に破線矢印で電流の流れを示している。
【0027】
なお、本明細書では、オン状態のスイッチング素子の両端の電圧や、ダイオードの順方向降下電圧と同等程度かそれ以下の電圧のことを、「ゼロ電圧」と記載する。また、スイッチング素子の両端の電圧がゼロ電圧のときに、このスイッチング素子をターンオンすることを「ゼロ電圧スイッチング」と記載する。ゼロ電圧スイッチングには、スイッチング損失を抑える効果がある。
【0028】
図2は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作のうちモードa1を示す図である。
図2に示すように、モードa1では、スイッチング素子H1,H4がオン状態、スイッチング素子H2,H3がオフ状態であり、直流電源V1の電圧が、スイッチング素子H1,H4、共振コンデンサCr、共振インダクタLrを介して巻線N1に印加されている。スイッチング素子S2,S3はオフ状態であり、巻線N2に生じた電圧が、ダイオードDS1,DS4を介して平滑インダクタLと直流電源V2に印加され、平滑インダクタLの電流が直流電源V2に供給されている。
【0029】
このとき、スイッチング素子S1〜S4としてMOSFETを用いている場合は、スイッチング素子S1,S4をオン状態にすれば、ダイオードDS1,DS4に流れる電流をスイッチング素子S1,S4へ分流することで損失を低減できる場合がある。このように、MOSFETと逆並列接続されたダイオード、またはMOSFETの寄生ダイオードに、ダイオードの順方向電流が流れるとき、このMOSFETをオン状態にして損失を低減することを、以下「同期整流」と記載する。
【0030】
また、巻線N2に生じた電圧が、ダイオードDS0,DS1,DS4を介してクランプコンデンサCcを充電している。このとき、制御部5は、スイッチング素子S0をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。
【0031】
図3は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作のうちモードa2を示す図である。
モードa1(
図2参照)において、制御部5がスイッチング素子H4をターンオフすると、スイッチング素子H4を流れていた電流はダイオードDH3に転流し、
図3に示すモードa2の状態になる。このとき、制御部5は、スイッチング素子H3をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。共振インダクタLrに流れる電流は、巻線N1、ダイオードDH3、スイッチング素子H1、共振コンデンサCrを通る経路で環流する循環電流となる。
【0032】
スイッチング素子S0はオン状態を継続しており、クランプコンデンサCcの電圧が、ダイオードDS1,DS4を介して巻線N2に印加されている。巻線N1に生じた電圧が、ダイオードDH3、スイッチング素子H1、共振コンデンサCrを介して共振インダクタLrに印加され、共振インダクタLrに流れる循環電流が減少してゆく。このとき、クランプコンデンサCcの放電電流は、スイッチング素子S0、平滑インダクタLを介して出力に供給される。
【0033】
図4は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作のうちモードa3を示す図である。
モードa2(
図3参照)において、制御部5がスイッチング素子S0をターンオフすると、クランプコンデンサCcの放電が終了し、
図4に示すモードa3の状態になる。スイッチング素子S0を流れていた電流は、ダイオードDS1〜DS4に転流し、平滑インダクタLに流れる電流がダイオードDS1〜DS4に分流した状態になる。このとき、制御部5がスイッチング素子S2,S3をオンすれば、同期整流が実行される。平滑インダクタLの電流は、巻線N2とダイオードDS1〜DS4を通り、直流電源V2に供給される。
【0034】
モードa3では、巻線N2には電圧が印加されなくなるため、巻線N1に電圧が生じなくなる。したがって、この電圧が共振インダクタLrに印加されなくなるから循環電流の減少も終了し、モードa2にて低減された循環電流が維持される。
【0035】
図5は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作のうちモードa4を示す図である。
モードa3(
