(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周方向浅溝と交差する前記ラグ溝の交差部分を含む前記ラグ溝の交差周辺領域の前記ラグ溝の溝底は、前記交差周辺領域からはずれた領域の溝底に比べて溝深さが浅くなった底上げ部を形成し、
前記ラグ溝の前記底上げ部のうち、前記交差部分からタイヤ幅方向内側に延びる部分の前記ラグ溝に沿った長さは、前記底上げ部のうち、前記交差部分からタイヤ幅方向外側に延びる部分の前記ラグ溝に沿った長さに比べて長い、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
前記ラグ溝が前記内側周方向主溝と交差する位置において、前記ラグ溝と前記内側周方向主溝とにより鋭角の角度で先端が形成された鋭角角部を、前記内側中間陸部ブロックは有し、前記内側中間陸部ブロックのタイヤ幅方向における幅は、タイヤ周方向において前記鋭角角部に近づくにつれて広くなっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記周方向浅溝のタイヤ幅方向の中心位置は、前記中間陸部のタイヤ幅方向における最大幅の40〜60%の距離だけ、前記内側周方向主溝の前記内側中間陸部と接する縁から離れた位置にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記外側中間陸部ブロックのうち、前記ラグ溝が前記外側周方向主溝と交差する位置において、前記ラグ溝と前記外側周方向主溝とにより鈍角の角度で形成された鈍角角部を、前記外側中間陸部ブロックを有し、
前記外側中間陸部ブロックが前記外側周方向主溝と接するエッジには、前記鈍角角部からタイヤ周方向に延びる面取りが設けられ、前記面取りはタイヤ周方向において前記鈍角角部から遠く離れるにつれて面取り幅が小さくなり、前記エッジのタイヤ周方向の両端のうち前記鈍角角部と反対側の角部に進む途中で終了する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記外側周方向主溝のタイヤ幅方向外側には、ショルダー陸部が設けられ、前記ショルダー陸部の領域には、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって延び、前記外側周方向主溝に接続することなく閉塞するショルダーラグ溝が設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オールシーズンタイヤは、ドライ、ウェット、スノーといった様々な路面状況に対応できるタイヤ性能を備えることが望ましい。しかし、特許文献1のタイヤでは、ドライ路面での耐摩耗性能と、ウェット性能およびスノー性能とのバランスが十分ではない。具体的には、ウェット旋回性能及び雪上操縦安定性能を改善しようとすると、ドライ路面での耐摩耗性能が低下してしまう。
本発明は、ドライ路面での耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上する空気入りタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ビードと、サイドウォールと、ベルト層と、カーカス層と、トレッドパターンを有するトレッド部と、を含む空気入りタイヤである。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に並行する4本の周方向主溝であって、2本の外側周方向主溝と、前記外側周方向主溝に挟まれた2本の内側周方向主溝とを含み、前記内側周方向主溝の間をタイヤセンターラインが通る、周方向主溝群と、
前記2本の内側周方向主溝により画され、前記タイヤセンターラインが通過する中央陸部の領域、及び、前記外側周方向主溝と前記内側周方向主溝とにより画された2つの中間陸部の領域を横切って、前記中央陸部及び前記中間陸部の領域に複数の陸部ブロックを形成させる複数のラグ溝と、
前記中間陸部の領域のそれぞれに設けられ、タイヤ周方向に延び、前記中間陸部の陸部ブロックを、タイヤ幅方向内側に位置する内側中間陸部ブロックとタイヤ幅方向外側に位置する外側中間陸部ブロックとに区分けする、前記周方向主溝に比べて溝深さの浅い周方向浅溝と、を含む。
前記中間陸部の領域のそれぞれに設けられるラグ溝は、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むとき、前記周方向浅溝と交差する位置で前記ラグ溝の傾斜がタイヤ周方向に近づくように屈曲する屈曲部を有し、
前記ラグ溝のうち前記中央陸部の領域をタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって横切るラグ溝のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きと、前記ラグ溝のうち前記中間陸部の領域をタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって横切るラグ溝のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きは、タイヤ幅方向の向きを境にして互いに反対の向きである。
前記内側中間陸部ブロックの領域には、前記周方向浅溝からタイヤ幅方向内側に延びる内側サイプが設けられ、前記外側中間陸部ブロックの領域には、前記周方向浅溝からタイヤ幅方向外側に延びる外側サイプが設けられる。
前記内側サイプは、トレッド表面からトレッド内部にジグザグ状にあるいはタイヤ径方向に対して傾斜した方向に延びること、及び、トレッド表面においてジグザグ状に延びることを満足し、
前記外側サイプは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることの少なくとも一方を満足する。
【0006】
本発明の他の一態様も、ビードと、サイドウォールと、ベルト層と、カーカス層と、トレッドパターンを有するトレッド部と、を含む空気入りタイヤである。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に並行する4本の周方向主溝であって、2本の外側周方向主溝と、前記外側周方向主溝に挟まれた2本の内側周方向主溝とを含み、前記内側周方向主溝の間をタイヤセンターラインが通る、周方向主溝群と、
前記2本の内側周方向主溝により画され、前記タイヤセンターラインが通過する中央陸部の領域、及び、前記外側周方向主溝と前記内側周方向主溝とにより画された2つの中間陸部の領域を横切って、前記中央陸部及び前記中間陸部の領域に複数の陸部ブロックを形成させる複数のラグ溝と、
前記中間陸部の領域のそれぞれに設けられ、タイヤ周方向に延び、前記中間陸部の陸部ブロックを、タイヤ幅方向内側に位置する内側中間陸部ブロックとタイヤ幅方向外側に位置する外側中間陸部ブロックとに区分けする、前記周方向主溝に比べて溝深さの浅い周方向浅溝と、を含む。
前記中間陸部の領域のそれぞれに設けられるラグ溝は、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むとき、前記周方向浅溝と交差する位置で前記ラグ溝の傾斜がタイヤ周方向に近づくように屈曲する屈曲部を有し、
前記ラグ溝のうち前記中央陸部の領域をタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって横切るラグ溝のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きと、前記ラグ溝のうち前記中間陸部の領域をタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって横切るラグ溝のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きは、タイヤ幅方向の向きを境にして互いに反対の向きである。
