特許第6287586号(P6287586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6287586
(24)【登録日】2018年2月16日
(45)【発行日】2018年3月7日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20180226BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180226BHJP
【FI】
   F21V8/00 320
   F21V8/00 340
   F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-109811(P2014-109811)
(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2015-225769(P2015-225769A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】池田 愛一郎
【審査官】 丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−67396(JP,A)
【文献】 特開2015−22814(JP,A)
【文献】 特開昭62−85287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21S 2/00
G09F 13/00−13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が発する光を入射する入射面と当該入射面に入射した光を出射する出射面とを有する複数の導光路を、一体的に形成した導光部材と、
前記導光路毎の入射面側に設けられ、前記入射面に入射させる光の特性を前記入射面毎に異なる特性に制限する入射側制限部と、
前記導光路毎の出射面側に設けられ、前記出射面から出射させる光の特性を、前記導光路を共有する前記入射面に入射する光の特性に制限する出射側制限部と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記光の特性とは、偏光であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
一つの前記入射面側に設けられた前記入射側制限部と、当該入射面と前記導光路を共有する前記出射面側に設けられた前記出射側制限部とは、通過させる光の偏光を共通の偏光に制限する偏光フィルタであることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記入射面毎の入射側制限部は、前記入射面毎に設けられた前記光源であって互いに偏光状態が異なる光を発する複数の光源を少なくとも含むことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光の特性とは、波長であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
一つの前記入射面側に設けられた前記入射側制限部と、当該入射面と前記導光路を共有する前記出射面側に設けられた前記出射側制限部とは、通過させる光の波長を共通の波長に制限する波長フィルタであることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記入射面毎の入射側制限部は、前記入射面毎に設けられた前記光源であって互いに波長が異なる光を発する複数の光源を少なくとも含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
光源と、
前記光源が発する光を入射する入射面を共有しつつ光を出射するための出射面を夫々有する複数の導光路を、一体的に形成した導光部材と、
前記導光路の入射面側に設けられ、前記入射面に入射させる光の特性を変更可能な入射光可変部と、
前記導光路毎の出射面側に設けられ、前記出射面から出射させる光の特性を、前記入射光可変部が変更可能ないずれかの特性であって前記出射面毎に異なる特性に制限する出射側制限部と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
