(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記せん断力付与装置の前記二つの部材の少なくとも一方の部材の表面は弾性体で構成されると共に、他方の部材が前記弾性体に食い込み前記接触部が形成されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液体現像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤中のトナー凝集物を減少させることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、トナーが分散した液体現像剤が貯留された貯留部と、前記貯留部に貯留された液体現像剤が塗布手段によって塗布される現像部材と、潜像保持体の静電潜像を現像した後に前記現像部材に残留する前記液体現像剤を除去する除去装置と、前記除去装置によって除去された前記液体現像剤が前記貯留部に戻される経路に
前記除去装置と間隔をあけて設けられ、少なくとも一方が回転し周速差を有する二つの部材の接触部に前記液体現像剤を通過させて前記液体現像剤
に含まれるトナー凝集物にせん断力を付与し
、前記トナー凝集物を磨り潰すせん断力付与装置と、を備える液体現像装置。
【0007】
請求項2の発明は、前記せん断力付与装置は、前記接触部において異なる周速で同方向に移動する二つの部材を有する。
【0008】
請求項3の発明は、前記せん断力付与装置は、前記潜像保持体の前記静電潜像を前記現像部材が現像する現像速度に応じて、前記二つの部材の回転速度が制御され、且つ、前記二つの部材の周速差が予め定められた範囲内になるように又は周速差が閾値を超えないように制御される。
【0009】
請求項4の発明は、前記せん断力付与装置は、前記潜像保持体の前記静電潜像の画像密度に応じて、前記二つの部材の周速差が制御される。
【0010】
請求項5の発明は、前記せん断力付与装置の前記二つの部材の少なくとも一方の部材の表面は弾性体で構成されると共に、他方の部材が前記弾性体に食い込み前記接触部が形成されている。
【0011】
請求項6の発明は、
トナーが分散した液体現像剤が貯留された貯留部と、前記貯留部に貯留された液体現像剤が塗布手段によって塗布される現像部材と、潜像保持体の静電潜像を現像した後に前記現像部材に残留する前記液体現像剤を除去する除去装置と、前記除去装置によって除去された前記液体現像剤が前記貯留部に戻される経路に設けられ、少なくとも一方が回転し周速差を有する二つの部材の接触部に前記液体現像剤を通過させて前記液体現像剤にせん断力を付与するせん断力付与装置と、を備え、前記せん断力付与装置は、前記接触部において異なる周速で同方向に移動する二つの部材を有し、前記潜像保持体の前記静電潜像を前記現像部材が現像する現像速度に応じて、前記二つの部材の回転速度が制御され、且つ、前記二つの部材の周速差が予め定められた範囲内になるように又は周速差が閾値を超えないように制御される、液体現像装置である。
請求項7の発明は、トナーが分散した液体現像剤が貯留された貯留部と、前記貯留部に貯留された液体現像剤が塗布手段によって塗布される現像部材と、潜像保持体の静電潜像を現像した後に前記現像部材に残留する前記液体現像剤を除去する除去装置と、前記除去装置によって除去された前記液体現像剤が前記貯留部に戻される経路に設けられ、少なくとも一方が回転し周速差を有する二つの部材の接触部に前記液体現像剤を通過させて前記液体現像剤にせん断力を付与するせん断力付与装置と、を備え、前記せん断力付与装置は、前記潜像保持体の前記静電潜像の画像密度に応じて、前記二つの部材の周速差が制御される、液体現像装置である。
請求項8の発明は、静電潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像保持体の静電潜像を現像部材に塗布された液体現像剤で現像し、前記潜像保持体に現像剤像を形成する請求項1〜請求
項7のいずれか1項に記載の液体現像装置と、前記潜像保持体に形成された前記現像剤像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記現像剤像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、せん断力付与装置を有しない場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤中のトナー凝集物を減少させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、せん断力付与装置を構成する二つの部材の一方が固定されている場