(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力画像の画像情報である第1の色情報を、当該第1の色情報に対し取り得る値の数を減らした第2の色情報に変換するとともに、当該第1の色情報を当該第2の色情報に関連づけた第1の関連情報を作成する第1の関連情報作成部と、
前記第1の関連情報を基に、前記第2の色情報を色調整後の画像情報である第3の色情報に関連づけた第2の関連情報を作成する第2の関連情報作成部と、
前記第1の関連情報作成部で変換した第2の色情報を、前記第2の関連情報を用いて変換し、前記第3の色情報を生成する色情報生成部と、
前記第1の色情報を前記第2の色情報にするときに生ずる、当該第1の色情報についての誤差分を低減する誤差低減手段と、
を備え、
前記誤差低減手段は、前記色情報生成部により生成された前記第3の色情報に対し予め定められたローパスフィルタを通過させるとともに、当該第3の色情報が取り得る範囲に制限を行なうローパスフィルタ部であることを特徴とする色調整装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<画像形成装置の全体構成の説明>
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の機能構成例を示す図である。
この画像形成装置1は、画像形成装置1の各機構部を制御する制御手段2と、用紙(記録材、記録媒体)Pに画像を形成する印刷機構としての画像形成手段3と、画像形成手段3の状態を監視するセンサ部4を備える。
【0009】
画像形成装置1の制御手段2は、ネットワークNに接続され、ネットワークNを介して図示しないPC(Personal Computer)等から印刷データ(画像データ)を受け取る。そして詳しくは後述するが、色調整等の必要な画像処理を施した後、画像形成手段3に印刷データを送信する。
【0010】
画像形成手段3は、予め定められた複数の色材を用いて用紙Pに画像を形成する。画像形成手段3は、例えばプリンタであり、本実施の形態では、色材としてトナーを使用し、感光体に付着させたトナーを用紙Pに転写した後、熱と圧力を加えることにより定着を行ない画像を形成する電子写真方式のものである。ただしこれに限られるものではなく、色材としてインクを使用し、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものでもよい。なお画像形成手段3は、用紙Pに印刷を行った後は、用紙Pを印刷物として画像形成装置1外に出力する。
【0011】
センサ部4は、画像形成手段3の状態を監視するために、画像形成手段3の各機構部の状態を把握することができるセンサからなる。
具体的には、例えば、色材としてトナーを使用した場合、各色トナー像の濃度ずれを補正する画像濃度補正制御(所謂「プロセスコントロール」)が行なわれる。このとき用紙Pに形成された画像の濃度を読み取る検出センサをセンサ部4で用いられるセンサとして挙げることができる。これは、例えば、光を出射するLED(Light Emitting Diode)と、LEDから出射した後、用紙Pにて反射された反射光を受光するPD(Photo Diode)とを備え、PDから出力される検出信号により画像の濃度を読み取るものである。即ち、画像の濃度の変動をこの検出センサにより把握し、制御手段2における色調整にフィードバックする制御を行なう。
またセンサ部4で用いられるセンサとして、トナーの定着を行なう定着部における温度を測定する温度センサを挙げることができる。つまり定着部の温度により用紙Pに形成された画像の濃度が変動する場合がある。そのため定着部の温度をこの温度センサにより把握し、制御手段2における色調整にフィードバックする制御を行なう。
【0012】
<制御手段の機能構成例>
図2は、制御手段2における信号処理系を示すブロック図である。
制御手段2は、画像形成手段3にて画像を出力するために作成された印刷データを取得する画像データ取得部21と、印刷データを受け取りページ記述言語(PDL:Page Description Language)に変換するPDL生成部22と、PDL生成部22により生成されたPDLからラスタイメージを作成するラスタライズ(rasterize)部23と、RGBデータをYMCKデータに変換する色変換処理部24と、色変換処理部24により変換されたラスタイメージに対しパイルハイト処理を行なうパイルハイト処理部25と、スクリーン処理を行なうスクリーン処理部26と、色変換処理された印刷データを画像形成手段3に出力する画像データ出力部27とを備える。
【0013】
本実施の形態では、まず画像データ取得部21が外部のPCから印刷データを受け取る。この印刷データは、PCを使用するユーザが、画像形成装置1により印刷したい画像データである。
