【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の送風機1の実施例1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。なお、図示例では送風機1の駆動軸2がモータ3から右側へ延出しているので、これに合わせて、以下において、
図1における右側を軸方向先端側、左側を軸方向基端側ということがある。
【0022】
本実施例の送風機1は、第一ケーシング4に収容される第一インペラ5と、第二ケーシング6に収容される第二インペラ7と、これらインペラ5,7を回転させるモータ3とを備える。各インペラ5,7は、共通の駆動軸2に固定され、同一のモータ3で回転される。駆動軸2は、本実施例ではモータ3の出力軸である。
【0023】
第一インペラ5は、駆動軸2の軸方向先端部に設けられ、第二インペラ7は、第一インペラ5よりも駆動軸2の軸方向基端側に設けられる。詳細は後述するが、本実施例では、第一インペラ5の主板8の背面に第二インペラ7が設けられる。また、本実施例では、第一ケーシング4と第二ケーシング6とは、隔壁9を境に一体に形成されているが、別体に形成されてもよい。さらに、各ケーシング4,6は、複数の部材で構成されてもよい。この場合において、前記隔壁9は、第一ケーシング4および/または第二ケーシング6の一部として構成することができる。
【0024】
第一インペラ5は、概ね、従来公知の遠心式送風機のインペラと同様の構成である。第一インペラ5は、側板10のないオープン型に形成されてもよいが、本実施例では側板10を備えたクローズド型に形成されている。具体的には、第一インペラ5は、主板8と側板10との間に、複数の羽根11が周方向等間隔に設けられて構成される。主板8は、駆動軸2と垂直に設けられる円板状であり、第一ケーシング4の左側壁4a(隔壁9)に近接して対面して配置される。主板8の中央部には、軸方向基端側へ突出してボス部12が形成される一方、軸方向先端側へ突出して膨出部13が形成されている。
【0025】
主板8には、膨出部13の外周側に、周方向等間隔に複数の羽根11が設けられる。各羽根11は、主板8と側板10とに挟まれて設けられる。第一インペラ5の羽根11は、典型的には後向き羽根(外端部が回転方向と逆方向へ傾く羽根)とされるが、場合により、前向き羽根(外端部が回転方向へ傾く羽根)または径向き羽根(径方向に沿う羽根)とされてもよい。
【0026】
側板10は、円環状の板材から形成されており、径方向内側へ行くに従って軸方向先端側へ行くよう円弧状に形成されると共に、径方向中央部には軸方向先端側へ延出して円筒状部14が形成されている。この円筒状部14の先端側外周部は、やや小径に形成されており、その小径部に第一ケーシング4の吸込口15の拡径穴がはめ込まれる。これにより、第一インペラ5の円筒状部14の開口部が、第一ケーシング4の吸込口15と連続して配置される。
【0027】
第一ケーシング4は、概ね、従来公知の遠心式送風機の渦巻きケーシングと同様の構成である。第一ケーシング4は、第一インペラ5を収容する中空構造とされ、流体の吸込口15と吐出口16とを有する。吸込口15は、第一ケーシング4の右側壁4bの中央部に設けられる一方、吐出口16は、第一ケーシング4の外周部に設けられる。
【0028】
第一ケーシング4は、駆動軸2に垂直な左側壁4aと右側壁4bとを有する。第一ケーシング4の左側壁4aの外周部には、外方へ行くに従って左側へ向かう傾斜壁4cが形成された後、再び駆動軸2と垂直な側壁4dが形成されている。一方、第一ケーシング4の右側壁4bの中央部には、右側へ延出して円筒状部4eが形成されており、その中空穴が吸込口15とされる。この円筒状部4eの基端側内周部には、前述したとおり、第一インペラ5の円筒状部14の先端側小径部が回転可能にはめ込まれる拡径穴が形成されている。
【0029】
