(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0014】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の内部構成を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0015】
画像形成装置1は、制御装置10、給紙装置20、感光体ユニット30、現像装置40、転写装置50、定着装置60、トナー補給装置70、を備えて構成されている。画像形成装置1の上面(Z方向)には、画像が記録された用紙が排出・収容される排出トレイ1aが形成されている。
【0016】
制御装置10は、画像形成装置1の動作を制御する画像形成装置制御部11と、印刷処理要求に応じた画像データを準備するコントローラ部12、露光装置LHの点灯を制御する露光制御部13、電源装置14等を有する。電源装置14は、後述する帯電ローラ32、現像ローラ42、一次転写ローラ52、二次転写ローラ53等に高圧電圧を印加するとともに、露光装置LH、給紙装置20、定着装置60及び備えられた各センサ等に電力を供給する。
【0017】
コントローラ部12は、外部の情報送信装置(例えばパーソナルコンピュータ等)から入力された印刷情報を潜像形成用の画像情報に変換して予め設定されたタイミングで、駆動信号を露光装置LHに出力する。本実施形態の露光装置LHは、複数の発光素子(LED:Light Emitting Diode)が主走査方向に沿って線状に配列されたLEDヘッドにより構成されている。
【0018】
画像形成装置1の底部には、給紙装置20が設けられている。給紙装置20は、用紙積載板21を備え、用紙積載板21の上面には多数の記録媒体としての用紙Pが積載される。用紙積載板21に積載され、規制板(不図示)で幅方向位置が決められた用紙Pは、上側から1枚ずつ用紙引き出し部22により前方(−X方向)に引き出された後、レジストローラ対23のニップ部まで搬送される。
【0019】
感光体ユニット30は、給紙装置20の上方(Z方向)に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する像保持体としての感光体ドラム31を備えている。感光体ドラム31の回転方向に沿って、帯電ローラ32、露光装置LH、現像装置40、一次転写ローラ52、クリーニングブレード34が配置されている。帯電ローラ32には、帯電ローラ32の表面をクリーニングするクリーニングローラ33が対向、接触して配置されている。
【0020】
現像装置40は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング41を有する。現像ハウジング41内には、感光体ドラム31に対向して配置された現像ローラ42と、この現像ローラ42の背面側斜め下方には現像剤を現像ローラ42側へ撹拌搬送する一対のオーガ44、45が配設されている。現像ローラ42には、現像剤の層厚を規制する層規制部材46が近接配置されている。
【0021】
現像装置40各々には、トナー補給装置70(Y)、(M)、(C)、(K)が接続されて、それぞれのトナーカートリッジTC(Y)、(M)、(C)、(K)から必要に応じてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーを補給する。現像装置40は、現像ハウジング41に収容される現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0022】
回転する感光体ドラム31の表面は、帯電ローラ32により帯電され、露光装置LHから出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム31上に形成された静電潜像は現像ローラ42によりトナー像として現像される。
【0023】
転写装置50は、各感光体ユニット30の感光体ドラム31にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト51、各感光体ユニット30にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト51に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ52を備えている。さらに、中間転写ベルト51上に重畳して転写された各色トナー像を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ローラ53、中間転写ベルト51上に付着している残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーナ54を備えて構成されている。
