【文献】
北原良明,ほか3名,血液透析スケジュール管理システムの開発,医療機器学,2012年,第82巻,第5号,p.435−438
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、透析施設の大規模化が進んでおり、大規模な透析施設では、コンソールと呼ばれる透析装置を数十台乃至百台規模で導入する場合があり、これらコンソールを中央監視装置で監視する。一方、透析治療を透析室で監視する医療従事者の数は透析装置の数よりも大幅に少ないので、透析室においては1人の医療従事者が多数の透析装置を監視しなければならならない状況となる。また、医療従事者の業務が多忙な状況もある。このような状況では、透析中にベッドサイドで行うべき処置が行われなかったり、処置を行ってもその記録の際にミスが発生したり、記録漏れが発生することも考えられる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透析治療中に必要な処置を漏れなく行えるようにするとともに、処置を行った後の記録ミスや記録漏れをなくすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、透析治療を行う際に必要な処置の内容を表示部に表示させ、当該処置を行った処置者と当該処置が行われたタイミングとを入力部の操作により簡単に入力できるようにし、処置内容とタイミングとを関連付けて記憶するようにした。
【0009】
第1の発明は、
患者のベッドサイドに設置され、患者の血液透析治療を行う透析実行部を備えた透析装置において、
医療従事者が認識可能な情報を表示する表示部と、
上記表示部を制御する制御部と、
透析実施において必要な処置の内容を記憶する記憶部と、
上記処置をベッドサイドで行った処置者が情報入力を行う入力部と、
上記透析装置を監視する中央監視装置に入力されて該中央監視装置から送信された各種データを受信する通信部とを備え、
上記制御部は、上記記憶部に記憶された処置の内容を上記表示部に表示させ、当該処置を行った処置者と当該処置が行われたタイミングとが上記入力部の操作により入力された場合に、当該処置者と当該タイミングとを関連付けて上記記憶部に記憶するように構成され
るとともに、上記記憶部に記憶された処置者と上記処置が行われたタイミングとを、上記通信部により上記中央監視装置に送信させ、該中央監視装置の記憶媒体にも記憶させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、例えば透析治療の際に注射という処置が必要な場合には、処置の内容である注射を表示部に表示させることで、透析実施において必要な処置を漏れなく行うことが可能になる。そして、注射を行った後に、注射を行った者(処置者)が入力部を操作することで処置者と、処置が行われたタイミングとが関連付けられて記憶部に記憶されるので、処置を行った後の記録ミスや記録漏れをなくすことが可能になる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において
、
上記記憶部には、複数の処置者があらかじめ記憶されており、
上記制御部は、上記記憶部に記憶された複数の処置者を上記表示部に表示させ、
上記入力部は、上記表示部に表示された複数の処置者の中から実際に処置を行った処置者を選択する操作によって処置者の入力が可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、処置者を入力する操作を簡素化してスピーディに、かつ、間違えないようにすることが可能になる。
【0013】
第
3の発明は、第
2の発明において、
上記通信部は、上記中央監視装置に入力されて該中央監視装置から送信された複数の処置者の情報を受信するように構成され、
上記制御部は、上記通信部で受信した複数の処置者の情報を上記記憶部に記憶させるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、中央監視装置に複数の処置者の情報を入力するだけで、中央監視装置から複数の透析装置に処置者の情報を送信して各透析装置に記憶させることが可能になるので、複数の処置者の情報を記憶する作業に要する時間が短縮される。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、記憶部に記憶された処置の内容を表示部に表示させ、当該処置を行った処置者と当該処置が行われたタイミングとが入力部の操作により入力された場合にそれらを関連付けて記憶部に記憶するようにしたので、透析治療中に必要な処置を漏れなく行うことができるとともに、処置を行った後の記録ミスや記録漏れをなくすことができる。
【0016】
第
2の発明によれば、記憶部にあらかじめ記憶した複数の処理者を表示部に表示させ、表示部に表示した処置者を選択する操作によって入力するようにしたので、処置者をスピーディに、かつ、間違いなく入力することができる。