前記内側中間陸部ブロックの領域には、前記周方向浅溝からタイヤ幅方向内側に延びる内側サイプが設けられ、前記外側中間陸部ブロックの領域には、前記周方向浅溝からタイヤ幅方向外側に延びる外側サイプが設けられる。
前記内側サイプは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面においてジグザグ状に延びることを満足し、
前記外側サイプは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることを満足する。
【0007】
前記周方向浅溝と交差する前記ラグ溝の交差部分を含む前記ラグ溝の交差周辺領域の前記ラグ溝の溝底は、前記交差周辺領域からはずれた領域の溝底に比べて溝深さが浅くなった底上げ部を形成し、
前記ラグ溝の前記底上げ部のうち、前記交差部分からタイヤ幅方向内側に延びる部分の前記ラグ溝に沿った長さは、前記底上げ部のうち、前記交差部分からタイヤ幅方向外側に延びる部分の前記ラグ溝に沿った長さに比べて長い、ことが好ましい。
【0008】
本発明のさらに他の一態様も、ビードと、サイドウォールと、ベルト層と、カーカス層と、トレッドパターンを有するトレッド部と、を含む空気入りタイヤである。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に並行する4本の周方向主溝であって、2本の外側周方向主溝と、前記外側周方向主溝に挟まれた2本の内側周方向主溝とを含み、前記内側周方向主溝の間をタイヤセンターラインが通る、周方向主溝群と、
前記2本の内側周方向主溝により画され、前記タイヤセンターラインが通過する中央陸部の領域、及び、前記外側周方向主溝と前記内側周方向主溝とにより画された2つの中間陸部の領域を横切って、前記中央陸部及び前記中間陸部の領域に複数の陸部ブロックを形成させる複数のラグ溝と、
前記中間陸部の領域のそれぞれに設けられ、タイヤ周方向に延び、前記中間陸部の陸部ブロックを、タイヤ幅方向内側に位置する内側中間陸部ブロックとタイヤ幅方向外側に位置する外側中間陸部ブロックとに区分けする、前記周方向主溝に比べて溝深さの浅い周方向浅溝と、を含む。
前記中間陸部の領域のそれぞれに設けられるラグ溝は、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むとき、前記周方向浅溝と交差する位置で溝傾斜がタイヤ周方向に近づくように屈曲する屈曲部を有し、
前記ラグ溝のうち前記中央陸部の領域をタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって横切るラグ溝のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きと、前記ラグ溝のうち前記中間陸部の領域をタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって横切るラグ溝のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きは、タイヤ幅方向の向きを境にして互いに反対の向きである。
前記ラグ溝の、前記周方向浅溝と交差する交差部分と前記交差部分前後の領域を含む前記ラグ溝の交差周辺領域の溝底は、前記交差周辺領域からはずれた領域の溝底に比べて高くなった底上げ部を形成する。
前記ラグ溝の前記底上げ部のうち、前記交差部分からタイヤ幅方向内側に延びる部分の前記ラグ溝に沿った長さは、前記底上げ部のうち、前記交差部分からタイヤ幅方向外側に延びる部分の前記ラグ溝に沿った長さに比べて長い。
【0009】
前記ラグ溝が前記内側周方向主溝と交差する位置において、前記ラグ溝と前記内側周方向主溝とにより鋭角の角度で先端が形成された鋭角角部を、前記内側中間陸部ブロックは有し、前記内側中間陸部ブロックのタイヤ幅方向における幅は、タイヤ周方向において前記鋭角角部に近づくにつれて広くなっている、ことが好ましい。
【0010】
前記周方向浅溝のタイヤ幅方向の中心位置は、前記中間陸部のタイヤ幅方向における最大幅の40〜60%の距離だけ、前記内側周方向主溝の前記内側中間陸部と接する縁から離れた位置にある、ことが好ましい。
【0011】
前記外側中間陸部ブロックのうち、前記ラグ溝が前記外側周方向主溝と交差する位置において、前記ラグ溝と前記外側周方向主溝とにより鈍角の角度で形成された鈍角角部を、前記外側中間陸部ブロックを有し、
前記外側中間陸部ブロックが前記外側周方向主溝と接するエッジには、前記鈍角角部からタイヤ周方向に延びる面取りが設けられ、前記面取りはタイヤ周方向において前記鈍角角部から遠く離れるにつれて面取り幅が小さくなり、前記エッジのタイヤ周方向の両端のうち前記鈍角角部と反対側の角部に進む途中で終了する、ことが好ましい。
【0012】
前記外側周方向主溝のタイヤ幅方向外側には、ショルダー陸部が設けられ、前記ショルダー陸部の領域には、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって延び、前記外側周方向主溝に接続することなく閉塞するショルダーラグ溝が設けられている、ことが好ましい。
【0013】
前記ショルダーラグ溝の溝幅は、前記ラグ溝の最大溝幅に比べて広い、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上述のタイヤによれば、ドライ路面での耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態である空気入りタイヤ1の外観を示す。
空気入りタイヤ(以下、タイヤという)1は、乗用車用タイヤである。
本発明のタイヤ1の構造及びゴム部材は、公知のものが用いられてもよいし、新規なものが用いられてもよく、本発明において、特に限定されない。
【0017】
タイヤ1は、
図2に示すように、トレッド部2と、サイドウォール3と、ビード4と、カーカス層5と、ベルト層6とを有する。
図2は、タイヤ1の一部を示す半断面図である。この他に、図示されないが、タイヤ1は、インナライナ層等を有する。サイドウォール3及びビード4は、トレッド部2を挟むようにタイヤ幅方向の両側に配されて対を成している。
トレッド部2、ビード4、ベルト層6、インナライナ層等は、公知のものが用いられてもよいし、新規なものが用いられてもよく、本発明において、特に限定されない。
【0018】
本発明のタイヤ1は、
図3に示すように、トレッド部に本発明の特徴とするトレッドパターン10が形成されている。
図3は、本発明のタイヤ1のトレッドパターン10を分かりやすく平面展開視した図である。トレッドパターン10を有するタイヤ1は、乗用車用タイヤに好適に用いることができる。後で説明する周方向主溝、ラグ溝、サイプ、接地幅、面取り、周方向浅溝、ショルダーラグ溝、陸部ブロックの寸法は、乗用車用タイヤにおける数値例である。
【0019】
本発明のタイヤ1は、車両外側に向けて装着するタイヤの装着向きが予め定められている。
図3において、符号CLはタイヤセンターライン(タイヤ赤道線)を示す。タイヤ1は、タイヤ赤道線CLより
図3の紙面左側のトレッドパターン10の領域は車両内側に装着され、タイヤ赤道線CLより
図3の紙面右側のトレッドパターン10の領域は車両外側に装着されるが、これとは逆に、車両内側と車両外側とを逆にして車両に装着されてもよい。