【0024】
各感光体ユニット30の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、画像形成装置制御部11により制御される電源装置14等から所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ52により中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
【0025】
中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、中間転写ベルト51の移動に伴って二次転写ローラ53が配置された領域(二次転写部TR)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせて給紙装置20から用紙Pが二次転写部TRに供給される。そして、二次転写ローラ53には、画像形成装置制御部11により制御される電源装置14等から所定の転写電圧が印加され、レジストローラ対23から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに中間転写ベルト51上の多重トナー像が一括転写される。
【0026】
感光体ドラム31表面の残留トナーは、クリーニングブレード34により除去され、廃トナー回収容器(不図示)に回収される。感光体ドラム31の表面は、帯電ローラ32により再帯電される。尚、クリーニングブレード34で除去しきれず帯電ローラ32に付着した残留物は、帯電ローラ32に接触して回転するクリーニングローラ33表面に捕捉され、蓄積される。
【0027】
定着装置60は加熱モジュール61と加圧モジュール62を有し、加熱モジュール61と加圧モジュール62の圧接領域によって定着ニップ部N(定着領域)が形成される。
転写装置50においてトナー像が転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイドを経由して定着装置60に搬送される。定着装置60に搬送された用紙Pは、一対の加熱モジュール61と加圧モジュール62により、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
定着トナー像が形成された用紙Pは、搬送ガイド65a、65bによってガイドされ、排出ローラ対69から画像形成装置1上面の排出トレイ1aに排出される。
【0028】
(2)トナー補給機構の構成及び動作
図2は現像装置40とトナー補給装置70との接続構成を示す模式図、
図3はトナー補給機構の構成及びトナーカートリッジTCのCRUM110と画像形成装置1の画像形成装置制御部11との情報のやり取りを示すブロック図、
図4はCRUM110の記憶領域のブロック図である。
以下、図面を参照しながらトナー補給機構の構成及び動作について説明する。
【0029】
(2.1)トナー補給機構の構成
図2に示すように、現像装置40には、トナー補給手段の一例としてのトナー補給装置70を介して、現像装置40に補給されるトナーを収容する交換式のトナーカートリッジTCが接続されている。
【0030】
(2.2)トナーカートリッジ
トナーカートリッジTCは、内部にトナーを収容するハウジング101、ハウジング101に内蔵されトナーを撹拌・搬送するコイルオーガ102を備えて構成されている。コイルオーガ102には、トナーカートリッジTCを画像形成装置1本体に装着した際、画像形成装置1本体に設けられた駆動源(不図示)から回転駆動力が伝達される。
トナーカートリッジTCの装着位置における下端部には、コイルオーガ102によって攪拌されつつ搬送されるトナーを排出するための開口部101aが設けられている。
【0031】
トナーカートリッジTCには、トナーカートリッジTC固有の識別情報が記憶された記憶手段の一例としてのCRUM(Customer Replaceable Unit Memory)110が設けられている。
CRUM110は書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROM)Mを備えて構成され、トナーカートリッジTCが画像形成装置1本体に装着された際に、画像形成装置1本体の画像形成装置制御部11とデータの通信が可能に接続される。
【0032】
不揮発性メモリMは画像形成装置制御部11から読み出される固有情報を格納した読み出し領域、及び画像形成装置制御部11との間で読み出し・書き込みが行われる管理情報を記憶するための読み出し・書き込み領域を有している。
【0033】