【0017】
第
3の発明によれば、中央監視装置に入力した複数の処置者の情報を透析装置で受信して記憶させるようにしたので、複数の処置者の情報を記憶する作業に要する時間を短縮できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る透析装置としてのコンソール1と、中央監視装置100とを備えた透析システムAを示すものである。この透析システムAは、例えば大規模な透析室を持った病院や透析クリニック等の各種施設に導入されるものである。コンソール1は、透析室の患者用のベッドサイドにベッド毎に設置されて使用されるものであり、透析室の規模にもよるが、1施設当たり、例えば数十台から百台規模で設置される。
【0021】
中央監視装置100は、上記多数のコンソール1の運転状態を1台で監視及びコントロールするものである。中央監視装置100とコンソール1とは、信号線Bを介して通信可能に接続されており、通常、別々の部屋に設置される。中央監視装置100とコンソール1とは、有線接続や無線接続等の通信形態で接続可能であり、通信形態の種類は特に限定されない。各コンソール1には固有のコンソールIDが付与されており、所望のコンソール1を中央監視装置100側で特定することができるようになっている。
【0022】
また、中央監視装置100とコンソール1とは同期しており、中央監視装置100側で行ったデータの修正や追加がコンソール1側に反映されるとともに、コンソール1側で行ったデータの修正や追加が中央監視装置100側に反映される。このとき、コンソールIDに基づいて特定のコンソール1にのみデータを送信したり、どのコンソール1からデータが送信されてきたかを判断することができるようになっている。
【0023】
図2に示すように、中央監視装置100は、制御装置101と、入力装置102と、表示パネル103と、記憶媒体104と、通信部105とを有している。制御装置101は、演算処理装置(CPU)等を内蔵したコンピュータで構成されており、所定のプログラムに従って動作する。入力装置102は、医療従事者等が各種情報を入力するためのものであり、例えば、キーボード、マウス、タッチ操作パネル、タッチペン等で構成することができる。表示パネル103は、例えば、液晶ディスプレイ等の各種表示パネルで構成することができる。記憶媒体104は、プログラムや各種データを記憶しておくためのものであり、例えばハードディスクドライブ等で構成することができる。通信部105は、各種データを各コンソール1に送信すること、及び各コンソール1から送信された各種データを受信することができるように構成された周知の通信デバイスで構成することができる。
【0024】
入力装置102、表示パネル103、記憶媒体104及び通信部105は、制御装置101に接続されている。入力装置102で入力された各種情報は、制御装置101を経て表示パネル103に表示されるとともに、必要な情報については医療従事者の入力操作によって記憶媒体104に記憶されるとともに、通信部105によって各コンソール1に送信されるようになっている。
【0025】
記憶媒体104に記憶されるデータベースとしては、
図3に示す患者データベースと、
図4に示す処置者データベースと、
図5に示す処置完了データベースとを含む複数のデータベースがある。
【0026】
図3の患者データベースは、患者名、患者毎に付与された固有の患者ID、透析条件及び透析実施において処置として、透析中に行う処置を記憶するためのものである。透析条件とは、図示しないが、透析時間、透析中の血流量、補液速度、補液予定量、液圧警報上限及び下限値等の各値である。
【0027】
透析中に行う処置とは、後述するコンソール1の透析実行部6によって透析治療を行う際に患者のベッドサイドで必要な処置の内容を含んでおり、他にも、当該処置を行うべきタイミング(時間区分)も含んでいる。患者データベースに、処置の内容と、処置を行うべきタイミングとを入力することで、処置の内容と、処置を行うべきタイミングとを関連付けて記憶媒体104に記憶させておくことができるようになっている。
【0028】
処置の内容としては、一般的に透析治療の際に行われる医療的な処置であり、例えば、注射等がある。処置を行うべきタイミングとは、例えば、透析治療が開始されてから経過した時間、透析治療終了までの残り時間、時刻(24時間制)、透析治療における特定の工程及び透析治療時における警報発生時等である。透析治療における特定の工程とは、例えば、患者からの脱血を開始する脱血開始時、脱血が完了した脱血完了時、返血を開始する返血開始時、返血が完了した返血完了時、除水が完了した除水完了時等であり、また、特定の工程の開始時、終了時、開始からの経過時間、終了までの残り時間等であってもよい。例えば、プライミング工程終了5分前に脱血工程の準備(穿刺の準備等)を行う旨の報知を行うことができるようにしてもよい。透析治療時における警報発生時とは、例えば血圧があらかじめ設定された上限値を超えたり、下限値を下回った場合である。