そして印刷データは、PDL生成部22に送られ、PDL生成部22は、これをPDLで記述されたコードデータに変換して出力する。
【0014】
ラスタライズ部23は、PDL生成部22から出力されてくるPDLで記述されたコードデータを各画素毎のラスタデータに変換し、ラスタイメージとする。そして、ラスタライズ部23は、変換後のラスタデータをRGB(Red、Green、Blue)のビデオデータ(RGBデータ)として出力する。このとき、ラスタライズ部23は、1ページ毎にRGBデータを出力することになる。
【0015】
色変換処理部24は、ラスタライズ部23から入力されるRGBデータを、画像形成装置1の再現色(色材であるトナーの色:イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K))であるYMCKデータに変換して出力する。このYMCKデータは、色毎に分離されたY色データ、M色データ、C色データ、K色データからなる。また詳しくは後述するが、色変換処理部24は、RGBデータをYMCKデータに変換する際に、センサ部4から送られる画像形成手段3の状態を基に、YMCKデータを調整する色調整を合せて行なう。
色変換処理部24は、本実施の形態では、画像形成手段3で形成される画像の色調整を行なう色調整手段(色調整装置)として機能する。
【0016】
パイルハイト処理部25は、パイルハイト量の規制を行なう。パイルハイト量とは、例えば、画像形成装置1で使用されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色トナーの合計量である。このパイルハイト量が高すぎると、用紙Pに形成される画像に色むらや、にじみを生じやすい。そのためパイルハイト量に制限を設け、この制限を越える場合は、制限を越えないように補正して画像を形成するようにする。
【0017】
スクリーン処理部26は、主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有するディザマスクを使用したディザマスク処理により、印刷データにスクリーン処理を行なう。これにより印刷データは、例えば、多値で表されるものから二値で表されるものとなる。
【0018】
画像データ出力部27は、色変換処理等の画像処理をされた画像データを画像形成手段3に出力する。
【0019】
ここで従来、色変換処理部24では、多次元テーブルであるDLUT(Direct Look Up Table)を用いてRGBデータをYMCKデータに変換する方法が一般的である。DLUTを用いるとRGBデータとYMCKデータとの関係が非線形であっても精度よく変換を行なうことができる。
【0020】
DLUTを用いて色変換を行なう方法によれば、R、G、Bのそれぞれについて代表となる画素値を選択する。例えば、R、G、Bのそれぞれのデータが8bitの階調で表される場合、画素値は0〜255の整数となるが、この中から例えば、0、16、32、48、64、80、96、112、128、144、160、176、192、208、224、240、255の16個を代表となる画素値として選択する。そしてこれらの画素値で表すことができるRGBデータを格子点(この場合格子点は、16^3=4096個となる)とし、この格子点のそれぞれについてYMCKデータを対応付ける。この対応関係をLUT(Look Up Table)で表したものがDLUTである。なおこのときのYMCKデータは、RGBデータと同様に、Y、M、C、Kのそれぞれのデータが0〜255の整数となる画素値となる。
【0021】
このとき格子点に対応するRGBデータ以外の中間の色については、補間を用いてYMCKデータを算出する。具体的には、変換したいRGBデータの周囲にある8つの格子点のデータを用いて補間を行ない、YMCKデータを求める8点補間法を用いることができる。なお他にも周囲にある6つの格子点のデータを用いて補間を行なう6点補間法や、周囲にある4つの格子点のデータを用いて補間を行なう4点補間法などの方法もある。
【0022】
この補間演算は、以下の数1式および数2式により行なうことができる。数1式において、Vは色変換後のYMCKデータを表す。さらにViは、周囲にある格子点に対応付けられたYMCKデータである。またAiは、数2式で表すことができる重み係数であり、入力値であるRGBデータであるvとViとの距離により定まる。Aiは、vとViとの距離が近いほど大きい。
【0025】
しかしながらこの方法によれば、補間演算の計算量が膨大となり、特に画像サイズが大きくなったときに、処理時間が長くなる問題が生じる。
