(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施例のシャープペンシル全体の外観図である。
【
図2】
図1の状態から周方向に90度回転させた際の外観図である。
【
図7】第1実施例における消しゴム案内部材17の斜視図である。
【
図8】第1実施例における後軸4の取り付け部4c近傍の拡大斜視図である。
【
図9】第1実施例におけるクリップ19の外観図(側面図)である。
【
図10】第1実施例におけるクリップ19を裏側から見た図である。
【
図11】第1実施例におけるクリップ19の斜視図である。
【
図12】第1実施例における、クリップ装着時の取り付け部4c近傍の拡大斜視図である。
【
図14】第2実施例におけるクリップ19を裏側から見た図である。
【
図15】第2実施例におけるクリップ19の斜視図(拡大図)である。
【
図16】第2実施例のシャープペンシルの外観後方拡大図である。
【
図18】第3実施例におけるクリップ19を裏側から見た図である。
【
図19】第3実施例におけるクリップ19の斜視図(拡大図)である。
【
図21】第3実施例のシャープペンシルの外観後方拡大図である。
【
図24】第4実施例におけるクリップ19を裏側から見た図である。
【
図25】第4実施例におけるクリップ19の斜視図(拡大図)である。
【
図27】第4実施例のシャープペンシルの外観後方拡大図である。
【
図30】第5実施例におけるクリップ19を裏側から見た図である。
【
図31】第5実施例におけるクリップ19の斜視図(拡大図)である。
【
図33】第5実施例のシャープペンシルの外観後方拡大図である。
【
図35】第6実施例におけるクリップ19を右側面側から見た図である。
【
図36】第6実施例におけるクリップ19の斜視図(拡大図)である。
【
図37】第6実施例のシャープペンシルの外観後方拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1実施例を
図1〜
図13に示し、説明する。以下では、シャープペンシルの全体図において、後述の先部材2側を前方と言い、消しゴム16側を後方という。
尚、本実施例にあっては、シャープペンシルを例に説明するが、シャープペンシルに限らず、ボールペンやマーキングペン、万年筆等、クリップを有する筆記具であれば良い。
【0009】
本実施例の軸筒1は、先部材2と、その先部材2の後端に螺着により配置された前軸3と、その前軸3の後部を覆うように嵌着された後軸4とから構成されている。前記軸筒1の内部には、芯繰り出し機構を有する中軸セット5が配置されており、後述するが、その中軸セット5は前記先部材2と前軸3とで挟みこまれることで、前記軸筒1内に位置決めされている。
【0010】
前記先部材2には、その前方にステンレス製のパイプ6が圧入固定されており、先部材2の内部には、芯保持部7が一体に形成されたスライダ8が圧入固定されている。
尚、前記先部材2の後方内面には、雌螺子部2aが形成されており、後述の前軸3の雄螺子部3aと螺着可能となっている。
【0011】
前記前軸3の前方には、縮径部(把持部)3b形成されており、その縮径部(把持部)3bには熱可塑性エラストマーやシリコーンなどからなる円筒状の把持部材20が装着されている。この把持部材20には、複数の突起20aが円周状に渡って形成されており、全体の外観がなだらかな円弧状となっている。前記複数の突起20aの縦断面形状は、軸筒の外方に向かうにつれて縮径した、台形状に形成されている。一方、突起20aの基部20bは、前方が肉薄であり、中間近傍が肉厚で、後方に向かうにつれて、やや肉薄に形成されている。前記突起20aの基部20bの肉厚が最も厚い部位と、全体の外観が最も隆起して見える部位は、略同箇所となっている。尚、本実施例では、前記軸筒1は、ポリカーボネート(PC)により形成しているが、これに限らず、任意の材料から軸筒1を形成することができる。
また、前記前軸3の縮径部3bより更に前方には、縮径部よりも外径が小さい最縮径部3cが形成されており、その最縮径部3cの外面には、雄螺子部3aが形成されている。
そして、前軸3の後端外周には、凸部3dが形成されており、また、前軸3の後部内面には多角形部3e(10角)が形成されている。尚、本実施例では、前軸3を樹脂成形品から形成しているが、前記凸部3dの内、成形によってできるパーティングライン(PL)が形成された部位の肉厚を薄くしている(Dカット)。芯Lの繰り出しを行う際には、後軸4が前軸3に対して前後動することとなり、また、消しゴム16を繰り出す際には、後軸4が前軸3に対して回転することとなるが、この際に、前軸3の前記凸部3dに形成されたパーティングラインのバリによって、動きが悪くなる恐れがある。前記Dカットを凸部3dのパーティングライン形成部に行うことにより、その作動不良を防ぎ、芯や消しゴムの繰り出しを良好に行うことができる。
