特許第6287568号(P6287568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6287568
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】ボイラ装置及びボイラ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F22G 5/04 20060101AFI20180226BHJP
   F22G 1/04 20060101ALI20180226BHJP
   F22B 37/56 20060101ALI20180226BHJP
【FI】
   F22G5/04
   F22G1/04
   F22B37/56 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-103228(P2014-103228)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-218960(P2015-218960A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直史
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−264002(JP,A)
【文献】 特開昭62−245009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 5/04
F22B 37/56
F22G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内に設けられた過熱器及び再熱器と、
前記過熱器及び前記再熱器に付着した付着物を除去するスートブロワと、
前記炉内において仕切られたガス流路のうち、前記過熱器の少なくとも一部が配置される第1ガス流路と、
前記仕切られたガス流路のうち、前記再熱器が配置される第2ガス流路と、
前記第1ガス流路及び前記第2ガス流路のガス流量を調整するガス流量調整装置と、
前記第1ガス流路側において前記スートブロワを駆動するとき、予め、前記第2ガス流路を前記第1ガス流路に対し相対的に絞るよう前記ガス流量調整装置の駆動を制御する制御装置と、を有する、ことを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2ガス流路側において前記スートブロワを駆動するとき、予め、前記第2ガス流路を前記第1ガス流路に対し相対的に絞るよう前記ガス流量調整装置の駆動を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1ガス流路側において前記スートブロワを駆動するときと、前記第2ガス流路側において前記スートブロワを駆動するときとで、前記第2ガス流路を絞る割合を異ならせる、ことを特徴とする請求項2に記載のボイラ装置。
【請求項4】
前記付着物を除去するために前記スートブロワに供給された蒸気の温度を計測する温度センサを有し、
前記制御装置は、前記温度センサの計測結果が予め設定した閾値を超えたとき、前記ガス流量調整装置の駆動の制御を開始する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のボイラ装置。
【請求項5】
炉内に設けられた過熱器及び再熱器と、
前記過熱器及び前記再熱器に付着した付着物を除去するスートブロワと、
前記炉内において仕切られたガス流路のうち、前記過熱器の少なくとも一部が配置される第1ガス流路と、
前記仕切られたガス流路のうち、前記再熱器が配置される第2ガス流路と、
前記第1ガス流路及び前記第2ガス流路のガス流量を調整するガス流量調整装置と、を有するボイラ装置の制御方法であって、
前記第1ガス流路側において前記スートブロワを駆動するとき、予め、前記第2ガス流路を前記第1ガス流路に対し相対的に絞るよう前記ガス流量調整装置の駆動を制御する、ことを特徴とするボイラ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ装置及びボイラ装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラ装置においては、例えば、炉内が過熱器が配置されるガス流路と再熱器が配置されるガス流路に仕切られて、それぞれの流路にダンパが設けられるものが知られている(所謂パラレルパスと称される)。このボイラ装置においては、過熱器において高温の蒸気を生成し、高圧の蒸気タービンを駆動すると共に、高圧の蒸気タービンから還流する蒸気を再熱器において再び高温の蒸気とし、中圧・低圧の蒸気タービンを駆動する構成となっている。
【0003】
ボイラ装置では、表面に付着・堆積する灰によって、過熱器、再熱器における収熱が徐々に低下する。このため、ボイラ装置には、付着した灰を除去するスートブロワが設けられている。スートブロワは、過熱器や再熱器に加圧した蒸気を噴き付けることにより、表面に付着した灰を除去するものである。このスートブロワを例えば所定時間ごとに間欠的に駆動させることで、過熱器、再熱器の収熱を回復することができる。しかし、スートブロワの駆動に伴う蒸気温度の上昇幅は顕著であり、特に、再熱器の出口側で高温の蒸気を扱う蒸気配管等では、その設計温度を超えてしまう場合がある。