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤の流量を確保しつつ、トナー凝集物を減少させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、せん断力付与装置を構成する二つの部材の周速差が予め定められた範囲を超える場合又は周速差が閾値を超える場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤の流量を確保しつつ、トナー凝集物を減少させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、せん断力付与装置を構成する二つの部材の周速差が、記潜像保持体の静電潜像の画像密度に応じて制御されない場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤中のトナー凝集物を減少させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、せん断力付与装置を構成する二つの部材の両方が弾性体でない場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤中のトナー凝集物を減少させることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、
せん断力付与装置を構成する二つの部材の周速差が予め定められた範囲を超える場合又は周速差が閾値を超える場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤の流量を確保しつつ、トナー凝集物を減少させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、せん断力付与装置を構成する二つの部材の周速差が、潜像保持体の静電潜像の画像密度に応じて制御されない場合と比較し、現像部材から除去され貯留部に戻される液体現像剤中のトナー凝集物を減少させることができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜請求
項7のいずれか1項に記載の液体現像装置を有しない場合と比較し、画像品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態の画像形成装置の一例について説明する。
<画像形成装置の全体構成>
まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。
【0020】
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る画像形成装置10は、像保持体の一例としてのドラム状の感光体12を有している。感光体12は、Z方向を回転軸方向として図示しない駆動手段によって+R方向に回転する。感光体12の周囲には、帯電器20、露光装置22、液体現像装置100、転写手段の一例としての転写装置30、及び感光体用クリーナー70等が配置されている。
【0021】
帯電器20は、本実施形態では、スコロトロン帯電器とされ、コロナ放電によって感光体12の表面を帯電する。
【0022】
露光装置22は、本実施形態ではLED露光装置とされ、帯電器20によって帯電した感光体12を画像情報に基づいて露光し、感光体12の表面に静電潜像を形成する。なお、露光装置22は、LED露光装置以外の露光装置であってもよい。例えば、レーザ光線を露光する露光装置であってもよい。
【0023】
液体現像装置100は、液体現像剤Gで、感光体12に形成された静電潜像を現像(顕像化)し、感光体12の表面にトナー像を形成する。なお、液体現像装置100に関する詳しい説明は後述する。
【0024】
液体現像剤Gは、キャリア液(溶剤)にトナー(粒子)が分散された液体とされている。キャリア液としては、例えば、植物油、流動パラフィン、シリコーンオイルなどの絶縁性液体が用いられる。一例として、平均粒径が0.5μm以上、5μm以下のトナー(粒子)が、キャリア液中に15wt%以上で35wt%以下の濃度で分散されている。また、液体現像剤G中に帯電制御剤や分散剤を加えてもよい。
【0025】
感光体用クリーナー70は、第一廃トナータンク78と、感光体12に接触するクリーニングロール72と、を有している。更に、感光体用クリーナー70は、ウレタンゴム製のクリーニングブレード74、76を有している。クリーニングブレード76は感光体12に接触しクリーニングブレード74はクリーニングロール72に接触し、それぞれ液体現像剤Gを除去する。除去された液体現像剤Gは第一廃トナータンク78に回収される。
【0026】