前記光の特性とは、偏光であることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記光の特性とは、波長であることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、点灯や点滅等によって機器の状態をユーザに認知させるためのインジケータ(indicator)等と呼ばれる発光部が設けられている。このような発光部は、電子機器の筐体表面の複数個所に設けられ、それぞれが状態を点灯や点滅や消灯に切り替えることで機器の状態をユーザに認知させる。なお、発光部は、LED等の光源が電子機器の筐体表面に直接露出した状態で構成されるのではなく、電子機器内部に配設された光源が発する光を筐体表面の所定個所にまで導く導光部材の一端が当該所定個所臨んだ状態で構成されることがある。
【0003】
また、直線偏光のレーザ光を出射するレーザ発生器と、レーザ発生器からのレーザ光が照射される蛍光体と、レーザ発生器から出射したレーザ光の通過領域に配置される光学部材とを備え、光学部材はレーザ光入射面およびレーザ光出射面を有する導光部材を含み、導光部材のレーザ光入射面およびレーザ光出射面の少なくとも一方に反射型偏光フィルタを形成した発光装置が知られている(特許文献1参照)。
また、一端側を収束し他端側を2つに分岐させるとともに被照明体を挟んで対向した2本の導光体であって、夫々の導光体の長手方向に沿った外側の側面に光反射手段あるいは光拡散手段を形成し内側の側面を光出射面とした2本の導光体と、2本の導光体の収束した一端側の端面に臨ませて配置した1個の発光ダイオードと、各導光体の前記一端側又は前記光反射手段あるいは光拡散手段の箇所より発光ダイオード側に配置された、蛍光体又は燐光体を分散してなるフィルタとを備え、各導光体のフィルタは、発光ダイオードの光を受けた時に互いに異なる波長の光を発する蛍光体又は燐光体を分散させたものである照明装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011‐249538号公報
【特許文献2】特許第4688717号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように複数の発光部が電子機器の筐体表面に設けられている場合、ある発光部で発する光が、導光部材を介して別の発光部へ漏れてしまうという課題があった。このような光の漏れがあると、例えば、本来消灯しているべき発光部が若干光って見えたり、ある発光部が本来の発光色とは異なる色で光って見えたりする。なお前記文献はいずれも、このような複数の発光部が存在する場合の光の漏れを解消するものではなかった。
【0006】
本発明は少なくとも上述の課題を解決するためになされたものであり、不要な光の漏れを無くす発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、発光装置は、光源と、前記光源が発する光を入射する入射面と当該入射面に入射した光を出射する出射面とを有する複数の導光路を、一体的に形成した導光部材と、前記導光路毎の入射面側に設けられ、前記入射面に入射させる光の特性を前記入射面毎に異なる特性に制限する入射側制限部と、前記導光路毎の出射面側に設けられ、前記出射面から出射させる光の特性を、前記導光路を共有する前記入射面に入射する光の特性に制限する出射側制限部と、を備える。
【0008】
本態様によれば、ある導光路の入射面には、当該入射面に対応して設けられた入射側制限部を介して、制限された特性の光だけが入射し、かつ、当該入射面と導光路を共有する出射面からは、当該出射面に対応して設けられた出射側制限部を介して、特性が当該入射面に入射した光と同じ特性に制限された光だけが出射する。従って、前記のように複数の導光路が一体的に形成された状況において、ある出射面(ユーザに発光部(インジケータ)の一つとして視認される部位)から出射すべき光が他の出射面からも出射されること(上述した光の漏れ)が、確実に防止される。
【0009】
また、本発明の態様の一つは、発光装置は、光源と、前記光源が発する光を入射する入射面を共有しつつ光を出射するための出射面を夫々有する複数の導光路を、一体的に形成した導光部材と、前記導光路の入射面側に設けられ、前記入射面に入射させる光の特性を変更可能な入射光可変部と、前記導光路毎の出射面側に設けられ、前記出射面から出射させる光の特性を、前記入射光可変部が変更可能ないずれかの特性であって前記出射面毎に異なる特性に制限する出射側制限部と、を備える。
【0010】
本態様によれば、複数の導光路が共有する入射面には、入射面に入射させる光の特性を変更可能な入射光可変部によって特性が制限された光が入射し、かつ、導光路毎の出射面からは、当該出射面に対応して設けられた出射側制限部を介して、特性が入射光可変部が変更可能ないずれかの特性であって出射面毎に異なる特性に制限された光だけが出射する。従って、前記のように複数の導光路が一体的に形成された状況において、ある出射面から出射すべき光が他の出射面からも出射されること(上述した光の漏れ)が、確実に防止される。
【0011】