【0004】
下記特許文献1には、スートブロワによる再熱器の出口側蒸気温度の過上昇抑制を図るべく、再熱器へのスートブロワを実施する前に、再熱器側への燃焼ガスの通過量を減少させるために、ガス分配手段に減バイアスを付加し、且つ、再熱器の出口側蒸気温のフィードバック制御による引き戻しが掛からないよう、再熱器の出口側蒸気温度の設定値にも減バイアスを付加する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−264002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術は、次のような問題がある。
スートブロワから蒸気が噴き込まれると、炉内における燃焼ガスの流れが変化する。例えば、過熱器へのスートブロワを駆動すると、スートブロワからの蒸気によって流通が妨げられたガスが再熱器側に流通し、再熱器の収熱が上昇する。そうすると、再熱器の出口側に接続された蒸気配管では、過渡的に設計温度を超えてしまう場合がある。このように、過熱器へのスートブロワを駆動した場合でも、再熱器の蒸気配管への負担が増え、蒸気配管の寿命が短くなってしまうことがある、という問題がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、再熱器の蒸気配管の負担を低減し、蒸気配管の寿命消費を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、炉内に設けられた過熱器及び再熱器と、前記過熱器及び前記再熱器に付着した付着物を除去するスートブロワと、前記炉内において仕切られたガス流路のうち、前記過熱器の少なくとも一部が配置される第1ガス流路と、前記仕切られたガス流路のうち、前記再熱器が配置される第2ガス流路と、前記第1ガス流路及び前記第2ガス流路のガス流量を調整するガス流量調整装置と、前記第1ガス流路側において前記スートブロワを駆動するとき、予め、前記第2ガス流路を前記第1ガス流路に対し相対的に絞るよう前記ガス流量調整装置の駆動を制御する制御装置と、を有する、ボイラ装置を採用する。
【0009】
本発明では、ボイラ装置に係る第2の解決手段として、前記制御装置は、前記第2ガス流路側において前記スートブロワを駆動するとき、予め、前記第2ガス流路を前記第1ガス流路に対し相対的に絞るよう前記ガス流量調整装置の駆動を制御する、という構成を採用する。
【0010】
本発明では、ボイラ装置に係る第3の解決手段として、前記制御装置は、前記第1ガス流路側において前記スートブロワを駆動するときと、前記第2ガス流路側において前記スートブロワを駆動するときとで、前記第2ガス流路を絞る割合を異ならせる、という構成を採用する。
【0011】
本発明では、ボイラ装置に係る第4の解決手段として、前記付着物を除去するために前記スートブロワに供給された蒸気の温度を計測する温度センサを有し、前記制御装置は、前記温度センサの計測結果が予め設定した閾値を超えたとき、前記ガス流量調整装置の駆動の制御を開始する、という構成を採用する。
【0012】
また、本発明では、炉内に設けられた過熱器及び再熱器と、前記過熱器及び前記再熱器に付着した付着物を除去するスートブロワと、前記炉内において仕切られたガス流路のうち、前記過熱器の少なくとも一部が配置される第1ガス流路と、前記仕切られたガス流路のうち、前記再熱器が配置される第2ガス流路と、前記第1ガス流路及び前記第2ガス流路のガス流量を調整するガス流量調整装置と、を有するボイラ装置の制御方法であって、前記第1ガス流路側において前記スートブロワを駆動するとき、予め、前記第2ガス流路を前記第1ガス流路に対し相対的に絞るよう前記ガス流量調整装置の駆動を制御する、ボイラ装置の制御方法を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過熱器の少なくとも一部が配置される第1ガス流路側においてスートブロワを駆動するとき、予め、再熱器が配置される第2ガス流路を第1ガス流路に対し相対的に絞るようガス流量調整装置の駆動を制御する。このため、スートブロワからの蒸気によって第1ガス流路への燃焼ガスの流通が妨げられても、予め相対的に第2ガス流路が絞られるため、燃焼ガスの流通が第2ガス流路に偏ることがなく、再熱器の収熱の上昇を抑制することができる。
したがって、本発明では、再熱器の蒸気配管の負担を低減し、蒸気配管の寿命消費を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るボイラ装置1の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る火炉2の詳細な内部構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る制御装置50の制御フローを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るボイラ装置1の動作を説明するフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときのガス流量調整装置30の様子を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するときのガス流量調整装置30の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るボイラ装置1の概略構成図である。図2は、本発明の一実施形態に係る火炉2の詳細な内部構成図である。