一方、第一ケーシング4の外周部は、
図1の送風機1を左または右から見た側面視において、一重の渦巻き状の湾曲部に形成されており、この湾曲部の末端部に、接線方向へ延出して筒状部4fが設けられている。言い換えれば、第一ケーシング4の外周壁は、周方向一方へ行くに従って、中心から次第に半径が大きくなるように形成され、最も半径が大きくなった箇所に、筒状部4fが設けられている。そして、その筒状部4fの中空穴が吐出口16とされる。
【0030】
第二インペラ7は、本実施例では第一インペラ5よりも外径寸法が小さく、第一インペラ5の主板8の背面(軸方向基端側)に羽根17が設けられて構成される。具体的には、第一インペラ5の主板8の中央部には、軸方向基端側へ突出して、ボス部12が形成されており、主板8からのボス部12の突出先端部に、第二インペラ7の羽根17が設けられる。ここでは、ボス部12の突出先端部の外周部に、周方向等間隔に第二インペラ7の羽根17が設けられる。これにより、第二インペラ7は、駆動軸2と同軸に形成された短円柱状の本体部18(前記ボス部12の内、羽根17を除いた部分)と、この本体部18の外周部に周方向等間隔に設けられる羽根17とから構成される。なお、第一ケーシング4の左側壁4aの中央部に形成された貫通穴22に、ボス部12の右端部(主板8側の端部)が回転可能にはめ込まれる。
【0031】
第二ケーシング6は、第二インペラ7を収容する中空構造とされ、流体の吸込口19と吐出口20とを有する。具体的には、第二ケーシング6は、駆動軸2に垂直な左側壁6aと右側壁6bとを有する。第二ケーシング6の左側壁6aは、第二インペラ7の左端面(本体部18の左端面)と近接して対面して配置される。なお、第二インペラ7の本体部18の中央部には、円柱状の僅かな凸部が左側へ若干突出しており、その凸部が第二ケーシング6の左側壁の僅かな凹部に回転可能にはめ込まれる。
【0032】
一方、第二ケーシング6の右側壁6bは、本実施例では第一ケーシング4の左側壁4aの一部でもあり、第一ケーシング4の左側壁4aと共に、第一インペラ5の羽根11が回転する空間と第二インペラ7の羽根17が回転する空間とを仕切る隔壁9として機能する。言い換えれば、第一ケーシング4の左側壁4aは、径方向内側において第二ケーシング6の右側壁6bを兼ね、各インペラ5,7の羽根11,17が回転する空間を仕切る隔壁9となる。そして、この隔壁9は、第一インペラ5の主板8の左端面と近接して対面して配置され、中央部に形成された貫通穴22にボス部12が回転可能にはめ込まれる。また、第二ケーシング6内には、外周部に、流体の流路21が形成される。
【0033】
本実施例では、第二ケーシング6の左側壁6aには、軸方向基端側へ延出して厚肉筒部29が設けられている。この厚肉筒部29は、その中空穴に駆動軸2が通され、駆動軸2と同軸に配置される。厚肉筒部29は、軸方向先端部の外周部が第二ケーシング6の左側壁6aの外周部に気密に固定される一方、軸方向基端部にモータ3のケーシングの右端部が突き合せて固定される。
【0034】
第二ケーシング6の左側壁6aの外周部は、左側へ膨出して形成されており、その膨出部6a´に、厚肉筒部29の右端面の外周部が気密に固定される。これにより、第二ケーシング6の膨出部6a´よりも径方向内側において、第二ケーシング6の左側壁6aと厚肉筒部29の右端面との間には隙間が開けられる。この隙間は、厚肉筒部29に形成された連通路30を介して、厚肉筒部29の外周面の吸込部23と連通する。言い換えれば、厚肉筒部29の外周面には吸込部23が設けられ、その吸込部23が連通路30を介して、前記隙間に開口する。また、第二ケーシング6の膨出部6a´には、周方向設定箇所に吸込口19が形成されており、この吸込口19を介して、前記隙間と第二ケーシング6内の流体流路21とが連通する。一方、第二ケーシング6の外周部には、前記吸込口19と周方向に設定距離だけ離隔して、吐出口20が設けられる。
【0035】