【0020】
トレッドパターン10は、タイヤ1が車両に装着された状態で、接地幅11wで示すタイヤ幅方向領域において路面に接地する。なお、トレッドパターン10において斜線で示す領域は、接地端よりタイヤ周方向外側の領域である。
ここで、接地端は以下のように定められる。タイヤ10を正規リムに組み付け、正規内圧180kPaを充填し、正規荷重の88%を負荷荷重とした条件において水平面に接地させたときの接地面のタイヤ幅方向端部である。なお、ここでいう正規リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいうが、タイヤが乗用車用である場合は180kPaとする。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。
【0021】
本発明においてタイヤ幅方向とは、タイヤ1の回転中心軸方向をいい、タイヤ周方向とは、タイヤ回転中心軸を中心にタイヤ1を回転させたときにできるトレッド表面の回転面の回転方向をいう。タイヤ幅方向外側とは、ある比較対象の位置に対してタイヤセンターラインCLから離れる側をいい、タイヤ幅方向内側とは、ある比較対象の位置に対してタイヤセンターラインCLに近い側をいう。
図3にこれらの方向を記している。本発明のトレッドパターン10は、タイヤの回転方向は、特に限定されない。
本発明のタイヤ1は、
図3に示すトレッドパターン10とタイヤ周方向に寸法の等しいいピッチをタイヤ周方向に並べたものであってもよく、ピッチバリエーションを施すために、トレッドパターン10とは、タイヤ周方向に寸法の異なる複数種のピッチをタイヤ周方向に並べたものであってもよい。
【0022】
トレッドパターン10は、タイヤ周方向に並行する4本の周方向主溝11,13,15,17を含む周方向主溝群と、ラグ溝31,33,35と、周方向浅溝41,43と、を備えている。
【0023】
(周方向主溝群)
周方向主溝群は、2本の外側周方向主溝11,13と、2本の内側周方向主溝15,17とを含む。外側周方向主溝11,13は、内側周方向主溝15,17に対して、タイヤ幅方向の外側に配置されている。2本の内側周方向主溝15,17は、外側周方向主溝11,13に挟まれて配置されている。タイヤ幅方向における内側周方向主溝15と内側周方向主溝17との間には、タイヤセンターラインCLが通っている。外側周方向主溝11,13及び内側周方向主溝15,17の溝深さは、互いに等しいが、他の実施形態では異なってもよい。外側周方向主溝11,13及び内側周方向主溝15,17の各溝幅の合計量は、ウェット性能の点で、接地幅11wの15〜25%であるのが好ましい。
【0024】
(ラグ溝)
ラグ溝31,33,35は、中央陸部21の領域、および、中間陸部23,25の領域を横切る溝であり、それぞれタイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。ラグ溝31,ラグ溝33,35は、それぞれ、直線的に延びていてもよく、緩やかに湾曲して延びていてもよい。ラグ溝31,33,35の溝幅31w,33w,35wは、いずれもタイヤ幅方向にわたって等しく、例えば、2〜7mmである。
【0025】
ここで、中央陸部21,中間陸部23,25について説明する。
中央陸部21は、2本の内側周方向主溝15,17により画されることで形成された部分である。中央陸部21の領域には、タイヤセンターラインCLが通過する。ラグ溝31は、中央陸部21の領域に、タイヤ周方向に複数の陸部ブロック22を形成する。ラグ溝31は、
図4に示すように、タイヤ周方向のX2方向に対して傾斜角θce傾斜して延びている。
図4は、トレッドパターン10を一部拡大して示す図である。傾斜角θceは、例えば、60〜85度である。このようにラグ溝31が、タイヤ周方向に比べて、タイヤ幅方向に近い傾斜角を有していることにより、陸部ブロック22の高いブロック剛性が確保されるとともに、車両走行中の小舵角でのウェット旋回性能および雪上操縦安定性能が向上する。なお、ラグ溝31が緩やかに湾曲して延びる場合、傾斜角θceは、ラグ溝31が、内側周方向主溝15および内側周方向主溝17とそれぞれ接続する部分のラグ溝31の幅方向の接続の中心位置にある2つの点を結ぶ直線のX2方向に対する傾きを表す。
【0026】
中間陸部23は、外側周方向主溝11と内側周方向主溝15とにより画されることで形成された部分である。ラグ溝33は、中間陸部23の領域に、タイヤ周方向に複数の陸部ブロック24を形成する。また、中間陸部25は、外側周方向主溝13と内側周方向主溝17とにより画されることで、外側周方向主溝13と内側周方向主溝17の間に形成された部分である。ラグ溝35は、中間陸部25の領域に、タイヤ周方向に複数の陸部ブロック26を形成する。
【0027】
タイヤ幅方向外側から内側に進むラグ溝33の、X1方向に対して傾斜する溝傾斜の向きは、タイヤ幅方向外側から内側に進むラグ溝35の、X2方向に対して傾斜する溝傾斜の向きと同じである。言い換えると、ラグ溝33とラグ溝35は、タイヤ周方向のX1方向又はX2方向に対して、同じ向きに傾斜している。なお、溝傾斜の向きは、タイヤ周方向のX1方向またはX2方向に対して−90度(反時計回りに90度)〜90度(時計回りに90度)の範囲において、溝傾斜が、−90〜0度の範囲で傾斜しているか、あるいは0〜90度の範囲で傾斜しているかの区別を表し、同じ範囲で傾斜している溝同士は、溝傾斜の向きが同じであり、異なる角度範囲で傾斜している溝同士は、溝傾斜の向きが異なる。
一方、上述のラグ溝31がタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に向かって中央陸部21の領域を横切るとき、ラグ溝31のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きと、ラグ溝33,35がタイヤ幅方向外側から内側に中間陸部23,25の領域を横切るとき、ラグ溝33,35のタイヤ幅方向に対して傾斜する向きは、タイヤ幅方向の向きを境にして互いに反対の向きである。このような溝の傾斜する向きにより、左右旋回時の操縦性能が確保される。
【0028】
ラグ溝33は、さらに、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むとき、周方向浅溝41よりタイヤ幅方向外側の領域及びタイヤ幅方向内側の領域において、タイヤ周方向の同じ方向(X1方向)に延びながら、ラグ溝33が周方向浅溝41と交差する位置P(
図4参照)で溝の傾斜がタイヤ周方向に近づくように屈曲する屈曲部を有する。具体的には、
図4に示すように、ラグ溝33は、位置Pよりタイヤ幅方向外側においてX2方向に対し傾斜角θm1傾斜し、位置Pよりタイヤ幅方向内側においてX1方向に対し傾斜角θm2傾斜している。傾斜角θm2は、傾斜角θm1よりも小さい。これにより、ラグ溝33は、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むように見たときに、溝傾斜がタイヤ周方向(X1方向)に近づくように屈曲している。溝傾斜の傾斜角θm1は、例えば、60〜85度である。傾斜角θm2は、例えば、30〜50度である。このようにラグ溝33が2種類の傾斜角を有していることで、乾燥路面、ウェット路面、及び雪上路面での車両走行中の小舵角から中舵角での旋回時にも優れた旋回性能および安定性能が得られる。なお、ラグ溝33の周方向浅溝41より内側の部分が緩やかに湾曲して延びる場合、傾斜角θm1は、ラグ溝33が外側周方向主溝11および周方向浅溝41とそれぞれ接続する部分のラグ溝33の溝幅方向の中心位置にある2点を結ぶ直線のタイヤ周方向に対する傾きを表す。また、ラグ溝33が緩やかに湾曲して延びる場合、傾斜角θm2は、内側周方向主溝15および周方向浅溝41のそれぞれとラグ溝33が接続する部分のラグ溝33の溝幅方向の中心位置にある2点を結ぶ直線のタイヤ周方向に対する傾きを表す。
