(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定手段は、工程と送信すべきでない情報とを対応付けた記憶手段から、対象となっている工程に対応する送信すべきでない情報を抽出することによって、送信すべきでない情報を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したが、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0017】
本実施の形態である情報処理装置100は、フロー定義にしたがって工程を管理するものであって、
図1の例に示すように、設計データ記憶モジュール105、データ管理モジュール110、データ変換処理モジュール120、データ変換指示モジュール130、調達プロセス処理モジュール140、データ配信モジュール150、データ通信モジュール160、データ配信制御モジュール170、調達データ管理モジュール180、調達データ記憶モジュール185、調達プロセス管理モジュール190を有している。情報処理装置100は、例えば、ワークフロー処理にしたがって、外部に見積依頼、発注等を行う際に、3次元データの図面情報を送信するものである。特に、発注プロセスを具現化する発注システムに適用され得る。通常、発注プロセスには、概算見積もり、詳細見積もり、正式発注という一連の工程が存在し、各工程では発注先に対し工程に応じた秘匿情報を含んだ設計情報(以下、設計データともいう)を送付する必要がある。例えば概算見積もりの場合は形状データのみが、詳細見積もりの場合は製品加工等に関するアノテーション情報が、さらに正式発注の場合は境界情報等が必要となる。一方、秘匿性の高いノウハウの漏洩を防ぐことが必要である。ここで、「秘匿情報」とは、設計データに含まれる情報のうち設計ノウハウにかかわる情報をいい、およそ形状データ以外の情報は全て秘匿情報に該当し得る。典型的には、パラメータ、パラメータの演算式、ロジック(マクロ)、フィーチャのヒストリ(作業手順)等が秘匿情報に含まれる。なお、ワークフロー処理とは、設計情報にかかわる業務(ここでは、少なくとも外部に対して設計情報を送信する工程を含む業務)の流れを電子システム上に再現し、電子的な手段で(プログラムを用いて)実行できるようにしたものである。
【0018】
情報処理装置100が行う処理の概要を説明する。なお、この説明は、本実施の形態の理解を容易にすることを目的とするものである。
工程に応じた秘匿情報の隠蔽を行い、情報漏洩リスクを低減するために、発注プロセスの工程毎に送信すべき秘匿情報を定義し、設計データを送信する場合に、工程毎に定義した秘匿情報のみを設計データに含めて(つまり、不要な秘匿情報を元となる設計データから削除又は変更し)配信する。
発注プロセスの概算見積もり、詳細見積もり、発注工程等のそれぞれの工程において、送信対象である秘匿情報の一覧を予め定義しておく。発注プロセスの各工程において送信処理を行う際、工程毎に定義した秘匿情報の一覧と配信対象として入力された設計データに含まれる秘匿情報とを比較し、送信すべきでない秘匿情報が設計データに存在する場合はこれを削除又は変更した設計データを作成し、送信を行う。
【0019】
データ管理モジュール110、データ変換処理モジュール120、データ変換指示モジュール130、調達プロセス処理モジュール140、データ配信モジュール150、データ通信モジュール160、データ配信制御モジュール170、調達データ管理モジュール180、調達プロセス管理モジュール190は、それぞれ接続されている。
設計データ記憶モジュール105は、データ管理モジュール110と接続されている。設計データ記憶モジュール105は、設計データを記憶する。例えば、設計者の操作によって3DCAD(3−Dimension Computer Aided Design)を用いて生成された3Dモデル等のデータを記憶する。
データ管理モジュール110は、作成した3Dモデル等の設計データを登録・格納し、検索・参照機能を提供する。
【0020】
データ変換処理モジュール120は、データ変換指示モジュール130からの変換指示にしたがって、設計データの読み込みと変換を行い、結果データを返す。つまり、設計データから調達プロセス処理モジュール140によって決定された情報を削除することによって、その設計データを変換する。また、データ変換処理モジュール120は、削除ではなく、調達プロセス処理モジュール140によって決定された情報を他の情報に変換するようにしてもよい。「他の情報」として、元の設計データ内の情報そのものでなければよく、例えば、不正確な情報としてもよい。不正確な情報として、例えば、乱数、又は元の情報に乱数を乗算等した値であってもよい。また、「情報を削除すること」と「他の情報に変換すること」の両方を組み合わせた処理を行うようにしてもよい。つまり、調達プロセス処理モジュール140によって決定された情報の一部を削除して、その他の部分の情報を変換するようにしてもよい。