【0029】
処置の内容と、処置を行うべきタイミングは、1人の患者に対して複数記憶させておくことができるようになっている。
図3では、患者「○山太郎」に対して透析治療中に2つの処置の内容(○○及び△○)と、各処置を行うべきタイミング(透析治療開始から1時間経過時及び12:00)とが記憶されている。また、患者「○村次郎」は透析治療中に何らの処置も必要ない場合である。
【0030】
図4の処置者データベースは、処置者IDと、処置者の名前とを関連付けて記憶するためのものである。処置者名とは、透析室において透析治療の際にベッドサイドで患者に対して実際に処置を行う者(医療従事者)の名前である。処置者IDは、処置者毎に付与されている固有のものである。処置者データベースには、複数の処置者を記憶することができるようになっている。
【0031】
図5の処置完了データベースには、透析治療の際に処置を行った処置者のID及び名前と、処置が行われた患者のID及び名前と、行われた処置の内容と、当該処置が行われたタイミング(完了時間区分)とが関連付けられて記憶されるようになっている。この処置完了データベースに記憶される各情報は、各コンソール1から送信される。これについては後述する。
【0032】
図6に示すように、コンソール1は、制御装置2と、入力装置3と、表示パネル4と、通信部5と、透析実行部6とを有している。制御装置2は、演算処理装置(CPU)等を内蔵したコンピュータで構成されており、所定のプログラムに従って動作する。制御装置2は、メモリ等で構成された記憶部2aを備えている。入力装置3は、医療従事者(処置を行った処置者を含む)がベッドサイドで各種情報を入力するための入力部であり、例えば、キーボード、マウス、タッチ操作パネル、タッチペン等で構成することができるが、この実施形態では、タッチ操作パネルを使用している。表示パネル4は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示パネルで構成することができ、医療従事者が認識可能な情報を表示するための表示部である。この表示パネル4の表面に入力装置3としての透明タッチ操作パネルが配設されており、医療従事者が、表示パネル4に表示された仮想スイッチやボタン等を触れるようにタッチ操作パネルを操作することで所定の情報を入力することができるようになっている。通信部5は、各種データを中央監視装置100に送信すること、及び中央監視装置100から送信された各種データを受信することができるように構成された周知の通信デバイスで構成することができる。
【0033】
透析実行部6は、図示しないが、血液回路、透析液回路、ダイアライザー等を備えており、患者に対して透析治療を実行する周知の部分である。血液回路の血液ポンプや、各回路のクランプを開閉操作することで、脱血工程、返血工程、除水工程を含む一般の透析治療における各工程を自動で実行することができる。血液ポンプやクランプの制御は制御装置2によって行われる。
【0034】
入力装置3、表示パネル4、通信部5及び透析実行部6は、制御装置2に接続されている。入力装置3で入力された各種情報は、制御装置2を経て表示パネル4に表示されるとともに、必要な情報については医療従事者の入力操作によって記憶部2aに記憶されるとともに、通信部5によって中央監視装置100に送信されるようになっている。尚、記憶部2aは、コンソール1とは別の機器に設けてもよく、この場合、コンソール1と記憶部2aとは、有線通信、無線通信等によってデータの送受信を可能にすればよい。
【0035】
中央監視装置100の記憶媒体104に記憶されている患者データベースに係るデータと、処置者データベースに係るデータは、コンソール1に送信されるようになっている。患者データベースに係るデータは、当該患者を担当するコンソール1にのみ送信される。どのコンソール1がどの患者を担当するかは、中央監視装置100の操作者が事前に把握しており、それに基づいてデータの送信を行う。各コンソール1に送信されたデータは、制御装置2の記憶部2aに一旦記憶される。つまり、記憶部2aは、透析実行部6による透析治療を行う際にベッドサイドで患者に対して必要な処置の内容と、当該処置を行うべきタイミングとを関連付けて記憶することができる。
【0036】
制御装置2は、各種画面を切り替えて表示パネル4に表示させる。画面とは、
図7に示す透析時通常画面、
図8に示す透析条件確認画面、
図9に示す処置内容報知画面、
図10に示す処置者入力画面及び
図11に示す処置時刻修正画面を含んでおり、これら画面以外の画面を表示させることもできる。
【0037】
図7の透析時通常画面は、透析実行部6が透析を行っているときに表示する通常画面であり、処置の必要がないとき、各種警報が発生していないときに表示される。透析時通常画面は、透析開始からの経過時間、除水量、除水速度、静脈圧等を表示することができるように画面構成されている。尚、例えば静脈圧が上限値を超えたり、下限値を下回った場合等には、そのことを警報するための警報画面に切り替わる。