転写装置30は、感光体12の表面に形成されたトナー像が転写されるドラム状の中間転写体32と、中間転写体クリーナー40と、中間転写体32の表面に転写されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写ロール34と、を備えた中間転写方式とされている。そして、転写装置30の中間転写体32を介して、感光体12に形成されたトナー像を転写ロール34によって記録媒体Pに転写する。
【0027】
なお、転写装置30は、上記構成以外構成であってもよい。例えば、ベルト状の中間転写体を備えた構成であってもよいし、中間転写体及び中間転写体クリーナーを備えず、感光体12から直接記録媒体Pに転写ロール34でトナー像を転写する直接転写方式であってもよい。
【0028】
中間転写体クリーナー40は、第二廃トナータンク48と、中間転写体32に接触するクリーニングロール42と、を有している。更に、中間転写体クリーナー40は、ウレタンゴム製のクリーニングブレード44、46を有している。クリーニングブレード46は中間転写体32に接触しクリーニングブレード44はクリーニングロール42に接触し、それぞれ液体現像剤Gを除去する。除去された液体現像剤Gは第二廃トナータンク48に回収される。第二廃トナータンク48に回収された液体現像剤Gは、配管14を介して第一廃トナータンク78に送られる。
【0029】
なお、本実施形態では、中間転写用のクリーニングロール42及び感光体用のクリーニングロール72は、いずれもSUS等の芯金の表面にNBRやECO等の耐油性のあるゴムを被覆したロール部材とされ、ゴム層厚は、例えば、5mm以上、20mm以下とされている。
【0030】
また、画像形成装置10の下部には記録用紙等のシート状の記録媒体Pが収容された収容部90が設けられ、記録媒体Pは搬送経路Kに沿って搬送される。
【0031】
画像形成装置10は、トナー像が転写された記録媒体Pにトナー像を定着させる定着手段の一例としての定着装置92を備えている。本実施形態では、定着装置92は、加熱部材の一例としての加熱ロール94と、加熱ロール94に対向して圧接する加圧部材の一例としての加圧ロール96と、を有している。そして、トナー像が転写された記録媒体Pが、定着装置92の加熱ロール94と加圧ロール96との間を通過することで、記録媒体Pにトナー像が熱と圧力とによって記録媒体Pに定着する。なお、定着装置92における定着方式は、加熱ロール94及び加圧ロール96でなく、例えばベルト部材による接触熱定着でもよいし、オーブンやフラッシュランプ等による非接触加熱定着であってもよい。
【0032】
画像形成装置10は、定着後の記録媒体Pのトナー像を読み取る読取装置60を有している。また、画像形成装置10は、制御部50を有している。制御部50は、画像形成装置10全体の各種制御を行っている。
【0033】
(画像形成工程)
つぎに、画像形成工程について説明する。なお、各ロールは矢印+R又は矢印−R方向で示す方向に図示が省略された駆動装置又は従動回転によって回転するように構成されている。
【0034】
感光体12の表面が帯電器20によって帯電され、露光装置22によって画像情報に基づいた静電潜像が感光体12の表面に形成される。静電潜像は、液体現像装置100によって現像され、トナー像が感光体12の表面に形成される。感光体12に形成されたトナー像は、中間転写体32の芯金にバイアス電圧が印加されることで中間転写体32の表面に一次転写される。一次転写されたトナー像は、転写ロール34に印加されたバイアス電圧によって記録媒体Pに二次転写される。トナー像が転写された記録媒体Pは定着装置92に搬送され、記録媒体P上にトナー像が定着される。トナー像が定着した記録媒体Pは、読取装置60でトナー像が読みとられた後、図示が省略された排出部に排出される。
【0035】
一方、中間転写体32へ一次転写されずに感光体12に残留した液体現像剤Gは、感光体用クリーナー70によって除去される。また、記録媒体P上に二次転写されずに中間転写体32に残留した液体現像剤Gは中間転写体クリーナー40よって除去される。
【0036】
なお、中間転写用のクリーニングロール42及び感光体用のクリーニングロール72には、芯金にバイアス電圧が印加されることで、残留した液体現像剤Gの中の主にトナーがクリーニングロール42、72に、それぞれ付着して除去される。そして、その後に中間転写用のクリーニングブレード46及び感光体用のクリーニングブレード76によって主にキャリア液が除去される。このような構成とすることで、中間転写体32及び感光体12へのトナーの残留を効果的に抑制することがきるので、例えば、中間転写体32及び感光体12に、トナーが残留することによるかぶり等の画像欠陥の発生が効果的に防止又は抑制される。
【0037】