データ変換指示モジュール130は、設計データ記憶モジュール105に格納された設計データを取得し、変換する設計データとともにデータ変換処理モジュール120にデータ変換を指示し、変換処理の管理を行う。
【0021】
調達プロセス処理モジュール140は、設計データにかかわるフロー定義にしたがって、工程毎の処理を実施する。そのフロー定義にしたがった工程が予め定められた工程である場合は、その工程では送信すべきでない情報を決定する。具体的には、調達プロセス処理モジュール140は、工程と送信すべきでない情報とを対応付けた秘匿情報配信マトリックス500から、対象となっている工程に対応する送信すべきでない情報を抽出することによって、送信すべきでない情報を決定するようにしてもよい。より具体的には、秘匿情報配信マトリックス500にしたがい、工程情報から削除又は変更する秘匿情報を特定し、データ変換指示モジュール130に配信対象データ情報とともに変換を指示する。変換後データの配信をデータ配信モジュール150に指示する。
【0022】
データ配信モジュール150は、データ配信制御モジュール170からのデータ配信指示にしたがい、配信先へデータの配信処理を行う。データの配信処理には電子メールによる送信、オンラインストレージ(ファイルサーバー)へのアップロード機能を有する。
データ通信モジュール160は、外部機器とのデータ通信制御を行う。データ変換処理モジュール120による変換結果である設計データを外部に送信する。また、データ通信モジュール160が送信する外部は複数あり、送信する情報は送信する外部毎に同じ情報であるようにしてもよい。送信先である外部とは、設計データを受け取る者がアクセス可能な記憶装置に記憶すればよく、例えば、電子メールによって送信してもよいし、クラウドサービスで提供されているオンラインストレージ等にその設計データを記憶させるようにしてもよい。
データ配信制御モジュール170は、データ配信先を特定し、配信処理プロセスを制御する。データ配信モジュール150にデータ配信指示を行う。
【0023】
調達データ管理モジュール180は、調達先(配信先)情報、及び削除又は変更する秘匿情報を工程毎に定義した秘匿情報配信マトリックス500を管理する。
調達データ記憶モジュール185は、調達データ管理モジュール180と接続されている。調達データ記憶モジュール185は、秘匿情報配信マトリックス500を記憶する。秘匿情報配信マトリックス500では、送信すべきでない情報として、3Dモデルの外観を表すためのデータである形状データ(ファセットデータ)、製品の加工情報、部品構成等を示す製品情報、寸法等を記したアノテーション情報、3Dモデル形状を表す手法の一つである境界情報(以下、b−rep情報ともいう)等を選択して定義できる。アノテーション情報として、具体的には、製品加工情報(PMI:Product and Manufacturing Information)、GD&T(Geometric Dimensioning and Tolerancing、3次元幾何寸法公差)等がある。秘匿情報配信マトリックス500は、フロー定義における工程毎に定義した配信可能な情報を管理するマトリックスである。
図5は、秘匿情報配信マトリックス500のデータ構造例を示す説明図である。秘匿情報配信マトリックス500は、アクション欄510、形状データ欄520、加工情報欄530、製品情報欄540、境界情報欄550を有している。アクション欄510は、フロー定義におけるアクション(工程)を記憶している。形状データ欄520は、そのアクションにおいて形状データを送信すべきであるデータであるか否かを示す情報(フラグ)を記憶している。「○」は送信可能である情報であることを示しており、「×」は送信すべきでない情報であることを示している。加工情報欄530は、そのアクションにおいて加工情報を送信すべきであるデータであるか否かを示す情報を記憶している。製品情報欄540は、そのアクションにおいて製品情報を送信すべきであるデータであるか否かを示す情報を記憶している。境界情報欄550は、そのアクションにおいて境界情報を送信すべきであるデータであるか否かを示す情報を記憶している。なお、「アクション:見積もり」では、「アクション:発注」に比べて、送信すべきでない情報が多いのは、情報漏洩リスクを減少させるためであり、見積もりを行うのに必要な情報だけが指定されている。また、情報の送信先の数として、一般に、「アクション:発注」が「アクション:見積もり」よりも少ない。
調達プロセス管理モジュール190は、調達業務における、プロセス(工程)とその状態を管理する。いわゆるワークフロー処理を行う。
【0024】