【0012】
前記中軸セット5は、芯を収納する芯タンク9を有し、その芯タンク9の前端には芯Lを把持、解放するためのチャック体10が固定されている。そして、そのチャック体10には、チャック体10の開閉を行うチャックリング11が囲繞した状態で配置されている。更に、前記チャック体10、チャックリング11、並びに、前記芯タンク9の前方を内包するように中子12が配置されている。その中子12の内径部には、内鍔部13が形成されており、この内鍔部13の後端面13aと前記芯タンク9の前端面9aとの間に弾撥部材(コイルスプリング)14が張設されている。前記中子12の外周部前端は外鍔部15となっており、この外鍔部15の前端面15aには、前記チャックリング11の外周部前端に形成された鍔部11aの後端面11bが当接する。即ち、中子12は、そのチャックリング11と前記弾撥部材14とにより狭持されている。以上により、中軸セット5が構成される。尚、前記弾撥部材14は、前記中軸セット5が、軸筒1内に配置された際に、チャック体10及び芯タンク9を軸筒1の後方に付勢する。
ここで、中軸セット5の軸筒1内での位置決めに関する構成を記す(
図4)。前記中子12は、その外鍔部15が前記先部材2の内部に形成された内段部2bと前軸3の前端面3fとに狭持されており、前記先部材2と前軸3とを螺着することで、前記中子12、ひいては、前記中軸セット5が軸筒1内に位置決めされ、配置される。即ち、前記先部材2の雌螺子部2aと前軸3の雄螺子部3aとを、先部材2と前記中子12の外鍔部15、そして、その中子12の外鍔部15と前軸3とが当接するまで螺着せしめることで、中軸セット5は軸筒1内に固定される。尚、前記中子12の外鍔部15の後端面15bには、突起(図示せず)が等間隔に4つ形成されている。これら突起(図示せず)は、弾性変形が可能な突起であり、前記先部材2と前軸3との狭持力によって押し潰され、これによって、中軸セット5の長手方向における寸法のばらつきを吸収している。尚、前記中子12の外鍔部15の後端面15bの突起が弾性変形するのではなく、その中子12の突起が前軸3よりも硬く、前記突起が接触する前軸3の前端面3fが突起の形状に変形する構成でも、中軸セット5の長手方向における寸法のばらつきを吸収が可能である。
ここで、前記前軸3内部の前方から後方にかけてはテーパーがかかっているが、前端近傍の内径部は、ストレート部3gとなっている。また一方、前記前軸3のストレート部3gに略対応する中子12の外鍔部15より後方部も、同様にストレート部12aとなっている。このように形成することで、前記中軸セット5を軸筒1内に配置・固定した際に、中軸セット5と軸筒1との軸心が合い、良好な芯の繰り出しを行うことができる。
尚、前記芯タンク9の後端面9bは、後述の消しゴム案内部材17の内部に形成された壁部17dに当接する。
【0013】
後軸4の後方には、長い消しゴム16が出没する回転繰り出し機構が着脱自在に取り付けられている。以下、その回転繰り出し機構について説明する(
図5〜
図7)。後軸4の内面には、螺旋溝4aが形成されており、また、後述するように、消しゴム案内部材17が後軸4に対して回転可能ではあるが、前後動不能に取り付けられている。その消しゴム案内部材17には、案内溝17aが対向する位置に形成されていると共に、内部に消しゴム受け18並びに、長い消しゴム16を内設している。そして、消しゴム受け18には、脚部18aが形成されており、その脚部18aが前記案内溝17aに嵌り込んでいる。また、その脚部18aには、突部18bが形成されており、その突部18bが前記螺旋溝4aに螺合している。即ち、前記後軸4と消しゴム受け18とは、雌螺子と雄螺子の関係にある。前記消しゴム案内部材17は、その前方部が延設形成されており、その延設部17bの断面形状は、10角形状をしているが、この角数に限られることなく、また、楕円形状などであっても良い。これに対し、前記したように、前記前軸3の後部内面にも多角形部3e(10角)が形成されている。即ち、前記消しゴム案内部材17は、前軸3に対して着脱は可能であるが、回転不能に係合しているのである(