【0029】
ラグ溝35は、さらに、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むとき、ラグ溝35は、周方向浅溝43よりタイヤ幅方向外側の領域及びタイヤ幅方向内側の領域において、タイヤ周方向の同じ方向(X2方向)に延びながら、ラグ溝35が周方向浅溝43と交差する位置Q(
図4参照)で溝傾斜がタイヤ周方向に近づくように屈曲する屈曲部を有する。具体的には、
図4に示すように、ラグ溝35は、位置Qよりタイヤ幅方向外側においてX1方向に対し上記傾斜角θm1傾斜し、位置Qよりタイヤ幅方向内側においてX2方向に対し上記傾斜角θm2傾斜している。これにより、ラグ溝35は、タイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側に進むように見たときに、溝傾斜がタイヤ周方向(X2方向)に近づくように屈曲している。なお、ラグ溝35の周方向浅溝43より内側の部分が緩やかに湾曲して延びる場合の傾斜角θm1は、内側周方向主溝17および周方向浅溝43のそれぞれとラグ溝35が接続する部分のラグ溝35の溝幅方向の中心位置にある2点を結ぶ直線のタイヤ周方向に対する傾きを表す。また、ラグ溝35が緩やかに湾曲して延びる場合、傾斜角θm2は、内側周方向主溝17および周方向浅溝43のそれぞれとラグ溝35が接続する部分のラグ溝35の溝幅方向の中心位置にある2点を結ぶ直線のタイヤ周方向に対する傾きを表す。ラグ溝35の他の実施形態では、位置Qよりタイヤ幅方向外側の傾斜角は、位置Qよりタイヤ幅方向内側の傾斜角よりも大きければよく、また、位置Qよりタイヤ幅方向内側の傾斜角は、位置Qよりタイヤ幅方向外側の傾斜角よりも小さければよい。
【0030】
中間陸部23の、後述する周方向浅溝41に対してタイヤ幅方向内側の領域は、ブロック剛性を確保する観点から、後述する周方向浅溝41に対してタイヤ幅方向外側の領域に比べてタイヤ幅方向に広いことが好ましい。同様の観点から、中間陸部25の、後述する周方向浅溝43に対してタイヤ幅方向内側の領域は、後述する周方向浅溝43に対してタイヤ幅方向外側の領域に比べてタイヤ幅方向に広いことが好ましい。
【0031】
(周方向浅溝)
周方向浅溝41,43は、それぞれ、中間陸部23,25の領域に設けられ、タイヤ周方向に延びる。周方向浅溝41,43は、中間陸部23,25を内側中間陸部23i,25iと外側中間陸部23o,25oとに区分けし、中間陸部23,25の陸部ブロックを、タイヤ幅方向内側に位置する内側中間陸部ブロック24a,26aとタイヤ幅方向外側に位置する外側中間陸部ブロック24b,26bとに区分けする。
周方向浅溝41,43は、周方向主溝11,13,15,17、さらには、ラグ溝33,35と比べて、溝深さが浅く底上げされている。これにより、中間陸部23,25でのブロック剛性およびドライ路面での耐摩耗性が確保されつつ、ウェット旋回性能が向上する。
周方向浅溝41,43の溝深さは、耐摩耗性を確保する観点から、周方向主溝11,13,15,17の溝深さの70%以下であることが好ましく、30〜50%であることが好ましい。
また、周方向浅溝41,43の溝幅は、それぞれ、中間陸部23,25のタイヤ幅方向長さの5〜15%であることが好ましい。なお、中間陸部23,25のタイヤ幅方向長さは、トレッド表面における、陸部ブロック22,24のタイヤ幅方向の最大長さを指す。
【0032】
また、周方向浅溝41,43のタイヤ幅方向の中心位置は、中間陸部23,25のタイヤ幅方向における最大幅の40〜60%の距離だけ、内側周方向主溝15,17の中間陸部23,25と接する縁から離れた位置にあることが、耐摩耗性の向上の観点から好ましく、より好ましくは、周方向浅溝41,43のタイヤ幅方向の中心位置は、中間陸部23,25のタイヤ幅方向における最大幅の50%より大きく60%の距離だけ、内側周方向主溝15,17の中間陸部23,25と接する縁から離れた位置にある。すなわち、中間陸部23,25のうち、周方向浅溝41,43に対してタイヤ幅方向内側の領域における陸部の幅は、中間陸部23,25のうち、周方向浅溝41,43に対してタイヤ幅方向外側の領域における陸部の幅に比べて広いことが好ましい。
なお、中央陸部21の領域、および、後述するショルダー陸部51,53の領域には、周方向浅溝は設けられないことが好ましい。これら陸部21,51,53は、制駆動時のウェット旋回性能および雪上操縦安定性能への寄与が高く、周方向浅溝を設けると、ウェット旋回性能とドライ路面での耐摩耗性能との両立を図ることができないためである。
【0033】
周方向浅溝41,43は、上述したように、陸部ブロック24,26を内側中間陸部ブロック24a,26aと、外側中間陸部ブロック24b,26bに区分けする一方、ラグ溝33,35は、周方向浅溝41,43と交差する部分で屈曲し、この屈曲した部分に対してタイヤ幅方向内側では、タイヤ幅方向外側に比べてその傾斜方向がタイヤ周方向に近づいている。このため、内側中間陸部ブロック24a,26aは、陸部ブロック24,26内の角部の中で最も鋭角な鋭角角部を備える。このため、陸部ブロック24,26に後述するサイプがない場合、この角部を備える内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性は、外側中間陸部ブロック24b,26bよりも低い。この点は、後述する。
【0034】
周方向浅溝41,43の溝深さは、上述したようにラグ溝33,35の溝深さに比べて浅い。このため、ラグ溝33,35が周方向浅溝41,43と交差する部分を含む交差周辺領域のラグ溝33,35の溝底は、この交差周辺領域からはずれた領域の溝底に比べて溝深さが浅くなった底上げ部を形成している。
図5に示す例では、ラグ溝33の底上げ部33aが示されている。このラグ溝33,35の底上げ部のうち、交差部分からタイヤ幅方向内側に延びる部分のラグ溝33,35に沿った長さは、底上げ部のうち、交差部分からタイヤ幅方向外側に延びる部分のラグ溝33,35に沿った長さに比べて長くなっている。
図5に示すラグ溝33の例では、ラグ溝33の底上げ部33aのうち、交差部分33bからタイヤ幅方向内側に延びる部分33dのラグ溝33,35に沿った長さW
m1は、交差部分33bからタイヤ幅方向外側に延びる部分33eのラグ溝33,35に沿った長さW
m2に比べて長くなっている。
【0035】
このように、ラグ溝33,35の溝底の底上げ部の長さに関して、底上げ部の、交差部分に対してタイヤ幅方向内側の部分の長さを、底上げ部の、交差部分に対してタイヤ幅方向の外側の部分の長さよりも長くするのは、陸部ブロック24,26内の角部の中で最も鋭角な角部を備えることによりブロック剛性が低くなっている内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性を、外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性に近づけるためである。これにより、内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性と、外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性を互いに近づけることができ、耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0036】
