【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中に使用した各特性値は、次の測定法により求めた。
(1)製品糸長差
染色後の織編物を分解して得られた混繊糸の糸長差のことである。約5cmの長さの糸を取り出し、繊維自体が伸びないように注意深く単糸1本1本に分解する。グリセリンを塗布したスケール板上に分解した単糸を乗せて、ポリエステルフィラメント単糸群の平均長をL1、ポリアミド捲縮糸単糸群の平均長をL2として次式により算出する。
【0039】
製品糸長差(%)={(L2−L1)/L1}×100
(2)製品交絡間隔
染色後の織編物を分解して得られた混繊糸の交絡間隔のことである。交絡は、0.1g/dの張力下における1m当たりの交絡部の数であり、0.02g/dの張力下で非交絡部にピンを刺し、糸条1mにわたり0.1g/dの張力でピンを糸の長手方向の上下に移動せしめ、移動した距離を非交絡部とし、ピンが止まる部分を交絡部とする。ここでは、糸条の未解撚部も交絡部として数える。製品交絡間隔は下記式で算出する。
【0040】
製品交絡間隔(mm)=1000/(1m当たりの交絡部の数)
(3)持続熱移動量(W/cm
2)
カトーテック(株)製精密迅速熱物性測定装置KES−F7(THERMO LABO II TYPE)を使用し、測定を行った。具体的には、蓄熱体である銅板に室温(20℃)+10℃の熱を蓄え、その銅板を編地の肌側と接する面に乗せる。そして、10秒経過後の銅板から編地に移動する熱移動量を持続熱移動量として算出する。
(4)乾燥時間
織編物生地より幅40cm×長さ40cmの試験片を5枚採取し、20℃×65%RHに設定された温調室で24時間以上放置し、繊維内の水分を平衡状態にする。その時の試験片の重量をWとする。その後、試験片が完全に水中に10分間浸漬し、家庭用洗濯機の脱水装置により30秒脱水する。この試験片を、20℃×65%RHに設定された温調室内にしわのないように広げ、洗濯ばさみでつるし、脱水直後より、5分毎に試料の重量Wmを測定する(m:放置時間)。この時の水分率は下記式で計算される。
【0041】
水分率={(Wm−W)/W}×100
この水分率が1%以下になるまでにかかる時間測定し、5枚の試験片の平均値を乾燥時間とする。
(5)吸水性
織編物生地を20℃×65%RHに設定された調温室で24時間以上放置し、水分平衡状態にし、幅1cm×長さ20cmの編地試験片を経方向、緯方向でそれぞれ5本ずつ採取する。その試験片の一端をつかみ具によって固定し、他端側の約2cm長さを20±2℃の蒸留水中に浸し、浸漬開始から10分後までに毛細管現象によって水が上昇した距離(mm)を0.5mm間隔で読みとる。経方向、緯方向の試験片についてそれぞれ5回測定し、その合計平均値でもって表す。
(6)洗濯収縮率
織編物生地より、幅50cm×長さ50cmの試験片を5枚採取し、20℃×65%RHに設定された温調室内に24時間以上放置する。各試験片の経、横方向にそれぞれ30cm間隔で3箇所マーキングする。この試験片と追加布で総重量が830gになるようにし、自動反転うず巻き式電気洗濯機で、水量25リットル、水温約40℃、弱アルカリ性合成洗剤1g/リットル、洗濯時間25分の条件で洗濯する。その後、すすぎを10分間行った後濾紙の上で自然乾燥し、マーキングの幅L(mm)を測定する。経方向、緯方向について、下記式により洗濯収縮率を求め平均値を算出する。
【0042】
洗濯収縮率(%)=(300−L)/3
(7)編地品位評価
実施例及び比較例で作成した編地の表面品位において、相対的に綺麗な表面品位を有しているものを◎、やや綺麗な表面品位を有しているものを○、やや表面が乱れた品位を有しているものを△、大きく表面が乱れた品位を有しているものを×とし、無作為に選んだ5人の評価の平均に近いものを特性とした。
【0043】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
(
参考例1)
ナイロン6丸断面高配向未延伸糸に仮撚加工((株)愛機製作所TTNマシン:表1の仮撚条件)を施し、33デシテックス26フィラメントのポリアミド捲縮糸を得る。その後、33デシテックス24フィラメントの丸断面ポリエチレンテレフタレート(PET)フィラメントと交絡処理(東レエンジニアリング(株)製QCIIノズル、表1の混繊条件)を施し、混繊糸を得た。
【0044】
この混繊糸を28Gシングル丸編機にて天竺組織で編成し、この編地を通常の酸性染料の染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。持続熱移動量は0.02W/cm
2であり、持続的に清涼感を感じることができた。またベトツキ感もなく、吸汗性、速乾性、寸法安定性、編地品位も良好であった。
(実施例
1)
参考例1のナイロン6丸断面高配向未延伸糸をナイロン56丸断面高配向未延伸糸へ変更し、かつPETフィラメントをカチオン可染PETフィラメントに変更し、かつ表1の混繊条件に変更した以外は全て
参考例1と同様に混繊糸を作成し、編み地を得た。編地は通常の酸性染料・カチオン染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。持続熱移動量は0.035W/cm