図4参照)において、制御部5がスイッチング素子H1をターンオフすると、スイッチング素子H1を流れていた電流は、直流電源V1を介してダイオードDH2に転流し、
図5に示すモードa4の状態になる。このとき、制御部5は、スイッチング素子H2をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。共振インダクタLrの電流は、巻線N1、ダイオードDH3を通る経路で直流電源V1へ流れ、この直流電源V1からダイオードDH2、共振コンデンサCrを通る経路で共振インダクタLrに戻る。共振インダクタLrには直流電源V1の電圧が印加され、共振インダクタLrの電流は減少してゆく。同期整流のためにオンしているスイッチング素子S1,S4は、モードa5が終了するまでにオフしておく。
【0036】
図6は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作のうちモードa5を示す図である。
モードa4(
図5参照)において、共振インダクタLrの電流が減少してゼロに達した後は、
図6に示すモードa5の状態になる。スイッチング素子H2,H3はオン状態であるから、共振インダクタLrの電流は逆向きに増加してゆく。これに伴い、巻線N1,N2を流れる電流も向きを反転して増加し、ダイオードDS1,DS4の電流は減少してゆく。
【0037】
図7は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作のうちモードa6を示す図である。
モードa5(
図6参照)において、巻線N2の電流が平滑インダクタLの電流に達し、ダイオードDS1,DS4の電流がゼロに達すると、ダイオードDS1,DS4に逆回復電流が流れる。その後、ダイオードDS1,DS4が逆回復すると、この逆回復電流はダイオードDS0に転流し、モードa6の状態になる。このとき、制御部5は、スイッチング素子S0をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。制御部5は、例えば、電圧センサ10でクランプコンデンサCcの電圧上昇を検知することにより、ダイオードDS0への転流を検知する。
【0038】
直流電源V1の電圧が巻線N1に印加される。巻線N2に生じた電圧が、ダイオードDS2,DS3を介して平滑インダクタLと直流電源V2に印加され、平滑インダクタLの電流が直流電源V2に供給される。また、巻線N2に生じた電圧が、ダイオードDS0を介してクランプコンデンサCcに印加され、クランプコンデンサCcは充電される。
このモードa6は、モードa1(
図2参照)の対称動作である。以降、DC−DCコンバータ9は、モードa2〜a5の対称動作の後、モードa1(
図2参照)へ戻る。
【0039】
以上のように、スイッチング回路2の直流端子間の電圧は、1スイッチング周期の間に変化する。一方、平滑コンデンサC2(
図1参照)すなわち直流電源V2の電圧は、1スイッチング周期を通して概ね所定値を維持する。ここで、一般的に定常状態におけるインダクタの両端電圧の1スイッチング周期における平均値はゼロになる。また、クランプコンデンサCcは、スイッチング回路2の直流端子間の概ねピーク電圧で充電される。したがって、この降圧動作中に、クランプコンデンサCcは、平滑コンデンサC2の電圧よりも高い電圧に充電される。平滑コンデンサC2の電圧とは、すなわち出力電圧である。
【0040】
図8ないし
図15を用いて、直流電源V2から直流電源V1へ電力供給する昇圧動作を説明する。
図8ないし
図15は、それぞれモードb1〜b8における回路動作を示す。
【0041】
図8は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb1を示す図である。
図8に示すモードb1では、スイッチング素子S1〜S4がオン状態、スイッチング素子S0がオフ状態である。平滑インダクタLに直流電源V2の電圧が印加され、エネルギを蓄積している。また、スイッチング素子H1,H2,H4がオフ状態、スイッチング素子H3がオン状態である。共振インダクタLrには、共振コンデンサCr、ダイオードDH1、スイッチング素子H3、巻線N1を通る経路で電流が流れている。
【0042】
図9は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb2を示す図である。
モードb1(
図8参照)において、制御部5がスイッチング素子S2,S3をターンオフすると、スイッチング素子S2,S3を流れていた電流は、ダイオードDS0に転流してクランプコンデンサCcを充電し、
