(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、検品作業の内容を説明する検品項目が、検品対象中のどの検品箇所の検品作業を説明するものか必ずしも明らかでない場合がある。
【0009】
そのため、ある検品項目について、対応する検品箇所の検品結果を入力したつもりが、異なる検品箇所の検品結果を入力することとなり、検品作業が正しく行われない場合があるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、検品対象の検品箇所と検品項目の対応が把握され、検品結果の誤入力を抑制する検品支援装置、検品支援システム及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の検品支援装置は、検品対象を連続撮影する撮影手段と、前記検品対象の検品箇所に追従するように検品項目
と前記検品箇所の検品結果を入力する箇所を前記検品対象に重ねて連続表示する表示手段と
、前記検品箇所の検品結果を入力する入力手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項
2に記載の発明は、前記検品支援装置は、前記検品対象に付された識別情報を読み取る読取手段と、前記識別情報に応じて、前記検品項目を変更する変更手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項
1に記載の検品支援装置である。
【0014】
また、請求項
3に記載の発明は、前記検品支援装置は、検品作業者より当該検品作業者の登録情報の入力を受け付ける受付手段をさらに備え、前記変更手段は、前記登録情報に応じて、前記検品項目を変更することを特徴とする請求項
2に記載の検品支援装置である。
【0015】
また、請求項
4に記載の検品支援装置と検品情報管理装置を含む検品支援システムは、前記検品支援装置は、検品対象を連続撮影する撮影手段と、前記検品対象の検品箇所に追従するように検品項目
と前記検品箇所の検品結果を入力する箇所を前記検品対象に重ねて連続表示する表示手段と
、前記検品箇所の検品結果を入力する入力手段と、前記検品結果を前記検品情報管理装置に送信する第1の通信手段と、を備え、前記検品情報管理装置は、前記検品結果を前記検品支援装置から受信する第2の通信手段と、前記検品結果を記憶する記憶手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項
5に記載の発明は、前記検品支援装置は、前記検品対象に付された識別情報を読み取る読取手段と、前記識別情報に応じて、前記検品項目を変更する変更手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項
4に記載の検品支援システムである。
【0018】
また、請求項
6に記載の発明は、前記検品支援装置は、検品作業者より当該検品作業者の登録情報の入力を受け付ける受付手段をさらに備え、前記変更手段は、前記登録情報に応じて、前記検品項目を変更することを特徴とする請求項
5に記載の検品支援システムである。
【0019】
また、請求項
7に記載の発明は、前記検品支援装置は、前記識別情報及び前記登録情報のいずれか一方又は両方を前記検品情報管理装置に送信し、前記検品情報管理装置は、前記識別情報及び前記登録情報のいずれか一方又は両方に応じて、前記検品項目を決定する決定手段をさらに備え、決定した前記検品項目を前記検品支援装置に送信することを特徴とする請求項
6に記載の検品支援システムである。
【0020】
また、請求項
8に記載の発明は、前記記憶部は、前記検品対象の製造履歴をさらに記憶し、前記決定手段は、記憶された前記検品結果及び前記製造履歴のいずれか一方又は両方に応じて、複数の検品箇所を検品する場合における検品項目の操作順序を決定し、前記検品情報管理装置は、決定した前記操作順序を前記検品支援装置に送信することを特徴とする請求項
7に記載の検品支援システムである。
【0021】
また、請求項
9に記載の発明は、前記検品支援装置は、内部電源によって動作し、前記第1の通信手段及び前記第2の通信手段は、無線通信を行うことを特徴とする請求項
8に記載の検品支援システムである。
【0022】
また、請求項1
0に記載の発明は、コンピュータを、検品対象を連続撮影する撮影手段、前記検品対象の検品箇所に追従するように検品項目
と前記検品箇所の検品結果を入力する箇所を前記検品対象に重ねて連続表示する表示手段
、前記検品箇所の検品結果を入力する入力手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、