<本実施形態の現像装置>
つぎに本発明が適用された一実施形態の液体現像装置100について詳しく説明する。
【0038】
図1に示すように、一実施形態の液体現像装置100は、現像部材の一例としての現像ロール110と、塗布手段の一例としての塗布ロール(アニロックスロール)120と、を有している。また、液体現像装置100は、液体現像剤Gを貯留する貯留部150、現像ロール110に残留する残留液体現像剤GCを除去する除去装置140、及び除去装置140で除去した残留液体現像剤GCにせん断力を付与するせん断力付与装置200を有している。
【0039】
貯留部150は、貯留槽152と濃度制御槽154とを有している。貯留槽152には、液体現像剤Gが貯留されている。また、貯留槽152には、液体現像剤Gを攪拌する攪拌スクリュー(図示略)などが設けられている。
【0040】
濃度制御槽154は、貯留槽152との間で液体現像剤Gが循環するように構成されている。濃度制御槽154には、液体現像剤G中のトナー濃度を測定する濃度センサー156が設けられている。また、濃度制御槽154には、図示していないキャリア液(溶剤)を補充するキャリア液タンクや高濃度にトナー(粒子)が分散された補充液タンクなどが接続されている。そして、制御部50が、濃度センサー156の測定結果に基づき、トナー濃度が予め定められた範囲内になるように、図示してないキャリア液タンクのキャリア液及び補充液タンクの補充液を適宜補給するようになっている。
【0041】
塗布手段の一例としての塗布ロール(アニロックスロール)120は、Z方向を回転軸方向とする回転体とされ、下端部分が貯留槽152の液体現像剤Gに漬かっており、液体現像剤Gに漬かっていない部分が現像ロール110に接触している。
【0042】
塗布ロール120の外周面120Aには、斜線型パターンの溝(彫刻溝)が形成されている。塗布ロール120の外周面120Aに形成される溝の形状としては、斜線型パターンの他に、ピラミッド型パターンや格子型パターン等を用いてもよい。塗布ロール120は、図示しない駆動手段によって+R方向に回転する、貯留槽152から液体現像剤Gを汲み上げて保持する。
【0043】
塗布ロール120の貯留槽152の液体現像剤Gに漬かった下端部に対する回転方向下流側に層形成手段の一例としての規制ブレード122が設けられている。規制ブレード122は、塗布ロール120の回転軸方向(Z方向)を長手方向とする板状部材で構成されており、先端部122Aが塗布ロール120の外周面120Aと間隔をあけて配置されている。そして、規制ブレード122の先端部122Aと塗布ロール120の外周面120Aとの間を通過する液体現像剤Gの量を規制することで、液体現像剤層GTを塗布ロール120に形成する。
【0044】
現像部材の一例としての現像ロール110は、Z方向を回転軸方向とする回転体とされ、図示しない駆動手段によって−R方向に回転する。また、現像ロール110は、金属製のコアロール112の表面に、一例として体積抵抗率が1×10
5Ω・cm以上で1×10
10Ω・cm以下の半導電性を有する弾性層114が設けられている。また、金属製のコアロール112にはバイアス電圧が印加される。
【0045】
現像ロール110の弾性層114に、前述した塗布ロール120が接触する接触部Mにおいて、塗布ロール120が保持し規制ブレード122に形成された液体現像剤層GTが現像ロール110に塗布され、現像ロール110に液体現像剤層GLが形成される。現像ロール110の弾性層114は感光体12に接触し、現像ニップ部N(現像部)が形成されている。そして、この現像ニップ部Nにおいて、液体現像剤層GL(液体現像剤G)で感光体12の静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
【0046】
除去装置140は、クリーニングロール142と、クリーニングブレード144と、を含んで構成されている。
【0047】
クリーニングロール142は、Z方向を回転軸方向とする円柱状の回転体とされ、現像ロール110の外周面における現像ニップ部Nの下流で接触部Mの上流側に接触するように配置されている。このクリーニングロール142に電圧を印加して、現像ニップ部Nで現像されずに残留した残留液体現像剤GCを電気的に付着させて除去する。
【0048】
クリーニングブレード144は、クリーニングロール142の回転軸方向(Z軸方向)を長手方向とする板状の部材で構成されており、先端部144Aがクリーニングロール142の外周面142Aに接触し、クリーニングロール142に付着した残留液体現像剤GCを掻き取って回収する。回収された残留液体現像剤GCは、回収経路Sを流れ、貯留部150の貯留槽152に戻される。なお、除去装置140によって除去され回収された残留液体現像剤GCは、後述するせん断力付与装置200の接触部Tを通過してから貯留部150の貯留槽152に戻される。