(サイプ)
トレッドパターン10は、さらに、中間陸部23,25にサイプ34a,34b,36a,36bを有する。
図5は、
図3に示す中間陸部23を更に拡大して示す図である。
本明細書において、サイプは幅1.5mm未満であり、溝深さが5mm未満のものをいう。また、ラグ溝とは、溝幅が1.5mm以上であり、溝深さが5mm以上のものをいう。
サイプ34a,34b,36a,36bは、各中間陸部の領域のそれぞれにおいて、ラグ溝33,35と並行するように延在する溝である。サイプ34aは、内側中間陸部23iの領域に2本設けられ、周方向浅溝41から内側周方向主溝15の側に向かって延びて、内側中間陸部23iの領域内で閉塞している。サイプ34bは、外側中間陸部23oの領域に2本設けられ、周方向浅溝41から外側周方向主溝11の側に向かって延びて外側周方向主溝11に接続している。サイプ36aは、内側中間陸部25iの領域に2本設けられ、周方向浅溝43から内側周方向主溝17の側に向かって延びて、内側中間陸部25iの領域内で閉塞している。サイプ36bは、外側中間陸部25oの領域に2本設けられ、周方向浅溝43から外側周方向主溝13の側に向かって延びて外側周方向主溝13に接続している。サイプ34a,サイプ36aは、内側中間陸部ブロック24a,26aに設けられているので、内側サイプといい、以降、内側サイプ34a,36aという。サイプ34b,サイプ36bは、外側中間陸部ブロック24b,26bに設けられているので、外側サイプといい、以降、外側サイプ34b,36bという。なお、他の実施形態では、1つの内側中間陸部ブロック24a,26a及び外側中間陸部ブロック24b、26bにおけるサイプの数は、1本又は3本以上設けられてもよい。
【0037】
内側サイプ34a,36aは、それぞれ、周方向浅溝41,43に対してタイヤ幅方向内側の領域において、内側サイプ34a,36aの延在方向に対して直交する方向に変位しながら波形状(ジグザグ状)に延び、かつ、トレッド表面からサイプ底部に向かう方向、すなわちタイヤ径方向に対して直交する方向に変位しながら波形状(ジグザク状)に底部に延びる。すなわち、内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部に波形状に延び、かつ、トレッド表面において波形状に延びる。内側サイプ34a,36aのこのような形状のサイプを、以降3次元形状ともいう。
これに対して、外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延び、かつ、トレッド表面において直線状に延びている。
【0038】
このような外側サイプ34b,36bに対して、内側サイプ34a,36aを3次元形状のサイプとするのは以下の理由による。内側中間陸部ブロック24a,26aの内側周方向主溝15,17とラグ溝33,35で形成される中間陸部ブロック24,26の角部の中で最も鋭角な角部23c,25cによって内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性は低下する。このため、内側サイプ34a,36aによってさらに低下する程度を抑制するために、内側サイプ34a,36aに、外側サイプ34b、36bに比べてブロック剛性の低下を抑制できる3次元形状のサイプを用いる。すなわち、陸部ブロック24,26それぞれの、周方向浅溝41,43に対してタイヤ幅方向内側の内側中間陸部ブロック24a,26aは、周方向浅溝41,43に対してタイヤ幅方向外側の外側中間陸部ブロック24b,26bと比べ、ラグ溝33,35のタイヤ周方向に対する傾斜角が小さく、ブロック剛性が低くなっている。このため、内側サイプ34a,36aを上記3次元形状とすることで、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能に影響を与える内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性を適切に維持している。これにより、内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性と、外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性を互いに近づけることができ、耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0039】
このような内側サイプ34a,36aは、必ずしも3次元形状のサイプに限られない。少なくとも、鋭角な角部23c,25cを有することによって低下する内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性が、外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性に近づくように、内側サイプ34a,36aの形態を、外側サイプ34b,36bの形態に応じて定めればよい。
【0040】
内側サイプ34a,36a及び外側サイプ34b,36bの組み合わせの一形態として、内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部に波形状にあるいはタイヤ径方向に対して傾斜した方向に延びること、及び、トレッド表面において波形状に延びることを満足し、一方、外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることの少なくとも一方を満足する形態Aが挙げられる。
また、内側サイプ34a,36a及び外側サイプ34b,36bの組み合わせの他の一形態として、内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において波形状に延びることを満足し、外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることを満足する形態Bが挙げられる。
【0041】
図6〜8は、種々のサイプSの例を示す図である。
図6に示すサイプSは、トレッド表面からトレッド内部に波形状に延び、トレッド表面においても波形状に延びる3次元形状のサイプである。
図7に示すサイプSは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延び、かつトレッド表面においても直線状に延びるサイプである。
図8に示すサイプSは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延び、かつトレッド表面において波形状に延びるサイプである。
図9に示すサイプSは、トレッド表面からトレッド内部に、タイヤ径方向に対して傾斜した方向に延び、かつトレッド表面において波形状に延びるサイプであり、3次元形状のサイプである。
サイプは、タイヤの制動時、駆動時、あるいは旋回時、路面から受ける力によって隙間がなくなるように閉塞し、サイプのトレッド内部の壁面同士が当接する。この当接時、壁面に互いに噛み合うような表面凹凸が形成されていると、サイプが閉塞したとき、サイプで分断されていたトレッドゴムの部分があたかも分断がないかのように路面から受ける力に対する抗力を発生し、ブロック剛性が維持される。このことは、トレッド表面に波形状をなしたサイプについてもいえる。したがって、
図6〜9に示すサイプSの中で、サイプによるブロック剛性の低下を抑制する程度の順番は、
図6に示すサイプS及び
図9に示すサイプS、次に
図8に示すサイプS、最後に
図7に示すサイプSとなる。
