(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の方向に内気が通風する通路を、第1の方向に直交する第2の方向に沿って複数形成したフィン部材と、そのフィン部材を、第1の方向及び第2の方向に直交する第3の方向で挟むように2つの放熱部材を積層してなり、
前記放熱部材は、前記フィン部材に接合される接合面と、その反対側の放熱面とを有し、その放熱面は、第2の方向に延びる突条部と平坦部とがそれぞれ複数設けられて外気が通風する通路が画成され、その表面に親水性塗料が塗布され、
気化冷却器に用いられる、
ことを特徴とする熱交換器ユニット。
第1の方向に内気が通風する通路を、第1の方向に直交する第2の方向に沿って複数形成したフィン部材と、そのフィン部材を、第1の方向及び第2の方向に直交する第3の方向で挟むように2つの放熱部材を積層してなる熱交換器ユニットを、第3の方向に沿って複数積層してなり、
前記放熱部材は、前記フィン部材に接合される接合面と、その反対側の放熱面とを有し、その放熱面は、第2の方向に延びる突条部と平坦部とがそれぞれ複数設けられて外気が通風する通路が画成され、その表面に親水性塗料が塗布され、
気化冷却器に用いられる、
ことを特徴とする熱交換器。
前記放熱部材の外気の通風方向に直交する方向の両端の突条部のうち、一方の突条部の先端部に凸部が設けられ、他方の突条部の先端部に凹部が設けられ、それぞれの突条部を対向させた2つの前記放熱部材の凸部と凹部とを接合して2つの前記放熱部材が連結される請求項9に記載の熱交換器。
前記放熱部材の外気の通風方向に直交する方向の両端の突条部のうち、一方の突条部の先端部には外側に延びる延長部が設けられ、他方の突条部の先端部にはV字状に折り返した挟持部が設けられ、それぞれの突条部を対向させ、前記放熱部材の前記延長部を前記挟持部で挟持して2つの前記放熱部材が連結される請求項9に記載の熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、2種類の熱交換素子を具備する必要があり、その設置の煩雑さやコスト増に改善の余地があった。また、特許文献2に開示された技術においては、仕切板に凹凸を形成させる構成が複雑であり、作業工数やコストの点で改善の余地があった。
特に、外気と内気とを独立して循環させる気化冷却を利用した熱交換器においては、このような最適設計について改善の余地が残されていた。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、簡単な構造で効率よく熱交換が可能な熱交換器ユニット及び熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、潜熱を応用して気化冷却することで、簡単な構造で効率よく熱交換が可能な熱交換器ユニット及び熱交換器を提供することができることを知見した。
【0006】
本発明は、本発明者らによる上記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための本発明のある実施形態に係る熱交換器ユニットは、第1の方向に内気が通風する通路を、第1の方向に直交する第2の方向に沿って複数形成したフィン部材と、そのフィン部材を、第1の方向及び第2の方向に直交する第3の方向で挟むように2つの放熱部材を積層してなり、
上記放熱部材は、上記フィン部材に接合される接合面と、その反対側の放熱面とを有し、その放熱面は、第2の方向に延びる突
条部と平坦部とがそれぞれ複数設けられて外気が通風する通路が画成され、その表面に親水性塗料の塗布等の親水処理がなされ
、気化冷却器に用いられる。
【0007】
また、上記熱交換器ユニットは、上記放熱面の表面に微小な凹凸が形成されてもよい。
また、上記熱交換器ユニットは、上記フィン部材と上記放熱部材とが、ろう付けにより接合されてもよい。
また、上記熱交換器ユニットは、上記フィン部材と上記放熱部材とが接着剤によって接合されてもよい。
また、上記熱交換器ユニットは、少なくとも上記放熱部材が、アルミニウム押出し形材からなることが好ましい。
【0008】
また、上記課題を解決するための本発明のある実施形態に係る熱交換器は、上記熱交換器ユニットを、第3の方向に沿って複数積層してなる。
また、上記熱交換器は、上記放熱面の表面に微小な凹凸が形成されてもよい。
また、上記熱交換器は、上記フィン部材と上記放熱部材とが、ろう付けにより接合されてもよい。
また、上記熱交換器は、上記フィン部材と上記放熱部材とが接着剤によって接合されてもよい。
また、上記熱交換器は、対向する上記放熱部材のそれぞれの突条部の端部同士が接着剤により接合されてもよい。
【0009】
また、上記熱交換器は、対向する上記放熱部材のそれぞれの突条部の端部と平坦部とが接着剤により接合されてもよい。
また、上記熱交換器は、上記放熱部材の平坦部が外気の通風方向に直交する方向に延長された延長部を有し、互いの上記延長部に沿って板状部材が嵌め込まれてもよい。
また、上記熱交換器は、上記板状部材の外側の面が傾斜面を有してもよい。
また、上記熱交換器は、上記板状部材の内側の面に上記突条部間を挿通する挿通部材が設けられると共に、その挿通部材の先端には上記板状部材の上記突条部に係止される係止部が設けられてもよい。
