(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の嵌合凸部と前記第2の嵌合凸部は、前記第1のリング腕部及び前記第2のリング腕部を開いて、当該綴じ部品を複数個積載した状態で、重なり合う綴じ部品の間で積層方向に形成される隙間に収まる形状及び大きさを有した
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の綴じ部品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の綴じ部品の実施の形態について説明する。
【0019】
<本実施の形態の綴じ部品の構成例>
図1は、本実施の形態の綴じ部品の一例を示す斜視図、
図2は、本実施の形態の綴じ部品の要部構成を示す斜視図である。第1の実施の形態の綴じ部品1Aは、環状となるリング部2Aと、複数のリング部2Aを連結する背部3Aを備える。
【0020】
リング部2Aは、背部3Aで連結されたリング背部20と、リング背部20の一方の端部に連結された第1のリング腕部20Rと、リング背部20の他方の端部に連結された第2のリング腕部20Lを備える。リング部2Aは、リング背部20、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lの3つの部材の組み合わせで環状に構成される。
【0021】
リング部2Aは、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが開いた状態で、後述する用紙処理装置に収納され、用紙処理装置での綴じ動作で、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが閉じて冊子が閉じられる。また、手動で第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが開閉されて、用紙の加除が行われる。
【0022】
図3及び
図4は、本実施の形態の綴じ部品の一例を示す斜視図、
図5は、本実施の形態の綴じ部品の一例を示す正面図、
図6は、本実施の形態の綴じ部品の一例を示す正面断面図、
図7は、本実施の形態の綴じ部品の一例を示す平面図で、以下に、各図を参照して、リング部2Aの詳細について説明する。
【0023】
リング背部20は、環状となるリング部2Aの一部を構成する円弧形状を有する。第1のリング腕部20Rは、環状となるリング部2Aの一部を構成する円弧形状を有し、リング背部20の円弧の周方向に沿った一方の端部にヒンジ部21Rで連結される。第2のリング腕部20Lは、環状となるリング部2Aの一部を構成する円弧形状を有し、リング背部20の円弧の周方向に沿った他方の端部にヒンジ部21Lで連結される。
【0024】
ヒンジ部21Rは、第1のリング腕部20Rとリング背部20とが連結される箇所で、第1のリング腕部20R及びリング背部20の円弧の外周側に、変形可能な厚さを有した肉薄形状の部位を一体成型で設けて構成される。
【0025】
第1のリング腕部20Rは、変形可能なヒンジ部21Rによって、リング背部20に対してヒンジ部21Rを支点として回転可能に連結される。これにより、リング部2Aは、ヒンジ部21Rを支点とした回転動作で第1のリング腕部20Rが開閉する。
【0026】
ヒンジ部21Lは、ヒンジ部21Rと同じ構成で、第2のリング腕部20Lとリング背部20とが連結される箇所で、第2のリング腕部20L及びリング背部20の円弧の外周側に、変形可能な厚さを有した肉薄形状の部位を一体成型で設けて構成される。
【0027】
第2のリング腕部20Lは、変形可能なヒンジ部21Lによって、リング背部20に対してヒンジ部21Lを支点として回転可能に連結される。これにより、リング部2Aは、ヒンジ部21Lを支点とした回転動作で第2のリング腕部20Lが開閉する。
【0028】
リング部2Aは、第1のリング腕部20Rとリング背部20とが連結される箇所で、第1のリング腕部20R及びリング背部20の円弧の内周側に嵌合部22Rを備える。また、リング部2Aは、第2のリング腕部20Lとリング背部20とが連結される箇所で、第2のリング腕部20L及びリング背部20の円弧の内周側に嵌合部22Lを備える。
【0029】
嵌合部22Rは、ヒンジ部21Rを支点とした第1のリング腕部20Rの回転動作で挿抜自在に嵌る凹凸形状を有する。同様に、嵌合部22Lは、ヒンジ部21Lを支点とした第2のリング腕部20Lの回転動作で挿抜自在に嵌る凹凸形状を有する。
【0030】
リング部2Aは、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lが閉じる動作で、嵌合部22Rでの凹凸形状による嵌合と、嵌合部22Lでの凹凸形状による嵌合が開始されることで、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lの開閉動作がガイドされる。
【0031】
また、リング部2Aは、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lが閉じて環状となると、嵌合部22Rでの凹凸形状による嵌合と、嵌合部22Lでの凹凸形状による嵌合で、外部から力が加わった場合等の荷重が受けられ、ヒンジ部21R及びヒンジ部21L等の損傷が抑制される。
【0032】
次に、荷重を受けることが可能な嵌合部22R及び嵌合部22Lの詳細について説明する。ここで、リング背部20、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lにおいて、環状を成すリング部2Aの円弧の径方向を厚さと称し、環状を成すリング部2Aの円弧の中心軸線の延在する方向を幅と称する。
【0033】
嵌合部22Rは、第1のリング腕部20Rにおいて、ヒンジ部21Rにより連結されるリング背部20と対向する側の端部に第1の嵌合凸部23を備える。また、嵌合部22Rは、リング背部20において、ヒンジ部21Rにより連結される第1のリング腕部20Rと対向する側の端部に、第1の嵌合凸部23が嵌る第1の嵌合凹部24を備える。
【0034】
更に、嵌合部22Rは、リング背部20において第1のリング腕部20Rと対向する側の端部に第2の嵌合凸部25を備える。また、嵌合部22Rは、第1のリング腕部20Rにおいてリング背部20と対向する側の端部に、第2の嵌合凸部25が嵌る第2の嵌合凹部26を備える。
【0035】
第1の嵌合凸部23は、第1のリング腕部20Rの幅方向の中央に、リング背部20方向に突出する凸部を設けて構成される。第1の嵌合凹部24は、リング背部20の幅方向の中央に、内周面側及び第1のリング腕部20Rと対向する端部側が開口し、第1の嵌合凸部23が嵌る形状の凹部を設けて構成される。
