特許第6287429号(P6287429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サンケン電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6287429-LED点灯装置 図000002
  • 特許6287429-LED点灯装置 図000003
  • 特許6287429-LED点灯装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6287429
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】LED点灯装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180226BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-61290(P2014-61290)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-185405(P2015-185405A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大竹 修
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−170845(JP,A)
【文献】 特開2013−132107(JP,A)
【文献】 特開2013−132186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、前記直流電源の両端にLEDとインダクタとスイッチング素子と電流検出
抵抗とが直列に接続された直列回路と、前記LEDと前記インダクタとの直列回路に並列
に接続された回生ダイオードと、前記スイッチング素子がオンの時の電流を検出する手段
と、
前記電流検出手段で得られた信号と所定の基準値とを比較して得た誤差信号を電流変換
して制御電流とする電流増幅器と、コンデンサと、前記スイッチング素子がオンの時に前
記制御電流を前記コンデンサに充放電させるスイッチとを有し、
前記スイッチング素子をオンオフ制御し且つ前記コンデンサの電圧に基づき前記スイッ
チング素子のオン期間の電流平均値が一定になるようにPWM制御して前記LEDに流れ
る電流を一定に制御するPWM制御回路とを備えることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
外部調光端子を備え、前記外部調光端子にパルス波形の調光信号が入力され、前記調光
信号に応じて前記PWM制御回路のPWM信号をオンオフして、前記LEDの光出力を変
更することを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 LEDを点灯させるLED点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、 発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode) を点灯するLED点灯装置とし
て、直流電流により点灯するLEDを点灯制御するLED点灯装置が知られている (特許
文献1)。
このLED点灯装置は、 直流電流により点灯するLEDに対して直列にインダクタとス
イッチング素子が接統され、 LEDとインダクタとの直列回路と並列に接続され、スイッ
チング素子のオフ時にインダクタの蓄積エネルギーを半導体発光素子に放出する方向に接
続された回生ダイオードを備えた降圧チョッバ回路と、スイッチング子をオン/オフさ
せる制御回路とを備える。
制御回略は、スイッチング素子のオン時にインダクタに流れる漸増電流の瞬時値が所定
値に達するとスイッチング子をオフする手段と、スイッチング素子のオフ時にインダク
タに流れる漸減電流が略ゼロになるとスイッチング素子をオンする手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−210659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のLED点灯裝置においては、スイッチング素子のオフ時にインダクタに流れる漸減電流が略ゼロになると、スイッチング素子をオンすることにより平均電流制御を行うことができるが、臨界モード制御のためインダクタに流れる電流のピーク値が大きく、スイッチングオフ時の損失が大きくなる。
また、入力電圧変動によりスイッチング素子のオフからオンになるタイミングが変化し、発振周波数が変動するので、スイッチング損失も変動してしまう。
しかしながら、スイッチング素子に流れる電流のピーク値を画定したPWM (pulse width Modulation) 制御では、入力電圧変動があるときには平均電流制御を行うことができないという問題がある。
【0005】
また、LEDを点灯させるためのLED願動回路は、一般に定電流で制御を行う。 従来のPWM制御を行う降圧型のLED駆動回路では、LEDがフローティングされており、LEDを流れる電流を検出するための電流検出部ではローサイド (GNDライン) 検出が不可能である。 このため、平均電流検出を行う時はLEDに流れる電流を直接に検出するフローティングされた電流検出回路が必要である。