例えば、上記数1式および数2式により8点補間法を用いて補間演算を行なう場合、一画素・一色あたり最低8回の乗算と7回の加算を必要とする。一例として600dpi(dots per inch)のA4の大きさに含まれる画素(約3.5×10
7個)に対してRGBデータをYMCKデータに変換する場合、約1.12×10
9回の乗算と、約9.8×10
8回の加算を行なう必要がある。
【0026】
そこで本実施の形態では、色変換処理部24を以下に述べる構成とすることで、この問題を抑制し、より高速な色変換処理を行なう。
【0027】
<色変換処理部の説明>
[第1の実施の形態]
まず色変換処理部24の第1の実施の形態について説明を行なう。
図3は、第1の実施の形態の色変換処理部24の機能構成例について示した図である。
図示するように色変換処理部24は、第1の関連情報作成部241と、第2の関連情報作成部242と、色情報生成部243とを備える。
【0028】
第1の関連情報作成部241は、入力画像の画像情報である第1の色情報を、第1の色情報に対し取り得る値の数を減らした第2の色情報に変換する。
ここで「入力画像の画像情報である第1の色情報」は、ここでは色変換処理部24へ入力されるRGBデータである。また「取り得る値の数を減らす」とは、色情報の種類の数を減らすことを意味する。この場合、RGBデータは、R、G、B毎に0〜255の256種類の画素値をとり得るが、第1の関連情報作成部241は、この数をR、G、B毎に減らす処理を行なう。
【0029】
このとき第1の色情報に対し取り得る値の数を減らして第2の色情報に変換するためには、例えば、第1の色情報を予め定められた除数で除算した商を四捨五入した整数値を第2の色情報とする。
本実施の形態では、例えば、除数として16を採用し、色変換処理部24へ入力されるRGBデータの画素値を16で割った値の小数点第1位を四捨五入し、整数値とした値を第2の色情報とする。なお以下、この第2の色情報を「インデクス」と言うことがある。
【0030】
第1の色情報は、R、G、B毎に0〜255の256種類あるが、インデクスは、R、G、B毎に0〜15の16種類となる。即ち、第1の色情報に対し取り得る値の数が減り、減数化がなされている。
【0031】
また第1の関連情報作成部241は、第1の色情報を第2の色情報に関連づけた第1の関連情報を作成する。
ここで「第1の関連情報」とは、例えば、第1の色情報を第2の色情報に関連づけた対応テーブルである。説明を簡単にするために、第1の色情報は、R、G、Bの3つではなく、1つであるとすると、第1の関連情報は、例えば以下の表1のようにすることができる。
【0033】
第2の関連情報作成部242は、第1の関連情報を基に、第2の色情報(インデクス)を色調整後の画像情報である第3の色情報に関連づけた第2の関連情報を作成する。
ここで「色調整後の画像情報である第3の色情報」は、ここでは色変換後のYMCKデータである。そして第2の関連情報作成部242は、センサ部4から、画像形成手段3の各機構部の状態の情報を取得し、これに応じてYMCKデータを決定する。即ち、このYMCKデータは、画像形成手段3の状態に応じて色調整がなされた後の色情報となる。
【0034】
また「第2の関連情報」とは、例えば、第2の色情報を第3の色情報に関連づけた対応テーブルである。ここでも説明を簡単にするために、第3の色情報は、Y、M、C、Kの4つではなく、1つであるとすると、第2の関連情報は、例えば以下の表2のようにすることができる。
【0036】
色情報生成部243は、第1の関連情報作成部241で変換した第2の色情報を、第2の関連情報を用いて変換し、第3の色情報を生成する。
つまり第1の画像情報であるRGBデータは、第1の関連情報作成部241において、インデクスとなっている。そして色情報生成部243は、インデクスを第3の画像情報であるYMCKデータに変換する。これにより色調整後のYMCKデータが作成され、色変換処理部24から出力される。
【0037】
図4(a)〜(c)は、第1の実施の形態における画素値の変化について説明した図である。
ここで
図4(a)は、入力画像の画素値として56、56、44を採る画素が並んでいる状態を示している。これは第1の色情報を意味する。
【0038】
そして
図4(b)は、第1の関連情報作成部241において、第1の色情報を第2の色情報であるインデクスとした状態を示している。このインデクスは、上述のように入力画像の画素値を16で割った値の小数点第1位を四捨五入し、整数値とした値である。よって図示するように、例えば第1の色情報が56だった場合は、インデクスは4となり、第1の色情報が44だった場合は、インデクスは3となる。
【0039】
また
図4(c)は、色情報生成部243において、表2で示した第2の関連情報を使用し、インデクスを第3の色情報とした状態を示している。この場合、インデクスが4だった場合は、第3の色情報は、57となり、インデクスが3だった場合は、第3の色情報は、42となる。