【0038】
図8に示す透析条件確認画面は、中央監視装置100から送信された患者データベース(
図3に示す)に係るデータのうち、透析条件を表示することができるように画面構成されており、コンソール1の所定の操作によって表示パネル4に表示される。透析条件確認画面を表示させることで、中央監視装置100で入力された透析情報をコンソール1で確認することが可能である。また、透析条件確認画面に表示されている各種値は、コンソール1で修正することができる。
【0039】
図9に示す処置内容報知画面は、中央監視装置100から送信された患者データベースに係るデータのうち、透析中に行う処理を表示することができるように画面構成されている。
図7の透析時通常画面が表示されている状態で、患者データベースの時間区分に入力されているタイミングになると、
図9の処置内容報知画面に切り替えられて処置内容報知画面が表示パネル4に表示される。処置内容報知画面では、患者名、患者ID及び除水量等の他、患者データベースの時間区分及び処置内容と、処置者と、処置時刻とが表示される。符号30で示す最も上の行に表示される時間区分及び処置内容が現在行うべきものであり、そのすぐ下の行31に表示される時間区分及び処置内容は次に行うべきものである。つまり、時間区分及び処置内容が関連付けられて、上から下に、行う順番で表示される。
【0040】
尚、処置内容報知画面には、現在行うべき処置内容及び時間区分のみ表示するようにしてもよい。
【0041】
処置内容報知画面の処置者の欄には仮想ボタン33が表示される。この処置者欄の仮想ボタン33を押すと、
図10の処置者入力画面が表示される。処置者入力画面で入力操作された処置者の名前が、
図9の処置内容報知画面の仮想ボタン33上に表示される。また、
図9の処置内容報知画面の処置時刻とは、処置者が実際に処置を行った時刻に対応した時刻のことであり、正確には、
図10の処置者入力画面で処置者の名前を入力した時刻が表示される。従って、処置者が処置内容の欄に記載された処置を行った後に、仮想ボタン33を押して
図10の処置者入力画面で処置者の名前を入力すると、
図9の処置内容報知画面に一旦戻り、処置内容報知画面に処置者と処置時刻とが表示される。つまり、処置者が入力装置3を操作することにより、処置者と処置時刻とが同時に入力される。尚、処置者と処置時刻とは別々に入力してもよい。
【0042】
このように入力装置3を操作して処置者と処置時刻とを入力するようにしている以上、処置者が実際に処置を行った時刻と、処置内容報知画面の処置時刻とは若干のずれが生じることになるが、処置者入力画面での処置者及び処置時刻の入力には殆ど時間を要さないので、問題となるほどの時間差とはならない。
【0043】
処置内容の種類が多い場合には、スクロールボタン34の操作によって時間区分、処置内容、処置者及び処置時刻をスクロールすることができるようになっている。これにより、過去の処置内容及び処置時間もコンソール1上で簡単に確認できる。
【0044】
図10の処置者入力画面は、中央監視装置100から送信された処置者データベースに係るデータのうち、処置者の名前を一覧表示するとともに、処置内容及び時間区分も表示することができるように画面構成されている。処置者が多数存在する場合には、「ア」〜「ワ」ボタンを操作することで、例えば50音の各行の頭文字を持った処置者のみを選択して表示させることができる。処置者の名前を表示したボタン36を押すことで、その処置者を選択して入力することができるようになっている。
【0045】
尚、
図10の処置者入力画面には、処置者の名前以外にも、処置者IDや従業員番号等の処置者を特定できる情報を表示するようにしてもよい。また、処置者を入力する方法としては、例えば処置者の名前をキーボードやタッチペンを利用して処置者欄に直接入力するようにしてもよい。この場合、処置時刻は、処置者の名前が直接入力された時刻とすることができる。
【0046】
また、コンソール1にカードリーダを設けておき、処置者を入力する際には、処置者が自分のIDカードをカードリーダにかざすことによって簡単に入力できるようにしてもよい。この場合、処置時刻は、処置者のIDカードを読み取った時刻とすることができる。また、処置者が固有のICタグを持っている場合には、コンソール1に専用のリーダを設けておくことでICカードの場合と同様に入力することができる。
【0047】
また、
図10の処置者入力画面には、図示しないが、処置内容を表示した時刻、処置内容を表示して経過した時間、処置内容を表示した時の透析開始からの経過時間、処置内容を表示してから処置が完了するまでに要した時間等を表示するようにしてもよい。また、処置者及び処置時刻の他に、処置内容を表示した時刻、処置内容を表示して経過した時間、処置内容を表示した時の透析開始からの経過時間、処置内容を表示してから処置が完了するまでに要した時間、コンソール1のID、患者IDを関連付けて記憶部2aに記憶させ、中央監視装置100に送信するようにし、中央監視装置100の記憶媒体104に記憶させるようにしてもよい。
