(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、導電性微粒子(C)、ならびに窒素、リン、および硫黄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの元素を含む官能基を有する化合物(D)を含有し、
前記熱硬化性樹脂(A)は、カルボキシル基を有し、かつ酸価が5〜40mgKOH/gであり、
前記化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物、リン酸およびビスフェノールS型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくともいずれかであり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物である、導電性接着シート。
前記官能基が、アミノ基、リン酸基、メルカプト基、スルフィド基、およびスルホニル基からなる群から選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の導電性接着シート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明で用いる用語を説明する。シートは、フィルムおよびテープと同義語である。また被着体とは、導電性接着シートを貼り付ける相手方をいう。
【0014】
本発明の導電性接着シートは、熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、導電性微粒子(C)、ならびに窒素、リン、および硫黄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの元素を含む官能基を有する化合物(D)を含有し、
前記化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物、リン酸およびビスフェノールS型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくともいずれかであり、かつ前記熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物である。
前記導電性接着シートは、さらに絶縁層を備えることで電磁波シールドシートとして使用することが好ましい。
【0015】
本発明において熱硬化性樹脂(A)は、カルボキシル基を有することが好ましい。前記カルボキシル基は、熱硬化性樹脂(A)分子の主鎖および側鎖の少なくともいずれかに有すればよい。前記熱硬化性樹脂(A)の分子構造は、線状、櫛状および星状のいずれの構造でも良い。
前記熱硬化性樹脂(A)は、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、アクリル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア、およびセルロース等が挙げられる。なお、熱硬化性樹脂(A)は、さらに水酸基、およびアミノ基等の他の反応性官能基を有してもよい。
熱硬化性樹脂(A)は、単独または2種類以上併用できる。
【0016】
熱硬化性樹脂(A)の酸価は、5〜40mgKOH/gが好ましく、7〜30mgKOH/gがより好ましい。5mgKOH/g以上になることで導電性接着シートの凝集力が向上する。また40mgKOH/g以下になることで被着体への優れた濡れ性を示し、接着力がより向上する。
【0017】
本発明において硬化剤(B)は、熱硬化性樹脂(A)の反応性官能基と反応可能な官能基を複数有する化合物である。
硬化剤(B)は、エポキシ硬化剤、オキセタン硬化剤、ビニルエーテル硬化剤、ポリカルボジイミド硬化剤、アジリジン硬化剤、イソシアネート硬化剤、酸無水物基含有化合物、および金属キレート硬化剤等が好ましい。これらの中でも熱硬化性樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合は、エポキシ硬化剤、オキセタン硬化剤、アジリジン硬化剤がより好ましい。また、熱硬化性樹脂(A)が水酸基を含有する場合は、イソシアネート硬化剤や酸無水物基含有化合物等がより好ましい。
【0018】
前記エポキシ硬化剤は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロルヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特開2001−240654号公報に開示されているジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、エチレングリコール・エピクロルヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物が挙げられる。
【0019】
前記オキセタン硬化剤は、例えば、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、(2−エチル−2−オキセタニル)エタノールとテレフタル酸とのエステル化物、(2−エチル−2−オキセタニル)エタノールとフェノールノボラック樹脂とのエーテル化物、(2−エチル−2−オキセタニル)エタノールと多価カルボン酸化合物とのエステル化物等が挙げられる。
【0020】
前記ビニルエーテル硬化剤は、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシルシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性レゾルシンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジペンタエリスリトールポリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等が挙げられる。
【0021】
前記ポリカルボジイミド硬化剤は、日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
【0022】