【0049】
(せん断力付与装置)
つぎに、せん断力付与装置について説明する。
【0050】
せん断力付与装置200は、回収経路Sに設けられている。せん断力付与装置200は、第一ロール210と第二ロール220とを有している。第一ロール210及び第二ロール220は、それぞれZ方向を回転軸方向とする円柱状の回転体とされている。第一ロール210の軸部212の周りには、弾性体で構成された外周部214が設けられている。そして、第二ロール220が、第一ロール210の弾性体で構成された外周部214に食い込むことで(図示省略)、接触部(ニップ部)Tが形成されている。
【0051】
なお、第一ロール210の外周部214は、NBRゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ポリイミドゴムのような溶媒に対して吸収や膨潤のない弾性体、シリコンゴムのような溶媒に対して吸収や膨潤のある弾性体、ウレタン、ヒドリン、ポリイミド、ニトリルなどの弾性体、或いは、表面がミクロのセルを持ち多孔性の耐熱性を有する多孔質の弾性体(例えば、穴径が0.1μm以上で1μm以下、厚みが50μm以上で300μm以下のPTFE、セルローズアセテート、ポリカーボネートなどの材料)等で構成されている。
【0052】
一方、第二ロール220は、SUSやアルミ等の金属材料やポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂材料で構成されている。
【0053】
図2(A)に示すように、第一ロール210及び第二ロール220は、駆動装置230によって、それぞれ独立して回転するように構成され、接触部Tにおいて同方向に移動するように回転する(逆方向に回転する)。また、駆動装置230は、制御部50によって制御され、接触部Tにおける第一ロール210の周速V1が第二ロール220の周速V2よりも遅くなるように制御されている。つまり、接触部Tにおける第一ロール210と第二ロール220とに、周速差V3(=V2−V1)が生じるように制御されている。
【0054】
図1に示すように、除去装置140によって除去され回収された残留液体現像剤GCは、せん断力付与装置200の周速差V3が生じている接触部Tを通過してから貯留部150の貯留槽152に戻される。
【0055】
せん断力付与装置200において、第一ロール210と第二ロール220の両方の外周部がポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂材料やSUSやアルミ等の金属材料などの非弾性体で構成されていてもよいが、好ましいのは第一ロール210の外周部214が弾性体で、第二ロール220とニップ部を形成する形態である。
【0056】
(制御部による制御)
つぎに、制御部50による制御の一部を説明する。
【0057】
図5に示す本実施形態の画像形成装置10は、感光体12の回転速度(回転数)、すなわち記録媒体Pにトナー像を形成するプロセス速度が可変となっている。制御部50は、プロセス速度(感光体12の回転速度)に応じて、露光装置22や液体現像装置100の各種ロールの回転速度などを制御する。具体的には、感光体12の回転速度(プロセス速度)が速くなるに従って、現像ロール110、塗布ロール120、クリーニングロール142、及びせん断力付与装置200の第一ロール210及び第二ロール220の回転速度(回転数)を速くする。
【0058】
なお、せん断力付与装置200においては、第一ロール210及び第二ロール220の回転速度を速くしても、接触部Tにおける第一ロール210と第二ロール220との周速差V3が予め定められた範囲内になるように制御されている。
【0059】
また、せん断力付与装置200は、記録媒体Pに形成されたトナー画像のエリアカバレッジ、言い換えると、感光体12に露光装置22によって形成される静電潜像の画像密度に応じて、第一ロール210の周速V1と第二ロール220の周速V2との周速差V3が制御されている。具体的には、感光体12の静電潜像の画像密度が小さいほど、第一ロール210の周速V1と第二ロール220の周速V2との周速差V3が大きくなるようになっている。
【0060】
なお、エリアカバレッジ(画像密度)はどのような方法で求めてもよい。例えば、記録媒体Pに形成されたトナー画像を読取装置60で読み取った画像データに基づいてエリアカバレッジ(画像密度)を求めてもよいし、露光装置22が露光する画像情報に基づいて周速差V3をエリアカバレッジ(画像密度)を求めてもよい。更に、記録媒体Pに形成されたトナー画像を読取装置60で読み取った画像データに基づいて周速差V3を制御してもよいし、露光装置22が露光する画像情報に基づいて周速差V3を制御してもよい。