この場合、色変換処理部24により、入力画像の画素値が56から57に、また44から42に変換されることがわかる。
【0040】
なお上述した例では、第1の関連情報、第2の関連情報は、説明を簡単にするため表1や表2で示すもので説明したが、実際には、例えば、以下の表3、表4で示すものにそれぞれなる。
【0043】
表3は、第1の関連情報の例である。この場合、例えばインデクス0には、(R、G、B)=(0、0、0)が対応している。なお実際には、(R、G、B)の各値は、表1に示すように幅を有するが、ここではそのうち代表値として1つを記載している。
またインデクスは、上述したようにR、G、B毎に0〜15の16種類となるため、総数としては、16^3=4096個(N=4096)となる。
【0044】
また表4は、第2の関連情報の例である。この場合、例えばインデクス0には、(Y、M、C、K)=(0、0、0、255)が対応している。よってこの場合は、色変換処理部24において、(R、G、B)=(0、0、0)は、(Y、M、C、K)=(0、0、0、255)に変換される。
【0045】
第1の実施の形態によれば、第1の色情報(この場合、RGBデータ)を第1の色情報に対し取り得る値の数(256種類)を減らした第2の色情報(インデクス)(16種類)にし、そして第2の関連情報を使用して色調整後の第3の色情報(この場合、YMCKデータ)に変換している。第3の色情報の取り得る値の数は、この場合、第1の色情報と同数となる(256種類)。このようにすることで第1の色情報(この場合、RGBデータ)を第3の色情報(この場合、YMCKデータ)に色調整を行ないつつ変換を行なう処理について、より高速に行なうことができる。
またこの処理を画像形成装置1に採用した場合、色情報を送信する帯域が少なくてすむ利点がある。また本実施の形態で形成される画像と従来のDLUTにより色変換処理をした場合を比較した場合、スクリーン処理部26でスクリーン処理を行なった後については区別がつきにくく、概ね画質は維持される。
【0046】
[第2の実施の形態]
次に色変換処理部24の第2の実施の形態について説明を行なう。
図5は、第2の実施の形態の色変換処理部24の機能構成例について示した図である。
図示するように色変換処理部24は、第1の関連情報作成部241と、第2の関連情報作成部242と、色情報生成部243と、面積階調生成部244とを備える。
【0047】
図5で示す第2の実施の形態の色変換処理部24は、
図3で示した第1の実施の形態の色変換処理部24に対して、面積階調生成部244が加わっている点で異なる。
なお第1の関連情報作成部241、第2の関連情報作成部242、色情報生成部243の機能については、上述した場合と同様である。
【0048】
面積階調生成部244は、第1の色情報を第2の色情報に変換するときに生じる、第1の色情報についての誤差分を面積階調法により拡散させ第1の色情報を変更する。
【0049】
図6(a)〜(d)は、この面積階調法として誤差拡散法を採用したときの第1の色情報の処理について説明した図である。
なおここでも説明を簡単にするために、第1の色情報は、R、G、Bの3つではなく、1つであるとする。
【0050】
図6(a)は、
図4(a)と同様の図であり、入力画像の画素値として56、56、44を採る画素が並んでいる状態を示している。これは第1の色情報を意味する。
このうち最も左側の画素(x=0)をインデクスとした場合、
図4(b)のように4の値となるが、4のインデクスとなる画素値は、56〜71である。このうち画素値が64のときのみ16で割ったときの余りが生じず、即ち誤差なくインデクスにすることができるが、その他の場合は、何れも誤差が生じた上でインデクスとなる。そして画素値が56の場合は、56−64=−8の誤差が生じている。
【0051】
本実施の形態では、この誤差を
図6(d)で示す重みを設定して周辺の画素に拡散する。
図6(d)では、「f」で記載された画素について生じた誤差が、右隣りの画素に対しては、この誤差の0.4倍が拡散されることを示している。さらに次のラインの画素について、「f」で記載された画素の左下の画素に対しては、この誤差の0.1倍が拡散され、下隣りの画素に対しては、この誤差の0.3倍が拡散され、右下の画素に対しては、この誤差の0.2倍が拡散されることを示している。0.4+0.1+0.3+0,2=1であるため、「f」で記載された画素について誤差が生じても、この誤差は周辺の画素に吸収され、全体としては、誤差が生じていないものとみなすことができる。
【0052】
よって