本実施例の送風機1の場合、第一ケーシング4および第一インペラ5により、ターボファンのような遠心式送風機が構成される。すなわち、モータ3を回転させると、第一インペラ5が回転し、径方向中央部の吸込口15から気体を吸入して、外周部の吐出口16へ吐出する。一方、第二ケーシング6および第二インペラ7により、カスケードファンが構成される。すなわち、モータ3を回転させると、第二インペラ7が回転し、外周部の吸込口19から気体を吸入して、外周部の吐出口20へ吐出する。
【0036】
なお、カスケードファンとは、カスケードポンプと同様の構成(言い換えれば同様の作動原理)の送風機である。具体的には、第二インペラ7は、略短円柱状の本体部18の外周部に周方向等間隔に羽根17が設けられて構成される一方、第二ケーシング6は、第二インペラ7を覆う略短円筒状の容器であり、周方向に設定距離だけ離隔して、吸込口19と吐出口20とが設けられている。そして、第二インペラ7の外周側における第二ケーシング6との隙間(周方向に沿う隙間)は、吸込口19と吐出口20との周方向離隔距離が近い側においては仕切部(図示省略)にて閉塞され、周方向離隔距離が長い側においてはそのような仕切部が設けられず流体流路21が確保されている。従って、第二ケーシング6内で第二インペラ7を回転させると、吸込口19から気体を吸入し、一方通行で吐出口20へ吐出できる。このような構成の場合、遠心式送風機と比較して、流量は少ないが、流体の圧力を高めて吐出する構成としやすい。しかも、本実施例では、第二ケーシング6の軸方向基端側にモータ3や駆動軸2があっても、厚肉筒部29を介して外周部から吸気でき、フィルタ(図示省略)の取付けも容易となる。
【0037】
本実施例の送風機1では、各インペラ5,7を同一の駆動軸2に保持して回転させるが、各インペラ5,7同士および各ケーシング4,6同士の構成(言い換えれば大きさおよび/または形状)を互いに異ならせたので、第一ケーシング4の内圧P1と第二ケーシング6の内圧P2とを異ならせることができる。言い換えれば、第一ケーシング4からの吐出圧P1と、第二ケーシング6からの吐出圧P2とを互いに異ならせて、圧力の異なる二気体を得ることができる。この際、二気体は、同じ気体であってもよいし、異なる気体であってもよい。たとえば、両ケーシング4,6にそれぞれ空気を通してもよいし、あるいは、次に述べるように、第一ケーシング4には空気と可燃ガスとの混合気を通す一方、第二ケーシング6には空気のみを通してもよい。
【0038】
本実施例の送風機1は、好適には、予混合バーナを備えるガス焚きボイラに適用される。この場合、第一ケーシング4の吸込口15には、空気とガスとの混合気が吸い込まれ、第一ケーシング4内で混合された後、バーナへ送られ燃焼される。第一ケーシング4へ混合気を供給するために、たとえば、第一ケーシング4の吸込口15には、吸込口15への空気の吸込みに伴いガス供給源からガスを吸引して空気と共に吸込口へ送り込むガス吸引機構(図示省略)を設けておけばよい。
【0039】
一方、第二ケーシング6の吸込口19には、フィルタを介して空気が吸い込まれ、第二ケーシング6の吐出口20から吐出される。この空気は、その用途を特に問わないが、たとえば、第一ケーシング4からの混合気が供給されるメインバーナに点火するためのパイロットバーナへの燃焼用空気とされる。あるいは、メインバーナの取付部の冷却用またはエアシール用の空気とされる。つまり、第一ケーシング4からの混合気をウィンドボックスからボイラ缶体へ供給し、ウィンドボックスの缶体側端部にメインバーナを設けるが、そのウィンドボックスとボイラ缶体との接続部の隙間を封止するパッキンシールの冷却用空気や、そのような接続部から燃焼ガスが漏れるのを防止するためのエアシール用空気とされる。あるいは、ボイラ缶体内(特にバーナ部)の状態を視認可能な覗き窓を備える場合、その覗き窓の結露を防止するための通風用空気とされる。