【0010】
また、上記熱交換器は、上記放熱部材の外気の通風方向に直交する方向の両端の突条部のうち、一方の突条部の先端部に凸部が設けられ、他方の突条部の先端部に凹部が設けられ、それぞれの突条部を対向させた2つの上記放熱部材の凸部と凹部とを接合して2つの上記放熱部材が連結されてもよい。
また、上記熱交換器は、上記放熱部材の外気の通風方向に直交する方向の両端の突条部のうち、一方の突条部の先端部には外側に延びる延長部が設けられ、他方の突条部の先端部にはV字状に折り返した挟持部が設けられ、それぞれの突条部を対向させた2つの上記放熱部材の延長部を、挟持部の折り返し部分に挟み込んで2つの上記放熱部材が連結されてもよい。
また、上記熱交換器はアルミニウム押出し形材からなることが好ましい
。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱交換器ユニット及び熱交換器によれば、簡単な構造で効率よく熱交換が可能な熱交換器ユニット及び熱交換器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る熱交換器ユニット及び熱交換器の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
<熱交換器>
図1は、熱交換器ユニット及び熱交換器の第1実施形態における構成を示す図であり、(a)は、熱交換器ユニットの斜視図、(b)は、(a)の分解斜視図、(c)は、熱交換器の斜視図である。
図1(c)に示すように、本実施形態の熱交換器は、2つ以上の熱交換ユニット10が第3の方向に積層されてなる。
【0014】
<熱交換器ユニット>
図1(a),(b)に示すように、熱交換ユニット10は、フィン部材11と、スペーサ13と、それらフィン部材11及びスペーサ13を挟むように積層された2つの放熱部材12,12とを有する。なお、熱交換ユニット10の積層方向(第3の方向)は、その熱交換ユニット10を構成するフィン部材11と放熱部材12との積層方向と同じである。
【0015】
[フィン部材]
フィン部材11は、
図1(b)に示すように、波板形状(コルゲートルーバー形状)をなす部材である。フィン部材11は、薄板材を繰り返し折り曲げられて波板形状に成形してなる。
フィン部材11の本体部11Aには、その折り曲げられた方向(第2の方向)に沿って延びる複数のスリット孔11a,11bが折り曲げられた領域毎に第1の方向に並んで設けられている。スリット孔11a,11bはそれぞれ、フィン部材11の本体部11Aの面に対して、傾きを異ならせて本体部11Aを貫通して設けられている。
【0016】
フィン部材11の材料は、打ち抜きや折り曲げ等の加工性が高く、熱伝導性(放熱性)が高い材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、金属が好ましく、アルミニウム(合金を含む)がより好ましく、加工及びろう付けを考慮すると、「JIS−A3003(アルミニウム合金)」が特に好ましい。このような材料を選択することで、熱伝導性、軽量性、リサイクル性に優れたフィン部材11を提供することができる。
【0017】
[放熱部材]
放熱部材12は、平板状の本体部120と、この本体部120に立設された複数の突条部122とを有する。本体部120は、フィン部材11に対して放熱部材12を積層する際にフィン部材11に対向する面である接合面121と、その反対側の面であり、複数の突条部122が設置された放熱面122とを有する。
放熱面122は、平坦部122bと、この平坦部122bにおいて一つの方向(第2の方向)に延びて並ぶ複数の突条体の態様をなす突条部122aとから構成される。このように放熱面122に平坦部122bと突
条部122aとがそれぞれ複数設けられることにより、平坦部122bと、その両端部で立設する突条部122aとによって外気が通風する通路が画成される。
【0018】
放熱部材12の材料は、熱伝導性及び加工性が高い材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、金属が好ましく、アルミニウム(合金を含む)がより好ましく、また、押出性を考慮すると「JIS−A6063アルミニウム合金」が好ましく、また高熱伝導性を考慮すると1000系アルミニウム合金や3000系アルミニウム合金が好ましい。このような材料を選択することで、熱伝導性、軽量性、リサイクル性に優れた放熱部材12を提供することができる。
また、放熱部材12は、このような材料を押出し成形して得ることが好ましい。このようにして成形することにより、放熱部材12の断面形状の自由度が高く、平面度も精度よく製造することができる。
【0019】
ここで、本実施形態の熱交換器及びそれを構成する熱交換器ユニットにおいては、気化冷却器として用いられる場合、放熱面122への散水設備による水膜を均一に保持するため、放熱面122には親水性塗料の塗布等の親水処理がなされている。
この親水性塗料は、放熱面122の全面に塗布されてもよいし、平坦部122b及び突条部122aに関わらず放熱面122の一部に塗布されてもよい。
【0020】