4及び1
0に記載の発明によれば、検品対象の検品箇所と検品項目の対応が把握され、検品結果の誤入力を抑制する検品支援装置、検品支援システム及びプログラムが得られる。
【0025】
請求項
2及び
5に記載の発明によれば、検品対象に応じた検品項目の表示が行われる。
【0026】
請求項
3及び
6に記載の発明によれば、検品作業者に応じた検品項目の表示が行われる。
【0027】
請求項
7に記載の発明によれば、検品項目の決定が集中管理される。
【0028】
請求項
8に記載の発明によれば、検品効率が向上する。
【0029】
請求項
9に記載の発明によれば、検品作業者が検品支援装置を持ち運び、検品対象に接近することで検品が行われる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係る検品支援システム1の構成例を示す図である。検品支援システム1は、検品情報管理装置2と検品支援装置3を含む。
【0033】
ここで、検品情報管理装置2は、表示部21、記憶部22、制御部23、入力部24、及び通信部25を含んで構成されている。さらに、制御部23は、決定部231を含んでいる。なお、表示部21、記憶部22、制御部23、入力部24は一体となってコンピュータとして機能する。
【0034】
また、検品支援装置3は、通信部31、記憶部32、制御部33、タッチパネル部34、撮影部35、及び表示部36を含んで構成されている。なお、記憶部32、制御部33、タッチパネル部34、表示部36は一体となってコンピュータとして機能する。本実施の形態において、検品支援装置3はいわゆるダブレットPCであり、内部電源で動作するものとする。
【0035】
通信部31は、例えば無線LANの送受信機であり、通信部25と無線により通信する。通信部31は、有線LAN接続機器であってもよい。本実施の形態では、検品支援装置の携帯性に鑑みて、通信部31は無線通信を行うものであるとする。
【0036】
記憶部32は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んで構成されている。記憶部32は制御部33が実行するプログラムを格納するとともに、制御部33のワークメモリとしても機能する。なお、記憶部32に格納される制御部33が実行するプログラムは、電気通信回線を介して提供されるものであってもよいし、半導体記憶素子等のコンピュータで読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0037】
制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んでおり、記憶部32に格納されているプログラムを実行することにより、検品支援装置3の全体を制御する。例えば、制御部33は、撮影した検品対象に検品項目を重ねて連続表示する場合等に表示部36の制御を行う。
【0038】
撮影部34は、例えばCMOSイメージセンサ等の固体映像素子であり、検出した光情報を電気信号として制御部33に提供する。本実施の形態では、検品対象を連続撮影するために、毎秒数十回程度の撮影が可能であるものが望まれる。
【0039】
タッチパネル部35は、例えば液晶表示装置等の表示部と、指先等で触れられた位置情報を検出するタッチパッド部が一体となったものである。検品支援装置2を使用する検品作業者は、タッチパッド部を透過して視認される表示部に表示されたアイコン等を指先や専用のペンで間接的に触れることにより、タップ操作やドラッグ操作を行う。ここで、「タップ操作」とは、指先等でアイコン等を軽く触れる動作を指す。また、「ドラッグ操作」とは、指先等で触れたアイコン等を触れたまま引き動かす動作を指す。
【0040】
なお、本実施の形態では検品作業者が検品支援装置3を直感的に操作するためタッチパネル部35を採用するが、液晶表示装置等の表示部とキーボードやマウス等の入力部を採用することとしてもよい。
【0041】
検品情報管理装置2の記憶部22、制御部23、通信部25のそれぞれは、検品支援装置3の記憶部32、制御部33、通信部31のそれぞれと同様のものであるとする。また、表示部21、入力部24は、それぞれ液晶表示装置等、キーボードやマウス等とする。
【0042】
図2は、本実施の形態において、検品支援装置3の撮影部34によって検品対象4を撮影し、タッチパネル部35に表示する様子を示す図である。ここで、撮影部34は、タッチパネル部35の設けられている面と対向する面に設けられているものとする。
【0043】