【0042】
したがって、上記組み合わせの形態Aでは、例えば、内側サイプ34a,36aに、
図6または
図9に示すサイプSを用い、外側サイプ34b,36bに、
図7または
図8に示すサイプSを用いることができる。
上記組み合わせの形態Bでは、例えば、内側サイプ34a,36aに、
図8に示すサイプSを用い、外側サイプ34b,36bに、
図7に示すサイプSを用いることができる。
【0043】
このように、外側サイプ32b,34bのサイプ形状に比べて、ブロック剛性の低下を抑制できるサイプの形状を内側サイプ34a,36aに適用することにより、内側中間陸部23i,25iと外側中間陸部23o,25oのブロック剛性のバランスが適切になっている。これにより、耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0044】
トレッドパターン10は、さらに、サイプ32を有する。
サイプ32は、中央陸部21の領域においてラグ溝31と並行するように延在する溝である。サイプ32は、1つの陸部ブロック22につき、2本設けられている。なお、他の実施形態では、1つの陸部ブロック22につき、1本又は3本以上設けられてもよい。サイプ32は、3次元形状であり、これにより、制駆動時における中央陸部21のブロック剛性が補強される。サイプ32は、内側周方向主溝15,17と接続する。なお、他の実施形態では、サイプ32は、2次元形状であってもよく、また、内側周方向主溝15,17と接続することなく中央陸部21内で閉塞してもよい。
【0045】
なお、内側中間陸部ブロック24a,26aは、上述したように、ラグ溝33,35が内側周方向主溝15,17と交差する位置において、ラグ溝33,35と内側周方向主溝15,17とにより鋭角の角度で先端が形成された鋭角角部23c,25cを有する。このとき、内側中間陸部ブロック24a,26aのタイヤ幅方向における幅は、タイヤ周方向において鋭角角部23c,25cに近づくにつれて広くなっている。
図5は、内側中間陸部ブロック24aの例を示している。すなわち、内側中間陸部ブロック24aにおけるタイヤ幅方向の幅は、最小幅w
minから鋭角角部23cに近づくにつれて広くなり、鋭角角部23cで最大幅w
maxとなっている。ここで、最小幅w
min及び最大幅w
maxはブロック幅変化率(w
max−w
min)/w
maxが、0.05〜0.2となるように寸法が設定されることが好ましい。ブロック幅変化率(w
max−w
min)/w
maxが0.2を超えると、内側中間陸部ブロック24a,26aと外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性のバランスが崩れるため好ましくない。ブロック幅変化率(w
max−w
min)/w
maxが0.05未満であると、内側中間陸部ブロック24a,26aの鋭角な角部周辺の領域とそれ以外の領域のブロック剛性の差が広がり、制動時、駆動時、あるいは旋回時、内側中間陸部ブロック24a,26aの鋭角な角部周辺の領域の変形が大きくなり、耐摩耗特性を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能の点で好ましくない。
【0046】
(ショルダー陸部)
トレッドパターン10は、さらに、外側周方向主溝11のタイヤ幅方向外側の領域にショルダー陸部51を有している。また、外側周方向主溝13のタイヤ幅方向外側の領域にショルダー陸部53を有する。
ショルダー陸部51,53の領域には、それぞれ、タイヤ幅方向外側から外側周方向主溝11,13に向かって延在するショルダーラグ溝61,63が設けられている。ショルダーラグ溝61,63は、それぞれ、外側周方向主溝11,13に接続することなく途中で閉塞している。これにより、ショルダー陸部51,53は、タイヤ周方向に連続して延在する連続陸部を形成する。ショルダー陸部51,53は、制動性能および旋回性能への寄与が高いことから、このような連続陸部を形成することにより、ショルダー陸部51,53のブロック剛性の低下が抑えられるとともに、ドライ路面における耐摩耗性能が向上する。なお、ショルダー陸部51,53は、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を確保できる点で、外側周方向主溝11,13と接する側において連続陸部を形成することが好ましい。
なお、ショルダー陸部51の領域において、ショルダーラグ溝61の端と外側周方向主溝11との距離、すなわちタイヤ周方向に隣接する2つのブロックを連結して連続陸部としている部分の幅(連結幅)は、外側周方向主溝11と接地端とのタイヤ幅方向の長さの5〜20%であることが好ましい。本実施形態では、例えば、15%である。同様に、ショルダー陸部53の領域において、ショルダーラグ溝63の端と外側周方向主溝13との距離(連結幅)は、外側周方向主溝13と接地端とのタイヤ幅方向長さの5〜20%であることが好ましい。
【0047】
ショルダーラグ溝61,63は、タイヤ幅方向内側の端部が先細り形状に形成されている。ショルダーラグ溝61,63の最大溝幅61w,62wは、ラグ溝31,33,35の溝幅(最大溝幅)31w,33w,35wと比べて広く、例えば、4〜8mmである。このように、制駆動時の寄与が高いショルダー陸部51,53の溝幅が広いことで、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能が向上する。なお、ショルダーラグ溝61の最大溝幅61wと、ショルダーラグ溝63の最大溝幅63wとは、等しくてもよく、異なってもよい。
ショルダーラグ溝61は、タイヤ周方向のX1方向に対してθsh、例えば、75〜90度傾斜して延びる。また、ショルダーラグ溝63は、タイヤ周方向のX2方向に対してθsh、例えば、75〜90度傾斜して延びる。このようにショルダーラグ溝61,63の向きが、タイヤ周方向に比べてタイヤ幅方向に近づくように傾斜角を定めることにより、ショルダー陸部51,53における高いブロック剛性が確保されるとともに、小舵角でのウェット旋回性能および雪上操縦安定性能が向上する。ショルダーラグ溝61,63の傾斜角θshは、
図4に示すように、接地端でのタイヤ周方向におけるショルダーラグ溝61,ショルダーラグ溝63の幅の中間位置の点と、外側周方向主溝11,13の側の端部におけるタイヤ周方向の中間位置の点とを結ぶ直線の、タイヤ周方向に対する傾きで表す。なお、ショルダーラグ溝61,63同士の傾斜角は、等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0048】
また、ショルダー陸部51,53の領域には、それぞれ、サイプ62,64が設けられている。サイプ62,64は、タイヤ周方向に隣接する2本のショルダーラグ溝61,63の間に2本ずつ設けられている。隣接する2本のショルダーラグ溝61,63の間のショルダー陸部51,53に設けられるサイプ62,64の数は、他の実施形態では、1本又は3本以上であってもよい。また、サイプ62,64は、接地端よりタイヤ幅方向内側では3次元形状であり、接地端よりタイヤ幅方向外側では2次元形状であることが好ましい。サイプ62,64が、接地端よりタイヤ幅方向内側では3次元形状であることにより、ショルダー陸部51,53の制駆動時の剛性を高めることができる。