本実施形態のボイラ装置1は、蒸気を生成して発電を行うものであり、図1に示すように、火炉2と、過熱器3と、高圧蒸気タービン4と、再熱器5と、中低圧蒸気タービン6と、発電機7と、を有する。
【0017】
火炉2は、微粉炭等の燃料が不図示のバーナーで燃焼され、その燃焼により生成された燃焼ガスが導入される導入口20を有する。導入口20から導入された燃焼ガスは、火炉2内を流通し、排出口21から排出される。火炉2内には、仕切22が設けられている。仕切22は、火炉2内を仕切り、燃焼ガスのガス流路を、第1ガス流路23と第2ガス流路24に分岐させる構成となっている。なお、第1ガス流路23と第2ガス流路24は下流側で合流しており、燃焼ガスは排出口21を介して排出された後、排ガス処理を経て大気に放出される。
【0018】
過熱器3は、火炉2内に設けられている。過熱器3は、燃焼ガスの熱で生成した蒸気を高圧蒸気タービン4の駆動に必要な温度まで過熱するものである。過熱器3には、蒸気を搬送する蒸気配管10と接続されている。また、過熱器3は、過熱した蒸気を高圧蒸気タービン4に搬送する蒸気配管11と接続されている。この過熱器3は、その少なくとも一部が第1ガス流路23に配置されている。
【0019】
本実施形態の過熱器3は、図2に示すように、3つの過熱器3A,3B,3Cから構成されている。過熱器3Aは、第1ガス流路23に配置されている。過熱器3B,3Cは、燃焼ガスのガス流路において、仕切22よりも上流側(第1ガス流路23よりも上流側)に配置されている。燃焼ガスの温度は、導入口20側の方が高いため、例えば、蒸気は、過熱器3A→過熱器3B→過熱器3Cの順に流通し、高温に加熱される。
【0020】
高圧蒸気タービン4は、図1に示すように、過熱器3で過熱された蒸気を搬送する蒸気配管11と接続されている。高圧蒸気タービン4のタービン軸は、発電機7と接続されており、蒸気の供給により回転し、発電機7を駆動させる。この高圧蒸気タービン4は、発電に用いた蒸気を搬送する蒸気配管12と接続されている。蒸気配管12は、火炉2内に設けられた再熱器5に接続されている。
【0021】
再熱器5は、発電に用いた蒸気を中低圧蒸気タービン6の駆動に必要な温度まで再び加熱するものである。再熱器5は、第2ガス流路24に配置されている。本実施形態の再熱器5は、図2に示すように、1つ設けられている。再熱器5は、燃焼ガスのガス流路において、過熱器3B,3Cの下流側であって、第2ガス流路24に配置されている。この再熱器5は、図1に示すように、再熱した蒸気を中低圧蒸気タービン6に搬送する蒸気配管13と接続されている。なお、蒸気配管13の設計温度は、過熱器3の出口側に接続された蒸気配管11等の設計温度に比べて低く設定されている。
【0022】
中低圧蒸気タービン6は、再熱器5で再熱された蒸気を搬送する蒸気配管13と接続されている。中低圧蒸気タービン6のタービン軸は、高圧蒸気タービン4のタービン軸と接続されると共に、発電機7と接続されており、蒸気の供給により回転し、発電機7を駆動させる。中低圧蒸気タービン6を経た蒸気は、蒸気配管14を介して搬送され、不図示の復水器、給水ポンプ、給水加熱器等を経て、再び火炉2の過熱器3に供給され、主蒸気として用いられるようになっている。
【0023】
上記構成のボイラ装置1は、図2に示すように、第1ガス流路23及び第2ガス流路24のガス流量を調整するガス流量調整装置30を有する。ガス流量調整装置30は、第1ガス流路23に設けられた第1ダンパ31と、第2ガス流路24に設けられた第2ダンパ32と、を備える。第1ダンパ31は、第1ガス流路23において、過熱器3Aの下流側に配置されている。また、第2ダンパ32は、第2ガス流路24において、再熱器5の下流側に配置されている。
【0024】
第1ダンパ31及び第2ダンパ32は、それぞれ風量調整板を備え、その風量調整板の傾きに応じて、第1ガス流路23及び第2ガス流路24を流通する燃焼ガスの流量配分を調整する構成となっている。例えば、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞る場合には、第1ダンパ31を開くと共に第2ダンパ32を閉じるように傾き調整する。これにより、第1ガス流路23のガス流量が増加し、第2ガス流路24のガス流量を相対的に減少させることができる。なお、第1ダンパ31のみを開く、若しくは、第2ダンパ32のみを閉じるように傾き調整することでも、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞ることができる。
【0025】
また、ボイラ装置1は、図1に示すように、過熱器3及び再熱器5に付着した灰等の付着物を除去するスートブロワ40を有する。スートブロワ40は、過熱器3や再熱器5に向けて蒸気を噴射するノズル41と、ノズル41に蒸気を搬送する蒸気配管42と、蒸気配管42に蒸気を供給する蒸気供給弁43と、蒸気配管42において蒸気が凝縮したドレンを排出するドレン排出弁44と、蒸気配管42に接続されたドレン排出配管45と、を有する。
【0026】