前記アジリジン硬化剤は、例えば2,2'−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4'−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
硬化剤(B)は、単独または2種類以上併用できる。
【0023】
硬化剤(B)は、熱硬化性樹脂(A)の反応性官能基1モルに対して、硬化剤(B)の反応性官能基が0.5〜4モルになる比率で配合することが好ましい。なお、硬化剤(B)の種類を複数配合する場合(例えば、エポキシ硬化剤とイソシアネート硬化剤の併用)は、全硬化剤を合計した官能基比率が前記範囲内であれば良い。なお、硬化剤は、熱硬化性樹脂のカルボキシル基1モルに対して、1〜2.5モルを配合することがより好ましい。また、硬化剤(B)は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して約1〜50重量部程度を配合することが好ましく、約5〜30重量部程度がより好ましい。
【0024】
本発明において導電性微粒子(C)は、金、白金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、錫およびインジウム等、ならびにこれらの合金が好ましい。また、前記導電性微粒子(C)は、核体および前記核体の表面を覆う被覆層を備えた微粒子(被覆型導電性微粒子という)であっても良い。
【0025】
被覆型導電性微粒子の核体は、例えば、金、プラチナ、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、錫及びインジウム等ならびにこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも価格と導電性の面から銅が好ましい。
【0026】
被覆型導電性微粒子の被覆層は、核体とは異なる導電性物質を使用する。前記導電性物質は、酸化または分解し難い等化学的に安定性が高い物質(金属または導電性ポリマー)が好ましい。前記金属は、金、銀、白金、錫、インジウム、アンチモン、ビスマス、鉛、及びその合金等が好ましい。また前記導電性ポリマーは、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられる。これらの中でも導電性が優れている金または銀が好ましい。
【0027】
導電性物質は、前記核体100重量部に対して、1〜40重量部の割合で被覆層を形成することが好ましく、5〜20重量部がより好ましい。前記範囲の導電性物質で核体を被覆すると、例えば銀で銅核体を被覆した場合、導電性を維持しながら導電性微粒子の価格をより低減できる。
【0028】
前記被覆型導電性微粒子は、核体を導電性物質で完全に被覆することが好ましい。しかし、実際には、核体の一部が前記被覆型導電性微粒子表面に露出する場合がある。このような場合でも核体表面の70%以上を導電性物質が被覆していれば(被覆率という)、導電性を維持しやすい。なお被覆率は90%以上がより好ましい。
【0029】
前記被覆率は以下の方法を用いて測定した値である。まず、測定台上に両面粘着テープを貼り、両面粘着テープ上に導電性微粒子を落とした後、エアーで余分な前記導電性微粒子を飛ばした。そして、X線光電子分光分析装置(ESCA AXIS−HS、島津製作所社製)を使用して導電性微粒子の異なる場所(5箇所)を測定した。そして、解析ソフト(Kratos社製)により被覆層原子、核体原子及び他の原子のピーク面積の合計から算出した被覆層原子の質量濃度%の平均値を被覆率とする。
【0030】
導電性微粒子(C)の形状は、所望の導電性が得られれば良いため限定されない。形状は、例えば球状、フレーク状、葉状、樹枝状、プレート状、針状、ブドウ状が好ましい。この中でも、少量の添加量で高い導電性が得られるフレーク状、葉状、および樹枝状がより好ましい。なお、葉状の導電性微粒子とは、外縁形状に切れ込み及び分岐葉の少なくとも一方が複数形成されている微粒子をいう。また、フレーク状の導電性微粒子とは、外縁形状に切れ込み及び分岐葉を有しない微粒子をいう。
【0031】
導電性微粒子(C)の平均粒子径は、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。平均粒子径が1〜100μmの範囲内にあることで、導電性がより向上した。なお、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS 13320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、各導電性微粒子を測定して得たD50平均粒子径であり、微粒子の積算値が50%である粒度の直径の平均粒子径である。なお、前記測定は、微粒子の屈折率を1.6に設定した。
【0032】
導電性微粒子(C)は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、50〜1500重量部を配合することが好ましく、100〜1000重量部がより好ましい。50〜1500重量部配合する事で、導電性と接着性を両立しやすくなる。
【0033】
本発明に用いられる窒素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む官能基を有する化合物(D)(以下、化合物(D)という)は、金属やポリイミド等に対する接着力を向上させるために添加する。前記官能基は、窒素、リンまたは硫黄の原子の非共有原子対が、例えば金属表面上の金属原子に対して配位結合を形成する。この配位結合より金属等に対する接着力が向上する。なお、化合物(D)は、熱硬化性樹脂(A)および前記硬化剤(B)以外の化合物である。
【0034】
前記化合物(D)の官能基は、具体的には、アミノ基、リン酸基、メルカプト基、スルフィド基、およびスルホニル基等が好ましい。前記官能基の中でも少量の添加で大きな効果を得る事が出来る面からメルカプト基が特に好ましい。
化合物(D)は、シランカップリング剤、シリル化合物、リン酸およびビスフェノールS型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくともいずれかである。前記化合物(D)は上記の特徴を有すればよく限定されないが、例を挙げると下記の通りである。