【0048】
図11の処置時刻修正画面は、
図9の処置内容報知画面で処置者及び処置時刻を入力した後に、処置時刻を修正するための画面であり、処置内容報知画面で処置時刻が表示された部分を押すことで表示される。処置時刻修正画面は、除水量等の他、時刻設定用のボタンと、処置内容及び時間区分も表示することができるように画面構成されている。処置時刻修正画面中の入力ボタン37を押すと、
図9の処置内容報知画面に戻り、修正した時刻が反映される。処置時刻修正画面中の戻るボタン38を押すと、修正した時刻が反映されずに
図9の処置内容報知画面に戻る。
【0049】
次に、
図12に示すフローチャートに基づいて透析システムAによる透析治療の流れについて説明する。スタート後のステップS1では、中央監視装置100に所定情報を入力する。所定情報とは、
図3に示す患者データベース、
図4に示す処置者データベース等に係る情報である。この入力作業は、医療従事者が中央監視装置100の設置されている部屋で入力装置102を使用して行う。
【0050】
続くステップS2では、ステップS1で中央監視装置100に入力した所定情報を各コンソール1へ送信する。これは中央監視装置100の入力装置102を操作することによって行うようにしてもよいし、コンソール1を操作してデータ送信要求信号を中央監視装置100に送信することによって行うようにしてもよい。このとき、
図4に示す処置者データベースに係る情報は、全てのコンソール1に送信されるが、
図3に示す患者データベースに係る情報は、コンソールIDに基づいて該当する患者を担当するコンソール1にのみ送信される。
【0051】
以下のステップS3〜S10はコンソール1の制御装置2で行われる。ステップS3では、コンソール1の透析実行部6による透析が開始されたか否かを判定する。ステップS3で透析が開始されていないと判定された場合には、NOに進み、透析が開始されるまで次のステップに進まずに待つ。透析の開始はコンソール1のボタン操作で行う。
【0052】
透析実行部6による透析が開始されている場合にはステップS4に進む。ステップS4では、透析治療中にベッドサイドで患者に対して所定の処置が必要か否かを判定する。すなわち、患者データベースに処置内容が入力されている場合には、所定の処置が必要であるので、ステップS4でYESと判定する。一方、患者データベースに処置内容が入力されていない場合には、所定の処置が不要であるので、ステップS4でNOと判定する。ステップS4でNOと判定された場合には、ステップS9に進み、透析実行部6による透析が終了したか否かを判定する。ステップS9でYESと判定されて透析実行部6による透析が終了した場合には、ステップS10に進んで透析終了処理を行う。ステップS9でNOと判定されて透析が終了していない場合には、ステップS4に戻る。
【0053】
ステップS4でYESと判定されて透析中に所定の処置が必要である場合には、ステップS5に進んで、所定イベントもしくは所定時刻が到来したか否かを判定する。所定イベントとは、例えば、脱血開始時、脱血完了時、返血開始時、返血完了時、除水完了時、脱血工程、返血工程、除水工程、各種警報発生等であり、透析実行部6の状態を監視しておくことで判定可能である。所定時刻とは、24時間制の時刻、透析治療開始からの経過時間、透析治療終了までの残り時間等であり、現在時刻や、透析実行部6による透析開始時刻、あらかじめ設定された透析終了時刻等に基づいて判定可能である。
【0054】
例えば、時間区分が透析開始から1時間となっている場合には、ステップS5において、透析開始から1時間経過したら所定時刻が到来したと判定する。また、例えば、時間区分が脱血工程となっている場合には、ステップS5において、透析実行部6が脱血工程を開始したら所定イベントが到来したと判定する。
【0055】
ステップS5でNOと判定されて所定イベントもしくは所定時刻が未だ到来していない場合には、所定イベントもしくは所定時刻が到来するまで待つ。ステップS5でYESと判定されて所定イベントもしくは所定時刻が到来した場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、処置内容を表示パネル4に表示する。すなわち、
図9に示す処置内容報知画面を表示パネル4に表示することで、時間区分に示すタイミングが到来したこと、及び、必要な処置内容を患者のベッドサイドの医療従事者に報知する。
【0056】