図9に示すモードb2の状態になる。このとき、制御部5は、スイッチング素子S0をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。巻線N2にはクランプコンデンサCcの電圧が印加され、巻線N1に電圧が生じる。この巻線N1の電圧は共振インダクタLrに印加されるため、共振インダクタLrの電流は増加してゆく。平滑インダクタLに蓄積されたエネルギは放出されていく。
【0043】
図10は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb3を示す図である。
モードb2(
図9参照)において、制御部5がスイッチング素子H3をターンオフすると、スイッチング素子H3を流れていた電流はダイオードDH4に転流し、
図10に示すモードb3の状態になる。このとき、制御部5は、スイッチング素子H4をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。共振インダクタLrの電流は、共振コンデンサCr、ダイオードDH1を通る経路で直流電源V1へ流れ、この直流電源V1からダイオードDH4、巻線N1を通る経路で電流が流れる。これにより、直流電源V1にエネルギが供給される。
【0044】
図11は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb4を示す図である。
モードb3(
図10参照)において、共振インダクタLrの電流の増加に伴い、クランプコンデンサCcの充電電流は減少していき、やがて放電に転じると、
図11に示すモードb4の状態になる。スイッチング素子S0はオン状態であるから、引き続きクランプコンデンサCcの電圧が巻線N2に印加されている。
【0045】
図12は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb5を示す図である。
モードb4(
図11参照)において、制御部5がスイッチング素子S0をターンオフすると、スイッチング素子S0に流れていたクランプコンデンサCcの放電電流がダイオードDS2,DS3に転流し、
図12に示すモードb5の状態になる。このとき、制御部5は、スイッチング素子S2,S3をターンオンする(ゼロ電圧スイッチング)。巻線N2にクランプコンデンサCcの電圧が印加されなくなるため、巻線N1に電圧が生じなくなり、共振インダクタLrには直流電源V1の電圧が印加され、共振インダクタLrの電流は減少してゆく。また、モードb1と同様に直流電源V2のエネルギを平滑インダクタLに蓄積している。
【0046】
図13は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb6を示す図である。
モードb5(
図12参照)において、共振インダクタLrの電流の減少に伴い、スイッチング素子S2,S3の電流の向きが反転すると、
図13に示すモードb6の状態になる。
【0047】
図14は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb7を示す図である。
モードb6(
図13参照)において、共振インダクタLrの電流が更に減少しゼロに達すると、
図14に示すモードb7の状態になる。スイッチング素子H4はオン状態であるから、ダイオードDH1の逆回復電流が、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、巻線N1、スイッチング素子H4を通る経路で電流が流れ、この逆回復電流が共振インダクタLrに蓄積される。
【0048】
図15は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちモードb8を示す図である。
モードb7(
図14参照)において、ダイオードDH1が逆回復すると、ダイオードDH1に流れていた逆回復電流がダイオードDH2に転流し、
図15に示すモードb8の状態になる。共振インダクタLrに回収したダイオードDH1の逆回復電流は、スイッチング素子H4、ダイオードDH2、共振コンデンサCr、共振インダクタLr、巻線N1を通る経路で環流する。
このモードb8は、モードb1の対称動作である。以降、DC−DCコンバータ9は、モードb2〜b7の対称動作の後、モードb1(
図8参照)へ戻る。
【0049】
以上のように、この昇圧動作中にも降圧動作中と同様に、クランプコンデンサCcは、平滑コンデンサC2(