アミノ基を有する化合物(D)は、シランカップリング剤等が好ましい。具体的には、例えばN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあげられる。
リン酸基を有する化合物(D)は、リン酸等が好ましい。具体的には、例えばモノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物(D)は、シランカップリング剤等が好ましい。具体的には、例えば3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
スルフィド基を有する化合物(D)は、シリル化合物等が好ましい。具体的には、例えばビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
スルホニル基を有する化合物(D)は、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が好ましい。
【0035】
化合物(D)の分子量は、式量100〜2000が好ましく、150〜1000がより好ましい。100〜2000の範囲にあることで、接着力がより向上する。
【0036】
化合物(D)は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部を配合することが好ましく、1〜10重量部がより好ましい。0.1重量部以上を配合することで接着力がより向上する。また、20重量部以下を配合することで耐熱性および導電性と両立しやすくなる
【0037】
本発明の導電性接着シートは、任意成分として耐熱安定剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤等を配合することができる。
例えば耐熱安定剤を配合すると樹脂の分解を抑制できるため耐熱性がより向上する。具体的には、ヒンダートフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物、イオウ系化合物等が好ましく、ヒンダートフェノール系化合物がより好ましい。
【0038】
本発明の導電性接着シートは、熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)、導電性微粒子(C)、および化合物(D)を含む組成物を剥離性シート上に塗工することで形成できる。なお、導電性接着シートの剥離性シートと接していない面は、使用する直前まで他の剥離性シートを貼り合わせることでゴミ、ホコリ等異物の付着を防止できる。
【0039】
前記塗工は、公知の塗工方法を使用できる。具体的には、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピコート方式、およびディップコート方式等が好ましい。また、塗工後、必要に応じて乾燥工程を行う。前記乾燥は、熱風オーブンおよび赤外線ヒーター等公知の乾燥機を使用できる。
【0040】
前記導電性接着シートの厚みは3〜70μmが好ましく、5〜65μmの範囲がより好ましい。
【0041】
本発明の導電性接着シートの使用方法は、例えば、FPCのポリイミド基材面、導電性接着シート、導電性補強板の順に仮貼りし積層する。次いで前記積層体を高温で加熱し、硬化することで優れた接着強度および耐熱性を有するプリント配線板が得られる。
前記加熱は温度130〜210℃が好ましく、140〜200℃がより好ましい。加熱の際に加圧することができるが、その圧力は、2〜120kg/cm
2が好ましく、3〜100kg/cm
2がより好ましい。
【0042】
前記プリント配線板は、フレキシブルプリント配線板、リジッドフレキ配線板、リジッド配線板等が好ましい、フレキシブルプリント配線板は少なくとも配線回路と絶縁性基材を備えており、グランド回路を備えることがより好ましい。
前記絶縁性基材は耐熱性の点から、フレキシブルプリント配線板の場合はポリイミドおよび液晶ポリマー等、リジッド基板の場合はガラスエポキシが一般的である。
【0043】
前記導電性補強板は、導電性の金属およびその合金が好ましい。具体的にはステンレス板、アルミニウム板などが挙げられる。
【0044】
本発明の導電性接着シートは、導電性が必要な用途に使用できる。具体的には、貼り合わせる補強板が導電性材料の場合、FPCのグランド回路と電気的な接続を取ることで、その導電性材料がシールド層として機能させることができる。本発明の使用例は、タッチパネル等の液晶ディスプレイ等、これらを組み込んだ携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等に使用できる。
【0045】
本発明の電磁波シールドシートは、前記導電性接着シートと絶縁層を備えている。なお、前記導電性接着シートは、電磁波シールドシートに使用する場合、導電性接着剤層ということがある。
【0046】
前記絶縁層(E)は、熱硬化性樹脂と硬化剤を含む絶縁性樹脂組成物から形成する。
【0047】
前記熱硬化性樹脂は、前記熱硬化性樹脂(A)で説明した樹脂を使用できる。
【0048】
前記硬化剤は、前記硬化剤(B)で説明した硬化剤を使用できる。
【0049】
前記絶縁性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、および難燃剤等を含むことができる。
【0050】
前記絶縁層(E)は、本発明の導電性接着シートと同様の方法で形成できる。
絶縁層(E)の厚さは、2〜20μmが好ましく、4〜18μmがより好ましい。2〜20μmの範囲であることで絶縁性と屈曲性を両立し易くなる。
【0051】
本発明の電磁波シールドシートの製造方法の一例を示す。まず、導電性接着シートの一方の剥離性シートを剥がし、露出した面に、絶縁層(E)を貼り合わせることで製造できる。または、導電性接着剤層(導電性接着シート)上に、絶縁性樹脂組成物を塗工して絶縁層(E)を形成することで製造することもできる。
【0052】