読み出し領域としては、一例として、トナーカートリッジTCに固有なトナーカートリッジTCのシリアルIDを保持する領域M1、トナーの色情報を保持する領域M2などが挙げられる。更に、本実施形態においては、トナー充填量情報を保持した領域M3を有している。
読み出し・書き込み領域としては、トナー供給時間の累積値情報を保持する領域M4、印刷枚数情報を保持する領域M5、画像形成装置1の本体シリアルIDを保持する領域M6などが挙げられる。
【0034】
(2.3)トナー補給装置
トナー補給装置70は、トナーカートリッジTCに収容されたトナーを現像装置40に搬送するための機構であり、トナーカートリッジTCと現像装置40とを連通させるパイプ71と、パイプ71に内蔵されトナーを搬送するオーガ72と、オーガ72を回転駆動するディスペンスモータ73とを含んで構成されている。
【0035】
パイプ71は、一端側にトナーカートリッジTCから供給されるトナーを受け入れるトナー流入口71aと、他端側にオーガ72でパイプ71内を搬送されたトナーを現像装置40に供給するトナー供給口71bを有している。
【0036】
(2.4)現像装置
現像装置40は、内部に現像剤が収容される現像ハウジング41、感光体ドラム31に対向して配置された現像ローラ42と、現像剤を現像ローラ42側へ撹拌搬送する一対のオーガ44、45を備えている。
現像装置40には、現像ハウジング41内のトナー残量を検知するATCセンサ47が設置されている。ATCセンサ47は、現像ハウジング41内の現像剤のトナー濃度を検出し、トナー濃度に応じた電圧値を画像形成装置制御部11に出力する磁気センサである。
【0037】
(2.5)トナー補給機構の動作
画像形成装置1は、画像形成装置1全体を制御する画像形成装置制御部11を備えている。画像形成装置制御部11は、CPU111(Central Processing Unit)、RAM112(Random Access Memory)、ROM113(Read Only Member)等が搭載された回路基板であり、制御手段の一例としてのトナー補給制御部120を有している。
【0038】
トナー補給制御部120は、現像装置40のトナー消費に応じてトナー補給装置70を制御し、トナーカートリッジTCから現像装置40へのトナー供給を制御する。
具体的には、トナー補給制御部120は、ATCセンサ47により検知された現像ハウジング41内のトナー濃度(トナー残量)に基づいて、ディスペンスモータ73の回転駆動を制御する。
【0039】
トナーカートリッジTCが画像形成装置1の本体に装着されると、トナーカートリッジTCのインターフェイス105と画像形成装置制御部11のインターフェイス115とが接続され通信可能な状態になる。
図3においては画像形成装置制御部11とCRUM110との通信は有線通信として表しているが、無線通信であっても良い。
【0040】
そして、画像形成装置制御部11のCPU111によって、CRUM110内の情報の読み出しと書き換えとが可能となる。また、CPU111は、RAM112、ROM113、不揮発性メモリ(NVM)114、インターフェイス115と接続され、ROM113から画像形成装置1の動作制御プログラムの読み出し、RAM112、NVM114の情報の読み出しと書き換えを行う。
【0041】
画像形成装置制御部11のNVM114は、画像形成を行うための各種設定情報を保持した領域114aの他、画像形成装置1の本体シリアルIDを保持する領域114bを有している。
また、CRUM110の固有情報に対応したディスペンスモータ73の駆動時間情報を保持する領域114cを有している。
【0042】
(3)トナー補給動作
このように構成されるトナー補給機構を備えた画像形成装置1は、工場からの出荷時には、トナー補給装置70のパイプ71内にはトナーが存在しない状態とされ、輸送時にトナー補給装置70の連結部等からトナーが漏れるのを回避している。
そして、画像形成装置1が使用者のもとで初期設置される際に、トナーカートリッジTCが装着された後、トナー補給装置70が回転駆動され、装着されたトナーカートリッジTCからトナー補給装置70のパイプ71を介して現像装置40内へトナーが供給される。
【0043】
また、使用されるトナーカートリッジTCとしては、画像形成装置1の使用状態に応じて、ハウジング101内に予め充填されているトナー量(以降、初期充填量と記す)が異なる複数種類のトナーカートリッジTCが用意されている。
係る複数種類のトナー量を有するトナーカートリッジTCとしては、交換して使用される消耗品としての汎用性を高める観点から、統一されたハウジング101が用意されて装着されることが好ましく、画像形成装置1本体に装着されるハウジング101を共通の内部空間容量(トナー充填可能容量)としておくが合理的である。