ノズル41は、火炉2内に挿入可能なものであり、スートブロワ40を使用しないときは火炉2外の待機位置に位置するように駆動可能な構成となっている。このノズル41は、蒸気配管42と接続されている。この蒸気配管42は、例えば、上述した蒸気循環系から抜き出した蒸気を搬送する蒸気配管15と接続されている。蒸気供給弁43は、スートブロワ40を使用しないときは閉じており、使用するときは開き、蒸気を蒸気配管42に供給する構成となっている。ドレン排出弁44は、スートブロワ40を使用しないときに開き、ドレンをドレン排出配管45を介して排出する構成となっている。
【0027】
上記構成のスートブロワ40は、過熱器3及び再熱器5に対して図2に示すように配置されている。本実施形態では、火炉2内のガス流路において、過熱器3Aの上流側に配置されたスートブロワ40Aと、再熱器5の上流側に配置されたスートブロワ40Bと、過熱器3Cの上流側に配置されたスートブロワ40Cと、過熱器3Dの上流側に配置されたスートブロワ40Dと、が設けられている。なお、スートブロワ40A,40B,40C,40Dのそれぞれは、一つ一つが独立して駆動可能な構成となっている。このスートブロワ40は、例えば、所定時間ごとに間欠的に駆動することで、過熱器3、再熱器5の収熱を回復させるようになっている。
【0028】
このボイラ装置1は、図1に示すように、制御装置50を有する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に接続されたガス流量調整装置30、温度センサ51及び温度センサ52と通信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この制御装置50は、上記ROMに記憶された各種演算制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行い、演算結果に基づいてガス流量調整装置30の駆動を制御する構成となっている。
【0029】
温度センサ51は、再熱器5の出口側に接続された蒸気配管13に設けられている。温度センサ51は、再熱器5によって再熱された蒸気の温度を計測するものである。
また、温度センサ52は、スートブロワ40の蒸気配管42に設けられている。温度センサ52は、灰等の付着物を除去するためにスートブロワ40に供給された蒸気の温度を計測するものである。
【0030】
制御装置50は、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するとき(駆動パターンその1(後述する図5参照))、予め、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御するようになっている。また、制御装置50は、第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するとき(駆動パターンその2(後述する図6参照))、予め、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御するようになっている。制御装置50は、これらの制御を温度センサ51及び温度センサ52の計測結果に基づいて行うようになっている。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る制御装置50の制御フローを示す図である。なお、図3において、SBとはスートブロワ40を意味し、RH側とは再熱器5側(第2ガス流路24側)を意味し、SH側とは過熱器3A側(第1ガス流路23側)を意味する。
制御装置50は、図3に示すように、スートブロワ40の駆動パターンに応じてガス流量調整装置30を駆動する温度設定値を変更するようになっている。
【0032】
具体的には、先ず、切換器60において、スートブロワ40の駆動パターンに応じて出力する信号aを切り換える。第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するとき、出力する信号aに−α℃のバイアスが掛かる。また、第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するとき、出力する信号aに−β℃のバイアスが掛かる。なお、αとβは、異なる値である。次に、切換器61において、スートブロワ40のシーケンス動作に応じて出力信号を切り換える。スートブロワ40が上記駆動パターンに該当しない場合(通常のシーケンス動作の場合)には、バイアスがゼロになるが、上記駆動パターンに該当する場合には、バイアスが掛かる。
【0033】
次に、変化率制限器62において、バイアスが所定範囲を超えないように制限する。変化率制限器62から出力された信号は、加算器63に入力される。加算器63は、関数発生器64においてボイラ負荷に応じて発生した信号と、変化率制限器62から入力された信号と、の和の信号を出力する。加算器63から出力された信号は、加減算器65に入力される。加減算器65は、温度センサ51から入力された信号(再熱蒸気温度)と、加算器63から入力された信号と、の差の信号を出力する。加減算器65から出力された信号は、PIコントローラ66に入力される。
【0034】
そして、PIコントローラ66から出力された信号により、再熱器5側の第2ダンパ32の開度が制御される。また、PIコントローラ66から出力された信号が、関数発生器67に入力され、関数発生器67において発生した信号により、過熱器3A側の第1ダンパ31の開度が制御される。なお、関数発生器67は、第1ダンパ31が第2ダンパ32と正反対の動作を行うようにする信号を発生するものである。例えば、第2ダンパ32が閉じると、第1ダンパ31が開くように駆動し、第2ダンパ32が開くと、第1ダンパ31が閉じるように駆動する。