【0036】
第2の嵌合凸部25は、リング背部20の幅方向における第1の嵌合凹部24の両側に、第1のリング腕部20R方向に突出する凸部を設けて構成される。第2の嵌合凹部26は、第1のリング腕部20Rの幅方向における第1の嵌合凸部23の両側に、内周面側及びリング背部20と対向する端部側が開口し、第2の嵌合凸部25が嵌る形状の凹部を設けて構成される。
【0037】
第1の嵌合凸部23は、環状としたリング部2Aにおいて第1の嵌合凹部24と対向する外側を向いた面に第1の凸側荷重受け面23aが形成される。第1の嵌合凹部24は、環状としたリング部2Aにおいて第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aと対向する内側を向いた面に第1の凹側荷重受け面24aが形成される。
【0038】
第2の嵌合凸部25は、環状としたリング部2Aにおいて第2の嵌合凹部26と対向する外側を向いた面に第2の凸側荷重受け面25aが形成される。第2の嵌合凹部26は、環状としたリング部2Aにおいて第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aと対向する内側を向いた面に第2の凹側荷重受け面26aが形成される。
【0039】
第1の嵌合凸部23は、環状としたリング部2Aにおいて第1の嵌合凹部24と対向する幅方向の両側の面に第3の凸側荷重受け面23bが形成される。第1の嵌合凹部24は、環状としたリング部2Aにおいて第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bと対向する幅方向の内側を向いた面に第3の凹側荷重受け面24bが形成される。
【0040】
なお、本例では、第1の嵌合凹部24は、第2の嵌合凸部25に隣接して内側に形成されるので、第3の凹側荷重受け面24bは、第1の嵌合凹部24の内側を向いた面であり、かつ、第2の嵌合凸部25の内側を向いた面で構成される。
【0041】
第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが閉じて環状のリング部2Aが形成されると、第1のリング腕部20Rとリング背部20とが連結される箇所では、嵌合部22Rにおいて第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌る。また、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌る。
【0042】
第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌ると、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接する。また、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接する。
【0043】
更に、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌ると、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接する。
【0044】
これにより、第1の嵌合凸部23と第1の嵌合凹部24は、第1のリング腕部20R及びリング背部20の厚さ方向に形成される凹凸形状で嵌合する。また、第2の嵌合凸部25と第2の嵌合凹部26は、第1のリング腕部20R及びリング背部20の厚さ方向に形成される凹凸形状で嵌合する。更に、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、第1のリング腕部20R及びリング背部20の幅方向に形成される凹凸形状で嵌合する。
【0045】
嵌合部22Rでは、ヒンジ部21Rを支点とした開閉動作による第1の嵌合凸部23の軌跡が第1の嵌合凹部24に重ならないように構成され、第2の嵌合凸部25の軌跡が第2の嵌合凹部26に重ならないように構成される。これにより、ヒンジ部21Rを支点に第1のリング腕部20Rが開閉する動作では、嵌合部22Rが係止されず、挿抜自在に構成される。
【0046】
嵌合部22Lは、嵌合部22Rと同じ構成であり、第2のリング腕部20Lにおいて、ヒンジ部21Lにより連結されるリング背部20と対向する側の端部に第1の嵌合凸部23と第2の嵌合凹部26を備える。
【0047】
また、嵌合部22Lは、リング背部20において、ヒンジ部21Lにより連結される第2のリング腕部20Lと対向する側の端部に、第1の嵌合凸部23が嵌る第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凹部26に嵌る第2の嵌合凸部25を備える。
【0048】
第1の嵌合凸部23、第1の嵌合凹部24、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26の構成も同じであり、第1の嵌合凸部23と第1の嵌合凹部24との対向する面に、第1の凸側荷重受け面23a及び第1の凹側荷重受け面24aと、第3の凸側荷重受け面23b及び第3の凹側荷重受け面24bが形成される。また、第2の嵌合凸部25と第2の嵌合凹部26との対向する面に、第2の凸側荷重受け面25a及び第2の凹側荷重受け面26aが形成される。
【0049】
第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが閉じて環状のリング部2Aが形成されると、第2のリング腕部20Lとリング背部20とが連結される箇所でも、嵌合部22Lにおいて第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌る。また、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌る。
【0050】
第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌ると、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接する。また、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接する。
【0051】
更に、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌ると、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接する。
【0052】