あるいは、サイプ62,64は、サイプ62,64の延在方向に線状に延び、かつ、サイプ62,64のトレッド表面からサイプ62,64の底部に向かうサイプ深さ方向に平面状に延びる、2次元形状の部分(第1の部分)と、サイプ62,64の延在方向に対して直交する方向に変位しながらジグザグ状に延び、かつ、サイプ62,64のトレッド表面からサイプ62,64の底部に向かうサイプ深さ方向に対して直交する方向に変位しながらジグザク状に底部に向かって延びる3次元形状の部分(第2の部分)と、を含み、サイプ62,64は、タイヤ幅方向外側から外側周方向主溝11,13に向かって進むとき、2次元形状の部分から3次元形状の部分に変わり終了する、ことが好ましい。サイプ62,64が、外側周方向主溝11,13に近い側で3次元形状であることにより、ショルダー陸部51,53の制駆動時の剛性を高めることができる。
【0049】
(面取り)
トレッドパターン10は、さらに、面取り21a,23a,25a,51a,53aを有している。
図4に示すように、中央陸部21の内側周方向主溝15,17と接するエッジ部の一部には、面取り21aが施されている。これにより、中央陸部21のエッジ量が増し、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能が向上する。一方、面取り21aが施されることにより、ブロック剛性が過度に低下することなく、ドライ路面での耐摩耗性が確保される。
面取り21aは、各陸部ブロック22のタイヤ幅方向の両側に設けられ、それぞれ、タイヤ周方向両側になるほど面取り深さが大きくなるよう加工されている。面取り21aの深さは、耐摩耗性の理由から、内側周方向主溝15,17の溝深さの50%以内であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。
【0050】
図4に示すように、外側中間陸部23oの外側周方向主溝11と接するエッジの一部分には、面取り23aが施されている。また、外側中間陸部25oの外側周方向主溝13と接するエッジ部の一部分には、面取り25aが施されている。
外側中間陸部ブロック24b,26bのうち、ラグ溝33,35が外側周方向主溝11,13と接続する位置において、ラグ溝33,35と外側周方向主溝11,13とにより鈍角の角度で形成された鈍角角部23d,25d(
図4参照)を、外側中間陸部ブロック24b,26bは有する。このとき、面取り23a,25aは、上記鈍角角部23d,25dからタイヤ周方向に延びている。この面取り23a,25aはタイヤ周方向において鈍角角部23d,25dから遠く離れるにつれて面取り幅が小さくなり、タイヤ周方向の両端のうち鈍角角部23d,25dと反対側の鋭角の角部に進む途中で終了することが好ましい。
図5は、外側中間陸部ブロック24bにおいて、鈍角角部23dと反対側の鋭角の角部に進む途中で終了する面取り23aを示している。面取り23a,25aにより、上記鈍角角部23d,25dと反対側の鋭角の角部周辺の領域では、面取りによるブロック剛性の低下が抑制される。これにより、鋭角の角部周辺の領域の耐摩耗性能を向上させることができる。一方、鈍角角部23d,25dから開始する面取りの設けられている部分では、面取りによって外側中間陸部ブロック24b,26bにブロックエッジ成分が増えることにより、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。面取りの深さは、耐摩耗性の理由から、外側周方向主溝11,13の溝深さの50%以下であり、好ましくは外側周方向主溝11,13の溝深さの10〜30%である。なお、面取り23a,25aが施されるのは、エッジ部の一部であるため、ブロック剛性は過度に低下することがなく、耐摩耗性能を維持することができる。中間陸部23の内側周方向主溝15と接するエッジ部に面取りが施されてもよい。また、中間陸部25の内側周方向主溝17と接するエッジ部にも面取りが施されてもよい。
【0051】
図4に示すように、ショルダー陸部51,53の、外側周方向主溝11,13と接するエッジの一部分には、面取り51a,53aが施されている。これにより、ショルダー陸部51,53のエッジ量が増し、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能が向上する。また、面取り51a,53aが施されるのは、エッジ部の一部であるため、ブロック剛性は過度に低下することがなく、ドライ路面での耐摩耗性が確保される。面取り51a,53aの深さは、外側周方向主溝11,13の溝深さの50%以内であることが好ましく、10〜30%であることが好ましい。
【0052】
外側周方向主溝11,13,15,17の溝深さは、互いに等しく又は異なってもよい。
面取り21a,23a,25a,51a,53aの最大深さは、互いに等しく又は異なってもよい。
周方向浅溝41,43の溝深さは、互いに等しく又は異なってもよい。
陸部ブロック24,26の最大幅は、互いに等しく又は異なってもよい。
【0053】
以上の空気入りタイヤ1では、内側中間陸部ブロック24a,26aの領域に設けられる内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部に波形状にあるいはタイヤ径方向に対して傾斜した方向に延びること、及び、トレッド表面において波形状に延びることを満足し、外側中間陸部ブロック24b,26bの領域に設けられる外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることの少なくとも一方を満足する。
また、内側中間陸部ブロック24a,26aの領域に設けられる内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において波形状に延びることを満足し、外側中間陸部ブロック24b,26bの領域に設けられる外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることを満足する。
内側サイプ34a,36a及び外側サイプ34b,36bがない場合、内側中間陸部ブロック24a,26aは、中間陸部23,25の中で最も鋭角な鋭角角部を備えるので、内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性は低下し易い。しかし、上述したように、外側中間陸部ブロック24b,26bに比べてブロック剛性の低下を抑制するサイプ形状を内側サイプ34a,36aが用いることにより、内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性を、外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性に近づけることができる。このため、耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0054】
さらに、空気入りタイヤ1では、周方向浅溝41,43と交差するラグ溝33,35の交差部分を含むラグ溝33,35の交差周辺領域のラグ溝の溝底は、交差周辺領域からはずれた領域の溝底に比べて溝深さが浅くなった底上げ部を形成する。このとき、ラグ溝33,35の底上げ部のうち、周方向浅溝41,43との交差部分からタイヤ幅方向内側に延びる部分のラグ溝33,35に沿った長さは、底上げ部のうち、周方向浅溝41,43との交差部分からタイヤ幅方向外側に延びる部分のラグ溝33,35に沿った長さに比べて長い。これにより、内側中間陸部ブロック24a,26aのブロック剛性を、外側中間陸部ブロック24b,26bのブロック剛性に近づけることができる。このため、耐摩耗性能を少なくとも維持しつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0055】
(他の実施形態)
