(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のスピーカ装置では、スピーカと反射板との距離が短い場合には音が十分に拡散しないという課題がある。スピーカと反射板との距離をある程度長くすると、スタンドが大型化してしまう。
【0006】
また、従来のスピーカ装置では、反射板がスピーカからの音圧を全て受けることになり、反射板自体が振動して余分な音が発生する可能性がある。
【0007】
また、従来のスピーカ装置は、水平方向に音を拡散させることができるが、下方向には反射板が存在するため、下方向に音を出力することができない。したがって、例えば、筐体を壁面に設置した際には、下方向への音の広がりが少なくなる。
【0008】
そこで、この発明は、水平方向に音を十分に拡散させ、かつ下方向にも広がりのある音を出力することができるスピーカ装置用スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスピーカ装置用スタンドは、スピーカ装置の筐体の下側に設けられるスピーカ装置用のスタンドであって、前記筐体内に下向きに設置されたスピーカの下側に設けられ、前記スピーカの放音方向に対して傾斜した方向に主面を有する板状部材を備え、前記板状部材がスリット状に複数並べられることにより拡散板が形成されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、スピーカから出力された音は、板状部材の間を抜けて、下方向に拡散することになり、筐体の背面を壁面に設置した場合に下方向への音の広がりを阻害することがない。また、スピーカ装置を床やラック等の水平な設置面に設置した場合でも、板状部材の間を抜けて水平方向に音を拡散することもでき、スピーカと拡散板との距離が短くとも、音が十分に拡散することになる。また、スピーカからの音は、板状部材の間を抜けるため、拡散板がスピーカからの音圧を全て受けることがなく、拡散板自体が振動して余分な音が発生することがない。
【0011】
また、拡散板の下側にスペーサを設けることで、拡散板と設置面との間に空間を形成し、当該空間から音を拡散させることが好ましいが、例えば拡散板(または拡散板の回りの枠体)の下面に突起を設けることで設置面との間に空間を形成することも可能である。
【0012】
また、拡散板は、放射状に並べられた複数の板状部材からなることが好ましい。主面が傾斜した板状部材を放射状に並べることで、スピーカから出力された音を均一に周囲に拡散させることができる。
【0013】
また、拡散板は、前記筐体の下面から所定距離だけ離れ、スタンドの側面が開口した状態になっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水平方向に音を十分に拡散させ、かつ下方向にも広がりのある音を出力することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(A)は、スピーカ装置の外観斜視図である。本実施形態では、テレビ100の下方に設置して使用するスピーカ装置10を示す。
【0017】
スピーカ装置10は、幅方向に長い直方体形状の筐体を有している。スピーカ装置10の下側には、複数(同図においては2つ)のスタンド1が設けられている。
【0018】
スピーカ装置10は、
図1(B)および
図1(C)に示すように、筐体内部にスピーカ50が設置されている。スピーカ50は、スタンド1の上側に、放音方向が下向きにして設けられている。このように、筐体内部において放音方向が下向きに設置されたスピーカ50を設けることで、スピーカ装置10の筐体の高さが低く抑えられている。
【0019】
また、スピーカ装置10は、
図1(A)に示すように、筐体正面の中央部に複数のスピーカ(この例では8個)が配列されたスピーカアレイ101が設置されている。スピーカアレイ101の各スピーカから音を出力すると、所定方向に強い指向性を有する音声ビームが形成される。スピーカ装置10は、各スピーカから出力する音の遅延量を制御することで、音声ビームの方向を制御する。スピーカアレイ101の各スピーカは小型であるため、低域(例えば200Hz以下)の音を出力することができない。したがって、スピーカ50は、スピーカアレイ101では出力することのできない低域の音を補うために設置されている。
【0020】
スピーカ装置10は、テレビ100等の外部装置と接続され、外部装置から入力したオーディオ信号に基づく音をスピーカ50から出力する。
【0021】
スピーカ装置10は、
図1(B)に示すように、スタンド1によって、テレビ前方の床やラック等の水平な設置面に設置される。スタンド1は、
図1(B)に示すように水平な設置面に設置される場合には、スピーカ装置10を支持しつつ、スピーカ50の出力する音を水平方向に拡散させる。
【0022】
また、スピーカ装置10は、
図1(C)に示すように、筐体背面が壁面に設置される場合もある。この場合、スタンド1は、スピーカ50の出力する音を水平方向に拡散させつつ、下方向(スピーカ50の放音方向)にも通過させる。
【0023】
以下、スタンド1の具体的な構造について説明する。
図2は、スタンド1およびスピーカ50の斜視図である。
図3(A)は、スタンド1の平面図であり、
図3(B)は、断面図(
図3(A)に示すA−Aの断面図)である。
【0024】
図2に示すように、スタンド1は、上部枠体11、下部枠体12、支柱13、拡散板14、およびスペーサ15からなる。
【0025】
上部枠体11は、上下方向に薄い板状の部材であり、平面視して中央部が開口した輪形状である。ただし、上部枠体11のうち筐体の背面側は、直線状の部分となっている。この直線状の部分は、筐体背面と面一になっている。上部枠体11の上面側のうち中央部の開口部分にスピーカ50が配置される。スピーカ50の放音方向は、下向きになっているため、スピーカ50から出力された音が当該開口部分から下側に抜けるようになっている。
【0026】
下部枠体12は、上部枠体11と同じく上下方向に薄い板状の部材である。下部枠体12のうち筐体の背面側も、直線状の部分となっており、筐体背面と面一になっている。
【0027】