本発明の電磁波シールドシートは、導電性接着シート(導電性接着剤層)と絶縁層の間に金属層を含むことが出来る。係る場合、導電性接着シートは異方導電性を有することが好ましい。なお、異方導電性とは電磁波シールドシートの厚さ方向のみに導電性を有し、電磁波シールドシートの面方向には導電性を有さないことをいう。この異方導電性は例えば球状の導電性微粒子を使用すれば容易に達成し得る。
【0053】
前記金属層とは、金、銀、銅、鉄、アルミニウムおよびニッケル等の金属ないしその合金の金属箔、ITOやATOを蒸着またはスパッタリングして形成した金属層、銀ペースト等の導電性ペーストを塗工し形成した金属層等が好ましい。前記金属層は、メッシュやパンチングにより穴が空いた形状にすることで水蒸気透過性を付与できる。
金属層の厚さは0.001〜20μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましい。
【0054】
導電性ペーストを塗工する方法は、前記導電性接着シートで説明した塗工方法を使用できる。
【0055】
本発明の電磁波シールドシートは、導電性接着シート面をフレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板、リジッドフレキシブル配線板等に貼り付けて加熱圧着することで、電磁波シールド層として使用できる。加熱圧着の一般的な条件は、温度は150〜170℃、圧力は10〜60kg/cm
2、時間はおよそ30〜60分間程度を目安に製造工程に応じて適宜選択できる。本発明の電磁波シールドシートを組み込んだプリント配線板は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、パソコン、タブレット端末、LED照明、有機EL照明、液晶テレビ、有機ELテレビ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、自動車などの車載部品等に使用することができる。
【0056】
本発明の電磁波シールドシートは、上記配線板用途以外、電子部品・電子機器の匡体に直接貼り付けて使用することもできる。また、船舶および航空機等の移動体、ならびに建築物でも使用できる。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、部は重量部、%は重量%を意味する。
【0058】
<重量平均分子量(Mw)>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、なお重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンに換算した。
【0059】
<熱硬化性樹脂(A)の合成>
[合成例1:ウレタンウレア樹脂]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、アジピン酸、テレフタル酸および3−メチル−1,5−ペンタンジオールを使用してエステル化したジオール(数平均分子量(以下、「Mn」という)=1006)414部、ジメチロールブタン酸8部、イソホロンジイソシアネート145部、ならびにトルエン40部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で3時間反応させた。次いで、トルエン300部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。次に、別途イソホロンジアミン27部、ジ−n−ブチルアミン3部、2−プロパノール342部、及びトルエン576部を混合した溶液に、得られたウレタンプレポリマーの溶液816部を添加し、70℃で3時間反応させた後、冷却を行った。さらにトルエン144部、2−プロパノール72部を加えて混合することで不揮発分30%のポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)溶液を得た。なお樹脂(A−1)は、Mw=54,000、酸価5mgKOH/gであった。
【0060】
[合成例2:アクリル樹脂]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にメチルエチルケトン50部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら溶液温度が80℃になるまで加熱した。別途、滴下槽にメタクリル酸0.8部、nーブチルメタクリレート70.1部、ラウリルメタクリレート29.1部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を仕込み、反応容器に前記混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応を継続した後、アゾビスイソブチロニトリル1部をメチルエチルケトン50部に溶解した混合物を添加し、さらに80℃で1時間反応を継続した後、室温まで冷却した。次いで適量のメチルエチルケトンで希釈することで不揮発分50%のカルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A−2)溶液を得た。なお樹脂(A−2)は、Mw=34000、酸価5mgKOH/g、Tg−11℃であった。
【0061】
[合成例3:ウレタンイミド樹脂]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、3−メチル−1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを9/1(モル比)で反応させて得たポリカーボネートジオール(水酸基価56mgKOH/g)135部、イソホロンジイソシアネート25.5部、トルエン80部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて前記反応容器に、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部を投入し、100℃で3時間反応を行うことでウレタンプレポリマーを合成した。次いで、反応容器にさらにシクロヘキサノン80部、無水ピロメリット酸13部を投入し、90℃で1時間反応を行った後、ジメチルベンジルアミン2部を添加して135℃に昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、室温に冷却し適量のメチルエチルケトンで希釈することで不揮発分50%のカルボキシル基を含有するウレタンイミド樹脂(A−3)溶液を得た。なお樹脂(A−3)は、Mw=39000、酸価25mgKOH/g、Tg17℃であった。