図3)。尚、前記延設部17bが楕円形状であるならば、前軸3の内面も楕円形状にすることは言うまでもない。また、前記延設部17bの内面と前記中軸セット5の芯タンク9の外面との間には、若干の隙間17cが形成されている。この延設部17bの側面であり後方には、喰い切りによって形成された、外側に凸がある一対の外方切出片17eと、その前方に位置し、内側に凸がある一対の内方切出片17fとが形成されている。前記一対の外方切出片17eには、後端側に拡径部17gが形成されており、この拡径部17gの後端面17hが、前記後軸4内部の段部4jと当接する。前記消しゴム案内部材17の後端には、外鍔部17iが形成されており、この外鍔部17iの前端面17jと後軸4の後端面4kとが当接している。消しゴム案内部材17は、その外鍔部17iと前記外方切出片17eとにより後軸4に嵌合しており、これにより、後軸4に対して回転可能ではあるが、前後動不能に取り付けられている。一方、前記一対の内方切出片17fの後方内面には、内方凸部17kが形成されており、この内方凸部17kが前記芯タンク9の外面に圧接し、芯タンク9の固定を行う。
また、後軸4の前方内面には、リブ4b(図示せず)が3箇所、等間隔に設けられている。このリブ4b(図示せず)は、前記前軸3の凸部3dと係合しており、これにより、前軸3と後軸4との抜け止めがなされている。例えば、後述のクリップをポケットに挿した状態から取り外す際に、前記把持部材20が抵抗となって後軸4のみが抜けてしまうことがなく、確実に筆記具をポケットから取り外すことができる。
更に、後軸4の後方外面には、取り付け部4cが突出して設けられており、この取り付け部4cに、クリップ19が取り付けられている。
尚、後軸4の前端は、軸筒1の軸線方向に対して傾斜して形成されている。また、後軸4の後方外面には、装飾部4dとして、軸筒1の軸線方向に傾斜した凹凸部が形成されている。
【0014】
次に、芯Lの繰り出しについて説明する。芯Lを繰り出す際には、後軸4の後端を押圧する。この押圧動作によって消しゴム受け部材18が前進すると共に、その前方に配置され、消しゴム受け部材18の壁部17dに当接している芯タンク9が前進し、チャック体10も前進する。このとき芯Lをも前進せしめ、チャックリング11の鍔部11aが先部材2の内部に設けられた段部2cに当接し、チャック体10が拡開する。そして、チャック体10の拡開後も、チャック体10の前進動作が行われる。ここで後軸4の押圧操作を解除すると、芯タンク9とチャック体10が後退し、チャック体10がチャックリング11によって閉鎖せしめられ、再び芯Lを把持する。これで芯Lの繰り出し動作が完了する。
【0015】
更に、消しゴムの出没操作について説明する。一方の手で前軸3を把持し、他方の手で後軸4を把持し、相対的に回転させる。この回転操作によって、前記消しゴム受け18は、上昇或いは、下降し、消しゴム16もこれに従って後軸4の後端から突出・没入する。この時、前記消しゴム案内部材17は、前軸3と互いの多角形部で係合しているため、消しゴム案内部材17と芯タンク9が軽い力で圧入されていても、前記の回転操作における回転作用は芯タンク9には作用しないものとなっている。
【0016】
ここで、本実施例における、クリップ19の取り付け構造について詳述する(
図8〜
図13)。
前記したように、後軸4の後方外面には、クリップの取り付け部4cが突設されている(
図8)。この取り付け部4cには、その縦断面において、前方が高い、肉厚部4eが形成されており、この肉厚部4eより後方は、徐々に肉薄となる傾斜部として形成されている。そして、この肉厚部4eの両側面には係止溝部4fが形成されており、この係止溝部4fの中間近傍には突起4gが形成されている。係止溝部4fが形成されていることにより、この肉厚部4eの横断面は、略T字状に形成されている。また、この肉厚部4eから前方の幅は、後述のクリップ19の幅よりもやや小さく形成されている。そして、前記取り付け部4cの後端面は、クリップ19の内面形状に沿って形成されており(後端壁4h)、その後方に向かい、その幅が狭く形成されている。尚、前記係止溝部4fから後端壁4hより前にかけての取り付け部4cの幅は、係止溝部4fが形成されている部分の取り付け部4cの幅と略同等に形成されている。
一方、クリップ19の基部19bは、クリップ19の後方壁19a及び対向する2つの側面壁19cからなる箱型に形成されている(
図9〜
図11)。そして、各側面壁19cにはクリップの軸線方向に向けて突出した係合片19dが形成されており、各係合片19dのクリップの軸線方向側の端面(端面部19h)には、凹凸部19eが対向する係合片19dと左右対称に形成されている。ここで、左右とは、クリップ19の軸線に対する左右である。各係合片19dにあっては、クリップの軸線方向側の端面(端面部19h)の中央に凹部19iが設けられており、即ち、その凹部19iの前後方には軸線方向に突出した2つ凸部19jが設けられている。それら凹部19iと2つの凸部19jにより、前記凹凸部19eが構成されている。各係合片19dにおける前記凸部19jは、前記係合片19dの端面部19hの前端近傍および後端近傍に形成されており、それら凸部19j間の距離が最も大きくなるように形成されている。また、各凸部19jの形状はいずれも、軸線方向側に向かって先端が尖っている略くさび形状となっている。但し、凸部19jの形状は、その略くさび形状に限らず、四角形状としても良く、任意の形状とすることができる。尚、クリップ19の上面には、2箇所の凹部19fが形成されており、美的効果を向上させている。また、クリップ19の前方内面には、後軸4の表面に接触し、挟持部となる玉部19gが一体形成されているが、別部材で構成しクリップ19に固定しても良い。さらに、本実施例におけるクリップ19は金属製を例示しているが、透明や不透明色の樹脂であっても良く、使用に差し支えない形状、並びに、材質であれば適宜選択が可能である。