上部枠体11の下面、および下部枠体12の上面は、複数(同図においては4つ)の支柱13で接続されている。したがって、上部枠体11と下部枠体12との間は、所定距離hだけ離れ、スタンド1の側面が開口した状態となる。ただし、開口した側面は、スピーカ50を保護しつつ音響的に阻害しないように、パンチングメタル等の保護部材で覆われることが好ましい。
【0028】
そして、下部枠体12の中央部には、拡散板14が配置されている。拡散板14は、スピーカの放音方向に対して傾斜した方向に主面(上下面)を有する複数の板状部材からなる。
【0029】
図3(A)および
図3(B)を参照して拡散板14について詳細に説明する。拡散板14は、下部枠体12の中心付近から放射状に並べられた輪形状の板状部材141A、板状部材141B、および板状部材141Cからなる。ただし、板状部材141Aは、中心部分が開口していない円錐台形状となっている。
【0030】
これら板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、および板状部材141Dは、それぞれ主面がスピーカ50の放音方向に対して外周方向に角度θ(θ<90°)だけ傾斜して並べられている。また、板状部材141Dの外側は、下部枠体12の一部である傾斜部分121Eが、スピーカ50の放音方向に対して角度θだけ傾斜して配置されている。
【0031】
板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eは、それぞれ複数のフレーム142によって接続されている。なお、拡散板14の各種構成(板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、およびフレーム142)と、下部枠体とは、樹脂により一体成型されているが、それぞれの部材を別体としてもよい。
【0032】
これにより、板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eは、それぞれ所定距離dだけ離れてスリット状に並べられることになる。
【0033】
また、
図2に示したように、下部枠体12の下面には、複数(同図においては3つ)のスペーサ15が配置されている。スペーサ15は、上下方向に薄い形状のゴム部材であり、下部枠体12の下面に接着剤等で貼り付けられる。
【0034】
このスペーサ15により、スタンド1が水平な設置面に設置された場合に、下部枠体12と設置面との間に空間が形成される。なお、スペーサ15は、必須ではなく、例えば下部枠体12または拡散板14の下面に突起を設けることで設置面との間に空間を形成することも可能である。
【0035】
したがって、スピーカ50から出力された音は、板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eのそれぞれの間を抜けて、下部枠体12と設置面との間に形成された空間から周囲に拡散することになる。また、スピーカ50から出力された音は、上部枠体11と下部枠体12との間における側面(スタンド1の開口側面)からも周囲に拡散する。
【0036】
また、
図1(C)のように筐体背面が壁面に設置される場合も、スピーカ50から出力された音は、板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eのそれぞれの間を抜けて、下方向に拡散することになる。この場合も、スピーカ50から出力された音は、上部枠体11と下部枠体12との間における側面(スタンド1の開口側面)からも周囲に拡散する。
【0037】
このように、スタンド1は、スピーカ装置10を壁面に設置した場合も水平な設置面に設置した場合も、スピーカから出力された音を周囲に拡散させることができる。また、スピーカから出力された音が、板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eの間を抜けるため、拡散板14がスピーカからの音圧を全て受けることがなく、拡散板14自体が振動して余分な音が発生することがない。
【0038】
また、板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eは、それぞれ主面がスピーカ50の放音方向に対して外周方向に角度θだけ傾斜して放射状に並べられているため、スタンド1の側面から設置面が見えないようになっている。これにより、例えばスピーカ装置10およびスタンド1の色と設置面の色が異なる場合であっても、スタンド1から設置面が透けて見えないようになるため、外観上の美観を損ねることがない。
【0039】
また、本実施形態では、以下の様な変形例も可能である。
図4(A)は、変形例1に係るスタンド1Aの平面図である。
図3と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。スタンド1Aは、
図3に示したスタンド1に対して、上部枠体11および下部枠体12のうち側面が、切り取られた直線状の部分となっている。したがって、
図3のスタンド1に対して、左右方向に短い形状とすることができる。このスタンド1Aも、スピーカ50から出力された音を周囲に拡散させることができる。このように、スタンドの形状と拡散板の形状が異なっていてもよい。
【0040】
図4(B)は、変形例2に係るスタンド1Bの平面図である。
図3と共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。スタンド1Bは、
図3に示したスタンド1に対して、上部枠体11、下部枠体12、板状部材141A、板状部材141B、板状部材141C、板状部材141D、および傾斜部分121Eが、楕円形状(ただし、上部枠体11および下部枠体12の筐体の背面側は、直線状の部分となっている。)となっている。したがって、
図3のスタンド1に対して、正面方向(スピーカ装置の奥行き方向)に短い形状とすることができる。このスタンド1Bも、スピーカ50から出力された音を周囲に拡散させることができる。
【0041】
また、
図5(A)の変形例3に示すように、平面視して長方形状の板状部材を配置するスタンド1Cのような態様も可能であるし、
図5(B)の変形例4に示すように、平面視して多角形状(この例では5角形状)の板状部材を放射状に配置するスタンド1Dのような態様も可能である。