【0061】
<作用及び効果>
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0062】
感光体12の静電潜像を現像しトナー像を形成した後の現像ロール110に残留する残留液体現像剤GCは、キャリア液成分が減少することによって、高濃度化及び高粘度化している。このため残留液体現像剤GCには、トナーが凝集したトナー凝集物が発生することがある。
【0063】
本実施形態では、除去装置140によって除去され回収された残留液体現像剤GCは、せん断力付与装置200の第一ロール210と第二ロール220との接触部Tを通過してから貯留部150の貯留槽152に戻される。
【0064】
第一ロール210の周速V1は、第二ロール220の周速V2よりも遅くなるように制御されており、接触部Tにおける第一ロール210と第二ロール220とに周速差V3(=V2−V1)が生じるようになっている。よって、接触部Tを残留液体現像剤GCが通過する際に、トナー凝集物にせん断力が付与され、トナー凝集物が磨り潰される。したがって、現像ロール110から除去され貯留部150の貯留槽152に戻される残留液体現像剤GC中のトナー凝集物が減少又は無くなる。言い換えると、トナー凝集物の貯留部150の貯留槽152への混入が抑制又は防止される。
【0065】
ここで、トナー凝集物が貯留部150の貯留槽152に混入した場合、トナー凝集物が塗布ロール120から現像ロール110に供給される液体現像剤G中に混入する。現像ロール110の液体現像剤Gに混入したトナー凝集物は、最終的に記録媒体Pに形成されたトナー像に混入し、画像品質が低下する。
【0066】
また、トナー凝集物が、濃度制御槽154の液体現像剤G中の混入することで、液体現像剤G中のトナー濃度に局所的に濃いところが生じ、濃度センサー156によるトナー濃度の測定精度が低下する。そして、このように液体現像剤Gのトナー濃度の測定精度が低下することで、液体現像剤Gのトナー濃度が変動し、画像品質が低下する。
【0067】
しかし、本実施形態では、前述したように、せん断力付与装置200で、トナー凝集物にせん断力を付与し磨り潰して、貯留部150の貯留槽152に戻しているので、上述したような画像品質の低下が防止又は抑制される。
【0068】
また、本実施形態では、せん断力付与装置200の第二ロール220が第一ロール210の弾性体で構成された外周部214に食い込み接触部(ニップ部)Tが形成されている。このように第一ロール210の外周部214を弾性体で構成することで、接触部Tの幅(ニップ幅)が長くなり、残留液体現像剤GCのトナー凝集物に長時間にわたってせん断力を付与される。よって、残留液体現像剤GCのトナー凝集物を磨り潰して解消する効果が向上する。
【0069】
また、プロセス速度が上昇すると、現像ロール110の回転速度が上昇し、それに伴い残留液体現像剤GCの回収量が増える。そして、制御部50によって、せん断力付与装置200の第一ロール210及び第二ロール220の回転速度を速くし、貯留部150の貯留槽152に戻す量を確保している。
【0070】
一方、制御部50によって、せん断力付与装置200の接触部Tにおける第一ロール210と第二ロール220との周速差V3が予め定められた範囲内になるように制御されているので、接触部Tのせん断力が大きくなること(周速差V3が大きくなること)による残留液体現像剤GCの温度上昇が抑制されている。したがって、接触部Tを通過する際の残留液体現像剤GCの温度上昇による変質が抑制される(変質した残留液体現像剤GCが貯留部150の貯留槽152に戻されることが防止される)。つまり、貯留部150の貯留槽152に戻す量を確保しつつ、トナー凝集物を減少させ、更に接触部Tでの残留液体現像剤GCの温度上昇による変質が抑えられている。
【0071】
また、トナー画像のエリアカバレッジ、言い換えると、感光体12に露光装置22によって形成される静電潜像の画像密度が小さいと、トナーの消費量が少ないので、残留液体現像剤GCのトナー濃度が高くなる。よって、残留液体現像剤GCのトナー凝集物の発生が多くなると共にトナー凝集物の凝集力が大きくなりやすい。
【0072】
そこで、本実施形態では、制御部50によって、せん断力付与装置200は、記録媒体Pに形成されたトナー画像のエリアカバレッジ(感光体12に露光装置22によって形成される静電潜像の画像密度)に応じて、第一ロール210の周速V1と第二ロール220の周速V2との周速差V3が制御されている。
【0073】