検品対象4は、3枚の印刷物からなる。1枚目の検品対象41には、「甲」という人物名が印字されている。2枚目の検品対象42や3枚目の検品対象43にも同様に文字や画像が印刷されているものとする。
【0044】
検品支援装置3のタッチパネル部35の表示において、1枚目の検品対象41上の「甲」の文字を囲む枠線と、それに追従する吹き出しが重ねて表示されていることが確認できる。ここで、検品作業者が検品支援装置3を持ち運んで様々な方向、距離から検品対象4を連続撮影した場合、当該枠線は「甲」の文字を囲み続けるように角度や大きさが逐次変更され、当該枠線に追従する吹き出しの角度や大きさも逐次変更されることになる。
【0045】
このように、現実環境をコンピュータによって拡張して知覚させる技術を「拡張現実」もしくは「AR(Augmented Reality)」と呼ぶ。検品支援装置3は、AR技術を用いて検品作業者の知覚を拡張し、検品作業を支援する装置である。
【0046】
図3(a)は、検品支援装置3のタッチパネル部35に表示される映像の例を示す図である。1枚目の検品対象41には、検品内容の識別情報411及び検品範囲の識別情報412が予め印刷されており、AR技術によって、検品箇所を示す印字枠413及び検品内容を説明する検品項目414が表示される。
【0047】
ここで、検品内容の識別情報411は、検品対象毎にどのような内容を検品すべきかを示す情報である。本実施の形態では、検品内容の識別情報411は2次元コードであり、当該2次元コードには、検品情報管理装置2の記憶部22に記憶されている検品項目に関する情報を指定する情報が格納されているものとする。検品情報管理装置2の記憶部22に記憶されている情報については、後述する。また、本実施の形態では、当該2次元コードは検品対象の寸法情報や重要度等の情報を指定する情報を含むものとする。
【0048】
検品範囲の識別情報412は、いわゆるトンボであり、1枚目の検品対象41の上下左右が判別できるように丸印が付加されたものとなっている。本実施の形態では、検品範囲の識別情報412を予め検品対象に印刷することとしたが、検品支援装置3は検品対象の端部を検出することとしてもよい。
【0049】
検品支援装置3は、検品範囲の識別情報412を検出し、検品内容の識別情報411に含められた検品対象の寸法情報に基づいて、検品対象をどのような距離、角度から撮影しているのか算出する。
【0050】
そのようにして算出された結果に基づいて、検品支援装置3は、印字枠413及び検品項目414の表示倍率や表示位置、表示角度を算出し、あたかも1枚目の検品対象41上に印字枠413及び検品項目414が印刷されているかのように重ねて表示する。
【0051】
このような表示処理は逐次行われる。検品作業者が検品支援装置3を動かし、撮影距離や方向が変えられれば、検品箇所を示す印字枠413は撮影距離や方向の変化に伴い滑らかに変形、拡縮され、検品項目414は検品箇所に追従するように同様に変形、拡縮される。
【0052】
印字枠413は、検品箇所である「甲」の文字を囲んで表示されている。また、検品項目414の吹き出しの中には「枠内に印字されているか?」という検品内容を説明する文が表示されている。
【0053】
本実施の形態では、検品項目414を確認した検品作業者は、問題が無ければ検品項目414の吹き出しをタップ操作し、問題があればドラッグ操作することとする。どちらの操作が行われたかという情報は、検品結果として検品支援装置3の記憶部32に記憶され、操作された検品項目414及び印字枠413は消去される。そして、全ての検品項目について操作が行われた後、記憶部32に記憶された検品結果は、検品情報管理装置2に送信される。
【0054】
図3(a)の例の場合、「甲」の文字は印字枠413の内側に印刷されているため、検品作業者は検品項目414をタップ操作すればよい。仮に、印字枠413を越えて文字が印刷されていた場合、ドラッグ操作すればよいことになる。
【0055】
検品の合否以外の情報を記録したい場合、例えばドラッグ操作のドラッグ方向の違いによって複数の検品結果を入力できることとしてもよい。その場合、例えば検品項目414に説明された内容には問題ないが、異なる問題があることを示すこととしてよい。
図3(a)の例で言えば、印字枠413に文字が収まっているのだが、誤字がある場合などである。
【0056】
図3(b)は、変形例を示す図である。
図3(a)の場合、検品の合否をタップ操作とドラッグ操作で表すこととしたが、
図3(b)の場合、2種類の検品項目確認ボタン415及び416が表示されている。検品作業者は、検品項目414を確認し、問題が無ければ「OK」の検品項目確認ボタン415をタップ操作し、問題があれば「NG」の検品項目確認ボタン416をタップ操作する。