【0062】
[合成例4:フェノキシ樹脂]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ビスフェノールA91.3部、ビスフェノールA型エポキシ化合物80.5部、エポキシ当量268g/eqのポリエチレングリコールジグリシジルエーテル84.1部、触媒としてトリフェニルホスフィン1.25部、N,N−ジメチルベンジルアミン1.25部、トルエン170部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃まで加熱し、110℃を維持しつつ8時間反応を行うことでヒドロキシル基含有樹脂を得た。次に、前記反応容器に酸無水物としてテトラヒドロ無水フタル酸10.9部、トルエン7部を投入し、110℃を維持して4時間反応を行った。反応終了後、室温に冷却し適量のメチルエチルケトンで希釈することで不揮発分50%のカルボキシル基を含有するフェノキシ樹脂(A−4)溶液を得た。なお樹脂(A−4)は、Mw=25000、酸価15mgKOH/g、Tg3℃であった。
【0063】
[合成例5:ポリエステル樹脂]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸および3−メチル1,5−ペンタンジオールから合成したポリエステルポリオール(水酸基価57.5)113.5部、無水ピロメリット酸11.5部、N,N−ジメチルベンジルアミン1.25部、メチルエチルケトン80部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら昇温し80℃で8時間反応を行った。反応終了後、室温に冷却し適量のメチルエチルケトンで希釈することで不揮発分50%のカルボキシル基を含有するポリエステル樹脂を得た。なお、前記樹脂は、Mw=40000、酸価30mgKOH/g、Tg18℃であった。
【0064】
[合成例6:アミド樹脂]
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、酸価194KOHmg/gのダイマー酸104.1部、ノルボルナンジアミン25.2部を仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したところで110℃まで加熱し、脱水反応を確認した30分後に温度を120℃になるまで加熱した。その後、30分間で10℃の割合で温度上昇するように230℃まで加熱を行うことで脱水反応を継続した。230℃に到達後、その温度を維持して3時間反応を継続した。次いで減圧を行い約2kPaの真空を1時間維持した後、冷却を行った。そして適量のトルエンおよびイソプロピルアルコールで希釈することで不揮発分50%のカルボキシル基を含有するアミド樹脂を得た。なお前記樹脂は、Mw=15000、酸価18mgKOH/g、Tg17℃であった。
【0065】
<導電性接着シートの作製>
(実施例1)
合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)溶液の不揮発分100部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER1001」)20部、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン5部を加え、更に、導電性微粒子としての樹樹枝状の銀コート銅粉(平均粒子径12μm)260部を加えディスパーで攪拌混合することで導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物を、バーコーターを使用して剥離性フィルム(厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)に塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、乾燥膜厚が10μmの導電性接着シート1を作製した。
なお銀コート銅粉は、電解法で製造した樹枝状銅粉に対して銀メッキを行い、核体である樹枝状銅粉100部に対して10部の銀被覆層を形成し銀コート銅粉を得た。
【0066】
(実施例2)
導電性樹脂組成物を塗工した乾燥膜厚を20μmに変えた以外を実施例1と同様に行うことで導電性接着シート2を作製した。
【0067】
(実施例3)
導電性樹脂組成物を塗工した乾燥膜厚を40μmに変えた以外を実施例1と同様に行うことで導電性接着シート3を作製した。
【0068】
(実施例4)
導電性樹脂組成物を塗工した乾燥膜厚を60μmに変えた以外を実施例1と同様に行うことで導電性接着シート3を作製した。
【0069】
(実施例5〜20、比較例1〜4)
原料およびその配合量を表1および表2に記載した通りに変更した以外は、実施例3と同様に行うことで導電性接着シート5〜24を作成した。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表1および表2中の略号は次の通りである。
A−1:ウレタンウレア樹脂
A−2:アクリル樹脂
A−3:ウレタンイミド樹脂
A−4:フェノキシ樹脂
A−5:ポリエステル樹脂
A−6:アミド樹脂
B−1:ビスフェノールA型エポキシ硬化剤(三菱化学(株)製「jER1001」)
B−2:エポキシ硬化剤(三菱化学(株)製「jER1031S」)
B−3:エポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製「テトラッドX」)
C−1:平均粒子径12μmの銀コート銅粉 (核体:樹枝状)
C−2:平均粒子径7μmの銀コート銅粉 (核体:フレーク状かさ密度0.5g/cm
3、)