図1参照)の電圧すなわち入力電圧よりも高い電圧に充電されている。
この昇圧動作では、基本的にはスイッチング素子S1〜S4の全てをオン状態に保つモードb5〜b8の期間を変化させることにより出力電力を増減させる。
【0050】
図16ないし
図18に示す波形は、昇圧動作におけるスイッチング素子S0〜S4のオンオフ状態VgS0〜VgS4を示す波形である。
図16は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちスイッチング動作(その1)を示すタイミングチャートである。
時刻t0aにおいて、スイッチング素子S0がターンオフし、スイッチング素子S2,S3がターンオンする。スイッチング素子S1,S4は、オンを継続する。
時刻t1aにおいて、スイッチング素子S0がターンオンし、スイッチング素子S1,S4がターンオフする。スイッチング素子S2,S3は、オンを継続する。
時刻t2aにおいて、スイッチング素子S0がターンオフし、スイッチング素子S1,S4がターンオンする。スイッチング素子S2,S3は、オンを継続する。
時刻t3aにおいて、スイッチング素子S0がターンオンし、スイッチング素子S2,S3がターンオフする。スイッチング素子S1,S4は、オンを継続する。以降、各スイッチング素子は、同様な動作を繰り返す。
時刻t0a〜t1aは、モードb5〜b8の期間に相当する。スイッチング素子S0は、スイッチング素子S1〜S4の全てがオン状態の期間を除いた期間にオン状態としている。
【0051】
図17は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちスイッチング動作(その2)を示すタイミングチャートである。
各時刻t0b〜t3bは、それぞれ
図16に示す時刻t0a〜t3aに対応している。
図16のスイッチング動作の後、
図17に示すように、各スイッチング素子S1〜S4のオン期間を短くすることにより、スイッチング素子S1〜S4の全てをオン状態に保つモードb5〜b8の期間が短くなり出力電力が減少する。このとき、スイッチング素子S0のオン期間は増加する。このように、スイッチング素子S1〜S4のオン期間を短くすると、スイッチング素子S0のオン期間は長くなる。
【0052】
図18は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の昇圧動作のうちスイッチング動作(その3)を示すタイミングチャートである。
図17のスイッチング動作の後、制御部5は、さらに出力電力を減少させるために、各スイッチング素子S1〜S4のオン期間を短くする。これにより、
図18に示すようにスイッチング素子S1〜S4の全てがオン状態となる期間がなくなり、スイッチング素子S0は常にオン状態となる。
具体的には、時刻t10において、スイッチング素子S2,S3がターンオンする。スイッチング素子S0は、オンを継続する。スイッチング素子S1,S4は、オフを継続する。
時刻t11において、スイッチング素子S2,S3がターンオフする。スイッチング素子S0は、オンを継続する。スイッチング素子S1,S4は、オフを継続する。
時刻t12において、スイッチング素子S1,S4がターンオンする。スイッチング素子S0は、オンを継続する。スイッチング素子S2,S3は、オフを継続する。
時刻t13において、スイッチング素子S1,S4がターンオフする。スイッチング素子S0は、オンを継続する。スイッチング素子S2,S3は、オフを継続する。以降、各スイッチング素子は、同様な動作を繰り返す。
【0053】
一般的にDC−DCコンバータでは、電力変換動作を開始する場合、回路中に過大な電流が流れないようにするために出力を絞った状態で動作を開始し、徐々に出力を増加させるようにする。第1の実施形態のDC−DCコンバータ9において、出力を絞った状態で昇圧動作を開始する場合には、前述のようにスイッチング素子S1〜S4のオン時間比率が低く、スイッチング素子S0のオン時間比率が高い状態で昇圧動作を開始することになる。
【0054】
しかしながら、第1の実施形態のDC−DCコンバータ9のクランプコンデンサCcは、降圧動作中や昇圧動作中において、降圧動作時の出力電圧や昇圧動作時の入力電圧よりも高い電圧に充電されている。このクランプコンデンサCcの電圧は、降圧動作や昇圧動作の停止後も残っている。なお、降圧動作時の出力電圧や昇圧動作時の入力電圧とは、平滑コンデンサC2(