【0044】
一方、画像形成装置制御部11は、画像形成装置1本体に新たなトナーカートリッジTCが装着されると、CRUM110内に記憶されたトナーカートリッジTC固有の識別情報を取得する。
そして、トナー補給制御部120を介してトナー補給装置70の回転駆動を行い、現像装置40へトナーを供給するが、ハウジング101内に予め充填されているトナー量が異なる場合には、ハウジング101内でコイルオーガ102による撹拌・搬送状態が異なり、トナー補給装置70のパイプ71を介した現像装置40への実際のトナー供給量が変化する虞があった。
【0045】
具体的には、トナーカートリッジTCのハウジング101が有する内部空間容量に対してトナーが占める体積が多いほどトナーの搬送効率は高くなり、その体積が少ないほどトナーの搬送効率は低くなる。
そのために、トナーカートリッジTCに予め充填されているトナー量が異なるトナーカートリッジTCに対して、トナー補給制御部120が同じ駆動時間でディスペンスモータ73を駆動させた場合、前者の方が、搬送されるトナーの量は多くなる。
その結果、トナー補給制御部120は、予め定められている駆動時間でトナー補給動作を行った場合、その供給量が過剰になったり、逆に不足したりという、トナーカートリッジTCに予め収容されているトナー量の大小に応じた変動が生じる虞があった。
【0046】
(3.1)初期設置時のトナー補給動作
図5は画像形成装置1が実行する初期設置時のトナー補給動作の流れを示すフローチャートである。以下、
図5に示すフローチャートを参照しながら、画像形成装置1が実行する初期設置時のトナー補給動作について説明する。
【0047】
本実施形態に係る画像形成装置1は、画像形成装置1の初期設置時にトナーカートリッジTCが装着されると、装着されたトナーカートリッジTCのCRUM110内の不揮発性メモリ(EEPROM)Mからトナー充填量情報を取得する。そして、トナー補給制御部120が取得したトナー充填量に基づいてトナー補給装置70のディスペンスモータ73の駆動時間T1を決定する。
【0048】
画像形成装置制御部11は、トナーカートリッジTCが装着されると、トナーカートリッジTCに設けられたCRUM110の不揮発性メモリ(EEPROM)Mからトナー充填量に関する情報を読み出す(S101)。
次に、画像形成装置制御部11は、ステップS101で読み出した情報に基づいて、トナーカートリッジTCのトナーの初期充填量を特定する(S102)。
【0049】
次に、画像形成装置制御部11は、装着されて検知されたトナーカートリッジTCが未使用品であるか否かを判断する(S103)。判断は、不揮発性メモリ(EEPROM)Mから取得したトナー供給時間の累積値情報を参照して判断される。
【0050】
ステップS103でトナーカートリッジTCが未使用品である旨が判断されると(S103;Yes)、画像形成装置制御部11は、NVM114内のCRUM110の固有情報に対応したディスペンスモータ73の駆動時間情報を保持する領域114cから、検知されたトナーカートリッジTCに対応したディスペンスモータ73の駆動時間T1を読み出してトナー補給制御部120の制御値を決定する(S104)。
【0051】
具体的には、初期設置時に装着されたトナーカートリッジTCのトナー初期充填量が50%(トナーカートリッジTCのハウジング101が有する充填可能な内部空間容量に対して50%まで充填されている)である場合、トナー初期充填量が100%(トナーカートリッジTCのハウジング101が有する充填可能な内部空間容量に対して100%まで充填されている)のトナーカートリッジTCが装着された場合のディスペンスモータ73の駆動時間を基準時間TAとして、ディスペンスモータ73の駆動時間T1は、補正時間tを基準時間TAに加算して決定される。
【0052】
補正時間tは、トナーカートリッジTCのトナー初期充填量に応じて決定され、例えば、初期充填量を25%未満、25%以上50%未満、50%以上75%未満、75%以上に区分して、それぞれの区分に基づいてt1、t2、t3を決定することができる。尚、75%以上は、100%と同様に管理され、補正時間は加算されない。
【0053】
そのために、画像形成装置1の初期設置時に初期充填量が異なる複数種類のトナーカートリッジTCが用意されて使用された場合であっても、それぞれのトナーカートリッジTCが有するトナーの搬送効率に応じてディスペンスモータ73の駆動時間T1が補正され、供給量が過剰になったり、逆に不足したりという、トナーカートリッジTCの初期充填量の大小に応じた変動が抑制される。
【0054】
(3.2)トナー空検知時のトナー補給動作
図6は画像形成装置1が実行するトナー空検知時のトナー補給動作の流れを示すフローチャートである。以下、