これにより、第1の嵌合凸部23と第1の嵌合凹部24は、第2のリング腕部20L及びリング背部20の厚さ方向に形成される凹凸形状で嵌合する。また、第2の嵌合凸部25と第2の嵌合凹部26は、第2のリング腕部20L及びリング背部20の厚さ方向に形成される凹凸形状で嵌合する。更に、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、第2のリング腕部20L及びリング背部20の幅方向に形成される凹凸形状で嵌合する。
【0053】
嵌合部22Lでも、ヒンジ部21Lを支点とした開閉動作による第1の嵌合凸部23の軌跡が第1の嵌合凹部24に重ならないように構成され、第2の嵌合凸部25の軌跡が第2の嵌合凹部26に重ならないように構成される。これにより、ヒンジ部21Lを支点に第2のリング腕部20Lが開閉する動作では、嵌合部22Lが係止されず、挿抜自在に構成される。
【0054】
次に、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが閉じて環状のリング部2Aが形成した後、環状の形態を保持するため、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lを係止する構成について説明する。
【0055】
リング部2Aは、第1のリング腕部20Rの円弧の周方向に沿った先端に第1の係止部27aを備える。第1の係止部27aは、凹型ガイド部27bに係止爪27cを備える。
【0056】
凹型ガイド部27bは、第1のリング腕部20Rの先端側及び厚み方向の両側が開口した凹部を、第1のリング腕部20Rの外周側に設けて構成される。係止爪27cは、凹型ガイド部27bの内側に形成され、先端が三角形状で外側に向けて突出した鉤形状を有する。
【0057】
リング部2Aは、第2のリング腕部20Lの円弧の周方向に沿った先端に第2の係止部27dを備える。第2の係止部27dは、凸型ガイド部27eに爪受け部27fを備える。
【0058】
凸型ガイド部27eは、第2のリング腕部20Lの先端に、環状としたリング部2Aにおいて、第1の係止部27aの凹型ガイド部27bの間に嵌る形状の凸部を設けて構成される。爪受け部27fは、第1の係止部27aの凹型ガイド部27bの間に凸型ガイド部27eが嵌ると、第1の係止部27aの係止爪27cが嵌って係止される穴部を凸型ガイド部27eに設けて構成される。
【0059】
次に、リング部2Aを連結する背部3A及び背部3Aで連結されるリング部2Aのリング背部20の詳細について説明する。背部3Aは、直線状に延在し、所定の間隔毎にリング部2Aのリング背部20が一体に設けられる。
【0060】
リング背部20は、第1のスリット28aと第2のスリット28bを備える。第1のスリット28aは、リング背部20の内周側と外周側とを貫通した開口を、リング背部20の円弧の周方向に沿って設けて構成され、背部3Aが設けられる位置も開口する。
【0061】
第2のスリット28bは、背部3Aが設けられる位置は非開口で、リング背部20の円弧の周方向に沿って、背部3Aの両側に、リング背部20の内周側と外周側とを貫通した開口を設けて構成される。
【0062】
第1のスリット28a及び第2のスリット28bは、リング背部20の円弧の周方向に沿ったブリッジ28cが設けられ、開口の一部がブリッジ28cで連結される。
【0063】
綴じ部品1Aは、背部3Aの延在する方向に沿った両端側のリング部2Aに第1のスリット28aが設けられる。第1のスリット28aは、少なくとも、背部3Aの延在する方向に沿った両端の1箇所ずつのリング部2Aに設けられることが好ましく、両端側の2か所以上のリング部2Aに設けられることがより好ましい。また、背部3Aの延在する方向に沿った中央側にも第1のスリット28aが設けられることが好ましい。
【0064】
第2のスリット28bは、第1のスリット28aが設けられるリング部2A以外のリング部2Aに設けられる。
【0065】
これにより、綴じ部品1Aでは、落下等の衝撃で荷重が掛かった際に、第1のスリット28aが設けられた部位が変形して、衝撃が吸収される。また、第2のスリット28bを設けることで、後述する綴じ装置での綴じ動作で背部3Aが変形しないような剛性が確保される。
【0066】
<本実施の形態の綴じ部品の使用例>
図8は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す正面図で、
図8では、綴じ部品1Aが収納される形態を示す。
【0067】
綴じ部品1Aは、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを開いた状態として複数個が積載される。第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを開いた状態とすると、嵌合部22R及び嵌合部22Lにおいて、第1の嵌合凸部23が、第1のリング腕部20Rの端部及び第2のリング腕部20Lの端部から上方に向けて突出し、第2の嵌合凸部25が、リング背部20の両端部から上方に向けて突出する。
【0068】
第1の嵌合凸部23及び第2の嵌合凸部25は、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを開いて綴じ部品1Aを複数個積載した状態で、上下に重なり合う綴じ部品1Aの間に形成される隙間Eに収まるように形状及び大きさが設定されている。
【0069】
これにより、綴じ部品1Aを積層して収納する形態で、積層方向の高さが増加することが抑制され、収納に必要な空間を小さくすることができる。
【0070】
図9は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す斜視図、
図10は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す正面図、
図11は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す正面断面図であり、
図9〜
図11は、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを閉じる途中の形態を示す。
【0071】
また、
図12及び
図13は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す斜視図、
図14は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す正面図、
図15は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す正面断面図であり、
図12〜
図15は、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを閉じた形態を示す。