本発明の技術的思想は、発光装置録以外の態様によって実現されてもよい。例えば、発光装置が実現する処理を方法の発明として捉えることができる。また、発光装置を一部に含む電子機器を一つの発明として捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】発光装置を含む電子機器の一部を例示する斜視図。
図2】第1実施例の導光部材を示す斜視図。
図3】第1実施例の発光装置を示す斜視図。
図4】第2実施例の発光装置を示す斜視図。
図5】第3実施例の発光装置を示す斜視図。
図6】第4実施例の発光装置を示す斜視図。
図7】第5実施例の発光装置を示す斜視図。
図8】第6実施例の発光装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態として、前記光の特性とは、偏光または波長であるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、一つの前記入射面側に設けられた前記入射側制限部と、当該入射面と前記導光路を共有する前記出射面側に設けられた前記出射側制限部とは、通過させる光の偏光(または波長)を共通の偏光(または波長)に制限する偏光フィルタ(または波長フィルタ)であるとしてもよい。
また、本発明の実施形態として、前記入射面毎の入射側制限部は、前記入射面毎に設けられた前記光源であって互いに偏光状態(または波長)が異なる光を発する複数の光源を少なくとも含むとしてもよい。
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を更に説明する。
(装置の概略)
図1は、発光装置10を含む電子機器100の一部を斜視図により例示している。電子機器100には、筐体表面にインジケータを必要とする製品であればあらゆる製品が該当し、例えば、テレビ、レコーダ、PC(パーソナルコンピュータ)、モバイル機器、その他、通信機器、AV機器、記憶装置等が該当する。発光装置10は、電子機器100に収容されており、その一部(出射面23)を、電子機器100の筐体101に形成された孔を介して外部に露出させている。つまり、出射面23が、電子機器100の外部からユーザに視認されるインジケータである。
以下に、本発明に含まれる発光装置10の例を説明する。
【0015】
(第1実施例)
図2は、第1実施例にかかる導光部材20を斜視図により例示し、図3は、第1実施例にかかる発光装置10を斜視図により例示している。発光装置10は、導光部材20と、光源30とを含む。導光部材20は、複数の導光路21(21a,21b)を一体的に形成した物であり、全体が透明な樹脂等の素材で作られている。図2,3に示した導光部材20においては、2つの導光路21a,21bが連結部26によって連結されている。上述したような素材で複数の導光路21を一体成型することで、複数の導光路21を製造するコストを抑えることができる。
【0016】
光源30(30a,30b)は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子であり、導光路21の数に応じて設けられている。図3の例では、導光路21aに対応して光源30aが設けられ、導光路21bに対応して光源30bが設けられている。導光路21は両端に、光源30が発する光を入射する入射面22(22a,22b)と、入射面22に入射した光を出射する出射面23(23a,23b)とを有する。図2,3の例では、導光路21aは、光源30aが発する光を入射する入射面22aと、入射面22aに入射した光を出射する出射面23aとを有し、導光路21bは、光源30bが発する光を入射する入射面22bと、入射面22bに入射した光を出射する出射面23bとを有する。
【0017】
図3に示すように、導光路21aに注目すると、入射面22aに偏光フィルタ24aが設けられ、出射面23aに偏光フィルタ25aが設けられている。また、導光路21bに注目すると、入射面22bに偏光フィルタ24bが設けられ、出射面23bに偏光フィルタ25bが設けられている。このような偏光フィルタはいずれも、対象の面に蒸着された偏光膜や、対象の面に装着された偏光子であり、直線偏光成分を通過させる。
【0018】
偏光フィルタ24a,24bは、導光路21毎の入射面22側に設けられ、入射面22に入射させる光の特性を入射面22毎に異なる特性に制限する「入射側制限部」の一例である。偏光フィルタ25a,25bは、導光路21毎の出射面23側に設けられ、出射面23から出射させる光の特性を、導光路21を共有する入射面22に入射する光の特性に制限する「出射側制限部」の一例である。
【0019】
