(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記割込要求検出手段によって前記割込要求が検出されたときに、前記車両検出手段により検出された前記割込先車線の先行車両の相対位置に基づいて、前記割込先車線の先行車両より後方に第1距離だけ離れた位置であって、かつ、前記割込先車線と自車両が走行している自車走行車線との境界線から第2距離だけ自車走行車線側に離れた位置までの自車両の走行軌跡を生成する割込意図伝達手段を更に含み、
前記車線変更支援手段は、前記割込意図伝達手段によって生成した走行軌跡に従って走行するように自車両の運転支援を更に行う請求項1記載の車線変更支援装置。
前記割込軌跡生成手段は、前記割込先車線の先行車両の後方に割り込むための前記自車両の走行軌跡として、単調増加関数で表わされる走行軌跡を生成する請求項1〜3のいずれか1項記載の車線変更支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、車両に搭載され、自車の車線変更支援を行う車線変更支援装置に本発明を適用した場合を例に説明する。
【0016】
<本実施の形態に係る車線変更支援装置の構成>
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る車線変更支援装置100は、ウインカセンサ10と、レーザやミリ波の反射により自車両の周囲に存在する車両の位置を検知するレーザレーダやミリ波レーダからなるレーダセンサ12と、音波の反射により自車両の周囲に存在する車両の位置を検知するソナーセンサ14と、車室内やバンパやサイドミラー等に組み込まれたカメラにより自車両の周囲の画像を撮像する車載カメラ16と、制御部20と、アクチュエータ50と、出力部52とを備えている。
【0018】
制御部20は、車線候補を検出する車線検出部30と、自車の周囲に存在する車両を検出する車両検出部32と、ドライバによる割込先車線への割込要求を検出する割込要求検出部34と、割込先車線の車両に対して車線変更意図を伝達するための走行軌跡を生成する割込意図伝達部36と、割込先車線の後続車が割込みを許可しているかを判定する割込許可判定部38と、割込先車線への車線変更の走行軌跡を生成する割込軌跡生成部40と、車線変更を行うように、自車両の運転支援を行う車線変更支援部42と、自車のドライバに割込支援に関する状態を通知する割込状態通知部44とを備えている。
【0019】
アクチュエータ50は、車線変更支援部42による制御に従って、ステアリング、アクセルペダル、及びブレーキペダルを操作する。
【0020】
出力部52は、ウインカランプ、モニタ、スピーカ、及びランプ等を介して、ドライバに対する割込みの通知に関する出力を行う。
【0021】
車線検出部30は、車載カメラ16により撮像されたカメラ画像に基づいて、車線候補を検出し、検出した車線候補に対して、車線を識別するためのラベルを付与する。自車両と最も近い車線には走行中車線のラベルを付与する。また、右側に1つ以上の車線が検出された場合には、走行中の車線から最も近い右側の車線に右側車線のラベルを付与し、左側に1つ以上の車線が検出された場合には、走行中の車線から最も近い左側の車線に左側車線のラベルを付与する。
【0022】
また、車線検出部30は、後述する割込要求検出部34で割込要求フラグがONとなった場合には、前回の処理で走行中車線のラベルを付与した車線と最も近い車線に対して、走行中車線のラベルを付与する。これは、例えば、右側車線に割り込む場合、右側車線に進入した瞬間に、右側車線が走行中車線として検出されてしまうことを防ぐため、割込みが完了するまでは、車線のラベルが変わらないようにするためである。
【0023】
車両検出部32は、以下に説明するように、レーダセンサ12の出力と、ソナーセンサ14の出力と、車載カメラ16の出力と、車線検出部30で検出された車線とに基づいて、車両検出エリア毎に、車両検出エリアの各々に存在する車両の速度と自車両に対する相対位置を検出する。まず、
図2に示すように、自車両の中心より予め定めた前方距離L
Fと後方距離L