【0017】
前記クリップ19を後軸4へ取り付ける際には、まず、前記取り付け部4cの後端壁4hより前方側に、前記クリップの係合片19dが位置するように、後軸4に対して垂直にクリップ19を当接させる。そして、その後、クリップ19を後軸4に対して前方へ移動せしめ、クリップ19の係合片19dの前端面が、前記取り付け部の係止溝部4fの前端壁4iと当接するまでクリップ19を移動させる。クリップ19の係合片19dと前記取り付け部4cの係止溝部4fとが係合し、また、前記クリップ19の後方壁19aと取り付け部4cの後端壁4hとが当接して、クリップ19が後軸4に取り付けられる(
図12)。この際、前記クリップ19の対向する2つの係合片19dにそれぞれ形成された2つの凸部19jは、前記各係止溝部4fに対して喰い込む(
図13)。
【0018】
本実施例にあっては、以上のように、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の各係合片19dが前記取り付け部4cの各係止溝部4fに係合し、前記クリップ19の対向する2つの係合片19dにそれぞれ形成された2つの凸部19jは、前記各係止溝部4fに対して喰い込む(
図13)。このとき、前述したように、前記クリップ19の各係合片19dの2つの凸部19j間の距離が最大に形成されている。もしも、2つの凸部19jの距離を近づけた場合、クリップが左右にずれる際に発生する回転モーメントが回転中心になりクリップが回転しやすくなる。その結果、クリップの左右のずれが発生する。しかし、本実施例にあっては以上の様に構成しているため、クリップが左右にずれる際に発生する係合片19dの端面部19hに掛かる回転モーメントに対して、左右の対角線上にある凸部19jがそれぞれ支点となる。そして、対角線上に配置された凸部19jが突っ張ることで回転を阻止することができるため、確実にクリップ19の左右方向へのずれが防止でき、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。
【0019】
また、本実施例にあっては、前記クリップ19の各係合片19dの2つの凸部19jの形状を先端が尖った略くさび形状としているため、係止溝部に係合片を喰い付かせるくさび効果が得られる。
更に、本実施例は、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の係合片19dが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合することに加え、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このため、特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップの軸筒への取り付けがより強固になるという利点も有する。
【0020】
次に、本発明の第2実施例を
図14〜
図17に示し、説明する。第2実施例は、クリップの対向する側面壁に形成されている各係合片が左右で前後に若干ずれた位置に形成されている例である。尚、以下では、第1実施例と同様の構成に関する説明は省略する。
本実施例においても、クリップ19の2つの側面壁19cにはクリップの軸線方向に向けて突出した係合片19kがそれぞれ形成されており、クリップ19の対向する2つの側面壁19cに形成されている各係合片19kが左右で前後に若干ずれた位置に形成されている。尚、本実施例においても、各係合片19kには、凹部19lと2つの凸部19mからなる凹凸部19nが形成されており、各凸部19mは、前端側から後端側になだらかな斜面で立ち上がり(斜面部19v)、その斜面部19vの後方が前記係止溝部4fと略並行なストレート部19wで形成され、そのストレート部19wの後端が、そのストレート部19wと垂直に形成されており(垂直部19x)、全体が略矢形形状をしている。