図2は、本実施の形態を適用するシステム構成例を示す説明図である。
通信回線228、通信回線278、通信回線290の通信回線は、無線、有線、これらの組み合わせである。例えば、ある会社Aにあって、情報処理装置100、CAD装置210A、CAD装置210B、通信処理装置230は、通信回線228を介してそれぞれ接続されている。ある会社Bにあって、CAD装置260、調達処理装置270、通信処理装置280は、通信回線278を介してそれぞれ接続されている。通信回線228、通信回線278は、例えば、会社A、Bで整備されている通信インフラとしてのイントラネット等である。通信処理装置230、通信処理装置280は、外部の通信回線との通信を行うとともに、ファイアウォールの機能等を有する。会社Aから会社Bに見積もり、発注等が行われるとする。通信処理装置230、データ配信サーバー250、通信処理装置280は、通信回線290を介してそれぞれ接続されている。通信回線290は、例えば、通信インフラとしてのインターネット等である。もちろんのことながら、会社A内のCAD装置210等、会社B内のCAD装置260等は複数あってもよいし、受注側の会社も複数あってもよい。データ配信サーバー250は、クラウドサービスで提供されているオンラインストレージであって、会社Aによって管理されていてもよいし、他の会社によって管理されていてもよい。
CAD装置210A等で作成された3Dモデル等の設計データが、情報処理装置100によってワークフローの工程に応じて変換されて、データ配信サーバー250に記憶される。また、会社Bの調達処理装置270は、データ配信サーバー250から設計データを取り出して、見積もり等の処理を行う。
【0025】
図3は、本実施の形態の構成例の別観点での概念的なモジュール構成図である。
情報処理装置100は、トランスレータモジュール310、データ管理モジュール320、ワークフロー処理モジュール330、データ変換モジュール340、配信制御モジュール350を有している。情報処理装置100は、CAD装置210から設計データを受け取り、データ配信サーバー250を介して、調達処理装置270へ工程毎の設計データを送信する。
CAD装置210は、設計者の操作により3Dモデルの形状データ、加工情報、製品情報等の設計データの作成を行う。
トランスレータモジュール310は、3Dモデルに依存したデータの標準化・平準化、属性の抽出を行う。そして、後述するデータ管理モジュール320への登録を行う。
データ管理モジュール320は、
図1に例示したデータ管理モジュール110、設計データ記憶モジュール105を含む。データ管理モジュール320は、3Dモデルデータ、属性情報の登録・更新・参照・削除機能を提供しデータ管理を行う。
【0026】
ワークフロー処理モジュール330は、
図1に例示したデータ変換指示モジュール130、調達プロセス処理モジュール140、調達データ管理モジュール180、調達データ記憶モジュール185、調達プロセス管理モジュール190を含む。ワークフロー処理モジュール330は、調達プロセスを制御する。例えば、見積もり依頼、発注、設計変更、原価改善依頼等の工程管理を行う。また、調達先情報の登録、更新、参照、削除機能等を提供してもよい。
データ変換モジュール340は、
図1に例示したデータ変換処理モジュール120を含む。データ変換モジュール340は、データ配信時に設計データの変換を行う。具体的には、データ削除、データ変換の他にフォーマット変換等を行うようにしてもよい。
配信制御モジュール350は、
図1に例示したデータ配信モジュール150、データ通信モジュール160、データ配信制御モジュール170を含む。配信制御モジュール350は、データ変換モジュール340によって変換された設計データをデータ配信サーバー250を介して、取引先である調達処理装置270へ送信する。
データ配信サーバー250は、データを外部(取引先である調達処理装置270等)に配信するオンラインストレージ機能を提供する。
配信先(取引先)である調達処理装置270は、データ配信サーバー250にアクセスし、登録された配信データ(設計データ)を取得する。
【0027】
製品の設計指示を受け、設計者はCAD装置210において設計情報の作成作業を行う。この際、3D−CADシステムなどにより、設計ノウハウを含む3Dモデルの形状データ、加工情報等の秘匿情報を含む設計データを作成する。CAD装置210における3D−CADシステムは、特定のCAD製品でなくてもよい。
作成した設計データは、ローカルディスク又はCADシステムとして構成したPDM(Product Data Management)に一時的に保存しておく。
データ管理モジュール320が表示する登録メニューへの指示に基づいて、作成した設計データを、トランスレータモジュール310を介して、データ管理モジュール320へ登録する。