図1参照)の電圧のことである。したがって、この電圧がクランプコンデンサCcに残った状態で昇圧動作を開始すると、スイッチング素子S0のオン時間比率が高いために、スイッチング素子S0や平滑インダクタLに過大な電流が流れる場合がある。
そこで、第1の実施形態のDC−DCコンバータ9では、降圧動作や昇圧動作の停止時に、次に述べる放電動作を実施して、クランプコンデンサCcに残った電圧を放電するようにしている。
【0055】
図19ないし
図21を用いて、クランプコンデンサCcに残った電圧を直流電源V2へ放電する放電動作を説明する。
図19ないし
図21は、それぞれモードc1〜c3における回路動作を示す。
【0056】
図19は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の放電動作のうちモードc1を示す図である。
図19に示すように、モードc1では、スイッチング素子S0がオン状態、スイッチング素子S1〜S4がオフ状態である。クランプコンデンサCcの電圧が、平滑インダクタLと直流電源V2に印加され、平滑インダクタLの電流が増加してゆく。クランプコンデンサCcの電荷は、スイッチング素子S0、平滑インダクタLを介して直流電源V2に放電される。
【0057】
図20は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の放電動作のうちモードc2を示す図である。
モードc1(
図19参照)において、スイッチング素子S0をターンオフすると、スイッチング素子S0に流れていた電流がダイオードDS1〜DS4に転流し、
図20に示すモードc2の状態になる。平滑インダクタLには直流電源V2の電圧が印加され、平滑インダクタLの電流が減少してゆく。
【0058】
図21は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の放電動作のうちモードc3を示す図である。
平滑インダクタLの電流が更に減少しゼロに達すると、回路中に流れる電流はなくなり、
図21に示すモードc3の状態になる。このとき、ダイオードDS1〜DS4の逆回復電流やスイッチング素子S0〜S4の静電容量成分により、平滑インダクタLに振動的な電流が流れる場合がある。
以降、DC−DCコンバータ9は、モードc1〜c3を繰り返す。
【0059】
この放電動作では、モードc1の期間を変化させることにより、スイッチング素子S0や平滑インダクタLに流れる電流の大きさを増減できる。より短い時間でクランプコンデンサCcを直流電源V2の電圧程度まで放電するためには、回路部品の故障などの不具合が起きない範囲で平滑インダクタLの電流を大きくすることが望ましい。この平滑インダクタLの電流を大きくするためには、スイッチング素子S0のオン期間を長くして、モードc1の期間を長くすればよい。このとき、スイッチング素子S0のスイッチング周波数を降圧動作中や昇圧動作中よりも低くすれば、より平滑インダクタLの電流を大きくすることができる。
【0060】
なお、上記した放電動作において、モードc3の状態になった後、速やかにスイッチング素子S0をターンオンしてモードc1の状態にすると、スイッチングノイズを低減できる場合がある。また、モードc2において、平滑インダクタLの電流がゼロになる前にスイッチング素子S0をターンオンしてモードc1の状態にすると、平滑インダクタLの電流を大きく保つことができ、クランプコンデンサCcの放電を更に短い時間で完了できる。
【0061】
図22は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作から昇圧動作への切り替えを示す図である。
図22に示すように、クランプコンデンサCcの両端には電圧VCcが印加される。平滑コンデンサC2の両端には、電圧VC2が印加される。
【0062】
時刻t30よりも前である期間(a)において、DC−DCコンバータ9は、降圧動作であるモードa1ないしモードa5(
図2ないし
図6参照)と、それらの対称動作とを繰り返す。このとき、クランプコンデンサCcの電圧VCcは、平滑コンデンサC2の電圧VC2より高くなっている。
時刻t30〜t31で示される期間(c)において、DC−DCコンバータ9は、放電動作であるモードc1ないしモードc3を繰り返す。これにより、クランプコンデンサCcから電荷を放電する。
時刻t31において、DC−DCコンバータ9は、クランプコンデンサCcの電圧VCcが、平滑コンデンサC2の電圧VC2程度まで低下したならば、期間(f)に遷移する。