【0072】
以下に、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを閉じる動作について説明すると、後述する用紙処理装での綴じ動作等で、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lを閉じる方向に変位させる。
【0073】
図9〜
図11に示すように、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lを閉じる方向に変位させると、嵌合部22Rでは、第1の嵌合凸部23と第1の嵌合凹部24との嵌合が開始され、第2の嵌合凸部25と第2の嵌合凹部26との嵌合が開始される。また、嵌合部22Lでも同様に、第1の嵌合凸部23と第1の嵌合凹部24との嵌合が開始され、第2の嵌合凸部25と第2の嵌合凹部26との嵌合が開始される。
【0074】
第1の嵌合凸部23と第1の嵌合凹部24は、第1のリング腕部20R及びリング背部20の厚さ方向に形成される凹凸形状で嵌合する。また、第2の嵌合凸部25と第2の嵌合凹部26は、第1のリング腕部20R及びリング背部20の厚さ方向に形成される凹凸形状で嵌合する。
【0075】
これにより、第1のリング腕部20Rを閉じる工程で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、厚さ方向のガイドとなる。従って、第1のリング腕部20R及びリング背部20が、厚さ方向に位置ずれを起こすことが防止される。
【0076】
第2のリング腕部20L側も同様に、第2のリング腕部20Lを閉じる工程で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、厚さ方向のガイドとなる。従って、第2のリング腕部20L及びリング背部20が、厚さ方向に位置ずれを起こすことが防止される。
【0077】
また、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、第1のリング腕部20R及びリング背部20と、第2のリング腕部2LR及びリング背部20のそれぞれで、幅方向に形成される凹凸形状で嵌合する。
【0078】
これにより、第1のリング腕部20Rを閉じる工程で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、幅方向のガイドとなる。従って、第1のリング腕部20Rが、ヒンジ部21Rを支点とした回転動作の軸方向に位置ずれを起こすこと、及び、第1のリング腕部20Rがヒンジ部21Rでねじれる方向に位置ずれを起こすことが防止される。
【0079】
第2のリング腕部20L側も同様に、第2のリング腕部20Lを閉じる工程で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26は、幅方向のガイドとなる。従って、第2のリング腕部20Lが、ヒンジ部21Lを支点とした回転動作の軸方向に位置ずれを起こすこと、及び、第2のリング腕部20Lがヒンジ部21Lでねじれる方向に位置ずれを起こすことが防止される。
【0080】
図12〜
図15に示すように、第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが閉じると、第1の係止部27aの凹型ガイド部27bに第2の係止部27dの凸型ガイド部27eが嵌り、第1の係止部27aの係止爪27cが第2の係止部27dの爪受け部27fに係止される。
【0081】
上述したように、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを閉じる工程で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26によって、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lの幅方向及び厚さ方向の位置ずれが抑制される。
【0082】
これにより、第1の係止部27aと第2の係止部27dが係止される動作で、第1の係止部27aと第2の係止部27dとの位置ずれが抑制され、係止爪27cと爪受け部27fが確実に係止される。
【0083】
第1のリング腕部20Rと第2のリング腕部20Lが閉じて環状のリング部2Aが形成されると、嵌合部22Rにおいて第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌る。また、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌る。
【0084】
第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌ると、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接する。また、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接する。
【0085】
更に、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌ると、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接する。
【0086】
これにより、第1のリング腕部20Rとリング背部20とが連結される箇所に、落下等の衝撃で荷重が掛かった場合、例えば、リング背部20を内側方向に押圧するような荷重、及び、第1のリング腕部20Rを外側方向に押圧するような荷重は、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接することで受けられる。
【0087】
また、リング背部20を外側方向に押圧するような荷重、及び、第1のリング腕部20Rを内側方向に押圧するような荷重は、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接することで受けられる。
【0088】
更に、第1のリング腕部20Rあるいはリング背部20を、ヒンジ部21Rを支点とした回転動作の軸方向に押圧するような荷重は、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接することで受けられる。
【0089】
従って、第1のリング腕部20Rとリング背部20とが連結される箇所に、落下等の衝撃で任意の方向から掛かった荷重が、何れかの凸側荷重受け面と凹側荷重受け面の組み合わせによって受けられ、ヒンジ部21Rに掛かる荷重が低減される。よって、ヒンジ部21Rが損傷して、第1のリング腕部20Rがリング背部20から分離することを防止することができる。