具体的には、導光路21aの入射面22a側に設けられた偏光フィルタ24aと、同じ導光路21aの出射面23a側に設けられた偏光フィルタ25aとは、通過させる光の偏光を共通の偏光に制限する。また、導光路21bの入射面22b側に設けられた偏光フィルタ24bと、同じ導光路21bの出射面23b側に設けられた偏光フィルタ25bとは、通過させる光の偏光を共通の偏光に制限する。このとき、偏光フィルタ24a,25aのペアが通過させる偏光の向き(第1方向)と、偏光フィルタ24b,25bのペアが通過させる偏光の向き(第2方向)は、例えば90度程度異なる。
【0020】
このような第1実施例によれば、偏光フィルタ24aによって、光源30aが発した光のうち特定の方向(前記第1方向)に偏光した光だけが入射面22aへ入射し、入射面22aへ入射した光は、導光路21aに導かれて出射面23aから出射する(偏光フィルタ25aを通過する)。このとき、入射面22aへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21b側へも導かれるが、出射面23bに設けられた偏光フィルタ25bを通過することができない。また、偏光フィルタ24bによって、光源30bが発した光のうち特定の方向(前記第1方向に略直交する前記第2方向)に偏光した光だけが入射面22bへ入射し、入射面22bへ入射した光は、導光路21bに導かれて出射面23bから出射する(偏光フィルタ25bを通過する)。このとき、入射面22bへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21a側へも導かれるが、出射面23aに設けられた偏光フィルタ25aを通過することができない。従って、出射面23aから出射される光(出射面23aを光らせるための光源30aの光)が出射面23bから漏れること、および、出射面23bから出射される光(出射面23bを光らせるための光源30bの光)が出射面23aから漏れることが、いずれも確実に防止され、発光装置10の品質が向上する。
【0021】
(第2実施例)
図4は、第2実施例にかかる発光装置10を斜視図により例示している。第2実施例においては、第1実施例と異なる構成について説明する。
第2実施例では、発光装置10は、入射面22(22a,22b)毎に設けられた光源30(30c,30d)を有する。これら光源30c,30dは、互いに偏光状態が異なる光を発する複数の光源の例である。第2実施例では、第1実施例のような入射面22(22a,22b)側の偏光フィルタ24a,24bは、有っても無くてもよい。この意味で、第2実施例では、光源30(30c,30d)も、導光路21毎の入射面22側に設けられ入射面22に入射させる光の特性を入射面22毎に異なる特性に制限する「入射側制限部」の概念に含まれる。なお図4では、偏光フィルタ24a,24bが設けられていない場合を図示している。
【0022】
具体的には、導光路21aの入射面22a側に設けられた光源30cは、同じ導光路21aの出射面23a側に設けられた偏光フィルタ25aが通過させる光の偏光と共通の向きに偏光した光のみを入射面22aへ発する。また、導光路21bの入射面22b側に設けられた光源30dは、同じ導光路21bの出射面23b側に設けられた偏光フィルタ25bが通過させる光の偏光と共通の向きに偏光した光のみを入射面22bへ発する。
【0023】
このような第2実施例によれば、光源30cからは前記第1方向に偏光した光だけが入射面22aへ入射し、入射面22aへ入射した光は、導光路21aに導かれて出射面23aから出射する(偏光フィルタ25aを通過する)。このとき、入射面22aへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21b側へも導かれるが、出射面23bに設けられた偏光フィルタ25bを通過することができない。また、光源30dからは前記第2方向に偏光した光だけが入射面22bへ入射し、入射面22bへ入射した光は、導光路21bに導かれて出射面23bから出射する(偏光フィルタ25bを通過する)。このとき、入射面22bへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21a側へも導かれるが、出射面23aに設けられた偏光フィルタ25aを通過することができない。従って、出射面23aから出射される光(出射面23aを光らせるための光源30cの光)が出射面23bから漏れること、および、出射面23bから出射される光(出射面23bを光らせるための光源30dの光)が出射面23aから漏れることが、いずれも確実に防止される。また、第1実施例と比較したとき、第2実施例によれば、入射面22(22a,22b)側の偏光フィルタ24a,24bを省略することでコストを低減することができる。
【0024】
(第3実施例)