図4は、登録画面400の例を示す説明図である。登録画面400は、図面ファイル欄410、構成情報ファイル欄420、登録属性欄430を有している。登録属性欄430は、部品名欄440、材料情報欄450、重心情報欄460、体積情報欄470を有している。登録画面400では、図面ファイル欄410で設計データである図面ファイル、構成情報ファイル欄420で構成情報ファイルへの参照パス、登録属性欄430でデータ管理モジュール320に検索用属性として登録する属性を指定する。登録属性欄430には、例えば部品名欄440(部品番号であってもよい)、材料情報欄450、重心情報欄460、体積情報欄470等による指定を可能とする。
【0028】
設計データの登録時、トランスレータモジュール310は任意のCADデータを標準形式(例えば、ISOで標準化されたJT−Open形式、STEP形式等)に変換し、これを登録用CADデータとして、データ管理モジュール320へ登録する。そして、登録画面400で指定された属性をCADデータから抽出し、先に登録したCADデータの検索に利用する属性としてセットする。指定した属性がCADデータに存在しない場合はNULL(=値なし)を登録する。
なお、設計者が所属する設計グループの他のグループ員は、データ管理モジュール320の検索・取得機能を使い、DR(デザインレビュー)等を行い、設計データが不正な場合は、データ管理モジュール320の削除・変更機能を使ってデータを改版し、設計データの一元管理を行う。
【0029】
ワークフロー処理モジュール330において、外部への送信を許可する秘匿情報(秘匿情報アイテム群)を定義した秘匿情報配信マトリックス500を予め定義しておき、調達データ記憶モジュール185に格納しておく。前述したように、
図5に調達情報配信マトリックス500の例を示す。○、×は、それぞれ秘匿情報アイテムの送付可、送付不可を示す。
また、ワークフロー処理モジュール330では、操作者の操作に基づいて調達フローのプロセスの定義を行い(後述するフロー定義画面600を用いた定義)、その工程である“見積もり依頼620”、“発注依頼650”に対し、それぞれ後述する“見積もりアクション”、“発注アクション”を実行するプログラムを定義し、調達データ記憶モジュール185に格納しておく。これらの実行プログラムはワークフロー処理モジュール330から起動できるよう、情報処理装置100内に配置する。
図6は、フロー定義画面600の例を示す説明図である。フロー定義画面600には、フロー名欄610が表示されている。そのフロー名欄610内のフローで定義されている工程群として、順に開始615、見積もり依頼620、承認625、発注先決定630、承認640、発注依頼650、納品確認660、終了665を表示している。この中で、見積もり依頼620、発注依頼650には、外部へ設計データを送信する処理が定義されている。
【0030】
また、予め複数の調達先候補を、調達先名、担当者名、連絡先、取引先毎に定めたアクセスパスワード情報等とともに調達データ記憶モジュール185に格納しておく。調達先候補は、その調達先候補の増減が発生した時点で都度登録を行う構成としてもよい。調達先候補テーブル700の例を
図7に示す。調達先候補テーブル700は、取引先名欄710、担当者欄720、Mail連絡先欄730、電話番号欄740、所在地欄750、取引回数欄760、評価欄770、アクセスパスワード欄780を有している。取引先名欄710は、取引先名を記憶している。担当者欄720は、その取引先における担当者を記憶している。Mail連絡先欄730は、その担当者の電子メール連絡先(メールアドレス)を記憶している。電話番号欄740は、その担当者の電話番号を記憶している。所在地欄750は、その取引先の所在地を記憶している。取引回数欄760は、その取引先との取引回数を記憶している。評価欄770は、その取引先の評価を記憶している。アクセスパスワード欄780は、その取引先が設計データにアクセスするためのアクセスパスワードを記憶している。
【0031】
調達業務は、フロー定義画面600によって登録された「見積もり発注フロー」を起動することで開始される。
図8に見積もり工程における見積もり依頼画面800の例を示す。見積もり依頼画面800には、図面番号欄810、希望納期欄820、見積もり先欄830が表示されている。見積もり依頼画面800例では、図面番号欄810に図面番号、希望納期欄820に希望納期を入力するとともに、見積もり先欄830に「見積もり先」を1つ又は複数指定することで、「一社限定見積もり」又は「相見積もり」を行うようになっている。
「見積もりアクション」を実行するプログラムでは、
a)データ管理モジュール320から図面番号で指定した見積もり対象の設計データ、
b)調達データ記憶モジュール185に格納してある調達先候補テーブル700から調達先として指定した見積もり先情報、