しかしながら、フローティングされた電流検出回路を使用すると、電流検出回路と制御回路との間の耐圧を高くする必要があるので、フォトカプラ等により信号を絶緑する回路や高耐圧部品を採用しなければならず、高コストとなる問題がある。
本発明の課題は、入力電圧変動があっても平均電流制御を行うことができ、しかも簡単な構成で安価なLED点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のLED点灯装置は、直流電源と、前記直流電源の
両端にLEDとインダクタとスイッチング素子と電流検出抵抗とが直列に接続された直列
回路と、前記LEDと前記インダクタとの直列回路に並列に接続された回生ダイオードと

前記スイッチング子がオンの時の電流を検出する手段と、前記電流検出手段で得られ
た信号と所定の基準値とを比較して得た誤差信号を電流変換して制御電流とする電流増幅
器と、コンデンサと、前記スイッチング子がオンの時に前記制御電流をコンデンサに充
放電させるスイッチとを有し、
前記スイッチング素子をオンオフ制御し且つ前記コンデンサの電圧に基づき前記スイッ
チング子のオン期間の電流平均値が一定になるようにPWM制御して前記LEDに流れ
る電流を一定に制御するPWM制御回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係わるLED点灯装置によれば、スイッチング素子がオンの時の電流と、所定
の基準値とを比較して誤差信号を電流変換し、前記スイッチング子がオンの時に前記電
流変換された誤差信号でコンデンサを充放電し、PWM制御回路がコンデンサの電圧に基
づきスイッチング素子のオン期間の電流平均値が一定になるようにPWM制御してLED
に流れる電流を一定に制御するので、入力電圧変動があっても平均電流制御を行うことが
でき、しかも簡単な構成で安価なLED点灯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1のLED点灯装置の構成を示す回路図である。
図2】本発明の実施例1のLED点灯装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】本発明の実施例2のLED点灯装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態のLED点灯装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1のLED点灯装置の回路図である。図2は、本発明の実施例1のLED点灯装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。LED点灯装置は、負極が接地され電圧Vinを発生する直流電源VIN、直流電源VINの正極にアノードが接続され、電流ILEDが流れることにより発光する複数のLED(LEDs)、一端がLEDのカソードに接続されたインダクタL1、ドレインがインダクタL1の他端に接続されたスイッチング素子Q1、一端がスイッチング素子Q1のソースに接続され、他端が接地された電流検出抵抗R1を備える。
LEDとインダクタL1との直列回路に並列に回生ダイオードD1が接続され、回生ダイオードD1は、スイッチング素子Q1のオフ時にインダクタL1の蓄積エネルギーをLEDに放出する方向に接続される。
【0011】
スイッチング素子Q1のゲートには、スイッチング素子Q1のオン/オフを制御するPWM制御回路10のdriv端子が接続される。PWM制御回路10のsens端子には、スイッチング素子Q1のソースと電流検出抵抗R1とが接続され、PWM制御回路10のcomp端子には、位相補正用のコンデンサC2の一端が接続され、コンデンサC2の他端は接地されている。
PWM制御回路10は、電流検出用の電流増幅器OTA1、スイッチSW1、三角波発振器OSC1,コンパレータCP1、ドライバDRVを備える。
PWM制御回路10は、スイッチング素子Q1をオンオフ制御し、且つ、コンデンサC2の電圧に基づきスイッチング素子のオン期間の電流平均値が一定になるようにPWM制御してLEDに流れる電流を一定に制御する。
【0012】
本発明の定電流制御信号発生回路は、電流増幅器OTA1、基準電圧Vth1,スイッチSW1、コンデンサC2から構成されている。
電流増幅器OTA1の非反転入力端子には、sens端子を介してスイッチング素子Q1のソースと電流検出抵抗R1とが接続される。電流増幅器OTA1の反転入力端子には、基準電圧Vth1の正極が接続され、基準電圧Vth1の負極と抵抗R1の他端は接地されている。
comp端子には、スイッチSW1を介して電流増幅器OTA1の出力が接続され、且つコンデンサC2の一端が接続され、コンデンサC2の他端は接地されている。comp端子には、コンデンサC2を充放電するための制御電流Icompが流れる。即ち、スイッチング素子Q1のオン期間と同期させてスイッチSW1を導通させて、電流増幅器OTA1からの誤差信号電流を制御電流Icompとして、コンデンサC2を充電または放電する。
より詳しくは、図2(a)Icomp波形に示すように、電圧VdrivのHレベル期間の前半では、制御電流IcompによるコンデンサC2の充電が行われ、後半ではコンデンサC2の放電が行われる。コンデンサC2の充放電により、コンデンサC2には、制御電圧Vcompが発生する。