Rに従って最大8つに区分される車両検出エリアが設定されており、車両検出エリアの各々について車両の有無を検出する。ここで車両が検出された車両検出エリアは、車両検出フラグをONにする。
【0024】
そして、車両検出部32は、車両検出エリア毎に、自車両よりも前方の車両検出エリアで検出された車両のうち、自車両から最も近い1台の車両を先行車両として選択し、先行車両の速度、及び先行車両後端を基準とした自車両に対する相対位置を取得する。また、後続車両の場合も同様に、車両検出エリア毎に、自車両よりも後方の車両検出エリアで検出された車両のうち、自車から最も近い1台の車両を後続車両として選択し、後続車両の速度、及び後続車両先端を基準とした自車両に対する相対位置を取得する。
【0025】
割込要求検出部34は、以下に説明するように、ウインカセンサ10により受け付けたドライバによるウインカ操作に基づいて、ドライバによる割込先車線への割込要求を検出する。まず、ドライバがウインカレバーを同じ方向に対して、予め定められたT
W秒以内に2回ONにしたことが検知された場合に、割込要求があったと判定する。割込要求があったと判定された場合には、次に、車線検出部30で検出した車線情報と、車両検出部32で検出した車両の速度、及び自車両に対する相対位置とに基づいて、ウインカレバーを2回ONにした方向の車線に先行車両と後続車両が存在し、かつ、先行車両と後続車両との速度差が予め定められた±V
R以内であるかを判定する。判定の結果、条件を満たしている場合には、割込要求フラグをONに設定する。なお、条件を満たしていない場合には、ドライバに対して割込支援不可であることを示すメッセージを、出力部52を介してモニタに表示したり、警告音等を発することにより通知する。
【0026】
また、割込要求検出部34は、割込要求フラグがONとなっている場合に、割込要求の際とは逆方向に対してウインカレバーをONにしたことを検知すると、割込みがキャンセルされたものとして割込要求フラグをOFFに戻す。
【0027】
割込意図伝達部36は、以下に説明するように、車両検出部32で検出された割込先車線の先行車両の自車両に対する相対位置と、割込要求検出部34で検出された割込要求とに基づいて、自車両のドライバの割込意図を割込先車線の車両に伝達するためのウインカランプの点滅制御、及び走行軌跡の生成を行う。まず、割込要求検出部34で割込要求フラグがONになっており、かつ、割込先車線の先行車両が検出されており、かつ、
図3に示すように、割込先車線の先行車両と自車両との相対位置がL
F1≧L
P≧L
F2の条件を満たしているかを判定する。ここで、L
F1及びL
F2は予め定められた自車両と先行車両との相対位置が一定距離内に収まっているかを判定するための指標となる位置であり、L
Pは車両検出部32において検出された自車両の中心から先行車両後端までの相対位置である。
【0028】
割込意図伝達部36は、上記判定の結果、条件を満たしていればウインカランプの点滅を開始するように制御し、割込意図伝達フラグをONにする。次に、
図4に示すように、自車両の割込意図を割込先車線の車両に伝達するための、割込先車線の先行車両後端より後方に予め定めた距離X
Aだけ離れた位置であり、かつ、割込先車線と自車両が走行している自車走行車線との境界線から予め定めた距離Y
Aだけ離れた自車走行車線側に離れた位置までの直線による走行軌跡を生成する。ここで、距離X
Aが第1距離の一例であり、距離Y
Aが第2距離の一例である。走行軌跡を生成後、割込先車線の先行車両と後続車両との車間距離、先行車両と後続車両の速度等の交通状況から、軌跡上を移動する速度を決定する。そして、現在時刻における走行軌跡上の目標点を出力する。
【0029】
なお、割込意図伝達部36で生成された走行軌跡、決定された移動速度、及び出力された目標点に基づく車線変更に係る運転支援は、後述する車線変更支援部42により行われる。例えば、自車両の速度を調整して割込先車線の先行車両の側後方に位置取り、その後ウインカを点滅させながら自車両が走行中の車線中央から割込先車線に少しオフセットした横位置で待機する。このようにすることで、割込先車線の後続車両にとって自車両の見落としが少なく、かつ自車両の割込みのための車線変更を伝達することが可能となる。