内側サイプ34a,36a、及び外側サイプ34b、36bは、ラグ溝33,35と並行していなくてもよい。また、内側サイプ34a,36aは、内側周方向主溝15,17と接続することなく内側中間陸部23i,25iの領域内で閉塞していてもよい。
ショルダーラグ溝61,63は、外側周方向主溝11,13に接続し、タイヤ周方向に複数の陸部ブロックが形成されていてもよい。トレッドパターン10は、ショルダー陸部61,63を有していなくてもよい。
ショルダーラグ溝61,63の溝幅は、ラグ溝31,33,35の溝幅と等しくてもよく、小さくてもよい。
周方向主溝の数は、4本に限定されず、5本以上であってもよい。この場合、内側周方向主溝を3本以上含んでもよい。
【0056】
(実施例)
本発明のタイヤ1のトレッドパターン10の効果を調べるために、タイヤを試作した。
タイヤサイズは、P265/70R17 113Tとした。リムは17×7.5Jとして、以下の表に示す仕様のトレッドパターンを設けたタイヤを作製した。タイヤ性能を調べるためにエンジン排気量が2リットルクラスのFF車を試験車両として用いた。内圧条件は、前輪、後輪ともに210(kPa)とした。
試作したタイヤのタイヤ性能として、ウェット旋回性能、雪上操縦安定性能、及び耐摩耗性能を下記のようにして評価した。
【0057】
ウェット旋回性能については、屋外のタイヤ試験場の水深1mmである水膜を有するウェット路面において、R30(半径30m)の旋回路を限界速度で5周、試験車両を走行させ、その時の平均横加速度を測定した。評価は、従来例のタイヤの測定値の逆数を100とする指数で示した。指数の値が大きいほどウェット旋回性能が優れていることを意味する。
雪上操縦安定性能については、水深1mmの水膜を有するウェット路面に代えて雪上路面を走行し、ドライバーによる官能評価でタイヤを評価した。評価は、従来例のタイヤを100とする指数で示した。指数の値が大きいほど雪上操縦安定性能が優れていることを意味する。
耐摩耗性能は、公道を2000km走行した後、摩耗量を測定した。評価は、測定値の逆数で行い、従来例のタイヤの測定値の逆数を100とする指数で示した。指数値が大きいほど耐摩耗性能が優れていることを意味する。
【0058】
評価対象の実施例、比較例、及び従来例の仕様とその評価結果を下記表1〜4に示す。
表1、2で示す「中間陸部の内側サイプの形状」と「中間陸部の外側サイプの形状」は、内側サイプ34a,36aと外側サイプ34b,36bの形状を表す。また、「底上げ部の長さWm1(%):Wm2(%)」は、ラグ溝33,35の中間陸部23,25の領域のタイヤ幅方向の最大幅に対する
図5に示す底上げ部の長さWm1,Wm2の割合の百分率表示である。
表3,4では、表1,2に対して「内側中間陸部ブロック幅の変化率(%)」、「周方向浅溝の位置(%)」と「ショルダーラグ溝の溝幅」の項目を追加している。「内側中間陸部ブロック幅の変化率(%)」は、
図5に示す内側中間陸部ブロックの最大幅w
maxと最小幅w
minから求められる(w
max−w
min)/w
maxの百分率表示である。「周方向浅溝の位置(%)」は、内側中間陸部23i,25iの内側周方向主溝15,17と接するエッジから周方向浅溝41,43の中心位置までのタイヤ幅方向の距離の、中間陸部23,25のタイヤ幅方向の最大幅に対する割合の百分率表示である。この百分率が50%より大きい場合、周方向浅溝41,43の中心位置が、中間陸部23,25のタイヤ幅方向の中心に対してタイヤ幅方向外側に位置していることを示す。
実施例1〜4、比較例1〜3では、「周方向浅溝の位置(%)」を35%とし、「ショルダーラグ溝の溝幅」を5mmとした。また、実施例1〜4、比較例1〜3では、「内側中間陸部ブロック幅の変化率(%)」を0%とした。すなわち、内側中間陸部ブロック幅は変化しない。
【0063】
表1,2からわかるように、内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部にジグザグ状(波形状)に延びること、及び、トレッド表面においてジグザグ状(波形状)に延びることを満足し、外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることの少なくとも一方を満足すること、あるいは、内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面においてジグザグ状(波形状)に延びることを満足し、外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることを満足することにより、ドライ路面での耐摩耗性能を従来例対比向上(指数で102以上)させつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
また、表1,2からわかるように、内側サイプ34a,36aは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において波形状に延びることを満足し、外側サイプ34b,36bは、トレッド表面からトレッド内部にタイヤ径方向に沿って直線状に延びること、及び、トレッド表面において直線状に延びることを満足することにより、ドライ路面での耐摩耗性能を従来例対比向上(指数で102以上)させつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0064】
表3より、ラグ溝33,35の底上げ部の長さWm1を、長さWm2に対して長くすることにより、ドライ路面での耐摩耗性能を従来例対比向上(指数で102以上)させつつ、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能を向上させることができる。
【0065】
表3の実施例5と表1の実施例1の比較からわかるように、内側中間陸部ブロック24a,26aのタイヤ幅方向における幅を、タイヤ周方向において鋭角角部に近づくにつれて広くすることが、ドライ路面での耐摩耗性能、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能の点で好ましいことがわかる。
表1の実施例1と表4の実施例8の比較からわかるように、周方向浅溝41,43のタイヤ幅方向の中心位置を、中間陸部23,25のタイヤ幅方向における最大幅の40〜60%の距離だけ、内側周方向主溝15,17の内側中間陸部23i,25iと接する縁から離れた位置に定めることが、ドライ路面での耐摩耗性能、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能の点で好ましいことがわかる。
表4の実施例8、9の比較からわかるように、外側中間陸部ブロック24b,26bに面取り23a,25aを設けることが、ドライ路面での耐摩耗性能、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能の点で好ましいことがわかる。
表1の実施例1と表4の実施例10の比較からわかるように、ショルダーラグ溝61,63の溝幅を、ラグ溝31,33,35の最大溝幅に比べて広くすることが、ドライ路面での耐摩耗性能、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能の点で好ましいことがわかる。
表3の実施例5と表4の実施例11の比較からわかるように、ショルダーラグ溝61,63を、外側周方向主溝に接続することなく閉塞させることが、ドライ路面での耐摩耗性能、ウェット旋回性能および雪上操縦安定性能の点で好ましいことがわかる。
【0066】
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。