図5は、第3実施例にかかる発光装置10を斜視図により例示している。第3実施例においては、第1・第2実施例と異なる構成について説明する。第3実施例では、導光部材20の形状が第1・第2実施例と異なる。具体的には、導光部材20は、光源30が発する光を入射する入射面22を共有しつつ光を出射するための出射面23(23a,23b)を夫々有する複数の導光路21(21a,21b)を、一体的に形成している。第3実施例(および後述の第6実施例)でも、透明な樹脂等の素材で複数の導光路21を一体成型することで、複数の導光路21を製造するコストを抑えるようにしている。
【0025】
第3実施例では、第1・第2実施例と異なり、光源30の数は、入射面22が一つであることから一つである。また、入射面22と光源30との間には、光源30が発した光のうち入射面22に入射させる光の特性を変更可能な入射光可変部31が設けられている。具体的には、入射光可変部31は、入射面22に入射させる光の偏光を可変とするものであり、例えば、偏光の向きを前記第1方向と前記第2方向とのいずれかに変更する。入射光可変部31は、例えば、印加される電圧に応じて偏光特性を可変とする液晶デバイス等である。
【0026】
出射面23a,23b毎に設けられた偏光フィルタ25a,25bは、対応する出射面23a,23bから出射させる光の特性を、入射光可変部31が変更可能ないずれかの特性であって出射面23a,23b毎に異なる特性に制限する「出射側制限部」である。具体的には、出射面23aに対応する偏光フィルタ25aは、前記第1方向に偏光した光のみ通過させ、出射面23bに対応する偏光フィルタ25bは、前記第2方向に偏光した光のみ通過させる。
【0027】
このような第3実施例によれば、入射光可変部31が通過させる偏光の向きを前記第1方向に制限した場合、光源30が発した光のうち前記第1方向に偏光した光だけが入射面22へ入射し、入射面22へ入射した光は、導光路21aおよび導光路21bへ導かれ、出射面23aから出射する(偏光フィルタ25aを通過する)。このとき、導光路21b側へ導かれた光は、出射面23bに設けられた偏光フィルタ25bを通過することができない。また、入射光可変部31が通過させる偏光の向きを前記第2方向に制限した場合、光源30が発した光のうち前記第2方向に偏光した光だけが入射面22へ入射し、入射面22へ入射した光は、導光路21aおよび導光路21bへ導かれ、出射面23bから出射する(偏光フィルタ25bを通過する)。このとき、導光路21a側へ導かれた光は、出射面23aに設けられた偏光フィルタ25aを通過することができない。従って、出射面23aが発光しているときに出射面23bから光が漏れること、および、出射面23bが発光しているときに出射面23aから光が漏れることが、いずれも確実に防止される。また、第1・第2実施例と比較したとき、第3実施例によれば、入射面22が一つであるため、光源30の数を一つとしてコストを低減することができる。なお、光源30自体が、入射光可変部31の機能を兼ね備え、発する光の偏光を変更可能なものであってもよい。
【0028】
(第4実施例)
第4実施例は、概念的には、第1実施例における「偏光」という言葉を、「波長」という言葉に置き換えたものである。
図6は、第4実施例にかかる発光装置10を斜視図により例示している。第4実施例においては、第1実施例と異なる構成について説明する。
【0029】
図6に示すように、導光路21aに注目すると、入射面22aに波長フィルタ27aが設けられ、出射面23aに波長フィルタ28aが設けられている。また、導光路21bに注目すると、入射面22bに波長フィルタ27bが設けられ、出射面23bに波長フィルタ28bが設けられている。このような波長フィルタ(バンドパスフィルタ)はいずれも、対象の面に蒸着あるいは装着等されており、ある特定の波長の光のみを通過させる。
【0030】
波長フィルタ27a,27bは、導光路21毎の入射面22側に設けられ、入射面22に入射させる光の特性を入射面22毎に異なる特性に制限する「入射側制限部」の一例である。波長フィルタ28a,28bは、導光路21毎の出射面23側に設けられ、出射面23から出射させる光の特性を、導光路21を共有する入射面22に入射する光の特性に制限する「出射側制限部」の一例である。
【0031】
具体的には、導光路21aの入射面22a側に設けられた波長フィルタ27aと、同じ導光路21aの出射面23a側に設けられた波長フィルタ28aとは、通過させる光の波長を共通の波長に制限する。また、導光路21bの入射面22b側に設けられた波長フィルタ27bと、同じ導光路21bの出射面23b側に設けられた波長フィルタ28bとは、通過させる光の波長を共通の波長に制限する。このとき、波長フィルタ27a,28aのペアが通過させる波長(第1波長)と、波長フィルタ27b,28bのペアが通過させる波長(第2波長)は異なる。例えば、第1波長は、700nm付近の一定範囲の波長(赤色に略相当する波長)であり、第2波長は、550nm付近の一定範囲の波長(緑色に略相当する波長)である。