【0030】
割込許可判定部38は、以下に説明するように、車両検出部32で検出された割込先車線の先行車両、並びに後続車両の速度、及び相対位置と、割込要求検出部34で検出された割込要求と、割込意図伝達部36で出力された目標点とに基づいて、割込意図伝達部36の処理の開始後から、割込先車線の後続車の挙動を観測し、後続車両が割込みを許可しているか否かを判定する。まず、割込要求フラグがONのとき、自車両の位置が、割込意図伝達部36で出力された目標点から±L
A[m]以内であり、かつ、割込先車線の先行車両と後続車両との速度差が(先行車速度−後続車速度)≧V
FRであり、かつ、割込先車線の先行車両と後続車両との車間距離がL
PF以上であり、かつ、割込先車線に側方車両が存在しないかを判定する。ここで、L
A、V
FR、及びL
PFは各々の条件に従って予め定められた値である。そして、割込許可判定部38は、上記判定の結果、条件を満たしていれば割込許可フラグをONに設定する。また、割込要求フラグがOFFになった場合には、割込みがキャンセルされ、又は割込みが完了したものとして割込許可フラグをOFFに戻す。
【0031】
割込軌跡生成部40は、以下に説明するように、割込許可判定部38で割込が許可されているとき、車両検出部32で検出された割込先車線の先行車両の速度に基づいて、割込先車線の先行車両との衝突を回避できる先行車両と自車両との接近距離を算出し、車両検出部32で検出された先行車両の相対位置に基づいて、算出された接近距離に基づいて定められる衝突エリアに対して、自車両の外形が重ならないように、先行車両の位置を基準とした、先行車両の後方に割込むための自車両の走行軌跡として、単調増加関数で表される走行軌跡を生成する。
【0032】
まず、割込軌跡生成部40は、
図5に示すように、車両検出部32で検出された割込先車線の先行車両の速度と、自車両の速度とに基づいて、自車両が車線変更したときに先行車両が減速しても先行車両との衝突を回避できる接近距離(以下、LCxと記載する)を算出し、LCxと先行車両の車幅によって衝突エリアを導出する。なお、先行車両の車幅は本実施の形態では規定値を用いるが、車載カメラ等による車両検出によって車幅を特定してもよい。
図5下段のグラフにLCxの算出例を示す。
図5では、先行車両との速度差を検出してから先行車両との速度差を検出してから自車両が減速し始めるまでのタイムラグを0.5[sec]としている。先行車両の減速Gに追いつくまでは、先行車両の減速Gより1[m/sec2]強く減速できるものとする。LCxは先行車両の速度Vと最大減速Gにより算出が可能であり、例えば、先行車両の最大減速G=5[m/sec2](=約0.5G)と仮定すると、V=40[km/H]でLCx=3.5[m]、V=100[km/H]でLCx=3.75[m]となる。
【0033】
そして、割込軌跡生成部40は、
図6に示すように、自車両の外形が衝突エリアと重ならず、かつ、先行車両の相対位置に基づく座標Sと自車両の外形とにより決定される点Pを通るように、単調増加関数により表される走行軌跡を生成する。単調増加関数は、例えば、座標Sを基準とした自車両の初期位置が(0,−3)、点Pが(6,−2)であると仮定した場合、以下(1)〜(3)式を検討する。
【0035】
ここで、(1)、及び(2)式はX軸方向の自車両の位置に依存する。例えば、先行車両との相対速度1.3[m/sec]で後方に移動すると、(1)式では8[sec]、(2)式では9[sec]でy=0となって割込みが完了する。(3)式は時間に依存し、10[sec]で割込みが完了する。本実施の形態では、最も短い時間で割込みが完了する走行軌跡を採用するが、割込先車線の車両や自車両の状況等に応じて任意の単調増加関数を採用するようにしてもよい。このような単調増加関数とすれば、割込先車線の後続車両が自車両の挙動を把握しやすくなり、後続車両のドライバの過度の減速などをなくすことができる。走行軌跡を生成後は、先行車両と後続車両との車間距離、先行車両と後続車両の速度等の交通状況から、軌跡上を移動する速度を決定する。そして、現在時刻における走行軌跡上の目標点を出力する。