D−1:3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン
D−2:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
D−3:ビスフェノールS型エポキシ樹脂(ナガセケムテック(株)製、「デナコールEX−251」)
D−4:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
D−5:3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン
D−6:ビニルトリエトキシシラン
【0073】
(1)接着強度
導電性接着シートのポリイミドに対する接着強度を測定した。まず導電性接着シートを幅10mm・長さ100mmの大きさに準備し剥離性シートを剥がして試料とした。前記試料を厚さ40μmの銅張積層板(「エスパーフレックス」住友金属鉱山社製)のポリイミド面と厚さ200μmのステンレス板(SUS304)との間に挟み、170℃、2MPa、5分の条件で圧着処理をした後、160℃の電気オーブンで60分加熱を行い「銅張積層板/導電性接着剤層/SUS板」の積層体を得た。前記積層体について、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度50mm/minで90°ピール剥離試験をおこない、接着強度(N/cm)を測定した。なお結果は、以下の基準で評価した。
◎:「10(N/cm)<接着強度」
○:「5(N/cm)<接着強度≦ 10(N/cm)」
△:「3(N/cm)<接着強度≦5(N/cm)」
×:「接着強度≦3(N/cm)」
【0074】
また、導電性接着シートの金に対する接着強度を測定した。銅張積層板を銅表面が無電解金メッキされた銅張積層板に換え、金メッキ面と導電性接着シートが接するように重ねた以外は、ポリイミドに対する接着強度の測定と同様に行うことで、接着強度(N/cm)を測定した。なお、評価基準を前記と同様である。
【0075】
また、導電性接着シートの銅に対する接着強度を測定した。銅張積層板のポリイミド面に換えて銅面と導電性接着シートが接するように重ねた以外は、ポリイミドに対する接着強度の測定と同様に行うことで、接着強度(N/cm)を測定した。なお、評価基準を前記と同様である。
【0076】
(2)耐熱性
前記ポリイミドとの接着強度の測定で使用した積層体と同じ積層体を作成した。次いで前記積層体をステンレス板面を下にして260℃の溶融ハンダに1分間浮かべた。溶融ハンダから取り出した積層体の導電性接着剤層の外観を目視で確認し、次の基準で評価した。なお評価には、5サンプルを使用した。
○:5サンプルとも気泡が発生せず、接着状態に異常が無かった。優れている
△:3〜4サンプルに気泡が発生せず、接着状態に異常が無かった。実用可
×:2サンプル以下に気泡が発生せず、接着状態に異常が無かった。実用不可
【0077】
(3)表面抵抗値
導電性接着シートを幅50mm・長さ80mmの大きさに準備し、導電性接着剤層に剥離性シートをラミネートした。前記ラミネート物を厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)で挟みこみ、「ポリイミドフィルム/剥離性シート/導電性接着剤層/剥離性シート/ポリイミドフィルム」の積層体を得た。前記積層体を170℃ m 、2MPa、5分の条件で圧着処理をし、160℃の電気オーブンで60分加熱処理した。得られた導電性接着剤層について、抵抗率計(三菱化学(株)「ロレスターGP MCP−T600」)を用い、4端子法で表面抵抗値を測定した。
◎:表面抵抗値≦50mΩ/□
○:50mΩ/□<表面抵抗値≦200mΩ/□
△:200mΩ/□<表面抵抗値≦500mΩ/□
×:表面抵抗値>500mΩ/□
【0078】
(4)接続抵抗値 初期値の評価
幅20mm・長さ50mmの大きさの導電性接着シートから剥離性シートを剥がし、露出した導電性接着剤層を、別に作製したフレキシブルプリント配線板(厚み12.5μmのポリイミドフィルム1上に、厚み18μmの銅箔からなり、電気的に接続されていない回路2A 、および回路2Bが形成されており、回路2A上に、接着剤付きの厚み37.5μm、直径1.6mmのスルーホール4を有するカバーフィルム3が積層されてなる配線板、
図1の(1)) と、厚み3mmのステンレス板7との間に挟み、160℃、2MPaの条件で1時間圧着処理を行い、導電性接着シートを貼り付けて測定試料(
図1の(4))を作製した(
図1参照)。この測定試料(
図1の(4))の回路2Aと回路2B間の抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の4探針プローブを用いて測定し、以下の基準で初期値を評価した。
◎:接続抵抗値≦50mΩ
○:50mΩ<接続抵抗値≦200mΩ
△:200mΩ<接続抵抗値≦500mΩ
×:接続抵抗値>500mΩ
【0079】
(5)耐湿熱信頼性
前記(4)で評価が終わった後の測定試料を、85℃相対湿度85%の雰囲気下で500時間静置した後、回路2Aと回路2B間の抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の4探針プローブを用いて測定し、85℃85%RH 500h後の値とした。(85℃85%RH 500h後の値)/(初期値)×100を抵抗値変化率と定義し、以下の基準で評価を行った。
◎:抵抗値変化率≦150%
○:150%<抵抗値変化率≦300%
△:300%<抵抗値変化率≦500%
×:抵抗値変化率>500%
【0080】
得られた結果を表3および表4に記載する。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
<電磁波シールドシートの作製>
(実施例21)