三角波発振器OSC1は、三角波信号を発生してコンパレータCP1の反転入力端子に出力する。コンパレータCP1は、三角波発振器OSC1からの三角波とcomp端子の制御電圧Vcompとを比較し、比較出力信号をドライバDRVに出力する。ドライバDRVは、電圧Vdrivをdriv端子を介してPWM信号としてスイッチング素子Q1のゲートに出力する。
即ち、LED点灯装置の定電流制御は、comp端子の制御電圧Vcompと三角波発振器OSC1からの三角波とを比較することで、driv端子から出力されるPWM信号のデューティーを制御することにより行われる。
また、制御電圧Vcompは、制御電流IcompとコンデンサC2の容量により応答速度が決定されるので、コンデンサC2の容量を調整することで、電流増幅器OTA1の利得を調整しなくても、定電流制御の位相補償を変更することが可能である。
【0013】
また、インダクタL1に流れる電流が連続モードの時、インダクタL1にエネルギーを蓄えている期間中の電流を検出することにより、スイッチング素子Q1がオフしている期間にインダクタL1のエネルギーが放出される期間中の電流も合わせて平均化することが可能となる。
図2は、LED点灯装置の動作を説明するためのタイミングチャートであって、図2(a)は直流電源VINの電圧Vinが低い入力時、図2(b)は直流電源VINの電圧Vinが高い入力時を示す。直流電源VINの電圧Vinが低い入力の場合には、図2(a)に示すように、PWM制御回路10のdriv端子から電圧Vdrivとして出力されるPWM信号のオン幅が長くなるように制御される。
【0014】
一方、電圧変動によって直流電源VINの電圧Vinが高くなると、図2(b)に示すように、PWM制御回路10のdriv端子から電圧Vdrivとして出力されるPWM信号のオン幅が短くなるように制御される。いずれの場合も、PWM信号の周期は一定である。これにより、電圧変動により入力電圧が変化しても、LEDに流れる電流ILEDが一定になるように制御される。
【0015】
このように本発明の実施例1のLED点灯装置によれば、従来のスイッチングオフ時に生じる損失と入力電圧変動に起因する発振周波数の変動によるスイッチング損失を回避しつつ、入力電圧変動があってもPWM制御による平均電流制御を行うことができる。
また、直流電源VINとドライバとなるスイッチング素子Q1との間に負荷であるLEDを接続し、直流電源VINから負荷を通ってドライバに流れこむ電流を制御するローサイド方式を採用し、ローサイド側でLEDの電流を検出するので、回路の簡素化が可能であるとともに、安価な部品を使用でき、コンデンサの容量変更で位相補償が得られ、簡単な構成で安価なLED点灯装置を提供できる。
【実施例2】
【0016】
図3は実施例2のLED点灯装置の構成を示す図である。実施例2のLED点灯装置1aは、ディミング信号電圧DIMを追加するとともに、PWM制御回路10aが実施例1のLED点灯装置1と異なる。
即ち、PWM制御回路10aは、実施例1のPWM制御回路10にAND回路AND1を追加し、dimm端子を設けている。
実施例2は、外部調光信号のディミング信号電圧DIMに応じてLED点灯装置1aのLEDの光出力を調光するものである。
【0017】
PWM制御回路10aは、実施例1のPWM制御回路10に対して、外部調光信号のディミング信号電圧DIMを接続するdimm端子が設けられている。ここで、PWM制御回路10aは、実施例1のPWM制御回路10に対して、dimm端子に一方の入力が接続されたAND回路AND1と、AND回路AND1の入出力が、コンパレータCP1の出力からドライバDRVの入力とスイッチSW1のオンオフ制御端子との間に接続されている点が異なる。
即ち、実施例2は、外部調光信号のディミング信号電圧DIMのパルス信号に応じて、AND回路1を介してコンパレータCP1からのPWM信号をオン/オフすることでLED点灯装置1aのLEDの光出力を調光するものである。
【0018】
このように本発明の実施例2のLED点灯装置1aによれば、従来のスイッチングオフ時に生じる損失と入力電圧変動に起因する発振周波数の変動によるスイッチング損失を回避しつつ、入力電圧変動があってもPWM制御による平均電流制御を行い、かつ、外部調光信号のディミング信号に基づきLEDの光出力を調光することができる。
また、実施例1のPWM制御回路にAND回路AND1の追加のみで外部調光を可能とし、回路の簡素化が可能であるとともに、安価な部品を使用でき、簡単な構成で安価なLED点灯装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、LEDを利用した照明器具、照明システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0020】
1、1a LED点灯装置
10、10a PWM制御回路
VIN 直流電源
Q1 スイッチング素子
R1 電流検出抵抗
D1 回生ダイオード
LEDs 発光ダイオード
L1 インダクタ
OTA1 電流増幅器
CP1 コンパレータ
OSC1 三角波発振器
AND1 AND回路
DRV ドライバ
SW1 スイッチ
C1,C2 コンデンサ
図1
図2
図3