本実施例にあっては、以上のように、対向する係合片19kを前後、即ち、軸筒の長手方向でずれた位置に形成することで、クリップ19が左右にずれる際に発生する回転モーメントのうち、一方向(左回転方向)の回転モーメントに対しては、支点がずれているため、左回転方向の回転によるずれを抑えることができる。仮に、先行技術のように係合片が左右対称の位置に形成されている場合、左右対称に形成した係合片が係止溝部にて左右の回転方向への力を受けた際に支点となってしまい、容易に回転してしまう問題が生じる。その点、本実施例では、左回転方向の回転を阻止することが出来るため、クリップ19に左右に振られる力がかかったとしても、一方向(左回転方向)の回転が阻止されていることにより、結果として確実にクリップの左右方向へのずれが防止でき、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。尚、左右の係合片19kの前後のずれ方を本実施例と逆にした場合には、右回転方向の回転が抑えられ、結果として、クリップの左右方向へのずれが防止でき、クリップを確実に軸筒に取り付けることができる。即ち、クリップの左右いずれかへの回転が確実に押さえられていれば良く、結果として、クリップを確実に軸筒に取り付けることができる。
さらに第1実施例にもある様に、本実施例の構成として、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の係合片19kが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合することに加え、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このため、特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップの軸筒への取り付けがより強固になるという利点も有する。
また、本実施例の前記係合片19kの凸部19mにあっては、その形状を略矢形形状に形成しているが、この形状を取ることで、クリップ19を軸筒1に係合する際、簡単にクリップ19が軸筒1に挿入できる。そして、係合完了時には、クリップ19の抜け方向に対しては、前記垂直部19xが係止溝部4fと喰い付き、より外れ難くなる効果がある。尚、この凸部19mの形状は、第1実施例に記載した略くさび形状としても良く、その略くさび形状でも係止溝部4fとの係合力を得ることができる。
【0021】
また、本発明の第3実施例を
図18〜
図23に示し、説明する。第3実施例は、クリップの側面壁に形成されている係合片を複数形成した例である。尚、以下でも、第1実施例と同様の構成に関する説明は省略する。
本実施例においても、クリップ19の2つの側面壁19cにはクリップ19の軸線方向に向けて突出した係合片がそれぞれ形成されている。一方の側面壁19cに形成された係合片は、前後独立した2つの係合片19o、19pとして形成されており、その2つの係合片19o、19pのクリップの軸線方向側の端面部がそれぞれ異なる角度に折れ曲がっている。即ち、前記一方の係合片19oの前記端面部はクリップ19の上面方向に、また、他方の係合片19pの前記端面部はクリップ19の下方向に向けて折り曲がっている。他方の側面壁19cについても、同様に2つの係合片19o、19pを形成する(
図19)。
本実施例にあっては、以上の構成により、前記後軸4の取り付け部4cの係止溝部4fに前記係合片19o、19pが係合した際、係止溝部4fの上下部でクリップ19を突っ張って保持することができ、係合片19o、19pの弾発力を増すことができる。即ち、クリップ19を後軸4に取り付けた際には、前記係合片19o、19pの前記弾発力に加え、前記クリップ19の係合片19o、19pが係止溝部4fを左右方向から挟むことによる係合力が働き、クリップ19が後軸4に係合される。結果として、クリップ19の左右方向に力が加わった場合でも前記係合片19o、19pの弾発力と係合力により、その左右方向へのずれを防止することができる。仮に、先行技術のように、係合片のクリップの軸線方向側の端面部が単一の角度に折れ曲がった係合片では、その端面部が係止溝部4fの一方向にのみ突っ張るだけになってしまい、その係合片の弾発力が十分に得られない、そのため係合力のみでクリップの左右へのずれを抑えなければならず、結果としてクリップが左右に容易にずれてしまう。その点、本実施例では係合力に加え弾発力も十分に得られることができ、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。
尚、本実施例にあっては、各側面壁19cにはそれぞれ2つの係合片19o、19pを形成したが、これに限らず3つ以上形成しても良い。各側面壁19cにそれぞれ複数の係合片19o、19pを形成し、それら係合片のクリップの軸線方向側の端面部の角度を異ならしめることで、本実施例と同様の効果が得られ、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。また、係合片のクリップの軸線方向側の端面部の折り曲げ方向も、弾発力と係合力の双方が得られる折り曲げ方向であれば良く、本実施例の折り曲げ方向に限らない。