【0035】
続いて、上記構成のボイラ装置1の具体的な動作(制御方法)について、図4図6を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るボイラ装置1の動作を説明するフローチャートである。図5は、本発明の一実施形態に係る第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときのガス流量調整装置30の様子を示す図である。図6は、本発明の一実施形態に係る第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するときのガス流量調整装置30の様子を示す図である。
【0036】
図4に示すように、ボイラ装置1では、スートブロワ40を駆動しないとき、ガス流量調整装置30の第1ダンパ31及び第2ダンパ32を用いた温度制御を行う(ステップS20)。この温度制御は、図3に示す、温度設定値にバイアスを加えない通常の制御であり、ボイラ負荷に応じた温度設定値と温度センサ51の再熱蒸気温度との差に基づくPI制御を行うものである。この温度制御により、ボイラ負荷に対して再熱蒸気温度が上がりすぎないようにすることができ、再熱器5の出口側に接続された蒸気配管13において、設計温度を超えないようにすることができる。
【0037】
一方、ボイラ装置1では、所定時間ごとに間欠的にスートブロワ40を駆動させたり、または、過熱器3や再熱器5の収熱低下に応じてスートブロワ40を駆動させるようになっている(ステップS10)。スートブロワ40の起動条件が成立すると、スートブロワ40の蒸気配管42のウォーミングを開始する(ステップS11)。ウォーミングを開始するとき、図1に示す蒸気供給弁43が開き、蒸気配管15から蒸気配管42に蒸気が供給される。
【0038】
制御装置50は、蒸気配管42に蒸気が供給されたことを温度センサ52で検知したら、図3に示す温度設定値の設定を下げる制御を開始する(ステップS21)。具体的には、制御装置50は、温度センサ52の計測結果が予め設定した閾値を超えたとき、ガス流量調整装置30の駆動の制御(温度設定値の設定)を開始する。これにより、スートブロワ40が駆動する前に、予め、ガス流量調整装置30の第1ダンパ31及び第2ダンパ32の開度の調整をすることができる。
【0039】
制御装置50は、図5に示すように、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときは、予め、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御する。具体的には、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときは、図3に示すように、温度設置値に−α℃のバイアスを掛けて、温度設定値の設定を下げる(ステップS22)。これにより、再熱蒸気温度が低くても、第2ダンパ32の開度を小さくするように制御することができる。
【0040】
一方、スートブロワ40では、蒸気配管42に蒸気が供給され続けており、ウォーミング時間が規定時間に到達した、あるいは、蒸気配管42の温度が規定温度に到達したときに、ウォーミングが終了したと判定する(ステップS12)。ウォーミングが終了したら、スートブロワ40の運転が開始される(ステップS13)。例えば、図5に示すように、第1ガス流路23側においてスートブロワ40が駆動する。ここで駆動するスートブロワ40は、スートブロワ40Aの全てと、スートブロワ40Cの図示右端のものである。なお、駆動するスートブロワ40が第1ガス流路23側であるか否かは、仕切22を境界線として判定する。
【0041】
図5に示すようにスートブロワ40が駆動すると、過熱器3の伝熱管表面に付着・堆積している灰等の付着物が、噴射された蒸気によって飛散・除去され、過熱器3の収熱が回復する。このとき、スートブロワ40から噴射される蒸気によって、燃焼ガスの第1ガス流路23側への流通が妨げられる。第1ガス流路23側への流通が妨げられた燃焼ガスは、図5において矢印で示すように、第2ガス流路24側へ流通しようとする。ここで、本実施形態では、過熱器3が配置される第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するとき、予め温度設定値の設定を下げ、再熱器5が配置される第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御している。
【0042】
これにより、スートブロワ40からの蒸気によって第1ガス流路23への燃焼ガスの流通が妨げられても、相対的に第2ガス流路24が絞られているため、燃焼ガスの流通が第2ガス流路24に偏ることがない。このため、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときに、再熱器5における収熱が上昇してしまい、過渡的に蒸気配管13の設計温度を超えてしまうことを防止することができる。したがって、本実施形態では、再熱器5の蒸気配管13の負担を低減し、蒸気配管13の寿命消費を軽減することができる。