2であり、持続的に高い清涼感を感じることができた。またベトツキ感もなく、吸汗性、速乾性、寸法安定性、編地品位も良好であった。
(実施例
2)
実施例
1のナイロン56丸断面高配向未延伸糸をポリビニルピロリドン(BASF社製“ルビスコール”K30スペシャルグレード)6%含有したナイロン56丸断面高配向未延伸糸に変更し、かつ表1の仮撚・混繊条件に変更した以外は全て実施例
1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の酸性染料・カチオン染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。持続熱移動量は0.052W/cm
2であり、持続的に高い清涼感を感じることができた。またベトツキ感もなく、吸汗性、速乾性、寸法安定性、編地品位も良好であった。
(実施例
3)
実施例
1のナイロン56丸断面高配向未延伸糸をナイロン56扁平八葉断面高配向未延伸糸に変更し、かつカチオン可染丸断面PETフィラメントをカチオン可染異型断面PETフィラメントに変更し、さらに表1の混繊条件に変更した以外は全て実施例
1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の酸性染料・カチオン染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。持続熱移動量は0.042W/cm
2、吸水性が128mmであり、持続的に高い清涼感、吸汗性を感じることができた。またベトツキ感もなく、速乾性、寸法安定性、編地品位も良好であった。
(比較例1)
参考例1を表1の仮撚条件・混繊条件に変更した以外は全て
参考例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の酸性染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。接触瞬間時には清涼感を感じたが、持続的に清涼感を感じることはできなかった。また編地品位もネップが発生する問題も発生した。
(比較例2)
比較例1を表1の仮撚条件・混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の酸性染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、清涼感を感じることはできなかった。また編地品位もネップが発生する問題も発生した。
(比較例3)
比較例1を表1の仮撚条件・混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の酸性染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、接触瞬間時には清涼感を感じたが、持続的に清涼感を感じることはできなかった。また、編地には筋ムラがあり、品位は良くなかった。
(比較例4)
比較例1を表1の仮撚条件・混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編み地を得た。編み地は通常の酸性染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、結果、清涼感を感じることはできなかった。また、編地には交絡ピッチムラがあり、品位は良くなかった。
(比較例5)
比較例1のナイロン6仮撚加工糸を仮撚加工糸しない通常のナイロン糸に変更し、かつ表1の混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編み地は通常の酸性染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、結果、清涼感を感じることはできなかった。また、編地にはふくらみがなく、ペーパーライクな風合いであった。
(比較例6)
比較例1のPET丸断面糸をナイロン6丸断面糸に変更し、かつ表1の混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の酸性染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、接触瞬間時には清涼感を感じたが、持続的に清涼感を感じることはできなかった。また、速乾性も低い結果であった。
(比較例7)
比較例1のナイロン6丸断面高配向未延伸糸をPET丸断面高配向未延伸糸に変更し、かつ、表1の仮撚・混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編地は通常の分散染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、清涼感を得ることはできなかった。
(比較例8)
比較例1のナイロン6丸断面高配向未延伸糸をレーヨン糸に変更し、かつ、表1の混繊条件に変更した以外は全て比較例1と同様に混繊糸を作成し、編地を得た。編み地は通常の酸性・反応染料染色加工方法に準じて染色加工を行った。得られた編地の評価結果を表1に示す。結果、持続的に清涼感を感じることができたが、速乾性が悪く、ベトツキ感のある風合いであった。また、寸法安定性も悪く、毛羽が発生し、編地品位も良くなかった。
【0045】
【表1】