上記親水性材料は、塗膜として機能した際、その塗膜の表面を粗面状態にし、塗膜の密着性も良好であるため、高レベルの親水性が得られ、しかも、その優れた親水性が初期段階はもちろんのこと長期にわたっても持続して得られる材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、そのような親水性材料としては、分散粒子径が5〜100nmのコロイダルシリカと、少なくともカルボン酸ポリマーを含む水溶性ポリマーと、水とで組成されてなり、上記コロイダルシリカと水溶性ポリマーはその固形分重量比が30:70〜70:30、その合計含有量が4〜20重量%であるとともに水溶性ポリマーに含まれるカルボン酸ポリマー中のカルボキシル基の含有量が20〜63重量%であり、且つ、全体のpH値が1〜5である水性親水性付与剤が好ましい。
そして、この親水性材料(水性親水性付与剤)を、放熱面122の少なくとも一部に直接、又はその表面に形成する耐蝕性下地皮膜を介して固形分付着量が0.3〜1.5g/m
2になるように塗布し、加熱乾燥する。
【0021】
[スペーサ]
スペーサ13は、2つの放熱部材12,12の接合面121,121を互いに対向させてそれら2つの放熱部材12,12によって挟まれるようにフィン部材11と共に設置される部材である。なお、このスペーサ13は、2つの放熱部材12,12によって挟まれるフィン部材11の波形状を保持すると共に内気の通気経路を形成するために設けられる部材であるため、気密を保持できるように設ける必要がある。
スペーサ13の材料としては、フィン部材11の波形状を保持する強度を有し、熱交換ユニット10の放熱効果を妨げない材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
【0022】
[熱交換器ユニットの組立]
熱交換ユニット10は、
図1(a),(b)に示すように、接合面121,121を互いに対向させた2つの放熱部材12,12によってフィン部材11及びスペーサ13が挟まれるようにして組み立てられる。このとき、2つの放熱部材12,12に設けられる複数の突条部122aが延びる方向(第2の方向)及び複数の突条部122aが並ぶ方向(第1の方向)は2つの放熱部材12,12のそれぞれで同じとされる。
【0023】
また、フィン部材11は、その折り曲げられる方向(第2の方向)が、2つの放熱部材12,12に設けられる複数の突条部122aが並ぶ方向(第1の方向)と直交するように2つの放熱部材12A,12A間に設置される。そして、スペーサ13は、フィン部材11の第2の方向の両端に1つずつ設けられる。
このようにして構成された熱交換器ユニット10においては、フィン部材11と2つの放熱部材12,12と、スペーサ13,13とで構成された通路が、第1の方向に延び、内気が通風する通路となる。
【0024】
[熱交換器の組立]
図1(c)に示すように、熱交換器1は、上述のように組み立てられた熱交換器ユニット10A,10Bを、それぞれの突条部122aが本体部120に対して起立した方向(第3の方向)で対向させて積層してなる。ここで、熱交換器ユニット10Aが、第3の方向に沿って、放熱部材12A
1、フィン部材11A、放熱部材12A
2の順で構成され、熱交換器ユニット10Bが、放熱部材12B
1、フィン部材11B、放熱部材12B
2の順で構成されたものとする。
【0025】
すなわち、熱交換器ユニット10Aと熱交換ユニット10Bとの積層構造は、
図2(a)に示すように、熱交換器ユニット10Aの放熱部材12A
2の突条部122aと、熱交換器ユニット10Bの放熱部材12B
1の突条部122aとが先端同士で接合して積層されてなる。なお、互いに対向する突条部122a,122aの接合部は、外気側の通気経路として、散水と気化冷却を行う放熱部となるため、通気経路を構成する両側端部の突条部122aは、気密と水密が保持できるように接合する必要がある。それ以外の突条部122aにおいては、積層された熱交換器ユニット10,10の必要とされる強度を損なわなければ、必ずしも全て接合されなくともよい。
【0026】
このように構成された熱交換器1は、内気をフィン部材11に通し、外気を放熱部材12に通す態様の間接熱交換器の構造となる。そして、放熱部材12の放熱面122に散水すると、放熱面122に塗布された親水性塗料により水分が薄く広がるため、水の蒸発が促進され、それにより放熱部材12の放熱面122から気化熱が奪われて外部へ出ていく。放熱面122から熱が奪われると、接合面121が冷やされ、次いで接合面121に接合したフィン部材11と、ここを通過する内気が冷やされ、その結果、内気の冷却が行われる。したがって、フィン部材11と放熱部材12とを基本的な構成要素とする単純な構成からなる熱交換器ユニットを提供することができ、熱交換器の構成部材とすることができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る熱交換器ユニット及び熱交換器の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、放熱部材の形状が第1実施形態と異なるのみであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。