【0090】
第2のリング腕部20L側も、嵌合部22Lで同様の作用が得られ、例えば、リング背部20を内側方向に押圧するような荷重、及び、第2のリング腕部20Lを外側方向に押圧するような荷重は、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接することで受けられる。
【0091】
また、リング背部20を外側方向に押圧するような荷重、及び、第2のリング腕部20Lを内側方向に押圧するような荷重は、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接することで受けられる。
【0092】
更に、第2のリング腕部20Lあるいはリング背部20を、ヒンジ部21Lを支点とした回転動作の軸方向に押圧するような荷重は、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接することで受けられる。
【0093】
従って、第2のリング腕部20Lとリング背部20とが連結される箇所に、落下等の衝撃で任意の方向から掛かった荷重が、何れかの凸側荷重受け面と凹側荷重受け面の組み合わせによって受けられ、ヒンジ部21Lに掛かる荷重が低減される。よって、ヒンジ部21Lが損傷して、第2のリング腕部20Lがリング背部20から分離することを防止することができる。
【0094】
また、綴じ部品1Aは、落下等の衝撃で荷重が掛かった際に、第1のスリット28aが設けられた部位が変形して、衝撃が吸収される。特に、背部3Aの延在方向の両端に位置するリング部2Aに第1のスリット28aを設けることで、冊子の角から落下したような場合に、背部3Aが湾曲するように変形して、衝撃を吸収することができる。
【0095】
図16は、本実施の形態の綴じ部品の使用例を示す要部正面図、
図17は、従来の綴じ部品の使用例を示す要部正面図である。リング腕部とリング背部が連結される箇所において、本実施の形態のような嵌合部を持たない従来の構成では、
図17に示すように、リング腕部200とリング背部201が、ヒンジ部202の変形で厚さ方向に位置ずれを起こして、段差部Dが形成される場合がある。このような場合、綴じ部品で綴じた用紙の穴の開口縁が段差部Dに当たる場合がある。そのような場合、綴じた用紙を円滑にめくれなくなる虞がある。
【0096】
これに対して、本実施の形態では、
図16に示すように、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接し、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接する。これにより、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lが、リング背部20に対して厚さ方向に位置ずれを起こすことが防止される。
【0097】
<本実施の形態の綴じ部品の変形例>
図18は、本実施の形態の綴じ部品の変形例を示す斜視図、
図19は、変形例の綴じ部品の要部構成を示す斜視図である。また、
図20は、本実施の形態の綴じ部品の他の変形例を示す斜視図、
図21は、他の変形例の綴じ部品の要部構成を示す斜視図である。
図1等に示す実施の形態の綴じ部品1Aは、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lに、1個の第1の嵌合凸部23を備えると共に、リング背部20に1個の第1の嵌合凹部24を備え、リング背部20に2個の第2の嵌合凸部25を備え、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lに、2個の第2の嵌合凹部26を備える構成である。
【0098】
これに対して、
図18及び
図19に示す変形例では、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lに、1個の第1の嵌合凸部23を備えると共に、リング背部20に1個の第1の嵌合凹部24を備える。また、リング背部20に、第1の嵌合凹部24に隣接して、1個の第2の嵌合凸部25を備え、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lに、第1の嵌合凸部23に隣接して、1個の第2の嵌合凹部26を備える。
【0099】
図18及び
図19に示す構成でも、第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌ると、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接する。また、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接する。
【0100】
更に、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌ると、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接する。
【0101】
従って、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lが閉じる動作で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26が、幅方向及び厚さ方向のガイドとなる。
【0102】
また、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lと、リング背部20とが連結される箇所に、落下等の衝撃で任意の方向から掛かった荷重が、何れかの凸側荷重受け面と凹側荷重受け面の組み合わせによって受けられ、ヒンジ部21L、21Rに掛かる荷重が低減される。
【0103】
図20及び
図21に示す変形例では、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lに、2個の第1の嵌合凸部23を備えると共に、リング背部20に2個の第1の嵌合凹部24を備える。また、リング背部20に2個の第2の嵌合凸部25を備え、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lに、2個の第2の嵌合凹部26を備える。
【0104】
図20及び
図21に示す構成でも、第1の嵌合凸部23が第1の嵌合凹部24に嵌ると、第1の嵌合凸部23の第1の凸側荷重受け面23aが第1の嵌合凹部24の第1の凹側荷重受け面24aに接する。また、第1の嵌合凸部23の第3の凸側荷重受け面23bが第1の嵌合凹部24の第3の凹側荷重受け面24bに接する。