図6(b)に示すように、−8の誤差の0.4倍が、右隣りの画素(左から2番目の画素(x=1))に拡散され、右隣りの画素の画素(x=1)の画素値は、56+(−8)×0.4=52.8となる。なお最も左側の画素(x=0)の画素値は、誤差が生じない64になったものとみなす。
【0053】
このとき左から2番目の画素(x=1)については、同様に52.8−48=4.8の誤差が生じるため、この誤差は、さらに右隣りの画素(左から3番目の画素(x=2))に拡散される。
【0054】
そして
図6(c)に示すように左から3番目の画素(x=2)の画素値は、44+4.8×0.4=45.92となる。また左から2番目の画素(x=1)の画素値は、誤差が生じない48になったものとみなす。
【0055】
図7(a)〜(d)は、この面積階調法としてディザ法を採用したときの第1の色情報の処理について説明した図である。
なおここでも説明を簡単にするために、第1の色情報は、R、G、Bの3つではなく、1つであるとする。
【0056】
図7(a)は、入力画像の画素値としてLine1(1ライン目)で56、56を採り、Line2(2ライン目)で画素値として、同様に56、56を採る画素が並んでいる状態を示している。これは第1の色情報を意味する。
【0057】
そしてこれに
図7(d)で示すパターンでオフセットを行なう。つまり
図7(a)のそれぞれの画素の画素値に対し、
図7(d)で示すそれぞれの値を加える。
【0058】
その結果、
図7(b)で示すように、Line1の画素値は、56+0=56と、56+12=68となる。またLine2の画素値は、56+8=64と、56+4=60となる。
【0059】
そしてこれらの画素値に対し、16の倍数に切り捨てを行なう。その結果、画素値が56、60のものは、画素値が48となり、画素値が64、68のものは、画素値が64となり、画素値は、
図7(c)で示すものとなる。
【0060】
この場合、
図7(c)の画素値をインデクスとしたときに、誤差が生じない。さらに
図7(c)で示した画素値の平均は、(48+64+64+48)/4=56となり、平均値としては、元の画素値と同様となる。つまりこの場合も誤差は周辺の画素に吸収され、全体としては、誤差が生じていないものとみなすことができる。
【0061】
図6、
図7では、この処理を第1の色情報全体にわたり行なう。なお後の処理は、第1の実施の形態と同様である。
【0062】
第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態の効果に加え、形成された画像に疑似輪郭が生じることを抑制することができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に色変換処理部24の第3の実施の形態について説明を行なう。
図8は、第3の実施の形態の色変換処理部24の機能構成例について示した図である。
図示するように色変換処理部24は、第1の関連情報作成部241と、第2の関連情報作成部242と、色情報生成部243と、面積階調生成部244と、ローパスフィルタ部245とを備える。
【0064】
図8で示す第3の実施の形態の色変換処理部24は、
図5で示した第2の実施の形態の色変換処理部24に対して、ローパスフィルタ部245が加わっている点で異なる。
なお第1の関連情報作成部241、第2の関連情報作成部242、色情報生成部243、面積階調生成部244の機能については、上述した場合と同様である。
【0065】
ローパスフィルタ部245は、色情報生成部243により生成された第3の色情報に対し予め定められたローパスフィルタを通過させるとともに、第3の色情報が取り得る範囲に制限を行なう。
【0066】
図9(a)〜(i)は、ローパスフィルタを採用したときの処理の第1の例について説明した図である。
なおここでも説明を簡単にするために、第1の色情報や第3の色情報は、1つであるとする。
【0067】
図9(a)は、
図7(a)と同様の図であり、入力画像の画素値としてLine1(1ライン目)で56、56を採り、Line2(2ライン目)で画素値として、同様に56、56を採る画素が並んでいる状態を示している。これは第1の色情報を意味する。
この場合、画像としては、
図9(i)に示したように濃度が一様な画像の一部である。
【0068】
そしてこれに
図9(h)で示すパターン(
図7(d)と同じパターン)でオフセットを行なう。その結果、
図9(b)で示すように、Line1の画素値は、56+0=56と、56+12=68となる。またLine2の画素値は、56+8=64と、56+4=60となる。
【0069】
そしてこれらの画素値に対し、16の倍数に切り捨てを行なう。その結果、画素値が56、60のものは、画素値が48となり、画素値が64、68のものは、画素値が64となり、画素値は、
図9(c)で示すものとなる。ここまでの処理は、面積階調生成部244が行ない、