【0036】
車線変更支援部42は、以下に説明するように、割込意図伝達部36で割込意図伝達フラグがONに設定されたとき、又は割込許可判定部38で割込許可フラグがONに設定されたときに、割込意図伝達部36、又は割込軌跡生成部40により生成された走行軌跡に従って車線変更を行うように、自車両の運転支援を行う。まず、割込意図伝達部36、又は割込軌跡生成部40において出力された目標点に対する自車両の移動速度を、割込意図伝達部36、又は割込軌跡生成部40において決定されたX軸方向に対する移動速度と同じになるようにアクチュエータ50を制御する。そして、割込み先車線の車線中心線に存在する目標点から、割込意図伝達部36、又は割込軌跡生成部40において生成された走行軌跡のY軸方向の成分だけ平行移動した経路を目標軌跡として、前方注視型操舵モデルに従って、アクチュエータ50により自車の操舵角度を制御する。
【0037】
割込状態通知部44は、自車のドライバに対して、車線変更支援部42による車線変更に係る自車両の運転支援に関する状態、又は他車両の走行状態を、出力部52を通じてドライバに通知する。例えば、割込みを支援しているとき、メータコンソール内の画面や、HUD、音声等により「割込支援中です」といった割込みのメッセージを表示、又は再生することにより通知する。また、自車両と割込先車線の車両との位置関係等を通知する。このように、割込みの状態を通知することで、自車両のドライバに不安を与えずに車線変更の支援を行うことができる。
【0038】
<本実施の形態に係る車線変更支援装置の作用>
【0039】
次に、本実施の形態に係る車線変更支援装置100の作用について説明する。まず、車線検出部30において、
図7に示す車線検出処理ルーチンを実行する。
【0040】
ステップS100において、カメラ画像から車線候補を検出する。
【0041】
ステップS102で、割込要求フラグがONであるかを判定し、OFFであればステップS104に移行し、ONであればステップS106に移行する。
【0042】
ステップS104では、ステップS100で検出した車線候補に基づいて、自車両と最も近い車線に走行中車線のラベルを付与する。ステップS106では、前回の車線検出処理ルーチンの実行で走行中車線のラベルを付与した車線と最も近い車線に対して、走行中車線のラベルを付与する。
【0043】
ステップS108では、ステップS100で検出した車線候補に右側の車線が存在するかを判定し、存在している場合にはステップS110へ移行し、存在していない場合には、ステップS112へ移行する。
【0044】
ステップS110では、走行中の車線から最も近い右側の車線に右側車線のラベルを付与する。
【0045】
ステップS108では、ステップS100で検出した車線候補に右側の車線が存在するかを判定し、存在していればステップS114へ移行し、存在していなければステップS100へ戻り、処理を繰り返す。
【0046】
ステップS114では、走行中の車線から最も近い右側の車線に右側車線のラベルを付与する。そして、ステップS100へ戻り、車線検出処理ルーチンを繰り返す。
【0047】
また、車両検出部32において、車両検出エリア毎に
図8に示す車両検出処理ルーチンを実行する。
【0048】
まず、ステップS200において、レーダセンサ12の出力と、ソナーセンサ14の出力と、車載カメラ16の出力とに基づいて、自車両の周囲の車両の有無を取得する。
【0049】
ステップS201では、ステップS200で取得した車両の有無に基づいて、当該車両検出エリアから車両を検出する。
【0050】
ステップS202で、車両検出エリアに車両が存在するかを判定し、車両が存在すればステップS204へ移行し、車両が存在しなければ、ステップS200へ戻り、次の車線を選択する。
【0051】
ステップS204では、ステップS201で車両が検出されていれば、当該車両検出エリアの車両検出フラグをONに設定する。
【0052】