【0105】
更に、第2の嵌合凸部25が第2の嵌合凹部26に嵌ると、第2の嵌合凸部25の第2の凸側荷重受け面25aが第2の嵌合凹部26の第2の凹側荷重受け面26aに接する。
【0106】
従って、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lが閉じる動作で、第1の嵌合凸部23及び第1の嵌合凹部24と、第2の嵌合凸部25及び第2の嵌合凹部26が、幅方向及び厚さ方向のガイドとなる。
【0107】
また、第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lと、リング背部20とが連結される箇所に、落下等の衝撃で任意の方向から掛かった荷重が、何れかの凸側荷重受け面と凹側荷重受け面の組み合わせによって受けられ、ヒンジ部21L、21Rに掛かる荷重が低減される。
【0108】
<用紙処理装置の構成例>
図22は、本実施の形態の綴じ部品が使用される用紙処理装置の一例を示す構成図で、
図22では、用紙処理装置の内部構成の概要を図示している。
【0109】
用紙処理装置4Aは、用紙100Aを搬送する第1の搬送路40と、第1の搬送路40から分岐した第2の搬送路41を備え、用紙類の搬送方向を途中で反転させるスイッチバック型等と称される搬送経路を構成する。ここで用紙類とは、1枚の用紙100A、用紙100Aを集積した用紙束100B、用紙束100Bを綴じ部品1Aで綴じた冊子100C等の総称である。
【0110】
また、用紙処理装置4Aは、用紙100Aに穴を開けるパンチ処理部5と、穴の開けられた複数枚の用紙を整列させた用紙束100Bを綴じて冊子を作成するバインダユニット6と、綴じられた冊子100C等を搬送する排出処理部7と、冊子100C等を収納する排紙スタッカ8を備える。
【0111】
第1の搬送路40は、用紙処理装置4A内の上部に配置され、回転駆動される複数のフィードローラ40aと、フィードローラ40aに対向する複数のガイドローラ40bと、図示しないガイド部材等を備え、給紙口40cと排出口40dとの間で用紙を搬送するほぼ水平で直線状の搬送経路を構成する。
【0112】
第1の搬送路40は、給紙口40c側から排出口40d側に向かう搬送方向Aにおける下流側に、搬送方向を切り換える切換ブレード40eを備えて、第1の搬送路40と第2の搬送路41との分岐部40fが形成される。また、第1の搬送路40は、分岐部40fの下流側で排出口40dとの間に反転保留部40gが形成される。
【0113】
第2の搬送路41は、分岐部40fで第1の搬送路40から下方へ分岐し、回転駆動されるフィードローラ41aと、フィードローラ41aに対向する複数のガイドローラ41bと、図示しないガイド部材等を備える。
【0114】
第2の搬送路41は、第1の搬送路40における搬送方向Aに対して逆向きに分岐し、切換ブレード40eの動作で反転保留部40gと連通する。
【0115】
切換ブレード40eは、回転駆動されることで、第1の搬送路40から退避する位置と、第1の搬送路40内に突出する位置との間を移動する。
【0116】
切換ブレード40eを第1の搬送路40から退避する位置とすると、第1の搬送路40を給紙口41cから搬送方向Aに搬送される用紙100Aは、切換ブレード40eを通過して、反転保留部40gへ搬送される。
【0117】
これに対して、切換ブレード40eを第1の搬送路40内に突出する位置とすると、搬送方向を反転させて第1の搬送路40を反転保留部40gから搬送方向Bに搬送される用紙100Aは、切換ブレード40eのガイドによって、第1の搬送路40から第2の搬送路41に送られる。
【0118】
これにより、第2の搬送路41は、第1の搬送路40を給紙口40c側から排出口40d側へと搬送方向Aに搬送される用紙100Aを、反転保留部40gで搬送方向を搬送方向Bへと反転させて、第1の搬送路40から下方にスイッチバックさせる搬送経路を構成する。
【0119】
第1の搬送路40は、反転保留部40gに用紙検出センサ40hを備える。用紙検出センサ40hは、第1の搬送路40を搬送方向Aに搬送される用紙100Aの後端が、切換ブレード40eを通過する位置まで搬送されたか否かを検出する。
【0120】
パンチ処理部5は、第2の搬送路41に配置され、用紙100Aの搬送方向先端の位置合わせを行う突き当てシャッタ50と、用紙100Aの左右方向の位置合わせを行う幅寄せ機構部51と、用紙100Aの穴開けを行うパンチ刃52等を備える。
【0121】
突き当てシャッタ50は、第2の搬送路41内に突出して、パンチ処理部5に送り込まれた用紙100Aが突き当たる位置と、第2の搬送路41から退避して、用紙100Aが通過できる位置との間を移動して、パンチ処理部5を開閉する構成を有する。突き当てシャッタ50が第2の搬送路41内に突出すると、第2の搬送路41を搬送される用紙100Aの先端が突き当てられ、用紙100Aの先端が所定の位置に規制される。
【0122】
幅寄せ機構部51は、用紙100Aの搬送方向に対する左右の一方に幅寄せガイドを備えると共に、他方に基準ガイドを備え、幅寄せガイドが基準ガイドに対して接近及び離間する方向に移動して、パンチ処理部5に送り込まれた用紙100Aを基準ガイドに突き当てる構成を有する。
【0123】
パンチ刃52は、第2の搬送路41を搬送される用紙100Aの面に対して直交する方向に往復移動する構成で、突き当てシャッタ50と幅寄せ機構部51により用紙100Aの位置合わせを行い、パンチ刃52を往復移動させると、用紙100Aに所定の穴が開けられる。
【0124】
なお、パンチ刃52で用紙100Aに穴を開けることで発生するパンチかすを回収するため、パンチ処理部5の下部にパンチかすスタッカ53が備えられる。
【0125】
バインダユニット6は綴じ手段の一例で、パンチ処理部5の下流側に配置され、パンチ処理部5で穴の開けられた複数枚の用紙を揃えて集積する紙揃え部60と、用紙を綴じる綴じ部品101を収納した綴じ部品スタッカ61と、紙揃え部60で揃えて集積された用紙束100Bを綴じ部品101で綴じる綴じ部62を備える。
【0126】
紙揃え部60は、用紙の一時保留部60aに、用紙の搬送方向の先端の位置合わせを行う突き当てシャッタ60bと、用紙の左右方向の位置合わせを行う幅寄せ機構部60cと、用紙を突き当てシャッタ60bに突き当てるパドル機構部60dと、用紙束100Bや冊子100C等の冊子類を保持するクランプ機構部60eを備える。
【0127】
突き当てシャッタ60bは、一時保留部60a内に突出して、紙揃え部60に送り込まれた用紙が突き当たる位置と、一時保留部60aから退避して冊子類が通過できる位置との間を移動して、一時保留部60aを開閉する構成を有する。
【0128】