上記ステップS5は、記憶部2aに記憶された処置を行うべきタイミングに基づいて、当該処置の内容を表示パネル4に表示する必要があるか否かを判定するステップである。上記ステップS6は、ステップS5で処置の内容を表示パネル4に表示する必要があると判定された場合に、記憶部2aに記憶されている処置の内容を表示パネル4に表示させるステップである。
【0057】
このとき、コンソール1にスピーカーや発光体を組み込んでおき、音や光を発するようにしてもよい。音の種類としては、ブザー音や各種曲を使用することができる。処置の種類に応じて音色を変えたり、光の色を変えることもできる。
【0058】
コンソール1に必要な処置内容が表示されるので、医療従事者は、その処置を患者に対して確実に行うことができ、処置が行われないままとなるのを回避できる。
【0059】
本実施形態では、処置内容をテキスト形式で表示するようにしているが、これに限らず、例えばイラストや写真等の画像で表示してもよい。
【0060】
その後、ステップS7に進み、処置者選択操作が行われたか否かを判定する。処置者選択操作とは、
図9に示す処置内容報知画面のボタン33を押して
図10に示す処置者入力画面を表示させてボタン36を押して処置者を選択し、入力する一連の操作のことである。これにより、表示パネル4に表示された処置を行った処置者と、当該処置が行われたタイミングとが入力装置3の操作により入力されることになる。
【0061】
ステップS7でNOと判定されて処置者選択操作が行われていないと判定した場合には、次のステップに進まずに待つ。従って、
図9に示す処置内容報知画面が表示されたままとなるので、処置者に処置者選択操作を促すことができる。
【0062】
ステップS7でYESと判定されて処置者選択操作が行われたと判定した場合には、ステップS8に進んで、選択された処置者を処置時刻とともに記憶部2aに記憶する。これにより、処置を行った後の記録ミスや記録漏れをなくすことが可能になる。ステップS8は、処置者と処置タイミングとを関連付けて記憶部2aに記憶するステップである。
【0063】
そして、ステップS9に進んで透析実行部6による透析が終了したか否かを判定する。ステップS9でYESと判定されて透析実行部6による透析が終了した場合には、ステップS10に進んで透析終了処理を行う。透析終了処理では、記憶部2aに記憶したデータを中央監視装置100に送信して中央監視装置100の記憶媒体104の処置完了データベースに記憶する。処置完了データベースに記憶されたデータは、中央監視装置100の表示パネル103に表示させることができる。ステップS9でNOと判定されて透析が終了していない場合には、ステップS4に戻る。1人の患者に対して1つの処置を行う場合には、2回目のステップS4では既に処置が終了しているのでNOと判定されてステップS9に進む。
【0064】
1人の患者に対して2以上の処置を行う場合には、2回目のステップS4でYESと判定されてステップS5に進むことになる。
【0065】
以上説明したように、この実施形態に係るコンソール1によれば、記憶部2aに記憶された処置の内容を表示パネル4に表示させ、当該処置を行った処置者と当該処置が行われたタイミングとが入力装置3の操作により入力された場合にそれらを関連付けて記憶部2aに記憶するようにしたので、透析治療中に必要な処置を漏れなく行うことができるとともに、処置を行った後の記録ミスや記録漏れをなくすことができる。
【0066】
また、記憶部2aに記憶された処置を行うべきタイミングに基づいて、当該処置の内容を表示パネル4に表示する必要があると判定した場合には、記憶部2aに記憶されている処置の内容を表示パネル4に表示させるようにしたので、透析治療の際に必要な処置を漏れなく行うことができる。
【0067】
また、記憶部2aにあらかじめ記憶した複数の処置者を表示パネル4に表示させ、表示パネル4に表示した処置者を選択する操作によって入力するようにしたので、処置者をスピーディーに、かつ、間違いなく入力することができる。
【0068】
また、記憶部2aに記憶された処置者と、処置が行われたタイミングとを中央監視装置100に送信するようにしたので、これら情報を中央監視装置100で保存し、利用することができる。
【0069】
また、中央監視装置100に入力した複数の処置者の情報をコンソール1で受信して記憶させるようにしたので、複数の処置者の情報を記憶する作業に要する時間を短縮できる。
【0070】
尚、透析実施において必要な処置に関するものとしては、透析治療中の処置だけでなく、例えば、透析前の準備品(薬剤、血液浄化器の種類等)の準備を促す表示や、間違いが起こらないように注意を喚起する注意喚起、透析終了後の処置(透析終了後の血圧測定や薬剤投与等)、透析時以外の装置の洗浄、メンテナンス等に係る処置等も含まれる。
【0071】
また、透析治療以外の場面、例えば透析装置の洗浄中やメンテナンス中に報知操作や、処置完了操作が可能となるように構成してもよい。
【0072】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。