【0043】
一方で、制御装置50は、図6に示すように、第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するときは、予め、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御する。具体的には、第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するときは、図3に示すように、温度設置値に−β℃のバイアスを掛けて、温度設定値の設定を下げる(ステップS22)。その後、スートブロワ40の運転が開始される(ステップS13)。ここで駆動するスートブロワ40は、図6に示すように、スートブロワ40Bの全てである。
【0044】
図6に示すようにスートブロワ40が駆動すると、再熱器5の伝熱管表面に付着・堆積している灰等の付着物が、噴射された蒸気によって飛散・除去され、再熱器5の収熱が回復する。ここで、本実施形態では、再熱器5が配置される第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するとき、予め温度設定値の設定を下げ、再熱器5が配置される第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御している。
【0045】
このため、第2ガス流路24側においてスートブロワ40Bを駆動するときに、再熱器5における収熱が上昇してしまい、過渡的に蒸気配管13の設計温度を超えてしまうことを防止することができる。したがって、本実施形態では、再熱器5の蒸気配管13の負担を低減し、蒸気配管13の寿命消費を軽減することができる。また、本実施形態では、温度設置値に−β℃のバイアスを掛けて、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときと、第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するときとで、第2ガス流路24を絞る割合を異ならせている。この構成によれば、付着物の除去による再熱器5の収熱の上昇の方が大きい場合に、第2ガス流路24を絞る割合を大きくでき、過渡的に蒸気配管13の設計温度を超えてしまうことをより確実に防止することができる。
【0046】
図4に戻り、スートブロワ40の運転が終了したら(ステップS14)、制御装置50は、バイアスを掛けて設定を下げた温度設定値の戻しを開始する(ステップS23)。そして、制御装置50は、温度設定値の戻しが完了したら(ステップS24)、ステップS20に戻り、通常通り、ボイラ負荷に応じた温度設定値と温度センサ51の再熱蒸気温度との差に基づくPI制御を行う。なお、スートブロワ40の方では、運転が終了したら、ステップS10に戻り、次の起動条件が成立するまで待機することとなる。
【0047】
このように、上述の本実施形態によれば、炉内に設けられた過熱器3及び再熱器5と、過熱器3及び再熱器5に付着した付着物を除去するスートブロワ40と、炉内において仕切られたガス流路のうち、過熱器3の少なくとも一部が配置される第1ガス流路23と、仕切られたガス流路のうち、再熱器5が配置される第2ガス流路24と、第1ガス流路23及び第2ガス流路24のガス流量を調整するガス流量調整装置30と、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するとき、予め、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞るようガス流量調整装置30の駆動を制御する制御装置50と、を有する、ボイラ装置1を採用することによって、再熱器5の蒸気配管13の負担を低減し、蒸気配管13の寿命消費を軽減することができる。
【0048】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0049】
例えば、以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、温度設定値を下げて、予め、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞ると説明したが、本発明はこの手法に限定されるものではなく、図3に示す制御フローは一例である。例えば、第2ガス流路24を第1ガス流路23に対し相対的に絞ることができれば、第1ダンパ31のみを駆動させる手法を採用してもよいし、第2ダンパ32のみを駆動させる手法を採用してもよい。
【0050】
(2)上記実施形態では、第1ガス流路23側においてスートブロワ40を駆動するときと、第2ガス流路24側においてスートブロワ40を駆動するときとで、第2ガス流路24を絞る割合を異ならせると説明したが、本発明はこの手法に限定されるものではない。例えば、α<βでもよいし、α=βでもよいし、ボイラ装置1の仕様によってはα>βでもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…ボイラ装置、2…火炉、3…過熱器、5…再熱器、23…第1ガス流路、24…第2ガス流路、30…ガス流量調整装置、40…スートブロワ、50…制御装置、51…温度センサ、52…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6