【0028】
図2(b)は、熱交換器ユニット及び熱交換器の第2実施形態における放熱部材の構成を示す正面図である。
図2(b)に示すように、本実施形態の熱交換器ユニット及び熱交換器においては、放熱面122の表面に微小な凹凸が形成されてもよい。なお、
図2(b)では、突条部122の一部(側面部)122a
1に微小な凹凸が形成された態様を示している。このような構成とすることにより、凹凸表面と親水塗装の効果により、水の拡散が促進されると共に、放熱面122の表面積が大きくなり、より多くの水の蒸発を促進することができるので、結果として冷却効率を向上させることができる。
【0029】
また、熱交換器ユニット及び熱交換器の他の実施形態として、フィン部材11と放熱部材12とは、ろう付けにより接合されてもよいし、接着剤によって接合されてもよい。
フィン部材11と放熱部材12とをろう付けで接合することにより、強固かつ容易にフィン部材11と放熱部材12とを接合することができる。なお、このときに用いられるろう材は、例えばAl−Si系合金が一般的であるが、特に限定されない。
また、フィン部材11と放熱部材12とを接着剤で接合することにより、簡単な手順でフィン部材11と放熱部材12とを接合することができる。
【0030】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る熱交換器ユニット及び熱交換器の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態も、放熱部材の構成が第1実施形態と異なるのみであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。
【0031】
図2(c)は、熱交換器ユニット及び熱交換器の第3実施形態における放熱部材の構成を示す正面図である。
図2(c)に示すように、本実施形態の熱交換器ユニット及び熱交換器においては、対向する放熱部材12A
2,12B
1のそれぞれの突条部122aの端部と平坦部122bとが接着剤により接合されてもよい。このように熱交換器を構成することで、放熱部材の接合を容易にすることができる。また、熱交換器ユニット10の積層方向の寸法を小さくすることができる。
【0032】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る熱交換器ユニット及び熱交換器の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態も、放熱部材の構成が第1実施形態と異なるのみであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。
【0033】
図3は、熱交換器ユニット及び熱交換器の第4実施形態における構成を示す図であり、(a)は熱交換器の構成を示す斜視図、(b),(c)は熱交換器の接続部分の構成を示す正面図である。また、
図4は、熱交換器ユニット及び熱交換器の第4実施形態の他の態様における構成を示す図であり、(a)は熱交換器の構成を示す斜視図、(b),(c)は熱交換器の接続部分の構成を示す正面図、(d)は熱交換器ユニットの側面図である。
図3(a),(b)に示すように、本実施形態の熱交換器ユニット及び熱交換器においては、放熱部材12A
2,12B
1の平坦部122bが外気の通風方向に直交する方向に延長された延長部122cを有し、互いの延長部122c,122cに沿って板状部材20が嵌め込まれてもよい。このように構成することによって、板状部材20が放熱部材12A
2,12B
1同士をより強固かつ安定的に接合することができる。
【0034】
ここで、本実施形態の熱交換器は、
図3(c)に示すように、板状部材20の内側の面に突条部材122a,122a間を挿通する挿通部20Aが設けられると共に、その挿通部20Aの先端には、板状部材20を突条部材122a,122aに係止する係止部20Bが設けられてもよい。このように構成されることにより、熱交換器ユニット10A,10B同士をより安定して接合し、板状部材20が放熱部材12A,12Bから抜け落ちにくい効果を奏する。
【0035】
また、本実施形態の他の態様の熱交換器ユニット及び熱交換器として、
図4(a)〜(c)に示すように、内気をフィン部材11A,11Bへ向けるように配置された傾斜面20a,20aを備えた傾斜部材20’が板状部材20の代わりに延長部122c,122c間に設けられてもよい。この傾斜部材20’が設けられることによって、傾斜部材20’に当たる内気をフィン部材11A,11Bへ向けることができるため、フィン部材11側の内気の通気抵抗を小さくすることができる。
【0036】
また、本実施形態の熱交換器も、
図4(c)に示すように、傾斜部材20’の内側の面に突条部材122a,122a間を挿通する挿通部20Aが設けられると共に、その挿通部20Aの先端には、傾斜部材20’を突条部材122a,122aに係止する係止部20Bが設けられてもよい。このように構成されることにより、熱交換器ユニット10A,10B同士をより安定して接合し、傾斜部材20’が放熱部材12A,12Bから抜け落ちにくい効果を奏する。
【0037】
さらに、本実施形態の他の態様の熱交換器ユニット及び熱交換器として、