【0032】
このような第4実施例によれば、波長フィルタ27aによって、光源30aが発した光のうち特定の波長(前記第1波長)の光だけが入射面22aへ入射し、入射面22aへ入射した光は、導光路21aに導かれて出射面23aから出射する(波長フィルタ28aを通過する)。このとき、入射面22aへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21b側へも導かれるが、出射面23bに設けられた波長フィルタ28bを通過することができない。また、波長フィルタ27bによって、光源30bが発した光のうち特定の波長(前記第2波長)の光だけが入射面22bへ入射し、入射面22bへ入射した光は、導光路21bに導かれて出射面23bから出射する(波長フィルタ28bを通過する)。このとき、入射面22bへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21a側へも導かれるが、出射面23aに設けられた波長フィルタ28aを通過することができない。従って、出射面23aから出射される光の色が出射面23bから漏れること、および、出射面23bから出射される光の色が出射面23aから漏れることが、いずれも確実に防止され、発光装置10の品質が向上する。
【0033】
(第5実施例)
第5実施例は、第1実施例に対して第2実施例が差異点を有するのと同様に、第4実施例に対して差異点を有するものである。また、第5実施例は、概念的には、第2実施例における「偏光」という言葉を、「波長」という言葉に置き換えたものである。
図7は、第5実施例にかかる発光装置10を斜視図により例示している。第5実施例においては、第4実施例と異なる構成について説明する。
第5実施例では、発光装置10は、入射面22(22a,22b)毎に設けられた光源30(30e,30f)を有する。これら光源30e,30fは、互いに波長が異なる光を発する複数の光源の例である。第5実施例では、第4実施例のような入射面22(22a,22b)側の波長フィルタ27a,27bは、有っても無くてもよい。この意味で、第5実施例では、光源30(30e,30f)も、導光路21毎の入射面22側に設けられ入射面22に入射させる光の特性を入射面22毎に異なる特性に制限する「入射側制限部」の概念に含まれる。なお図7では、波長フィルタ27a,27bが設けられていない場合を図示している。
【0034】
具体的には、導光路21aの入射面22a側に設けられた光源30eは、同じ導光路21aの出射面23a側に設けられた波長フィルタ28aが通過させる光の波長と共通の波長の光のみを入射面22aへ発する。また、導光路21bの入射面22b側に設けられた光源30fは、同じ導光路21bの出射面23b側に設けられた波長フィルタ28bが通過させる光の波長と共通の波長の光のみを入射面22bへ発する。
【0035】
このような第5実施例によれば、光源30eからは前記第1波長の光だけが入射面22aへ入射し、入射面22aへ入射した光は、導光路21aに導かれて出射面23aから出射する(波長フィルタ28aを通過する)。このとき、入射面22aへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21b側へも導かれるが、出射面23bに設けられた波長フィルタ28bを通過することができない。また、光源30fからは前記第2波長の光だけが入射面22bへ入射し、入射面22bへ入射した光は、導光路21bに導かれて出射面23bから出射する(波長フィルタ28bを通過する)。このとき、入射面22bへ入射した光の一部は連結部26を通って導光路21a側へも導かれるが、出射面23aに設けられた波長フィルタ28aを通過することができない。従って、出射面23aから出射される光の色(光源30eの発光色)が出射面23bから漏れること、および、出射面23bから出射される光の色(光源30fの発光色)が出射面23aから漏れることが、いずれも確実に防止される。また、第4実施例と比較したとき、第5実施例によれば、入射面22(22a,22b)側の波長フィルタ27a,27bを省略することでコストを低減することができる。
【0036】
(第6実施例)
第6実施例は、第1・第2実施例に対して第3実施例が差異点を有するのと同様に、第4・第5実施例に対して差異点を有するものである。また 第6実施例は、概念的には、第3実施例における「偏光」という言葉を、「波長」という言葉に置き換えたものである。