次に、ステップS206で、ステップS201で車両が検出されたのが前方の車両検出エリアであるかを判定し、前方の車両検出エリアであればステップS210へ移行し、前方の車両検出エリアでなければ、ステップS212へ移行する。
【0053】
ステップS208では、ステップS204で自車両よりも前方の車両検出エリアで検出された車両のうち、自車両から最も近い1台の車両を先行車として選択し、先行車両の速度、及び先行車両後端を基準とした自車両に対する相対位置を取得する。
【0054】
ステップS210では、ステップS201で車両が検出されたのが後方の車両検出エリアであるかを判定し、後方の車両検出エリアであればステップS212へ移行し、後方の車両検出エリアでなければ、ステップS200へ戻り、車両検出処理ルーチンを繰り返す。
【0055】
ステップS212では、ステップS204で自車両よりも後方の車両検出エリアで検出された車両のうち、自車両から最も近い1台の車両を後続車両として選択し、後続車両の速度、及び後続車両先端を基準とした自車両に対する相対位置を取得する。そして、ステップS200へ戻って処理を繰り返す。
【0056】
また、割込要求検出部34において、
図9に示す割込要求処理ルーチンを実行する。
【0057】
ステップS300において、ドライバがウインカレバーを同じ方向に対して、予め定められたT
W秒以内に2回ONにしたかを判定する。2回ONにしていれば、ステップS302へ移行し、していなければステップS300に戻り、2回ONになるまで処理を繰り返す。
【0058】
ステップS302では、車両検出処理ルーチンにおいて検出された先行車両及び後続車両の速度、及び自車両との相対位置に基づいて、ウインカレバーを2回ONにした方向の車線に先行車両と後続車両があり、かつ、先行車両と後続車両との速度差が予め定められた±V
R以内であるかを判定する。条件を満たしていれば、ステップS304へ移行し、条件を満たしていなければ、ステップS306へ移行する。
【0059】
ステップS304では、割込要求フラグをONに設定する。
【0060】
ステップS306では、ドライバに対して割込支援不可のメッセージを通知し、ステップS300へ戻り、割込要求処理ルーチンを繰り返す。
【0061】
ステップS308では、ウインカレバーがステップS300で2回ONにされた方向とは反対側にONにされたかを判定し、反対側にONされていれば、ステップS310へ移行し、反対側にONされていなければ、ステップS312へ移行する。
【0062】
ステップS310では、割込要求フラグをOFFに変更し、ステップS300へ戻って割込要求処理ルーチンを繰り返す。
【0063】
ステップS312では、割込要求フラグがONであるか否かを判定し、ONであれば、ステップS308へ戻って処理を繰り返し、ONでなければ、ステップS300へ戻って割込要求処理ルーチンを繰り返す。
【0064】
また、割込意図伝達部36において、
図10に示す割込意図伝達処理ルーチンを実行する。
【0065】
まず、ステップS400において、車両検出処理ルーチンにより検出された各車線の先行車両の相対位置と、割込要求検出処理ルーチンにより検出された割込要求とに基づいて、割込要求フラグがONになっており、かつ、割込先車線に先行車両が検出されており、かつ、割込先車線の先行車両と自車両との相対位置がL
F1≧L
P≧L
F2であるかを判定する。条件を満たしていれば、ステップS402へ移行し、条件を満たしていなければステップS400へ戻り、処理を繰り返す。
【0066】
ステップS402では、割込先車線の車両に対する自車両のウインカランプの点滅を開始するように制御する。そして、ステップS404では、割込意図伝達フラグをONに設定する。
【0067】
ステップS406では、割込先車線の先行車両後端より後方に距離X
Aだけ離れた位置であり、かつ、割込先車線と自車両が走行している自車走行車線との境界線から距離Y
Aだけ離れた自車走行車線側に離れた位置までの直線による走行軌跡を生成する。
【0068】
ステップS408では、ステップS406で生成した走行軌跡上を移動する速度を決定する。ステップS410では、現在時刻における走行軌跡上の目標点を出力する。