図4(d)に示すように、外気を放熱部材12A,12Bへ向けるように配置された傾斜面13a,13aを備えた傾斜部材13’がスペーサ13の代わりに設けられてもよい。この傾斜部材13’が設けられることによって、傾斜部材13’に当たる外気を放熱部材12A,12Bへ向けることができるため、放熱部材12A,12B側の外気の通気抵抗を小さくすることができる。
【0038】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る熱交換器の第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態も、放熱部材の構成が第1実施形態と異なるのみであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。
【0039】
図5は、熱交換器の第5実施形態における構成を示す側面図である。また、
図6は、熱交換器の第5実施形態における構成を示す正面図である。
図5,
図6に示すように、本実施形態の熱交換器においては、放熱部材12の外気の通風方向に直交する方向(第1の方向)の両端の突条部122aのうち、一方の突条部122aの先端部には外側に延びる延長部15が設けられ、他方の突条部122aの先端部にはV字状に折り返した挟持部14が設けられている。そして、それぞれの突条部を対向させた2つの放熱部材12,12の延長部15と挟持部14とを接合して2つの放熱部材12,12が連結されてもよい。これら挟持部14と延長部15との接合には、コーキング材等のシール材を介して水密保持構造及び気密保持構造とする。
【0040】
具体的には、
図6に示すように、放熱部材12A
2の外気の通風方向に直交する方向(第1の方向)の両端の突条部122aのうち、一方の突条部122aの先端部には外側に延びる延長部15A
2が設けられ、他方の突条部122aの先端部にはV字状に折り返した挟持部14A
2が設けられている。一方、放熱部材12A
2に積層(接合)される放熱部材12B
1の外気の通風方向に直交する方向(第1の方向)の両端の突条部122aのうち、挟持部14A
2に対応する一方の突条部122aの先端部には外側に延びる延長部15B
1が設けられ、延長部15A
2に対応する他方の突条部122aの先端部にはV字状に折り返した挟持部14B
1が設けられている。
そして、挟持部14A
2と延長部15B
1、及び延長部15A
2と挟持部14B
1においてそれぞれの挟持部14が延長部15を挟み込んで、2つの対向する放熱部材12A
2,12B
1が連結される。その際、接合する挟持部と延長部との間にコーキング材を施すことで、水密保持及び気密保持を行う。
【0041】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る熱交換器の第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態も、放熱部材の構成が第1実施形態と異なるのみであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。
【0042】
図7(a),(b)は、熱交換器の第6実施形態における放熱部材の構成を示す正面図である。
図7(a)に示すように、本実施形態の熱交換器においては、放熱部材12の外気の通風方向に直交する方向(第1の方向)の両端の突条部122a,122aのうち、一方の突条部122aの先端部に凸部16が設けられ、他方の突条部122aの先端部にクランク形状の凹部17が設けられ、それぞれの突条部122a,122aを対向させた2つの放熱部材12,12の凸部16と凹部17とを接合して2つの放熱部材12,12が連結されてもよい。その際、接合する凸部16と凹部17との間にコーキング材を施すことで、水密保持及び気密保持を行う。
【0043】
また、
図7(b)に示すように、本実施形態の熱交換器においては、放熱部材12の外気の通風方向に直交する方向(第1の方向)の両端の突条部122a,122aのうち、一方の突条部122aの先端部にクランク形状の凸部18が設けられ、他方の突条部122aの先端部に凹部19が設けられ、それぞれの突条部122a,122aを対向させた2つの放熱部材12,12の凸部18と凹部19とを接合して2つの放熱部材12,12が連結されてもよい。その際、接合する凸部18と凹部19との間にコーキング材を施すことで、水密保持及び気密保持を行う。
これらのような構成とすることで、上述の板状部材20などの固定手段を必要とすることなく、放熱部材12,12同士を接合することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の熱交換器ユニット及び熱交換器によれば、簡単な構造で効率よく熱交換が可能な熱交換器を提供することができる。特に、第1実施形態〜第6実施形態における放熱部材同士の接合の態様は、1種類の放熱部材で複数の熱交換器ユニットを積層(接合)することができるので、生産コストを低減するといった更なる効果を奏する。
以上、熱交換器ユニット及び熱交換器の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。