図8は、第6実施例にかかる発光装置10を斜視図により例示している。第6実施例においては、第4・第5実施例と異なる構成について説明する。第6実施例では、導光部材20の形状は、第3実施例(図5)と同じである。光源30の数は、入射面22が一つであることから第3実施例と同じく一つである。
【0037】
また、入射面22と光源30との間には、光源30が発した光のうち入射面22に入射させる光の特性を変更可能な入射光可変部32が設けられている。具体的には、入射光可変部32は、入射面22に入射させる光の波長を可視光の帯域内で可変とする波長可変光フィルタである。入射光可変部32は、例えば、印加される電圧に応じて、通過させる波長を前記第1波長と前記第2波長とのいずれかに変更可能である。
【0038】
出射面23a,23b毎に設けられた波長フィルタ28a,28bは、対応する出射面23a,23bから出射させる光の特性を、入射光可変部32が変更可能ないずれかの特性であって出射面23a,23b毎に異なる特性に制限する「出射側制限部」である。具体的には、出射面23aに対応する波長フィルタ28aは、前記第1波長の光のみ通過させ、出射面23bに対応する波長フィルタ28bは、前記第2波長の光のみ通過させる。
【0039】
このような第6実施例によれば、入射光可変部32が通過させる波長を前記第1波長に制限した場合、光源30が発した光のうち前記第1波長の光だけが入射面22へ入射し、入射面22へ入射した光は、導光路21aおよび導光路21bへ導かれ、出射面23aから出射する(波長フィルタ28aを通過する)。このとき、導光路21b側へ導かれた光は、出射面23bに設けられた波長フィルタ28bを通過することができない。また、入射光可変部32が通過させる波長を前記第2波長に制限した場合、光源30が発した光のうち前記第2波長の光だけが入射面22へ入射し、入射面22へ入射した光は、導光路21aおよび導光路21bへ導かれ、出射面23bから出射する(波長フィルタ28bを通過する)。このとき、導光路21a側へ導かれた光は、出射面23aに設けられた波長フィルタ28aを通過することができない。従って、出射面23aが発光しているときに出射面23aの光の色が出射面23bから漏れること、および、出射面23bが発光しているときに出射面23bの光の色が出射面23aから漏れることが、いずれも確実に防止される。また、第4・第5実施例と比較したとき、第6実施例によれば、入射面22が一つであるため、光源30の数を一つとしてコストを低減することができる。なお、光源30自体が、入射光可変部32の機能を兼ね備え、発する光の波長を変更可能なものであってもよい。
【0040】
(その他)
光源30の点灯/消灯や、入射光可変部31,32が通過させる光の偏光や波長の変更は、電子機器100が備える図示しないIC等の制御回路によって制御される。
【0041】
また、ユーザが視認するインジケータの数、つまり導光部材20が備える出射面23の数は、3つ以上であってもよい。この場合、導光部材20は、出射面23をそれぞれ有する3本以上の導光路21を一体的に形成したものであり、第1・第2・第4・第5実施例であれば、導光路21それそれが入射面22を有し、第3・第6実施例であれば、各導光路21が一つの入射面22を共有する。また、第1・第2・第3実施例においては、複数の出射面23毎に対応させる偏光は、例えば、180度を出射面23の数(導光路21の数)で等分して得られる角度差を互いに有し、第4・第5・第6実施例においては、複数の出射面23毎に対応させる波長は、互いに異なる色の波長とする。
【0042】
さらに、
・上記各実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること、
・上記各実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記各実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
・上記各実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記各実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること、
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0043】
10…発光装置、20…導光部材、21,21a,21b…導光路、22,22a,22b…入射面、23,23a,23b…出射面、24a,24b,25a,25b…偏光フィルタ、26…連結部、27a,27b,28a,28b…波長フィルタ、30,30a,30b,30c,30d,30e,30f…光源、31,32…入射光可変部、100…電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8