【0069】
ステップS412では、割込許可フラグがONであるかを判定し、ONであればステップS414へ移行し、ONでなければステップS410へ戻って処理を繰り返す。
【0070】
ステップS414では、割込要求フラグがONであるかを判定し、ONであればステップS416へ移行し、ONでなければステップS414へ戻って処理を繰り返す。
【0071】
ステップS416では、ウインカランプを消灯し、ステップS400へ戻って割込意図伝達処理ルーチンを繰り返す。
【0072】
また、割込許可判定部38において、
図11に示す割込許可判定処理ルーチンを実行する。
【0073】
まず、ステップS500において、上述した割込要求検出処理ルーチンによって、割込要求フラグがONとなっているかを判定し、ONであればステップS502へ移行し、ONでなければステップS504へ移行する。
【0074】
ステップS502では、上述した、車両検出処理ルーチンにより検出された各車線の車両検出結果と、先行車両及び後続車両の速度及び相対位置と、割込要求検出処理ルーチンにより検出された割込要求と、割込意図伝達処理ルーチンで出力された目標点とに基づいて、自車両の位置が、目標点から±L
A[m]以内であり、かつ、先行車両と後続車との速度差が(先行車速度−後続車速度)≧V
FRであり、かつ、先行車両と後続車との車間距離がL
PF以上であり、かつ、割込先車線に側方車が存在しないかを判定し、条件を満たしていれば、ステップS506へ移行し、条件を満たしていなければステップS500へ戻り処理を繰り返す。
【0075】
ステップS504においては、割込許可フラグをOFFに変更し、ステップS500へ戻り処理を繰り返す。
【0076】
ステップS506では、割込許可フラグをONに設定する。
【0077】
ステップS508では、上述した割込要求検出処理ルーチンにより検出された割込要求によって、割込要求フラグがONとなっているかを判定し、ONでなければステップS510へ移行し、ONであればステップS508へ戻って処理を繰り返す。
【0078】
ステップS510では、割込許可フラグをOFFに変更し、ステップS500へ戻って割込許可判定処理ルーチンを繰り返す。
【0079】
また、割込軌跡生成部40において、
図12に示す割込軌跡生成処理ルーチンを実行する。
【0080】
まず、ステップS600において、上述した割込許可判定処理ルーチンによって、割込許可フラグがONとなっているかを判定し、ONであればステップS602へ移行し、ONでなければステップS600へ戻って処理を繰り返す。
【0081】
ステップS602では、上述した、車両検出処理ルーチンにより検出された割込先車線の先行車両の速度と、自車両の速度とに基づいて、自車両が車線変更したときに割込先車線の先行車両との衝突を回避できるLCxを算出し、算出したLCxと先行車両の車幅によって衝突エリアを導出する。
【0082】
ステップS604では、自車両の外形がステップS602で導出した衝突エリアと重ならず、かつ、先行車両の相対位置に基づく座標Sと自車両の外形とにより決定される点Pを通るように、単調増加関数により表される走行軌跡を生成する。
【0083】
ステップS606では、ステップS604で生成した走行軌跡上を移動する速度を決定する。そして、ステップS608では、現在時刻における走行軌跡上の目標点を出力する。
【0084】
ステップS610では、自車両と割込先車線との横偏差が±L
a以内であるかを判定し、±L
a以内であればステップS612へ移行し、±L
a以内でなければステップS614へ移行する。
【0085】
ステップS612では、割込許可フラグをOFFに変更し、ステップS600へ戻って割込軌跡処理ルーチンを繰り返す。
【0086】
S614では、割込要求フラグがONとなっているかを判定し、ONであればステップS608へ戻って処理を繰り返し、ONでなければステップS600へ戻って割込軌跡生成処理ルーチンを繰り返す。
【0087】
また、車線変更支援部42において、
図13に示す車線変更支援処理ルーチンを実行する。
【0088】