合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)溶液の不揮発分100.0部に対して、顔料として市販のカーボンブラック14.8部とメチルエチルケトンを加えて、不揮発分を30.0%に調製した。前記溶液を10分間攪拌した後にガラスビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で30分間分散することで分散液1を得た。得られた分散液中の樹脂(A−1)100.0部に対して硬化剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER1001」)20部を加えてディスパーで攪拌混合し、絶縁性樹脂組成物を得た。得られた絶縁性樹脂組成物を、バーコーターを使用して剥離性フィルムに塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、乾燥膜厚が10μmの絶縁層を作製した。得られた絶縁層と導電性接着シート4をロール式ラミネーターで貼り合わせることで電磁波シールドシート1を得た。
【0084】
(実施例22〜26)
原料を表5、表6のように変更した以外は、実施例21と同様に行い、電磁波シールドシート2〜6を作成した。
【0085】
(実施例27)
実施例1で使用した樹枝状の銀コート銅粉に換えて、球状の銀コート銅粉(平均粒子径5.4μm、銀被覆層(核体の銅100部に対して10重量部、三井金属鉱業(株)製「ACFY−2」)150部を使用した以外は実施例1と同様に行い、乾燥膜厚が10μmの導電性接着シート25を作製した。
次いで合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)溶液の不揮発分100.0部に対して、顔料として市販のカーボンブラック14.8部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分が30.0%に調製した。この溶液を10分間攪拌した後にガラスビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で30分間分散することで分散液1を得た。得られた分散液中の樹脂(A−1)100.0部に対して硬化剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER1001」)20部を加えてディスパーで攪拌混合し、絶縁性樹脂組成物を得た。得られた絶縁性樹脂組成物を、バーコーターを使用して厚さ50μmの剥離性フィルム上に塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、乾燥膜厚が5μmの絶縁層を作製した。得られた絶縁層、厚さ9μmの電解銅箔、および導電性接着シート25を重ね、ロール式ラミネーターで貼り合わせることで電磁波シールドシート7を得た。
【0086】
(比較例5)
合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)溶液の不揮発分100.0部に対して、顔料として市販のカーボンブラック14.8部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分が30.0%に調製した。この溶液を10分間攪拌した後にガラスビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で30分間分散することで分散液1を得た。得られた分散液中の樹脂分100.0部に対して硬化剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER1001」)20部を加えてディスパーで攪拌混合し、絶縁性樹脂組成物を得た。得られた絶縁性樹脂組成物を、バーコーターを使用して厚さ50μmの剥離性フィルムに塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、乾燥膜厚が10μmの絶縁層を作製した。得られた絶縁層と導電性接着シート21をロールラミネートで貼り付けて電磁波シールドシート8を得た。
【0087】
(比較例6)
合成例1で得られたポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)溶液の不揮発分100部に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER1001」)20部を加え、前記球状の銀コート銅粉150部を加えてディスパーで攪拌混合し、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物を、バーコーターを使用して厚さ75μmの剥離性フィルムに塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、乾燥膜厚が10μmの導電性接着シート31を作製した。
合成例1で得られた熱硬化性樹脂(A−1)溶液の不揮発分100.0部に対して、顔料として市販のカーボンブラック14.8部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分が30.0%に調製した。この溶液を10分間攪拌した後にガラスビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で30分間分散することで分散液を得た。得られた分散液中の樹脂分100.0部に対して硬化剤として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER1001」)20部を加えてディスパーで攪拌混合し、絶縁性樹脂組成物を得た。得られた絶縁性樹脂組成物を、バーコーターを使用して厚さ50μmの剥離性フィルムに塗工し、100℃で2分間加熱乾燥して、乾燥膜厚が5μmの絶縁層を作製した。得られた絶縁層、厚さ9μmの電解銅箔、導電性接着シート31を重ね、ロール式ラミネーターで貼り合わせることで電磁波シールドシート9を得た。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
(6)接着強度