時刻t31〜t32で示される期間(f)において、DC−DCコンバータ9は、
図18で示す昇圧動作を行う。
図18において、制御部5が各スイッチング素子S1〜S4のオン期間を増加させるとスイッチング素子S0にオフの期間が生じ、DC−DCコンバータ9は、
図17に示す昇圧動作かつ、期間(b)に遷移する。
時刻t32以降である期間(b)において、DC−DCコンバータ9は、当初は
図17で示す昇圧動作を行い、その後に
図16に示すように動作する。制御部5は、各スイッチング素子S1〜S4のオン期間を徐々に増加させ、クランプコンデンサCcの電圧VCcも上昇してゆく。
【0063】
このように、第1の実施形態のDC−DCコンバータ9は、降圧動作を実施した後に昇圧動作を実施する場合に、降圧動作と昇圧動作との間に、クランプコンデンサCcの電圧を低下させる放電動作を実施する。これにより、降圧動作中に充電されたクランプコンデンサCcの電圧を速やかに低下させ、短い時間で昇圧動作を開始することができる。
DC−DCコンバータ9はまた、クランプコンデンサCcを放電するための回路を用いずに、スイッチング素子S0をスイッチングすることにより放電するため、低コストである。
DC−DCコンバータ9は、昇圧動作の停止時にも放電動作を実施することにより、クランプコンデンサCcの電圧を速やかに低下させ、次に昇圧動作を開始する際の過電流を抑制できる。DC−DCコンバータ9はまた、昇圧動作の中断後に放電動作を介して昇圧動作を再開することによっても、昇圧動作を再開する際の過電流を抑制できる。
【0064】
(第1の実施形態の変形例)
図22に示した放電動作において、制御部5は、スイッチング素子S0以外のスイッチング素子S1〜S4もスイッチング動作させれば、クランプコンデンサCcから直流電源V1へ放電することもできる。ここでは、DC−DCコンバータ9が、そのようなスイッチング動作を行う変形例を示している。
図23は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の変形例の昇圧動作のうちスイッチング動作を示すタイミングチャートである。
時刻t20において、スイッチング素子S0,S2,S3がターンオンする。スイッチング素子S1,S4は、オフを継続する。
時刻t21において、スイッチング素子S0,S2,S3がターンオフする。スイッチング素子S1,S4は、オフを継続する。
時刻t22において、スイッチング素子S0,S1,S4がターンオンする。スイッチング素子S2,S3は、オフを継続する。
時刻t23において、スイッチング素子S0,S1,S4がターンオフする。スイッチング素子S2,S3は、オフを継続する。以降、各スイッチング素子は、同様な動作を繰り返す。
制御部5は、放電動作モードにて、スイッチング回路2が含むスイッチング素子S1〜S4がすべてオフのときには、スイッチング素子S0をオフに制御している。これにより、DC−DCコンバータ9は、クランプコンデンサCcを緩やかに放電させると共に、スムースに昇圧動作に移行することができる。
【0065】
図24は、第1の実施形態におけるDC−DCコンバータ9の降圧動作から変形例の昇圧動作への切り替えを示す図である。
時刻t40よりも前である期間(a)において、DC−DCコンバータ9は、降圧動作であるモードa1ないしモードa5(
図2ないし
図6参照)と、それらの対称動作とを繰り返す。このとき、クランプコンデンサCcの電圧VCcは、平滑コンデンサC2の電圧VC2より高くなっている。
時刻t40〜t42で示される期間(e)において、DC−DCコンバータ9は、
図23に示した制御を繰り返す。これにより、クランプコンデンサCcから緩やかに電荷を放電する。この制御により、クランプコンデンサCcの電圧VCcは緩やかに下降し、時刻t41以降は緩やかな上昇に転じ、所定の電圧に収束する。
図24に示すように、期間(e)の放電動作においてクランプコンデンサCcの電圧VCcを平滑コンデンサC2の電圧VC2まで低下させずに、期間(b)の昇圧動作につなげることができる。このようにすることで、変形例のDC−DCコンバータ9は、期間(a)の降圧動作を停止した直後から、直流電源V1への電力供給を開始することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
図25は、第2の実施形態におけるDC−DCコンバータ91の回路図である。