図7(c)の結果と同様となる。
【0070】
そしてこの後、第1の関連情報作成部241、第2の関連情報作成部242、色情報生成部243により処理が行なわれ、第3の色情報が生成されるが、説明を容易にするため、色調整前の画素値と色調整後の画素値は同様であるとする。即ち、
図7(c)がそのまま第3の色情報となったとする。
【0071】
図9(d)は、
図9(c)で示す第3の色情報に対し、ローパスフィルタを通過させた場合を示す。
この場合、ローパスフィルタとして2×2の画素の範囲で平均化を行なうローパスフィルタを通過させている。その結果、
図9(d)で示すように、画素の画素値は、全て56となる。
【0072】
ここで16の倍数に切り捨てた後に
図9(c)の値を採る切り捨て前の画素値を考えると、
図9(e)に示す範囲の画素値となる。つまり16の倍数に切り捨てた後に48となる画素値は、48〜63の範囲にあり、16の倍数に切り捨てた後に64となる画素値は、64〜79の範囲にある。
【0073】
またさらにオフセットを行なう前の画素値を考えると、
図9(f)に示す範囲の画素値となる。つまりLine1のx=0の画素(左上の画素)の画素値は、48〜63の範囲となり、x=1の画素(右上の画素)の画素値は、52〜67の範囲となる。さらにLine2のx=0の画素(左下の画素)の画素値は、56〜71の範囲となり、x=1の画素(右下の画素)の画素値は、44〜59の範囲となる。
【0074】
即ち、
図9(d)で示すローパスフィルタ通過後の画素値についてもこの範囲に入るべきである。
ただしこの場合、ローパスフィルタ通過後の画素値は、全て56となっており、上記範囲に入っている。よって
図9(d)で示す画素値は、そのまま維持され、
図9(g)のようになる。
【0075】
図9(d)で示す画像は、
図9(i)のように濃度が一様な画像の一部であり、画像の特徴がそのまま維持されているのがわかる。
【0076】
図10(a)〜(i)は、ローパスフィルタを採用したときの処理の第2の例について説明した図である。
なおここでも説明を簡単にするために、第1の色情報や第3の色情報は、1つであるとする。
【0077】
図10(a)は、入力画像の画素値としてLine1(1ライン目)で56、180を採り、Line2(2ライン目)で画素値として、56、152を採る画素が並んでいる状態を示している。これは第1の色情報を意味する。
この場合、画像としては、
図10(i)に示したように文字等のエッジの一部となる。
【0078】
そしてこれに
図10(h)で示すパターン(
図7(d)、
図9(h)と同じパターン)でオフセットを行なう。その結果、
図10(b)で示すように、Line1の画素値は、56+0=56と、180+12=192となる。またLine2の画素値は、56+8=64と、152+4=156となる。
【0079】
そしてこれらの画素値に対し、16の倍数に切り捨てを行なう。その結果、
図10(c)で示すように、Line1の画素値は、48と192となる。またLine2の画素値は、64と144となる。
そしてこの後、第1の関連情報作成部241、第2の関連情報作成部242、色情報生成部243により処理が行なわれ、第3の色情報が生成されるが、説明を容易にするため、色調整前の画素値と色調整後の画素値は同様であるとする。即ち、
図10(c)がそのまま第3の色情報となったとする。
【0080】
図10(d)は、
図10(c)で示す第3の色情報に対し、ローパスフィルタを通過させた場合を示す。
この場合、
図9と同様にローパスフィルタとして2×2の画素の範囲で平均化を行なうローパスフィルタを通過させている。その結果、
図10(d)で示すように、画素の画素値は、全て112となる。
【0081】
ここで16の倍数に切り捨てた後に
図10(c)の値を採る切り捨て前の画素値を考えると、
図10(e)に示す範囲の画素値となる。つまり16の倍数に切り捨てた後に48となる画素値は、48〜63の範囲にあり、16の倍数に切り捨てた後に192となる画素値は、192〜207の範囲にある。また16の倍数に切り捨てた後に64となる画素値は、64〜79の範囲にあり、16の倍数に切り捨てた後に144となる画素値は、144〜159の範囲にある。
【0082】
またさらにオフセットを行なう前の画素値を考えると、
図10(f)に示す範囲の画素値となる。つまりLine1のx=0の画素(左上の画素)の画素値は、48〜63の範囲となり、x=1の画素(右上の画素)の画素値は、180〜195の範囲となる。さらにLine2のx=0の画素(左下の画素)の画素値は、56〜71の範囲となり、x=1の画素(右下の画素)の画素値は、140〜155の範囲となる。
【0083】
即ち、