【0040】
なお、予混合バーナを備えるガス焚きボイラに適用する場合でも、第一ケーシング4には空気のみを通して、送風機1より下流において、第一ケーシング4からの燃焼用空気にガス供給源からのガスを噴出させて予混合してもよい。あるいは、油焚きボイラにおいて、第一ケーシング4からの空気は、バーナへ供給されて、バーナから噴霧される燃料の燃焼用空気とされる一方、第二ケーシング6からの空気(第一ケーシング4からの空気よりも少量かつ高圧の空気)は、バーナの油噴霧ノズルへの噴霧用空気としてもよい。
【0041】
ところで、本実施例の送風機1の場合、第一インペラ5と第二インペラ7とが連動するため、たとえば、第二ケーシング6からの空気は必要であるが、第一ケーシング4からの混合気は一時的に不要である場合があっても、第一インペラ5のみを停止することはできない。その場合、たとえば、第一ケーシング4の吸込側または吐出側にダンパを設けて、そのダンパを閉じればよい。
【0042】
第一ケーシング4に、空気と可燃ガスとの混合気が通される一方、第二ケーシング6には、空気のみが通される場合、安全性を確保するために、下記(a)か(b)のいずれかの構成とするのが好ましい。
【0043】
≪(a)第1構成≫
第二ケーシング6の内圧P2を、第一ケーシング4の内圧P1よりも高くする。具体的には、そのような圧力関係に常になるように、各ケーシング4,6や各インペラ5,7などを構成する。これにより、第二ケーシング6から第一ケーシング4へ空気が漏れることはあっても、第一ケーシング4から第二ケーシング6へガスが漏れることはない。前述したとおり、第一ケーシング4および第一インペラ5で遠心式送風機を構成する一方、第二ケーシング6および第二インペラ7でカスケードファンを構成する場合、カスケードファンの吐出圧の方を高めやすい。
【0044】
≪(b)第2構成≫
第二ケーシング6の内圧P2が第一ケーシング4の内圧P1よりも低いが、第一ケーシング4から第二ケーシング6へガスが漏れても発火しない流量に抑える。具体的には、第一ケーシング4から第二ケーシング6へ混合気(ガス濃度は通常7〜10%)が流量qで漏れる一方、第二ケーシング6における空気のみの通風が流量Q2であるとした場合、第一ケーシング4から第二ケーシング6へ漏れた混合気が、第二ケーシング6の空気と混合した後、その混合ガス濃度が可燃濃度未満(たとえば都市ガス13Aなら4%以下)になるように構成される。つまり、主板8と隔壁9との隙間(軸方向離隔寸法)、ボス部12と貫通穴22との隙間(径方向離隔隙間)、および各内圧P1,P2(両者の差圧)が設定される。この場合、第一ケーシング4から第二ケーシング6へのガス漏れが生じても、第一ケーシング4にガスが流入中(つまり第一インペラ5の回転中)は、常に第二インペラ7が回転して通風しているので、第二ケーシング6の吐出口20以外へのガス漏れを防止できる。しかも、第一ケーシング4から第二ケーシング6への漏れ流路のクリアランスによる圧力損失と、各ケーシング4,6の内圧との関係で、第一ケーシング4から第二ケーシング6への漏れ流量qを規制して、第二ケーシング6での空気による希釈後は可燃濃度未満とされる(つまり燃焼下限界より低濃度とされる)ので、発火のおそれがない。
【実施例2】
【0045】
図2は、本発明の送風機1の実施例2を示す概略図であり、一部を断面にして示している。本実施例2の送風機1も、構成、用途、圧力関係などを含め、基本的には前記実施例1の送風機1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。そして、両実施例で共通の事項については、説明を省略する。
【0046】
前記実施例1では、第二ケーシング6および第二インペラ7でカスケードファンを構成したが、本実施例2では、第二ケーシング6および第二インペラ7で遠心式送風機が構成される。この場合、第二ケーシング6は、第一ケーシング4と同様に、渦巻きケーシングとして構成される。そして、第二ケーシング6は、吸込口19が径方向中央部に形成される一方、吐出口20が外周部に形成される。