図25に示すように、第2の実施形態のDC−DCコンバータ91は、第1の実施形態のDC−DCコンバータ9(
図1参照)と同様なスイッチング回路1と、第1の実施形態とは異なるスイッチング回路21と、電圧クランプ回路31と、これらの回路が備えた各スイッチング素子のオンオフ状態を制御する制御部5とを備える。第2の実施形態のDC−DCコンバータ91は、第1の実施形態と同様に、直流電源V1と、直流負荷4が接続された直流電源V2との間に接続される。DC−DCコンバータ91は、直流電源V1から直流負荷4や直流電源V2に電力を供給したり、直流電源V2から直流電源V1に電力を供給するものである。
【0067】
スイッチング回路1の構成は、第1の実施形態と同様である。
スイッチング回路21の直流端子間であるノードNd71,Nd8間には、平滑インダクタLと平滑コンデンサC2(第2の平滑コンデンサ)とが直列接続される。巻線N21(第1の二次巻線)の一端と巻線N22(第2の二次巻線)の一端とは、ノードNd71に接続される。スイッチング回路2の交流端子間であるノードNd31,Nd41間には、巻線N22の他端と巻線N21の他端とが接続される。
トランスT1は、センタータップされた巻線N21,N22と、巻線N1とを磁気結合する。
スイッチング回路1に接続される平滑コンデンサC1の両端間(第1の端子間)は、ノードNd5,Nd6である。スイッチング回路21に接続される平滑コンデンサC2の両端間(第2の端子間)は、ノードNd91,Nd101である。ノードNd5,Nd6と、ノードNd91,Nd101とは、このDC−DCコンバータ91の入出力端子間である。ノードNd5,Nd6には、直流電源V1が並列接続される。ノードNd91,Nd101には、直流電源V2が並列接続される。
【0068】
スイッチング回路21は、巻線N21の他端とスイッチング素子S11の一端とをノードNd41で接続し、巻線N22の他端とスイッチング素子S21の一端とをノードNd31で接続している。スイッチング回路21は更に、スイッチング素子S11の他端とスイッチング素子S21の他端とをノードNd8で接続している。スイッチング回路21の直流端子間は、巻線N21,N22の接続点であるノードNd71と、ノードNd8との間である。スイッチング回路21の交流端子間は、ノードNd31,Nd41間である。スイッチング回路21の直流端子間であるノードNd71,Nd8間には、平滑インダクタLと平滑コンデンサC2(第2の平滑コンデンサ)とが直列接続される。
【0069】
電圧クランプ回路31は、スイッチング素子S31,S41と、クランプコンデンサCc1とを備える。スイッチング素子S31の一端は、スイッチング素子S41の一端とクランプコンデンサCc1の一端とに接続される。スイッチング素子S31の他端は、ノードNd41に接続される。スイッチング素子S41の他端は、ノードNd31に接続される。クランプコンデンサCc1の他端は、平滑コンデンサC2の一端であるノードNd101に接続される。
スイッチング素子H1〜H4,S11,S21,S31,S41には、それぞれダイオードDH1〜DH4,DS11,DS21,DS31,DS41が逆並列接続される。
【0070】
このように第2の実施形態のDC−DCコンバータ91は、スイッチング回路21を2つのスイッチング素子S11,S21で構成できるため、第1の実施形態のスイッチング回路2と比べてスイッチング素子の数を低減することができる。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0071】
(第3の実施形態)
図26は、第3の実施形態におけるDC−DCコンバータ92の回路図である。
図26に示すように、第3の実施形態のDC−DCコンバータ92は、第1の実施形態のDC−DCコンバータ9(
図1参照)と同様なスイッチング回路1と、第1の実施形態とは異なるスイッチング回路22と、電圧クランプ回路31と、これらの回路が備えた各スイッチング素子のオンオフ状態を制御する制御部5とを備える。第3の実施形態のDC−DCコンバータ92は、第1の実施形態と同様に、直流電源V1と、直流負荷4が接続された直流電源V2との間に接続される。DC−DCコンバータ92は、直流電源V1から直流負荷4や直流電源V2に電力を供給したり直流電源V2から直流電源V1に電力を供給するものである。
【0072】
スイッチング回路1の構成は、第1の実施形態と同様である。