【0057】
また、検品の合否以外の情報を記録したい場合は、複数の検品項目確認ボタンを設けることとしてよい。
【0058】
図4は、検品情報管理装置2の記憶部22の内容を示す図である。記憶部22は、検品結果記憶部221、識別情報記憶部222、登録情報記憶部223、検品項目記憶部224、製造履歴記憶部225を含む。
【0059】
検品結果記憶部221は、検品支援装置3より送信された検品結果を記憶する。前述のように、検品の合否以外の情報を記録する場合、それらの情報をも記憶することとしてよい。
【0060】
識別情報記憶部222は、検品対象に付された識別情報の示す情報を記憶する。
図3(a)の例の場合、検品支援装置3が検品内容の識別情報411を撮影し、2次元コードに符号化された情報を読み取り、検品情報管理装置2に送信する。当該情報を受信した検品情報管理装置2は、識別情報記憶部222を検索して、検品内容の識別情報411が示す具体的な情報である寸法情報や重要度等の情報を特定し、検品支援装置3に返信する。
【0061】
登録情報記憶部223は、検品作業者の登録情報を記憶する。本実施の形態では、検品作業者は、検品支援装置3を用いて検品作業を行う際、作業に先立って自己の登録情報を入力し、検品支援システムにログインするものとする。検品支援装置3に入力された登録情報は検品情報管理装置2に送信され、登録情報記憶部223に記憶された情報に基づいて認証が行われるものとする。
【0062】
検品項目記憶部224は、検品の説明内容や検品の単位、検品項目の表示位置情報等を記憶する。記憶される情報の例を、
図5に示す。
【0063】
図5には、3種類の検品項目の例が挙げられている。1つ目は、
図3(a)及び(b)において示したものであり、「枠内に印字されているか?」という検品項目である。この検品の単位はページ毎であり、位置情報として印字枠の四隅の座標値が格納されている。当該座標値は、検品範囲の識別情報を基準値として表されるものである。
【0064】
2つ目の検品項目として「傷・汚れがないか?」という項目がある。検品の単位はページ毎であり、特定の箇所の傷・汚れの有無を確認するのではなく、検品対象全体に傷・汚れがないか確認する項目であるため、位置情報は「全体」となっている。このように検品箇所が検品対象全体の場合、AR技術によって表示される検品項目の表示位置は任意としてよい。また、検品対象の上に検品項目を重ねて表示すると隠される部分が生じてしまうため、検品項目を透過処理して表示することとしてもよい。
【0065】
3つ目の検品項目は、「10枚あるか?」である。この場合、検品の単位はジョブ毎となっている。すなわち、印刷物の束毎に10枚あるか検品する作業を意味する。検品箇所が限定されるものではないから、位置情報は「全体」となっている。例えば、
図2の検品対象4の場合、3枚が1セットとなっているから、このことを確認する検品項目を表示することとしてもよい。
【0066】
図4に戻り、製造履歴記憶部225は、検品対象がどういった製造装置によって製造されたかという履歴を記憶するものである。例えば、検品対象を印刷した印刷機を特定する情報であってもよいし、検品対象の作成を担当した人物や部署等を特定する情報であってもよい。
【0067】
図6(a)及び(b)は、識別情報記憶部222や登録情報記憶部223に記憶された情報に基づき、検品項目を変更する例を示す図である。前述のように、検品支援装置3は、検品作業に先立ち検品作業者の登録情報を受け付け、検品対象5に付された識別情報を読み取る。当該登録情報及び識別情報は、検品情報管理装置2に送信され、検品情報管理装置2は、識別情報記憶部222や登録情報記憶部223に記憶された情報に基づき、どのような検品項目を表示するか決定部231によって決定する。
【0068】
図6(a)は、例えば、検品作業者が熟練者である場合の表示態様を示し、
図6(b)は検品作業者が初心者である場合の表示態様を示す図である。熟練者の場合、検品項目51a及び52aに示される文は簡潔である。一方、初心者の場合、検品項目51bに示される文は検品項目51aの場合より長く、より詳細な説明文が書かれている。その他に、初心者の場合には、熟練者の場合には表示されていない検品項目53及び検品項目54が表示されている。また、熟練者の場合と初心者の場合で表示態様が変わらない検品項目52aと検品項目52bもある。
【0069】
ここで、検品作業者が熟練者であるか初心者であるかは、例えば総作業時間から判定することとしてもよいし、管理者により予め定められていることとしてもよい。
【0070】