【0047】
より具体的には、第二ケーシング6の左側壁6aの中央部には、軸方向基端側へ延出して筒部24が設けられる。筒部24は、駆動軸2と同軸に配置され、軸方向両端部にフランジ25,26を備える。軸方向基端部のフランジ25には、モータ3が取り付けられ、軸方向先端部のフランジ26は、第二ケーシング6の左側壁6aに重ね合わされて固定される。筒部24の周側壁には、周方向複数箇所に、開口が形成されており、その開口が吸込部23とされる。そして、筒部24の中空穴は、第二ケーシング6の左側壁6aの吸込口19と連通される。
【0048】
第二インペラ7は、第一インペラ5と同様に、主板18と側板27との間に、周方向等間隔に複数の羽根17が設けられて構成される。この場合も、第二インペラ7の羽根17は、典型的には後向き羽根とされるが、場合により、前向き羽根または径向き羽根とされてもよい。
【0049】
第二インペラ7の羽根17は、第一インペラ5の主板8の背面に設けられる。より具体的には、前記実施例1における第二インペラ7の本体部18が、本
実施例2では、第二インペラ7の主板18とされる。また、本実施例2では、第二インペラ7の側板27は、径方向内側へ行くに従って軸方向基端側へ傾斜した後、中央部には円筒状部28が形成されている。そして、その円筒状部28が、第二ケーシング6の左側壁6aの中央部に形成された吸込口19に回転自在にはめ込まれる。このような構成であるから、モータ3を駆動すると、円筒状部28の開口(19)から空気が吸い込まれ、第二インペラ7の側板27の円筒状部28の中空穴へ吸い込まれ、第二ケーシング6の外周部に形成された吐出口20へ吐出される。
【0050】
なお、本実施例2では、第一ケーシング4は、左側壁4aが駆動軸2に垂直な面のみとされ、右側壁4bは、第一インペラ5の側板10の外側に沿うよう湾曲して形成されると共に、その外周部には、外方へ行くに従って右側へ向かう傾斜壁4cが形成された後、再び駆動軸2と垂直な側壁4dが形成されている。
【0051】
本実施例2の場合も、インペラ5,7同士および各ケーシング4,6同士の構成(言い換えれば大きさおよび/または形状)を互いに異ならせたので、第一ケーシング4の内圧P1と第二ケーシング6の内圧P2とを異ならせることができる。言い換えれば、第一ケーシング4からの吐出圧P1と、第二ケーシング6からの吐出圧P2とを互いに異ならせて、圧力の異なる二気体を得ることができる。この際、二気体は、同じ気体であってもよいし、異なる気体であってもよい。たとえば、両ケーシング4,6にそれぞれ空気を通してもよいし、あるいは、第一ケーシング4には空気と可燃ガスとの混合気を通す一方、第二ケーシング6には空気のみを通してもよい。予混合バーナを備えたガス焚きボイラに適用する場合、第一ケーシング4の吸込口15に空気とガスとの混合気が供給され、第二ケーシング6の吸込口19に空気のみを供給して、前記実施例1と同様に用いられる。
【0052】
本実施例2の場合も、前記実施例1で述べた≪(a)第1構成≫と≪(b)第2構成≫のいずれにも構成できるが、第二ケーシング6および第二インペラ7で構成される遠心式送風機が、第一ケーシング4および第一インペラ5で構成される遠心式送風機よりも、小型となる点を考慮し、≪(b)第2の方法≫を好適に適用できる。つまり、第二ケーシング6の内圧P2は、第一ケーシング4の内圧P1よりも低いが、第一ケーシング4から第二ケーシング6への混合気の漏れ流量qと、第二ケーシング6における空気のみの流量Q2との混合ガス濃度が、可燃濃度未満になるように、主板8と隔壁9との隙間、ボス部12と貫通穴22との隙間、および各内圧P1,P2が設定されるのがよい。
【0053】