図10(d)で示すローパスフィルタ通過後の画素値についてもこの範囲に入るべきである。
よってこの場合、
図10(d)で示す画素値を
図10(f)の範囲に収めるようにレンジ制限を行なう。その結果、
図10(g)で示すように、Line1の画素値は、48〜63の上限である63と、180〜195の下限である180となる。またLine2の画素値は、56〜71の上限である71と、140〜155の下限である140となる。
【0084】
図10(g)で示す画像は、
図10(a)の画素値の分布の特徴をほぼ残し、画像の特徴がほぼ維持されているのがわかる。これがレンジ制限を行なわない場合、
図10(d)で示す画素値となるため、エッジの一部が再現できないことになる。
【0085】
なお上述した色変換処理部24は、面積階調生成部244とローパスフィルタ部245の双方を備えていたが、ローパスフィルタ部245のみでもよい。
また上述したローパスフィルタ部245では、ローパスフィルタとして2×2の画素の範囲で平均化を行なうローパスフィルタ用いたが、これに限られるものではなく、ローパスフィルタであれば、特に制限はない。例えば、5×5の画素の範囲で重みを付けつつ平均化するようなものであってもよい。
【0086】
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態の場合と同様に、上述した第1の実施の形態の効果に加え形成された画像に疑似輪郭が生じることを抑制することができる。
【0087】
第2の実施の形態及び第3の実施の形態で使用した面積階調生成部244やローパスフィルタ部245は、第1の色情報を第2の色情報にするときに生ずる、第1の色情報についての誤差分を低減する誤差低減手段として把握することができる。
【0088】
[第4の実施の形態]
次に色変換処理部24の第4の実施の形態について説明を行なう。
図11は、第4の実施の形態の色変換処理部24の機能構成例について示した図である。
図示するように色変換処理部24は、第1の関連情報作成部241と、第2の関連情報作成部242と、色情報生成部243と、画像圧縮部246と、記憶部247と、画像伸長部248とを備える。
【0089】
図11で示す第4の実施の形態の色変換処理部24は、
図3で示した第1の実施の形態の色変換処理部24に対して、画像圧縮部246、記憶部247、画像伸長部248が加わっている点で異なる。
なお第1の関連情報作成部241、第2の関連情報作成部242、色情報生成部243の機能については、上述した場合と同様である。
【0090】
画像圧縮部246は、第1の画像情報をインデクスとした後に、インデクスの情報を圧縮する。
記憶部247は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、圧縮したインデクスの情報を一時的に記憶する。
そして画像伸長部248は、圧縮したインデクスの情報を伸長して元に戻した後に、色情報生成部243に送る。
【0091】
このようにすることで、入力画像情報をいったん蓄積し、そして必要なときに、画像形成手段3により画像を形成させることができる。また記憶部247に記憶される情報は、減数化したインデクスをさらに圧縮したものであるので、記憶容量は比較的少なくてすむ。
またこの場合、第2の関連情報作成部242、色情報生成部243で行なう処理については、画像形成を行なう直前に行なえばよいので、画像形成を行なう際の画像形成手段3の状態に合せた色調整を行なうことができる。
【0092】
さらにインデクスの情報を圧縮したものを点線矢印で示したように他の画像形成装置(
図11では画像形成装置1aとして図示)に送り、そして上述した方法と同様な方法で他の画像形成装置1aに合せた色調整を行ない、画像形成を行なうようにしてもよい。つまり画像形成装置1aでも、
図11と同様の構成の色変換処理部24を備えている。そして画像形成装置1aでは、圧縮されたインデクスの情報を、画像伸長部248にて伸長して元に戻した後に、色情報生成部243に送る。さらに色情報生成部243にて色調整後のYMCKデータが作成される。
【0093】
このようにすることで1つのソース(この場合、圧縮されたインデクスの情報)を基に色表現特性が異なる画像形成装置に対しても画像形成が可能となるとともに、画像出力の分散化も実現することができる。
【0094】
<色変換処理部の動作の説明>
図12は、色変換処理部24の動作について説明したフローチャートである。ここでは基本的に第1の実施の形態について説明を行ない、他の実施の形態の場合について、補足して説明を行なう。
【0095】
まず第1の関連情報作成部241が、ラスタライズ部23からRGBデータを受け取り、RGBデータをインデクスとする(ステップ101)。なお