さらに第1実施例にもある様に、本実施例の構成として、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の係合片19o、19pが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合することに加え、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このため、特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップの軸筒への取り付けがより強固になるという利点も有する。
【0022】
また、本発明の第4実施例を
図24〜
図29に示し、説明する。第4実施例は、第3実施例における一方の側面壁に形成された2つの係合片のうち、後端部にある係合片の先端を軸筒の外径方向に折り曲げた例である。
本実施例にあっては、クリップ19の側面壁19cに形成されている係合片を前後独立した2つの係合片19q、19rとして形成しており、そのうち後方に形成した係合片19rのクリップの軸線方向側の端面部が軸筒の外径方向に折れ曲がった構成としている。前方に形成した係合片19qは、クリップ19の軸線方向側に突出させている。この構成により、前記後軸4の取り付け部4cの係止溝部4fに前記係合片19q、19rが係合した際、前記係合片19qにより係止溝部4fを左右方向から挟むことによる係合力が働くと共に、前記係合片19rにより係止溝部4f(取り付け部4c)を抱え込むような係合力が働く。このように二方向の係合力によりクリップ19が軸筒1に取り付けられるため、より強力にクリップ19を軸筒に係合することができ、これにより確実にクリップの左右へのずれを防止することが出来る。仮に、先行技術のように、クリップの軸線方向側の端面部が単一の角度に折れ曲がった係合片では、その端面部が係止溝部の一方向にのみ突っ張るだけになってしまい、係合片の係合力が十分に得られない。そのため係合力のみでクリップの左右へのずれを抑えなければならず、結果としてクリップが容易にずれてしまう。その点、本実施例では二方向の係合力を得ることが出来、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。
尚、本実施例にあっては、各側面壁にはそれぞれ2つの係合片を形成したが、これに限らず3つ以上形成しても良い。各側面壁にそれぞれ複数の係合片を形成し、それら係合片のクリップの軸線方向側の端面部の角度を異ならしめることで、それぞれの係合片で係止溝部との係合力を得ることが出来、相乗の効果を得られる。また、係合片のクリップの軸線方向側の端面部の折り曲げ方向も、2種の係合力が得られる折り曲げ方向であれば良く、本実施例の折り曲げ方向に限らない。
さらに第1実施例にもある様に、本実施例の構成として、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の係合片19q、19rが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合することに加え、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このため、特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップの軸筒への取り付けがより強固になるという利点も有する。
【0023】
さらに、本発明の第5実施例を
図30〜
図34に示し、説明する。第5実施例は、クリップの側面壁に、そのクリップの軸線方向に向けて突出して形成した係合片の端面を前記側面壁側に折り返し、前記係合片の横断面形状を略U字形状とした構成である。尚、以下でも、第1実施例と同様の構成に関する説明は省略する。
本実施例にあっては、クリップ19の側面壁19cに、そのクリップ19の軸線方向に向けて突出して形成した係合片19sの端面を前記側面壁19c側に折り返し、前記係合片19sの横断面形状を略U字形状としている。より詳細には、その係合片19sは、前記クリップ19の側面壁19cに形成されている係合片19sの端面を、軸線方向側に取り付け部4cの係止溝部4fの隙間(横幅)と略同等の距離突出させ、その後、上側(軸筒の外径方向側)に折り曲げ、再度側面壁19c側へと折り曲げることで横断面を略U字形状に形成している。即ち、係合片19sが折り曲がっていることで、厚みのある係合片19sとして構成されている。この係合片19sが、前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合した時、係合片19sは係止溝部4fの軸線方向と上下方向の三方向に当接している。