ところで、前記実施例1では、第二ケーシング6とモータ3との間に、比較的厚肉の筒部29を配置し、その筒部29の周側壁の外周面と右端面とに開口して連通路30を設け、第二ケーシング6の左側壁6aと筒部29の右端面との隙間を外部と連通させた。そして、第二ケーシング6の左側壁6aには、駆動軸2が通される中央穴よりも外側に吸込口19を設けた。一方、前記実施例2では、第二ケーシング6とモータ3との間に、比較的薄肉の筒部24を配置し、その筒部24の周側壁に開口23を設け、第二ケーシング6の左側壁6aの吸込口19を筒部24の中空穴および開口23を介して外部と連通させた。この際、第二ケーシング6の左側壁6aには、駆動軸2が通される中央部に吸込口19を設けた。そのため、いずれの実施例においても、各インペラ5,7が回転中には、第二ケーシング6の左側壁6aの左側において、第二ケーシング6の吸込口19へ吸い込まれる外気の流れが生じるので、モータ3側への流体の漏れが防止される。
【0054】
本発明の送風機1は、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、駆動軸2の先端部に設けられる第一インペラ5と、この第一インペラ5よりも駆動軸2の軸方向基端側に設けられる第二インペラ7と、第一インペラ5を回転可能に収容する第一ケーシング4と、第二インペラ7を回転可能に収容する第二ケーシング6とを備え、第一ケーシング4の内圧P1と第二ケーシング6の内圧P2とが異なるように、各インペラ5,7同士および各ケーシング4,6同士の大きさおよび/または形状を互いに異ならせるのであれば、その他は適宜に変更可能である。
【0055】
特に、前記実施例において、第一ケーシング4および第一インペラ5で構成される送風機の形式(種類)と、第二ケーシング6および第二インペラ7で構成される送風機の形式(種類)は、前記各実施例に限らず適宜変更可能である。たとえば、第一ケーシング4および第一インペラ5で構成される送風機は、シロッコファンであってもよい。
【0056】
また、前記各実施例では、第一インペラ5の主板8の背面に、第二インペラ7の羽根17を設けて、各インペラ5,7を一体的に構成したが、場合により、両者を別体に構成してもよい。その場合において、第一インペラ5と第二インペラ7とを、駆動軸2の軸方向に離隔して設けてもよい。そして、それに伴い、第一ケーシング4と第二ケーシング6とを分離して設けてもよい。但し、第一ケーシング4に燃焼用空気と燃料ガスとの混合気が通される場合において、第一インペラ5の主板8の背面へのガス漏れ対策の観点では、前記≪(a)第1構成≫または≪(b)第2構成≫を採用可能に、第一ケーシング4の軸方向基端部に第二ケーシング6を連接しておくのが好ましい。言い換えれば、一つのケーシングを隔壁9で仕切った構造として、各インペラ5,7の羽根11,17が回転する空間を仕切るのが好ましい。
【0057】
また、前記各実施例における第一インペラ5、および前記実施例2における第二インペラ7は、側板10,27を備えたクローズド型としたが、側板10,27のないオープン型としてもよい。さらに、前記各実施例における第一ケーシング4、および前記実施例2における第二ケーシング6は、渦巻きケーシングとされるが、この渦巻きケーシングには、インペラ5,7の回転領域の外側に、案内羽根(ディフューザ)を設けてもよい。ディフューザの有無や構成によっても、各ケーシング4,6の内圧を変えることができる。
【0058】
さらに、実施例1の厚肉筒部29に代えて実施例2の筒部24を適用したり、逆に、実施例2の筒部24に代えて実施例1の厚肉筒部29を適用したりしてもよい。要は、各実施例において、第二ケーシング6の軸方向基端側に設けた吸込口19に、外気が吸込可能であればよく、厚肉筒部29や筒部24の設置も必須ではない。たとえば、実施例1において、厚肉筒部29の設置を省略し、第二ケーシング6の左側壁6aにモータ3を固定し、そのモータ3のケーシングに、前記連通路30を設けてもよい。