スイッチング回路22には、平滑インダクタL1,L2を介して平滑コンデンサC2が接続される。平滑インダクタL1(第1の平滑インダクタ)の一端と平滑インダクタL2(第2の平滑インダクタ)の一端とは、ノードNd92で接続される。平滑コンデンサC2には、直流電源V2が並列接続される。スイッチング回路22の交流端子間であるノードNd32,Nd42の間には、巻線N23が接続される。
トランスT2は、巻線N1と巻線N23とを磁気結合する。
スイッチング回路1に接続される平滑コンデンサC1の両端間(第1の端子間)は、ノードNd5,Nd6である。スイッチング回路22に接続される平滑コンデンサC2の両端間(第2の端子間)は、ノードNd92,Nd102である。ノードNd5,Nd6と、ノードNd92,Nd102とは、このDC−DCコンバータ92の入出力端子間である。ノードNd5,Nd6には、直流電源V1が並列接続される。ノードNd92,Nd102には、直流電源V2が並列接続される。
【0073】
スイッチング回路22において、スイッチング素子S12の一端は、ノードNd8でスイッチング素子S22の一端と接続される。スイッチング素子S12の他端は、ノードNd42で平滑インダクタL1の他端と接続される。スイッチング素子S22の他端は、ノードNd32で平滑インダクタL2の他端と接続される。
平滑インダクタL1,L2は、ノードNd92で接続される。スイッチング素子S12,S22の接続点であるノードNd102(ノードNd8)と、ノードNd92との間には、平滑コンデンサC2が接続される。
スイッチング回路22は、スイッチング素子S12の両端間であるノードNd42,Nd8間を第1の直流端子間とし、スイッチング素子S22の両端間であるノードNd32,Nd8間を第2の直流端子間としている。スイッチング回路22は更に、ノードNd32,Nd42間を交流端子間としている。
【0074】
電圧クランプ回路31は、スイッチング素子S31,S41と、クランプコンデンサCc1とを備える。電圧クランプ回路31において、スイッチング素子S31の一端は、スイッチング素子S41の一端とクランプコンデンサCc1の一端とに接続される。スイッチング素子S31の他端は、ノードNd42に接続される。スイッチング素子S41の他端は、ノードNd32に接続される。クランプコンデンサCc1の他端は、平滑コンデンサC2の一端であるノードNd102(ノードNd8)に接続される。
スイッチング素子H1〜H4,S12,S22,S31,S41には、それぞれダイオードDH1〜DH4,DS12,DS22,DS31,DS41が逆並列接続される。
このように第3の実施形態のDC−DCコンバータ92は、第2の実施形態のDC−DCコンバータ91と比べて巻線の数を低減することができる。
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0075】
第1〜第3実施形態で説明したように、本発明は、電圧形スイッチング回路と、平滑インダクタを備えた電流形スイッチング回路とをトランスで接続し、電流形スイッチング回路に電圧クランプ回路を接続したDC−DCコンバータに対して広く適用することができる。
【0076】
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0077】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0078】
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明の変形例として、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) 本発明のDC−DCコンバータは、例えば、二次電池充放電システム、無停電電源装置、電動車両などに組み込んで用いてもよい。
(b) 本発明のDC−DCコンバータのスイッチング素子は、MOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)など、任意の半導体素子を用いてもよい。
(c) 本発明の制御部5は、例えば、カスタムIC(Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やディスクリート部品などで構成されていてもよい。また、マイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータが読み込んで実行するソフトウェアプログラムとの組合せで構成されてもよい。