幅寄せ機構部60cは、用紙の搬送方向に対する左右の一方に幅寄せガイドを備えると共に、他方に基準ガイドを備え、幅寄せガイドが基準ガイドに対して接近及び離間する方向に移動して、バインダユニット6に送り込まれた用紙を基準ガイドに突き当てる構成を有する。
【0129】
パドル機構部60dは、円周方向に複数枚の舌片が配置され、回転駆動されるパドルローラを備えて、紙揃え部60に送り込まれた用紙を掻き込んで、一時保留部60a内に突出した突き当てシャッタ60bに突き当てる構成を有する。なお、パドルローラの回転軸は、幅寄せ機構部60cの固定側のガイド方向に傾斜しており、パドルローラは、紙揃え部60に送り込まれた用紙に対し、幅寄せ機構部60cの固定側のガイド方向に突き当てる力も与えている。
【0130】
クランプ機構部60eは、紙揃え部60に送り込まれ、突き当てシャッタ60bと幅寄せ機構部60cとパドル機構部60dで整列された用紙束100Bを挟持して保持すると共に、保持した用紙束100Bを所定の処理位置に移動させる構成を有する。
【0131】
綴じ部品スタッカ61は、複数の綴じ部品1Aが上下方向に積載されて収納され、下部に綴じ部品101の取り出し口を備え、綴じ部62との協働で、綴じ部品1Aを1個ずつ繰り出す構成を有する。
【0132】
綴じ部62は、綴じ部品スタッカ61に収納された綴じ部品1Aを取り出して綴じる綴じ機構部62a等を備え、回転駆動されることで回転支点62bを軸に回動して、綴じ機構部62aが綴じ部品スタッカ61と対向する綴じ部品取り出し位置と、紙揃え部60と対向する用紙綴じ位置との間を移動する。
【0133】
綴じ機構部62aは、綴じ部品スタッカ61と対向する位置で、綴じ部品スタッカ61から綴じ部品1Aを取り出して保持し、紙揃え部60と対向する位置で、紙揃え部60で整列保持された用紙束100Bを綴じ部品101で綴じる構成を有する。
【0134】
バインダユニット6は、紙揃え部60から排出処理部7への搬送経路に用紙検出センサ63を備える。用紙検出センサ63は用紙検出手段の一例で、紙揃え部60で整列され、綴じ部品1Aで綴じられた冊子100C、あるいは紙揃え部60で整列され、綴じられていない用紙束100B等の冊子類が、排出処理部7へ受け渡されたか否かを検出する。
【0135】
排出処理部7は、バインダユニット6の下流側に配置され、バインダユニット6を第1の装置として冊子類を受け取り、搬送方向を反転させて排紙スタッカ8に排紙する用紙処理装置4Aを構成する。
【0136】
用紙処理装置4Aは、バインダユニット6から冊子類を受け取り、搬送方向を切り換えて冊子類を搬送するベルト搬送機構70と、ベルト搬送機構70から冊子類を受け取り、排紙スタッカ8に排出するベルト搬送機構74等を備える。
【0137】
ベルト搬送機構70は、受け具70aが取り付けられた無端状の搬送ベルトが、回転駆動される1対のプーリ間に掛けられる。ベルト搬送機構70の受け具70aは、冊子類の端面側を支持する形状を有する。ベルト搬送機構70が所定の方向に回転駆動されると、受け具70aはガイド面から突出して搬送方向に移動する。
【0138】
ベルト搬送機構70は、冊子類の搬送方向に沿った一方の端部側である下端側が、用紙処理装置4Aの枠体に第1の回転支点73aを介して軸支される。
【0139】
ベルト搬送機構70は、第1の回転支点73aを軸に回動し、バインダユニット6からの搬送経路を形成する
図22に破線で示す用紙受取位置と、第2の排紙搬送路11への搬送経路を形成する
図22に実線で示す用紙排出位置との間を移動する。
【0140】
ベルト搬送機構74は、受け具74aが取り付けられた無端状の搬送ベルトが、回転駆動される1対のプーリ間に掛けられる。ベルト搬送機構74の受け具74aは、冊子類の端面側を支持する形状を有し、ベルト搬送機構74が所定の方向に回転駆動されると、搬送方向に移動する。
【0141】
ここで、ベルト搬送機構74は、第1の排紙搬送路10側のプーリ74bが、第1の排紙搬送路10に入り込む位置まで延在しており、用紙排出位置に移動した第1の排紙搬送路10と第2の排紙搬送路11との間で、冊子類の受け渡しが行えるようになっている。
【0142】
排紙スタッカ8は、排出処理部7の下流側に配置され、積載ステージ80を備える。積載ステージ80は、装置の手前方向に引出し可能なトレイ81を備え、ステージ昇降機構80aにより上下方向に昇降する構成を有する。
【0143】
上述したように、スイッチバック型の搬送経路を備えた用紙処理装置4Aでは、複数枚の用紙100Aを集積して綴じた冊子100Cまたは複数枚の用紙100Aを集積した用紙束100B等の冊子類が、きつく湾曲するような搬送経路を設けることなく、直線状あるいは半径の大きな曲線状の搬送経路の組み合わせで、所望の搬送経路を構成することができる。
【0144】
<用紙処理装置の動作例>
次に、用紙処理装置4Aで用紙を綴じる動作例について、各図を参照して説明する。
【0145】
用紙処理装置4Aは、図示しない複写機等と接続され、印刷等の所定の処理が行われた用紙100Aが、1枚ずつ給紙口40cから給紙される。用紙を綴じ部品1Aで綴じる動作では、用紙100Aをパンチ処理部5に搬送する搬送処理が行なわれ、パンチ処理部5で穿孔処理を行なった後、バインダユニット6で整列処理が行なわれる。
【0146】
図23は、用紙処理装置4Aにおける搬送処理から整列処理までの一例を示す動作説明図である。
【0147】
用紙100Aをパンチ処理部5に搬送する搬送処理では、第1の搬送路40のフィードローラ40aが回転駆動され、第1の搬送路40において用紙100Aが搬送方向Aに搬送される正回転方向にフィードローラ40aを回転させる。
【0148】
これにより、第1の搬送路40に給紙された用紙100Aは、正回転方向に回転駆動されるフィードローラ40aとガイドローラ40bとの間に挟持され、図示しないガイド部材によってガイドされて、第1の搬送路40を給紙口40cから排出口40dへと向かう搬送方向Aに搬送される。
【0149】
第1の搬送路40を搬送方向Aに搬送される用紙100Aの後端が用紙検出センサ40hで検出され、用紙100Aが切換ブレード40eを通過して反転保留部40gまで搬送されたと判断すると、用紙100Aの搬送が一時停止される。
【0150】
用紙100Aの搬送を一時停止した後、切換ブレード40eが回転駆動され、反転保留部40gから第2の搬送路41への搬送経路を開いて搬送方向を切り換える。
【0151】
切換ブレード40eを回転駆動して搬送方向が第2の搬送路41へ切り換えられると、第1の搬送路40において用紙100Aが搬送方向Bに搬送される逆回転方向にフィードローラ40aを回転させる。また、第2の搬送路41のフィードローラ41aを回転駆動し、第2の搬送路41において用紙100Aがパンチ処理部5へ搬送される方向にフィードローラ41aを回転させる。