c)調達データ記憶モジュール185に格納してある秘匿情報配信マトリックス500から「見積もり」工程で配信可能な秘匿情報一覧、
を取得し、c)の秘匿情報一覧とa)の設計データをデータ変換モジュール340に送信する。
【0032】
データ変換モジュール340では、設計データを読み込み、秘匿情報配信マトリックス500で送信すべき情報として定義されている情報を削除(又は変換)して設計データの再作成を行う。
再作成したデータは、調達先毎にデータ配信サーバー250にアップロード処理を行う。この際、格納したデータには、1つ又は複数の調達先担当者のみが参照可能とする参照アクセス権(調達先候補テーブル700のアクセスパスワード欄780)を付与する。
データ格納が完了した際は、調達先担当者へ格納先データへのアクセスURLを含めた見積もり依頼を行う旨を記載した電子メール(調達先候補テーブル700のMail連絡先欄730)を送信する。その電子メールを受信した調達先担当者の操作によって、調達処理装置270は、データ配信サーバー250へアクセスし、予め登録してあるアクセスパスワード(調達先候補テーブル700のアクセスパスワード欄780)による認証後、設計データを取得し、見積もり作業を開始する。
調達先での調達処理装置270による見積もり作業では、設計情報・ノウハウの不用な流出を低減するために、例えば、形状データのみが含まれている場合、設計詳細情報を用いた処理、例えばシミュレーション等による評価は行えないことになる。
調達先での見積もり作業が完了した場合は、見積もり額とともに発注先へ電子メール、ファックス等で見積もり書を送付する。
見積もり書取得により、相見積もりの場合は発注先を決定し、見積もりアクションを終了する。
見積もりアクション終了時に、データ配信サーバー250に格納した設計データのアクセス権を削除し、以降の不用なアクセスを抑止する。また、データ配信サーバー250から設計データそのものを削除するようにしてもよい。
【0033】
次の「発注」フローでは、「見積もり発注」フローで決定した調達先と発注対象部品番号、及び納期情報を入力し、「発注アクション」を実行するプログラムの開始を指示する。
「発注アクション」を実行するプログラムでは、前述の「見積もりアクション」のa),b),c)を、秘匿情報配信マトリックス500の「発注」アクションの秘匿情報を使って、同様の処理を行い、発注先へ発注依頼を実施する。
【0034】
図9は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS902では、調達フロープロセス情報を取得する。ここでは、type情報が、プロセス「見積もり依頼」又はプロセス「発注依頼」であるとする。
ステップS904では、配布先情報を取得する。
ステップS906では、設計データであるCADデータを取得する。
ステップS908では、CADデータがないか否かを判断し、ない場合はステップS934へ進み、それ以外の場合はステップS910へ進む。
ステップS910では、秘匿情報配信マトリックス500を取得する。
ステップS912では、現在のアクション(工程)は、秘匿情報配信マトリックス500内のアクション欄510にあるか否かを判断し、ある場合はステップS914へ進み、それ以外の場合はステップS916へ進む。
ステップS914では、秘匿情報配信マトリックス500から送付不可の秘匿情報を読み込む。
ステップS916では、デフォルトの(予め定められた)送付不可の秘匿情報を適用する。デフォルトの送付不可の秘匿情報としては、例えば、秘匿情報配信マトリックス500の各アクションのうち、最も秘匿すべき情報が多いアクションにおける秘匿情報を適用してもよいし、任意に適用する秘匿情報を定めてもよい。
ステップS918では、データ変換を行う(秘匿情報を削除又は変換する)。処理の詳細は、
図10に例示のフローチャートを用いて後述する。
ステップS920では、ステップS918で変換エラーが発生したか否かを判断し、発生した場合はステップS934へ進み、それ以外の場合はステップS922へ進む。
【0035】
ステップS922では、変換後の設計データのアップロードを行う。
ステップS924では、配布先ループを開始する。変数userを調達先候補テーブル700内の配布先ユーザーとする。
ステップS926では、変数user(配布先ユーザー)のアクセス権を付与する。
ステップS928では、変数user(配布先ユーザー)への電子メールによる通知を行う。
ステップS930では、全ての配布先について処理した場合は、配布先ループを終了する。
ステップS932では、受付完了を通知する。
ステップS934では、ステップS908又はステップS920でエラーが発生したことの通知を行う。
【0036】