具体的には、感光体12の静電潜像の画像密度が小さいほど、すなわち、残留液体現像剤GCのトナー凝集物の発生が多くなると共にトナー凝集物の凝集力が大きくなるほど、第一ロール210の周速V1と第二ロール220の周速V2との周速差V3を大きくしている。よって、効果的に残留液体現像剤GCのトナー凝集物が解消される。
【0074】
<変形例>
つぎに、せん断力付与装置200の変形例について説明する。
【0075】
(第一変形例)
図2(B)に示す第一変形例のせん断力付与装置300は、駆動ロール302と従動ロール304とにベルト部材310が巻き掛けられ、ベルト部材310が周回移動するベルト機構320を有している。そして、ベルト機構320のベルト部材310に第二ロール220が接触して食い込み、接触部Tが形成されている。
【0076】
第一ロール210及びベルト機構320のベルト部材310は、制御部50(
図1、
図5参照)によって制御され、それぞれ接触部Tにおいて同方向に移動すると共に、第一ロール210とベルト部材310とに周速差V3(=V2−V1)が生じるようになっている。
【0077】
なお、図中の想像線(二点破線)で示すように、第一ロール210を複数設けてもよい。
【0078】
(第二変形例)
図3(A)に示す第二変形例のせん断力付与装置400は、板状の固定部材410に第一ロール210が接触して食い込むことで、接触部Tが形成されている。なお、この場合、固定部材410は、移動しないので、第一ロール210の周速V1が、周速差V3(=V1)となる。
【0079】
なお、図中の想像線(二点破線)で示すように、第一ロール210を複数設けてもよい。また、固定部材410は湾曲していてもよい。
【0080】
(第三変形例)
図3(B)に示す第三変形例のせん断力付与装置500は、板状の固定部材410にベルト機構320のベルト部材310は接触することで、接触部Tが形成されている。なお、この場合、固定部材410は、移動しないので、ベルト機構320のベルト部材310の周速V1が、周速差V3(=V1)となる。また、固定部材410は湾曲していてもよい。
【0081】
(第四変形例)
図4に示す第四変形例のせん断力付与装置600は、第一ロール610と第二ロール620とを有している。第一ロール610及び第二ロール620は、それぞれ周面に径方向外側に凸となる凸部612及び凸部622が形成されている。そして、凸部612と凸部622とが軸方向に交互に配置され、互いがかみ合っている。よって、接触部Tにおける接触面積が広くなり、多くのトナー凝集物にせん断力を付与して磨り潰すことができる。よって、残留液体現像剤GCのトナー凝集物を磨り潰して解消する効果が向上する。
【0082】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0083】
例えば、上記実施形態では、接触部Tにおける第一ロール210と第二ロール220との周速差V3は、予め定められた範囲内になるように制御されているが、これに限定されない。周速差V3が予め定められた閾値を超えないように制御されてもよい。
【0084】
また、例えば、上記実施形態では、せん断力付与装置200における第一ロール210の外周部214は弾性体で構成されていたが、これに限定されない。第二ロール220の外周部が弾性体で構成されていてもよいし、第一ロールと第二ロールの両方の外周部が弾性体で構成されていてもよい。更に、第一ロールと第二ロールの両方の外周部がポリプロピレン、ABS、ポリカーボネート等の樹脂材料やSUSやアルミ等の金属材料などの非弾性体で構成されていてもよい。また、変形例の板状部材420が、弾性体で構成されていてもよい。
【0085】
また、例えば、上記実施形態では、第一ロール210と第二ロール220、及びベルト部材310と第二ロール220とは、接触部Tにおいて同方向に移動(逆回転)していたが、これに限定されない。逆方向に移動(同回転)してもよい。
【0086】
また、例えば、上記実施形態では、せん断力付与装置は、回収経路Sに一つのみに設けられていたが、これに限定されない。せん断力付与装置を回収経路Sに複数設けてもよい。つまり、回収経路Sの上流側のせん断力装置でトナー凝集物にせん断力を付与して磨り潰した残留液体現像剤GCを、更に、下流側のせん断力装置でトナー凝集物にせん断力を付与して磨り潰して、貯留部150の貯留槽152に戻してもよい。
【0087】
また、このとき、上記実施形態及び変形例の異なる構造のせん断力付与装置を組み合わせてもよい。
【0088】
また、画像形成装置の構成としては、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。
【0089】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。