まず、ステップS700において、上述した割込許可判定処理ルーチンによって割込意図伝達フラグがONとなっているか、及び割込許可判定処理ルーチンによって割込許可フラグがONとなっているかを判定し、割込意図伝達フラグ及び割込許可フラグのいずれもONでなければステップS702へ移行し、いずれかがONであればステップS706へ移行する。
【0089】
ステップS702では、自車の速度を、AAC等の手法で制御する。ステップS704では、車線検出処理ルーチンにおいて走行中のラベルを付与した経路を目標経路として、操舵角度を制御し、ステップS700へ戻って車線変更支援処理ルーチンを繰り返す。
【0090】
ステップS706では、ステップS700で割込意図伝達フラグがONになっていると判定された場合には、割込意図伝達処理ルーチンにおいて出力された目標点に対する自車両の移動速度が、割込意図伝達処理ルーチンにおいて決定されたX軸方向に対する移動速度と同じになるようにアクチュエータ50を制御する。一方、割込許可フラグがONになっていると判定された場合には、割込軌跡生成処理ルーチンにおいて出力された目標点に対する自車両の移動速度が、割込軌跡生成処理ルーチンにおいて決定されたX軸方向に対する移動速度と同じになるようにアクチュエータ50を制御する。
【0091】
ステップS708では、ステップS700で割込意図伝達フラグがONになっていると判定された場合には、割込意図伝達処理ルーチンにおいて出力された割込先車線の車線中心線にある目標点から、割込意図伝達処理ルーチンにおいて生成された走行軌跡のY軸方向の成分だけ平行移動した経路を目標軌跡として、前方注視型操舵モデルに従って、アクチュエータ50により自車の操舵角度を制御する。一方、割込許可フラグがONになっていると判定された場合には、割込軌跡生成処理ルーチンにおいて出力された割込み先車線の車線中心線にある目標点から、割込軌跡生成処理ルーチンにおいて生成された走行軌跡のY軸方向の成分だけ平行移動した経路を目標軌跡として、前方注視型操舵モデルに従って、アクチュエータ50により自車の操舵角度を制御する。
【0092】
ステップS710では、割込状態通知部44が、ステップS706、及びステップS708における車線変更に係る自車両の運転支援に関する状態、又は他車両の走行状態を、出力部52を介して通知する。そして、ステップS700へ戻って車線変更支援処理ルーチンを繰り返す。
【0093】
以上、説明したように、本発明の実施の形態に係る車線変更支援装置によれば、ドライバからの割込要求が検出されたときに、割込意図を伝達するための走行軌跡を生成し、後続車両が割込みを許可している場合に、先行車両と自車両との接近距離を算出し、算出した接近距離に基づいて定められる衝突エリアに対して、自車の外形が重ならないように、単調増加関数で表される走行軌跡を生成し、生成した走行軌跡に従って運転を支援することで、割込みによる車線変更を適切に行うように運転支援することができる、という効果が得られる。
【0094】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0095】
例えば、上述した実施の形態では、割込軌跡生成部40は、単調増加関数で表される点Pを通る走行軌跡を生成する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、点Pの付近を通る走行軌跡や、点Pを通らない走行軌跡を生成するようにしてもよい。
【0096】
また、車線変更支援部42では、アクチュエータ50を制御して自車両の運転支援を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、生成した走行軌跡をドライバに対して提示して、運転支援を行うようにしてもよい。
【0097】
また、車線変更支援部42は、割込みによる車線変更を行うように運転支援を実行している時に後続車両が加速して車間を詰めた場合は、割込みを中止して元の車線に戻るように運転支援を行ってもよい。この場合には、一定割合以上車線を変更していた場合には中止せずに、割込みによる車線変更を行うように運転支援を行うようにしてもよい。