図6(a)及び(b)は、検品対象5に付された識別情報から読み取られる検品対象の重要度の差を反映した表示態様の変化の例でもある。より厳重な検品を受けるべき検品対象には高い重要度が割り当てられ、
図6(b)のようにより詳細で多様な検品項目が表示され、低い重要度が割り当てられた検品対象の場合、
図6(a)のように簡潔な検品項目が表示されることとなる。
【0071】
図7(a)及び(b)は、検品結果記憶部221や製造履歴記憶部225に記憶された情報に基づき、検品項目の操作順序を変更する例を示す図である。この場合、検品支援装置3より検品対象6の識別情報を受信した検品情報管理装置2は、同種類の検品対象についての検品結果を検品結果記憶部221より取得し、検品項目毎の問題発生率等を算出する。また、検品対象6の製造履歴を製造履歴記憶部225より取得し、検品対象6を製造した装置の歩留り率等を算出する。
【0072】
検品情報管理装置2の決定部231は、算出した検品項目毎の問題発生率や装置の歩留り率等に基づき、問題が発生している割合が高い検品項目ほど先に操作するように操作順序を決定する。その結果、
図7(a)では検品項目61aが最初に操作すべき検品項目となり、検品項目62aは2番目に操作すべき検品項目となっている。
図7(b)の検品項目61b及び検品項目62bでは、操作順序が逆になっている。
【0073】
このように、過去に問題が発生している検品項目を先に確認させることで、その検品対象についてそれまでに行った検品作業が無駄になる確率を低減させ、検品効率を向上させることができる。
【0074】
図7(a)の場合、検品項目61aが示す検品箇所の方が検品項目62aの示す検品箇所よりも問題が発生しやすいと判定されており、
図7(b)の場合は逆の判定がされている。このような操作順序の決定は、検品項目毎の問題発生率や検品対象を製造した装置の歩留り率等を総合して行われることとしてよい。
【0075】
図8は、検品支援装置3と検品情報管理装置2で行われる検品処理を示すフローチャートである。
【0076】
はじめに、検品支援装置3は、検品作業者の登録情報を取得する(S1)。検品支援装置3は、ログイン画面等を表示して検品作業者の登録情報の入力を受け付けることとしてもよい。
【0077】
その後、検品作業者が検品支援装置3の撮影部34で検品対象を連続撮影することで、検品対象が動画として表示される(S2)。
【0078】
次に、検品支援装置3は、撮影された検品対象に付された識別情報を読み取る(S3)。識別情報は、検品内容を示すものや検品範囲を示すもの等、複数種類あってもよい。
【0079】
その後、検品支援装置3は、受け付けた登録情報と読み取った識別情報を検品情報管理装置2に送信する(S4)。
【0080】
登録情報と識別情報を受信した検品情報管理装置2は、記憶部22を検索し、検品作業者に関する情報や検品対象に関する情報、検品項目に関する情報を取得する(S5)。
【0081】
それらの記憶部22から取得された情報に基づいて、検品情報管理装置2の決定部231は、どのような検品項目を表示するか決定し、決定した内容を検品支援装置3に送信する(S6)。
【0082】
検品項目の内容を受信した検品支援装置3は、検品項目を検品対象に重ねて表示する際の表示倍率、表示位置、表示角度等を算出する(S7)。
【0083】
算出された検品項目の表示倍率等に基づき、検品支援装置3は、タッチパネル部35に検品項目を拡張現実として表示する(S8)。
【0084】
検品支援装置3は、検品作業者による検品項目のタッチ操作を受け付ける(S9)。タッチ操作によって検品の合否や問題が記録される。
【0085】
検品支援装置3は、検品作業者によってタッチ操作された検品項目を消去し(S10)、未操作の検品項目が無くなるまで処理を繰り返す(S11)。
【0086】
未操作の検品項目が無くなると、検品支援装置3は検品結果を検品情報管理装置2へ送信する(S12)。なお、検品支援装置3は検品項目がタッチ操作されて、その検品項目に関する検品結果が確定するたびに検品情報管理装置2へ検品結果を送信することとしてもよい。
【0087】
最後に、検品結果を受信した検品情報管理装置2は、検品結果を記憶部22の検品結果記憶部221に記憶する(S13)。
【0088】
以上により、本実施の形態における検品処理が行われる。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は以上のものに限られない。例えば、検品支援装置3としてヘッドマウントディスプレイを表示部として有するウェアラブルコンピュータを採用し、拡張現実として表示部に表示された検品項目を、指先で間接的にタッチ操作するか、視線検出により操作することとしてもよい。