図10は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS1002では、秘匿情報配信マトリックス500からそのアクション(工程)において送付不可の秘匿情報アイテム群を取得する。
ステップS1004では、設計情報であるCADデータの読み込みを行って、そのCADデータ内に含まれている属性情報(加工情報、製品情報、境界情報等)の解析を行う。
ステップS1006では、解析エラーが生じたか否かを判断し、生じた場合はステップS1022へ進み、それ以外の場合はステップS1008へ進む。
ステップS1008では、CADデータに含まれている属性情報の秘匿情報一覧を作成する。
【0037】
ステップS1010では、ステップS1008で作成した秘匿情報一覧ループを開始する。変数Itemを、秘匿情報アイテム一覧で繰り返す。
ステップS1012では、秘匿情報配信マトリックス500で変数Itemが送付不可であるか否かを判断し、送付不可である場合はステップS1014へ進み、それ以外の場合はステップS1010へ戻り次の変数Itemの処理を行う。つまり、ステップS1002で取得したアイテムとステップS1004で解析した属性情報が合致する場合は、ステップS1014へ進む。
ステップS1014では、変数Itemの秘匿情報をCADデータから削除又は変更する。
ステップS1016では、全ての秘匿情報アイテムを処理した場合は、秘匿情報一覧ループを終了する。
ステップS1018では、変換した設計データを保存する。
ステップS1020では、変換した設計データ保存に失敗したか否かを判断し、失敗した場合はステップS1022へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS1099)。
ステップS1022では、エラーが発生して終了したことの通知を行う。したがって、この場合、
図9に例示のフローチャートのステップS934に進むことになる。
【0038】
なお、本実施の形態としてのプログラムが実行されるコンピュータのハードウェア構成は、
図11に例示するように、一般的なコンピュータであり、具体的にはパーソナルコンピュータ、サーバーとなり得るコンピュータ等である。つまり、具体例として、処理部(演算部)としてCPU1101を用い、記憶装置としてRAM1102、ROM1103、HD1104を用いている。HD1104として、例えばハードディスクを用いてもよい。データ管理モジュール110、データ変換処理モジュール120、データ変換指示モジュール130、調達プロセス処理モジュール140、データ配信モジュール150、データ通信モジュール160、データ配信制御モジュール170、調達データ管理モジュール180、調達プロセス管理モジュール190、トランスレータモジュール310、データ管理モジュール320、ワークフロー処理モジュール330、データ変換モジュール340、配信制御モジュール350等のプログラムを実行するCPU1101と、そのプログラムやデータを記憶するRAM1102と、本コンピュータを起動するためのプログラム等が格納されているROM1103と、補助記憶装置(フラッシュメモリ等であってもよい)であるHD1104と、キーボード、マウス、タッチパネル等に対する利用者の操作に基づいてデータを受け付ける受付装置1106と、CRT、液晶ディスプレイ等の出力装置1105と、ネットワークインタフェースカード等の通信ネットワークと接続するための通信回線インタフェース1107、そして、それらをつないでデータのやりとりをするためのバス1108により構成されている。これらのコンピュータが複数台互いにネットワークによって接続されていてもよい。
【0039】
前述の実施の形態のうち、コンピュータ・プログラムによるものについては、本ハードウェア構成のシステムにソフトウェアであるコンピュータ・プログラムを読み込ませ、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働して、前述の実施の形態が実現される。
なお、
図11に示すハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、
図11に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えばASIC等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに
図11に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、特に、パーソナルコンピュータの他、情報家電、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0040】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。