図6に示すフローチャートを参照しながら、画像形成装置1が実行するトナー空検知時のトナー補給動作について説明する。
【0055】
画像形成装置1において装着されたトナーカートリッジTCが使用されて、トナーが空の状態であることが検知された場合、新たに装着されるトナーカートリッジTCのCRUM110内の不揮発性メモリ(EEPROM)Mからトナー充填量情報を取得する。そして、トナー補給制御部120が取得したトナー充填量に基づいてトナー補給装置70のディスペンスモータ73の駆動時間T2を決定する。
【0056】
画像形成装置制御部11は、ATCセンサ47によって現像装置40内の透磁率を検出し、その検出結果に基づいて現像装置40に収容された現像剤中のトナー濃度Dmを特定する(S201)。
そして、ステップS201で特定したトナー濃度Dmが予め定められた閾値D0以上か否か判断し(S202)、特定したトナー濃度Dmが閾値D0未満と判断されれば(S202;No)、トナーカートリッジTCはトナーが空の状態であることが検知される(S203)。
【0057】
画像形成装置制御部11は、トナーが空の状態であることが検知された後に、新たなトナーカートリッジTCが装着されると、トナーカートリッジTCに設けられたCRUM110の不揮発性メモリ(EEPROM)Mからトナー充填量に関する情報を読み出す(S204)。
そして、画像形成装置制御部11は、ステップS204で読み出した情報に基づいて、トナーカートリッジTCのトナーの充填量を特定する(S205)。
【0058】
次に、画像形成装置制御部11は、装着されて検知されたトナーカートリッジTCが未使用品であるか否かを判断する(S206)。判断は、不揮発性メモリ(EEPROM)Mから取得したトナー供給時間の累積値情報を参照して判断される。
【0059】
ステップS206でトナーカートリッジTCが未使用品である旨が判断されると(S206;Yes)、画像形成装置制御部11は、NVM114内のCRUM110の固有情報に対応したディスペンスモータ73の駆動時間情報を保持する領域114cから、検知されたトナーカートリッジTCに対応したディスペンスモータ73の駆動時間T2を読み出してトナー補給制御部120の制御値を決定する(S207)。
【0060】
具体的には、新たに装着されたトナーカートリッジTCのトナー初期充填量が50%である場合、トナー初期充填量が100%のトナーカートリッジTCが装着された場合のディスペンスモータ73の駆動時間を基準時間TBとして、ディスペンスモータ73の駆動時間T2は、補正時間t1を基準時間TBに加算して決定される。
【0061】
一方、トナー空検知後に新たなトナーカートリッジTCが装着される場合にあっては、前回のトナーカートリッジTCが使用されているために、トナー補給装置70のパイプ71の内壁面には前回までのトナーが一定量残留している。
そのために、トナー空検知時の基準時間TBは、初期設置時の基準時間TAに対して、TB<TAの設定がなされている。その結果、トナー空検知時のディスペンスモータ73の駆動時間T2は、初期充填量が同じトナーカートリッジTCが使用されても、短い駆動時間とされ、トナー供給量が過剰になることによる現像剤中のトナー濃度上昇によるカブリやクラウドの発生が抑制される。
【0062】
ステップS206でトナーカートリッジTCが未使用品ではない旨が判断されると(S206;No)、画像形成装置制御部11は、不揮発性メモリ(EEPROM)Mから取得したトナー供給時間の累積値情報を参照して新たに装着されたトナーカートリッジTCのトナー充填量(残量)を推定する(S208)。
【0063】
そして、推定されたトナー充填量(残量)が、トナー充填量ごとに区分された初期充填量の区分に属する補正時間を選択(S209)し、さらに使用済みのトナーカートリッジTCに対応して予め設けられた補正率を乗じて補正時間を決定する(S210)。
【0064】
未使用のトナーカートリッジTCは、輸送・保管等によってハウジング101内でトナーが偏っていることが多いのに対し、一端使用されたトナーカートリッジTCは、コイルオーガ102でハウジング101内のトナーが開口部101aまで搬送されているために、高い搬送効率が想定される。そのために、補正率は1よりも小さい値が設定される。
すなわち、トナー空検知時に新たに装着されるトナーカートリッジTCが未使用ではない場合のディスペンスモータ73の駆動時間T3は、補正時間t1に1よりも小さい補正率を乗じて決定された補正時間を、基準時間TBに加算して決定される。
【0065】