電磁波シールドシートのポリイミドに対する接着強度を測定した。まず電磁波シールドシートを幅10mm・長さ100mmの大きさに準備し、導電性接着シート(導電性接着剤層)側の剥離性シートを剥がして試料とした。前記試料の導電性接着剤層を厚さ75μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン300H」)にロール式ラミネートで貼り付けた。次いで、絶縁層側の剥離性シートを剥離し、厚さ25μmの接着シートを用いて厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン200EN」)と貼り合わせた。その後、試料を保護するため2枚の厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)との間に挟み、150℃、2MPa、30分の条件で圧着処理を行い「75μmポリイミド/電磁波シールドシート/25μm接着シート/50μmポリイミドフィルム」の積層体を得た。前記積層体について、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度50mm/minで90°ピール剥離試験をおこない、接着強度(N/cm)を測定した。なお結果は以下の基準で評価した。
◎:「10(N/cm)<接着強度」
○:「5(N/cm)<接着強度≦ 10(N/cm)」
△:「3(N/cm)<接着強度≦5(N/cm)」
×:「接着強度≦3(N/cm) 」
【0091】
また、電磁波シールドシートの金に対する接着強度を測定した。電磁波シールドシートを幅10mm・長さ100mmの大きさに準備し導電性接着剤層側の剥離性シートを剥がして試料とした。前記試料の導電性接着剤層を銅表面に金メッキが形成された厚さ60μmの銅張積層板の金メッキ面にロール式ラミネートで貼り付けた。次いで前記試料の絶縁層側の剥離性シートを剥離し、厚さ25μmの接着シートを用いて厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン200EN」)と貼り合わせた。その後、試料を保護するため2枚の厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)との間に挟み、150℃、2MPa、30分の条件で圧着処理を行い「金メッキ銅張積層板/電磁波シールドシート/25μm接着シート/50μmポリイミドフィルム」の積層体を得た。前記積層体について、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度50mm/minで90°ピール剥離試験をおこない、接着強度(N/cm)を測定した。なお評価基準は前記と同様である。
【0092】
また、電磁波シールドシートの銅に対する接着強度を測定した。電磁波シールドシートを幅10mm・長さ100mmの大きさに準備し導電性接着剤層側の剥離性シートを剥がして試料とした。前記試料の導電性接着剤層を厚さ40μmの銅張積層板の銅面にロール式ラミネートで貼り付けた。次いでm絶縁層側の剥離性シートを剥離し、厚さ25μmの接着シートを用いて厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン200EN」)と貼り合わせた。その後、試料を保護するため2枚の厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)との間に挟み、150℃、2MPa、30分の条件で圧着処理を行い「銅張積層板/電磁波シールドシート/25μm接着シート/50μmポリイミドフィルム」の積層体を得た。前記積層体について、23℃相対湿度50%の雰囲気下で、引っ張り速度50mm/minで90°ピール剥離試験をおこない、接着強度(N/cm)を測定した。なお評価基準は前記と同様である。
【0093】
(7)表面抵抗値
電磁波シールドシートを幅50mm・長さ80mmの大きさに準備し、厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)で挟みこみ、150℃ m 、2MPa、30分の条件で圧着処理をした。得られた電磁波シールドシートの導電性接着シート側の剥離性シートを剥離し、導電性接着剤層について抵抗率計(三菱化学(株)「ロレスターGP MCP−T600」)を用い、4端子法で表面抵抗値を測定した。
◎:表面抵抗値≦100mΩ/□
○:100mΩ/□<表面抵抗値≦300mΩ/□
△:300mΩ/□<表面抵抗値≦600mΩ/□
×:表面抵抗値>600mΩ/□
【0094】
(8)接続抵抗値
電磁波シールドシートを幅20mm・長さ50mmの大きさに準備し導電性接着剤層側の剥離性シートを剥離し、別に作製したフレキシブルプリント配線板(厚み12.5μmのポリイミドフィルム1上に、厚み18μmの銅箔からなり、電気的に接続されてはいない回路2Aおよび回路2Bが形成されており、回路2A上に、接着剤付きの厚み37.5μm、直径1.6mmのスルーホール4を有するカバーフィルム3が積層されてなる配線板。
図2の(1)参照)に導電性接着剤層をロール式ラミネートで貼り付けた。次いでサンプルを保護するため、絶縁層側の剥離性シートを剥がし、露出した絶縁層に25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)「カプトン500H」)を重ね、150℃、2MPa、30分圧着処理を行い、測定試料(
図2の(4)参照)を作製した 。この試験片測定試料の回路2Aと回路2B間の接続抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の4探針プローブを用いて測定した。なお評価基準は前記と同様である。なお評価基準は下記の通りである。
◎:接続抵抗値≦100mΩ
○:100mΩ<接続抵抗値≦300mΩ
△:300mΩ<接続抵抗値≦600mΩ
×:接続抵抗値>600mΩ
【0095】
(9)耐湿熱信頼性
前記(8)評価が終わった後の測定試料を、85℃相対湿度85%の雰囲気下で500時間静置した後、回路2Aと回路2B間の抵抗値を三菱化学製「ロレスターGP」の4探針プローブを用いて測定し、85℃85%RH 500h後の値とした。(85℃85%RH 500h後の値)/(初期値)×100を抵抗値変化率と定義し、以下の基準で評価を行った。なお評価基準は前記と同様である。
【0096】
得られた結果を表7および表8に記載する。
【0097】
【表7】
【0098】
【表8】