この構成により、係止溝部4fと係合片19sとの接触面積が増え、係合力が増しており、また、折り返すことにより係合片19sの断面二次モーメントが大きくなってなり、係合片19s自体の剛性を上げることができる。即ち、この二つの作用により、クリップが左右にずれる際に生じる回転モーメントに対抗することが出来る。仮に、先行技術のように、係合片19sが略U字形状を取らず、軸線方向のみに折り曲げられたクリップ19の係合片である場合、その係合片は係合片自体の厚みに発生する断面二次モーメントしか得ることができず、十分な剛性を得られない。結果として回転モーメントに耐えられずクリップが容易にずれてしまう。その点、本実施例では、クリップ19の係合片19sと軸筒1の係止溝部4fとの係合力に加え、係合片19sが十分な剛性を得られることで確実にクリップの左右へのずれを防止することができ、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。
さらに第1実施例にもある様に、本実施例の構成として、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の係合片19sが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合することに加え、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このため、特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップの軸筒への取り付けがより強固になるという利点も有する。
【0024】
最後に、本発明の第6実施例を
図35〜
図39に示し、説明する。第6実施例は、クリップの側面壁に、前記クリップの軸線方向に向けて突出している係合片を形成すると共に、前記側面壁の一部を切り欠くことにより形成されるカシメ部を設けた構成である。本実施例における軸筒の取り付け部にも第1実施例と同様に係止溝部が形成されている。尚、以下でも、第1実施例と同様の構成に関する説明は省略する。
本実施例にあっては、クリップ19の側面壁19cに、前記クリップ19の軸線方向に向けて突出している係合片19tを形成すると共に、前記側面壁19cの一部を切り欠くことにより形成されるカシメ部19uを設けた構成である。より詳細には、前記クリップ19の側面壁19cに形成されている係合片19tとは別に、側面壁19cの一部に一辺が側面壁19cにつながり、残りの三辺が側面壁19cから切り離されて内側に倒れこむことが可能な四角形状のカシメ部19uを形成するとともに、前記後軸4の取り付け部4c上に係止溝部4fを設けた構成になっている。ここでカシメ部19uは四角形状に限らず、カシメ部の一部が側面壁につながり、内側に倒れこむことが出来る形状であればよい。クリップ19を後軸4への取り付ける際には、クリップ19の係合片19tを取り付け部4cの係止溝部4fに係合した後、さらにカシメ部19uをかしめることで、カシメ部19uが係止溝部4fに喰い込みクリップ19が固定される。これにより、クリップ19の左右へのずれを、係合片19tによる係合と、カシメ部19uの係止溝部4fへの引掛りによる係合により防止し、クリップの左右のずれによりクリップ19が抜けてしまうことを防止することが出来る。この際、前記カシメ部19uがかしめられ係止溝部4fに喰い込むことにより、クリップ19が抜ける方向に対しても、より確実にその抜けが抑えられるものとなっている。仮に、先行技術のように、カシメ部がないクリップの場合、係合片の係合力のみでクリップ左右へのずれとクリップの抜けに対応しなければならず、結果として容易にクリップのずれや抜けが発生してしまう。その点、本実施例は前記係合片19tとカシメ部19uにクリップ19に掛かる負担を分散させることで、係合片19tの形状を簡略にしたとしても、個々の係合部で係合力を得ていることにより、確実にクリップのずれや抜けを防止することができ、クリップ19を確実に軸筒に取り付けることができる。
さらに第1実施例にもある様に、本実施例の構成として、クリップ19を軸筒1に取り付けた際に、前記クリップ19の係合片19tが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合し、更にカシメ部19uがかしめられることに加え、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このため、特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップの軸筒への取り付けがより強固になるという利点も有する。