【0152】
これにより、反転保留部40gで一時保留された用紙100Aは搬送方向が反転して搬送方向Bに搬送され、切換ブレード40eにガイドされて第1の搬送路40から第2の搬送路41に送られる。
【0153】
第2の搬送路41に送られた用紙100Aは、フィードローラ41aとガイドローラ41bとの間に挟持され、図示しないガイド部材によってガイドされて、第2の搬送路41をパンチ処理部5へ搬送される。
【0154】
パンチ処理部5では、用紙100Aに穴を開ける穿孔処理を行うため、突き当てシャッタ50を用紙100Aの搬送経路に突出させると共に幅寄せ機構部51を駆動する。
【0155】
これにより、パンチ処理部5へ搬送された用紙100Aは、先端が突き当てシャッタ50に突き当てられ、側端が図示しない基準ガイドに突き当てられて、位置合わせが行われる。
【0156】
用紙100Aの位置合わせが行われると、パンチ刃52を駆動して、用紙100Aに所定の穴を開けた後、突き当てシャッタ50を開く。突き当てシャッタ50が開くと、パンチ処理部5で穴の開けられた用紙100Aは、バインダユニット6に搬送される。
【0157】
バインダユニット6では、まず、穴の開けられた所定枚数の用紙100Aを集積して整列させる整列処理を行うため、突き当てシャッタ60bを一時保留部60aに突出させ、幅寄せ機構部60cとパドル機構部60dを駆動する。
【0158】
これにより、パンチ処理部5で穴が開けられてバインダユニット6に搬送された用紙100Aは、先端が突き当てシャッタ60bに突き当てられ、側端が図示しない基準ガイドに突き当てられて、位置合わせが行われる。
【0159】
用紙100Aの位置合わせが行われると、クランプ機構部60eを閉じる。クランプ機構部60eを閉じると、位置合わせされた用紙100Aが、位置ずれを起こすことなくクランプ機構部60eで挟持されて保持される。
【0160】
そして、所定の枚数の用紙100Aが一時保留部60aに整列されて集積されるまで、上述した搬送処理、穿孔処理及び整列処理が繰り返される。
【0161】
穴の開けられた用紙100Aが一時保留部60aに順次搬送されて、所定枚数の用紙100Aがクランプ機構部60eにより整列保持されると、一連の搬送処理、穿孔処理及び整列処理を停止する。
【0162】
図24及び
図25は、用紙処理装置4Aにおける綴じ処理の一例を示す動作説明図で、
図24は、綴じ部品スタッカ61から綴じ部品1Aを取り出す動作を示し、
図25は、綴じ部品1Aで用紙束100Bを綴じる動作を示す。
【0163】
バインダユニット6では、綴じ部62が綴じ部品取り出し位置に待機しており、次に、所定枚数の用紙100Aを綴じ部品1Aで綴じる綴じ処理を行なうため、綴じ機構部62aが駆動される。綴じ機構部62aは、所定の動作で綴じ部品スタッカ61に収納された綴じ部品1Aの
図3等に示す背部3Aを掴み、
図24に模式的に示すように、綴じ部品スタッカ61から1個の綴じ部品1Aを取り出して保持する。
【0164】
綴じ部品スタッカ61から綴じ部品1Aが取り出されると、綴じ部62が回転駆動され、
図25に示すように、綴じ部62を回転支点62bを軸に回動させて用紙綴じ位置に移動させる。
【0165】
次に、クランプ機構部60eが駆動され、整列保持された用紙束100Bを所定の処理位置に移動させ、綴じ機構部62aを駆動して綴じ部品1Aの
図3等に示す第1のリング腕部20R及び第2のリング腕部20Lを閉じる方向に押圧し、第1の係止部27aと第2の係止部27dを係止させて、用紙束100Bを綴じ部品1Aで綴じる。これにより、用紙束100Bが綴じ部品1Aで綴じられた冊子100Cが作成される。
【0166】
図26は、冊子100Cの一例を示す斜視図である。冊子100Cは、穴102の開けられた複数枚の用紙を集積した用紙束100Bが綴じ部品1Aで綴じられたものである。なお、本実施の形態においては、用紙処理装置4Aによって綴じ部品1Aを用いて用紙束100Bを綴じる例を示したが、用紙処理装置4Aに代えて、作業者が自身の手によって綴じ部品1Aを用いて用紙束100Bを綴じるようにしても良い。
【0167】
図27〜
図31は、用紙処理装置4Aにおける排紙処理の一例を示す動作説明図で、
図27は、排出処理部7のベルト搬送機構70を用紙受取位置に移動させる動作を示し、
図28は、ベルト搬送機構70で冊子100Cを受け取る動作を示す。また、
図29は、ベルト搬送機構70を用紙排出位置に移動させる動作を示し、
図30は、排出処理部7で冊子100Cを搬送する動作を示し、
図31は、冊子100Cを排紙スタッカ8に排出する動作を示す。
【0168】
バインダユニット6で用紙束100Bが綴じ部品101で綴じられて、冊子100Cが作成されると、冊子100Cの排紙処理を行なうため、綴じ部62を、回転支点62bを軸に回動させて綴じ部品取り出し位置に移動させる。次に、ベルト搬送機構70を第1の回転支点73aを軸に回動させて、
図27に示すように、用紙受取位置に移動させる。
【0169】
ベルト搬送機構70が用紙受取位置に移動されると、クランプ機構部60eを開く。クランプ機構部60eを開くと、クランプ機構部60eで一時保留部60aに保持されていた冊子100Cが、
図28に示すように、ベルト搬送機構70で形成される搬送経路に自重で落下する。
【0170】
一時保留部60aから落下する冊子100Cの後端が用紙検出センサ63で検出され、冊子100Cが正常にベルト搬送機構70に搬送されたと判断すると、ベルト搬送機構70が回転駆動され、
図29に示すように、ベルト搬送機構70を第1の回転支点73aを軸に回動させて、用紙排出位置に移動させる。
【0171】
ベルト搬送機構70を用紙排出位置に移動させると、ベルト搬送機構70が回転駆動される。ベルト搬送機構70が回転駆動されると、受け具70aが冊子100Cを支持してベルト搬送機構74方向に移動し、冊子100Cをベルト搬送機構74へ搬送する。
【0172】
ベルト搬送機構74が回転駆動されると、
図30に示すように、ベルト搬送機構70の受け具70aで支持された冊子100Cを受け具74aで受け取る。冊子100Cを受け取った受け具74cは、冊子100Cを支持して排紙スタッカ8方向に移動し、冊子100Cを排紙スタッカ8へ搬送する。
【0173】
受け具74aが所定の位置まで移動すると、ベルト搬送機構74で搬送される冊子100Cは、
図31に示すように、排出部75cから排紙スタッカ8に排出される。
【0174】
冊子100Cが排紙スタッカ8に搬送されると、積載ステージ80を所定量下降させ、トレイ81上に次の冊子100Cを受け入れる空間を確保する。