図5で示した第2の実施の形態では、この前にRGBデータを面積階調生成部244が受け取り、インデクスとするときに生ずる誤差分を面積階調法により拡散させ、第1の関連情報作成部241に送ることになる。
【0096】
さらに第1の関連情報作成部241が、元のRGBデータをインデクスとを関連付けた第1の関連情報を作成する(ステップ102)。
【0097】
次に第2の関連情報作成部242が、第1の関連情報を基に、インデクスを色調整後の画像情報であるYMCKデータに関連づけた第2の関連情報を作成する(ステップ103)。
【0098】
そして色情報生成部243が、第1の関連情報作成部241で変換したインデクスを、第2の関連情報を用いて変換し、YMCKデータを生成する(ステップ104)。
なおこのとき
図11で示した第4の実施の形態では、画像圧縮部246にてインデクスの情報が圧縮され、いったん記憶部247に記憶される。そして画像伸長部248にて圧縮したインデクスの情報が伸長されて元に戻された後に、色情報生成部243に送られる。
【0099】
そして色調整後のYMCKデータは、色変換処理部24から出力され、パイルハイト処理部25に送られる(ステップ105)。なおこのとき第3の実施の形態では、ローパスフィルタ部245にて、YMCKデータに対し予め定められたローパスフィルタを通過させるとともにレンジ制限が行なわれる。
【0100】
なお以上説明した色変換処理部24では、第1の色情報としてRGBデータを用い、第3の色情報としてYMCKデータを用いていたが、これに限られるものではなく、他の色空間における色情報であってもよい。
【0101】
<画像形成装置のハードウェア構成の説明>
図13は、画像形成装置1のハードウェア構成例を示した図である。
図示するように、画像形成装置1は、CPU51と、RAM(Random Access Memory)52と、ROM(Read Only Memory)53と、HDD54と、操作パネル55と、画像読取部56と、画像形成部57と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)58とを備える。
【0102】
CPU51は、ROM53等に記憶された各種プログラムをRAM52にロードして実行することにより、画像形成装置1の各機能を実現する。
RAM52は、CPU51の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM53は、CPU51が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD54は、画像読取部56が読み取った画像データや画像形成部57における画像形成にて用いる画像データ等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル55は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行う例えばタッチパネルである。
【0103】
画像読取部56は、紙等の記録媒体に記録された画像を読み取る。ここで、画像読取部56は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いることができる。
【0104】
画像形成部57は、用紙Pに画像を形成する。画像形成部57は、
図1の画像形成手段3と同様のものである。
通信I/F58は、ネットワークNを介して他の装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0105】
<プログラムの説明>
ここで以上説明を行った本実施の形態における色変換処理部24が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。例えば、画像形成装置1内部のCPU11が、色変換処理部24の各機能を実現するプログラムをROM13からRAM12にロードして実行することにより行なわれる。
【0106】
よって色変換処理部24が行なう処理は、コンピュータに、入力画像の画像情報である第1の色情報を、第1の色情報に対し取り得る値の数を減らした第2の色情報に変換するとともに、第1の色情報を第2の色情報に関連づけた第1の関連情報を作成する機能と、第1の関連情報を基に第2の色情報を色調整後の画像情報である第3の色情報に関連づけた第2の関連情報を作成する機能と、第2の色情報を、第2の関連情報を用いて変換し、第3の色情報を生成する機能と、を実現させるプログラムとして捉えることもできる。
【0107】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0108】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。