その結果、画像形成装置1の初期設置時及びトナーカートリッジTCの空検知時におけるトナー補給装置70の駆動時間は、装着されるトナーカートリッジTCのトナー初期充填量に基づいて決定される駆動時間T1、トナー空検知時に新たに装着されるトナーカートリッジTCのトナー初期充填量に基づいて決定される駆動時間T2、トナー空検知時に新たに装着される未使用ではないトナーカートリッジTCのトナー充填量(残量)に基づいて決定される駆動時間T3が、T1>T2>T3の関係を有して適宜決定される。
そのために、トナーカートリッジTCからのトナー供給量が過剰になることによるカブリやクラウドの発生、逆にトナー供給量不足による濃度低下の発生が抑制される。
【0066】
(3.3)画像形成中のトナー補給動作
画像形成装置1において装着されたトナーカートリッジTCが使用されて、画像形成が行われるときには、ATCセンサ47によって特定される現像装置40に収容された現像剤中のトナー濃度Dmに基づいて、トナー補給装置70に要求されるトナー補給時間が決定される。
【0067】
図7はトナーカートリッジTCのトナー初期充填量に対する現像装置40内の現像剤のトナー濃度上昇とトナー補給時間との関係を示す模式図である。
図7に模式的に示すように、トナー補給装置70のパイプ71内のトナー充填速度、及びパイプ71内がトナーカートリッジTCから供給されるトナーで充填された後における、現像装置40内の現像剤中のトナー濃度上昇率はトナーカートリッジTC内のトナー初期充填量に依存する。
トナーカートリッジTCのトナー初期充填量に応じて、ハウジング101内におけるコイルオーガ102によるトナーの搬送効率が異なるために、トナー初期充填量が少ない場合には、トナー初期充填量が多いトナーカートリッジTCに比して、ハウジング101の開口部101a周辺へトナーが十分に蓄積されるまでにより長い時間を要するためと推察される。
【0068】
図8は画像形成装置1が実行する画像形成中のトナー補給動作の流れを示すフローチャートである。以下、
図8に示すフローチャートを参照しながら、画像形成装置1が実行する画像形成中のトナー補給動作について説明する。
【0069】
本実施形態に係る画像形成装置1は、現像剤中のトナー濃度Dmに基づいて要求されるトナー補給時間に対して、トナーカートリッジTCのトナー初期充填量に基づいて、トナー補給装置70に要求されるトナー補給時間を補正する。
【0070】
画像形成装置制御部11は、ATCセンサ47によって現像装置40内の透磁率を検出し、その検出結果に基づいて現像装置40に収容された現像剤中のトナー濃度Dmを特定する(S301)。
そして、ステップS301で特定したトナー濃度Dmと目標とするトナー濃度である目標トナー濃度Daとの偏差ΔDを算出し(S302)、算出された偏差ΔDに基づいて予め定められたトナー補給時間を算出する(S303)。
【0071】
次に、画像形成装置制御部11は、現在のトナーカートリッジTCのCRUM110内の不揮発性メモリ(EEPROM)Mから取得されて記憶されたトナー初期充填量を参照して(S304)、ステップ303で算出されたトナー補給時間に補正係数を乗算してトナー補給時間を補正する(S305)。
【0072】
すなわち、トナー初期充填量が異なるトナーカートリッジTCに対して、トナー補給制御部120は、トナーカートリッジTCのトナー初期充填量に基づいて、トナー補給装置70に要求されるトナー補給時間を補正する。
具体的には、トナー初期充填量が100%ではないトナーカートリッジTCに対しては、要求トナー補給時間を増加させることで、現像剤のトナー濃度上昇率を増加させて、画像形成時の濃度低下を抑制することができる。
【0073】
以上、本発明に係る実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で種々の変更を行うことが可能である。
【0074】
例えば、本実施形態では装着されたトナーカートリッジTCのCRUM110内の不揮発性メモリ(EEPROM)Mからトナー充填量情報を取得して、トナー補給制御部120が取得したトナー充填量に基づいてトナー補給装置70の駆動時間T1を決定したが、トナーカートリッジTCがCRUM110を備えていない場合で、初期設置時に装着されるトナーカートリッジTCのトナー初期充填量が50%、交換用のトナーカートリッジTCのトナー初期充填量が100%とされている場合には、初期設置時にのみ、ディスペンスモータ73の駆動時間T1の補正を行ってもよい。
尚、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納して提供することも可能であり、電気通信回線等のネットワークに接続されているサーバ装置等から画像形成装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。